以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において同一部分または相当部分は、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機100の構成を示す概略図である。貯湯式給湯機100は、水源から供給された低温の水を沸き上げる。水源は、例えば市水である。また貯湯式給湯機100は、沸き上げた水を任意の給湯先に供給する。任意の給湯先には、例えば蛇口及びシャワーが含まれる。
貯湯式給湯機100は、図1に示すように、ヒートポンプユニット1及び貯湯ユニット10を備える。ヒートポンプユニット1と貯湯ユニット10とは、例えば配管を介して接続される。ヒートポンプユニット1には、貯湯ユニット10から低温の水が供給される。ヒートポンプユニット1は、貯湯ユニット10から供給された水を沸き上げる。ヒートポンプユニット1によって沸き上げられた水は、貯湯ユニット10へ供給される。
ヒートポンプユニット1は、例えばヒートポンプサイクルを利用して水を加熱する。ヒートポンプユニット1は、水を加熱する加熱装置の一例として、圧縮機2及び水冷媒熱交換器3を備える。水冷媒熱交換器3の一次側と圧縮機2とは、例えば図示しない配管によって接続される。
水冷媒熱交換器3の一次側と圧縮機2とを繋ぐ配管には、冷媒が流れる。水冷媒熱交換器3の一次側には、圧縮機によって圧縮された冷媒が流れる。また水冷媒熱交換器3の二次側には、加熱対象となる水が流れる。水冷媒熱交換器3は、一次側を流れる冷媒と二次側を流れる水との間で熱交換を行う。これにより、水冷媒熱交換器3の二次側を流れる水は加熱される。
またヒートポンプユニット1は、HPU制御基板4及び出湯温度サーミスタ5を備える。HPU制御基板4は、圧縮機2及び出湯温度サーミスタ5と電気的に接続される。HPU制御基板4と圧縮機2とは、例えば通信線20aによって接続される。HPU制御基板4と出湯温度サーミスタ5とは、例えば通信線20bによって接続される。
HPU制御基板4は、圧縮機2を制御する。出湯温度サーミスタ5は、水冷媒熱交換器3によって熱交換された水の温度を検出する。HPU制御基板4は、出湯温度サーミスタ5によって検出された温度の情報を受信する。HPU制御基板4は、例えば出湯温度サーミスタ5から受信した情報に基づいて、圧縮機2を制御する。
貯湯ユニット10は、貯湯タンク11を備える。貯湯タンク11には、水が貯留される。貯湯タンク11には、例えば上下で温度差を生じるように水が貯留される。貯湯タンク11の上部には、高温の水が貯留される。貯湯タンク11の下部には、低温の水が貯留される。
貯湯タンク11は、入水口11a、出水口11b、入湯口11c及び出湯口11dを有する。入水口11a及び出水口11bは、貯湯タンク11の下部に形成される。入湯口11c及び出湯口11dは、貯湯タンク11の上部に形成される。
入水口11aには、入水配管30の一端が接続される。入水配管30の他端は、貯湯式給湯機100の外部の水源へ接続される。入水配管30には、水源から低温の水が流れる。入水配管30を流れる低温の水は、入水口11aから貯湯タンク11内の下部へ供給される。
出水口11bには、HPU入水配管31の一端が接続される。HPU入水配管31の他端は、水冷媒熱交換器3の二次側流入口へ接続される。また入湯口11cには、HPU出湯配管32の一端が接続される。HPU出湯配管32の他端は、水冷媒熱交換器3の二次側流出口へ接続される。本実施の形態のヒートポンプユニット1と貯湯ユニット10とは、HPU入水配管31及びHPU出湯配管32によって接続される。
HPU出湯配管32には、例えばヒートポンプユニット1の内部で、出湯温度サーミスタ5が設けられる。出湯温度サーミスタ5は、HPU出湯配管32を流れる水の温度を検出する。なお出湯温度サーミスタ5は本例以外にも、例えばヒートポンプユニット1の外部で、HPU出湯配管32に設けられてもよい。
貯湯タンク11内の下部に貯留された低温の水は、出水口11bからHPU入水配管31へ流れる。HPU入水配管31を流れる低温の水は、水冷媒熱交換器3の二次側へ供給される。水冷媒熱交換器3の二次側へ供給された水は、熱交換されて高温の水になる。熱交換された高温の水は、HPU出湯配管32へ流れる。HPU出湯配管32を流れる高温の水は、入湯口11cから貯湯タンク11内の上部へ供給される。
出湯口11dには、給湯配管33の一端が接続される。給湯配管33の他端は、任意の給湯先へ接続される。貯湯タンク11内の上部に貯留された高温の水は、出湯口11dから給湯配管33へ流れる。給湯配管33を流れる高温の水は、任意の給湯先へ供給される。
また貯湯ユニット10は、沸き上げ用ポンプ12、タンクサーミスタ13及びTU制御基板14を備える。TU制御基板14は、HPU制御基板4と電気的に接続される。TU制御基板14とHPU制御基板4とは、例えば通信線20cによって接続される。TU制御基板14とHPU制御基板4とは、相互通信を行う。
またTU制御基板14は、沸き上げ用ポンプ12及びタンクサーミスタ13と電気的に接続される。TU制御基板14と沸き上げ用ポンプ12とは、例えば通信線20dによって接続される。またTU制御基板14とタンクサーミスタ13とは、例えば通信線20eによって接続される。
沸き上げ用ポンプ12は、例えば貯湯ユニット10の内部でHPU入水配管31に設けられる。沸き上げ用ポンプ12は、HPU入水配管31、水冷媒熱交換器3及びHPU出湯配管32へ水を循環させる。なお沸き上げ用ポンプ12は、例えば貯湯ユニット10の外部に設けられてもよい。また沸き上げ用ポンプ12は、例えばHPU出湯配管32へ設けられてもよい。
上述の通り、本実施の形態の圧縮機2及び水冷媒熱交換器3は、加熱装置の一例である。貯湯タンク11内の下部に貯留された低温の水は、沸き上げ用ポンプ12によって、水冷媒熱交換器3へ供給される。本実施の形態の沸き上げ用ポンプ12は、加熱装置に水を供給する水供給装置の一例である。沸き上げ用ポンプ12は、TU制御基板14によって制御される。
また圧縮機2及び水冷媒熱交換器3によって加熱された水は、沸き上げ用ポンプ12によって、貯湯タンク11の上部へ供給される。圧縮機2、水冷媒熱交換器3及び沸き上げ用ポンプ12は、水を沸き上げて貯湯タンク11へ供給するものである。本実施の形態の圧縮機2、水冷媒熱交換器3及び沸き上げ用ポンプ12は、本発明の沸き上げ手段の一例である。
タンクサーミスタ13は、例えば貯湯タンク11の表面に設けられる。タンクサーミスタ13は、貯湯タンク11内の水の温度を検出する。なおタンクサーミスタ13は、複数設けられてもよい。複数のタンクサーミスタ13は、例えばそれぞれ異なる取り付け高さで貯湯タンク11の表面に設けられる。TU制御基板14は、タンクサーミスタ13によって検出された温度の情報を受信する。
本実施の形態のTU制御基板14は、一例として制御部14a、時刻判定部14b及び熱量算出部14cを有する。制御部14aは、沸き上げ用ポンプ12を制御する部位である。制御部14aは、例えば沸き上げ用ポンプ12の回転数を変更する。これにより、沸き上げ用ポンプ12が単位時間当たりに供給する水の量が調整される。
また制御部14aは、例えばHPU制御基板4へ信号を送信する。HPU制御基板4は、例えば制御部14aから受信した信号に基づいて動作する。HPU制御基板4及び制御部14aは、本発明の制御手段の一例である。
時刻判定部14bは、現在時刻が第1時間帯であるか第2時間帯であるか判定する判定手段の一例である。第2時間帯は、一日のうちの第1時間帯ではない時間帯である。第2時間帯は、第1時間帯に比べて電気料金単価が高額な時間帯である。第1時間帯及び第2時間帯の情報は、例えば使用者によって時刻判定部14bに設定される。時刻判定部14bは、例えば設定された情報に基づいて、現在時刻が第1時間帯であるか第2時間帯であるか判定する。
第1時間帯は、例えば深夜時間帯として設定される。深夜時間帯は、例えば23時から7時までの8時間の時間帯である。第2時間帯は、例えば昼間時間帯として設定される。昼間時間帯は、深夜時間帯ではない時間帯である。なお第1時間帯及び第2時間帯は、本例に限られるものではない。
なお本発明における判定手段は、現在時刻が第1時間帯であるか第2時間帯であるか判定するものであればよく、上記実施例に限られるものではない。例えば時刻判定部14bには、電気料金の閾値が予め設定されてもよい。また時刻判定部14bは、例えばインターネット等を介して電力供給事業者から電気料金の情報を受信可能な構成としてもよい。
時刻判定部14bは、例えば電力供給事業者から受信した情報及び設定された閾値に基づいて現在時刻の判定を行ってもよい。時刻判定部14bは、例えば現在時刻の電気料金が閾値よりも低い場合には、現在時刻が第1時間帯であると判定する。時刻判定部14bは、現在時刻の電気料金が閾値以上の場合には、現在時刻が第2時間帯であると判定する。
熱量算出部14cは、貯湯タンク11内の水の熱量を算出するためのものである。熱量算出部14cは、例えば貯湯タンク11内の水の温度の情報をタンクサーミスタ13から受信する。熱量算出部14cは、例えばタンクサーミスタ13から受信した情報に基づいて貯湯タンク11内の水の熱量を算出する。熱量算出部14c及びタンクサーミスタ13は、貯湯タンク11内の水の熱量を算出する算出手段の一例である。
また本実施の形態の貯湯式給湯機100は、リモートコントローラ40を備える。リモートコントローラ40は、TU制御基板14と電気的に接続される。リモートコントローラ40は、例えば通信線20fによって、TU制御基板14に接続される。リモートコントローラ40とTU制御基板14とは、相互通信を行う。
図2は、リモートコントローラ40を示す概略図である。リモートコントローラ40は、表示手段の一例として表示部41を有する。表示部41は、例えば貯湯式給湯機100の運転モード等を表示する。またリモートコントローラ40は、停止手段の一例として停止スイッチ42を有する。停止スイッチ42は、使用者によって操作される。停止スイッチ42は、使用者からの操作に応じて手動停止指示をTU制御基板14へ送信する。手動停止指示は、貯湯式給湯機100の運転を任意の時点で停止させるためのものである。
次に、貯湯式給湯機100の動作について説明する。貯湯式給湯機100は、沸き上げ運転を行う。沸き上げ運転とは、貯湯タンク11内の下部に貯留された低温の水をヒートポンプユニット1によって沸き上げて貯湯タンク11内の上部へ供給する運転である。
貯湯式給湯機100は、例えば貯湯タンク11内の水の熱量が最低熱量以下になると、沸き上げ運転を開始する。最低熱量は、例えば制御部14aに予め設定される。制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が最低熱量以下になると、沸き上げ用ポンプ12を動作させる。これにより貯湯タンク11内の水は、HPU入水配管31、水冷媒熱交換器3及びHPU出湯配管32を循環する。
また制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が最低熱量以下になると、沸き上げ指示信号をHPU制御基板4へ送信する。HPU制御基板4は、沸き上げ指示信号を受信すると、圧縮機2を動作させる。沸き上げ用ポンプ12及び圧縮機2が動作することによって、沸き上げ運転が開始する。なお沸き上げ運転が開始する時点は、本例に限られない。貯湯式給湯機100は本例以外にも、例えば予め設定された一定の時刻になると沸き上げ運転を開始する構成としてもよい。
沸き上げ運転が行われている際、HPU制御基板4は、出湯温度サーミスタ5によって検出される温度の情報を出湯温度サーミスタ5から受信する。HPU制御基板4は、受信した情報を制御部14aへ送信する。制御部14aは、HPU制御基板4から受信した情報に基づいて沸き上げ用ポンプ12を制御する。制御部14aは、例えば出湯温度サーミスタ5によって検知される温度が目標温度となるように沸き上げ用ポンプ12の回転数を変更する。目標温度は、例えば制御部14aに予め設定される。
貯湯式給湯機100は、例えば貯湯タンク11内の水の熱量が目標熱量以上になるまで沸き上げ運転を継続する。目標熱量は、例えば制御部14aに予め記憶される。例えば制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が目標熱量以上になると、沸き上げ用ポンプ12を停止する。これにより沸き上げ用ポンプ12、HPU入水配管31、水冷媒熱交換器3及びHPU出湯配管32への水の循環が停止する。
また制御部14aは、例えば熱量算出部14cによって算出された熱量が目標熱量以上になると、沸き上げ停止信号をHPU制御基板4へ送信する。HPU制御基板4は、沸き上げ停止信号を受信すると、圧縮機2を停止させる。沸き上げ用ポンプ12及び圧縮機2が停止することによって、沸き上げ運転が停止する。
また本実施の形態の貯湯式給湯機100は、第1時間帯と第2時間帯とでは、それぞれ異なる運転モードで沸き上げ運転を行う。貯湯式給湯機100は、第1時間帯では第1モードの一例である通常モードで沸き上げ運転を行う。また貯湯式給湯機100は、第2時間帯では第2モードの一例である低消費電力モードで沸き上げ運転を行う。低消費電力モードでの圧縮機2及び沸き上げ用ポンプ12の消費電力は、通常モードでの圧縮機2及び沸き上げ用ポンプ12の消費電力に比べて少ない。
沸き上げ運転が行われている際、時刻判定部14bは、現在時刻が第1時間帯であるか第2時間帯であるかの判定を随時行う。沸き上げ運転が行われている際、制御部14aは、時刻判定部14bの判定結果に基づいて動作する。またHPU制御基板4は、制御部14aから信号を随時受信する。HPU制御基板4は、制御部14aから受信した信号に基づいて随時動作する。
図3は、貯湯式給湯機100が沸き上げ運転を行う際の制御の例を示すフローチャートである。沸き上げ運転が行われている際、上述の通り時刻判定部14bは、現在時刻が第1時間帯であるか第2時間帯であるかの判定を行う(ステップS101)。
ステップS101で現在時刻が第1時間帯であると時刻判定部14bによって判定されると、制御部14aは、通常モードで沸き上げ用ポンプ12を動作させる。制御部14aは、上述の通り出湯温度サーミスタ5によって検知される温度が目標温度となるように沸き上げ用ポンプ12を制御する。
また制御部14aは、沸き上げ指示信号及び通常モード指示信号をHPU制御基板4へ送信する。HPU制御基板4は、沸き上げ指示信号及び通常モード指示信号を受信すると、通常モードで圧縮機2を動作させる。これにより、通常モードでの沸き上げ運転が行われる(ステップS102)。
加熱装置の一例である圧縮機2及び水冷媒熱交換器3の通常モードでの加熱能力は、例えば第1時間帯の開始時刻から終了時刻までの時間内に貯湯タンク11内の水の熱量が目標熱量以上となるように設定される。例えば貯湯タンク11の容量が370Lで第1時間帯の長さが8時間の場合、加熱装置の一例である圧縮機2及び水冷媒熱交換器3の通常モードでの加熱能力は、4.5kWとしてHPU制御基板4に設定される。
本実施の形態における加熱装置の一例である圧縮機2及び水冷媒熱交換器3の加熱能力を、以下では単に加熱能力と呼称する。また加熱装置の一例である圧縮機2及び水冷媒熱交換器3の消費電力を、以下では加熱消費電力と呼称する。
HPU制御基板4は、加熱能力が設定された値となるように圧縮機2を制御する。HPU制御基板4は、例えば圧縮機2の回転数を変更することによって加熱能力を調整する。加熱能力が調整されることにより、消費電力が調整される。
例えば加熱能力が4.5kWで成績係数が3.0の場合、加熱消費電力は1.5kWとなる。成績係数とは、加熱能力を消費電力で除算したものとして定義される値である。なお、貯湯タンク11の容量は本例に限られるものではない。同様に、加熱能力、成績係数及び加熱消費電力についても本例に限られるものではない。
制御部14aは、ステップS102で通常モードで沸き上げ用ポンプ12を動作させると、現在の運転モードが通常モードであることを表示部41に表示させる(ステップS103)。表示部41は、例えば図2に示すように、現在行われている沸き上げ運転の運転モードを表示する。
制御部14aは、表示部41に現在の運転モードを表示させると、停止スイッチ42から手動停止指示を受信したか判定する(ステップS104)。制御部14aは、手動停止指示を受信していないと判定すると、熱量算出部14cによって算出された熱量が目標熱量以上であるか判定する(ステップS105)。
制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が目標熱量以上であるとステップS105で判定すると、沸き上げ用ポンプ12を停止する。また制御部14aは、沸き上げ停止信号をHPU制御基板4へ送信する。HPU制御基板4は、沸き上げ停止信号を受信すると、圧縮機2を停止させる。これにより、沸き上げ運転が停止する。
また制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が目標熱量以上でないとステップS105で判定した場合には、沸き上げ用ポンプ12を停止しない。制御部14aは、沸き上げ停止信号をHPU制御基板4へ送信しない。沸き上げ運転は継続して行われる。沸き上げ運転が継続して行われると、上記ステップS101の判定が再び実行される。
また制御部14aは、ステップS101で現在時刻が第2時間帯であると時刻判定部14bによって判定されると、低消費電力モードで沸き上げ用ポンプ12を動作させる。制御部14aは、出湯温度サーミスタ5によって検知される温度が目標温度となるように沸き上げ用ポンプ12を制御する。
また制御部14aは、沸き上げ指示信号及び低消費電力モード指示信号をHPU制御基板4へ送信する。HPU制御基板4は、沸き上げ指示信号及び低消費電力モード指示信号を受信すると、低消費電力モードで圧縮機2を動作させる。これにより、低消費電力モードでの沸き上げ運転が行われる(ステップS106)。
HPU制御基板4は、低消費電力モードでの加熱能力が通常モードでの加熱能力よりも低くなるように、圧縮機2を制御する。HPU制御基板4は、例えば低消費電力モードでの圧縮機2の回転数を通常モードでの圧縮機2の回転数よりも少なくする。これにより、低消費電力モードでの加熱能力は、通常モードでの加熱能力よりも低くなる。また、低消費電力モードでの加熱消費電力は、通常モードでの加熱消費電力よりも少なくなる。
低消費電力モードでの加熱能力は、例えば0.6kWとしてHPU制御基板4に設定される。HPU制御基板4は、加熱能力が設定された値となるように圧縮機2を制御する。例えば加熱能力が0.6kWで成績係数が3.0の場合、加熱消費電力は0.2kWとなる。なお、通常モードと同様に、低消費電力モードでの加熱能力、成績係数及び加熱消費電力は、本例に限られるものではない。
また低消費電力モードでの目標温度は、通常モードでの目標温度と同じ温度である。制御部14aは、出湯温度サーミスタ5によって検知される温度が通常モードと低消費電力モードとで同じになるように、沸き上げ用ポンプ12を制御する。
TU制御基板14は、例えば低消費電力モードでの沸き上げ用ポンプ12の回転数を通常モードでの沸き上げ用ポンプ12の回転数よりも少なくする。低消費電力モードで沸き上げ用ポンプ12によって水冷媒熱交換器3へ単位時間当たりに供給される水の量は、通常モードで沸き上げ用ポンプ12によって水冷媒熱交換器3へ単位時間当たりに供給される水の量よりも少なくなる。水冷媒熱交換器3へ単位時間当たりに供給される水の量が少なくなることにより、通常モードに比べて加熱能力が低い低消費電力モードでも、通常モードと同じ目標温度の水が沸き上げられる。
また沸き上げ用ポンプ12の回転数が少なくなることにより、沸き上げ用ポンプ12の消費電力が少なくなる。低消費電力モードでの圧縮機2、水冷媒熱交換器3及び沸き上げ用ポンプ12の消費電力は、通常モードでの圧縮機2、水冷媒熱交換器3及び沸き上げ用ポンプ12の消費電力よりも少なくなる。
制御部14aは、ステップS106で沸き上げ用ポンプ12を低消費電力モードで動作させると、現在の運転モードが低消費電力モードであることを表示部41に表示させる(ステップS107)。また制御部14aは、表示部41に現在の運転モードを表示させると、上記ステップS104の判定を行う。ステップS104以降の動作については、上述したものと同様であるため、説明を省略する。
上記実施例の貯湯式給湯機100は、第1時間帯と第2時間帯とで沸き上げ運転を行う。第1時間帯では、第1モードの一例として、通常モードでの沸き上げ運転が実行される。また第1時間帯に比べて電気料金単価が高額な第2時間帯では、第2モードの一例として、低消費電力モードでの沸き上げ運転が実行される。
貯湯式給湯機100は、沸き上げ手段の一例として、圧縮機2、水冷媒熱交換器3及び沸き上げ用ポンプ12を備える。低消費電力モードでの圧縮機2、水冷媒熱交換器3及び沸き上げ用ポンプ12の消費電力は、通常モードでの圧縮機2、水冷媒熱交換器3及び沸き上げ用ポンプ12の消費電力よりも少なくなる。
上記実施例であれば使用者は、例えば電気料金単価が高額な第2時間帯においても、貯湯式給湯機100を経済的に使用することができる。本例であれば、貯湯式給湯機100のランニングコストが高額になってしまうことが防止される。
また貯湯式給湯機100は、低消費電力モードで沸き上げられて貯湯タンク11へ供給される水の温度と、通常モードで沸き上げられて貯湯タンク11へ供給される水の温度とが同じになるように動作する。これにより、第2時間帯で湯切れが起きる可能性が低減される。
上記実施例の貯湯式給湯機100は、HPU制御基板4及びTU制御基板14を備える。TU制御基板14は一例として、制御部14aを有する。HPU制御基板4及び制御部14aは、本発明の制御手段の一例である。本発明の制御手段は、上記実施例に限られるものではない。例えばHPU制御基板4及びTU制御基板14の代わりの制御装置が、ヒートポンプユニット1及び貯湯ユニット10の外部に設けられてもよい。
上記構成を採用することにより、本発明であれば、任意の時刻での電気料金単価に依らずに一定温度の高温の湯を作ることができ、かつコストが高額になることを防止できる貯湯式給湯機が得られる。
また、例えば貯湯タンク11内の上部に高温の水が貯留されている際、この高温の水に比べて温度が低い水が貯湯タンク11の上部へ供給されると、貯湯タンク11内の水の温度分布が乱されてしまう。本発明であれば、任意の時刻での電気料金単価に依らずに一定温度の高温の湯を作ることができるため、貯湯タンク11内の水の温度分布が乱されることが防止される。
上記実施例において貯湯式給湯機100は、加熱装置の一例として圧縮機2及び水冷媒熱交換器3を備える。貯湯式給湯機100の消費電力は、加熱装置の加熱能力が調整されることによって調整される。加熱能力は、例えば圧縮機2の回転数が変更されることによって調整される。本例であれば、特殊な部品の追加等を必要とせずに、消費電力が調整される。なお本発明は、上記実施例以外の方法によって消費電力の調整を行う構成を採用してもよい。
また貯湯式給湯機100は、水供給装置の一例として沸き上げ用ポンプ12を備える。沸き上げ用ポンプ12の回転数が調整されることによって、加熱装置に供給される水の量が調整される。これにより、沸き上げ運転によって沸き上げられて貯湯タンク11へ供給される水の温度が調整される。本例であれば、特殊な部品の追加等を必要とせずに、沸き上げられて貯湯タンク11へ供給される水の温度の調整が行われる。なお本発明は、上記実施例以外の方法によって、貯湯タンク11へ供給される水の温度を調整する構成であってもよい。
電力自由化が今後進むと、様々な電力供給事業者が参入することが想定される。これにより、電力契約形態が多岐に渡ることが想定される。例えば、1日を3つ以上の電気料金単価の異なる時間帯に区分するような電力契約形態が想定される。従来の電力契約形態に比べて、短時間な時間帯が多数組み合わされた電力契約形態が想定される。
例えば、1日を6つの時間帯に区分する電力契約形態が想定される。6つの時間帯は、例えば0時から5時、5時から9時、9時から12時、12時から18時、18時から20時及び20時から0時である。例えば0時から5時、9時から12時及び18時から20時は、電気料金単価が低額な時間帯である。また5時から9時、12時から18時及び20時から0時は、電気料金単価が高額な時間帯である。
上記実施例であれば、電気料金単価の異なる短時間な時間帯が組み合わされた電力契約形態にも対応することができる。例えば0時から5時、9時から12時及び18時から20時は、第1時間帯として時刻判定部14bに設定される。また例えば5時から9時、12時から18時及び20時から0時は、第2時間帯として設定される。上記実施例の貯湯式給湯機100であれば、使用者が契約している電力契約形態に応じて、適切に運転することができる。
また上記実施例の貯湯式給湯機100は、図3のフローチャートに示すように、沸き上げ運転を行っている時に時間帯が移行した場合、運転モードを変更して沸き上げ運転を継続することができる。
例えば貯湯式給湯機100は、第1時間帯に通常モードで沸き上げ運転を行っている際に現在時刻が第2時間帯に移行すると、運転モードを低消費電力モードに変更して沸き上げ運転を継続する。同様に、貯湯式給湯機100は、第2時間帯に低消費電力モードで沸き上げ運転を行っている際に現在時刻が第1時間帯に移行すると、運転モードを通常モードに変更して沸き上げ運転を継続する。
貯湯式給湯機100は、現在時刻が電気料金単価の異なる時間帯に切り替わる度に沸き上げ運転の開始及び停止を繰り返す必要がない。例えば電気料金単価の異なる短時間な時間帯が組み合わされた電力契約形態において、沸き上げ運転の開始及び停止は頻繁に実行されない。これにより、例えばヒートポンプユニット1の圧縮機2等の部品の寿命が短くなることが防止される。また沸き上げ運転の効率は、沸き上げ運転の開始あるいは停止が頻繁に繰り返されることによって低下する。上記実施例であれば、沸き上げ運転の効率の低下が防止される。
また上述の通り貯湯式給湯機100は、第1時間帯に通常モードで沸き上げ運転を行っている際に現在時刻が第2時間帯に移行すると、運転モードを低消費電力モードに変更して沸き上げ運転を継続する。貯湯式給湯機100は、現在時刻が次の第1時間帯に移行するまで低消費電力モードで沸き上げ運転を継続する構成としてもよい。さらに貯湯式給湯機100は、現在時刻が次の第1時間帯に移行すると、運転モードを通常モードに変更して沸き上げ運転を継続する構成としてもよい。
本例であれば、沸き上げ運転の開始あるいは停止の回数がより少なくなる。これにより、例えばヒートポンプユニット1の圧縮機2等の部品の寿命が短くなることが更に防止される。また沸き上げ運転の効率の低下が更に防止される。
なお本発明の動作は、図3のフローチャートによって示されるものに限られない。例えば本発明は、貯湯タンク11内の水の熱量が一定の熱量以上確保されている場合には、現在時刻が電気料金単価の異なる時間帯に切り替わると同時に沸き上げ運転が停止される構成であってもよい。
また貯湯式給湯機100は、第1時間帯に通常モードで沸き上げ運転を行っている際に現在時刻が第2時間帯に切り替わると、貯湯タンク11内の熱量に応じて異なる動作をしてもよい。図4は、第1時間帯に通常モードで沸き上げ運転を行っている際に現在時刻が第2時間帯に切り替わった際の制御の例を示すフローチャートである。
図4に示す制御は、例えば図3に示す制御と並行して実行される。第1時間帯に通常モードで沸き上げ運転が行われている際、例えば時刻判定部14bは現在時刻が第2時間帯であるか判定する(ステップS201)。時刻判定部14bは、現在時刻が第2時間帯へ移行するまでステップS201の判定を継続する
現在時刻が第2時間帯であると時刻判定部14bによってステップS201で判定された場合、制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が規定熱量以上であるか判定する(ステップS202)。
規定熱量とは、第2時間帯の間、すなわち現在時刻が次の第1時間帯に移行するまでの間に使用されることが想定される熱量として設定される。制御部14aには、例えば熱量算出部14cによって算出された過去の貯湯タンク11内の水の熱量のデータが蓄積される。制御部14aは、例えば蓄積された熱量のデータに基づいて規定熱量を算出する。なお規定熱量は本例以外にも、例えばリモートコントローラ40によって制御部14aに設定されてもよい。
制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が規定熱量以上であるとステップS202で判定すると、沸き上げ用ポンプ12を停止する。また制御部14aは、沸き上げ停止信号をHPU制御基板4へ送信する。HPU制御基板4は、沸き上げ停止信号を受信すると、圧縮機2を停止させる。これにより、沸き上げ運転が停止する(ステップS203)。本例であれば、必要以上の沸き上げ運転が第2時間帯で行われることが防止される。
また制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が規定熱量未満であるとステップS202で判定すると、沸き上げ用ポンプ12の動作を低消費電力モードに変更する。また制御部14aは、熱量算出部14cによって算出された熱量が規定熱量未満であるとステップS202で判定すると、低消費電力モード指示信号をHPU制御基板4へ送信する。HPU制御基板4は、圧縮機2の動作を低消費電力モードに変更する。沸き上げ運転は、低消費電力モードで継続される(ステップS204)。これにより、第2時間帯で湯切れが発生する可能性が低減される。
また貯湯式給湯機100は、例えば上記ステップS203で沸き上げ運転を停止した場合、例えば現在時刻が次の第1時間帯になるまで沸き上げ運転を停止し続けるとしてもよい。貯湯式給湯機100は、例えば現在時刻が次の第1時間帯に移行すると、沸き上げ運転を再開する。本例であれば使用者は、より経済的に貯湯式給湯機100を使用することができる。
上記実施例の貯湯式給湯機100は、停止手段の一例として停止スイッチ42を備える。これにより使用者は、沸き上げ運転を任意のタイミングで停止させることができる。使用者は、例えば当日の使用湯量が少ないと想定した際に停止スイッチ42を操作することで、必要以上に沸き上げ運転が実行されることを防止できる。本例であれば使用者は、より経済的に貯湯式給湯機100を使用することができる。
また貯湯式給湯機100は、例えば第2時間帯に沸き上げ運転を行っている際に停止スイッチ42が操作された場合、現在時刻が次の第1時間帯になるまで沸き上げ運転を停止し続ける構成であってもよい。貯湯式給湯機100は、例えば現在時刻が次の第1時間帯に移行すると、沸き上げ運転を再開する。本例であれば使用者は、より経済的に貯湯式給湯機100を使用することができる。
また貯湯式給湯機100は、表示手段の一例として表示部41を備える。表示部41は、例えば図2に示すように現在の運転モードを表示する。使用者は現在の運転モードを容易に認識することができる。また使用者は運転モードを認識することにより、現在時刻が第1時間帯であるか第2時間帯であるかについても認識することができる。本例の貯湯式給湯機100は、使用者にとって使い勝手が良い。
またリモートコントローラ40は、例えば図2に示すように、停止スイッチ42以外のスイッチを有してもよい。リモートコントローラ40は、例えば切替手段の一例として切替スイッチ43を有してもよい。切替スイッチ43は、使用者からの操作に応じた切替指示をTU制御基板14へ送信する。切替指示は、例えば組み合わせ制御指示及び通常限定制御指示である。
例えばTU制御基板14は、リモートコントローラ40から組み合わせ制御指示を受信すると、組み合わせ制御状態になる。組み合わせ制御状態のTU制御基板14は、上記実施例のように第1時間帯及び第2時間帯で、沸き上げ用ポンプ12を動作させる。また組み合わせ制御状態のTU制御基板14は、第1時間帯及び第2時間帯で、沸き上げ指示信号をHPU制御基板4へ送信する。HPU制御基板4は、沸き上げ指示信号を受信すると、圧縮機2を動作させる。
貯湯式給湯機100は、TU制御基板14が組み合わせ制御状態になっている際には第1時間帯及び第2時間帯で沸き上げ運転を行う。貯湯式給湯機100は、第1時間帯には通常モードで沸き上げ運転を行う。また貯湯式給湯機100は、第2時間帯には低消費電力モードで沸き上げ運転を行う。
TU制御基板14は、例えばリモートコントローラ40から通常限定制御指示を受信すると、通常限定制御状態になる。通常限定制御状態のTU制御基板14は、第1時間帯でのみ沸き上げ用ポンプ12を動作させる。通常限定制御状態のTU制御基板14は、第2時間帯では沸き上げ用ポンプ12を動作させない。
また通常限定制御状態のTU制御基板14は、第1時間帯でのみ沸き上げ指示信号をHPU制御基板4へ送信する。通常限定制御状態のTU制御基板14は、第2時間帯では沸き上げ指示信号をHPU制御基板4へ送信しない。HPU制御基板4は、第1時間帯でのみ圧縮機2を動作させる。貯湯式給湯機100は、TU制御基板14が通常限定制御状態になっている際には第1時間帯でのみ沸き上げ運転を行う。
貯湯式給湯機100の使用状態は使用者によって異なる。使用状態によっては、電気料金単価が高額な第2時間帯での沸き上げ運転が必要でない場合がある。例えば使用者によって一日に使用される湯の量が少ない場合、あるいは電気料金単価が低額な第1時間帯が長時間である場合には、電気料金単価が高額な第2時間帯での沸き上げ運転が必要とされないことがある。本例であれば使用者は、使用状態に応じて経済的に貯湯式給湯機100を使用することができる。
また図5は、HPU制御基板4及びTU制御基板14のハードウェア構成図である。
TU制御基板14における制御部14a、時刻判定部14b及び熱量算出部14cの各機能は、処理回路により実現される。またHPU制御基板4の機能も、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア60であってもよい。処理回路は、プロセッサ61及びメモリ62を備えていてもよい。処理回路は、一部が専用ハードウェア60として形成され、更にプロセッサ61及びメモリ62を備えていてもよい。図5は、処理回路が、その一部が専用ハードウェア60として形成され、プロセッサ61及びメモリ62を備えている場合の例を示している。
処理回路の少なくとも一部が、少なくとも1つの専用ハードウェア60である場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ61及び少なくとも1つのメモリ62を備える場合、HPU制御基板4、制御部14a、時刻判定部14b及び熱量算出部14cの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ62に格納される。プロセッサ61は、メモリ62に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ61は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ62は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、HPU制御基板4、制御部14a、時刻判定部14b及び熱量算出部14cの各機能を実現することができる。