JP7296696B2 - 広角レンズユニットおよびカメラモジュール - Google Patents

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Description

本発明は、特に自動車等の車両に搭載される車載カメラに設けられる膜付きレンズ、レンズユニットおよびカメラモジュールに関する。
近年、自動車に車載カメラを搭載し、駐車をサポートしたり、画像認識により衝突防止を図ったりすることが行なわれており、さらにそれを自動運転に応用する試みもなされている。また、このような車載カメラ等のカメラモジュールは、一般に、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒と、レンズ群の少なくとも一個所のレンズ間に配置される絞り部材とを有するレンズユニットを備える(例えば、特許文献1参照)。
このようなレンズユニットを構成するレンズの表面には、一般に、その透過率を高めるために反射防止膜(ARコーティング)が設けられる。また、特に、車載カメラに使用されるレンズユニットにおいて、鏡筒の物体側の端部に設けられて鏡筒から露出するレンズには、雨天時にその表面に水滴が付着する場合があることから、一般に、反射防止膜上に撥水膜が例えば蒸着によって設けられる。
特開2013-231993号公報
ところで、物質にはその固有の屈折率によって反射率の入射角度依存性が存在する。したがって、反射防止膜にもその固有の屈折率に伴って反射率の入射角度依存性がある。
従来の反射防止膜は、一般に、多数の層が積層されて成る多層膜として構成されていることから、その大きい膜厚に起因して、反射率の入射角度依存性が悪い。そのため、入射角度が大きくなるレンズの周辺で入射光量が減少し、結果として周辺光量比が悪くなって、フレア(ゴースト)が発生し易くなる。
レンズの広角化が進む近年においては、このような周辺光量の減少に対する対策が急務である。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、反射率の入射角度依存性が良く周辺光量の増大に寄与し得る反射防止膜を有する膜付きレンズ、レンズユニットおよびカメラモジュールを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、鏡筒に設けられるとともに、物体側を向くレンズ表面と、結像側を向くレンズ裏面とを有し、少なくとも前記レンズ表面上に反射防止膜が形成されてなる膜付きレンズであって、
前記反射防止膜は、前記レンズ表面の少なくとも周辺部で高耐熱反射防止膜として設けられることを特徴とする。
上記構成において、「高耐熱反射防止膜」は、該反射防止膜中の体積率が5~74%である複数の無機粒子と、体積率が0~65%である複数の空気層と、前記無機粒子または前記無機粒子および前記空気層をバインディングし、前記無機粒子よりも低いヤング率を有し、体積率が5~95%である、有機化合物、無機化合物および無機高分子のいずれかと、を備える。あるいは、「高耐熱反射防止膜」は、空隙を有する微粒子積層薄膜からなり、この微粒子積層薄膜は、電解質ポリマーおよび微粒子が交互に吸着され、アルコール性シリカゾル生成物を接触させることにより、前記レンズと前記微粒子および前記微粒子同士が結合している。
本発明においては、レンズ表面の少なくとも周辺部に高耐熱反射防止膜が設けられているため、前述の目的を効果的且つ効率的に実現できる。すなわち、高耐熱反射防止膜は、屈折率が低く、反射率が極めて低いとともに、反射率の入射角度依存性が良いため、レンズ周辺光量の増大に大きく寄与し得る(したがって、広角レンズに好適である)。したがって、良好な反射防止特性を実現して、高い光透過率を得ることができる。加えて、高耐熱反射防止膜は、レンズの熱変形にも追従できる耐熱性の優れた性質を有するため、ガラスレンズはもとより、温度変化によって膨張収縮し易い樹脂レンズにも好適である。
本発明の上記構成において、反射防止膜は、レンズ表面の中央で多層構造を成す略円形状の多層反射防止膜として設けられ、この多層反射防止膜の周囲に高耐熱反射防止膜が環状に設けられることが好ましい。この構成によれば、光量の減少が大きくなるレンズ周辺部で特に反射率を小さくできるため、周辺光量の増大を効率的に実現できる。
また、本発明の上記構成では、高耐熱反射防止膜がレンズ表面の全面にわたって設けられることが好ましい。この構成によれば、レンズ周辺光量の増大はもとより、レンズ全体にわたって反射率を低く抑えて、高い光透過率を得ることができ、特に広角レンズに適した優れた所望の光学特性を得ることができる。
また、本発明の上記構成では、レンズ裏面にも高耐熱反射防止膜が設けられることが好ましい。この構成によれば、より優れた周辺光量比の改善を図ることができる。
また、本発明の上記構成では、ウレタン樹脂材料の保護膜が高耐熱反射防止膜上に設けられることが好ましい。これによれば、耐擦傷性に弱い高耐熱反射防止膜を保護膜によって保護することができ、膜強度を高めることができる。しかも、ウレタン樹脂材料(例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂)は、擦傷等の変形を所定の温度範囲で自己修復する機能を有し、外部応力(傷や熱膨張等)に追随できるとともに、透明性を有し、水系であり、常温で反応できることから、高耐熱反射防止膜の成膜工程(例えば浸漬工程)に組み込み易く、有益である。また、ウレタン樹脂を高分子化(例えば架橋構造化)することによって耐薬品性の向上を図ることもできる。
また、本発明は、前記膜付きレンズを有するレンズユニット、および、このレンズユニットを有するカメラモジュールも提供する。このようなレンズユニットおよびカメラモジュールによっても前述した膜付きレンズと同様の作用効果を得ることができる。
本発明の膜付きレンズ、レンズユニットおよびカメラモジュールによれば、レンズ表面の少なくとも周辺部に高耐熱反射防止膜が設けられているため、反射率の入射角度依存性が良く、周辺光量の増大に寄与し得る。
本発明の一実施の形態に係るレンズユニットの概略断面図である。 図1のレンズユニットのレンズに設けられる高耐熱反射防止膜および比較例の反射防止膜の概略的な膜構造を示す膜設計表である。 図2の表に示される各反射防止膜の反射率と入射光波長(0°(光軸方向)入射)との間の関係を示す分光特性図である。 図2の表に示される各反射防止膜の反射率と入射光波長(60°入射)との間の関係を示す分光特性図である。 高耐熱反射防止膜が形成されて成るレンズの要部拡大断面図である。 高耐熱反射防止膜が形成されて成るレンズの変形例に係る要部拡大断面図である。 他の高耐熱反射防止膜を示す図であり、シリカゾルの塗布に伴う微粒子間の結合の様子を示した概念図である。 高耐熱反射防止膜の成膜形態の変形例を示すレンズの概略断面図である。 図8のレンズのA-A方向矢視図である。 図8のレンズに設けられる高耐熱反射防止膜および比較例の反射防止膜の概略的な膜構造を示す膜設計表である。 図10の表に示される各反射防止膜の反射率と入射光波長(0°(光軸方向)入射)との間の関係を示す分光特性図である。 図10の表に示される各反射防止膜の反射率と入射光波長(60°入射)との間の関係を示す分光特性図である。 図1のレンズユニットを備えるカメラモジュールの概略断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下で説明される本実施の形態のレンズユニットは、特に車載カメラ等のカメラモジュール用のものであり、例えば、自動車の外表面側に固定して設置され、配線は自動車内に引き込まれてディスプレイやその他の装置に接続される。なお、以下で説明する図1,8,13において複数のレンズについてはハッチングを省略している。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズユニット11を示している。図示のように、本実施の形態のレンズユニット11は、例えば樹脂製または金属製の円筒状の鏡筒(バレル)12と、鏡筒12の段付きの内側収容空間S内に配置される複数のレンズ、例えば、第1のレンズ13、第2のレンズ14、第3のレンズ15、第4のレンズ16および第5のレンズ17から成る5つのレンズと、図示しない絞り部材とを備えている。絞り部材は、透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。このようなレンズユニット11を備える車載カメラは、レンズユニット11と、図示しないイメージセンサを有する基板と、当該基板を自動車等の車両に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
鏡筒12に固定されて支持されている複数のレンズ13,14,15,16,17は、それぞれの光軸を一致させた状態で配置されており、1つの光軸Oに沿って各レンズ13,14,15,16,17が並べられた状態となって、撮像に用いられる一群のレンズ群Lを構成している。このうち、最も結像側(内側収容空間Sの最も内奥側)に位置される2つの第4および第5のレンズ16,17は例えば貼り合わせレンズである。
鏡筒12の物体側の端部(図1において上端部)には、当該端部を径方向内側にカシメてなるカシメ部23が設けられており、このカシメ部23によってレンズ群Lの最も物体側に位置される第1のレンズ13が鏡筒12の物体側の端部に固定されている。
また、鏡筒12の結像側(像面側)の端部(図1において下端部)には、第5のレンズ17よりも径の小さい開口部を有する内側フランジ部24が設けられている。この内側フランジ部24とカシメ部23とにより、鏡筒12内にレンズ群Lを構成する複数のレンズ13、14、15、16,17と絞り部材とが保持されている。
最も物体側に位置される第1のレンズ13の外周面には、当該レンズ13の像面側部分に径が小さくなった縮径部が設けられ、当該縮径部にシール部材としてのOリング26が設けられ、レンズ13の外周面と鏡筒12の内周面との間を、鏡筒12の物体側端部で封止した状態となっている。これにより、レンズユニット11の物体側の端部から鏡筒12内に水や塵埃等の微粒子が浸入するのを防止している。
鏡筒12は、その内径および外径が物体側から像面側に向かって段階的に小さくなっている。すなわち、鏡筒12は、第1および第2のレンズ13,14を収容保持する大径部12Aと、第3~第5のレンズ15,16,17を収容保持する小径部12Bとを有する。また、このような鏡筒12の段付き形状に対応して、レンズ13,14,15,16,17は、物体側から像面側に向かうにつれて、外径が小さくなっている。基本的に、レンズ13,14,15,16,17それぞれの外径と、鏡筒12の各レンズ13,14,15,16,17が支持(保持)される部分それぞれの内径とが略等しくなっている。なお、鏡筒12の外周面には、鏡筒12を車載カメラに設置する際に用いられる外側フランジ部25が鏡筒12の外周面に鍔状に設けられている。
また、本実施の形態において、レンズ群Lの最も物体側に位置される第1のレンズ13は、物体側を向くレンズ表面13aと、結像側を向くレンズ裏面13bとを有し、少なくともレンズ表面13a上に反射防止膜30が形成されて成る膜付きレンズとなっている。なお、以下では、膜付きレンズとしての第1のレンズ13についてその成膜形態について説明するが、レンズ群Lを構成する他のレンズ14,15,16,17が同様又は類似の成膜形態を有する膜付きレンズとして形成されてもよい。
本実施の形態において、第1のレンズ13のレンズ表面13a上に形成される反射防止膜30は、レンズ表面13aの全面にわたって高耐熱反射防止膜として設けられる。また、本実施の形態では、第1のレンズ13のレンズ裏面13bにも高耐熱反射防止膜30が設けられる。また、レンズ表面13aに設けられる高耐熱反射防止膜30上には保護膜50が更に形成される。
第1のレンズ13のレンズ表面13aおよびレンズ裏面13bに形成される高耐熱反射防止膜30は、該反射防止膜30中の体積率が5~74%である複数の無機粒子と、体積率が0~65%である複数の空気層と、前記無機粒子または前記無機粒子および前記空気層をバインディングし、前記無機粒子よりも低いヤング率を有し、体積率が5~95%である、有機化合物、無機化合物および無機高分子のいずれかと、を備えている。以下、これについて詳しく説明する。
図5は、高耐熱反射防止膜30が形成されて成る第1のレンズ13の光入射面付近の要部拡大断面図である。図示のように、高耐熱反射防止膜30は、無機粒子31と、バインダ32とを含む。無機粒子31の粘弾性はバインダ32の粘弾性と異なる。具体的には、無機粒子31のヤング率は50GPa以上である。バインダ32のヤング率は5GPa以下である。
高耐熱反射防止膜30は、異なる粘弾性を有する複数の組成物を含有する。そのため、高耐熱反射防止膜30は、高い強度と高い可撓性とを有する。バインダ32のヤング率は低いため、高耐熱反射防止膜30の可撓性が高くなる。そのため、仮にレンズ13が熱により膨張しても、高耐熱反射防止膜30は割れにくい。一方、無機粒子31のヤング率は50GPa以上である。無機粒子31は、高耐熱反射防止膜30の強度を向上し、高耐熱反射防止膜30の表面に傷が形成されるのを抑制する。
バインダ32は、光透過性を有し、複数の無機粒子31を含有する。前述のように、バインダ32のヤング率は5GPa以下である。バインダ32は、有機化合物または無機化合物である。バインダ32は例えば樹脂である。樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂、フルオロアクリレート、フッ素ポリマー等の1種または2種以上からなる。フッ素ポリマーは、例えば、フルオロオレフィン類(フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。バインダ32の屈折率は、1.35以下であり、好ましい屈折率は1.30以下である。
また、バインダ32は、無機高分子、例えば、珪素化合物あるいはその加水分解物もしくはその重縮合物であってもよい。珪素化合物は、例えば、シランカップリング剤である。シランカップリング剤は、無機粒子の表面を修飾する。これにより、有機溶媒中における無機粒子の分散安定性が向上し、無機粒子の凝集および沈降が抑制される。
無機粒子31は、例えば、無機酸化物や、無機フッ化物である。無機酸化物はたとえば、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化珪素、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化ビスマスである。無機フッ化物はたとえば、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムである。複数の無機粒子31は、上記無機酸化物および無機フッ化物の中から選択される1種または2種以上を含む。
好ましくは、無機粒子31は、酸化アルミニウムおよび/または酸化珪素である。酸化アルミニウムおよび酸化珪素の屈折率は、いずれも低い。酸化アルミニウムの屈折率は1.7~1.9であり、酸化珪素の屈折率は1.5~1.7である。そのため、高耐熱反射防止膜30の屈折率を低くすることができる。
無機粒子31の粒径が大きすぎると、無機粒子31が光を散乱しやすくなる。さらに、高耐熱反射防止膜30の膜厚にばらつきが生じる。したがって、無機粒子31の好ましい平均粒径は、100nm以下である。平均粒径の好ましい下限値は10nmである。粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による写真画像から任意に抽出された100個の無機粒子の粒径を測定し、その平均値を求めることにより決定される。
また、高耐熱反射防止膜30は空気層を含んでもよい。高耐熱反射防止膜30中の無機粒子31の体積率は、5~74%である。また、高耐熱反射防止膜30中のバインダ32の体積率は、5~95%である。高耐熱反射防止膜30中の空気層の体積率は、0~65%である。
無機粒子31の体積率が小さすぎれば、高耐熱反射防止膜30の強度が低下する。また、無機粒子31の体積率が大きすぎれば、高耐熱反射防止膜30の可撓性が低下する。一方、バインダ32の体積率が小さすぎれば、高耐熱反射防止膜30の可撓性が低下する。また、バインダ32の体積率が大きすぎれば、高耐熱反射防止膜30の強度が低下する。
無機粒子31の体積率は5~74%であり、かつ、バインダ32の体積率は5~95%であり、空気層は0~65%であれば、高耐熱反射防止膜30は可撓性および強度を有する。そのため、高耐熱反射防止膜30には傷が付きにくく、かつ、高温時にレンズが熱膨張しても、高耐熱反射防止膜30はひび割れしにくい。
高耐熱反射防止膜30は、湿式プロセスにより形成される。より具体的には、高耐熱反射防止膜30は、高耐熱反射防止膜30を構成する塗布液をレンズ13の表面に塗布することにより形成される。塗布液を塗布する方法は、たとえば、インクジェットプリンティング法、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン印刷等である。
以下、製造方法の一例として、ディップコート法により高耐熱反射防止膜を形成する方法を説明する。
高耐熱反射防止膜30の組成を含有する塗布液を準備する。塗布液で使用される溶媒はたとえば、テトロヒドラフラン(tetrahydrofuran:THF)や、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide:DMF)である。溶媒は、これらの物質に限定されない。溶媒は水でもよい。溶媒が有機溶媒である場合、好ましい有機溶媒の沸点は30℃~250℃である。有機溶媒の沸点が低すぎる場合、有機溶媒の揮発速度が速すぎる。そのため、高耐熱反射防止膜30の膜厚が均一になりにくい。一方、有機溶媒の沸点が高すぎると、有機溶媒が揮発しにくい。そのため、高耐熱反射防止膜30が形成されにくい。好ましい有機溶媒の沸点は50℃~150℃である。
塗布液の粘度及び表面張力は、低い方が好ましい。塗布液の好ましい粘度は10(mPa・s)以下であり、更に好ましくは1(mPa・s)以下である。塗布液の好ましい表面張力は70(mN/m)以下であり、更に好ましくは20(mN/m)以下である。レンズ13を挟持した挟持部材を塗布液で満たされたディップ槽から引き上げるときに、挟持部材から塗布液を速やかに排出するためである。塗布液の粘度および表面張力の物性を制御するために、塗布液に界面活性剤などを添加してもよい。
塗布液において、無機粒子31の100重量部に対するバインダ32の重量部は、1~100であり、溶媒の重量部は2000~100000である。この場合、形成された高耐熱反射防止膜30内の無機粒子31の体積率は5~70%になり、バインダ32の体積率は30~95%になる。
次に、レンズ13を挟持部材で挟持し、塗布液を入れたディップ槽に浸漬する。
次に、浸漬されたレンズ13を、一定の速度でディップ槽から引き上げる。これにより、レンズ13の表面に塗布液が塗布される。引き上げる速さは、レンズ13の表面に形成する高耐熱反射防止膜30の厚さに応じて変更される。
次に、レンズ13に塗布された塗布液を乾燥する。引き上げられたレンズ13を所定の温度でベークしてもよい。
これにより高耐熱反射防止膜30が形成される。
図6は、高耐熱反射防止膜の変形例を示している。図示のように、この変形例に係る高耐熱反射防止膜30Aは、複数の無機粒子31と、バインダ32と、複数の空気層33とを含有する。なお、本発明における高耐熱反射防止膜において、空気層33は任意の構成である。高耐熱反射防止膜30Aのその他の構成は高耐熱反射防止膜30と同じである。
高耐熱反射防止膜30A内では、無機粒子31同士が接触する。隣り合う無機粒子31の間に、空気層33が形成される。前述のように、高耐熱反射防止膜30A中の無機粒子31の体積率は、5~74%であり、70%未満でもよい。バインダ32の体積率は5~95%であり、95%未満でもよい。空気層33の体積率が大きすぎれば、高耐熱反射防止膜30Aの強度が低下する。そのため、高耐熱反射防止膜30A中の空気層33の体積率は、0~65%である。
空気層33は、例えば、前述の塗布液内の無機粒子31に対するバインダ32の比率に応じて形成される。塗布液内の無機粒子100重量部に対する好ましいバインダ32の重量部は、1~100である。この場合、塗布液を乾燥した後、高耐熱反射防止膜30A内に空気層33が形成される。
空気層33は屈折率が低いため、高耐熱反射防止膜30Aの屈折率は低下する。そのため、光の反射がさらに抑制される。
図7は、図6に示した高耐熱反射防止膜30Aを、その見方を代えてより詳細に示したものであり、基本的に、図6に示す高耐熱反射防止膜30Aと同様のものであるが、以下の説明では、図7に示す高耐熱反射防止膜を高耐熱反射防止膜30Bとしてその構造および成膜方法を説明する。この高耐熱反射防止膜30Bは空隙を有する微粒子積層薄膜からなり、この微粒子積層薄膜は、電解質ポリマーおよび微粒子が交互に吸着され、アルコール性シリカゾル生成物を接触させることにより、レンズと微粒子および微粒子同士が結合していることを特徴とする。
このような微粒子積層薄膜(高耐熱反射防止膜)30Bは、以下のようにして形成される。図7に示すように、レンズ13上には空隙64を有する微粒子積層薄膜30Bが形成される。微粒子積層薄膜30Bは、電解質ポリマー62(例えばバインダ)および微粒子63を交互に吸着させ、且つ、アルコール性シリカゾル生成物65(例えばバインダ)を介して、レンズ13と微粒子63および微粒子63と微粒子63とが結合するように構成される。以下、微粒子積層薄膜30Bの各成分について説明する。
微粒子積層薄膜30Bの形成に用いる微粒子は、溶液に分散されている状態で平均一次粒子径が、2~100nmであることが微粒子積層薄膜30Bの透明性を得るために好ましく、微粒子積層薄膜30Bの光学機能の確保の観点から、2~40nmがより好ましく、2~20nmが最も好ましい。
ここで使用し得る微粒子としては無機微粒子が挙げられる。好ましくは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウムおよびマグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物が、透明性の観点から好適に選ばれる。
ここで使用する電解質ポリマーとしては、荷電を有する官能基を主鎖または側鎖に持つ高分子を用いることができる。この電解質ポリマー溶液は、微粒子の表面電荷と反対または同じ符号の電荷の電解質ポリマーを、水、有機溶媒または水溶性の有機溶媒と水の混合溶媒に溶解したものである。
アルコール系シリカゾルとしては、4、3、2官能のアルコキシシラン、およびこれらアルコキシシラン類の縮合物、加水分解物、シリコーンワニス等が使用できる。アルコール性シリカゾル生成物は、少なくとも1種類以上の、先の一般式で表わされる低級アルキルシリケートを、メタノールおよびエタノールのうちのいずれかの中で加水分解して調製したアルコール性シリカゾルを含むことが好ましい。
また、レンズ13は、そのまま用いるか、またはそれらの表面にコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、オゾン処理、アルカリや酸等による化学的エッチング処理、シランカップリング処理等によって、極性を有する官能基を導入してレンズの表面電荷をマイナス若しくはプラスする。
ここで、空隙を有する微粒子積層薄膜30Bを生成するためには、例えば交互積層法を用いる。微粒子積層薄膜30Bは、以下の工程(1)~(3)を順に実施することにより形成できる(図4参照)。
(1)レンズ13上に、電解質ポリマー溶液または微粒子分散液のいずれかを接触または塗布する工程により、電解質ポリマー62または微粒子63の層を形成する(図7(a))。
(2)電解質ポリマー溶液を接触または塗布させた後のレンズ13上に該電解質ポリマー溶液の電解質ポリマーと反対電荷を有する微粒子の分散液を接触または塗布する工程、または微粒子分散液を接触または塗布させた後のプラスチック基材上に該微粒子分散液の微粒子と反対電荷を有する電解質ポリマーの溶液を接触または塗布する工程により、微粒子63または電解質ポリマー62の層を形成する(図7(b))。
(3)電解質ポリマー溶液または微粒子を接触または塗布させた後のレンズ13上に、アルコール性シリカゾル生成物を接触または塗布する工程により、アルコール性シリカゾル生成物65を介してレンズ13と微粒子63、および微粒子63同士を結合させる(図7(c))。上述のような高耐熱反射防止膜30、30A、30Bは、125℃以上の耐熱性を有するとともに、レンズ13の熱膨張率に近い熱膨張率を有するものを選択することが好ましい。
レンズ13およびそのレンズ表面13aに形成される膜30,50の一例の詳細が図2の表の左端に本実施の形態を代表する名称「高耐熱反射防止膜」で示されている。この図に示すように、本実施の形態の第1のレンズ13の屈折率は1.77であり、このレンズ13のレンズ表面13a上に屈折率が1.30の高耐熱反射防止膜30(膜No1)が90.00nmの膜厚で形成される。また、高耐熱反射防止膜30上には、屈折率が1.47の保護膜50(膜No2)が10.0nmの膜厚で形成されている。したがって、高耐熱反射防止膜30と保護膜50とを合わせた膜全体の厚さは100.00nmとなっている。
保護膜50は、本実施の形態では、例えばモース硬度6以上の材料(例えばSiO)から形成されるとともに、後述する分光特性を良好にするために高耐熱反射防止膜30の膜厚に比べてかなり薄く設定されるが、保護膜50を軟質なウレタン樹脂材料によって形成してもよい。具体的には、そのようなウレタン樹脂は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートと水酸基含有アクリレートとを反応させることによりウレタンアクリレートを含有する樹脂を形成して得られる。高耐熱反射防止膜30は、レンズ13の熱変形にも追従できる耐熱性の優れた性質を有するため、保護膜50が硬質であるとレンズ変形時に高耐熱反射防止膜30の追従性に伴って保護膜50にクラックが生じる虞があるが、このように軟質なウレタン樹脂材料によって保護膜50を形成すれば、そのようなクラックの発生を防止できる。
また、このような高耐熱反射防止膜30および保護膜30を第1のレンズ13に成膜する1つの方法としては、例えば、前述したようにディップコートにより高耐熱反射防止膜30を第1のレンズ13のレンズ表面13a上およびレンズ裏面13b上に形成した後、レンズ13を冶具にセットしてレンズ表面13a以外をマスキングした状態で蒸着により保護膜50をレンズ表面13a上にのみ形成し、その後、レンズ表面13aおよびレンズ裏面13b以外のレンズ13の側面部位を研磨(脱膜)して、この研磨した部位に墨を塗る(遮光、ゴースト防止のための墨塗り)といった方法が挙げられる。
また、図13には、以上のような構成を成すレンズユニット11を有する本実施の形態のカメラモジュール300の概略断面図が示されている。図示のように、このカメラモジュール300は、フィルタ100が装着された図1のレンズユニット11を含んで構成される。
カメラモジュール300は、外装部品である上ケース(カメラケース)301と、レンズユニット11を保持するマウント(台座)302とを備えている。また、カメラモジュール300は、シール部材303およびパッケージセンサ(撮像素子)304を備えている。
上ケース301は、レンズユニット11の物体側の端部を露出させるとともに他の部分を覆う部材である。マウント302は、上ケース301の内部に配置されており、レンズユニット11の雄ねじ11aと螺合する雌ねじ302aを有する。シール部材303は、上ケース301の内面とレンズユニット11の鏡筒12の外周面12aとの間に介挿された部材であり、上ケース301の内部の気密性を保持するための部材である。
パッケージセンサ304は、マウント302の内部に配置されており、かつ、レンズユニット11により形成される物体の像を受光する位置に配置されている。また、パッケージセンサ304は、CCDやCMOS等を備えており、レンズユニット11を通じて集光されて到達する光を電気信号に変換する。変換された電気信号は、カメラにより撮影された画像データの構成要素であるアナログデータやデジタルデータに変換される。
以上説明したように、本実施の形態では、第1のレンズ13(および/または他のレンズ14,15,16,17)のレンズ表面13aの全体にわたって高耐熱反射防止膜30が設けられているため、特にレンズ13の周辺部の入射光量を増大させて、反射率の入射角度依存性を良好にし得る。すなわち、高耐熱反射防止膜30は、前述した構成に伴い、屈折率が低く、したがって反射率が極めて低いため、レンズ13の周辺部の入射光量を増大させ、反射率の入射角度依存性を従来と比べて向上させることができる(したがって、特に広角レンズに好適である)。
これを実証するデータが図3および図4に示される。図3および図4において、分光特性曲線L1は、高耐熱反射防止膜30および保護膜50を伴う本実施の形態の第1のレンズ13の分光特性曲線である。また、分光特性曲線L2は、図2の表中に名称「蒸着単層AR」で示される比較例1の膜付きレンズの分光特性曲線である。この比較例1の膜付きレンズは、図2の表に示すように、屈折率が1.77のレンズの表面上に屈折率が1.47の反射防止膜(通常の反射防止膜(膜No1);例えばSiO)のみが100.00nmの膜厚で形成される。また、分光特性曲線L3は、図2の表中に名称「蒸着2層AR」で示される比較例2の膜付きレンズの分光特性曲線である。この比較例2の膜付きレンズは、図2の表に示すように、屈折率が1.77のレンズの表面上に、屈折率が2.00および膜厚が27.63nmのTaまたはLaTiO(膜No1)と、屈折率が1.47および膜厚が107.45のSiO(膜No2)とが順に積層されて成る。したがって、積層膜全体の厚さは135.08nmとなっている。更に、分光特性曲線L4は、図2の表中に名称「蒸着5層AR」で示される比較例3の膜付きレンズの分光特性曲線である。この比較例3の膜付きレンズは、図2の表に示すように、屈折率が1.77のレンズの表面上に、屈折率が1.47のSiOと屈折率が2.00のTaまたはLaTiOとの交互層が2つ順に所定の厚さ(表2参照)でそれぞれ積層された後、最外表面に屈折率が1.47および膜厚が92.56nmのSiOが蒸着されて成る。したがって、積層膜全体の厚さは245.85nmとなっている。
入射角が0°(光軸方向入射)の分光特性図を示す図3および入射角が60°の分光特性図を示す図4を参照すれば明らかなように、本実施の形態に係る分光曲線L1は、いずれの入射角においても規定の入射波長範囲(420nm~650nm)内で最も良好な低い(大部分が0%~3%の)反射率を示している。これに対し、従来の成膜形態を伴うレンズに係る比較例4の分光曲線L4は、規定の入射波長範囲(420nm~650nm)内で、特に60°の入射角(レンズの周辺部)で高い反射率を示している。また、比較例2,3は、本実施の形態に係る分光曲線L1と比較例4の分光曲線L4との間のほぼ中間の成績を示している。なお、本実施の形態に係る分光曲線L1と比較例2の分光曲線L2は、いずれも膜厚が100.00nmと同じであるが、膜厚が同じでも屈折率が低いと反射率が低いことをこれらのデータは示している。
また、本実施の形態では、レンズ表面13aのみならずレンズ裏面13bにも高耐熱反射防止膜30が設けられるため、より優れた周辺光量比の改善を図ることができる。
また、本実施の形態では、保護膜50が高耐熱反射防止膜30上に設けられるため、耐擦傷性に弱い高耐熱反射防止膜30を保護膜50によって保護して、膜強度を高めることができる。この場合、保護膜50をウレタン樹脂材料(例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂)により形成すると有益である。これは、ウレタン樹脂材料が、擦傷等の変形を所定の温度範囲で自己修復する機能を有し、外部応力(傷や熱膨張等)に追随できるとともに、透明性を有し、水系であり、常温で反応できることから、高耐熱反射防止膜の成膜工程(例えば浸漬工程)に組み込み易いからである。また、ウレタン樹脂を高分子化(例えば架橋構造化)することによって耐薬品性の向上を図ることもできる
図8および図9には、高耐熱反射防止膜の成膜形態の変形例が示されている。この変形例では、前述の実施の形態においてレンズ13(および/またはレンズ14,15,16,17)のレンズ表面13a上に全体にわたって形成されていた高耐熱反射防止膜30が、高耐熱反射防止膜30と多層反射防止膜70とのほぼ同心的な組み合わせ構造に置き換えられている。具体的には、この変形例において、レンズ13のレンズ表面13a上に形成される反射防止膜は、レンズ表面13aの中央に位置して多層構造を成す略円形状の多層反射防止膜50と、この多層反射防止膜50の周囲に環状に設けられる高耐熱反射防止膜30とからなる。
高耐熱反射防止膜30とその上に形成される保護膜50は、前述した実施の形態と同じであり、図10の表の左端に名称「高耐熱反射防止膜」で示されている。一方、多層反射防止膜70およびその上に形成される保護膜50は、図10の表中に名称「蒸着13層AR」で示されるように、屈折率が1.47のSiOと屈折率が2.20のTaまたはLaTiOとの交互層が6つ順に所定の厚さ(表10参照)でそれぞれ積層された後、最外表面に屈折率が1.47および膜厚が94.25nm(高耐熱反射防止膜30上の保護膜50との共通部分も含む)のSiOが蒸着されて成る。したがって、多層反射防止膜70全体の厚さは445.03nmとなっている。
この変形例によれば、光量の減少が大きくなるレンズ周辺部に特化して高耐熱反射防止膜30を設けるようにしているため、周辺光量の増大を効率的に実現することができる。これを実証するデータが図11および図12に示される。図11および図12において、分光特性曲線L5は、高耐熱反射防止膜30および保護膜50を伴う第1のレンズ13の部位の分光特性曲線である。また、分光特性曲線L6は、多層反射防止膜70を伴う第1のレンズ13の部位の分光特性曲線である。また、分光特性曲線L7は、図10の表中に名称「蒸着5層AR」で示される比較例の膜付きレンズの分光特性曲線である。この比較例の膜付きレンズは、図10の表に示されるように、屈折率が1.77のレンズの表面上に、屈折率が1.47のSiOと、屈折率が2.20のTaまたはLaTiOとの交互層が2つ順に所定の厚さ(表10参照)でそれぞれ積層された後、最外表面に屈折率が1.47および膜厚が89.78nmのSiOが蒸着されて成る。したがって、積層膜全体の厚さは238.47nmとなっている。
入射角が0°(光軸方向入射)の分光特性図を示す図11および入射角が60°の分光特性図を示す図12を参照すれば明らかなように、高耐熱反射防止膜30(分光特性曲線L5)は、特に入射角60°(レンズの周辺部)において規定の入射波長範囲(420nm~650nm)内で最も良好な低い(大部分が0%~4%の)反射率を示している。これに対し、従来の成膜形態を伴うレンズに係る比較例の分光曲線L7は、規定の入射波長範囲(420nm~650nm)内で、特に60°の入射角(レンズの周辺部)で高い反射率を示している。また、多層反射防止膜70に係る分光特性曲線L6は、高耐熱反射防止膜30に係る分光曲線L5と比較例の分光曲線L7との間のほぼ中間の成績を示している。
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、本発明において、レンズ、鏡筒などの形状は、前述した実施の形態に限定されない。また、レンズ上における高耐熱反射防止膜の形成形態は、周辺光量を増大するべく少なくともレンズ表面の周辺部に設けられてさえいれば、どのような形態であっても構わない。また、高耐熱反射防止膜を伴う貼り合わせレンズの形態が採用されてもよい。
11 レンズユニット
12 鏡筒
13,14,15,16,17 レンズ
13a レンズ表面
13b レンズ裏面
30 高耐熱反射防止膜
50 保護膜
70 多層反射防止膜
300 カメラモジュール

Claims (7)

  1. 複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群が収納される鏡筒とを備え、
    前記複数のレンズのうち、最も物体側に配置される第1のレンズは、物体側に凸形状のメニスカスレンズであり、前記第1のレンズの物体側面は外界にさらされた状態で使用される広角レンズユニットであって、
    前記第1のレンズの物体側面の少なくとも周辺部に、体積率が5~74%である複数の無機粒子と、体積率が0~65%である複数の空気層と、前記無機粒子または前記無機粒子および前記空気層をバインディングし、前記無機粒子よりも低いヤング率を有し、体積率が5~95%である、有機化合物、無機化合物および無機高分子のいずれかと、を備える高耐熱反射防止膜が設けられ、
    前記高耐熱反射防止膜上にその耐擦傷性を高める保護膜を前記高耐熱反射防止膜よりも薄い膜厚で形成したことを特徴とする広角レンズユニット。
  2. 複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群が収納される鏡筒とを備え、
    前記複数のレンズのうち、最も物体側に配置される第1のレンズは、物体側に凸形状のメニスカスレンズであり、前記第1のレンズの物体側面は外界にさらされた状態で使用される広角レンズユニットであって、
    前記第1のレンズの物体側面の少なくとも周辺部に、電解質ポリマーおよび微粒子が交互に吸着され、アルコール性シリカゾル生成物を介して、前記第1のレンズと前記微粒子および前記微粒子同士が結合されることで形成される、空隙を有する微粒子積層薄膜としての高耐熱反射防止膜が設けられ、
    前記高耐熱反射防止膜上にその耐擦傷性を高める保護膜を前記高耐熱反射防止膜よりも薄い膜厚で形成したことを特徴とする広角レンズユニット。
  3. 前記物体側面の中央には多層構造を成す円形状の多層反射防止膜が設けられ、この多層反射防止膜の周囲に前記高耐熱反射防止膜が環状に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の広角レンズユニット。
  4. 前記高耐熱反射防止膜が前記物体側面の全面にわたって設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の広角レンズユニット。
  5. 前記第1のレンズの像側面にも前記高耐熱反射防止膜が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の広角レンズユニット。
  6. 前記高耐熱反射防止膜上に設けられる前記保護膜がウレタン樹脂材料からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の広角レンズユニット。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の広角レンズユニットを備えていることを特徴とするカメラモジュール。

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