JP7299265B2 - レンズユニットおよびカメラモジュール - Google Patents

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Description

本発明は、特に自動車等の車両に搭載される車載カメラに設けられるレンズユニットおよびカメラモジュールに関する。
近年、自動車に車載カメラを搭載し、駐車をサポートしたり、画像認識により衝突防止を図ったりすることが行われており、さらに自動運転への応用が試みられている。
このような車載カメラ等のカメラモジュールは、一般的に、複数のレンズが光軸に沿って並べられた複数のレンズからなるレンズ群と、このレンズ群が収容される鏡筒と、レンズ群の少なくとも一個所のレンズ間に配置される絞り部材とを有するレンズユニットを備えている。
従来のレンズユニットの一例として、特許文献1に記載のものが知られている。このレンズユニットにおいては、4枚のレンズが、鏡筒に光軸方向をそれぞれ揃えて一列に並べられた状態に保持されている。
このようなレンズユニットは、車載カメラに使用された場合、雨天時に鏡筒から露出するレンズ面に水滴が付着する場合がある。このようなレンズ面に付着する水滴は、視認性を悪化させ、画像劣化の要因となるため、水滴付着防止のために例えば、鏡筒から露出するレンズ面(最も物体側に位置する物体側レンズの表面(外面))に撥水膜を設けることによって、レンズ面に付着した水滴を、当該レンズ面の撥水膜上を外周側に向けて流し、レンズ面に付着した水滴がその場所に留まらないようにしている。
また、この場合、レンズの撥水膜の下層には一般に予め反射防止膜(ARコーティング)が設けられ、この反射防止膜上に前記撥水膜が蒸着によって設けられている。また、反射防止膜は、レンズの表面のみならず、レンズの裏面にも蒸着等によって形成されている。
特開2013-231993号公報
ところで、とりわけ車載カメラ用のレンズユニットにおいては、高い視認性が求められ、レンズの透過率を高く維持する必要がある。しかしながら、前述したようにレンズ面に付着した水滴がその場所に留まらないように撥水膜を設けても、その撥水作用が不十分であれば、水滴の滞留を確実に防止できず、視認性の悪化は避けられない。また、温度の急激な変化などに起因して、反射防止膜が形成されているレンズの裏面に曇りが生じ、視認性が悪化する場合もある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、レンズ面での曇りや付着水滴の滞留に伴う視認性の低下を防止でき、透過率を高く維持できるレンズユニットおよびカメラモジュールを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群が収納される鏡筒とを備えるレンズユニットであって、前記レンズ群の最も物体側の第1レンズは、前記鏡筒の物体側の端部に設けられるとともに、物体側を向くレンズ表面と、像面側を向くレンズ裏面とを有し、前記レンズ表面上および前記レンズ裏面上に反射防止膜が形成され、
前記レンズ裏面には、前記反射防止膜上に親水膜が形成されていることを特徴とする。
本発明においては、レンズ裏面(反射防止膜上)に親水膜が形成されているため、レンズ裏面に付着する細かい水滴は、親水膜上を拡がって薄い水膜となり、レンズ裏面に滞留することがない。これは、レンズ裏面の防曇に寄与することができ、したがって、視認性の低下を防止できる。
また、本発明においては、親水膜の厚さが特に50nm以下と薄く設定されているため、曇りの防止のみならず、親水膜の形成に伴うレンズの透過率減少を抑制できる(透過率を高く維持できる)。これは、特に、高い視認性が求められてレンズの透過率を高く維持する必要がある車載カメラで用いられる場合に有益である。この場合、親水膜の厚さは、好ましくは5nm~50nmであり、より好ましくは10nm~30nmであり、好適には20nmである。ここで、親水膜の膜厚が5nmを下回ると、特に反射防止膜を形成してなるレンズ面(以下、レンズ表面およびレンズ裏面を含めてレンズ面と称する場合がある)に対する親水膜の付着性が安定せず、一方、親水膜の膜厚が50nmを上回ると、レンズの透過率が低下して視認性が悪くなる。
また、このような親水膜は、屈折率が低く、反射率が小さい材料であることが好ましく、レンズ裏面の全体にわたって形成されることが好ましいが、一部のみにわたって形成されてもよい。
また、親水膜は、例えば、テーピングによるマスキングを伴ってまたは伴うことなく、また、膜形成用のレンズホルダを用いてまたは用いることなく、親水膜を形成する塗料(溶液)中に反射防止膜が形成されてなるレンズを浸漬するディッピング法や、スプレー、蒸着等によって形成することもできる。特に、ディッピング法では、例えばOH基を有する材料(例えばアクリル系ポリマー樹脂)からなる親水膜を石英またはシリカガラス等からなるガラスレンズ上に形成する場合、浸漬時のガラス面上のOH基と親水膜のOH基との化学結合によって膜厚を容易に制御できるため、有益である。
また、本発明においては、レンズ面上に直接に親水膜を形成するのではなく、レンズ面(レンズ裏面)と親水膜との間に反射防止膜を介在させているため、レンズ面に対する親水膜の密着性改善に寄与し得る。すなわち、一般に、レンズ面上に直接に親水膜を形成する場合には、レンズ面と親水膜との密着性を高めるために、親水膜全体の組成をレンズのそれに適合させる必要があり、手間がかかるとともに、コストもかかるが、本発明のようにレンズ面上に反射防止膜を介して親水膜を形成する場合には、反射防止膜の一般的な成分であるSiOが反射防止膜と親水膜との界面に介在することとなるため、親水膜と反射防止膜との密着性に関する相性が良好となり、したがって、反射防止膜とガラス面との間の界面でのみ密着性向上のための組成改質等を行なうだけで済む。そのため、大きな手間やコストがかからず、親水膜を常に同じ仕様のまま使用して、同じ密着力を安定して実現できる。
なお、上記構成において、親水膜とは、親水性を有する薄膜のことであり、親水膜に対する水滴の接触角が40度以下となるものをいう。これに対し、撥水膜とは、撥水性を有する薄膜のことであり、撥水膜に対する水滴の接触角が90度以上となるものをいい、この点で親水膜と区別される。この場合、接触角の測定は、静滴法(A・half-angle・Method)を用いるものとし、膜の形成されたレンズ面に、レンズ面の影響を受けにくいように2.5マイクロリットルの水滴を滴下し、液滴の左右端点を結ぶ曲面は直線と見做して、水滴の接触角を測定するものとする。
また、上記構成において、反射防止膜とは、レンズ面上に膜を形成した場合に、レンズ面上に膜を形成しない場合と比べて反射率を抑制できる機能を有する膜をいう。
また、本発明の上記構成においては、親水膜がレンズ表面の反射防止膜上にも形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、物体側に露出するレンズ表面に付着する水滴は、親水膜上を拡がって薄い水膜となり、レンズ表面に滞留することがない。したがって、視認性の低下を防止できる。また、前述したように、親水膜の厚さが特に50nm以下と薄く設定されているため、視認性の低下防止のみならず、親水膜の形成に伴うレンズの透過率減少も抑制できる(透過率を高く維持できる)。
また、本発明の上記構成においては、親水膜がレンズの全周面にわたって形成されていることが好ましい。
このように、光学特性を有さないレンズ周側面も含めて親水膜をレンズの全周面にわたって形成するようにすると、前述した作用効果が得られるだけでなく、前述したディッピング法によって一度の処理で成膜を完了させることができるため、工程数を削減して(例えばマスキング等を施す手間を省き)、成膜コストの低減を図ることもできる。
また、本発明の上記構成においては、親水膜がアクリル系ポリマー樹脂により形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、屈折率が小さく、反射率が一般に2%以下と低いアクリル系ポリマー樹脂により親水膜が形成されるため、レンズ面での曇りや付着水滴の滞留に伴う視認性の低下を防止しつつ、レンズの透過率を高く維持できる。
また、本発明の上記構成においては、レンズ表面が物体側に向けて凸状をなすとともに、レンズ裏面がレンズ内側に向けて凹むように形成され、親水膜がレンズ裏面の少なくとも略中央領域に形成されていることが好ましい。
このように、レンズ表面が物体側に向けて凸状をなすとともに、レンズ裏面がレンズ内側に向けて凹むように形成されるレンズ形状では、特に薄肉となる中央領域で、集光時などにおいて温度変化が大きくなり易く、曇りが生じ易いため、例えばこの中央領域に限定して親水膜を設ければ、成膜コストを抑えつつ曇りを効率的に抑制でき、有益である。
また、本発明の上記構成においては、第1レンズがガラスレンズであることが好ましい。
このような構成によれば、第1レンズがガラスレンズであるため、前述したように、一定の条件下で、ディッピング法による成膜時に親水膜の膜厚制御がし易いという利点がある。
また、本発明に係るカメラモジュールは、前記レンズユニットを備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、前述のレンズユニットの作用効果をカメラモジュールで得ることができる。
本発明によれば、レンズ裏面に親水膜が形成されているため、レンズ裏面の防曇に寄与することができ、したがって、視認性の低下を防止できる。また、親水膜の厚さが特に50nm以下と薄く設定されているため、曇りの防止のみならず、親水膜の形成に伴うレンズの透過率減少を抑制できる(透過率を高く維持できる)。さらに、レンズ面上に直接に親水膜を形成するのではなく、レンズ面(レンズ裏面)と親水膜との間に反射防止膜を介在させているため、レンズ面に対する親水膜の密着性改善に寄与し得る。
本発明の第1の実施の形態に係るレンズユニットの概略断面図である。 図1の膜付きレンズの要部拡大断面図である。 第1の実施の形態に係るカメラモジュールの概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るレンズユニットの概略断面図である。 図4の膜付きレンズの要部拡大断面図である。 第2の実施の形態に係るカメラモジュールの概略断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態の膜付きレンズを含むレンズユニットは、特に車載カメラ等のカメラモジュール用のものであり、例えば、自動車の外表面側に固定して設置され、配線は自動車内に引き込まれてディスプレイやその他の装置に接続される。また、図1~図6において複数のレンズについてはハッチングを省略している。
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係るレンズユニットを示している。図1に示すように、本実施の形態のレンズユニット11は、円筒状の鏡筒12と、鏡筒12内に配置される複数(例えば、5つ)のレンズ13,14,15,16,17と、2つの絞り部材22a,22bとを備えている。このレンズユニット11を備える車載カメラは、レンズユニット11と、図示しないイメージセンサを有する基板と、当該基板を自動車等の車両に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
鏡筒12に固定されて支持されている複数のレンズ13,14,15,16,17は、それぞれの光軸を一致させた状態に配置されており、1つの光軸Oに沿って各レンズ13,14,15,16,17が並べられた状態となって、撮像に用いられる1群のレンズ群を構成している。なお、鏡筒12の物体側の端部(開口部)に設けられる第1レンズ13は後述するように膜付きレンズ13となっている。なお、以下では第1レンズ13を膜付きレンズ13と称する場合もある。
2つの絞り部材22a,22bのうちの物体側から1番目の絞り部材22aは、物体側から2番目のレンズ14と3番目のレンズ15との間に配置されている。物体側から2番目の絞り部材22bは、物体側から3番目のレンズ15と4番目のレンズ16との間に配置されている。絞り部材22a,22bは透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。
鏡筒12の物体側の端部(図1において上端部)には、当該端部を内径側にカシメてなるカシメ部23が設けられており、このカシメ部23によって膜付きレンズ13が鏡筒12の物体側の端部に固定されている。なお、膜付きレンズ13の膜以外のレンズ本体はガラスレンズであるが、樹脂レンズであってもよい。
また、鏡筒12の像面側の端部(図1において下端部)には、レンズ17よりも径の小さい開口部を有するフランジ部24が設けられている。このフランジ部24とカシメ部23とにより、鏡筒12内にレンズ群を構成する複数のレンズ13、14、15、16,17と絞り部材22a,22bとが保持されている。なお、膜付きレンズ13の固定は、カシメ部23に限ることなく、鏡筒12にレンズ13,14,15,16,17を収納した後に鏡筒12の物体側の端部に取り付けられる固定部によって行なわれてもよい。
最も物体側に位置する膜付きレンズ13の外周面には、当該膜付きレンズ13の像面側部分に径が小さくなった縮径部が設けられ、当該縮径部にシール部材としてのOリング26が設けられ、膜付きレンズ13の外周面と鏡筒12の内周面との間を、鏡筒12の物体側端部で封止した状態となっている。これにより、レンズユニット11の物体側の端部から鏡筒12内に水や塵埃等の微粒子が浸入するのを防止している。なお、鏡筒12の内部には物体側において円筒状の内壁12bが設けられ、この内壁12bと外壁12aとの間に環状体27が設けられ、この環状体27にOリング26が密接している。
鏡筒12は、その内径が物体側から像面側に向かって段階的に小さくなっている。これに対応して、レンズ13,14,15,16,17は、物体側から像面側に向かうにつれて、外径が小さくなっている。基本的に、レンズ13,14,15,16,17それぞれの外径と、鏡筒12の各レンズ13,14,15,16,17が支持される部分それぞれの内径とは略等しくなっている。なお、鏡筒12の外周面には、鏡筒12を車載カメラに設置する際に用いられるフランジ部25が鏡筒12の外周面に鍔状に設けられている。
また、図1および図2に示すように、鏡筒12の物体側の端部に設けられる膜付きレンズ13は、物体側を向くレンズ表面13aと、像面側を向くレンズ裏面13bとを有する。特に、本実施の形態において、膜付きレンズ13は、断面視において、レンズ表面13aが物体側に向けて凸状をなすとともに、レンズ裏面13bがレンズ内側に向けて凹むように形成されている。
また、膜付きレンズ13には、その周側面13cを除くレンズ表面13上およびレンズ裏面13b上の全体にわたって(または、少なくとも一部にわたって)、反射防止膜(ARコーティング:一般にSiOを含む)30が形成されている。さらに、レンズ裏面13bには、反射防止膜30上に親水膜31が50nm以下の厚さで形成されている。この場合、親水膜31の厚さは、好ましくは5nm~50nmであり、より好ましくは10nm~30nmであり、好適には20nmである。ここで、親水膜31の膜厚が5nmを下回ると、反射防止膜30を形成してなるレンズ裏面13bに対する親水膜31の付着性が安定せず、一方、親水膜31の膜厚が50nmを上回ると、膜付きレンズ13の透過率が低下して視認性が悪くなる。なお、反射防止膜30として、本実施の形態では、例えば多層膜構造が採用される。そのような多層膜構造は、レンズ面(例えばガラス)と直接に接触する最下層をAl、Ta、又は、SiOのうちのいずれか1つとし、その上に、SiO層とTa層とが対を成す組を1組~最大で10組上下に積み重ねて成ることが好ましく、与えられた仕様(すなわち、どの波長範囲でどの程度の反射率以下にするか)に基づいて決定される。
また、このような親水膜31は、屈折率が低く、反射率が小さい材料であることが好ましい。特に、本実施の形態では、屈折率が小さく、反射率が一般に2%以下と低いアクリル系ポリマー樹脂によって親水膜31が形成されている。この場合、親水膜31は、レンズ裏面13bの全体にわたって形成されることが好ましいが、一部のみにわたって形成されてもよい。特に本実施の形態のレンズ13のようにレンズ裏面13bの中央領域Rで薄肉となる場合には、例えばこの中央領域Rに限定して親水膜31が設けられてもよい(その作用効果については後述する)。
また、親水膜31は、例えば、テーピングによるマスキングを伴ってまたは伴うことなく、また、膜形成用のレンズホルダを用いてまたは用いることなく、親水膜31を形成する塗料(溶液)中に反射防止膜30が形成されてなるレンズ13を浸漬するディッピング法や、スプレー、蒸着等によって形成することもできる。特に、ディッピング法では、アクリル系ポリマー樹脂からなる親水膜31を石英またはシリカガラス等からなるガラスレンズ13上に形成する場合、浸漬時のガラス裏面13b上のOH基と親水膜31のOH基との化学結合によって膜厚を容易に制御できるため、有益である。
図3は、本実施の形態のカメラモジュール300の概略断面図である。図3に示すように、カメラモジュール300は、フィルタ100が装着されたレンズユニット11を含んで構成されている。
カメラモジュール300は、外装部品である上ケース(カメラケース)301と、レンズユニット11を保持するマウント(フランジ、台座)302とを備えている。また、カメラモジュール300は、シール部材303およびパッケージセンサ(撮像素子)304を備えている。
上ケース301は、レンズユニット11の物体側の端部を露出させるとともに他の部分を覆う部材である。マウント302は、上ケース301の内部に配置されており、レンズユニット11の雄ねじ11aと螺合する雌ねじ302aを有する。シール部材303は、上ケース301の内面とレンズユニット11の鏡筒12の外周面12aとの間に介挿された部材であり、上ケース301の内部の気密性を保持するための部材である。
パッケージセンサ304は、マウント302の内部に配置されており、かつ、レンズユニット11により形成された物体の像を受光する位置に配置されている。また、パッケージセンサ304は、CCDやCMOS等を備えており、レンズユニット11を通じて集光して到達した光を電気信号に変換する。変換された電気信号はカメラにより撮影された画像データの構成要素であるアナログデータやデジタルデータに変換される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、レンズ裏面13b(反射防止膜30上)に親水膜31が形成されているため、レンズ裏面13bに付着する細かい水滴は、親水膜31上を拡がって薄い水膜となり、レンズ裏面13bに滞留することがない。これは、レンズ裏面13bの防曇に寄与することができ、したがって、視認性の低下を防止できる。
また、本実施の形態によれば、親水膜31の厚さが特に50nm以下と薄く設定されているため、曇りの防止のみならず、親水膜31の形成に伴うレンズ13の透過率減少を抑制できる(透過率を高く維持できる)。これは、特に、高い視認性が求められてレンズの透過率を高く維持する必要がある車載カメラで用いられる場合に有益である。
また、本実施の形態によれば、レンズ裏面13b上に直接に親水膜31を形成するのではなく、レンズ裏面13bと親水膜31との間に反射防止膜30を介在させているため、レンズ裏面13bに対する親水膜31の密着性改善に寄与し得る。すなわち、一般に、レンズ裏面13b上に直接に親水膜31を形成する場合には、レンズ裏面13bと親水膜31との密着性を高めるために、親水膜31全体の組成をレンズ13のそれに適合させる必要があり、手間がかかるとともに、コストもかかるが、本実施の形態のようにレンズ裏面13b上に反射防止膜30を介して親水膜31を形成する場合には、反射防止膜30の一般的な成分であるSiOが反射防止膜30と親水膜31との界面に介在することとなるため、親水膜31と反射防止膜30との密着性に関する相性が良好となり、したがって、反射防止膜30とガラス面(レンズ13のレンズ裏面13b)との間の界面でのみ密着性向上のための組成改質等を行なうだけで済む。そのため、大きな手間やコストがかからず、親水膜31を常に同じ仕様のまま使用して、同じ密着力を安定して実現できる。
また、本実施の形態によれば、屈折率が小さく、反射率が一般に2%以下と低いアクリル系ポリマー樹脂により親水膜が形成されるため、レンズ裏面13bでの曇りや付着水滴の滞留に伴う視認性の低下を防止しつつ、レンズの透過率を高く維持できる。
また、本実施の形態では、前述したように、薄肉となるレンズ裏面13bの中央領域Rに限定して親水膜31を設けると有益である。これは、レンズ表面13aが物体側に向けて凸状をなすとともに、レンズ裏面13bがレンズ内側に向けて凹むように形成されるレンズ13の形状では、特に薄肉となる中央領域Rで、集光時などにおいて温度変化が大きくなり易く、曇りが生じ易いため、例えばこの中央領域Rに限定して親水膜31を設ければ、成膜コストを抑えつつ曇りを効率的に抑制できるからである。
また、本実施の形態では、膜付きレンズ13がガラスレンズであるため、前述したように、一定の条件下で、ディッピング法による成膜時に親水膜31の膜厚制御がし易いという利点がある。
図4および図5は、本発明の第2の実施の形態に係るレンズユニット11Aを示している。また、図6は、この第2の実施の形態のレンズユニット11Aを含むカメラモジュール300Aの概略断面図である。これらの図に示すように、本実施の形態のレンズユニット11Aは、親水膜31の形成形態が第1の実施の形態と異なるのみであり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるため、以下では、第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、それ以外の部分については図面に同一符号を付してその説明を省略する。
図4および図5に示すように、本実施の形態では、親水膜31が、膜付きレンズ13のレンズ裏面13bに加えて、レンズ表面13aの反射防止膜30上にも形成されている。特に、本実施の形態では、レンズ13の周側面13cも含めて、親水膜31がレンズ13の全周面にわたって形成されている。この場合、周側面13cには反射防止膜30が形成されず、レンズ13の周側面13c上に直接に親水膜31が形成される。
このように、親水膜31がレンズ表面13aの反射防止膜30上にも形成されれば、前述した第1の実施の形態の作用効果に加え、以下の作用効果も奏することができる。すなわち、物体側に露出するレンズ表面13aに付着する水滴は、親水膜31上を拡がって薄い水膜となり、レンズ表面13aに滞留することがない。したがって、視認性の低下を防止できる。また、この場合も親水膜31の厚さは50nm以下と薄く設定されているため、視認性の低下防止のみならず、親水膜31の形成に伴うレンズ13の透過率減少も抑制できる(透過率を高く維持できる)。
また、本実施の形態では、光学特性を有さないレンズ13の周側面13cも含めて親水膜31がレンズ13の全周面にわたって形成されているため、前述したディッピング法によって一度の処理で成膜(親水膜31の形成)を完了させることもでき、したがって、工程数を削減して(例えばマスキング等を施す手間を省き)、成膜コストの低減を図ることもできる。
また、このように親水膜31がレンズ13の全周面にわたって形成されていれば、カシメ部23が接触するレンズ13の部位よりも径方向内側の表面にも親水膜31が設けられることになるため、カシメ部23とレンズ表面13aの外周縁部との間に生じる段差に水滴が滞留することもない。したがって、そのような滞留に伴う視認性の低下も防止できる。
なお、本発明において、レンズ、筐体などの形状は、前述した実施の形態に限定されない。また、反射防止膜の材料、レンズの材料なども任意に設定できる。さらに、親水層の膜厚も50nm以下であれば任意に設定できる。
11,11A レンズユニット
12 鏡筒
13 膜付きレンズ(第1レンズ)
13a レンズ表面
13b レンズ裏面
30 反射防止膜
31 親水膜
300 カメラモジュール

Claims (7)

  1. 複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群が収納される鏡筒とを備えるレンズユニットであって、
    前記レンズ群の最も物体側の第1レンズは、前記鏡筒の物体側の端部に設けられるとともに、物体側を向くレンズ表面と、像面側を向くレンズ裏面とを有し、前記レンズ表面上および前記レンズ裏面上に反射防止膜が形成され、
    前記レンズ裏面には、前記反射防止膜上にこれとは別個の親水膜が形成され、前記親水膜がOH基を有するアクリル系ポリマー樹脂により形成されていることを特徴とするレンズユニット。
  2. 前記レンズ表面が物体側に向けて凸状をなすとともに、前記レンズ裏面が像面側に向けて凹むように形成され、前記親水膜が前記レンズ裏面の少なくとも略中央領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
  3. 前記親水膜が前記レンズ表面の前記反射防止膜上にも形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
  4. 前記親水膜が前記第1レンズの全周面にわたって形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
  5. 前記第1レンズがガラスレンズであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のレンズユニット。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載のレンズユニットと、前記レンズユニットの前記レンズ群を通じて集光される光を電気信号に変換する撮像素子とを備えていることを特徴とするカメラモジュール。
  7. 請求項に記載のカメラモジュールを搭載した車両であって、
    前記カメラモジュールは、前記車両の外表面側に固定して設置され、前記カメラモジュールには配線部が電気的に接続され、
    前記配線部は、前記車両の内部に設置された表示装置に接続されていることを特徴とする車両。
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