本発明に係る塵埃分離集塵装置、および電気掃除機の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な管部3と、を備えている。掃除機本体2と管部3とは、流体的に接続されている。
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の左右それぞれの側部に設けられる一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に配置される着脱自在な塵埃分離集塵装置7と、本体ケース5の後半部分に収容される電動送風機8と、主に電動送風機8を制御する本体制御部9と、電動送風機8へ電力を導く電源コード11と、を備えている。
掃除機本体2は、電源コード11を通じて供給される電力で電動送風機8を駆動させて、電動送風機8の駆動によって発生する負圧を管部3に作用させる。電気掃除機1は、管部3を通じて被掃除面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに塵埃が除去された清浄な空気を排気する。
本体ケース5の正面部分には、本体接続口12が設けられている。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口である。本体接続口12は、管部3と塵埃分離集塵装置7とを流体的に接続している。
車輪6は、大径の走行輪であり、掃除機本体2を支えている。
塵埃分離集塵装置7は、掃除機本体2に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送る。
また、塵埃分離集塵装置7は、全体として略円筒形状の外観を有している。塵埃分離集塵装置7は、掃除機本体2に対して底部を前方側へ、頂部を後方側へ片寄せて、若干後傾する姿勢で掃除機本体2に寄り掛かかるようにして装着されている。塵埃分離集塵装置7は、掃除機本体2に着脱自在に固定されている。
電動送風機8は、塵埃分離集塵装置7から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。記憶装置には、予め設定される複数の運転モードが記憶されている。予め設定される複数の運転モードは、管部3へ入力される使用者の操作に対応している。それぞれの運転モードには相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値)が設定されている。本体制御部9は、管部3に入力される使用者の操作に応じて、その操作内容に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、読み出した運転モードにしたがって電動送風機8の運転を制御する。
電源コード11は、配線用差込接続器(図示省略、所謂コンセント)から掃除機本体2へ電力を供給する。電源コード11の自由端部には、差込プラグ14が設けられている。
管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ案内する。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続される継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続される集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続される手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に設けられる操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続される延長管25と、延長管25に着脱自在に接続される吸込口体26と、を備えている。
接続管19は、本体接続口12へ着脱自在な継手であり、本体接続口12を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に流体的に接続されている。集塵ホース21は、接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを中継している。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を順次に通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者の手で容易に把持できる適宜の形状で手元操作管22から突出している。
操作部24は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備えている。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ24bと、を備えている。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機8の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能している。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→………の順に切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造の延長管25は、伸縮自在な細長略円筒状の管である。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。
吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在あるいは滑走自在であり、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有している。また、吸込口体26は、吸込口28に配置されている回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備えている。吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵装置7に流体的に接続されている。つまり、吸込口体26、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21、接続管19、および塵埃分離集塵装置7は、電動送風機8から吸込口28へ通じる吸込風路である。
電気掃除機1は、起動スイッチ24bに対する使用者の操作を受け付けると電動送風機8を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機8が停止している状態で起動スイッチ24bが操作されると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、再び起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を中運転モードで運転し、三度、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機8に対する入力値が小さい。始動した電動送風機8は、塵埃分離集塵装置7から空気を排気してその内部を負圧(吸込負圧)にする。
塵埃分離集塵装置7の負圧は、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、延長管25、および吸込口体26を順次に通じて吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵装置7は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、塵埃を分離した後の清浄な空気を電動送風機8へ送る。電動送風機8は塵埃分離集塵装置7から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
次に、塵埃分離集塵装置7について詳細に説明する。
なお、図1に示す塵埃分離集塵装置7は、後傾する姿勢で掃除機本体2に取り付けられているが、以下、説明を簡単にするために塵埃分離集塵装置7を直立させて図示する。
図2は、本発明の実施形態に係る塵埃分離集塵装置の断面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る塵埃分離集塵装置の第二遠心分離部の断面図である。
図2および図3に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の塵埃分離集塵装置7は、塵埃分離集塵装置7に導かれる含塵空気から粗い塵埃を分離する第一遠心分離部35と、第一遠心分離部35を通過する細かい塵埃を含む含塵空気から細かい塵埃を遠心分離する第二遠心分離部36と、第二遠心分離部36を着脱自在に覆う、透明または半透明な第二分離部上カバー37と、を備えている。
また、塵埃分離集塵装置7は、第二遠心分離部36を通過する空気を電動送風機8へ送る排気風路38と、排気風路38を覆う頂部カバー39と、を備えている。
第一遠心分離部35は、塵埃分離集塵装置7の一方側、具体的には下半側に配置されている。第二遠心分離部36、第二分離部上カバー37、排気風路38および頂部カバー39は、塵埃分離集塵装置7の他方側、具体的には上半側に配置されている。第一遠心分離部35と第二遠心分離部36とは、円筒形状の塵埃分離集塵装置7の高さ方向に隣接して並び、積み重なっている。
第一遠心分離部35、第二分離部上カバー37および頂部カバー39は、協働して塵埃分離集塵装置7の外観を略円筒形状に整えている。
なお、粗い塵埃とは、もっぱら糸くずや綿埃などの繊維状の塵埃や砂粒のような質量の大きい塵埃であり、細かい塵埃とは、粒子状または粉末状で質量の小さい塵埃である。
第一遠心分離部35は、遠心分離方式(サイクロン式)で含塵空気から塵埃を分離する。第一遠心分離部35は、第一遠心分離室41の外殻としてのカップ状の集塵容器42と、集塵容器42内に配置される円筒形状の内筒部43と、集塵容器42内に配置されて内筒部43に連接される塵埃捕捉カップ45と、を備えている。
カップ状(有底円筒状)の集塵容器42は、塵埃分離集塵装置7の下半部の外殻であって、第一遠心分離室41および集塵室47の外殻を兼ねている。集塵容器42の側壁には、吸気口48が設けられている。集塵容器42は、開放端部に配置されている大径部51と、大径部51に連接して小径に窄まる傾斜部52と、傾斜部52に連接して略一様な径寸法で底壁に達する小径部53と、を備えている。
また、集塵容器42は、側壁と底壁との間に角丸部54を有している。
大径部51と小径部53との連接部分、つまり傾斜部52は、集塵容器42の内側に大径部51から小径部53へ向かって窄まる傾斜面55を有している。
小径部53は、集塵容器42の底壁に連接している。
角丸部54は、集塵容器42の側壁と底壁とを繋ぎ、全周に渡っている。角丸部54は、半径寸法が一定の場合のみならず、半径寸法が変化する曲面、例えば楕円曲面を含む。集塵容器42の底壁と角丸部54との連接部分を底部接点54aと呼び、集塵容器42の側壁と角丸部54との連接部分を側部接点54bと呼ぶ。断面視において、それぞれの接点54a、54bでは、略直線状の側壁および底壁が角丸部54の接線方向へ繋がっている。
なお、集塵容器42の側壁は一様な直径の円筒でなくても良い。例えば、集塵容器42の側壁は、円錐台の側面のような形状であっても良く、角丸部54よりも十分に大きい曲率半径を有する丸みを有していても良い。また、集塵容器42の底壁は、平板形状でなくても良い。例えば、集塵容器42の底壁は、角丸部54よりも十分に大きい曲率半径を有する丸みを有していても良い。
内筒部43は、集塵容器42内に納められ、同心状に配置されている。内筒部43と集塵容器42とを隔てる環状の空間は、集塵容器42の吸気口48から第一遠心分離部35に流れ込む含塵空気を旋回させて粗い塵埃を遠心分離する第一遠心分離室41である。換言すると、内筒部43は、集塵容器42に流れ込む空気を旋回させて空気に含まれる塵埃を遠心分離する環状の第一遠心分離室41を集塵容器42の側壁の内周面との間に区画している。
内筒部43は、第二遠心分離部36に固定されて、集塵容器42内部に突出して集塵容器42の底壁へ向かって延びている。内筒部43は、第一遠心分離室41と第二遠心分離部36とを流体的に接続して中継している。内筒部43は、互いに離間されて円筒形状に配置される複数の骨56を有する枠体57と、枠体57の周囲を円筒形状に囲む第一メッシュフィルタ58と、を備えている。枠体57の骨56の間の第一開口59は、第一遠心分離室41から第二遠心分離部36へ空気を流出させる。内筒部43の側面、詳しくは、第一メッシュフィルタ58は、吸気口48を臨んでいる。
第一メッシュフィルタ58は電動送風機8の始動直後や停止過渡など、第一遠心分離室41内の旋回流が十分に発達していない期間において、また旋回流が発達した後も当然に、第一遠心分離部35から第二遠心分離部36側へ粗い塵埃が流れ込むことを防いでいる。
なお、内筒部43は、粗い塵埃が下流側へ流れ込むことを阻止できる程度において、必ずしも第一メッシュフィルタ58を必要としない。例えば、内筒部43の枠体57が、粗い塵埃の通過を阻止できる程度に目の細かい格子状であったり、粗い塵埃の通過を阻止できる程度に小さい孔を有していたりする場合には、必ずしも第一メッシュフィルタ58を必要としない。
塵埃捕捉カップ45も内筒部43同様に、集塵容器42内に納められ、同心状に配置され、かつ内筒部43よりも集塵容器42の底壁の近くに配置されている。塵埃捕捉カップ45は、内筒部43のうち集塵容器42の底壁に近い端部、つまり突出端部、または下端部に設けられている。有底円筒状の塵埃捕捉カップ45は、内筒部43に連接する底壁と、集塵容器42の底壁に向かって延びる側壁と、を有している。つまり、塵埃捕捉カップ45は、集塵容器42の底壁に向かって開放されている。塵埃捕捉カップ45の側壁は、隙間を隔てて集塵容器42の内周面に対向している。塵埃捕捉カップ45は、内筒部43よりも大径であり、内筒部43に連接する底壁に第二開口61aおよび第三開口61bを有している。
塵埃捕捉カップ45と集塵容器42とを隔てる空間は、第一遠心分離部35で分離された塵埃を蓄積する集塵室47である。集塵室47内の空気の一部は、第二開口61aを通じて第一遠心分離室41へ戻る。集塵室47内の空気の残部は、第三開口61bを通じて内筒部43に流れ込み、第一メッシュフィルタ58を通過して内筒部43に流れ混む空気と合流する。
第二開口61aには、第二メッシュフィルタ62aが設けられている。第二メッシュフィルタ62aは、集塵室47に流れ込んだ粗い(糸くずや綿埃などの繊維状の)塵埃が第一遠心分離室41へ戻らない程度に目の粗いもので良い。
第三開口61bには、第三メッシュフィルタ62bが設けられている。
集塵容器42の角丸部54は、集塵容器42の中心線C方向視において塵埃捕捉カップ45の直径d内に配置され、底壁に繋がる底部接点54aを有している。換言すると、角丸部54が半径Rの円弧の場合、角丸部54の円弧の中心Rcは、集塵容器42の底壁に対する塵埃捕捉カップ45の投影内に納まっている。なお、「塵埃捕捉カップ45の直径d内」とは、塵埃捕捉カップ45の直径dを含んでいる。
底部接点54aが塵埃捕捉カップ45の直径d内に配置されていることによって、集塵容器42の側壁の内面に沿って流れ、集塵容器42の側壁と塵埃捕捉カップ45との間を通過して集塵室47に到達する旋回流は、集塵容器42の底壁に対する塵埃捕捉カップ45の投影領域内へ円滑に案内され、塵埃を底壁の中央部に集める。
ところで、従来の塵埃分離集塵装置のように側壁と底壁との連接部に角Rがなかったり、角Rがあっても半径が小さく塵埃捕捉カップ45の直径d内に接点が到達していなかったりする場合には、側壁と底壁との連接部に旋回流が到達しない、あるいは旋回流が到達しにくい吹き溜まりのような部分を生じ、塵埃の圧縮率が高まらなかった。
一方、本実施形態に係る集塵容器42は、集塵容器42の中心線C方向視において塵埃捕捉カップ45の直径d内に配置される底部接点54aを有する角丸部54が集塵容器42の底壁に対する塵埃捕捉カップ45の投影領域内へ旋回流を円滑に案内することによって、塵埃の圧縮率を高めることができる。
また、角丸部54は、集塵容器42の中心線C直交方向視において塵埃捕捉カップ45と集塵容器42の底壁との間に挟まれる領域Aに配置され、側壁に繋がる側部接点54bを有している。
側部接点54bが領域Aを外れ、塵埃捕捉カップ45の側方に達すると、集塵容器42の側壁と塵埃捕捉カップ45との間を通過して集塵室47に到達する旋回流が乱される虞がある。そこで、旋回流の乱れの程度にもよるが、側部接点54bを領域Aに配置することが好ましい。ただし、旋回流の乱れが、塵埃を集塵室47へ流入させることに支障のない範囲では、側部接点54bが塵埃捕捉カップ45の側方に達することを許容できる。
なお、角丸部54は、旋回流を集塵容器42の底壁に対する塵埃捕捉カップ45の投影領域内へ旋回流を円滑に案内可能な内壁面を有していれば良いので、集塵容器42の意匠面、または外観面に相当する外壁面が内壁面と同様の形状でなくても良い。例えば、集塵容器42の底部の外観は、従来の集塵容器と同様であっても良い。
塵埃分離集塵装置7から集塵容器42を取り外すと、内筒部43および塵埃捕捉カップ45は、第二遠心分離部36に随伴して集塵容器42から抜け出る。
第二遠心分離部36は、第一遠心分離部35を通過する含塵空気から細かい塵埃を分離する。第二遠心分離部36は、第一遠心分離室41を通過した空気を導く中継風路63と、中継風路63から流れ込む空気から細かい塵埃を分離する第二遠心分離室65と、細かい塵埃が分解された後に第二遠心分離室65から流出する空気を電動送風機8へ導く排気風路38と、を備えている。
第二遠心分離部36は、集塵容器42に着脱自在に連結されて集塵容器42の開放端42aを塞いでいる。また、第二遠心分離部36は、内筒部43および塵埃捕捉カップ45を集塵容器42の中心線C上に支持している。
第二遠心分離部36の外殻に相当する第二分離部上カバー37は円筒形状である。第二分離部上カバー37の内側には、複数の第二遠心分離室65が環状に並べられている。また、環状に並ぶ複数の第二遠心分離室65の内側には、環状の中継風路63が配置されている。さらに、環状の中継風路63の内側であって集塵容器42の中心線Cの延長線上、あるいは円筒形状の第二遠心分離部36の中心部には、排気風路38が配置されている。換言すると、第二遠心分離部36は、第二分離部上カバー37側から順に、環状に配置される第二遠心分離室65、環状の中継風路63および排気風路38が配置される3重構造体である。
中継風路63は、内筒部43から流入する空気(含塵空気)を集塵容器42から遠ざける方向へ導き、第二遠心分離室65へ案内する。
第二遠心分離室65は複数あり、円筒形状の第二分離部上カバー37の内周に沿って、あるいは中継風路63を囲んで略環状に並んでいる。それぞれの第二遠心分離室65は、旋回流を生じさせる円筒形状壁66と、螺旋流を生じさせる円錐台形状壁67と、を備えている。
円筒形状壁66および円錐台形状壁67は、実質的に同一線上に並ぶ中心線を有している。この中心線、つまり第二遠心分離室65の中心線は、円筒形状の塵埃分離集塵装置7の中心線Cに対して平行に配置されている。なお、第二遠心分離室65の中心線は、第一遠心分離部35側で集まり、第二遠心分離部36で拡がる円錐面を描くように、放射状に傾いていても良い。また、複数の第二遠心分離室65全体で見ると、円筒形状壁66および円錐台形状壁67の中心線は、塵埃分離集塵装置7の中心線Cの周囲に円形に配置されている。
また、円錐台形状壁67は、大径な上底と、上底よりも小径な下底とを有している。円錐台形状壁67の上底は第一遠心分離部35から遠い側に配置され、下底は第一遠心分離部35に近い側に配置されている。円筒形状壁66は、実質的に円錐台形状壁67の上底と同じ直径を有しており、円錐台形状壁67の上底に連接している。
円筒形状壁66は、円錐台形状壁67よりも第一遠心分離部35から遠い側に配置されている。円筒形状壁66の側壁には、含塵空気の導入口68が設けられている。導入口68は、円筒形状壁66の側面であって、塵埃分離集塵装置7の中心側に配置され、中継風路63に接続されている。
また、円筒形状壁66は、第一遠心分離部35から最も遠い部位に底板を有している。円錐台形状壁67の底板には、円筒形状壁66内を中心線に沿って延びる管状の内筒69が設けられている。内筒69の内側は、第二遠心分離室65で含塵空気から分離された清浄な空気を排気する排気口71である。排気口71は、排気風路38に接続されている。内筒69の外側は、導入口68を臨んでいる。内筒69と円筒形状壁66とを隔てる環状の空間は、導入口68から流れ込む含塵空気の流れを旋回させる。
さらに、円筒形状壁66は、第一遠心分離部35に最も近い部位が開放されていて、円錐台形状壁67の上底の開口に繋がれている。
円錐台形状壁67は、第一遠心分離部35へ近づくほど縮径されている。円錐台形状壁67の上底は、円筒形状壁66内に繋がる開口を有し、円筒形状壁66と内筒69との間に発生した旋回流を導き入れて、円錐台形状壁67内に螺旋流を生じさせる。円錐台形状壁67の下底は、集塵容器42内に繋がる廃棄口72を有している。
第二遠心分離室65は、導入口68から含塵空気を導入する。導入口68から第二遠心分離室65へ流れ込む含塵空気は、円筒形状壁66の内面に沿って旋回し、さらに円錐台形状壁67の内面に沿って廃棄口72へ向かう渦巻き螺旋流を生じて、空気から細かい塵埃を分離する。分離された細かい塵埃は、廃棄口72から集塵容器42側へ排出される。塵埃が分離された清浄な空気は、第二遠心分離室65の中心線、つまり円筒形状壁66および円錐台形状壁67の中心線上を流動して内筒69内を通って排気口71から排気風路38へ流出する。
第二遠心分離室65の廃棄口72の先には、塵埃捕捉傘75が設けられている。塵埃捕捉傘75は、第一遠心分離部35と第二遠心分離部36とを区画する隔壁を兼ねて内筒部43の根元に設けられている。塵埃捕捉傘75の外径は、第二遠心分離部36よりも小さく、かつ内筒部43よりも大きい。塵埃捕捉傘75は、第二遠心分離室65の廃棄口72から排出される細かい塵埃を集塵容器42へ導く一方の面75aと、集塵容器42内へ向かって広がり傾斜する他方の面75bと、を有する。
また、塵埃捕捉傘75は、集塵容器42の傾斜部52に突き当って集塵容器42を塞いでいる。集塵容器42の大径部51、傾斜部52および塵埃捕捉傘75は、第二遠心分離室65から排出される塵埃を蓄積する細塵集塵室76を仕切っている。細塵集塵室76は、大径部51の内面、傾斜部52の傾斜面、および塵埃捕捉傘75の一方の面75aに挟まれて第二遠心分離室65から遠ざかるほど、つまり、第二遠心分離室65の廃棄口72から遠ざかるほど狭くなる略楔形状の空間である。
塵埃捕捉傘75の他方の面75bは、内筒部43および塵埃捕捉カップ45よりも大径であり、かつ内筒部43および塵埃捕捉カップ45に向かって拡径されている。
排気風路38は、第二遠心分離室65に覆い被さるようにして排気口71に接続される最外周部から縮径しつつ第二遠心分離部36の中心部側へ向かい、集塵容器42の中心線C上で中継風路63の中心部に入り込む。そして、排気風路38は、複数の第二遠心分離室65に囲まれる部分から集塵容器42の中心線Cの延長線(塵埃分離集塵装置7の中心線)に対して交差する方向へ折れ曲がり、第二遠心分離部36の側壁に設けられる第二排気口77へ至る。排気風路38は、第一遠心分離部35から最も遠い部分であり、頂部カバー39に隣り合う部分に第一遠心分離部35へ向かって窪む凹部78を備えている。排気風路38は、第二遠心分離室65の排気口71から流出する空気を塵埃分離集塵装置7の中心側へ向けて集約しつつ、凹部78によって一旦、第一遠心分離部35へ指向させ、その後に略直角に流れの向きを変えて第二排気口77へ排気する。
次に、実施形態に係るクラッチの塵埃分離集塵装置7の他の例を説明する。なお、他の例で説明する塵埃分離集塵装置7Aにおいて、塵埃分離集塵装置7と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4は、本発明の実施形態に係る塵埃分離集塵装置の他の例の断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の塵埃分離集塵装置7Aは、塵埃分離集塵装置7に集塵容器12に代えて、第一遠心分離室41の外殻としてのカップ状の集塵容器42Aを備えている。
カップ状(有底円筒状)の集塵容器42Aは、塵埃分離集塵装置7Aの下半部の外殻であって、第一遠心分離室41および集塵室47の外殻を兼ねている。集塵容器42Aは、側壁と底壁との間に角丸部81を有している。
角丸部81は、同サイズの集塵容器42、42Aにおいて、塵埃分離集塵装置7の角丸部54に比べて曲率半径が大きく設定されている。
角丸部81は、集塵容器42の側壁と底壁とを繋ぎ、全周に渡っている。角丸部54は、半径寸法が一定の場合のみならず、半径寸法が変化する曲面、例えば楕円曲面を含む。集塵容器42の底壁と角丸部81との連接部分を底部交点81aと呼び、集塵容器42の側壁と角丸部81との連接部分を側部接点81bと呼ぶ。断面視において、それぞれの交点81a、81bでは、略直線状の側壁および底壁と角丸部81との間には屈曲する交点が共有されている。
角丸部81は、集塵容器42の中心線C方向視において塵埃捕捉カップ45の直径d内に配置され、底壁に繋がる底部交点81aを有している。
底部交点81aが塵埃捕捉カップ45の直径d内に配置されていることによって、集塵容器42の側壁の内面に沿って流れ、集塵容器42の側壁と塵埃捕捉カップ45との間を通過して集塵室47に到達する旋回流は、集塵容器42の底壁に対する塵埃捕捉カップ45の投影領域内へ円滑に案内され、塵埃を底壁の中央部に集める。
ところで、従来の塵埃分離集塵装置のように側壁と底壁との連接部に角Rがなかったり、角Rがあっても半径が小さく塵埃捕捉カップ45の直径d内に接点が到達していなかったりする場合には、側壁と底壁との連接部に旋回流が到達しない、あるいは旋回流が到達しにくい吹き溜まりのような部分を生じ、塵埃の圧縮率が高まらなかった。
一方、本実施形態に係る集塵容器42Aは、集塵容器42Aの中心線C方向視において塵埃捕捉カップ45の直径d内に配置される底部交点81aを有する角丸部81が集塵容器42Aの底壁に対する塵埃捕捉カップ45の投影領域内へ旋回流を円滑に案内することによって、塵埃の圧縮率を高めることができる。
また、角丸部81は、集塵容器42Aの中心線C直交方向視において塵埃捕捉カップ45と集塵容器42Aの底壁との間に挟まれる領域Aに配置され、側壁に繋がる側部交点81bを有している。
側部交点81bが領域Aを外れ、塵埃捕捉カップ45の側方に達すると、集塵容器42の側壁と塵埃捕捉カップ45との間を通過して集塵室47に到達する旋回流が乱される虞がある。そこで、旋回流の乱れの程度にもよるが、側部交点81bを領域Aに配置することが好ましい。ただし、旋回流の乱れが、塵埃を集塵室47へ流入させることに支障のない範囲では、側部交点81bが塵埃捕捉カップ45の側方に達することを許容できる。
なお、角丸部81は、旋回流を集塵容器42Aの底壁に対する塵埃捕捉カップ45の投影領域内へ旋回流を円滑に案内可能な内壁面を有していれば良いので、集塵容器42Aの意匠面、または外観面に相当する外壁面が内壁面と同様の形状でなくても良い。例えば、集塵容器42Aの底部の外観は、従来の集塵容器と同様であっても良い。
本実施形態に係る塵埃分離集塵装置7、7Aおよび電気掃除機1は、側壁と底壁との間に角丸部54を有する集塵容器42を備えることによって、集塵容器42の側壁の内面に沿って流れ、集塵容器42の側壁と塵埃捕捉カップ45との間を通過して集塵室47に到達する旋回流を、集塵容器42の底壁の中央部に集中させ、集塵室47における塵埃の圧縮率を高めることができる。
また、本実施形態に係る塵埃分離集塵装置7、7Aおよび電気掃除機1は、集塵容器42の中心線C方向視において塵埃捕捉カップ45の直径d内に配置され、底壁に繋がる底部接点54aまたは底部交点81aを有することによって、集塵容器42の底壁に対する塵埃捕捉カップ45の投影領域内へ集塵室47内の旋回流を円滑に案内し、塵埃の圧縮率を高めることができる。
さらに、本実施形態に係る塵埃分離集塵装置7、7Aおよび電気掃除機1は、塵埃捕捉カップ45と集塵容器42の底壁との間に挟まれる領域Aに配置され、側壁に繋がる側部接点54bまたは側部交点81bを有することによって、集塵容器42の側壁と塵埃捕捉カップ45との間を通じ、集塵室47内へ旋回流を円滑に流入させることができる。
したがって、本実施形態に係る塵埃分離集塵装置7、7Aおよび電気掃除機1によれば、従来よりもさらに高密度に塵埃を圧縮することができる。
なお、本実施形態に係る電気掃除機1は、キャニスタ型のものに限らず、アップライト型、スティック型、あるいはハンディ型などのものであってもよい。また、自律型電気掃除機、所謂ロボットクリーナーが集めた塵埃を回収するダストステーションであっても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。