JP2017094599A - 積層造形用サポート材およびそれを用いた積層造形物、ならびに積層造形物の製造方法 - Google Patents

積層造形用サポート材およびそれを用いた積層造形物、ならびに積層造形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低吸湿性および成形安定性に優れた積層造形用サポート材およびそれを用いた積層造形物、ならびに積層造形物の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂(a)とともに、BET比表面積が15〜350m2/gのシリカ(b)を含有する積層造形用サポート材であり、上記積層造形用サポート材を用いて得られた積層造形物である。そして、上記積層造形用サポート材とモデル材とを順次、流動状態で積層し、固化した後、上記サポート材を除去する積層造形物の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、積層造形に用いられ除去される積層造形用サポート材(以下、「サポート材」と略すことがある。)およびそれを用いた積層造形物、さらには積層造形物の製造方法に関するものであり、更に詳しくは低吸湿性、成形安定性に優れた積層造形用サポート材に関するものである。
なお、本発明において、モデル材とは、造形物自体の材料を指し、サポート材とは、モデル材の造形物の形成をしやすくするための支持形成材料を指すものであり、造形物の形成後には、取り除かれることが多い。
積層造形とは、所定の構造を有する立体を造形する方法であって、流動状態の材料が押出された後、瞬時に固化し、その上にさらに材料が積層されていくことで物品が造形されることである。積層造形方法にはUV硬化法、熱溶融積層法等が提案されているが、装置の構造が簡便であること、実際に最終製品が造形できることから、熱溶融積層法が広く検討されている。
熱溶融積層法での積層造形方法に使用されるサポート材とは、立体を積層造形する際に用いられるものであって、目的の立体構造には存在しない部分を賄う材料のことを指す。積層造形される立体としては、様々な構造を有するものがあり、造形される過程において、他の何かの素材でサポートしておかなければ、造形できない部位を含むものもある。上記サポート材は、そのような立体の部位を支えるために造形過程で用いられるものであり、最終的には除去されるものである。
従来から、積層造形において用いられるサポート材としては種々の材料が検討されており、上記サポート材としては造形後に主に液体に溶かして除去するものと、削り取るもの、液体や気体で吹き飛ばすものがある。
削り取る場合は、立体造形物が複雑形状の際には、立体造形物に傷がつかないように削り取ることが難しく、吹き飛ばして除去するものは、サポート材自身の強度が不足し、充分なサポートができないという問題があった。このような点から、液体に溶かして除去できるサポート材が提案されている(特許文献1)。
また、上記サポート材として用いられる、容易に水洗除去できる水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略す)系樹脂が提案されている(特許文献2)。特に、特許文献2では、非結晶性のPVA系樹脂に柔軟性を付与する為にスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)を添加することが提案されている。上記非結晶性の水溶性樹脂は冷却固化する際に、収縮が少なく、形状の再現性が良い点で優れている。
特開2014−24329号公報 米国2011/0060445号公報
しかしながら、上記水洗除去できる水溶性樹脂としてPVA系樹脂を用いたサポート材は、PVA系樹脂自身が吸湿し易いことから、造形装置に設置して時間が経過すると、サポート材が吸湿してしまい、結果、高温での積層造形時にはサポート材中の水分が蒸発して発泡する等の問題が生じたりして、安定して成形する(積層造形する)ことが困難であった。このように、これまでのものは、サポート材として、満足のいくものではなく、まだまだ改良の余地があった。
本発明は、かかる課題、すなわち、低吸湿性および成形安定性に優れた積層造形用サポート材およびそれを用いた積層造形物、ならびに積層造形物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の実情に鑑み鋭意検討した結果、PVA系樹脂に低吸湿性を付与するために、無機質充填剤として、ある特性を備えたシリカを配合することを想起した。すなわち、BET比表面積が15〜350m/gという物性を備えた特定のシリカを用いることにより、サポート材の低吸湿性が向上し、結果、成形安定性の向上が図られることを見出し、本発明の完成に至ったのである。
上記効果の発現メカニズム(低吸湿性効果)は、つぎのように推定される。すなわち、BET比表面積が15〜350m/gのシリカを用いることにより、PVA系樹脂の水酸基がシリカ凝集体側に向くこととなって、成形物表面の疎水性が高まるものとなり、このことにより、湿度の吸収性が低減されると推察される。そして、その結果、積層造形の際に溶融状態で押出されたサポート材の成形安定性が向上する。
<発明の要旨>
本発明は、PVA系樹脂(a)、及び、BET比表面積が15〜350m/gのシリカ(b)を含有する積層造形用サポート材を第1の要旨とする。
また、本発明は、上記第1の要旨である積層造形用サポート材を用いて得られた積層造形物を第2の要旨とする。
そして、本発明は、上記第1の要旨である積層造形用サポート材とモデル材とを順次、流動状態で積層し、固化した後、上記サポート材を除去する積層造形物の製造方法を第3の要旨とする。
このように、本発明は、PVA系樹脂(a)と、BET比表面積が15〜350m/gのシリカ(b)を含有する積層造形用サポート材である。このため、低吸湿性に優れ、成形安定性に優れたサポート材が得られる。従って、本発明の積層造形用サポート材とモデル材とを順次、流動状態で積層し、固化した後、上記サポート材を除去することにより積層造形物を製造する方法では、安定して積層造形物を作製することができる。
そして、シリカ(b)の含有量が、PVA系樹脂(a)100重量部に対して0.1〜15重量部であると、サポート材に対して一層優れた低吸湿性効果を付与することが可能となる。
さらに、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロック及びその水素添加ブロックの少なくとも一方を有し、さらに水酸基と反応する官能基を有するブロック共重合体(c)を含有すると、積層造形の際に溶融状態で押出されたサポート材の成形安定性がより一層向上する。
また、ブロック共重合体(c)の含有量が、PVA系樹脂(a)100重量部に対して5〜100重量部であると、成形安定性を付与することが可能となり、モデル材との接着性も向上する。
そして、PVA系樹脂(a)が、側鎖に一級水酸基を有する構造単位を含有するPVA系樹脂、特に側鎖に一級水酸基を有する構造単位が、側鎖に1,2−ジオール構造を有する構造単位であると、モデル材との親和性が向上し、モデル材との接着力が良好となり、さらには上記ブロック共重合体(c)との親和性にも優れるようになる。
本発明の積層造形用サポート材は、マトリックス成分であるPVA系樹脂(a)と、特定のシリカ(b)を用いて得られる。さらに、好ましくは、これら成分に加えて、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロック及びその水素添加ブロックの少なくとも一方を有し、さらに水酸基と反応する官能基を有するブロック共重合体(c)を用いて得られる。
[PVA系樹脂(a)]
上記PVA系樹脂(a)としては、ビニルエステル系モノマーを共重合して得られるポリビニルエステル系樹脂をケン化して得られる、ビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とケン化されずに残存したビニルエステル構造単位から構成される。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等があげられるが、経済的に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
上記PVA系樹脂(a)の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、150〜4000であり、好ましくは200〜2000であり、特に好ましくは250〜800であり、さらに好ましくは300〜600である。
かかる平均重合度が低すぎると積層時に安定した形状を形成することが困難となる傾向があり、高すぎると材料全体の粘度が高くなりすぎて溶融成形が困難になる傾向がある。
また、PVA系樹脂(a)の重合度の指標として水溶液とした時の粘度が用いられる場合があり、PVA系樹脂(a)の水溶液の粘度は、通常、1.5〜20mPa・sであり、好ましくは2〜12mPa・sであり、特に好ましくは2.5〜8mPa・sである。粘度が低すぎると積層時に安定した形状を形成することが困難となる傾向があり、高すぎると材料全体の粘度が高くなりすぎて溶融成形が困難になる傾向がある。
なお、本発明においてPVA系樹脂(a)の水溶液の粘度は、JIS K6726に準拠して測定した20℃における4重量%水溶液の粘度である。
PVA系樹脂(a)のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、70モル%以上であり、好ましくは75〜99.7モル%であり、特に好ましくは85〜99.5モル%である。ケン化度が低すぎるとPVA系樹脂の柔軟性が高くなりすぎて、積層時の形状安定性が低下する傾向がある。
PVA系樹脂(a)の融点は、通常、120〜230℃、好ましくは150〜220℃であり、特に好ましくは190〜210℃である。融点が高すぎると積層造形の際の加工温度が高くなり樹脂が劣化する恐れがあり、低すぎると積層時にノズルからPVA系樹脂が溶融吐出できなくなる傾向がある。
また、通常のPVA系樹脂の場合、主鎖の結合様式は1,3−ジオール結合が主であり、主鎖中の1,2−ジオール結合の含有量は1.5〜1.7モル%程度であるが、ビニルエステル系モノマーを重合する際の重合温度を高温にすることによって含有量を増やすことができ、その含有量を1.8モル%以上、更には2.0〜3.5モル%有することが、例えば、後述のブロック共重合体(c)との親和性が向上する点で好ましい。
また、PVA系樹脂(a)として、ビニルエステル系樹脂の製造時に各種単量体を共重合させ、これをケン化して得られたものや、未変性PVAに後変性によって各種官能基を導入した各種変性PVA系樹脂を用いることができる。かかる変性は、PVA系樹脂(a)の水溶性が失われない範囲で行うことができ、通常は20モル%以下、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。
ビニルエステル系モノマーとの共重合に用いられる単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類及びそのアシル化物などの誘導体等が共重合されてもよい。
また、後反応によって官能基が導入されたPVA系樹脂としては、ジケテンとの反応によるアセトアセチル基を有するもの、エチレンオキサイドとの反応によるポリアルキレンオキサイド基を有するもの、エポキシ化合物等との反応によるヒドロキシアルキル基を有するもの、あるいは各種官能基を有するアルデヒド化合物をPVA系樹脂と反応させて得られたものなどをあげることができる。
かかる変性PVA系樹脂中の変性量、すなわち共重合体中の各種単量体に由来する構成単位、あるいは後反応によって導入された官能基の含有量は、変性種によって特性が大きく異なるため一概には言えないが、通常、0.1〜20モル%であり、特に0.5〜12モル%の範囲が好ましく用いられる。
本発明においては、これら各種変性PVA系樹脂の中でも、側鎖に一級水酸基を有する構造単位を含有するPVA系樹脂を用いることが好ましい。一級水酸基の数は、通常1〜5個であり、好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも二級水酸基を有することが好ましい。
そして、上記側鎖に一級水酸基を有する構造単位を含有するPVA系樹脂における、側鎖に一級水酸基を有する構造単位の含有量(変性率)は、構造単位の種類によって異なるが、通常0.1〜12モル%である。かかる変性率が低すぎると、モデル材との接着性が低下する傾向があり、変性率が高すぎるとガラス転移温度(Tg)が高くなりすぎ、冷却固化速度が速くなりすぎて、モデル材との接着性が低下する傾向がある。
このような側鎖に一級水酸基を有する構造単位を含有するPVA系樹脂としては、例えば、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂、側鎖にヒドロキシアルキル基構造単位を有するPVA系樹脂等があげられる。中でも、モデル材との親和性が向上し、モデル材との接着力が良好となるという点、さらには後述のブロック共重合体(c)との親和性に優れる点という点から、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(以下、「1,2−ジオール含有PVA系樹脂」という場合がある。)が好ましい。上記1,2−ジオール含有PVA系樹脂として、特に下記一般式(1)で表される側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂を用いることが、モデル材との接着力がより良好になる点、また後述のブロック共重合体(c)の水酸基と、この水酸基と反応しうる官能基との反応性が高くなる点で好ましい。
Figure 2017094599
かかる1,2−ジオール含有PVA系樹脂の一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位の含有量(変性率)は、通常、0.1〜10モル%であり、好ましくは0.5〜9モル%であり、更に好ましくは2〜8.5モル%であり、特に好ましくは5〜8モル%である。かかる変性率が低すぎると後述のブロック共重合体(c)の官能基との反応性が低下する傾向があり、高すぎると結晶化速度が遅くなりすぎて、積層時に形状が変形する傾向がある。
なお、1,2−ジオール構造単位以外の部分は、通常のPVA系樹脂と同様、ビニルアルコール構造単位と未ケン化部分のビニルエステル構造単位である。
一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位中のR〜R、およびR〜Rは、すべて水素原子であることが側鎖の末端が一級水酸基となり更にブロック共重合体の官能基との反応性が向上する点で望ましいが、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。炭素数1〜4のアルキル基は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等であり、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
また、一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位中のXは熱安定性の点や高温下や酸性条件下での安定性の点で単結合であるものが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよく、かかる結合鎖としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CHO)m−、−(OCH)m−、−(CHO)mCH−、−CO−、−COCO−、−CO(CHCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等(Rは各々独立した任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、また、mは1〜5の整数)があげられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で炭素数6以下のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは−CHOCH−が好ましい。
かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂の製造法としては、特に限定されないが、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(2)で示される化合物との共重合体をケン化する方法や、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法や、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられ、例えば特開2004−285143の段落[0011]〜[0019]に記載の方法で製造することができる。
Figure 2017094599
Figure 2017094599
Figure 2017094599
また、本発明にて用いられるPVA系樹脂(a)は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよく、その場合は、上述の未変性PVA系樹脂同士、未変性PVA系樹脂と上記一般式(1)で示される構造単位を有するPVA系樹脂、ケン化度、重合度、変性度などが異なる上記一般式(1)で示される構造単位を有するPVA系樹脂同士、未変性PVA系樹脂、あるいは上記一般式(1)で示される構造単位を有するPVA系樹脂と他の変性PVA系樹脂、などの組み合わせを用いることができる。
[特定のシリカ(b)]
上記PVA系樹脂(a)とともに用いられる特定のシリカ(b)は、BET比表面積が15〜350m/gという物性を有するシリカである。上記BET比表面積は、多孔質のシリカにおいて、どれだけの細孔を有しているかを示す指標であり、2次凝集の状態を示している。また、上記BET比表面積は、窒素吸着BET1点法により測定した値であり、測定手順はJIS Z 8830の規定に準ずる。上記BET比表面積は、好ましくは100〜300m/g、特に好ましくは150〜250m/gである。BET比表面積が小さすぎると、PVA系樹脂(a)内での分散均一性が悪く、BET比表面積が大きすぎると、耐水性の向上効果が低いものとなる。
上記BET比表面積に加えて、シリカ(b)の他の物性として、吸油量が100〜500ml/100gであることが好ましい。上記吸油量は、JIS K5101−13−1に準拠して測定される値である。
そして、上記特定のシリカ(b)の中でも、親水性という点から、非晶質シリカ、中でも、湿式シリカを用いることが好ましい。
上記特定のシリカ(b)の一次粒子径は、通常5〜60nmであり、好ましくは10〜30nm、特に好ましくは15〜25nmである。なお、シリカ(b)の一次粒子径は、母集団から任意の測定試料を取り出し、市販のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。一次粒子径が大きすぎると均一分散が困難で、サポート材の強度が低下する傾向があり、小さすぎるとサポート材自体の柔軟性が損なわれる傾向がある。
また、本発明においては、シリカ(b)の中でも、シリカ表面が疎水化処理されたものや無孔質のものは、PVA系樹脂(a)中での分散状態が悪く、不均一凝集を起こしたり、成形物の強度を著しく低下させる傾向があり、好ましくない。
上記特定のシリカ(b)の含有量は、通常、PVA系樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜15重量部が好ましく、更に好ましくは1〜10重量部、特に好ましくは2〜8重量部である。また、特定のシリカ(b)の含有量は、サポート材全体の0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜8重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。含有量が少なすぎると、サポート材に対して充分な低吸湿性効果を付与することが困難となる傾向があり、含有量が多すぎると、サポート材自体の強度が低下し、もろくなる傾向がある。
[特定のブロック共重合体(c)]
本発明においては、成形安定性を付与することを目的に、上記PVA系樹脂(a)および特定のシリカ(b)とともに、特定のブロック共重合体(c)を用いることができる。
上記特定のブロック共重合体(c)は、スチレンに代表される芳香族ビニル化合物の重合体ブロックをハードセグメントとし、ソフトセグメントとして共役ジエン化合物の重合体ブロックや、かかる重合体ブロックに残存する二重結合の一部、または全部が水素添加されたブロック、あるいはイソブチレンの重合体ブロックを有するものである。
さらに、上記特定のブロック共重合体(c)として、側鎖に水酸基と反応しうる官能基を有するものが用いられ、具体的にはカルボン酸基あるいはその誘導体基を有するものが好ましく用いられる。
かかるブロック共重合体(c)中の各ブロックの構成は、ハードセグメントをXで示し、ソフトセグメントをYで示した場合に、X−Yで表されるジブロック共重合体、X−Y−XまたはY−X−Yで表されるトリブロック共重合体、さらにXとYが交互に接続したポリブロック共重合体などをあげることができ、その構造も直鎖状、分岐状、星型などをあげることができる。中でも、力学特性の点でX−Y−Xで表される直鎖状のトリブロック共重合体が好適である。
ハードセグメントである芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの形成に用いられるモノマーとしては、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等のアルキルスチレン;モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン等のハロゲン化スチレン;ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどのベンゼン環以外の芳香環を有するビニル化合物、およびその誘導体等をあげることができる。かかる芳香族ビニル化合物の重合体ブロックは、上述のモノマーの単独重合体ブロックでも、二種以上の複数のモノマーによる共重合体ブロックでもよいが、スチレンの単独重合体ブロックが好適に用いられる。
なお、かかる芳香族ビニル化合物の重合体ブロックは、本発明の効果を阻害しない範囲で、芳香族ビニル化合物以外のモノマーが少量共重合されたものでもよく、かかるモノマーとしては、例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセン等のオレフィン類、ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物やアリルエーテル化合物等をあげることができ、その共重合比率は、通常、重合体ブロック全体の10モル%以下である。これらモノマーは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
ブロック共重合体(c)中の芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの重量平均分子量は、通常、10,000〜300,000であり、特に20,000〜200,000、さらに50,000〜100,000のものが好ましく用いられる。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレンを標準として求めた値である。
また、ソフトセグメントである重合体ブロックの形成に用いられるモノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン化合物、およびイソブチレンをあげることができ、これらを単独で用いても、二種以上の複数を組み合わせて用いてもよい。中でもイソプレン、ブタジエン、およびイソブチレンの単独重合ブロックや共重合ブロックが好ましく、特にブタジエン、あるいはイソブチレンの単独重合ブロックが好適に用いられる。
なお、かかる共役ジエン化合物の重合体ブロックの場合、重合によって複数の結合形式をとる場合があり、例えば、ブタジエンでは、1,2−結合によるブタジエン単位(−CH−CH(CH=CH)−)と1,4−結合によるブタジエン単位(−CH−CH=CH−CH−)が生成する。これらの生成比率は、共役ジエン化合物の種類により異なるので、一概にはいえないが、ブタジエンの場合、1,2−結合が生成する比率は、通常、20〜80モル%の範囲である。
かかる共役ジエン化合物による重合体ブロックは、残存する二重結合の一部または全部を水素添加することによって、スチレン系熱可塑性エラストマーの耐熱性や耐候性を向上させることが可能である。その際の水素添加率は、50モル%以上であることが好ましく、特に70モル%以上のものが好ましく用いられる。
なお、かかる水素添加により、例えばブタジエンの1,2−結合によるブタジエン単位は、ブチレン単位(−CH−CH(CH−CH)−)となり、1,4−結合によって生成するブタジエン単位は二つの連続したエチレン単位(−CH−CH−CH−CH−)となるが、通常は前者が優先して生成する。
なお、かかるソフトセグメントである重合体ブロックは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述のモノマー以外のモノマーが少量共重合されたものでもよく、かかるモノマーとしては、例えば、スチレンなどの芳香族ビニル化合物、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのオレフィン類、メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物やアリルエーテル化合物等をあげることができ、その共重合比率は、通常、重合体ブロック全体の10モル%以下である。これらモノマーは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、ブロック共重合体(c)中の共役ジエン化合物、あるいはイソブチレンに由来する重合体ブロックの重量平均分子量は、通常、10,000〜300,000であり、特に好ましくは20,000〜200,000であり、さらに好ましいは50,000〜100,000である。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレンを標準として求めた値である。
上述の通り、本発明に用いられるブロック共重合体(c)は、ハードセグメントが芳香族ビニル化合物の重合体ブロックであり、ソフトセグメントが共役ジエン化合物の重合体ブロック、またはその残存二重結合の一部、あるいは全部が水素添加された重合体ブロック、イソブチレンの重合体ブロックなどからなるものであり、その代表例としては、例えば、スチレンとブタジエンを原料とするスチレン/ブタジエンブロック共重合体(SBS)、SBSのブタジエン構造単位における側鎖二重結合が水素添加されたスチレン/ブタジエン/ブチレンブロック共重合体(SBBS)、さらに主鎖二重結合が水素添加されたスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンとイソプレンを原料とするスチレン/イソプレンブロック共重合体(SIPS)、スチレンとイソブチレンを原料とするスチレン/イソブチレンブロック共重合体(SIBS)などをあげることができ、中でも熱安定性、耐候性に優れるSEBSやSIBSが好ましく用いられる。
かかるブロック共重合体(c)中のハードセグメントである芳香族ビニル化合物の重合体ブロックとソフトセグメントである重合体ブロックの含有比率としては、重量比で、通常、ハードセグメント/ソフトセグメント=10/90〜70/30であり、特に、20/80〜50/50の範囲のものが好適である。芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの含有比率が多すぎたり、少なすぎたりすると、ブロック共重合体の柔軟性とゴム弾性のバランスが崩れる場合がある。
かかるブロック共重合体(c)は、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、共役ジエン化合物あるいはイソブチレンの重合体ブロックを有するブロック共重合体を得て、さらに必要に応じて共役ジエン化合物の重合体ブロック中の二重結合を水素添加することによって得ることができる。
まず、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、共役ジエン化合物、あるいはイソブチレンの重合体ブロックを有するブロック共重合体の製造法としては、公知の方法を用いることができるが、例えば、アルキルリチウム化合物等を開始剤とし、不活性有機溶媒中で芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物、あるいはイソブチレンを逐次重合させる方法等をあげることができる。
つぎに、この芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックを有するブロック共重合体を水素添加する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、水素化ホウ素化合物などの還元剤を用いる方法や、白金、パラジウム、ラネーニッケルなどの金属触媒を用いた水素還元などをあげることができる。
本発明にて用いられる、特定のブロック共重合体(c)は、側鎖に水酸基と反応しうる官能基を有することを特徴とするものである。かかる官能基は特にカルボン酸であることが好ましく、かかる側鎖に水酸基と反応しうる官能基を有するブロック共重合体(特定のブロック共重合体(c))を用いることによって、特に成形安定性に優れたサポート材を得ることが可能となる。
ブロック共重合体(c)中のカルボン酸の含有量としては、滴定法で測定した酸価が、通常、0.5〜20mgCHONa/gであり、特に1〜10mgCHONa/g、さらに1.5〜3mgCHONa/gのものが好ましく用いられる。
かかる酸価が低すぎると、官能基を導入した効果が充分に得られず、また、高すぎると架橋反応によりサポート材の溶融粘度が高くなりすぎる傾向がある。
かかるカルボン酸を含有する官能基をブロック共重合体に導入する方法としては、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、ブロック共重合体の製造時、すなわち、共重合時にα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体を共重合させる方法、あるいは、ブロック共重合体の製造後、これにα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体を付加させる方法が好ましく用いられる。かかる付加方法としては、例えば、ラジカル開始剤の存在下、あるいは非存在下、溶液中でのラジカル反応による方法や、押出機中で溶融混練する方法などをあげることができる。
かかるカルボン酸基導入に用いられるα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のα、β−不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート等のα、β−不飽和モノカルボン酸エステルなどをあげることができる。また、本発明のブロック共重合体に導入されたカルボン酸基は隣接するカルボン酸基との間で酸無水物構造を形成していてもよく、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸無水物等をあげることができる。
上記特定のブロック共重合体(c)の重量平均分子量は、通常、50,000〜500,000であり、特に120,000〜450,000、さらに150,000〜400,000のものが好ましく用いられる。
かかる重量平均分子量が大きすぎても小さすぎても、また、下記の溶融粘度が高すぎても低すぎても、PVA系樹脂(a)中に上記特定のブロック共重合体(c)が均一分散したモルホロジーが得られず、樹脂の機械物性が低下する傾向がある。
なお、かかるブロック共重合体(c)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレンを標準として求めた値である。
また、ブロック共重合体(c)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は、通常100〜3000mPa・sであり、特に300〜2000mPa・s、さらに800〜1500mPa・sのものが好ましく用いられる。
また、本発明においては、上述の特定のブロック共重合体(c)として、一種類のものを用いてもよいが、所望の特性を得る目的で複数のものを適宜混合して用いることも可能である。
かかる反応性の官能基を有するブロック共重合体(c)の市販品としては、例えばSEBSのカルボキシル基変性品である旭化成社製の「タフテックMシリーズ」や、JSR社製の「f−ダイナロン」、シェルジャパン社製の「クレイトンFG」等をあげることができる。
上記特定のブロック共重合体(c)の含有量は、通常、PVA系樹脂(a)100重量部に対して、5〜100重量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜70重量部、特に好ましくは15〜60重量部である。また、特定のブロック共重合体(c)の含有量は、サポート材全体の5〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは25〜40重量%である。含有量が少なすぎると、成形安定性を付与することが困難となる傾向があり、モデル材との接着性も低下する傾向がある。含有量が多すぎると、成形物の柔軟性が高くなりすぎ、寸法安定性が低下する傾向がある。
[積層造形用サポート材]
本発明の積層造形用サポート材は、上記PVA系樹脂(a)とともに、上記特定のシリカ(b)、さらに好ましくは特定のブロック共重合体(c)を含有する樹脂組成物からなるものであるが、通常サポート材はストランド状に成形され、リールに巻きつけられた状態で積層造形装置のヘッド部に供給,設置されるため、リールに巻きつけられても破断しない程度の柔軟性と靭性を要求されることがあり、実用に供する場合には各種添加剤を適宜配合することが好ましい。本発明におけるサポート材中の、PVA系樹脂(a)の含有量は通常、サポート材全体の45〜95重量%、好ましくは55〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%である。かかる含有量が少なすぎると水溶解除去性が低下する傾向があり、多すぎると柔軟性が低下する傾向がある。
上記添加剤として、例えば、本発明のようなサポート材には可塑剤が配合されることがあるが、サポート材の成形安定性の向上および低吸湿性を実現させるには可塑剤の含有量は少ないことが好ましく、サポート材全体の20重量%以下、さらには10重量%以下、さらには1重量%以下、特には0.1重量%以下であることが好ましい。
また、平衡吸湿率としては、通常、0.1〜40重量%であり、かかる平衡吸湿率が大きすぎると、サポート材中の水分が多くなり過ぎ、成形安定性が低下する傾向がある。
さらに、上記各種添加剤として、例えば、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の公知の添加剤、また前記特定のブロック共重合体(c)以外の他の熱可塑性樹脂を適宜配合することができる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、相溶性の面からマレイン酸変性の各種熱可塑性樹脂やポリアミド樹脂があげられる。
上記各種添加剤の含有量としては、上記可塑剤の場合と同様、サポート材全体の20重量%以下、さらには10重量%以下、さらには1重量%以下、特には0.1重量%以下であることが好ましい。
本発明の積層造形用サポート材の溶融粘度としては、210℃で2160gの荷重下において、JIS K7210に準拠して測定したメルトフローレート(MFR)で、0.2〜25g/10分が好ましく、特に好ましくは1.0〜15g/10分、さらに好ましくは2.0〜10g/10分である。かかる溶融粘度が低すぎると形状形成時にノズルから垂れが発生し、形状形成の妨げとなる傾向があり、高すぎるとノズルの詰まりの原因となりやすい傾向がある。
本発明の積層造形用サポート材の作製方法としては、例えば、上記の各成分について、所定量を混合、加熱して溶融状態にて混練し、ストランド状に押出した後、冷却し、リールに巻き取ることにより積層造形に適用されるサポート材を製造する方法があげられる。具体的には、各成分を予め混合したもの、もしくは別々に単軸または多軸の押出機に供給され、加熱溶解混練されて、1穴もしくは多穴のストランドダイスから直径1.5〜3.0mmのストランド状に押出され、空冷または水冷等により冷却固化した後、リールに巻き取られる。リールに巻き取られたサポート材の重量は、0.5〜2kg/個程度である。ストランドの径は安定していることが必要であり、また、リールに巻きつけられても破断しない程度の柔軟性と靭性を有し、積層造形の際、ヘッドに遅滞なく送り出される程度の剛性が必要である。
[積層造形物の製造方法、および積層造形物]
本発明の積層造形用サポート材を用いた積層造形物の製造方法について説明する。
積層造形に用いられる積層造形装置はモデル材とサポート材を各々押し出せるヘッドを複数個以上持つ熱溶融による積層造形ができるものであれば公知のものを用いればよく、例えば、フラッシュフォージ社製クリエイト、レイズ・エンタープライズ社製Eagleed、3Dシステムズ社製MBot Grid II、ストラタシス社製uPrint SE等のデュアルヘッドタイプの積層造形装置を用いることができる。立体を形作る上記モデル材としては、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン等種々の樹脂が検討されているが、溶融成形性、熱安定性、固化後の機械物性からABS樹脂が主に用いられ、サポート材はかかるABS樹脂との密着性に優れることが要求される。
モデル材についてもサポート材と同様に、ストランド状に成形され、リールに巻かれた状態で提供される。モデル材とサポート材のストランドは積層造形装置の別々のヘッドに供給され、ヘッド部で加熱溶解され、別々のノズルからステージ上に押し付けられる様に流動状態にて積層されていく。ヘッド部での溶融温度は、通常150〜240℃で、200〜1000psiの圧力で押出され、積層ピッチは、通常200〜350μmである。
上記のように、サポート材およびモデル材により作製された積層物は、冷却固化された後、上記積層物からサポート材を除去することにより、最終目的物である積層造形物が得られる。そして、例えば、本発明の積層造形用サポート材は水を用いて溶解除去することができる。上記溶解除去の方法として、容器に入れられた水もしくは温水に積層物を浸漬してサポート材を溶解除去しても良いし、積層物のサポート材を流水で洗い流しても良い。もちろんサポート材を引き剥がした後、残っている部分を水で水溶解除去してもよい。積層物を浸漬してサポート材を溶解除去する場合は、溶解除去時間を短縮するために水(温水)を撹拌したり超音波を与えることが好ましく、また、水温は25〜80℃程度が好ましい。サポート材の溶解除去に際しては、サポート材の重量に対し、10〜10000倍程度の水もしくは温水が使用される。そして、本発明の積層造形用サポート材は比較的低温でも溶解除去が容易であることも特徴である。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は、断りのない限り重量基準を意味する。
〔実施例1〕
(i)1,2−ジオール含有PVA系樹脂(1)の製造
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル85g(全体の10%を初期仕込み)、メタノール460g、及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン13.6g(7.2モル%対仕込み酢酸ビニル)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.2モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに、重合開始0.5時間後に酢酸ビニル(全体の90%)を8時間滴下(滴下速度95.6g/hr)。重合開始から2.5時間目と4.5時間目にアゾビスイソブチロニトリルを0.1モル%ずつ追加し、酢酸ビニルの重合率が85%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
ついで、上記溶液をメタノールで希釈し、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して9ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、さらに2%メタノール溶液を酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4ミリモル追加しケン化を行った。その後、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量を添加し、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、1,2−ジオール含有PVA系樹脂(1)を得た。
得られた1,2−ジオール含有PVA系樹脂(1)のケン化度は、樹脂中の残存酢酸ビニルおよび3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、87モル%であった。また、平均重合度は、JIS K6726に準じて分析を行ったところ、350であった。そして、融点を示差熱分析装置DSCで測定したところ177℃であった。
また、前記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位の含有量は、H−NMR(300MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、3モル%であった。
(ii)サポート材の製造
上記1,2−ジオール含有PVA系樹脂(1)66.5部と、シリカ(東ソーシリカ社製 NS−P:BET比表面積220m/g、一次粒子径15nm)5部と、ブロック共重合体(c)としてカルボン酸基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCHONa/g、重量平均分子量20万)28.5部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、下記条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、下記の評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔製造条件〕
押出機:テクノベル社製 15mmφ L/D=60
押出温度(℃):C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=150/170/180/190/200/210/220/220/220
回転数:200rpm
吐出量:1.5kg/時
(iii)サポート材の評価
〔平衡吸湿率〕
上記サポート材(フィラメント)を、長さ2mm(約3g)にカットし、アルミカップに入れ、50℃×90%RHの雰囲気下に放置し、経時的に重量増加分を測定した。そして、重量変化がなくなり、重量が一定になった時の吸湿率を測定した。
〔造形物の形状安定性〕
3Dプリンター(Ninjabot社製 FDM−200HW−X)に上記で得られたサポート材(フィラメント)をセットし、縦2cm×横2cm×高さ2cmの立方体を造形した。得られた立方体の角度および一辺の長さ(合計4カ所)を各々測定して、以下の基準で評価した。
<合格範囲>
角:90°±1°
一辺(縦、横、高さにおける各々の長さ):2cm±0.5mm
<評価基準>
A:4カ所とも合格範囲に適合。
B:3カ所が合格範囲に適合。
C:2カ所が合格範囲に適合。
D:1カ所のみ合格範囲に適合。
〔実施例2〕
(i)1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)の製造
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル85g(全体の10%を初期仕込み)、メタノール460g、及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン13.6g(7.2モル%対仕込み酢酸ビニル)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.2モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに、重合開始0.5時間後に酢酸ビニル(全体の90%)を8時間滴下(滴下速度95.6g/hr)。重合開始から2.5時間目と4.5時間目にアゾビスイソブチロニトリルを0.1モル%ずつ追加し、酢酸ビニルの重合率が85%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
ついで、上記溶液をメタノールで希釈し、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウム中のナトリウム分2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して9ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、さらに2%メタノール溶液を酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4ミリモル追加しケン化を行った。その後、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量を添加し、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)を得た。
得られた1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)のケン化度は、樹脂中の残存酢酸ビニルおよび3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、99モル%であった。また、平均重合度は、JIS K6726に準じて分析を行ったところ、390であった。そして、融点を示差熱分析装置DSCで測定したところ184℃であった。また、前記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位の含有量は、H−NMR(300MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、7.2モル%であった。
(ii)サポート材の製造
上記1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)66.5部と、シリカ(東ソーシリカ社製 NS−P:BET比表面積220m/g、一次粒子径15nm)5部と、ブロック共重合体(c)としてカルボン酸基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCHONa/g)28.5部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔実施例3〕
(ii)サポート材の製造
実施例2で作製した1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)95部と、シリカ(東ソーシリカ社製 NS−P:BET比表面積220m/g、一次粒子径15nm)5部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔実施例4〕
(ii)サポート材の製造
実施例2で作製した1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)69.9部と、シリカ(東ソーシリカ社製 NS−P:BET比表面積220m/g、一次粒子径15nm)0.1部と、ブロック共重合体(c)としてカルボン酸基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCHONa/g)29.9部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔実施例5〕
(ii)サポート材の製造
実施例2で作製した1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)63部と、シリカ(東ソーシリカ社製 NS−P:BET比表面積220m/g、一次粒子径15nm)10部と、ブロック共重合体(c)としてカルボン酸基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCHONa/g)27部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔実施例6〕
(ii)サポート材の製造
実施例2で作製した1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)85.5部と、シリカ(東ソーシリカ社製 NS−P:BET比表面積220m/g、一次粒子径15nm)5部と、ブロック共重合体(c)としてカルボン酸基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCHONa/g)9.5部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔実施例7〕
(ii)サポート材の製造
実施例2で作製した1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)57部と、シリカ(東ソーシリカ社製 NS−P:BET比表面積220m/g、一次粒子径15nm)5部と、ブロック共重合体(c)としてカルボン酸基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCHONa/g)38部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔実施例8〕
(ii)サポート材の製造
実施例2で作製した1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)66.5部と、シリカ(東ソーシリカ社製 E―220A:BET比表面積160m/g、一次粒子径30nm)5部と、ブロック共重合体(c)としてカルボン酸基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCH3ONa/g)28.5部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔実施例9〕
(ii)サポート材の製造
実施例2で作製した1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)66.5部と、シリカ(東ソーシリカ社製 AZ204:BET比表面積250m/g、一次粒子径17nm)5部と、ブロック共重合体(c)としてカルボン酸基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCHONa/g)28.5部をドライブレンドした後、これを二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔比較例1〕
(i)PVA系樹脂の製造
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル100部、メタノール100部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.15モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに、重合開始5時間後にアゾビスイソブチロニトリルを0.05モル%追加し、酢酸ビニルの重合率が85%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
ついで、上記溶液をメタノールで希釈し、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、ナトリウム分濃度が2%の水酸化ナトリウムのメタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して水酸化ナトリウム4.3ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、中和用の酢酸を加えた水酸化ナトリウムの1.0当量を添加し、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂を得た。
得られたPVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸ビニルに要するアルカリ消費量で分析を行ったところ88モル%であった。また平均重合度は、JIS K6726に準拠して分析を行ったところ500であった。
(ii)サポート材の製造
上記PVA系樹脂100部を二軸押出機に供給し、上記実施例1と同じ条件で溶融混練し、直径1.75mmのストランド状に押出して、ベルト上で空冷し、リールに巻き取り、サポート材(フィラメント)を得た。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
〔比較例2〕
比較例1で作製したPVA系樹脂に代えて、実施例2で作製した1,2−ジオール含有PVA系樹脂(2)を用いた以外は、比較例1と同様にしてサポート材(フィラメント)を作製した。そのサポート材(フィラメント)について、上記実施例1と同様にして評価(平衡吸湿率、造形物の形状安定性)を行った。その結果を後記の表1に示す。
Figure 2017094599
上記結果から明らかなように、PVA系樹脂(a)とともに特定のシリカ(b)を含有してなる実施例品は、平衡吸湿率が40%以下であり、低吸湿性に優れていることがわかる。また、造形物の形状安定性評価に関しても、良好な結果が得られた。特に、PVA系樹脂(a)および特定のシリカ(b)に加えて、特定のブロック共重合体(c)を含有してなる実施例1,2,4,5,7,8,9品は、平衡吸湿率が30%以下であり、低吸湿性に一層優れたものが得られたことがわかる。これに対して、特定のシリカ(b)を用いなかった比較例品は、いずれも平衡吸湿率が40%を超えて高いものであった。また、造形物の形状安定性評価に関しても、実施例に比べて劣る結果となった。
本発明の積層造形用サポート材は、低吸湿性に優れており、熱溶融積層法による造形時のサポート材として好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂(a)、及び、BET比表面積が15〜350m/gのシリカ(b)を含有することを特徴とする積層造形用サポート材。
  2. シリカ(b)の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂(a)100重量部に対して、0.1〜15重量部であることを特徴とする積層造形用サポート材。
  3. さらに、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロック及びその水素添加ブロックの少なくとも一方を有し、さらに水酸基と反応する官能基を有するブロック共重合体(c)を含有することを特徴とする請求項1または2記載の積層造形用サポート材。
  4. ブロック共重合体(c)の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂(a)100重量部に対して、5〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層造形用サポート材。
  5. ポリビニルアルコール系樹脂(a)が、側鎖に一級水酸基を有する構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層造形用サポート材。
  6. 側鎖に一級水酸基を有する構造単位が、側鎖に1,2−ジオール構造を有する構造単位であることを特徴とする請求項5記載の積層造形用サポート材。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層造形用サポート材を用いて得られたことを特徴とする積層造形物。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層造形用サポート材とモデル材とを順次、流動状態で積層し、固化した後、上記サポート材を除去することを特徴とする積層造形物の製造方法。
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