JP2017107011A - 光学部材及びそれを用いた機器 - Google Patents

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剛章 玉田
Takeaki Tamada
剛章 玉田
小林 智晶
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智晶 小林
龍之 小野崎
Tatsuyuki Onozaki
龍之 小野崎
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Abstract

【課題】表面の一部に遮光層を有し、かつ優れた反射防止性を有する光学系を構成する光学部材を提供する。【解決手段】基材2の表面の一部に遮光層3を有する光学系を構成する光学部材1において、基材2の遮光層3が設けられる面に下地層4を形成し、下地層4の上に遮光層3を形成した後、下地層4の遮光層3が形成されていない部分に上層5を形成してなり、下地層4は、遮光層3が形成された部分において光学部材1の第一の反射防止層として機能し、下地層4及び上層5は合わせて、遮光層3が形成されていない部分において光学部材1の第二の反射防止層として機能する光学部材。【選択図】図1

Description

本発明は、光学部材及びそれを用いた機器に関する。
従来より、屋外等で太陽光等の強い光や不要な光を遮ることを目的として、カメラ等の光学機器のレンズ等の先端にフードを取り付けることが行われている。例えば、フード101を取り付けたレンズ鏡筒100を図14に示す。フード101によりレンズ鏡筒100内のレンズに所定の角度から入射する斜入射光を遮断するので、結像に不要な光路を遮断し、ゴースト、フレアが生じるのを低減することができる。しかし近年の光学機器の小型化に伴い、先端にフードを取り付けることにより、光学機器の小型化が阻害されるという問題がある。
実開平6-64218号(引用文献1)は、広角端を含むズームレンズ又は広角レンズに於いて、F値を決める絞りより物体側であってかつ第1レンズ面より後方に、像面のアパーチャ形状に対し不使用となる光路を遮断するための非円形開口を有するマスキング手段を備える対物レンズを開示している。引用文献1はさらに、該マスキング手段はレンズ面に黒色塗料を直接印刷若しくは塗布したものでも良い旨記載している。
実開平6-64218号公報
しかし引用文献1の開示するマスキング手段は光の吸収性の高い黒色塗料を用いているが、やはり若干の光の反射がある。一般に、ゴースト、フレアが生じるのを低減するために、対物レンズの各レンズは表面に反射防止膜が形成されている。例えば、図15に示すようにレンズ20の表面に複数層(第1層61〜第7層66)からなる反射防止膜60を形成することができる。しかし、反射防止膜はレンズの入射媒体が空気であるとして設計されており、図15に示すようにマスキング手段としてレンズ20の反射防止膜60が形成された表面に黒色塗膜30を塗布した場合、レンズの黒色塗膜30を塗布した部分の反射防止膜が十分に機能せずに反射率が大きくなる。そのため、レンズ表面の黒色塗膜30が形成された部分での内面反射により、ゴーストやフレアが生じるという問題がある。
従って、本発明の目的は、表面の一部に遮光層を有し、かつ優れた反射防止性を有する光学系を構成する光学部材を提供することである。
また本発明の別の目的は、かかる光学部材を備えた機器を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、表面の一部に遮光層を有する光学系を構成する光学部材において、前記遮光層が形成された表面に、前記遮光層が形成された部分において光学部材の第一の反射防止層として機能し、遮光層が形成されていない部分において光学部材の第二の反射防止層として機能する反射防止構造を設けることにより、表面の一部に遮光層を有し、かつ優れた反射防止性を有する光学系を構成する光学部材を得られることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の一実施態様による光学系を構成する光学部材は、表面の一部に遮光層を有し、前記基材の前記遮光層が設けられる面に下地層を形成し、前記下地層の上に前記遮光層を形成した後、前記下地層の前記遮光層が形成されていない部分に上層を形成してなり、前記下地層は、前記遮光層が形成された部分において光学部材の第一の反射防止層として機能し、前記下地層及び前記上層は合わせて、前記遮光層が形成されていない部分において光学部材の第二の反射防止層として機能することを特徴とする。
前記下地層及び前記上層は単層又は複数層であるのが好ましく、前記下地層はアルミナ層であるのが好ましい。
本発明の別の実施態様による光学系を構成する光学部材は、表面の一部に遮光層を有し、前記基材の前記遮光層が設けられる面にアルミナ層を形成し、前記アルミナ層の上に前記遮光層を形成した後、前記アルミナ層の前記遮光層が形成されていない部分に微細凹凸構造を付与する処理を施してなり、前記アルミナ層は、前記遮光層が形成された部分において光学部材の第一の反射防止層として機能し、前記微細凹凸構造を有するアルミナ層は、前記遮光層が形成されていない部分において光学部材の第二の反射防止層として機能することを特徴とする。
本発明のさらに別の実施態様による光学系を構成する光学部材は、表面の一部に遮光層を有し、前記基材の前記遮光層が設けられる面にアルミナ層を形成し、前記アルミナ層に微細凹凸構造を付与する処理を施した後、前記微細凹凸構造を有するアルミナ層の上に前記遮光層を形成し、前記微細凹凸構造を有するアルミナ層の前記遮光層が形成されていない部分に上層を形成してなり、前記微細凹凸構造を有するアルミナ層は、前記遮光層が形成された部分において光学部材の第一の反射防止層として機能し、前記微細凹凸構造を有するアルミナ層及び前記上層は合わせて、前記遮光層が形成されていない部分において光学部材の第二の反射防止層として機能することを特徴とする光学部材。
前記遮光層は光学系における不要光路を遮断するように形成されているのが好ましく、黒色塗膜であるのが好ましい。前記光学部材はレンズ又はフィルタであるのが好ましく、最表面に撥水性又は撥水撥油性を有する膜を有するのが好ましい。
本発明の機器は前記光学部材を備えていることを特徴とする。前記光学部材は機器の光が入射する側の最外レンズであるのが好ましい。
本発明の一実施例による光学部材を示す断面図である。 図1に示す光学部材の製造工程を示す図である。 本発明の別の実施例による光学部材を示す断面図である。 本発明のさらに別の実施例による光学部材を示す断面図である。 図4に示す光学部材の製造工程を示す図である。 本発明のさらに別の実施例による光学部材を示す断面図である。 図6に示す光学部材の製造工程を示す図である。 本発明の光学部材を備えたレンズ鏡筒の一例を示す模式図である。 図8のレンズ鏡筒に取り付けられる光学部材を示す図であり、(1) は正面図であり、(2) は断面図である。 実施例1の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 実施例2の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 実施例3の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 比較例1の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 従来のレンズ鏡筒の一例を示す図である。 従来の光学部材の一例を示す図である。
[1] 第一の実施態様
本発明の一実施例による光学部材1を図1に示す。図1に示す光学部材1は、基材2と、基材2の表面に形成された下地層4と、下地層4の一部に形成された遮光層3と、下地層4の遮光層3が形成されていない部分に形成された上層5とを有する。上層5は下地層4上に順に形成された五層の上層膜51〜55からなる。下地層4は、遮光層3が形成された部分において光学部材1の第一の反射防止層として機能する。下地層4及び上層5からなる六層の複合層6は遮光層3が形成されていない部分において光学部材1の第二の反射防止層として機能する。
本実施例では遮光層3は光学部材1の一方の表面に設けられているが、本発明はこれに限らず、光学部材1の両面に遮光層3を設けても良い。また光学部材1の遮光層3が設けられていない面には一般的な反射防止膜を形成しても良い。
(1) 基材
基材2は光学系を構成する光学部材に用いられるものであれば、特に限定されないが、レンズや保護フィルタ等のフィルタであるのが好ましい。基材2の形状は特に限定されず、板状、凹レンズ、凸レンズ、プリズム等の種々の形状のものが挙げられる。
基材2の材料は、各光学機器に応じて公知のものが適宜使用可能であり、例えば青板ガラス、白板ガラス、S-FSL5(オハラ製)、S-BSL7(オハラ製)、S-LAL18(オハラ製)、S-LAH66(オハラ製)、S-TIH53(オハラ製)等のガラス基材、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂等の樹脂基板アクリル、ゼオネックス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の一般的な樹脂材料を用いることができる。
(2) 下地層
下地層4は、遮光層3が形成された部分において光学部材1の第一の反射防止層として機能し、かつ遮光層3が形成されていない部分において光学部材1の第二の反射防止層として機能する複合層6の第一層となる。下地層4は基材2及び遮光層3の屈折率に応じて適宜選択可能であるが、アルミナ層であるのが好ましい。アルミナは、高密着性を有するとともに、幅広い波長帯域で高透過性を有し、高硬度で耐摩耗性に優れ、真空蒸着装置で成膜できるため、コストパフォーマンスがいいという利点がある。またアルミナは水蒸気に対する遮蔽性に優れるため、基材の材質が光学ガラスである場合の基材表面のヤケを防止することができる。
下地層4は10〜200 nmの物理膜厚を有しているのが好ましい。下地層4がアルミナ層である場合、アルミナ層の膜厚が10 nm未満の場合は耐湿性が十分ではなく、膜厚が200 nmを越えても耐湿性は殆ど向上しない。下地層4の物理膜厚は20〜190 nmであるのがより好ましい。
アルミナ層の材料は純度99.99%の高純度アルミナであるのが好ましいが、酸化アルミニウムを主成分とし、コバルト,クロム,銅,鉄などの酸化物等の他の材料を含んでいても良い。
(3) 遮光層
遮光層3は光(主に可視光)を遮断するものであれば特に限定されないが、コールタール、コールタールピッチ、黒色顔料、黒色染料、カーボンブラック等の光の吸収率の高い材料を含有する黒色塗膜であるのが好ましい。また遮光層3として、例えば特許第567477号に開示されているように黒色顔料が樹脂に分散してなる遮光塗膜を用いても良い。遮光層の厚さは3μm以上であるのが好ましく、20〜200μmであるのがより好ましい。
(4) 上層
上層5は、基材2及び下地層4の屈折率に応じて適宜設計可能であるが、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層してなる多層膜であるのが好ましい。高屈折率層は屈折率1.7〜2.5であるのが好ましく、TiO2、Nb2O5、CeO2、Ta2O5、Y2O3、Pr6O11、ZrO2又はそれらの混合物又は化合物を用いることができる。低屈折率層は屈折率1.30〜1.50であるのが好ましく、MgF2又はMgF2とSiO2、CaF2又はLiFとの混合物又は化合物を用いることができる。
本実施例では上層5は五層構成になっているが、本発明はそれに限らず、単層でも良く、基材2及び下地層4の屈折率に応じて層数は適宜選択可能である。また上層5の各層の膜厚も基材2、下地層4及び上層5の層数及び屈折率に応じて、シミュレーション等により適宜設計できる。
(5) 任意層
光学部材1の最表面にさらに撥水性又は撥水撥油性を有する膜を形成しても良い。撥水性又は撥水撥油性を有する膜の材料としてはフッ素を含有する無機又は有機の化合物、フッ素を含有する有機−無機ハイブリッドポリマー、フッ化ピッチ[例えばCFn(n:1.1〜1.6)]、フッ化グラファイト等が挙げられる。その他、保護層や帯電防止層等も用途に応じて適宜設けることができる。
(6) 製造工程
この実施例による光学部材1の製造工程の一例を図2に示す。基材2の表面に下地層4を形成する(工程(1))。下地層4は真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法により形成するのが好ましい。下地層4は基材2の遮光層3を設ける面全体に形成するのが好ましいが、その表面における光路に当たる部分にのみ形成しても良い。
下地層4の一部に遮光層3を形成する(工程(2))。遮光層3を形成する部分は、光学系において不要な光路を遮断する位置にあるのが好ましい。遮光層3の形成方法は特に限定されないが、黒色塗料を下地層4の表面にスピンコート,スプレー等により直接塗布するか、スクリーン印刷等の印刷を行うのが好ましい。それにより下地層4の表面の所定の部分に遮光層3を簡便に形成することができる。黒色塗料をスプレーにより下地層4の表面に塗布する場合、遮光層3を設けない部分を耐熱性マスキングテープによりマスクし、スプレーにより黒色塗料を面全体に均一に塗布した後、恒温槽等で熱処理を施して、下地層4の表面に遮光層3を設けても良い。
下地層4の遮光層3が形成されていない部分に上層5を形成する(工程(3))。上層5の各層は真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法により形成しても良いが、ゾルゲル法等の液相法により形成しても良い。上層5を形成する際、必要であれば遮光層3を治具等によりマスクしても良い。
[2] 第二の実施態様
本発明の別の実施例による光学部材1を図3に示す。図3に示す光学部材1は、基材2と、基材2の表面に形成された三層の下地層膜41〜43からなる下地層4と、下地層4の一部に形成された遮光層3と、下地層4の遮光層3が形成されていない部分に形成された五層の上層膜51〜55からなる上層5とを有する。下地層4は、遮光層3が形成された部分において光学部材1の第一の反射防止層として機能する。下地層4及び上層5からなる八層の複合層6は遮光層3が形成されていない部分において光学部材1の第二の反射防止層として機能する。
本実施態様は下地層4が三層の下地層膜41〜43からなる以外は、第一の実施態様と同じである。第一の実施態様と共通する部分については説明を省略する。
下地層4の層構成は、基材2及び遮光層3の屈折率に応じて適宜設計可能であるが、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層してなる多層膜であるのが好ましい。高屈折率層は屈折率1.70〜2.5であるのが好ましく、TiO2、Nb2O5、CeO2、Ta2O5、Y2O3、Pr6O11、ZrO2又はそれらの混合物又は化合物を用いることができる。低屈折率層は屈折率1.30〜1.50であるのが好ましく、MgF2又はMgF2とSiO2、CaF2又はLiFとの混合物又は化合物を用いることができる。
本実施例では下地層4は三層構成になっているが、本発明はそれに限らず、基材2及び遮光層3の屈折率に応じて層数は適宜選択可能である。また下地層4の各層の膜厚も基材2及び遮光層3の層数及び屈折率に応じて、シミュレーション等により適宜設計できる。
[3] 第三の実施態様
本発明のさらに別の実施例による光学部材1を図4に示す。図4に示す光学部材1は、基材2と、基材2の表面に形成されたアルミナ層4と、アルミナ層4の一部に形成された遮光層3とを有し、アルミナ層4の遮光層3が形成されていない部分には微細凹凸構造40が設けられている。アルミナ層4は、遮光層3が形成された部分において光学部材1の第一の反射防止層として機能する。微細凹凸構造40を有するアルミナ層4は遮光層3が形成されていない部分において光学部材1の第二の反射防止層として機能する。本実施態様の上記実施態様と共通する部分については説明を省略する。
微細凹凸構造40は複数の微細凸部が使用する光の波長以下の二次元周期で配置されているのが好ましい。微細凸部を使用する光の波長以下の周期で二次元配置すると、微細凹凸構造40は、入射媒質の屈折率とアルミナ層4の屈折率との中間的な屈折率を有する反射防止膜としても機能する。また微細凹凸構造40の微細凸部は錐状であるのが好ましい。複数の錐状の凹凸構造を形成し、入射媒質からアルミナ層4にかけて屈折率を緩やかに変化させることにより、入射媒質と光学部材1の界面での反射光を低減することができる。
この実施例による光学部材1の製造工程の一例を図5に示す。基材2の表面にアルミナ層4を形成する(工程(1))。アルミナ層は真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法により形成しても良いが、ゾルゲル法等の液相法により形成するのが好ましい。ゾルゲル法によりアルミナの水和物を主成分とするアルミナゾルを形成することにより、後述の温水処理等による微細凹凸構造の形成が容易になる。アルミナ層4の一部に遮光層3を形成する(工程(2))。
アルミナ層4の遮光層3が形成されていない部分に微細凹凸構造40を付与する処理を施す(工程(3))。微細凹凸構造40を付与する処理は、温水処理であるのが好ましい。例えば、アルミナ層4及び遮光層3が形成された基材2を60℃以上100℃以下の温水に20〜120分含浸させることにより、アルミナ層4の遮光層3が形成されていない部分に微細凹凸構造40が形成される。
[4] 第四の実施態様
本発明のさらに別の実施例による光学部材1を図6に示す。図6に示す光学部材1は、基材2と、基材2の表面に形成された微細凹凸構造40が設けられたアルミナ層4と、アルミナ層4の一部に形成された遮光層3と、アルミナ層4の遮光層3が形成されていない部分に形成された微細凹凸構造40の隙間に充填された中間膜7及び中間膜7上に形成された上膜8からなる上層5とを有する。アルミナ層4は、遮光層3が形成された部分において光学部材1の第一の反射防止層として機能する。アルミナ層4及び上層5からなる複合層6は遮光層3が形成されていない部分において光学部材1の第二の反射防止層として機能する。本実施態様の上記実施態様と共通する部分については説明を省略する。
上膜8は屈折率1.10〜1.36の超低屈折率層であるのが好ましい。微細凹凸構造40はアルミナ層4の屈折率を低下させる機能を有するので、上膜8を超低屈折率層にすることにより、入射媒質に向けて光学部材1の屈折率を徐々に小さくしていくことができる。上膜8の材料は特に限定されないが、シリカエアロゲル,メソポーラスシリカ等の多孔質膜からなるのが好ましい。
中間膜7の材料は、上膜8と同じ材料でも良いが、上膜8よりも屈折率が0.10〜0.17高い材料であっても良い。これにより、入射媒質に向けて光学部材1の屈折率を段階的に小さくしていくことができる上に、アルミナ層4の微細凹凸構造40の保護膜としても機能し得る。中間膜7の材料はメソポーラスシリカ等が挙げられる。中間膜7及び上膜8の屈折率や膜厚は、微細凹凸構造40を備えたアルミナ層4及び基材2の屈折率に応じて適宜設定可能である。
本実施例では上層5は中間膜7及び上膜8からなるが、本発明はこれに限らず、中間膜7及び上膜8を一体的に上膜8の材料で形成しても良く、三層以上の層構成にしても良い。上層5の層構成や膜厚は微細凹凸構造40を備えたアルミナ層4及び基材2の屈折率に応じて、シミュレーション等により適宜設計することができる。
この実施例による光学部材1の製造工程の一例を図7に示す。基材2の表面にアルミナ層4を形成した後(工程(1))、微細凹凸構造40を付与する処理を施す(工程(2))。微細凹凸構造40を備えたアルミナ層4の一部に遮光層3を形成する(工程(3))。アルミナ層4の遮光層3が形成されていない部分に中間膜7を形成した後(工程(4))、中間膜7の上に上膜8を形成する(工程(5))。中間膜7及び上膜8は真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法により形成しても良いが、ゾルゲル法等の液相法により形成しても良い。
[5] 機器
本発明の光学部材はカメラ、双眼鏡、顕微鏡等の光学機器や、複写機、プロジェクタ等のOA機器等の種々の機器に好適に用いることができる。また本発明によれば、かさばるフードを用いることなく不要な光路を遮断してゴーストやフレアの発生を押させることができるので、携帯電話等の小型機器に備え付けられたカメラレンズ等にも適用できる。
本発明の光学部材1を備えたレンズ鏡筒10の一例を図8に示す。図9は図8のレンズ鏡筒10に備えられた光学部材1を示す。図8に示すレンズ鏡筒10は、光が入射する側の最外レンズ1の入光側の表面に遮光層3が設けられている。このようにレンズ鏡筒等の機器の入光側の最表面に遮光層を設けることにより、結像に不要な光が機器内に入るのを確実に防ぐことができる。遮光層3は結像する形状に合わせて矩形の開口部を有するように形成されているのが好ましい。
遮光層3はレンズ鏡筒等の機器の光が入射する側の最外レンズの裏面に設けても良い。それにより遮光層3が外部と接触しない上に、遮光層3は第一の反射防止層を介して最外レンズ(光学部材1)に形成されているので、機器に入射する光の吸収率が高くなる。
また本発明の光学部材は、カメラのレンズ鏡筒等に用いる保護フィルタであっても良い。それにより、取り外し可能である上に、レンズ鏡筒等の機器の光が入射する側に遮光層3を配置することができるので、結像に不要な光が機器内に入るのを確実に防ぐことができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
図1に示す光学部材1を以下の通り製造した。屈折率1.760のS-LAM54(株式会社オハラ製)からなるガラス平板(基材2)上に、真空蒸着法により物理膜厚84.9 nmのアルミナ層4を成膜し、耐熱性マスキングテープによりマスクし、スピンコート法によりオリジン電気株式会社製の遮光塗料(屈折率1.60、吸収係数0.25)を面全体に均一に塗布した後、恒温槽にこのレンズを浸漬し、80℃で30分間加熱した後、120℃で1時間加熱し、膜厚約30μmの遮光層3を形成した。遮光層3をテフロン(登録商標)製の冶具を覆い、真空蒸着法により表1に示す上層膜51〜55をこの順に成膜し、上層5を形成した。
Figure 2017107011
実施例2
図3に示す光学部材1を以下の通り製造した。実施例1と同じガラス平板(基材2)上に、真空蒸着法により表2に示す下地層膜41〜43をこの順に成膜し、下地層4を形成した。下地層4の上に実施例1と同様の方法で遮光層3を形成した。遮光層3をテフロン(登録商標)製の冶具を覆い、真空蒸着法により表2に示す上層膜51〜55をこの順に成膜し、上層5を形成した。
Figure 2017107011
実施例3
図4に示す光学部材1を以下の通り製造した。実施例1と同じガラス平板(基材2)上に、ゾルゲル法により物理膜厚84.9 nmのアルミナ層4を成膜した。アルミナ層4の上に実施例1と同様の方法で遮光層3を形成した。この基材2を70℃の温水に30分間浸漬し、アルミナ層4の遮光層3が形成されている部分に微細凹凸構造40を形成した。
実施例4
図6に示す光学部材1を以下の通り製造した。実施例1と同じガラス平板(基材2)上に、ゾルゲル法により物理膜厚84.9 nmのアルミナ層4を成膜した後、70℃の温水に30分間浸漬し、アルミナ層4に微細凹凸構造40を形成した。アルミナ層4の上に実施例1と同様の方法で遮光層3を形成した。アルミナ層4の微細凹凸構造40を形成した部分にスピンコート法により屈折率1.32のメソポーラスシリカ膜からなる中間膜7を形成し、その上にスピンコート法により屈折率1.15のメソポーラスシリカ膜からなる上膜8を形成した。
比較例1
図15に示す光学部材を以下の通り製造した。実施例1と同じガラス平板(基材20)上に、真空蒸着法により表3に示す第1層61〜第7層67をこの順に成膜し、反射防止膜60を形成した。反射防止膜60の上に実施例1と同様の方法で遮光層30を形成した。
Figure 2017107011
(目視試験)
実施例1〜4及び比較例1の光学部材1に対して、図1に示すように、可視域の波長範囲400〜700 nmの光を遮光層3が形成されていない部分に垂直に反射防止層側から光を入射させたとき(入射光A)の光の反射と、基材2の遮光層3が形成されている部分に基材側から垂直に光を入射させたとき(入射光B)の光の反射をそれぞれ目視で確認した。その結果を表4に示す。
Figure 2017107011
実施例1〜4の光学部材1では光の反射は確認できなかったが、比較例1の光学部材1では入射光Bの(遮光層3が形成されている部分に基材2側から垂直に光を入射させたときの)光の反射が確認できた。
(シミュレーション試験)
実施例1〜3及び比較例1の光学部材1について、可視域の波長範囲350〜800 nmの入射光Aを入射させたときの分光反射率R1と、入射光Bを入射させたときの分光反射率R2とをそれぞれシミュレーションにより求めた。入射媒体の屈折率は1.000とした。得られた結果を図10〜13に示す。また可視域の波長範囲400〜700 nmにおける分光反射率R1及びR2の平均値を表5に示す。
Figure 2017107011
図10〜13及び表5に示すように、実施例1〜3の光学部材1では入射光A及び入射光Bの分光反射率はいずれも低かったが、比較例1の光学部材1では入射光B(遮光層3が形成されている部分に基材2側から垂直に光を入射させたとき)の分光反射率が高かった。
1・・・光学部材
2・・・基材
3・・・遮光層
4・・・下地層(アルミナ層)
40・・・微細凹凸構造
5・・・上層
6・・・複合層
7・・・中間膜
8・・・上膜
10・・・レンズ鏡筒

Claims (13)

  1. 基材表面の一部に遮光層を有する光学系を構成する光学部材において、
    前記基材の前記遮光層が設けられる面に下地層を形成し、前記下地層の上に前記遮光層を形成した後、前記下地層の前記遮光層が形成されていない部分に上層を形成してなり、
    前記下地層は、前記遮光層が形成された部分において光学部材の第一の反射防止層として機能し、
    前記下地層及び前記上層は合わせて、前記遮光層が形成されていない部分において光学部材の第二の反射防止層として機能することを特徴とする光学部材。
  2. 前記下地層及び前記上層は単層又は複数層であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記下地層はアルミナ層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部材。
  4. 基材表面の一部に遮光層を有する光学系を構成する光学部材において、
    前記基材の前記遮光層が設けられる面にアルミナ層を形成し、前記アルミナ層の上に前記遮光層を形成した後、前記アルミナ層の前記遮光層が形成されていない部分に微細凹凸構造を付与する処理を施してなり、
    前記アルミナ層は、前記遮光層が形成された部分において光学部材の第一の反射防止層として機能し、
    前記微細凹凸構造を有するアルミナ層は、前記遮光層が形成されていない部分において光学部材の第二の反射防止層として機能することを特徴とする光学部材。
  5. 基材表面の一部に遮光層を有する光学系を構成する光学部材において、
    前記基材の前記遮光層が設けられる面に微細凹凸構造を形成し、前記微細凹凸構造の上に前記遮光層を形成し、前記微細凹凸構造の前記遮光層が形成されていない部分に上層を形成してなり、
    前記微細凹凸構造は、前記遮光層が形成された部分において光学部材の第一の反射防止層として機能し、
    前記微細凹凸構造及び前記上層は合わせて、前記遮光層が形成されていない部分において光学部材の第二の反射防止層として機能することを特徴とする光学部材。
  6. 前記微細凹凸構造は、前記基材の前記遮光層が設けられる面にアルミナ層を形成し、前記アルミナ層に微細凹凸構造を付与する処理を施してなることを特徴とする請求項5に記載の光学部材。
  7. 前記微細凹凸構造は、前記基材の前記遮光層が設けられる面に前記微細凹凸構造を有する樹脂層を設けてなることを特徴とする請求項5に記載の光学部材。
  8. 前記遮光層は光学系における不要光路を遮断するように形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学部材。
  9. 前記遮光層は黒色塗膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学部材。
  10. レンズ又はフィルタであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学部材。
  11. 最表面に撥水性又は撥水撥油性を有する膜を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学部材。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の光学部材を具備することを特徴とする機器。
  13. 前記光学部材は光が入射する側の最外レンズであることを特徴とする請求項12に記載の機器。
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