JP6834130B2 - 分離材及びカラム - Google Patents
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Description
[1]ジビニルベンゼンに由来する構造単位をモノマ全質量基準で50質量%以上含む重合体を含有する多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、水酸基を有する高分子を含む被覆層と、を備える分離材。
[2]水中での膨潤度が1.05以下である、[1]に記載の分離材。
[3]比表面積が30m2/g以上である、[1]又は[2]に記載の分離材。
[4]平均細孔径が0.05〜0.6μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離材。
[5]多孔質ポリマ粒子の平均粒径が10〜300μmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の分離材。
[6]水酸基を有する高分子が多糖類又はその変性体である、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離材。
[7]水酸基を有する高分子がアガロース又はその変性体である、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離材。
[8]多孔質ポリマ粒子1g当たり、30〜400mgの被覆層を備える、[1]〜[7]のいずれかに記載の分離材。
[9]カラムに充填した場合、カラム圧0.3MPaのときに通液速度が800cm/h以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載の分離材。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の分離材を備えるカラム。
本実施形態の分離材は、多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備える。なお、本明細書中、「多孔質ポリマ粒子の表面」とは、多孔質ポリマ粒子の外側の表面のみでなく、多孔質ポリマ粒子の内部における細孔の表面を含むものとする。また、本明細書中、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレート等の他の類似の表現においても同様である。
本実施形態に係る多孔質ポリマ粒子は、多孔質化剤、溶解性粒子等を含むモノマを硬化させた粒子であり、従来の懸濁重合、乳化重合等で重合することによって合成することができる。多孔質ポリマ粒子は、ジビニルベンゼンをモノマ全質量基準で50質量%以上含むモノマを重合することにより得られる。すなわち、多孔質ポリマ粒子は、ジビニルベンゼンに由来する構造単位をモノマ全質量基準で50質量%以上含む重合体を含有する。
(1)粒子を、超音波分散装置を使用して水(界面活性剤等の分散剤を含む)に分散させ、1質量%の多孔質ポリマ粒子を含む分散液を調製する。
(2)粒度分布計(シスメックスフロー、シスメックス株式会社製)を用いて、上記分散液中の粒子約1万個の画像により平均粒径を測定する。
本実施形態に係る被覆層は、水酸基を有する高分子を含む。水酸基を有する高分子で多孔質ポリマ粒子を被覆することによりカラム圧の上昇を抑制することができるとともに、タンパク質の非特異吸着を抑制することが可能となる上、分離材のタンパク質吸着量を、天然高分子を用いた場合と同等又はそれ以上とすることが可能となる。さらに、水酸基を有する高分子が架橋されていると、カラム圧の上昇をより抑制することが可能となる。
水酸基を有する高分子は、1分子中に2個以上の水酸基を有することが好ましく、親水性高分子であることがより好ましい。水酸基を有する高分子としては、例えば、多糖類、好ましくはアガロース、デキストラン、セルロース、ポリビニルアルコール、キトサン等が挙げられ、例えば平均分子量1万〜20万程度のものが使用できる。
本実施形態に係る被覆層は、例えば、以下に示す方法により形成することができる。
次いで、架橋剤を加えて多孔質ポリマ粒子表面に吸着された水酸基を有する高分子を架橋反応させて、架橋体を形成する。このとき、架橋体は、水酸基を有する3次元架橋網目構造を有する。
被覆層を備える分離材は、イオン交換基、リガンド(プロテインA)等を表面上の水酸基等を介して導入することによりイオン交換精製、アフィニティ精製等に使用することができる。イオン交換基の導入方法として、例えば、ハロゲン化アルキル化合物を用いる方法が挙げられる。
(湿潤後の分離材体積)/(乾燥分離材の体積)=水中での膨潤度
(吸湿後分離材質量−1)g/1g×100=吸湿度(%)
500mLの三口フラスコに、モノマとして、純度96%のジビニルベンゼン(DVB、新日鉄住金化学株式会社製、商品名「DVB960」)10.7g、スチレン5.3g、多孔質化剤として、スパン80 6g、重合開始剤として、過酸化ベンゾイル0.64gを加え、モノマ相とした。また、ポリビニルアルコールを0.5質量%含む水溶液を分散相として使用した。この分散液を、マイクロプロセスサーバーを使用して乳化後、得られた乳化液(モノマ濃度25体積%)をフラスコに移し、80℃のウォーターバスで加熱しながら、撹拌機を用いて約8時間撹拌をした。得られた粒子をろ過後、アセトンで洗浄を行い、多孔質ポリマ粒子1を得た。多孔質ポリマ粒子1の粒径をフロー型粒径測定装置(FPIA−3000、シスメックス株式会社製)で測定し、平均粒径を算出した。結果を表1に示す。
ジビニルベンゼン、スチレン及びスパン80の使用量を、それぞれ12.3g、3.7g、8gに変更した以外は、多孔質ポリマ粒子1の合成と同様にして、多孔質ポリマ粒子2を合成した。
ジビニルベンゼン10.7g、スチレン5.3g及びスパン80 6gを、ジビニルベンゼン13.4g、スチレン2.6g、スパン80 6g及びオクタノール4gに変更した以外は、多孔質ポリマ粒子1の合成と同様にして、多孔質ポリマ粒子3を合成した。
ジビニルベンゼン10.7g、スチレン5.3g及びスパン80 6gを、ジビニルベンゼン16g、スパン80 4g、オクタノール4g及びジエチルベンゼン2gに変更した以外は、多孔質ポリマ粒子1の合成と同様にして、多孔質ポリマ粒子4を合成した。
ジビニルベンゼン10.7g及びスチレン5.3gを、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA、トリエステル57%)16gに変更した以外は、多孔質ポリマ粒子1の合成と同様にして、多孔質ポリマ粒子5を合成した。
ジビニルベンゼン10.7g及びスチレン5.3gを、ジビニルベンゼン12.8g及び2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート3.2gに変更した以外は、多孔質ポリマ粒子1の合成と同様にして、多孔質ポリマ粒子6を合成した。
市販のアガロース粒子(GEヘルスケアジャパン株式会社、商品名「Capto DEAE」)を多孔質ポリマ粒子7として使用した。
<被覆層の形成及び架橋>
アガロース水溶液(2質量%)100mLに水酸化ナトリウム4g及びグリシジルフェニルエーテル0.14gを投入して70℃で12時間反応させ、アガロースにフェニル基を導入した。得られた変性アガロースをイソプロピルアルコールで再沈殿させ、洗浄した。次に、20mg/mLの変性アガロース水溶液に多孔質ポリマ粒子1を、水溶液70mLに対して多孔質ポリマ粒子1を1gの割合で投入し、55℃で24時間撹拌して、多孔質ポリマ粒子1に変性アガロースを吸着させた。吸着後、ろ過を行い、熱水で洗浄した。
得られた粒子0.5gをBSA(Bovine Serum Albumin)濃度20mg/mLのリン酸緩衝液(pH7.4)50mLに投入し、24時間室温で撹拌を行った。その後、遠心分離で上澄みをとり、分光光度計でろ液のBSA濃度より、粒子に吸着したBSA量を算出した。BSAの濃度は分光光度計により280nmの吸光度から確認した。結果を表3に示す。
変性アガロースが架橋された粒子を含む水懸濁液から粒子をろ別した。得られた粒子(乾燥重量20g)を5Mの水酸化ナトリウム水溶液200mLに投入し、室温で1時間放置した。別途、ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩の所定量(60g)を200mLの水に添加し、ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩の水溶液を調製した。この水溶液を、上記水酸化ナトリウム水溶液に加え、温度を70℃まで上げ、撹拌しながら2時間反応させた。反応終了後、生成物をろ別、水洗して、ジエチルアミノエチル(DEAE)基をイオン交換基として有する(DEAE変性)分離材を得た。得られた分離材の平均細孔径及び比表面積を水銀圧入法にて測定した。また、得られた分離材を乾燥後、熱重量分析により被覆層の質量(被覆量)を測定した。結果を表2に示す。
また、分離材の水中での膨潤度を以下のようにして測定した。10mLメスシリンダーに乾燥した分離材を5mLまで投入し、このメスシリンダーの10mLの目盛まで水を添加し、25℃で24時間放置した。その後、上述の方法により、水中での膨潤度を算出した。結果を表2に示す。
分離材の吸湿度は、上述の方法で算出した。結果を表2に示す。
12時間以上水で膨潤させた分離材を0.2〜0.3g定量し、ビーカに移し、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液20mLを加え、25℃、1時間撹拌した。その後、フィルタを用いて吸引ろ過を行い、フィルタ上の粒子を洗浄液が中性になるまで洗浄した。その後、分離材をビーカに移し、0.1N塩酸水溶液20mLを添加し、室温で1時間撹拌した。その後、フィルタを用いて吸引ろ過を行い、フィルタ上の分離材を洗浄液が中性になるまで洗浄した。この洗浄液について自動電位差滴定装置を使用して0.1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定を行うことによって、分離材のイオン交換容量(mmol/mL)を求めた。結果を表3に示す。
得られた分離材を濃度30質量%のスラリー(溶媒:メタノール)としてφ7.8×300mmのステンレスカラムに15分かけて充填した。その後、カラムに流速を変えながら水を通し、流速とカラム圧との関係を測定し、0.3MPa時の通液速度を測定した。結果を表3に示す。
q10=cfF(t10−t0)/VB
q10:10%breakthroughにおける動的吸着量(mg/mL wet resin)
cf:注入しているBSA濃度(mg/mL)
F:流速(mL/min)
VB:ベッド体積(mL)
t10:10%breakthroughにおける時間(min)
t0:BSA注入開始時間(min)
多孔質ポリマ粒子1を多孔質ポリマ粒子2に変更した以外は、実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。
多孔質ポリマ粒子1を多孔質ポリマ粒子3に変更した以外は、実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。
多孔質ポリマ粒子1を多孔質ポリマ粒子4に変更した以外は、実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。
多孔質ポリマ粒子1を多孔質ポリマ粒子5に変更した以外は、実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。
多孔質ポリマ粒子6をそのまま分離材として用い、実施例1と同様に評価した。
多孔質ポリマ粒子7をそのまま分離材として用い、実施例1と同様に評価した。
Claims (9)
- ジビニルベンゼンに由来する構造単位及びスチレンに由来する構造単位を含む重合体を含有する多孔質ポリマ粒子と、
該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、水酸基を有する高分子を含む被覆層と、
を備え、
前記重合体が、前記ジビニルベンゼンに由来する構造単位をモノマ全質量基準で60質量%以上含み、
前記水酸基を有する高分子が、多糖類が疎水基により変性された多糖類の変性体である、分離材。 - 水中での膨潤度が1.05以下である、請求項1に記載の分離材。
- 比表面積が30m2/g以上である、請求項1又は2に記載の分離材。
- 平均細孔径が0.05〜0.6μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離材。
- 前記多孔質ポリマ粒子の平均粒径が10〜300μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離材。
- 前記水酸基を有する高分子が、アガロースが疎水基により変性されたアガロースの変性体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離材。
- 前記多孔質ポリマ粒子1g当たり、30〜400mgの前記被覆層を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離材。
- カラムに充填した場合、カラム圧0.3MPaのときに通液速度が800cm/h以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分離材。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の分離材を備えるカラム。
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