本発明に係る電気掃除機の実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な管部3と、を備えている。管部3は掃除機本体2に流体的に接続されている。
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の左右それぞれの側方に設けられる一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に着脱自在に装着される塵埃分離装置7と、本体ケース5の後半部に収容される電動送風機8と、主に電動送風機8を制御する本体制御部9と、電動送風機8へ電力を導く電源コード11と、を備えている。
掃除機本体2は、電源コード11を経て供給される電力で電動送風機8を運転して負圧を発生させ、この負圧を管部3に作用させている。電気掃除機1は、管部3に作用する負圧によって、塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を被掃除面から吸い込んで、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに分離後の空気を排気する。
本体ケース5の正面には、本体接続口12が設けられている。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口であり、管部3と塵埃分離装置7とを流体的に中継している。
車輪6は、大径の走行輪であり、掃除機本体2を支えている。
塵埃分離装置7は、掃除機本体2に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送る。
また、塵埃分離装置7は、略円筒形状に延びている。塵埃分離装置7は、掃除機本体2に対して底部を前方側へ、頂部を後方側へずらし、若干後傾する姿勢で掃除機本体2に寄り掛かっている。
電動送風機8は、塵埃分離装置7から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。記憶装置には、予め設定される複数の運転モードが記憶されている。予め設定される複数の運転モードは、管部3で受け付けられる使用者の操作に対応している。それぞれの運転モードには相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値)が設定されている。本体制御部9は、管部3に受け付けられる使用者の操作に応じて、その操作内容に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、読み出した運転モードにしたがって電動送風機8を制御する。
電源コード11は、配線用差込接続器(図示省略、所謂コンセント)から掃除機本体2へ電力を供給する。電源コード11の自由端部には、差込プラグ14が設けられている。
管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、含塵空気を被掃除面から吸い込んで掃除機本体2へ導く。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続される継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続される集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続される手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に設けられる操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続される延長管25と、延長管25に着脱自在に接続される吸込口体26と、を備えている。
接続管19は、本体接続口12へ着脱自在な継手であり、本体接続口12を通じて塵埃分離装置7に流体的に接続されている。
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に流体的に接続されている。集塵ホース21は、接続管19を通じて塵埃分離装置7に流体的に接続されている。
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを中継している。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を順次に通じて塵埃分離装置7に流体的に接続されている。
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持できる部分である。把持部23は、使用者の手で容易に把持できる適宜の形状で手元操作管22から突出している。
操作部24は、それぞれの運転モードに対応するスイッチを備えている。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応する停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応する起動スイッチ24bと、を備えている。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機8の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能している。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→………の順で切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造の延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離装置7に流体的に接続されている。
吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在あるいは滑走自在であり、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有している。また、吸込口体26は、吸込口28に配置され回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備えている。吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離装置7に流体的に接続されている。つまり、吸込口体26、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21、接続管19、および塵埃分離装置7は、電動送風機8から吸込口28へ至る吸込風路である。
電気掃除機1は、起動スイッチ24bが操作される電動送風機8を始動する。例えば、電気掃除機1は、電動送風機8が停止している状態で起動スイッチ24bが操作されると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、再び起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を中運転モードで運転し、三度、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機8に対する入力値が小さい。始動した電動送風機8は、塵埃分離装置7から空気を排気して負圧(吸込負圧)にする。
塵埃分離装置7に作用する負圧は、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、延長管25、および吸込口体26を順次に通じて吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用した負圧によって、塵埃を空気とともに塵埃を吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離装置7は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機8へ送る。電動送風機8は塵埃分離装置7から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
次に、塵埃分離装置7について詳細に説明する。
なお、図1に示す塵埃分離装置7は、後傾する姿勢で掃除機本体2に取り付けられているが、説明を簡単にするために直立させて図示する。
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の塵埃分離集塵装置の外観斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の塵埃分離集塵装置の断面図である。
図2および図3に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の塵埃分離装置7は、塵埃分離装置7に導かれる空気から粗い塵埃を遠心分離する第一分離部35と、第一分離部35を通過した空気から細かい塵埃を遠心分離する第二分離部36と、第二分離部36を通過した空気を塵埃分離装置7から掃除機本体2へ送る排気流路37と、排気流路37を覆うカバー38と、を備えている。
第一分離部35は、塵埃分離装置7の一方の半部(具体的には下半部)に配置されている。第二分離部36、排気流路37およびカバー38は、塵埃分離装置7の他方の半部(具体的には上半部)に配置されている。
第一分離部35、第二分離部36およびカバー38は、協働して塵埃分離装置7の外観を略円筒形状に整えている。
なお、粗い塵埃とはもっぱら糸くずや綿埃などの繊維状の塵埃や砂粒のような粒度の大きい塵埃であり、細かい塵埃とは粒子状または粉末状で粒度の小さい塵埃である。
第一分離部35は、遠心分離方式(サイクロン式)で空気から塵埃を分離する。第一分離部35は、粗い塵埃を遠心分離する環状の第一分離室39の外殻としてのカップ状の集塵容器41と、集塵容器41内に配置される円筒形状の第一フィルタ部42と、集塵容器41内に配置されて第一フィルタ部42に連接される塵埃捕捉カップ43と、集塵容器41の側壁外面に設けられている第二取っ手45と、を備えている。なお、第一分離部35は、粗い塵埃が下流側へ流出することを阻止できる程度において、必ずしも第一フィルタ部42を必要としない。
集塵容器41は、塵埃分離装置7の一方の半部の外殻であって、第一分離室39および集塵室46の外殻を兼ねている。集塵容器41の側壁には、吸気口47が設けられている。
第一フィルタ部42は、集塵容器41内に納められて略同心に配置されている。第一フィルタ部42と集塵容器41とを隔てる環状の空間は、集塵容器41の吸気口47から第一分離部35に流れ込む空気を旋回させて塵埃と空気とを遠心分離する環状の第一分離室39である。
第一フィルタ部42は、第二分離部36から突出して集塵容器41の開放端側から底壁へ向かって延びている。第一フィルタ部42は、第一分離室39と第二分離部36とを流体的に接続している。第一フィルタ部42は、円筒形状の枠体51と、枠体51の周囲を円筒形状に囲むメッシュフィルタ52と、を備えている。枠体51の第二開口53は、第一分離室39から第二分離部36へ空気を流出させる。第一フィルタ部42の側面、詳しくはメッシュフィルタ52は、吸気口47を臨んでいる。
メッシュフィルタ52は電動送風機8の始動直後や停止過渡など第一分離室39内の旋回流Fが十分に発達していない期間において、また旋回流Fが発達した後も当然に、第一分離部35から第二分離部36側へ粗い塵埃が流出することを防ぐ。
塵埃捕捉カップ43は、第一フィルタ部42のうち集塵容器41の底壁側に位置する突出端部に設けられている。有底円筒形状の塵埃捕捉カップ43は、第一フィルタ部42に連接する底壁と、集塵容器41の底壁に向かって延びる側壁と、を有している。塵埃捕捉カップ43は、集塵容器41の底壁に向かって開放されている。塵埃捕捉カップ43の側壁は、隙間を隔てて集塵容器41の側壁に対向している。塵埃捕捉カップ43は、第一フィルタ部42よりも大径であり、第一フィルタ部42に連接している底壁に第三開口56を有する。
塵埃捕捉カップ43と集塵容器41とを隔てる空間は、第一分離部35で分離された塵埃を蓄積する集塵室46である。集塵室46内の空気は、第三開口56を通じて第一分離室39へ戻る。
第三開口56には、メッシュフィルタ57が設けられている。メッシュフィルタ57は、集塵室46に流れ込んだ粗い(糸くずや綿埃などの繊維状の)塵埃が第一分離室39へ戻らない程度に目の粗いフィルタで良い。
塵埃分離装置7から集塵容器41を取り外すと、第一フィルタ部42および塵埃捕捉カップ43は、第二分離部36に随伴して集塵容器41から抜け出す。
第二分離部36は、第一分離部35を通過する細かい塵埃を空気から分離し、塵埃が電動送風機8に達することを防ぐ。第二分離部36は、第一分離室39を通過した空気を導く中継流路61と、中継流路61から流れ込む空気から細かい塵埃を分離する第二分離室62と、細かい塵埃が分解された後の空気を第二分離室62から流出させる排気流路37と、を備えている。第二分離部36は、集塵容器41に連結されて集塵容器41の開放端を着脱自在に塞いでいる。
また、第二分離部36は、第一フィルタ部42および塵埃捕捉カップ43を集塵容器41の中心線C上に支持している。
第二分離部36の外殻に相当する側壁63の内側には、複数の第二分離室62が環状に並べられ、その内側には環状の中継流路61が配置され、さらにその内側であって集塵容器41の中心線Cの延長線上、あるいは円筒形状の第二分離部36の中心部には、排気流路37が配置されている。換言すると、第二分離部36は、側壁63側から順に、環状に配置される第二分離室62、環状の中継流路61、および排気流路37が配置される3重構造体である。
中継流路61は、第一フィルタ部42から流入する空気を集塵容器41から遠ざける方向へ導き、第二分離室62へ案内する。
第二分離室62は複数あり、中継流路61を囲んで略環状に並んでいる。それぞれの第二分離室62は、円筒形状壁65によって区画される円筒形状の空間であり、円筒形状壁65の内壁面に沿う旋回流を生じさせる。円筒形状壁65は、集塵容器41の中心線Cに平行な方向へ延びており、第一分離部35から遠い側に頂部を有し、第一分離部35に近い側に底部を有している。それぞれの第二分離室62は、分離した塵埃を集塵容器41へ排出する。
円筒形状壁65の頂部には、空気入口66と、空気出口67とが設けられている。空気入口66は、中継流路61に接続される一方で、空気出口67は、排気流路37に接続されている。空気入口66は、円筒形状壁65の側面の頂部近傍に開口されており、中継流路61から円筒形状壁65の内壁面に向かって空気を導く。空気出口67は、円筒形状壁65の上面の中央部に開口されており、第二分離室62内に生じる旋回流の中心、つまり渦の中心から空気を排気する。
円筒形状壁65の底部には、塵埃出口68が設けられている。円筒形状壁65は、底面をなす壁を有しておらず、塵埃出口68として開放されている。
そして、第二分離室62は、第二分離室62に生じる旋回流の中心線C2上に配置される先細り形状の中央体69と、円筒形状壁65の塵埃出口68を閉ざす蓋部71と、を備えている。なお、旋回流の中心線C2は、円筒形状壁65の図心に一致している。
中央体69は、集塵容器41から第二分離室62内へ延びており、第二分離室62の奥側、つまり第一分離部35から離れて円筒形状壁65の頂部に近づくほど細い。中央体69と塵埃出口68との間には、隙間72が隔てられている。中央体69は、集塵容器41に固定されており、集塵容器41と第二分離部36との着脱にともなって第二分離室62内から離脱および再配置される。隙間72は、第二分離部36が分離した塵埃を溜める第二集塵室である。
中央体69は、円錐形状である。具体的には中央体69は、集塵容器41側に固定される底部73と、第二分離室62内に配置される頂部75と、を備えている。隙間72は、中央体69の底部73と円筒形状壁65の内壁面との間で最も狭い。
蓋部71は、中央体69を第二分離室62内に支えている。蓋部71は、中央体69とともに集塵容器41に固定されており、集塵容器41が第二分離部36から取り外されると第二分離室62の塵埃出口68を開放する。
空気入口66から第二分離室62へ流れ込む空気は、塵埃出口68へ向かって渦巻き螺旋流を生じる。この旋回流は、空気に含まれる細かい塵埃を遠心分離して円筒形状壁65の内壁面側に集める一方で、旋回流の中心に清浄な空気を生じさせる。旋回流の中心に生じる清浄な空気は、渦巻き螺旋流の中心(円筒形状壁65の中心)上を流動して空気出口67から排気される。他方、空気から分離された塵埃は、円筒形状壁65の内壁面に沿って旋回するうち、中央体69の底部73と円筒形状壁65の内壁面との隙間72へ到達して蓄積される。隙間72へ到達して蓄積される塵埃は、集塵容器41が第二分離部36から取り外されると、開放された塵埃出口68から第一分離室39へ廃棄される。
排気流路37は、第二分離室62の底部に覆い被さるようにして空気出口67に接続される最外周部から第二分離部36の中心部側へ向かって縮径しつつ集塵容器41の中心線C上で中継流路61の中心部に入り込む。そして、排気流路37は、複数の第二分離室62に囲まれる部分から集塵容器41の中心線Cの延長線(塵埃分離装置7の中心線)に対して交差する方向へ折れ曲がり、第二分離部36の側壁63に設けられる排気口76へ至る。排気流路37は、第一分離部35から最も遠い部分であり、カバー38に隣り合う部分に第一分離部35へ向かって窪む凹部77を備えている。排気流路37は、第二分離室62の空気出口67から流出する空気を塵埃分離装置7の中心側へ向けて集約しつつ、凹部77によって一旦、第一分離部35へ指向させ、その後に略直角に向きを変えて排気口76へ排気する。
カバー38は、第二分離部36の頂部を塞ぐ天板87と、天板87に設けられる揺動自在な取っ手88と、を備えている。
天板87には、第二分離部36側へ向かって窪む凹部89が設けられている。凹部89は、排気流路37の凹部77に対応して窪んでいる。
また、天板87には、取っ手88を揺動可能に支えるヒンジ機構91が設けられている。ヒンジ機構91は、天板87の外周部に設けられている。ヒンジ機構91は、取っ手88を揺動させることによって、取っ手88と天板87との隙間92の開口高さを拡大させる。つまり、ヒンジ機構91は、通常時の隙間92の開口高さを平均的な指の厚さよりも低く設定しておくことを可能にする。この場合、ヒンジ機構91は、隙間92に進入する指の厚さに応じて取っ手88を揺動させ、隙間92の開口高さを拡大させる。
天板87の外周縁部には、取っ手88へ向かって縮径する円錐形状部93が設けられている。
取っ手88は、カバー38の頂部(すなわち塵埃分離装置7の頂部)に設けられている。使用者は、取っ手88に指を挿入することで塵埃分離装置7をしっかりと保持できる。取っ手88は、天板87の凹部89と協働して手指を挿抜可能に開放する隙間92を仕切る。
そして、カバー38は、塵埃分離装置7と掃除機本体2とを連結する第一クランプ92を備えている。掃除機本体2には、第一クランプ92と協働して塵埃分離装置7を掃除機本体2に固定する第一ロック爪93が設けられている。
第一クランプ92は、隙間92の開口高さを拡大させる方向へ揺動する取っ手88に追従して第一ロック爪93から外れる一方で、塵埃分離装置7を掃除機本体2に装着する際には単独で揺動して第一ロック爪93に引っ掛かる。
第一クランプ92は、塵埃分離装置7と掃除機本体2とを連結する一方で、取っ手88が揺動する一動作に連動して掃除機本体2と塵埃分離装置7との連結を解除して掃除機本体2から塵埃分離装置7を取り外し可能にする。
次に、本実施形態に係る電気掃除機1の第二分離部36の他の例を説明する。なお、各例で説明する第二分離部36A、36B、36C、36D、および36Eにおいて第二分離部36と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二分離部の他の例を示す部分的な断面図である。
図4に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第二分離部36Aは、第二分離部36と同様に複数あり、中継流路61を囲んで略環状に並んでいる。
そして、第二分離室62Aは、第二分離室62Aに生じる旋回流の中心線C2上に配置される先細り形状の中央体69Aを備えている。
中央体69Aは、集塵容器41から第二分離室62A内へ延びており、第二分離室62Aの奥側、つまり第一分離部35から離れて円筒形状壁65の頂部に近づくほど細い。中央体69Aと塵埃出口68との間には、隙間72が隔てられている。中央体69Aは、集塵容器41に固定されており、集塵容器41と第二分離部36Aとの着脱にともなって第二分離室62A内から離脱および再配置される。隙間72は、第二分離部36Aが分離した塵埃を溜める第二集塵室である。
また、中央体69Aは、円錐台形状である。具体的には中央体69は、集塵容器41側に固定される下底101と、第二分離室62A内に配置される上底102と、を備えている。隙間72は、中央体69Aの下底101と円筒形状壁65の内壁面との間で最も狭い。
空気入口66から第二分離室62Aへ流れ込む空気は、塵埃出口68へ向かって渦巻き螺旋流を生じる。この旋回流は、空気に含まれる細かい塵埃を遠心分離して円筒形状壁65の内壁面側に集める一方で、旋回流の中心に清浄な空気を生じさせる。旋回流の中心に生じる清浄な空気は、渦巻き螺旋流の中心(円筒形状壁65の中心)上を流動して空気出口67から排気される。他方、空気から分離された塵埃は、円筒形状壁65の内壁面に沿って旋回するうち、中央体69Aの下底101と円筒形状壁65の内壁面との隙間72へ到達して蓄積される。隙間72へ到達して蓄積される塵埃は、集塵容器41が第二分離部36Aから取り外されると、開放された塵埃出口68から第一分離室39へ廃棄される。
図5は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二分離部の他の例を示す部分的な断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第二分離部36Bは、第二分離部36と同様に複数あり、中継流路61を囲んで略環状に並んでいる。
そして、第二分離室62Bは、第二分離室62Bに生じる旋回流の中心線C2上に配置される先細り形状の中央体69Bを備えている。
中央体69Bは、集塵容器41から第二分離室62B内へ延びており、第二分離室62Bの奥側、つまり第一分離部35から離れて円筒形状壁65の頂部に近づくほど細い。中央体69Bと塵埃出口68との間には、隙間72が隔てられている。中央体69Bは、集塵容器41に固定されており、集塵容器41と第二分離部36Bとの着脱にともなって第二分離室62B内から離脱および再配置される。隙間72は、第二分離部36Bが分離した塵埃を溜める第二集塵室である。
また、中央体69Bは、傘形状である。具体的には中央体69Bは、集塵容器41から延びる支柱部103と、支柱部103に支えられる円錐部105と、を備えている。隙間72は、中央体69の円錐部105の底部と円筒形状壁65の内壁面との間で最も狭い。
空気入口66から第二分離室62Bへ流れ込む空気は、塵埃出口68へ向かって渦巻き螺旋流を生じる。この旋回流は、空気に含まれる細かい塵埃を遠心分離して円筒形状壁65の内壁面側に集める一方で、旋回流の中心に清浄な空気を生じさせる。旋回流の中心に生じる清浄な空気は、渦巻き螺旋流の中心(円筒形状壁65の中心)上を流動して空気出口67から排気される。他方、空気から分離された塵埃は、円筒形状壁65の内壁面に沿って旋回するうち、中央体69Bの円錐部105の底部と円筒形状壁65の内壁面との隙間72へ到達して蓄積される。隙間72へ到達して蓄積される塵埃は、集塵容器41が第二分離部36Bから取り外されると、開放された塵埃出口68から第一分離室39へ廃棄される。
図6は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二分離部の他の例を示す部分的な断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第二分離部36Cは、第二分離部36と同様に複数あり、中継流路61を囲んで略環状に並んでいる。それぞれの第二分離室62Cは、円錐台形状壁106によって区画される円錐台形状の空間であり、円錐台形状壁106の内壁面に沿う旋回流を生じさせる。円錐台形状壁106は、集塵容器41の中心線Cに平行な方向へ延びており、第一分離部35から遠い側に上底部を有し、第一分離部35に近い側に下底部を有している。円錐台形状壁106は、上底側から下底側へ向かって、つまり第一分離部35に向かって拡径しており、上底よりも下底の方が拡大している。それぞれの第二分離室62Cは、分離した塵埃を集塵容器41へ排出する。
円錐台形状壁106の上底部には、空気入口66と、空気出口67とが設けられている。空気入口66は、中継流路61に接続される一方で、空気出口67は、排気流路37に接続されている。空気入口66は、円錐台形状壁106の側面の上底近傍に開口されており、中継流路61から円錐台形状壁106の内壁面に向かって空気を導く。空気出口67は、円錐台形状壁106の上底の中央部に開口されており、第二分離室62C内に生じる旋回流の中心、つまり渦の中心から空気を排気する。
円錐台形状壁106の下底部には、塵埃出口68が設けられている。円錐台形状壁106は、底面をなす壁を有しておらず、塵埃出口68として開放されている。
そして、第二分離室62Cは、第二分離室62Cに生じる旋回流の中心線C2上に配置される先細り形状の中央体69を備えている。隙間72は、中央体69の底部73と円錐台形状壁106の内壁面との間で最も狭い。隙間72は、第二分離部36Cが分離した塵埃を溜める第二集塵室である。なお、旋回流の中心線C2は、円錐台形状壁106の図心に一致している。
空気入口66から第二分離室62Cへ流れ込む空気は、塵埃出口68へ向かって渦巻き螺旋流を生じる。この旋回流は、空気に含まれる細かい塵埃を遠心分離して円錐台形状壁106の内壁面側に集める一方で、旋回流の中心に清浄な空気を生じさせる。旋回流の中心に生じる清浄な空気は、渦巻き螺旋流の中心(円錐台形状壁106の中心)上を流動して空気出口67から排気される。他方、空気から分離された塵埃は、円錐台形状壁106の内壁面に沿って旋回するうち、中央体69の底部73と円錐台形状壁106の内壁面との隙間72へ到達して蓄積される。隙間72へ到達して蓄積される塵埃は、集塵容器41が第二分離部36Cから取り外されると、開放された塵埃出口68から第一分離室39へ廃棄される。
なお、円錐台形状壁106は、上底側から下底側へ向かって、つまり第一分離部35に向かって縮径していても良い。つまり、下底よりも上底の方が拡大していても良い。
図7は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二分離部の他の例を示す部分的な断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第二分離部36Dは、第二分離部36と同様に複数あり、中継流路61を囲んで略環状に並んでいる。
第二分離部36Dは、円錐台形状壁106と、円錐台形状の中央体69Aを組み合わせたものである。円錐台形状壁106の内壁面の傾斜角度は、中央体69Aの外壁面の傾斜角度よりも大きいことが好ましい。
空気入口66から第二分離室62Dへ流れ込む空気は、塵埃出口68へ向かって渦巻き螺旋流を生じる。この旋回流は、空気に含まれる細かい塵埃を遠心分離して円錐台形状壁106の内壁面側に集める一方で、旋回流の中心に清浄な空気を生じさせる。旋回流の中心に生じる清浄な空気は、渦巻き螺旋流の中心(円錐台形状壁106の中心)上を流動して空気出口67から排気される。他方、空気から分離された塵埃は、円錐台形状壁106の内壁面に沿って旋回するうち、中央体69Aの下底101と円錐台形状壁106の内壁面との隙間72へ到達して蓄積される。隙間72へ到達して蓄積される塵埃は、集塵容器41が第二分離部36Dから取り外されると、開放された塵埃出口68から第一分離室39へ廃棄される。
図8は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の第二分離部の他の例を示す部分的な断面図である。
図8に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1の第二分離部36Eは、第二分離部36と同様に複数あり、中継流路61を囲んで略環状に並んでいる。
そして、第二分離室62Eは、第二分離室62Eに生じる旋回流の中心線C2上に配置される先細り形状の中央体69と、第二分離室62Eに生じる旋回流の中心線上に配置されて中央体69に連接される通気性のある中央筒107と、を備えている。
空気入口66から第二分離室62Eへ流れ込む空気は、塵埃出口68へ向かって渦巻き螺旋流を生じる。この旋回流は、空気に含まれる細かい塵埃を遠心分離して中央筒107と円筒形状壁65とを隔てる空間、特に円筒形状壁65の内壁面側に集める一方で、旋回流の中心、つまり中央筒107の内側に清浄な空気を生じさせる。中央筒107の内側に生じる清浄な空気は、空気出口67から排気される。他方、空気から分離された塵埃は、円筒形状壁65の内壁面に沿って旋回するうち、中央体69の底部73と円筒形状壁65の内壁面との隙間72へ到達して蓄積される。隙間72へ到達して蓄積される塵埃は、集塵容器41が第二分離部36Eから取り外されると、開放された塵埃出口68から第一分離室39へ廃棄される。
なお、中央筒107は、円錐形状の中央体69、円錐台形状の中央体69A、および傘形状の中央体69Bと、円筒形状壁65、および円錐台形状壁106とのいずれの組合せにも適用することができる。
本実施形態に係る電気掃除機1および塵埃分離装置7は、第二分離室62、62A、62B、62C、62Dおよび62Eに生じる旋回流の中心線上に配置される先細り形状の中央体69、69Aおよび69Bを備えることによって、第二分離部36、36A、36B、36C、36Dおよび36Eが分離する塵埃を第二集塵室としての隙間72に蓄積できるので、従来の電気掃除機および塵埃分離装置のように、塵埃分離装置内を流通する空気の流路の外方に配置される塵埃溜め部を必要とせず、ひいては第一分離部のケースの内壁面へ向かって傾斜して延びる隔壁を必要とせず、塵埃分離装置の小型化、具体的には長手方向寸法の短縮化に貢献できる。
また、本実施形態に係る電気掃除機1および塵埃分離装置7は、集塵容器41に固定されており、集塵容器41と第二分離部36、36A、36B、36C、36Dおよび36Eとの着脱にともなって第二分離室62、62A、62B、62C、62Dおよび62E内から離脱および再配置される中央体69、69Aおよび69Bを備えることによって、第一分離部35の集塵室46に蓄積された塵埃を廃棄する際に、第二集塵室としての隙間72に蓄積された塵埃を一括して容易に廃棄できる。
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1および塵埃分離装置7は、先細り形状の具体例として円錐形状の中央体69、円錐台形状の中央体69A、および傘形状の中央体69Bを適用することで旋回流の中心を通って空気出口67へ至る、清浄な空気の流れに干渉することなく、第二集塵室としての隙間72に塵埃を蓄積でき、ひいては第一分離部のケースの内壁面へ向かって傾斜して延びる隔壁を必要とせず、塵埃分離装置の小型化、具体的には長手方向寸法の短縮化に貢献できる。
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1および塵埃分離装置7は、先細り形状の具体例として円錐形状の中央体69、円錐台形状の中央体69A、および傘形状の中央体69Bを適用することで、第二集塵室としての隙間72を広く確保して多量の塵埃を蓄積できる。
また、本実施形態に係る電気掃除機1および塵埃分離装置7は、第二分離室62、62A、62B、62C、62Dおよび62Eとして円筒形状壁65、および円錐台形状壁106を適用することで第二分離部36、36A、36B、36C、36Dおよび36Eが清掃しやすく、保守性に優れている。
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1および塵埃分離装置7は、中央筒107を備えることによって、第二分離室62、62A、62B、62C、62Dおよび62E内を旋回しながら中央体69、69Aおよび69Bへ下降する空気流と、空気出口67へ上昇する空気流とを分かち、隙間72に溜まった塵埃が空気出口67、つまり電動送風機8側へ流出することを防ぐことができる。
したがって、本実施形態に電気掃除機1および塵埃分離装置7によれば、多段の遠心分離部を有し、より小型化できる。
なお、本実施形態に係る電気掃除機1は、キャニスタ型のものに限らず、アップライト型、スティック型、あるいはハンディ型などのものであってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。