JP2017083293A - 分離材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】標的分子を分離するために用いられる分離材に関して、標的分子の吸着量及び吸着選択性を更に向上させること。
【解決手段】架橋ポリマーを含む多孔質ポリマー粒子と、多孔質ポリマーの表面上に設けられた、インプリント用ポリマーを含み分子インプリント法による鋳型を形成している分子鋳型膜と、を有する分離材が開示される。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体クロマトグラフィー用カラム充填材等として用いることのできる分離材、及びその製造方法に関する。
近年、分子識別能力を有する機能性高分子材料の創製に向けた研究が盛んに行われている。その開発手法のひとつとして「分子インプリント法」への注目が高まっている。分子インプリント法とは、分子識別のターゲット分子(鋳型分子)の存在下でモノマーを重合した後、鋳型分子を取り除くことで、その形状や性質といった情報を生成する架橋ポリマーの網目に記憶させるといった非常に簡便な手法である。分子インプリント法により得られた架橋ポリマーを含むインテリジェントゲルは、鋳型分子を選択的に吸着又は捕捉することが可能であり、高い選択性及び高感度な分離、センサー、及び触媒などへの応用が期待されている。
例えば、Derekらは、ターゲット分子としてボビンヘモグロビン(BHb)を用い、その存在下でポリアクリルアミドゲルを作製した(非特許文献1)。ここで、アクリレート系の窒素含有ポリマであるポリアクリルアミド(PAAm)は、水溶性であり安価で、容易に生成できる。ポリアクリルアミドは、魅力的な構造パラメータを有するように設計されているため、生体分子をインプリントする基板として適当であることが報告されている。得られたゲルからBHbを取り除くことで、ゲル内にBHbのインプリント空隙を有するゲルを作製し、これが他の構造類似体に比べBHbに対して高い選択性を示す。
しかしながら、従来の分子インプリント法により得られるバルクゲルにおいて、インプリントの空隙が形成される場の形態を制御することは困難であった。3次元網目構造のゲル内部に形成されたインプリントの空隙で鋳型分子を捕捉するには、鋳型分子がゲルに接近するだけでなく、その内部に侵入することが必要である。鋳型分子が、タンパク質のようなある程度大きな分子量の高分子である場合、タンパク質をゲル内部へ侵入させることは容易ではない。
特許文献1は、多孔質無機微粒子の表面上に、タンパク質の分子形状鋳型を有するポリマーを設けた材料を開示している。
Wangらは、ナノ多孔性アルミナの孔壁(内壁)にBHbを固定化し、次いでアクリルアミド(AAm)とメチレンビスアクリルアミド(MBAAm)の混合物で孔内を満たし、これらを重合した。その後、アルミナ膜を除去することで、最表面近傍のみにインプリントの空隙を有する細いチューブ状のポリマーを形成した(非特許文献2)。
特許文献2は、単分散ポリマー微粒子の表面にタンパク質を固定化した後、リビングラジカル重合を経て、表面に分子インプリント形状を有する粒子を合成している。
特許第3062745号公報 特許第4558097号公報
Derek et al., Anal. Chim. Acta, 542, 61−65 (2005) Wang et al., Anal. Chem, 78, 317−320 (2006)
分子インプリント技術を利用した従来の分離材は、タンパク質の標的分子の吸着量又は吸着選択性が不足する傾向があった。
そこで、本発明は、標的分子を分離するために用いられる分離材に関して、標的分子の吸着量及び吸着選択性を更に向上させることを目的とする。
本発明の一側面は、架橋ポリマーを含む多孔質ポリマー粒子と、多孔質ポリマーの表面上に設けられた、インプリント用ポリマーを含み分子インプリント法による鋳型を形成している分子鋳型膜と、を有する分離材を提供する。
この分離材は、標的分子の吸着量及び吸着選択性の点で十分な性能を発揮することができる。
分子鋳型膜が、多孔質ポリマー粒子の表面の少なくとも一部を覆う下地層と、下地層上に設けられた表層と、を有しており、表層によって鋳型が形成されていてもよい。
インプリント用ポリマーがポリドーパミンを含んでいてもよい。ポリドーパミンが、ドーパミンに由来する構成単位とジヒドロキシフェニルアラニンに由来する構成単位とを有する変性ポリドーパミンを含んでいてもよい。
当該分離材の平均細孔径が0.1〜0.5μmであってもよい。当該分離材の粒径のC.V.値が5〜15%であってもよい。
多孔質ポリマー粒子の5%圧縮変形弾性率が100〜500MPaであってもよい。多孔質ポリマー粒子の比表面積が30m/g以上であってもよい。
分子鋳型膜が、標的タンパク質と相互作用する鋳型を形成しており、当該分離材が、牛血清アルブミンに対して2〜10倍の選択性で前記標的タンパク質を吸着するものであってもよい。標的タンパク質の吸着量が、当該分離材1g当たり5mg以上であってもよい。
本発明の別の側面は、架橋ポリマーを含む多孔質ポリマー粒子の表面上に、下地層用ポリマーを含む下地層を形成させる工程と、下地層に鋳型分子を吸着させる工程と、鋳型分子が吸着している下地層上に、表層用ポリマーを含む表層を形成させる工程と、鋳型分子を除去して、表層と下地層とを有し鋳型分子に由来する鋳型を形成している分子鋳型膜を形成させる工程と、を備える、分離材を製造する方法を提供する。
この方法によれば、標的分子の吸着量及び吸着選択性の点で十分な性能を発揮することができる、分離材を製造することができる。
本発明によれば、分離材に関して、標的分子の吸着量及び吸着選択性の更なる向上を図ることができる。本発明の分離材は、高い耐久性を有することもできる。
本発明に係る分離材は、例えば、液体クロマトグラフィー用カラム充填材として有用である。本発明の分離材は、カラム充填材として用いられたときに、通液速度、耐久性(取り扱い性)、タンパク質の非特異吸着性の低減等の点で優れた特性を発揮することができる。本発明の分離材をカラム充填材として用いることで、従来の精製工程設備を使用してタンパク質を効率的に精製することができる。
本発明に係る分離材の場合、粒子の形態を容易に制御しながら、粒子の表面又はその近傍に容易に鋳型を形成することができる。この点は産業利用のために有利である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
一実施形態に係る分離材は、架橋ポリマーを含む多孔質ポリマー粒子と、多孔質ポリマーの表面上に設けられた、インプリント用ポリマーを含み分子インプリント法による鋳型を形成している分子鋳型膜と、を有する。
(多孔質ポリマー粒子)
多孔質ポリマー粒子は、二重結合を二つ以上有する多官能モノマーを含むモノマー原料の架橋ポリマーを含み得る。モノマー原料のうち90質量%以上が多官能モノマーであってもよい。多孔質ポリマー粒子は、例えば、モノマー原料、多孔化剤及び水性媒体を含む乳化液中での懸濁重合により合成することができる。
モノマー原料として用いられるモノマーは、特に限定されないが、スチレン及びスチレン誘導体等のビニルモノマーであってもよい。モノマー原料は、単官能性モノマーを含んでいてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、及びジビニルフェナントレン等のジビニル化合物が挙げられる。これらの多官能性モノマーは、単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。これらのなかでも耐久性、耐酸、アルカリ性の観点より、ジビニルベンゼンを使用することが好ましい。
単官能性モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン及びその誘導体が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも耐酸、耐アルカリ性を有するスチレンを使用することが好ましい。また、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、アルデヒド基等の官能基を有するスチレン誘導体も使用することができる。
多官能性モノマーは、多官能アクリルモノマーであってもよい。多官能アクリルモノマーとしては(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が挙げられる。商業的に入手可能な多官能アクリルモノマーとしては、新中村化学工業(株)製のNKエステル(A−TMPT−6P0、A−TMPT−3E0、A−TMM−3LMN、A−GLYシリーズ、A−9300、AD−TMP、AD−TMP−4CL、ATM−4E、A−DPH)等が挙げられる。これらの単量体は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
以上のモノマーと共重合可能な単官能モノマーとしてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、(iv)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、(v)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル等のフッ化アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(vi)ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
多孔化剤は、重合時に相分離を促し、粒子の多孔質化を促進する成分である。多孔化剤としては、脂肪族若しくは芳香族の炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、及びアルコールが挙げられる。具体的には、多孔化剤は、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、オクタン、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、メチルエチルケトン、ジブチルエーテル、1−ヘキサノール、2−オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、及びシクロヘキサノール等から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
多孔化剤の量は、モノマー原料に対して0〜200質量%であってもよい。多孔化剤の量で粒子の空孔率をコントロールできる。多孔質剤の種類によって、孔の大きさ及び形状をコントロールすることができる。
溶媒として使用する水又は水性媒体を多孔化剤として機能させてもよい。この場合は、モノマー原料に油溶性界面活性剤を溶解させることで、モノマー原料が水を吸収させ、粒子を多孔質化させることが可能である。
多孔化に使用される油溶性界面活性剤は、分岐C16〜C24脂肪酸、鎖状不飽和C16〜C22脂肪酸、又は鎖状飽和C12〜C14脂肪酸のソルビタンモノエステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノミリステート及びヤシ脂肪酸から誘導されるソルビタンモノエステル);分岐C16〜C24脂肪酸、鎖状不飽和C16〜C22脂肪酸又は鎖状飽和C12〜C14脂肪酸のジグリセロールモノエステル(例えば、ジグリセロールモノオレエート(例えば、C18:1脂肪酸のジグリセロールモノエステル)、ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート及びヤシ脂肪酸のジグリセロールモノエステル);分岐C16〜C24アルコール(例えば、ゲルベアルコール)、鎖状不飽和C16〜C22アルコール及び鎖状飽和C12〜C14アルコール(例えば、ヤシ脂肪アルコール)のジグリセロールモノ脂肪族エーテル;及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい油溶性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレート(例えば、SPAN(登録商標)20、好ましくは約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、最も好ましくは約70%を超えるソルビタンモノラウレート)、ソルビタンモノオレエート(例えば、SPAN(登録商標)、好ましくは約40%、より好ましくは約50%、最も好ましくは約70%を超えるソルビタンモノオレエート)、ジグリセロールモノオレエート(例えば、約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、最も好ましくは約70%を超えるジグリセロールモノオレエート)、ジグリセロールモノイソステアレート(例えば、好ましくは約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、最も好ましくは約70%を超えるジグリセロールモノイソステアレート)、ジグリセロールモノミリステート(好ましくは約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、最も好ましくは約70%を超えるソルビタンモノミリステート)、ジグリセロールのココイル(例えば、ラウリル及びミリストイル)エーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
油溶性界面活性剤の量は、モノマー原料に対して5〜80質量%の範囲であることが好ましい。この量が5質量%以上の場合、水滴の安定性が良好となり、大きな単一孔の形成が抑制される傾向がある。この量が80質量%以下の場合、重合後に粒子形状が保持され易くなる傾向がある。
水性媒体としては、水、又は、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。水性媒体には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性イオン系の界面活性剤のうち、いずれも用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、アルケルニルコハク酸塩(ジカリウム塩)、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミド類等の炭化水素系ノニオン界面活性剤、シリコンのポリエチレンオキサイド付加物類、ポリプロピレンオキサイド付加物類等のポリエーテル変性シリコン系ノニオン界面活性剤、パーフルオロアルキルグリコール類等のフッ素系ノニオン界面活性剤が挙げられる。
両性イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の炭化水素界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤及び亜リン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記界面活性剤の中でも、重合時の分散安定性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましい。
必要に応じて添加される重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤の量は、モノマー原料100質量部に対して、0.1〜7.0質量部の範囲であってもよい。
重合温度は、モノマー原料及び重合開始剤の種類に応じて、適宜選択することができる。重合温度は、25〜110℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
重合工程において、粒子の分散安定性を向上させるために、乳化液に高分子分散安定剤を添加してもよい。
高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等)、ポリビニルピロリドンが挙げられ、トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物も併用することができる。これらのうち、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンが好ましい。高分子分散安定剤の量は、モノマー原料100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。
モノマーが水性媒体中で単独で重合した粒子の発生を抑えるために、亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性の重合禁止剤を用いてもよい。
多孔質ポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下である。また、多孔質ポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上であり、更に好ましくは50μm以上である。平均粒径が小さくなると、カラム充填後のカラム圧が増加する可能性がある。
多孔質ポリマー粒子及び/又は分離材の粒径のC.V.値は、通液性を向上させるためには5〜15%であることが好ましく、5〜10%であることがさらに好ましい。粒径のC.V.値を低減するために、マイクロプロセスサーバー(日立製作所)等の乳化装置により粒子を単分散化することが可能である。
多孔質ポリマー粒子及び/又は分離材の細孔容積は、粒子の真体積の30%以上70%以下であってもよい。多孔質ポリマー粒子及び/又は分離材の細孔の大部分の直径(又は平均細孔径)は、0.1μm〜0.5μmであってもよい。さらに好ましくは、細孔容積が40%以上70%以下で、細孔径が0.2μm以上0.5μm未満である。細孔がこれより小さい場合、細孔に入れない物質が増える傾向がある。細孔がこれより大きい場合、表面積が小さくなる傾向がある。これらは前出の細孔調整剤により調整可能である。
多孔質ポリマー粒子は、通常、約30m/g以上の比表面積を有する。実用性を鑑みると、多孔質ポリマー粒子の比表面積は、35m/g以上であることが望ましく、40m/g以上であることが更に望ましい。表面積が小さいと分離する物質の吸着量が少なくなる傾向がある。多孔質ポリマー粒子の比表面積の上限は、特に制限されないが、500m/g以下であってもよい。
多孔質ポリマー粒子の5%圧縮変形弾性率は、100〜500MPaであってもよい。これにより、カラムに充填した際に変形しないため、カラム圧をより低くする効果が得られる。
粒子の平均細孔径、比表面積、及び細孔容積(又は空隙率)は、水銀圧入測定装置(オートポア:島津製作所)によって測定される値である。例えば、粒子の試料約0.05gを、標準5cc粉体用セル(ステム容積0.4cc)に採り、初期圧21kPa(約3psia、細孔直径約60μm 相当)の条件で、平均細孔径等を測定することができる。水銀パラメータは、装置の初期設定の水銀接触角130degrees、水銀表面張力485dynes/cmに設定される。細孔径0〜3μmの範囲に限定してそれぞれの値を算出する。
(分子鋳型膜)
分子鋳型膜は、多孔質ポリマー粒子の表面上に設けられた、インプリント用ポリマーを含み分子インプリント法による鋳型を形成しているものである。
一実施形態に係る分子鋳型膜は、下地層用ポリマーを含む下地層(単に、下地層と称することがある)と、表層用ポリマーを含む表層(単に、表層と称することがある)とを有し、表層は下地層上に形成されている。すなわち、一実施形態に係る分子鋳型膜は、多孔質ポリマー粒子の表面の少なくとも一部を覆う下地層と、前記下地層上に設けられた表層と、を有しており、前記表層によって鋳型が形成されていてもよい。
下地層用ポリマーと表層用ポリマーは同じでも異なっていてもよく、本明細書ではこれらを「インプリント用ポリマー」と総称することがある。下地層と表層との組み合わせにより、分離材の最表面又はその近傍に、標的分子と相互作用する鋳型を形成することができる。これにより効率的な鋳型分子の捕捉を実現することができる。
下地層及び表層を有する分子鋳型膜は、例えば、架橋ポリマーを含む多孔質ポリマー粒子の表面上に下地層用ポリマーを含む下地層を形成させる工程と、下地層に鋳型分子を吸着させる工程と、鋳型分子が吸着している下地層上に、表層用ポリマーを含む表層を形成させる工程と、鋳型分子を除去して、表層と下地層とを有し鋳型分子に由来する鋳型を形成している分子鋳型膜を形成させる工程と、を有する方法により、形成することができる。
インプリント用ポリマーは、ポリドーパミンを含んでいてもよい。また、ポリドーパミンは、ドーパミンに由来する構成単位とジヒドロキシフェニルアラニンに由来する構成単位とを有する変性ポリドーパミンを含んでいてもよい。
一実施形態に係る下地層として、ドーパミンの重合によりポリドーパミン膜を多孔質ポリマー粒子の表面上に形成させることができる。下地層(ここではポリドーパミン膜)は、細孔内の表面を含む多孔質ポリマー粒子の少なくとも一部を覆うように形成される。下地層は、多孔質ポリマー粒子の細孔の一部又は全部に侵入していてもよい。多孔質ポリマー粒子を下地層で覆うことにより、粒子内へのタンパク質の拡散性を向上することができる。また、吸着させるタンパク質と相互作用する物質をポリドーパミン膜に固定化することにより、タンパク質の吸着選択性が向上させることもできる。
ポリドーパミン膜は、例えば、多孔質ポリマー粒子の存在下で、ドーパミンを酸化重合する方法により形成することができる。ドーパミンの優れた接着性と自発的薄膜形成能力が、多孔質ポリマー粒子の表面上でのポリドーパミン膜を形成させることを可能にする。具体的には、ドーパミン水溶液(pH=8程度)に多孔質ポリマー粒子を浸漬させると、速やかにドーパミンの自己酸化重合が始まり、多孔質ポリマー粒子の表面に高分子化したドーパミンが堆積して薄膜を形成する。この薄膜(ポリドーパミン膜)は、多孔質ポリマー粒子の表面に安定に接着する。
ドーパミン水溶液の濃度は、特に制限されないが、一般的には0.01〜0.1モル/リットル程度である。この濃度は、0.01〜0.05モル/リットルが好ましい。ドーパミン溶液のpHは、一般的には6.4〜10.8程度であり、最も好ましくは8.0〜8.5である。多孔質ポリマー粒子を浸漬した時のドーパミン水溶液の温度は、10〜50℃程度が好ましい。浸漬時間は、目的とするポリドーパミン膜の厚みにより様々であり、一般的には6〜48時間程度が好適である。ポリドーパミン膜の厚さは、10〜30nm程度が好ましい。
ドーパミン水溶液が、ジヒドロキシフェニルアラニンを含んでいてもよい。これにより、ドーパミンに由来する構成単位と、ジヒドロキシフェニルアラニンに由来する構成単位とを含む、変性ポリドーパミンを含有するポリドーパミン膜(下地層)を形成することができる。下地層がこの変性ポリドーパミンを含有することで、より一層高い吸着選択性が達成され得る。
下地層上に、以下のように表層を形成することで、タンパク質等の標的分子と相互作用する鋳型(分子鋳型)を作成することができる。多孔質ポリマー粒子の表面上に形成されたドーパミン膜に、鋳型分子(例えばタンパク質)を吸着させる。その後さらに、ドーパミンの重合を行うことにより、鋳型分子に由来する鋳型を形成しながら、表層としてのドーパミン膜が形成される。鋳型分子としてのタンパク質は、酵素、抗体等であってもよい。
標的分子の選択性を向上させるために、標的分子と相互作用する官能基を持つ物質を固定化することもできる。ここでいう相互作用とは、静電相互作用、酵素−基質間類似相互作用、酵素−阻害剤間相互作用、酵素−補酵素間相互作用など、標的分子と強い影響力を及ぼし合う作用を総称していう。
多孔質ポリマー粒子及び分子鋳型膜を有する粒子は、タンパク質等の標的分子の捕捉に好適な分離材である。例えば、タンパク質を含む混合溶液の中に本実施形態の分離材を添加し、鋳型にタンパク質を吸着させた後、分離材を塩濃度の高い水溶液中に添加すれば、分離材の粒子に吸着しているタンパク質を容易に脱離して、これを回収できる。
本実施形態の分離材を用いて分離できる標的分子は、タンパク質等の生体高分子であってもよく、好ましくは水溶性の物質である。具体的には、標的分子は、血清アルブミン及び免疫グロブリンを含む血液タンパク質等のタンパク質、生体中に存在する酵素、バイオテクノロジーにより生産されるタンパク質生理活性物質、DNA、及び生理活性を有するペプチド等の生体高分子であることができる。標的分子の分子量は200万以下であってもよく、さらに好ましくは50万以下である。
分子鋳型膜が、標的分子としてのタンパク質(標的タンパク質)を吸着する鋳型を形成しており、分離材が、牛血清アルブミンに対して2〜10倍の選択性で標的タンパク質を吸着することが好ましい。本実施形態の分離材は、このような高い選択性を容易に達成することができる。
分離材への標的タンパク質の吸着量は、分離材1g当たり5mg以上であることができる。本実施形態の分離材は、このような高い吸着量を容易に達成することができる。この吸着量は、分離材に吸着する標的タンパク質の、分離材1g当たりの質量の最大値である。吸着量の上限は、特に制限されないが、通常、分離材1g当たり200mg以下程度である。
分離材の粒径は、通常、好ましくは10〜300μmである。分取用又は工業用のクロマトグラフィーでのカラム充填材として使用される場合、カラム内圧の極端な増加を避けるために、分離材の粒径は50〜100μmであることが好ましい。本実施形態の分離材の粒子は、カラムクロマトグラフィーのカラム充填材として使用した場合、使用する溶出液の性質に依らず、カラム内での体積変化が殆どないという、操作性における優れた効果を発揮することができる。
多孔質ポリマー粒子、又は分離材の平均粒径及び粒径のC.V.値は、以下の測定法により求めることができる。
1)粒子を、超音波分散装置を使用して水(界面活性剤等の分散剤を含む)に分散させ、1質量%の粒子を含む分散液を調製する。
2)粒度分布計(シスメックスフロー、シスメックス製)を用いて、上記分散液中の粒子約1万個の画像により平均粒径と粒径のC.V.値を測定する。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<多孔質ポリマー粒子の合成>
500mLの三口フラスコ中で、純度96%のジビニルベンゼン(純度96%)14g、オクタノール5g、スパン80(界面活性剤)3g、及び過酸化ベンゾイル0.64gを、ポリビニルアルコール水溶液(濃度0.5質量%)に加え、マイクロプロセスサーバーを使用して乳化した。得られた乳化液を別のフラスコに移し、80℃のウォーターバスで加熱しながら、攪拌機を用いて約8時間撹拌し、ポリマー粒子を生成させた。ポリマー粒子をろ過により回収し、アセトンで洗浄して、多孔質ポリマー粒子を得た。また、多孔質ポリマー粒子の5%圧縮変形弾性率を微小圧縮試験機を用いて測定した。
<分子鋳型膜の形成>
ポリドーパミンによるコーティング(下地層の形成)
得られた多孔質ポリマー粒子1gを、リン酸緩衝液でpHを8.5に調整したドーパミン塩酸塩水溶液50g(濃度2mg/g)に浸漬し、24時間、室温にて水溶液を攪拌した。その後、水溶液から回収した粒子の表面をXPS測定により分析した。粒子表面に窒素原子を確認できたことから、ポリドーパミン膜が粒子表面上に形成されていることが確認された。
<タンパク質鋳型の形成(表層の形成)>
ポリドーパミン膜を有する粒子1gを、グルコース−6−リン酸脱水素酵素(G−6−PDH)を10mg/mL含有する5mLグリシルグリシン水溶液(0.1mol/L,pH8.5)に投入し、12時間かけてG−6−PDHをポリドーパミン膜に吸着させた。その後、再度、上記条件にてポリドーパミン膜を形成することで、G−6−PDHに対応する鋳型を形成させた。NaCl 0.1M水溶液に粒子を浸漬して、鋳型のタンパク質(G−6−PDH)を脱離させた。その後、水溶液から回収した粒子を水で洗浄して、G−6−PDHに対応する鋳型含む分子鋳型膜(ポリドーパミン膜)を有する分離材の粒子を得た。
得られた分離材の粒径をフロー型粒径測定装置で測定し、平均粒径及び粒径のC.V.値を算出した。また、分離材の平均細孔径を水銀圧入法で測定した。
(実施例2)
オクタノールの量を2gに、スパン80の量を5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、G−6−PDHに対応する鋳型を含む分子鋳型膜(ポリドーパミン膜)を有する分離材の粒子を得た。ジビニルベンゼンの量は14gから変更しなかった。得られた粒子の平均粒径、粒径のC.V.値、及び平均細孔径を測定した。
(実施例3)
スパン80の量を7gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、G−6−PDHに対応する鋳型を含む分子鋳型膜(ポリドーパミン膜)を有する分離材の粒子を得た。ジビニルベンゼンの量の14g、及びオクタノールの量の5gは実施例1から変更しなかった。得られた粒子の平均粒径、粒径のC.V.値、及び平均細孔径を測定した。
(実施例4)
リン酸緩衝液でpHを8.5に調整したドーパミン塩酸塩水溶液25g(濃度1mg/g)と、ジヒドロキシフェニルアラニン水溶液25g(濃度1mg/g)とを混合して、ポリドーパミン膜形成用の溶液を準備した。この溶液に、実施例1と同様にして得た多孔質ポリマー粒子を浸漬し、24時間、室温にて水溶液を攪拌した。その後、水溶液から、ジヒドロキシフェニルアラニンを共重合体成分として含むポリドーパミン膜を有するポリマー粒子を回収した。得られたポリマー粒子の表面上に、実施例1と同様にして、G−6−PDHに対応する鋳型を含む分子鋳型膜(ポリドーパミン膜)を有する分離材の粒子を得た。得られた粒子の平均粒径、粒径のC.V.値、及び平均細孔径を測定した。
(実施例5)
モノマーをジビニルベンゼンからエチレングリコールジメタクリレート14gに変更し、スパン80の量を5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、G−6−PDHに対応する鋳型を含む分子鋳型膜(ポリドーパミン膜)を有する分離材の粒子を得た。オクタノールの量は5gから変更しなかった。得られた粒子の平均粒径、粒径のC.V.値、及び平均細孔径を測定した。
(比較例1)
モノマーをジビニルベンゼンからエチレングリコールジメタクリレート5g、及びグリシジルメタクリレート9gに変更し、スパン80の量を5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、多孔質ポリマー粒子を得た。オクタノールの量は5gから変更しなかった。得られた多孔質ポリマー粒子10g、水80g、及びジエチルアミン20gをフラスコに入れ、50℃で3時間反応させて、粒子表面にアミノ基を導入した。得られたポリマー粒子におけるアミノ基の量は、粒子の質量を基準として3.2mmol/gであった。得られた粒子の平均粒径、粒径のC.V.値、及び平均細孔径を測定した。
(比較例2)
モノマーとしてのアクリルアミド9g及びメチレンビスアクリルアミド1gと、酵素(G−6−PDH)150mgを20mLのリン酸緩衝液(pH6.3)に加えた。得られた溶液を、エチルセルロースのトルエン溶液(濃度0.2質量%)に添加した。窒素置換を15分行った後、過硫酸カリウム0.1g、及び亜硫酸水素ナトリウム0.05gを含む水溶液10mLを滴下し、25℃で3時間かけて、モノマーを重合させた。
重合後、生成した粒子を10体積%の酢酸水溶液(ドデシル硫酸ナトリウム10wt%含有)で洗浄し、鋳型分子としての酵素を除去した。粒子を水で洗浄後、比較例2の分離材として使用した。得られた粒子の平均粒径、粒径のC.V.値、及び平均細孔径を測定した。
(比較例3)
カラム充填剤用の粒子であるリクロソルブ(登録商標)RP−18(粒子径10μm、Merck製)に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで二重結合を付与した。この粒子10gを、酵素(G−6−PDH)180mgと、モノマーとしてのアクリル酸2.5mL、アクリルアミド2.3g、ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド1.2g、及びメチレンビスアクリルアミド1.2gとを含む12mMのリン酸緩衝液水溶液300mLに添加して、溶液を攪拌した。そこに、過硫酸アンモニウム0.6gを含む水溶液1.5g、及び1.2gのテトラメチレンジアミンを添加し、6時間かけてモノマーを重合させた。重合後、粒子を比較例2と同様に洗浄し、鋳型分子を除去した。その後、粒子を水で洗浄して、比較例3の分離材として使用した。得られた粒子の平均粒径、粒径のC.V.値、及び平均細孔径を測定した。
(比較例4)
15mgの酵素(G−6−PDH)を溶解させた15mLのリン酸緩衝液50mMに、250mgのマクロポーラスシリカ(Lichrospher Si1000)を加え、溶液を3時間攪拌して、酵素をマイクロポーラスシリカに吸着させた。その後、マイクロポーラスシリカをろ過により取り出して洗浄して、吸着していない酵素を分離した。マイクロポーラスに50mgの酵素が吸着された。得られた粒子を10mLのトリス緩衝液(10mM、pH8)に添加した。そこに20mgのドーパミンを添加し、溶液を24時間攪拌した。その後、0.5MのNaCl水溶液を用いて、鋳型として使用した酵素を脱離させ、粒子を水で洗浄して、これを比較例4の分離材として使用した。得られた粒子の平均粒径、粒径のC.V.値、及び平均細孔径を測定した。
表1に、実施例及び比較例の各粒子の平均粒径及び粒径のC.V.値を示す。
Figure 2017083293
タンパク質の吸着能評価
BSA及び酵素(G−6−PDH)をそれぞれ濃度10mg/mLで含有し、グリシルグリシンを濃度0.1mol/Lで含有する酵素溶液5mL(pH8.5)を調製した。0.1Mのグリシルグリシン緩衝溶液10ml、MgCl228mg、グルコース−6−リン酸2ナトリウム18mg、及びNADP40mgを混合して、標準溶液を調製した。この標準溶液に酵素溶液を投入し、分光光度計で340nmのピークを1分ごとに追跡して、NADPの還元反応速度を測定した。
実施例又は比較例の粒子0.5gを酵素溶液に投入し、30分間攪拌して、BSAと酵素を粒子に吸着させた。その後、酵素溶液を標準溶液に投入し、分光光度計で340nmのピークを1分ごとに追跡して、NADPの還元反応速度を測定した。測定された還元反応速度を、標準溶液における還元反応速度と比較することで、粒子への酵素の吸着量を求めた。また、280nmの吸光度に基づいて、粒子へのBSAの吸着量を測定した。酵素とBSAの吸着量から、吸着選択性(酵素吸着量/BSA吸着量)を算出した。各粒子の吸着能に関して、酵素の吸着量の合計が15mg/粒子g以上である場合を○、15mg/粒子g以下である場合を×と判定した。
振とう試験
実施例又は比較例の粒子1gを、10gの水中に分散させた。得られた分散液を20mLサンプル管に投入し、振とう機で6時間、振とうさせた。振とう後、サンプル管を10分間静置してから、上澄みの濁度を測定した。振とうに対する粒子の耐性に関して、水の透過度が3%以上であった場合を×、3%以内であった場合を○と判定した。
カラム圧評価
実施例又は比較例の粒子をメタノールと混合してスラリーを調製した(粒子濃度30質量%)。このスラリーを、φ7.8×300mmのステンレスカラムに15分かけて充填した。800cm/hの流速で水をカラムに流しながら、カラム圧の初期値を測定した。次いで、3000cm/hに流速を上昇させ、1時間、水を通液させた。その後、流速を800cm/hに下げて、カラム圧を測定した。カラム圧が初期値(3000cm/hに流速を上げる前)より10%以上向上した場合を×、10%以内である場合を○とした。
Figure 2017083293
表2の結果から分かる通り、多孔質ポリマー粒子の表面上に、ポリドーパミンによる分子鋳型膜を形成することにより、標的タンパク質を高い選択性で吸着できることが分かった。また、高流速においてもカラム圧が変動しないことが分かった。さらに、多孔質ポリマ粒子の表面上に分子鋳型膜を形成することにより、振とう試験で破壊しない粒子が得られた。以上の結果より、本発明の粒子はカラム充填剤等の分離材として非常に有用であることが分かった。

Claims (11)

  1. 架橋ポリマーを含む多孔質ポリマー粒子と、
    前記多孔質ポリマー粒子の表面上に設けられた、インプリント用ポリマーを含み分子インプリント法による鋳型を形成している分子鋳型膜と、
    を有する分離材。
  2. 前記分子鋳型膜が、前記多孔質ポリマー粒子の表面の少なくとも一部を覆う下地層と、前記下地層上に設けられた表層と、を有しており、前記表層によって前記鋳型が形成されている、請求項1に記載の分離材。
  3. 前記インプリント用ポリマーがポリドーパミンを含む、請求項1又は2に記載の分離材。
  4. 前記ポリドーパミンが、ドーパミンに由来する構成単位とジヒドロキシフェニルアラニンに由来する構成単位とを有する変性ポリドーパミンを含む、請求項3に記載の分離材。
  5. 当該分離材の平均細孔径が0.1〜0.5μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離材。
  6. 前記多孔質ポリマー粒子の5%圧縮変形弾性率が100〜500MPaである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離材。
  7. 前記多孔質ポリマー粒子の比表面積が30m/g以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離材。
  8. 当該分離材の粒径のC.V.値が5〜15%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分離材。
  9. 前記分子鋳型膜が、標的タンパク質と相互作用する鋳型を形成しており、
    当該分離材が、牛血清アルブミンに対して2〜10倍の選択性で前記標的タンパク質を吸着する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分離材。
  10. 前記標的タンパク質の吸着量が、当該分離材1g当たり5mg以上である、請求項9に記載の分離材。
  11. 架橋ポリマーを含む多孔質ポリマー粒子の表面上に、下地層用ポリマーを含む下地層を形成させる工程と、
    前記下地層に鋳型分子を吸着させる工程と、
    前記鋳型分子が吸着している前記下地層上に、表層用ポリマーを含む表層を形成させる工程と、
    前記鋳型分子を除去して、前記表層と前記下地層とを有し前記鋳型分子に由来する鋳型を形成している分子鋳型膜を形成させる工程と、
    を備える、分離材を製造する方法。
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