JP2015197654A - 光学素子および光学系、並びに光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子および光学系、並びに光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構成で、高い反射防止性能が安定して得られる光学素子および光学系、並びに光学素子の製造方法を提供する。【解決手段】光学素子は、透明基板と、該透明基板の上に形成された反射防止構造と、を有する光学素子であって、前記反射防止構造は、複数の層で構成された第1の反射防止部と、該第1の反射防止部の最上層が前記透明基板の上に他の層を介さずに形成された第2の反射防止部と、を含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、低屈折率材を用いた反射防止膜を有する光学素子および光学系、並びに光学素子の製造方法に関し、特に一眼レフカメラレンズ、デジタルカメラレンズ等に好適なものに関する。
従来、ビデオカメラ、写真カメラ、テレビカメラ等の撮影レンズに代表される結像光学系に用いられる光学素子には、両面或いは片面に透過光量を上げると共に、不要光によるゴースト、フレアを回避するための反射防止膜が施されている。
そして、近年、ビデオカメラやテレビカメラはHDなどの高精細化になり、また、写真カメラは高画質化に伴い、高性能な反射防止膜が必要とされている。
一般的に、光学素子に反射防止機能を付与するには、反射防止膜を素子表面上に作製する。従来、光学素子表面に付与される反射防止膜は、膜ムラの無い均一な膜が理想とされている。一般的な反射防止膜は、レンズの中心(光線入射角度が0度)付近で、反射防止効果が最大となるような膜厚で設計する場合が多い。このように設計した反射防止膜は、開角の大きいレンズにおいては、誘電体膜を真空蒸着で形成する場合、基板に推積する膜厚が基板面の法線方向と蒸着粒子の飛来方向とのなす角の余弦に比例するので、レンズ周辺の膜厚が薄くなってしまう。
このような面内の膜厚が不均一なレンズの周辺部に、光軸に対し大きな角度で光線が入射すると、レンズ周辺部での光線入射角度が大きくなり、反射防止効果は弱まってしまう。即ち、中心部での反射防止効果には優れるが、周辺部での反射防止効果が中心部と比較し劣ってしまう。
これを解決するため、レンズ周辺領域の曲率の大きい部分に、高精度マスター型を使用した樹脂成形による反射防止構造体を形成することが開示されている(特許文献1)。この反射防止構造体は、反射を防止すべき光の最短波長よりも小さいピッチで、周期的にアレイ状に配列された構造単位が所定の形状を有する構造体である。
WO2007/018149号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、曲率の大きい部分に樹脂成形を行おうとすると、型の先端まで樹脂が入っていかず、構造体にバラツキが生じて安定して形成することが困難であり、有効な反射防止効果が得られない。また、レンズの周辺部(周辺領域)は、レンズを組み立てる際に触れることが多いため、構造体が破壊してしまうという課題もあった。
本発明の目的は、簡易な構成で、高い反射防止性能が安定して得られる光学素子および光学系、並びに光学素子の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る光学素子は、透明基板と、該透明基板の上に形成された反射防止構造と、を有する光学素子であって、前記反射防止構造は、複数の層で構成された第1の反射防止部と、該第1の反射防止部の最上層が前記透明基板の上に他の層を介さずに形成された第2の反射防止部と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る光学系は、上記光学素子を有することを特徴とする。
また、本発明に係る光学素子の製造方法は、透明基板の上に2層以上で構成される反射防止膜の内、最上層を除く層を第1領域に成膜する第1工程と、前記最上層を前記第1領域および前記第1領域と異なる第2領域に成膜する第2工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成で、高い反射防止性能が安定して得られる光学素子および光学系、並びに光学素子の製造方法を提供することができる。
(a)は本発明の実施形態に係る光学素子を示す概略断面図、(b)は光学素子を光軸方向から眺めた図である。 第1の実施例に係る光学素子の中心領域反射率特性を示す図である。 第1の実施例に係る光学素子の周辺領域反射率特性を示す図である。 第2の実施例に係る光学素子を示す概略断面図である。 第2の実施例に係る光学素子の中心領域反射率特性を示す図である。 第2の実施例に係る光学素子の周辺領域反射率特性を示す図である。 比較例の光学素子を示す概略断面図である。 比較例の光学素子の中心領域反射率特性を示す図である。 比較例の光学素子の周辺領域反射率特性を示す図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
《第1の実施形態》
(光学素子)
図1(a)は、本実施形態に係る光学素子(透明基板と、透明基板の上に形成された反射防止構造と、を有する)を示す模式図である。また、図1(b)は本実施形態に係る光学素子を光軸方向から眺めた図である。この光学素子は、光学系(例えばカメラ等の撮像光学系)の光路中に設けられるもので、透明基材レンズ11を構成する透明基板の上に成膜された反射防止膜101を備える。ここで、反射防止膜とは、一般的な光学干渉の理論に従って薄膜材料を透過基材表面に積層することで、反射防止効果を有した薄膜のことである。
この反射防止膜101として、透明基材レンズ11の凹面に対して、光軸Oを通る中心領域(第1領域P[図1(b)])に2層以上として6層構成の多層反射防止膜102が形成されている。また、透明基材レンズ11の凹面に対して、第1領域の外側のリング状の周辺領域(第2領域Q[図1(b)])に1層膜から成る単層反射防止膜103が形成されている。
ここで、後に詳述するが、第2領域における1層膜は、第1領域における多層反射防止膜102の最上層となっている。即ち、本実施形態に係る光学素子は、透明基板の上に2層以上で構成される反射防止膜が形成された第1の反射防止部としての第1構造部102(図1(a))を第1領域P(図1(b))に有する。また、透明基板の上に反射防止膜の最上層が他の層を介さずに形成された第2の反射防止部としての第2構造部103(図1(a))を第2領域Qに、有する。
このように、本実施形態に係る光学素子における透明基板の上に形成された反射防止構造は、第1の反射防止部としての第1構造部102と、第2の反射防止部としての第2構造部103を含む。
第1領域における透明基材レンズ11の上の多層反射防止膜102は、無機系被膜から成る誘電体多層膜の層12、13、14、15、16、17(最上層である17は低屈折率層)の6層構成の膜である。無機系被膜から成る誘電体多層膜の層12、13、14、15、16は、酸化物からなる誘電体多層膜である。誘電体多層膜は、透明基材レンズ11の周辺領域に膜が付かない様な保持治具を使用し、真空蒸着法により形成(成膜)されている。
一般的に誘電体膜を真空蒸着で形成した場合、基板に推積する膜厚は基板面の法線方向と蒸着粒子の飛来方向とのなす角の余弦に比例するので、曲率、口径の大きいレンズの周辺ほど、膜厚が薄くなる傾向が強い。膜厚が80%以下になると、反射防止の効果が著しく低下する。
このため、第1構造部が形成される第1領域Pと第2構造部が形成される第2領域Qとの境界位置での半開角をθとするとき、以下の条件式を満足することが好ましい。ここで、開角とは光学面の有効径がその曲率中心に張る角であり、半開角とは開角の1/2の角である。
37≦θ
本実施形態では、反射防止膜101の中心領域(第1領域P)での多層反射防止膜102と周辺領域(第2領域Q)での単層反射防止膜103との境界位置は、透明基材レンズ11の中心軸Oに対し半開角37度とした。
真空蒸着法で形成された誘電体多層膜の層12、13、14、15、16の上には、最上層として無機系被膜の低屈折率層17が形成されている。そして、低屈折率層17は、多層反射防止膜102の最上層として光学素子の第1領域の他、単層反射防止膜103として光学素子の第2領域にも形成(成膜)されている。
低屈折率層17が透明基材レンズ11に直接形成(他の層を介さずに形成)された場合、中心領域(第1領域)の多層反射防止膜102に比べると反射抑制効果は少し低下するものの、開角の大きい周辺領域(第2領域)において、良好な反射防止効果が得られる。そして、この低屈折率層17は、中空微粒子をバインダーで結合した膜から成っている。
この中空微粒子は内部に空孔を有し、空孔の外側の周囲にシェルを有する粒子から成る。このような中空微粒子は、空孔に含まれる空気(屈折率1.0)によって、屈折率を下げることができる。なお、空孔は単孔、多孔どちらでも良く、適宜選択することができる。中空微粒子のシェルを構成する材料としては、屈折率の低いものが好ましく、SiO、MgF、フッ素、シリコーンなどの有機樹脂が挙げられるが、粒子の製造が容易であるSiOがより好ましい。
低屈折率層17の中空微粒子の平均粒子径は、20nm以上70nm以下が望ましい。より好ましくは、30nm以上60nm以下が望ましい。中空微粒子の平均粒径が20nm未満の場合、空孔の大きさが小さくなり、屈折率を低くすることが難しくなってしまう。また、平均粒径が60nmを超えると、粒子間の空隙の大きさが大きくなり、粒子の大きさに伴う散乱が発生するため好ましくない。低屈折率層17の屈折率は、1.15以上1.30以下が望ましい。また、低屈折率層17の膜厚は、反射防止性能を得るために、90nm以上150nm以下であることが望ましい。
本実施形態では、低屈折率層17の成膜は、透明基材の全領域に形成するためにスピンコート法で行っている。レンズのような曲面を有する基材へ膜厚を均一に成膜できる観点から、塗料をスピンコートで成膜することが好ましい。但し、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法など液状塗工液の一般的な塗工方法を用いることもできる。
そして、塗工後は、乾燥を行う。乾燥は、乾燥機、ホットプレート、電気炉などを用いることができる。乾燥条件は、基材に影響を与えず、且つ中空粒子内の有機溶媒を蒸発できる程度の温度と時間とする。一般的には、300℃以下の温度を用いることが好ましい。
なお、塗工回数は通常1回が好ましいが、乾燥と塗工を複数回繰り返しても良い。
また、最上層の低屈折率膜17と透明基材レンズ11との間には、無機系被膜から成る誘電体多層膜の層12、13、14、15、16、17として、高屈折率層及び中屈折率層などを複数層設ける場合の他、1層だけ(単層)設けるようにしても良い。この場合、最上層と合わせて2層となる。即ち、第1領域には、透明基板の上に2層以上で構成される反射防止膜が形成された第1構造部が形成されれば良い。
高屈折率層、中屈折率層としては、酸化ジルコニウム酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、アルミナ、シリカ、フッ化マグネシウムなどが挙げられる。また低屈折率層17の表面に撥水、撥油などの機能性を有する層を形成しても良い。例えば、フッ素を含有した塗料や、シリコーン塗料などが挙げられる。
これらの屈折率層や、機能性を有する層は、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法などを用いて形成することができる。一般に、反射防止膜の作製方法としては、ドライ法(真空成膜法)や、ウエット法(湿式成膜法)等が挙げられ、ドライ法は、蒸着法やスパッタリング法のように、低屈折率の金属フッ化物や金属酸化物を透過基材表面にコートし、反射防止膜を作製する方法である。また、ウエット法は、ディッピング法、スピンコート法などにより、透過基材表面に低屈折率材料を含むコート液を塗布した後、乾燥や焼成などにより反射防止膜を作製する方法である。
(実施例1)
以下、図1(a)を参照して、本実施形態に係る実施例1としての光学素子について、より具体的に説明する。透明基材レンズ11は、d線(587.6nm)での屈折率が1.835の透明ガラス基板を用いた。反射防止膜101の中心領域(第1領域)での多層反射防止膜102の最上層である低屈折率層17を除く12、13、14、15、16の5層構成を誘電体膜とした。これらの誘電体膜は、真空蒸着にて形成した。
透明基材レンズ11を洗浄後、レンズ11の半開角37度までの開口を有する保持治具にのせて真空蒸着装置にセットした。真空蒸着にて第1の層12として、d線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTaを物理膜厚27.4nm成膜した。続けて層13としてd線(波長587.6nm)での屈折率1.63のAlを物理膜厚11.3nm、層14としてd線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTaを物理膜厚77.8nm成膜した。
更に続けて、層15としてd線(波長587.6nm)での屈折率1.63のAlを物理膜厚25.4nm成膜、層16としてd線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTaを物理膜厚26.7nm成膜した。そして、層16まで成膜した透明基材レンズ11を保持治具より外し、低屈折率膜17を第1領域、第1領域の周辺領域である第2領域を含め、透明基材レンズ11の光学面全面に形成した。
低屈折率膜17は、屈折率が1.25になるように、中空SiO含有溶液に対するバインダー溶液の重量比率を調整し、混合した。混合した塗工液を透明基材レンズ11上に滴下し、物理膜厚が106nmになるように、スピンコーター3000rpmで30秒間回転し塗工した。塗工後は、200℃のクリーンオーブンで1時間焼成を行った。形成された透明基材レンズ11の中心及びレンズ11の半開角45度の位置において、反射率測定器で波長400nmから700nmの反射率を測定した。その結果を図2、図3に示す。
図2はレンズ11の中心位置を測定したもので、横軸に波長、縦軸に反射率を示し、実線は入射角0度の反射特性、点線は入射角45度の反射特性である。図2に示すように、波長400nmから700nm全域で0度反射において0.8%以下、45度反射においてもほぼ2.0%以下の良好な反射防止性能が確認できた。
図3はレンズの半開角が45度の位置を測定したもので、図2同様、横軸に波長、縦軸に反射率を示し、実線は入射角0度の反射特性、点線は入射角45度の反射特性である。図3に示すように、0度反射において、波長400nmで3%以下、450nmから700nmで2%以下、45度反射においても700nmで3.8%以下の良好な反射防止性能が確認できた。ここで、反射防止膜101の構成及び膜厚を表1に示す。
また、コットンワイパークリント(ユニチカ株式会社の商品名)で300g/cmの荷重をかけ、20回往復させた後、低屈折率層101の表面を確認したところ、傷は観察されなかった。
(実施例2)
以下、図4を参照して、本実施形態に係る実施例2としての光学素子について説明する。透明基材レンズ21は、d線(587.6nm)での屈折率が1.518の透明ガラス基板を用いた。透明基材レンズ11は、光学面の高さLDが25mm、曲率半径が30.0の半開角56.4度のレンズである。反射防止膜201の中心領域(第1領域)で、多層反射防止膜202の低屈折率層27を除く誘電体膜の層22、23、24、25、26の5層構成とした。これらの誘電体膜は、真空蒸着にて形成した。
透明基材レンズ11を洗浄後、レンズ21の半開角40度までの開口を有する保持治具に載せて真空蒸着装置にセットした。真空蒸着にて第1の層22、d線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTaを物理膜厚11.5nm成膜した。続けて、層23としてd線(波長587.6nm)での屈折率1.63のAlを物理膜厚36.8nm、層24としてd線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTaを物理膜厚73.4nm成膜した。
更に続けて、層25としてd線(波長587.6nm)での屈折率1.63のAlを物理膜厚13.2nm成膜、層26としてd線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTaを物理膜厚32.1nm成膜した。層26まで成膜した透明基材レンズ21を保持治具より外し、第1領域、第1領域の周辺領域である第2領域を含め、低屈折率膜27を透明基材レンズ11の光学面全面に形成した。
低屈折率膜27は、屈折率が1.28になるように中空SiO含有溶液に対するバインダー溶液の重量比率を調整し、混合した。混合した塗工液を透明基材レンズ21上に滴下し、物理膜厚が100nmになるようにスピンコーター3000rpmで30秒間回転し塗工した。塗工後は、200℃のクリーンオーブンで1時間焼成を行った。形成された透明基材レンズ21の中心及びレンズ21の半開角45度の位置において、反射率測定器で波長400nmから700nmの反射率を測定した。その結果を、図5、図6に示す。
図5は、レンズ21の中心位置を測定したもので、横軸に波長、縦軸に反射率を示し、実線は入射角0度の反射特性、点線は入射角45度の反射特性である。図5に示すように、波長400nmから700nm全域で0度反射においてほぼ1%以下、45度反射においても波長400nmから650nmで1.5%以下、700nmで3.5%の良好な反射防止性能が確認できた。
図6はレンズの半開角が45度の位置を測定したもので、図5同様、横軸に波長、縦軸に反射率を示し、実線は入射角0度の反射特性、点線は入射角45度の反射特性である。図6に示すように、0度反射において波長400nmから700nmで1%以下、45度反射においてもほぼ2%以下の良好な反射防止性能が確認できた。ここで、反射防止膜201の構成及び膜厚を表2に示す。
また、コットンワイパークリント(ユニチカ株式会社の商品名)で300g/cmの荷重をかけ、20回往復させた後、低屈折率層101の表面を確認したところ、傷は観察されなかった。
(比較例1)
以下、図7を参照して、上述した実施例2との比較を行う光学素子について説明する。透明基材レンズ31は、実施例2と同じ形状のd線(587.6nm)での屈折率が1.518の透明ガラス基板を用いた。反射防止膜301は、透明基材レンズ31を洗浄後、透明基材レンズ31のほぼ全領域に形成されるような保持治具に載せて、低屈折率層37を除く誘電体膜の層32、33、34、35、36の5層構成を真空蒸着にて形成した。
真空蒸着にて第1の層32として、d線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTa2O5を物理膜厚11.5nm成膜した。続けて、層33としてd線(波長587.6nm)での屈折率1.63のAlを物理膜厚36.8nm、層34のd線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTa2O5を物理膜厚73.4nm成膜した。更に続けて、層35としてd線(波長587.6nm)での屈折率1.63のAlを物理膜厚13.2nm成膜、層36としてd線(波長587.6nm)での屈折率2.11のTaを物理膜厚32.1nm成膜した。
そして、層36まで成膜した透明基材レンズ31を保持治具より外し、低屈折率膜37を実施例2と同様な方法で透明基材レンズ31の光学面全面に形成した。形成された透明基材レンズ31の中心及びレンズ31の半開角45度の位置において、実施例2と同様に反射率測定器で波長400nmから700nmの反射率を測定した。その結果、図8、図9に示す様な反射率であった。
図8のレンズ31の中心位置を測定したものは、実施例2の図5同様、良好な反射特性であった。図9のレンズ31の半開角が45度の位置を測定したものは、実施例2の図6に比べ反射率が高く反射防止性能が劣っていることが確認できた。ここで、比較例の反射防止膜201の構成及び膜厚を表3に示す。
また、膜の強度については、実施例2と同様にコットンワイパークリント(ユニチカ株式会社の商品名)で300g/cmの荷重をかけ、20回往復させた後、膜表面を観察したが、傷は確認されなかった。
(光学素子の製造方法)
上述したような本発明に係る光学素子は、以下の製造方法によって製造可能である。即ち、透明基板の上に2層以上で構成される反射防止膜の内、最上層を除く層を第1領域に成膜する第1工程と、前記最上層を前記第1領域および前記第1領域と異なる第2領域に成膜する第2工程と、を有する。そして、第2工程は、湿式成膜法で行うと好ましい。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、反射防止膜101の中心領域(第1領域)での多層反射防止膜102と周辺領域(第2領域)での単層反射防止膜103との境界位置は、透明基材レンズ11の中心軸Oに対し半開角37度とした。しかし、本発明において、反射防止膜101の中心領域(第1領域)での多層反射防止膜102と周辺領域(第2領域)での単層反射防止膜103との境界位置は、半開角37度の場合に限定されるものでなく、半開角を任意に設定しても良い。
(変形例2)
上述した実施形態では、第1領域での2層以上で構成される反射防止膜、第2領域での単層の反射防止膜が、レンズを構成する透明基板における凹面のレンズ面の上に形成されたが、本発明はこれに限られず、凸面のレンズ面の上に形成されても良い。また、このような反射防止膜が形成されたレンズ面は、片側の端面(1面)だけでなく両側の端面(2面)に設けられても良い。また、貼り合わせレンズの貼り合わせ面に設けられても良い。
また、レンズは透過型レンズに限らず、反射型レンズであっても良い。反射型レンズの場合、光路中、反射面の前後のレンズ面が透過面であって、この透過面に上述した実施形態の反射防止膜を形成すれば良い。
11・・透明基材レンズ(透明基板)、12、13、14、15、16・・誘電体多層膜の層、17・・低屈折率層(最上層)

Claims (11)

  1. 透明基板と、該透明基板の上に形成された反射防止構造と、を有する光学素子であって、
    前記反射防止構造は、複数の層で構成された第1の反射防止部と、該第1の反射防止部の最上層が前記透明基板の上に他の層を介さずに形成された第2の反射防止部と、を含むことを特徴とする光学素子。
  2. 前記透明基板は、レンズを構成することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記第1の反射防止部、前記第2の反射防止部が凹面のレンズ面の上に形成されることを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記第2の反射防止部は、前記第1の反射防止部が設けられる領域の外側にリング状に設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 前記第1の反射防止部が形成される領域と前記第2の反射防止部が形成される領域との境界位置での半開角をθとするとき、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項4に記載の光学素子。
    37≦θ
  6. 前記最上層の屈折率は、1.15以上1.30以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 前記最上層は、平均粒子径が20nm以上70nm以下である中空微粒子から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子。
  8. 前記中空微粒子は、SiOもしくはMgFから成ることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学素子を有することを特徴とする光学系。
  10. 透明基板の上に2層以上で構成される反射防止膜の内、最上層を除く層を第1領域に成膜する第1工程と、
    前記最上層を前記第1領域および前記第1領域と異なる第2領域に成膜する第2工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  11. 前記第2工程は、湿式成膜法で行うことを特徴とする請求項10に記載の光学素子の製造方法。
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