JP2017106284A - 防風防雪用ネット、及び、防風防雪用ネット柵 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献1〜3に記載のネットは、ネットの面に対して斜め方向から見た場合にネットの目の面積が見かけ上減少し、十分な見通し性が得られない場合があった。
さらに、特許文献1〜3に記載のネットを設置した場合、積雪が柵の上の方まで及んでいると、春先などの融雪時の雪の沈降力により、ネットが破断したり、ネットを保持する柵のフレームが変形したりしてしまうことがあった。
本発明において、「内方部」とは、本発明の防風防雪用ネットのうち上端部、下端部、並びに、上端部の下部及び下端部の上部に形成されるベルト差し込み部を除く部位を意味する。
本発明において、「密度」とは、面積密度を意味する。
本発明において、「内方部の開口率」とは、防風防雪用ネットの内方部の全面積に対する、内方部に存在する開口部(ネットの目の部分)の全面積の割合を意味する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る防風防雪用ネット柵20が、道路21の側縁22に沿って設置されている様子を示す図である。また、図2は、防風防雪用ネット柵20の一部を防風防雪ネット10の面方向に対して垂直な方向(図1にIIで示した方向)から見た図である。図1及び図2に示したように、防風防雪用ネット柵20は、防風防雪用ネット10が、縦フレーム11a及び横フレーム11bを有するフレーム11にベルト12及び固定部材13(図5に示し、図1、2では省略)を介して固定された構造となっている。
図1において、側縁22が道路21の風上側、側縁23が道路21の風下側に位置している。道路21内への吹雪の吹き込みを防止する観点から、防風防雪用ネット柵20は、防風防雪用ネット10の面方向が道路11の進路方向に沿うように、道路の少なくとも風上側の側縁に設置されていることが好ましく、風上側及び風下側の両側の側縁に設置されていてもよい。
以下、防風防雪用ネット柵20を構成するこれらの構成要素について説明する。
防風防雪用ネット10は、シート状かつネット状の形状を有し、風上側から道路21内への吹雪の侵入を阻害する部材である。
図2に表れているように、防風防雪用ネット10は、内方部1、上端部2、下端部3、及び、ベルト差し込み4を有する。
図3に図2にIIIで示した領域の拡大図、図4に図2にIVで示した領域の拡大図、図5に図2にVで示した領域の拡大図を示した。図3〜図5において、矢印Xで示す方向が垂直方向、矢印Yで示す方向が水平方向である。
また、図3にD1で示した縦帯1aの水平方向の間隔は、10〜30mmであることが好ましく、13〜28mmであることがより好ましく、15〜27mmであることがさらに好ましい。縦帯1aの水平方向の間隔が上記範囲内であることにより、斜め方向から内方部1を見た場合の開口率の低下を抑え、風速の減勢効果や視認性を確保することができる。
また、図3にD2で示した横帯1bの垂直方向の間隔は、5〜20mmであることが好ましく、7〜18mmであることがより好ましく、10〜15mmであることがさらに好ましい。横帯1bの垂直方向の間隔が上記範囲内であることにより、斜め方向から内方部1を見た場合の開口率の低下を抑え、風速の減勢効果や視認性を確保することができる。
なお、本発明の防風防雪用ネット10は、垂直方向に2、3段重ねて設置することも可能である。
図4には、上端部2、上端部2の下部に形成されるベルト差し込み部4、及び、ベルト差し込み部4の下部に位置する上記内方部1が表れている。
上端部2は、縦帯1a、上端部2の上端において水平方向に延在する横帯2b1、及び、横帯2b1の下部において所定の間隔で3本並列する横帯2b2を有し、縦帯1aと横帯2b1、2b2とが互いに直交する方向に織られることにより、均一な目2cを有するネット状に形成されている。図4に表れているように、縦帯1aは上記内方部1を構成する縦帯1aと同一の部材である。
横帯部2b1が10mm以上であれば、積雪荷重で沈降した場合に積雪荷重により切断、たわみにくくなる。
横帯2b2は、内方部1を構成する横帯1bよりも細く、図4にW4で示した横帯2b2の幅は、1〜5mmであることが好ましく、1.5〜4.5mmであることがより好ましく、2〜4mmであることがさらに好ましい。
横帯2b2は、複数本あることが好ましく、3本以上あることが好ましい。横帯2b2が、5mm以下で3本以上あれば、固定部材13の長さに応じて差し込み箇所を変更することができるので、ネット10にテンションを掛けた状態で、たわませることなくネット10を張ることができるので好ましい。また、ネット10を上下方向多段に配置した場合には、上下帯の接続ができるので、隙間を設けることなく、全面にテンションを掛けた状態で張ることができる。
また、図4にD3で示した横帯2b1と横帯2b2との垂直方向の間隔は、隣接する横帯2b2間の間隔と同一であり、該間隔は2〜6mmであることが好ましい。D3の間隔を6mm以下で、多段に設けることにより、微妙な固定位置の変更を行うことが可能である。
本発明に用いる合成樹脂製の繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維等が挙げられ、強度及び耐久性に優れることからポリエステル繊維を用いることが好ましい。
含浸させる樹脂の種類は、要求される強度等に応じて適宜選択することが可能であるが、例えば、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。中でも、耐候性を向上させる観点から、アクリル樹脂であることが好ましい。また、耐候性を高めるため、樹脂にはさらに黒色カーボン等の紫外線吸収剤が添加されていることが好ましい。
ディップコート法を用いる場合、常温のアクリル樹脂エマルジョンにメッシュ状物を浸漬後、100℃で樹脂エマルジョンを乾燥することにより、メッシュ状物に効率的に樹脂を含浸させることが可能となる。
フレーム11は、上記防風防雪用ネット10を張設するための部材である。フレーム11の形状や材質は、本発明の防風防雪用ネット柵20を設置する場所や積雪量に応じて、適宜選択することができる。例えば、冬期のみ仮設的に設置する場合には、工事現場等に用いられる単管パイプを組み合わせることにより、簡易的にフレーム11とすることができる。また、積雪量の多い地域に設置する場合には、強度の高い支柱の下部を地中に埋め込んだ基礎式のフレームを用いてもよい。なお、図1、2には、フレーム11が縦フレーム11a及び横フレーム11bを有する形態を示したが、縦フレーム11aのみで、融雪時の雪の沈降力に耐え得る強度を得られる場合には、横フレーム11bは必ずしも必要とせず、防風防雪用ネット10を後述する方法により縦フレーム11aのみに固定する形態としてもよい。
ベルト12は、防風防雪用ネット10のベルト差し込み部4の目4cに差し込まれ、且つ、横フレーム11bに巻きつけられることにより、防風防雪用ネット10の上部を横フレーム11bに固定する部材である。内方部1よりも密度が高いことにより、交点強度が高くなっている上端部2の下部(ベルト差し込み部4)にベルト12を通すことにより、融雪時の融雪時の雪の沈降力に耐え得る強度を高めることが可能となる。ベルト12は例えば、ポリプロピレン製とすることができる。なお、フレーム11が横フレーム11bを有さない場合には、ベルト12は必須の構成部材ではない。
次に、図5を参照しつつ、固定部材13について説明する。固定部材13は、防風防雪用ネット10の水平方向の側端を縦フレーム11aに固定する部材である。
固定部材13は、取り付け部材13a、引っ張り部材13b、及び、スパイラル13cからなる。取り付け部材13aは、引っ張り部材13bを縦フレーム11aに取り付けるための部材である。取り付け部材13aの形状や材質はその機能を果たせるものであれば特に限定されないが、引っ張り部材13bの水平方向の位置を調整するためのボルト13abを備えていることが好ましい。取り付け部材13aがボルト13abを備えていることにより、防風防雪用ネット10が経時的に伸長し、垂れ下がってしまった場合でも、ボルトを締めることにより、引っ張り部材13bを縦フレーム11側に引っ張り、防風防雪用ネット10の緊張を保つことができる。引っ張り部材13bは、スパイラル13cにより防風防雪用ネット10の側端と一体的に巻かれることにより、防風防雪用ネット10の側端をフレーム11aに固定し、且つ、張力を与える部材である。引っ張り部材13bの形状や材質は特に限定されないが、スパイラル13cとの隙間を小さくし、スパイラル13cの変形を抑える観点から、円柱状であることが好ましい。スパイラル13cは、らせん状の形状を有し、防風防雪用ネット10の側端と引っ張り部材13bとが一体となるように巻き付くことにより、防風防雪用ネット10の側端を引っ張り部材13bに固定する部材である。スパイラル13cの材質は特に限定されないが、強度や加工性の観点から、例えば、めっき鉄線やステンレス製とすることができる。
かかる観点から、防風防雪用ネット10と地面との間隔Hは、0.3〜1.3mであることが好ましく、0.4〜1.2mであることがより好ましく、0.5〜1.1mであることがさらに好ましい。
次に、本発明の第二の実施形態に係る防風防雪用ネット柵30について、図6を参照しつつ説明する。図6は、防風防雪用ネット柵30を図2と同一の視点から見た図である。図6に示すように、防風防雪用ネット柵30は一部が地中に埋設された基礎式の縦フレーム15、15の間に、防風防雪用ネット10´が張設された構造を有している。防風防雪用ネット10´は、上記防風防雪用ネット10と同一の上端部2及び下端部3、及び、防風防雪用ネット10の内方部1よりも垂直方向の幅が広い内方部1´を有し、縦フレーム15の略全高に亘って張設されている。このように、防風防雪用ネット柵30の下部を含め、略全面に防風防雪用ネット10´を張設することにより、大きな防風効果を得られる。よって、第一の形態と比較して、出来るだけ大きな防風効果を得たい場合や吹き止め効果をより期待したい場合で且つ積雪量があまり多くない地域(防雪柵が雪で埋もれないような場所)において、より好ましく使用することができる。
次に、本発明の第三の実施形態に係る防風防雪用ネット柵40について、図7を参照しつつ説明する。図7は、防風防雪用ネット柵40を図2と同一の視点から見た図である。図7に示すように、防風防雪用ネット柵40は、防風防雪用ネット柵30と同一の縦フレーム15、15の間に、防風防雪用ネット柵20と同一の防風防雪用ネット10が張設され、防風防雪用ネット柵10の下部に無孔板16が設置され、防風防雪用ネット柵40の下部が完全に遮蔽された構造を有している。このように、防風防雪用ネット柵40の下部に無孔板16が設置され、遮蔽されていることにより、雪をできるだけ柵で捕捉したい場合や、柵付近に堆積した雪により発生する沈降圧から柵を防護できる。よって、第一の形態及び第二の形態と比較して、積雪量が多い豪雪地において、より好ましく使用することができる。無孔板16の材質は、特に限定されないが、例えば、鋼製の板を用いることができる。
<実施例1>
ポリエステル製の繊維からなるメッシュ状物にアクリル樹脂を被覆させ、縦帯(幅6mm、間隔15mm)及び横帯(幅6mm、間隔15mm)を有する、防風防雪用ネットの内方部に相当するネット部材(垂直方向の幅500mm、水平方向の幅500mm、開口率50%)を作製した。
ネット部材を、鋼を組み合わせて作製したフレームに張設し、実施例1に係るネット柵モデルを作製し、風洞試験機の前面に配置した。
ネット部材の面方向に垂直な方向から風速20m/s、30m/s、40m/s、50m/sの風を当てて、ネット柵モデルの中央部から風下側に250mmから2500mmまでの風速を250mm毎に測定し、風上側の風速を100%とした場合の風下側の風速比率を算出した。風速比率が20%以下であれば、防風効果が高いと言える。結果を図8に示す。
ネット部材を縦帯(幅1.8mm、間隔1.8mm)及び横帯(幅1.8mm、間隔2.0mm)を有する、ネット部材(垂直方向の幅500mm、水平方向の幅500mm、開口率26%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るネット柵モデルを作製し、風速比率を算出した。結果を図9に示す。
ネット部材を縦帯(幅4.0mm、間隔15mm)及び横帯(幅4.0mm、間隔15mm)を有する、ネット部材(垂直方向の幅500mm、水平方向の幅500mm、開口率60%)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係るネット柵モデルを作製し、風速比率を測定した。結果を図10に示す。
図8より、開口率が50%である実施例1のネット柵モデルでは、ネットからの距離が500mm〜2000mmの間でいずれの風速においても、風速比率が20%以下であり、防風効果が特に高かった。
図9より、開口率が26%である比較例1のネット柵モデルでは、ネット柵からの距離が離れるにつれて、防風効果が低下し、ネットからの距離が1000mm以上になると、風速比率20%以下を維持できなかった。
図10より、開口率60%である比較例2のネット柵モデルでは、全測定位置における全風速で風速比率が20%以上であり、高い防風効果が確認できなかった。
1a 縦帯
1b 横帯
2 上端部
2b1、2b2 横帯
3 下端部
4 ベルト差し込み部
10 防風防雪ネット
11 フレーム
11a 縦フレーム
11b 横フレーム
12 ベルト
13 固定部材
13a 取り付け金具
13b 引張金具
13c スパイラル
14 開口部
15 縦フレーム
16 無孔板
20、30、40 防風防雪ネット柵
21 道路
22、23 側縁
Claims (4)
- 合成樹脂製の繊維からなるメッシュ状物に樹脂を含浸させてなり、縦帯及び横帯を有する防風防雪用ネットであって、
前記防風防雪用ネットの上端及び下端からそれぞれ5cm以内の部位である上端部及び下端部における前記横帯の密度が、前記防風防雪用ネットの内方部における前記横帯の密度よりも高く、かつ、前記上端部及び前記下端部における前記横帯の垂直方向間隔が、前記内方部における前記横帯の垂直方向間隔よりも狭く、
前記防風防雪用ネットの前記内方部の開口率が40〜55%であることを特徴とする、防風防雪用ネット。 - 前記内方部における前記縦帯の水平方向間隔が15〜30mmであり、前記横帯の垂直方向間隔が5〜20mmであり、
かつ、前記上端部及び前記下端部における前記横帯の垂直方向間隔が、2〜6mmであることを特徴とする請求項1に記載の防風防雪用ネット。 - 前記上端部及び前記下端部における隣接する前記横帯の間には、前記繊維がジグザグ状に織られ、前記樹脂で被覆されてなるジグザグ部が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防風防雪用ネット。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の防風防雪用ネットを用いた防風防雪用ネット柵。
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