JP2001129395A - 吸着剤、吸着成型体及びそれらを用いた化合物分離用具 - Google Patents

吸着剤、吸着成型体及びそれらを用いた化合物分離用具

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JP2001129395A
JP2001129395A JP31904499A JP31904499A JP2001129395A JP 2001129395 A JP2001129395 A JP 2001129395A JP 31904499 A JP31904499 A JP 31904499A JP 31904499 A JP31904499 A JP 31904499A JP 2001129395 A JP2001129395 A JP 2001129395A
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mass
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Kuniaki Shinpo
邦明 新保
Ryuji Takahashi
龍ニ 高橋
Hiroshi Suzuki
廣志 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンディショニング不要の固相抽出用、疎水性
崩壊を起こさない液体クロマトグラフィー用等の材料と
して、広範囲に使用することができる、N−アルケニル
カルボン酸アミドと他の単量体に由来するユニットを含
む新規吸着剤と吸着成型体、それを用いた化合物分離用
具の提供。 【解決手段】下記一般式(I) R1−(C=O)NH−R2 (I) (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基ま
たは炭素数6〜8以下のアラルキル基もしくはアリール
基、R2は少なくとも1個の二重結合を含む炭素数2〜
8のアルケニル基を示す。)で表わされるN−アルケニ
ルカルボン酸アミド(a)、架橋性ビニル系単量体
(b)及び必要に応じて用いられる他の非架橋性ビニル
系単量体(c)を、溶媒または分散媒(d)の存在下で
共重合して得られる多孔性共重合体粒子からなる吸着
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−アルケニルカ
ルボン酸アミドと他の単量体に由来するユニットを含む
新規吸着剤と吸着成型体、それを用いた化合物分離用具
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液体中からの試料の抽出には、液
−液抽出法が多く用いられてきたが、作業が繁雑で時間
と経験を要すること、溶媒を多量に使用することなどの
問題があった。これに対して、近年頻繁に採用されるよ
うになってきた固相抽出法は、作業が簡単なうえに短時
間ですみ、しかも溶媒の使用量が少ないという特長を持
っている。そのため、多数の検体を短期間に処理しなけ
ればならない場合に非常に有利であり、自動化も容易で
ある。固相抽出法が近年急速に浸透したことの背景に
は、吸脱着性能のよいシリカ系及びポリマー系多孔性粒
子が開発され、それらが固相抽出用吸着剤として複数の
メーカーから市場に提供されるようになったことが挙げ
られる。
【0003】固相抽出用吸着剤として用いられる粒子の
代表例としては、シリカゲルまたはその表面を化学修飾
した化学結合型シリカゲル、スチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体など
が挙げられる。しかし、それぞれに以下のような特有の
問題点がある。
【0004】シリカゲルまたは化学結合型シリカゲルの
場合は、シリカゲルに含まれる微量不純物の影響で一部
の試料が分解したり、残存シラノール基の影響で一部の
試料の回収率が低下することがある。スチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体の場合は、疎水性が強すぎるため、
水溶液を処理する際の作業性や回収率が低下しやすい。
一方、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の場合は、
疎水性が不十分なため、極性物質の回収率が低下しやす
い。
【0005】このような問題を回避するために、ジビニ
ルベンゼン−多価アルコール(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体を用いる方法(特開平6−258203号公
報)が提案されている。しかし、この方法は、吸着剤が
溶媒でコンディショニングされた直後の状態(以下、
「湿潤状態」という。)で使用するときには確かに高い
回収率を示すが、吸着剤が乾燥して溶媒が失われた状態
(以下、「乾燥状態」という。)で使用すると極端に回
収率が低下するものであった。
【0006】一方、液体クロマトグラフィー用カラムの
性能評価において、最近注目されるようになってきた項
目として「疎水性崩壊試験」がある。逆相モードで親水
性物質を分析する場合、移動相の水の比率を十分に高め
る必要が生じるが、水100%の移動相を通液し続けた
場合、ある瞬間から試料の保持時間が急激に低下しはじ
めることがある。例えばODSカラムにおいては、直鎖
状に伸びていた疎水性のオクタデシル基が、水になじみ
にくいため、しだいに寝込んでしまうのがその原因と考
えられている。このような現象を「疎水性崩壊」とい
い、その程度を評価する試験を「疎水性崩壊試験」と呼
ぶ。
【0007】疎水性崩壊試験は、市販のODSカラムに
ついてはよく行なわれており、疎水性崩壊が起きないよ
うに改良されたシリカ系カラムも、最近になって数種類
上市された。しかし、ポリマー系カラムについては、こ
れまで疎水性崩壊が問題とされること自体、ほとんどな
かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】固相抽出操作における
コンディショニングは、本質的に疎水性である吸着剤面
に試料の水溶液をなじませるため、前もって行なわれる
処置であり、固相抽出の一般手法として常識化してい
る。
【0009】これは試料溶液を通液する直前に、例えば
メタノールに吸着剤をなじませるのであるが、その際、
吸着剤粒子の間隙にメタノールが残っていると、最初の
うち試料のブレークスルーを起こしやすい。そこでメタ
ノールの後に水または緩衝液を通液して、粒子の細孔と
表面近傍だけにメタノールを残す処置が行なわれる。そ
の結果、コンディショニングには2段階の通液操作が必
要となり、それだけ時間と溶媒を費やすことになる。
【0010】作業をより簡単にし、時間と溶媒をさらに
節約するためには、コンディショニングなしの乾燥状態
で試料水溶液を通液しても高い回収率を維持できる固相
抽出用吸着剤が求められる。言い換えれば、乾燥状態で
の細孔表面の疎水性を、水をはじかない限界程度にまで
低めた吸着剤を開発する必要がある。水をはじかない限
界程度というのは、親水性が高すぎると今度は試料の吸
着効率が低下してしまうからである。
【0011】一方、本発明者らが液体クロマトグラフィ
ーにおける疎水性崩壊の問題を調べているうちに、ポリ
マー系カラムの場合でも、ODSカラムと同じように疎
水性崩壊が起こりうるということが明らかとなってき
た。膨潤孔(乾燥時には潰れていて、溶媒に浸されると
開くフレキシブルなポリマー細孔をいう。)が本質的に
疎水性である吸着剤においては、その中の有機溶媒は水
と置き換わりにくく、有機溶媒の濃度が限界以下になる
と、膨潤孔の崩壊(萎縮)が起こることが予想される。
その結果、疎水性吸着に関与する細孔表面積が急激に減
少し、試料の保持時間が低下するものと考えられる。こ
の問題を解決するには、膨潤孔表面の疎水性を、水をは
じかない限界程度にまで低めた吸着剤を開発する必要が
ある。水をはじかない限界程度を必要とするのは、親水
性が高すぎると今度は試料の保持時間が極端に低下して
しまうからである。
【0012】上述のように、固相抽出と液体クロマトグ
ラフィーという二つの分野において、本発明者らが解決
しようとする課題は、吸着剤に付与すべき疎水性の調節
という観点から、本質的に共通なものであるといえる。
【0013】本発明はかかる状況に鑑みてなされたもの
であり、水をはじかない限界程度に疎水性を調節した吸
着剤、吸着成型体、それらを用いたコンディショニング
不要の固相抽出用分離用具、及び疎水性崩壊を起こさな
い液体クロマトグラフィー用分離用具の提供、さらには
広く一般に使用することができる化合物分離用具の材料
に関する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、多価アル
コール(メタ)アクリル酸エステルよりもさらに親水性
が高く、しかも懸濁重合の際、水相への溶解損失を塩添
加によって実用上問題ないレベルにまで防ぐことのでき
る単量体として、一般式(I)で表わされるN−アルケ
ニルカルボン酸アミドが適当であることを発見した。
【0015】また、当該N−アルケニルカルボン酸アミ
ドと架橋性ビニル系単量体及び必要に応じて用いられる
他の非架橋性ビニル系単量体を、溶媒または分散媒の存
在下で共重合して得られる多孔性共重合体粒子を用いる
ことにより、水をはじかない限界程度に疎水性を調節し
た新規吸着剤と、それらを用いたコンディショニング不
要の固相抽出用分離用具、及び疎水性崩壊を起こさない
液体クロマトグラフィー用分離用具が得られることを見
いだし、本発明を完成するに至った。
【0016】すなわち本発明は次の事項に関する。 [1]下記一般式(I)
【0017】
【化3】 (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基ま
たは炭素数6〜8のアラルキル基もしくはアリール基、
2は炭素数2〜8のアルケニル基を示す。)で表わさ
れるN−アルケニルカルボン酸アミド(a)、架橋性ビ
ニル系単量体(b)及び必要に応じて用いられる他の非
架橋性ビニル系単量体(c)を、溶媒または分散媒
(d)の存在下で共重合して得られる多孔性共重合体粒
子からなる吸着剤。 [2]N−アルケニルカルボン酸アミド(a)が、下記一
般式(II)
【0018】
【化4】 (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基ま
たは炭素数6〜8のアラルキル基もしくはアリール基、
3は水素原子またはメチル基を示す。)で表わされる
N−ビニルカルボン酸アミドである上記[1]に記載の吸
着剤。 [3]N−アルケニルカルボン酸アミド(a)が、N−ビ
ニルアセトアミドである上記[1]または[2]に記載の吸
着剤。 [4]架橋性ビニル系単量体(b)が、ジビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジメタクリレート、グリセリン
ジメタクリレートからなる群より選ばれる1種または2
種以上の混合物である上記[1]ないし[3]のいずれかに
記載の吸着剤。 [5]溶媒または分散媒(d)が、水に難溶性の有機化合
物またはそれらの混合物である上記[1]ないし[4]のい
ずれかに記載の吸着剤。
【0019】[6]上記(a)、(b)及び(c)の総量
を100質量%としたとき、N−アルケニルカルボン酸
アミド(a)が5〜60質量%、かつ架橋性ビニル系単
量体(b)が40〜95質量%である上記[1]ないし
[5]のいずれかに記載の吸着剤。 [7]上記(a)、(b)及び(c)の総量100質量%
に対して、添加する溶媒または分散媒(d)の割合が1
0〜300質量%である、上記[1]ないし[6]のいずれ
かに記載の吸着剤。 [8]多孔性共重合体粒子を、水性懸濁重合によって得る
ことを特徴とする上記[7]に記載の吸着剤。 [9]水性懸濁重合において、水相に塩類を添加して重合
させる上記[8]に記載の吸着剤。 [10]多孔性共重合体粒子が、球状粒子、破砕粒子、
膜、繊維または塊状連続体である上記[1]ないし[9]の
いずれかに記載の吸着剤。 [11]上記[1]ないし[10]のいずれかに記載の吸着剤
をバインダーに保持させてなる吸着成型体。
【0020】[12]上記[1]ないし[10]のいずれかに
記載の吸着剤の1種類以上を、バインダーなしで、ある
いはバインダーとともに支持体に塗布、散布、充填、設
置、挿入、または密閉してなる化合物分離用具。 [13]上記[11]に記載の吸着成型体をバインダーなし
で、あるいはバインダーとともに支持体に塗布、散布、
充填、設置、挿入、または密閉してなる化合物分離用
具。 [14]化合物分離用具が、固相抽出用またはクロマトグ
ラフィー用のカラム、カートリッジ、フィルター、プレ
ート、もしくはキャピラリーである上記[12]または
[13]に記載の化合物分離用具。 [15]化合物分離用具が、液体クロマトグラフィーまた
はガスクロマトグラフィー用のカラム、カートリッジ、
フィルターもしくはキャピラリー、あるいは薄層クロマ
トグラフィー用プレートである上記[12]ないし[1
4]のいずれかに記載の化合物分離用具。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるN−アルケニルカルボン酸ア
ミド(a)としては、上記一般式(I)で表される化合
物であれば特に限定はないが、N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンア
ミド、N−(2−プロペニル)ホルムアミド、N−(2
−プロペニル)アセトアミド、N−ビニルブチロアミ
ド、N−ビニルベンズアミド、N−ビニル(o−トルア
ミド)、N−ビニル(p−トルアミド)などが挙げら
れ、これらを単独、または2種以上を組み合わせて使用
する。
【0022】N−アルケニルカルボン酸アミドの中で
も、他のモノマーとの共重合性を考慮すると上記一般式
(II)で表されるN−ビニルカルボン酸アミドを用い
るのがよく、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセ
トアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−(2−プ
ロペニル)ホルムアミド、N−(2−プロペニル)アセ
トアミド等が好ましく用いられ、それらのなかでもR3
が水素のものが好ましい。単独で使用する場合には、得
られる架橋共重合体粒子の親水性、安定性の点から、N
−ビニルアセトアミドを用いることが好ましい。
【0023】架橋性ビニル系単量体(b)としては、上
記N−アルケニルカルボン酸アミドと共重合可能なもの
であれば、特に限定はない。具体例としては、ジビニル
ベンゼン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ト
リビニルベンゼン、ジビニルフェノールのようなポリビ
ニル芳香族系単量体;エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリ
ンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ
(メタ)アクリレートのような多価アルコールポリ(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体;ジアリルエーテル、
トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリ
スリトールトリアリルエーテル、テトラアリロキシエタ
ンのようなポリアリルエーテル;N,N’−1,3−プ
ロピレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N’−
1,2−メチレンビス(N−ビニルアセトアミド)のよ
うなN,N’−低級アルキレンビス(N−ビニルカルボ
ン酸アミド)などが挙げられる。これらの化合物は、疎
水性、共重合性などを考慮して、単独または2種以上を
組み合わせて使用することができる。
【0024】得られる多孔性共重合体粒子の物理的強度
の観点からは、上記ポリビニル芳香族系単量体を少なく
とも1種使用することが好ましい。さらにその際、N−
ビニルアセトアミドとの共重合性を高める目的で、上記
多価アルコールポリ(メタ)アクリル酸エステル系単量
体を組み合わせて使用することが、いっそう好ましく、
例えばジビニルベンゼンとエチレングリコールジメタク
リレート、ジビニルベンゼンとグリセリンジメタクリレ
ートなどの組み合わせが挙げられる。本発明において、
「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタク
リル」を意味する。
【0025】本発明において必要に応じて用いられる他
の非架橋性ビニル系単量体(c)としては、上記N−ア
ルケニルカルボン酸アミドまたは上記架橋性ビニル系単
量体のいずれかと共重合可能なものであれば特に限定は
ないが、具体例としては、スチレン、o−,m−,p−
メチルスチレン、o−,m−,p−(クロロメチル)ス
チレン、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、
(ジエチルアミノエチルスチレン)、ビニルナフタレ
ン、4−ビニルピリジンのようなビニル芳香族系単量
体;(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリン(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレートのような(メタ)アクリル酸エステル系単量
体;酢酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸ビニルのよ
うなカルボン酸不飽和エステル系単量体;マレイン酸、
無水マレイン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、マ
レイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのようなマレイ
ン酸系単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸のよう
なカルボキシル基を有する単量体、アクリロニトリル、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピ
ルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ブチルアリ
ルエーテルのような不飽和エーテル系単量体などが挙げ
られる。
【0026】これらの単量体は使用しなくてもよいし、
単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合後さらに官能基を導入できる可能性が高く、応用範
囲の広い重合体を得るためには、o−,m−,p−(ク
ロロメチル)スチレン、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセリン
モノ(メタ)アクリレートのように、クロロメチル基、
エポキシ基、水酸基などの反応性基を有するものが好ま
しい。
【0027】本発明において、溶媒または分散媒(d)
は、生成する架橋共重合体粒子を多孔性にする目的で単
量体混合物に添加される。その種類は、塊状重合などの
ように水を媒体に用いない場合には特に限定されない
が、水性懸濁重合などのように水を媒体に用いる場合に
は、水に難溶性の有機化合物が好ましい。具体例として
は、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ヘプタ
ン、オクタン、ドデカン、酢酸ブチル、フタル酸ジブチ
ル、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、シクロ
ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−ドデカノ
ール、非架橋ポリスチレンなどが挙げられる。これらの
溶媒または分散媒は、単独でまたは2種以上組み合わせ
それらの混合物として使用することができる。
【0028】これらの溶媒または分散媒の添加量は、単
量体の総量に対して10〜300質量%、好ましくは3
0〜200質量%、より好ましくは40〜150質量%
である。添加量が10質量%未満だと、多孔共重合体粒
子の多孔性が不十分になるため好ましくなく、300質
量%を超えた場合は、多孔共重合体粒子の物理的強度が
不十分になるため好ましくない。
【0029】本発明において使用されるN−アルケニル
カルボン酸アミド(a)、架橋性ビニル系単量体
(b)、及び必要に応じて用いられる他の非架橋性ビニ
ル系単量体(c)の配合割合については、特に限定はな
い。(a)、(b)及び(c)の総量100質量%のう
ち、N−アルケニルカルボン酸アミド(a)が5〜60
質量%で使用するのがよい。好ましくは、N−アルケニ
ルカルボン酸アミド(a)を15〜55質量%、より好
ましくは35〜50質量%使用するのがよい。N−アル
ケニルカルボン酸アミド(a)が上記範囲を外れたとき
は、架橋共重合体粒子の親水性が不十分となるか、また
は架橋共重合体粒子の物理的強度が不十分となるため好
ましくない。
【0030】また、架橋性ビニル系単量体(b)は、
(a)、(b)及び(c)の総量100質量%のうち4
0〜95質量%となる割合で用いるのが好ましい。用い
る架橋性ビニル系単量体(b)の量が少なすぎると架橋
共重合体粒子の物理的強度が不十分となり、逆に多すぎ
ると共重合体粒子の疎水性が大きくなりすぎる。
【0031】ただし、架橋性ビニル系単量体(b)の一
部または全部が親水性の架橋性ビニル系単量体である場
合、たとえばグリセリンジ(メタ)アクリレート、テト
ラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンジアリルエーテル、N,N’−1,3−
プロピレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N’
−1,2−メチレンビス(N−ビニルアセトアミド)の
ような単量体である場合は、(a)、(b)及び(c)
の総量100質量%のうち、(a)+(b)が5〜60
質量%となる割合で使用するのがよい。好ましくは、
(a)+(b)が15〜55質量%、より好ましくは
(a)+(b)が31〜53質量%となる割合がよい。
上記の場合、N−アルケニルカルボン酸アミド(a)は
少なくとも5質量%以上使用するのがよく、好ましくは
10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であ
る。
【0032】本発明においては、単量体と溶媒または分
散媒の混合物に、重合開始剤を添加する。用いる重合開
始剤の例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニ
トリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)のようなアゾ系化合物;過酸化ベンゾイ
ル、過酸化ジクミル、過酸化ジ−t−ブチル、過安息香
酸−t−ブチル、メチルエチルケトンペルオキシドのよ
うな有機過酸化物など一般に使用される重合開始剤が挙
げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせ
て使用する。用いる重合開始剤の濃度は、単量体の種類
などにより適宜決められるものであり一概に規定できな
いが、単量体の総量に対して0.1〜5質量%が好まし
く用いられる。
【0033】本発明の吸着剤に用いられる多孔性共重合
体粒子の外形は、特に限定されるものではなく、球状粒
子、破砕粒子、膜、繊維または塊状連続体などのいずれ
の形態をとることも可能である。したがって重合方法
も、可能な範囲ならば特に限定はされない。例えば、適
当な容器内で塊状重合させて得られる重合体をそのま
ま、または適当な大きさに破砕して使用してもかまわな
い。さらには、その容器ごとそのまま分離用具として使
用可能な場合もありうる。
【0034】以下、代表例として、水性懸濁重合で球状
粒子を作る場合について説明する。水性懸濁重合の場
合、水相には分散安定剤を添加する。用いる分散安定剤
としては、ポリビニルアルコール、アルキルセルロー
ス、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキ
ルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ゼラチンな
どの水溶性高分子化合物が挙げられる。分散安定剤の濃
度は、特に限定はないが、水に対して0.1〜5質量%
が好ましい。
【0035】水性懸濁重合の場合、単量体の一部、特に
N−アルケニルカルボン酸アミドが水相へ溶解するのを
防ぐため、水相に塩類を添加するのが好ましい。添加す
る塩類の例としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウ
ム、硫酸ナトリウムなどが挙げられ、これら塩類は単独
でまたは2種以上組み合わせて使用する。用いる塩類の
濃度に特に限定はないが、水への溶解性が比較的高いN
−アルケニルカルボン酸アミドが水相へ溶け出すのを防
ぐため、溶解度の許す範囲で、可能な限り高い濃度が好
ましい。例えば、水に対して、塩化ナトリウムであれば
1〜15質量%、塩化カルシウムであれば1〜40質量
%である。
【0036】水性懸濁重合の場合、油相に対する水相の
比率が大きすぎると、単量体の一部、特にN−アルケニ
ルカルボン酸アミドが水相へ溶解する量が増えてしま
い、小さすぎると油滴の合一が起こりやすくなる。その
ため、使用する水の質量は、単量体および、溶媒または
分散媒の総量に対して200〜1000質量%が好まし
い。
【0037】さらに、水性懸濁重合を始める前に油相と
水相を混合し、油滴が目的とする粒径になるように分散
させる。分散には、微粒子化用の攪拌翼を付けた攪拌装
置、または高速分散機(ホモジナイザー)等を用いるこ
とができる。比較的粒径の大きい吸着剤(例えば固相抽
出用)を作るには微粒子化用の攪拌翼を付けた攪拌装置
を用い、比較的粒径の小さい吸着剤(例えば、液体クロ
マトグラフィー用の吸着剤)を作るには高速分散機(ホ
モジナイザー)を用いるのがよい。水性懸濁重合の場
合、重合反応は、通常の攪拌下において40〜100℃
の温度範囲で5〜16時間行なわれる。
【0038】以上のようにして得られた共重合体粒子は
平均粒径0.1〜2000μmの多孔性粒子である。多
孔性共重合体粒子の平均粒径は1〜500μmが好まし
く、2〜200μmがより好ましい。平均粒径が0.1
μmより小さい場合は強度が十分でなく、2000μm
を超えると粒子の表面付近と中心付近で物質交換速度の
差が大きくなることから吸着剤としての性能が低下する
ため好ましくない。粒子の形状は球形が好ましいが、不
定形その他の形状でも構わない。これら共重合体粒子の
多孔性は粒子全体に均一に形成された永久孔によるもの
であり、平均孔径2〜800nm、好ましくは2〜10
0nmの永久孔が均一に形成されている。これら多孔性
共重合体粒子は必要に応じて分級され、化合物分離用具
の材料として使用される。
【0039】本発明において、多孔性共重合体粒子の粒
径測定にはコールターカウンターを用いる。本発明にお
いて永久孔とは、ゲルが乾燥している状態においても存
在する比較的堅いポリマー細孔をいう。ただし永久孔と
いえども乾燥状態と溶液浸漬状態とではそのサイズが異
なる場合があり、永久孔の孔径は、J.Chromed
ogr.,387(1987)65に記載されているよ
うな逆サイズ排除クロマトグラフィーの手法またはBE
T法などにより求めることができるが、本発明において
は特に支障のない限り、Angew.Chem.In
t.Ed.Engl.,17,901〜908(197
8)に記載の方法に準じて平均永久孔径が測定される。
【0040】測定に際してはまず、被測定粒子をカラム
に充填してHPLC装置につなぎ、テトラヒドロフラン
を溶離液として広範囲の分子量にわたる複数の標準ポリ
スチレン及びベンゼンの保持容量を各々測定する。その
結果を、Y軸に分子量M、X軸に保持容量(ml)を目
盛ったグラフにプロットする。こうして得られた各点を
なめらかに結んだ曲線を較正曲線と呼ぶ。得られた較正
曲線から常法により排除限界点(V1,M1)を求め、こ
れとベンゼンの測定点(V2,78)を用いて、直線X
=(V1+V2)/2をグラフに記入する。この直線と較
正曲線の交点(「平均細孔点」と称することとする。)
のY座標Mmを読み取り、この値を上記引用文献p.9
05の経験式(11)と同等の次式に代入することによ
り、平均細孔径φm[Å]を算出する。
【0041】
【数1】
【0042】なお、「平均細孔点」とは、発明者らが定
義したものである。全細孔容積を100%としたとき、
最小容積(ベンゼンがちょうどはまる大きさとする。)
からの積算容積が50%になる点を意味する。この点の
標準ポリスチレン相当分子量を、それがちょうどはまる
細孔の直径に換算するために上式を用いるものである。
【0043】従来の合成高分子粒子を多孔性にする方法
のひとつとして、単量体の総量に対して1〜8質量%程
度の低架橋度の粒子を、粒子を親和性の高い溶媒に共に
用いると粒子基材は膨潤し、その膨潤によってできた間
隙を膨潤高として多孔質とすることができるが、溶媒の
親和性の強さの度合いによって多孔度が異なり、また溶
媒を取り除いた乾燥状態では無孔性となってしまう欠点
を有している。本発明における多孔性共重合体粒子は、
従来の合成高分子による多孔性粒子とは異なり、乾燥状
態においても無孔性とならず、全体に均一に永久孔が形
成されているものである。
【0044】本発明において吸着剤として用いられる多
孔性共重合体粒子の外形には特に限定はなく、例えば球
状粒子、破砕粒子、膜、繊維または塊状連続体など、い
ずれの形状でも構わない。ここで塊状連続体とは、例え
ば円筒型容器中で塊状重合させたものを抜き出して得ら
れる棒状重合体などを意味し、破砕粒子とは、塊状連続
体や球状粒子などをハンマー、乳鉢、粉砕機などでより
小さな断片に砕いて得られる不規則なあるいは規則的な
形の粒子を意味する。したがって、上記の水性懸濁重合
によって得られる球状粒子は一例に過ぎず、以下の用途
説明においても、代表例として、水性懸濁重合で得られ
た球状粒子を使用する場合について主に記述するが、こ
れによって吸着剤の外形や用途が限定されるものではな
い。
【0045】本発明の吸着剤は、そのまま化合物分離用
具の材料として用いてもよいし、適当なバインダーに保
持させて吸着成型体として用いてもよい。ここで、バイ
ンダーとは、個々の吸着剤をつなぎ合わせて、より大き
な一定の形を保持させるために加えられる補助材料をい
い、化学的に不活性なものが好ましい。バインダーとし
ては、フィルター状またはディスク状に成型する際によ
く用いられる、ポリエチレン製またはポリ(テトラフル
オロエチレン)製繊維のようなものが挙げられるが、特
にこれらに限定されるものではない。
【0046】また、吸着成型体とは、個々の吸着剤をバ
インダーに保持させることで、より大きな一定の形を与
えられた吸着剤の集合体をいう。上記のバインダーの例
でいえば、できあがったフィルターやディスク等が吸着
成型体に相当するが、吸着成型体の外形はこれらに限定
されるものではない。
【0047】化合物分離用具としては、本発明の吸着剤
または吸着成型体の1種類以上を、バインダーなしでま
たはバインダーとともに支持体に塗布、散布、充填、設
置、挿入、または密閉して作ることができる。「吸着剤
をバインダーとともに」とは、支持体の中または表面に
直接、吸着成型体を作り上げることをしめす。以下に各
々の作成操作の例を挙げるが、これによって各操作が限
定されるものではない。塗布とは主に、刷毛のようなも
ので塗り込めたり、懸濁液に浸した後に引き上げたりす
る操作をいい、散布とは主に、気体、液体または固体に
分散させたり、それを吹き付けたりする操作をいう。充
填とは主に、中空の容器や管にできるだけ隙間なく詰め
ていく操作、設置とは主に、置いたり、留めたり、挟ん
だり、圧着したり、電着したり、化学結合したりする操
作、挿入とは主に、差し込んだり、埋め込んだりする操
作、密閉とは主に、封じ込めたり、閉じ込めたり、覆っ
たりする操作を意味する。
【0048】これら使用形態に特に限定はないが、例え
ば固相抽出用またはクロマトグラフィー用のカラム、カ
ートリッジ、フィルター、プレート、キャピラリーなど
が挙げられる。化合物分離用具の一例としては、本発明
の吸着剤のうち、水性懸濁重合で得られた球状粒子を支
持体に充填することにより、固相抽出用カートリッジを
作ることができる。
【0049】化合物分離用具に用いる支持体としては、
有機溶媒に不溶性で、試料濃縮作業中に吸着剤が漏れ出
たりしないものであればよく、その材質と形は特に限定
されない。用いる支持体の例としては、一般に用いられ
る、材質がポリプロピレン、ポリエチレンなどからな
り、容積1〜500mL、好ましくは2〜100mLの
注射筒型シリンジであって、樹脂製または多孔性ガラス
製のフィルターがセットされたものなどを挙げることが
できる。また、吸着剤の支持体への充填量は、粒子のか
さ密度、試料の濃縮量により適宜決められるが、例えば
支持体容積が6mLの場合では、100〜2000m
g、好ましくは300〜1000mgである。支持体の
形態を変え、必要に応じてバインダーを併用することに
より、例えば、固相抽出用のウェルプレートやフィルタ
ーなども作ることができる。
【0050】また、本発明の吸着剤を適当な支持体に充
填することにより、液体クロマトグラフィー用カラムを
作ることができる。支持体は有機溶媒に不溶性で、試料
濃縮作業中に吸着剤が漏れ出たりしないものであればよ
く、その材質と形は特に限定されない。支持体の例とし
ては、材質がステンレス、ポリエチルエーテルケトンな
どで、内径1〜20mm、長さ5〜500mmの円筒状
空カラムであって、フィルターと配管接続部を備えたエ
ンドフィッティングが両端に接続できるものなど一般に
用いられているものを挙げることができる。吸着剤の充
填は通常の方法に従い、空カラムの両端に隙間ができな
いように吸着剤の量と充填条件を調節する。
【0051】さらに、支持体の形態を変え、必要に応じ
てバインダーを併用することにより、例えば、ガスクロ
マトグラフィー用のカラムやキャピラリー、薄層クロマ
トグラフィー用のプレートなども作ることができる。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるも
のではない。なお、測定方法及び条件は以下の通り。
【0053】[湿潤状態での回収率測定] (1)固相抽出用カートリッジを、吸引マニホールドに
セットする。 (2)メタノール5mLを、5mL/minで通液す
る。 (3)水5mLを、5mL/minで通液する。 (4)20mMリン酸緩衝液(pH7)に溶解した10
μg/mLの試料溶液5mLを、5mL/minで通液
する。 (5)20mMリン酸緩衝液(pH7)5mLを、5m
L/minで通液する。 (6)メタノール5mLを、5mL/minで通液し、
溶出液を回収する。 (7)回収した溶出液に内部標準物質を加え、この20
μLをHPLCで分析することにより、溶出液中に含ま
れる試料を定量する。 (8)(7)での定量値の、初期値(試料濃度×5m
L)に対する百分率を求め、回収率とする。
【0054】[乾燥状態での回収率測定] (1)固相抽出用カートリッジを吸引マニホールドにセ
ットする。 (2)メタノール5mLを5mL/minで通液する。 (3)メタノールが吸着剤の上端に到達した後10分
間、減圧度を1.33kPaに維持して、吸着剤を乾燥
させる。 (4)20mMリン酸緩衝液(pH7)に溶解した10
μg/mLの試料溶液5mLを、5mL/minで通液
する。 (5)20mMリン酸緩衝液(pH7)5mLを、5m
L/minで通液する。 (6)メタノール5mLを、5mL/minで通液し、
溶出液を回収する。 (7)回収した溶出液に内部標準物質を加え、この20
μLをHPLCで分析することにより、溶出液中に含ま
れる試料を定量する。 (8)(7)での定量値の、初期値(試料濃度×5m
L)に対する百分率を求め、回収率とする。
【0055】[疎水性崩壊試験でのHPLC測定条件] 試験開始前の封入溶媒:アセトニトリル:水=5:95
(v/v) 移動相:水 流速 :1.0mL/min 検出 :UV 254nm 温度 :40℃ 試料 :チミン
【0056】(実施例1)破砕したN−ビニルアセトア
ミド(昭和電工株式会社製)300gを、純度80質量
%のジビニルベンゼン(三共化成株式会社製DVB−
H)825g、エチレングリコールジメタクリレート3
75g、トルエン1230g、2−エチルヘキサノール
270gの混合液に溶解し、次いで、2,2’−アゾビ
ス(2,4−ジメチルバレロニトリル)40gを溶解し
て、油相を調製した。
【0057】一方、塩化カルシウム2700gと塩化ナ
トリウム360gの水(6L)溶液をゆっくりと攪拌し
ておき、そこへポリビニルアルコール(クラレ株式会社
製クラレポバールPVA−224)90gと亜硝酸ナト
リウム0.2gの水(3L)溶液を少しずつ加えて混合
し、水相を調製した。
【0058】20Lのステンレス製容器内で上記油相と
上記水相を混合し、微粒子化用の攪拌翼を付けた攪拌装
置を用いて400rpmで40分間攪拌することによ
り、油滴の最大粒径が100μmになるように調整し
た。次いで攪拌翼を通常攪拌用のものに交換し、150
rpmで攪拌しながら、70℃で6時間反応を行なっ
た。生成した架橋共重合体粒子を濾取し、70℃の温水
90リットル、次いでアセトン15リットルで洗浄した
後、ステンレス製バットに広げて風乾し、さらに70℃
で24時間減圧乾燥した。得られた粒子を、風力分級装
置を用いて20〜40μmに分級し、固相抽出用吸着剤
とした。
【0059】この吸着剤を、底にポリエチレン製フィル
ターがセットされた固相抽出用空カートリッジ(ユニフ
レックス株式会社製、6mL)に500mg充填し、上
から別のポリエチレン製フィルターで栓をして、固相抽
出用カートリッジとした。
【0060】この固相抽出用カートリッジについて、湿
潤状態及び乾燥状態での試薬回収率を測定した結果を表
1に示す。なお、通液速度は、マニホールドの減圧度を
変化させることにより調節した。
【0061】(比較例1)N−ビニルアセトアミドを用
いずに、純度80質量%のジビニルベンゼン825g、
エチレングリコールジメタクリレート675gを用いた
以外は、実施例1と同様な方法で合成、充填、回収率の
測定を行ない、結果を表1に示した。
【0062】実施例1と比較して、湿潤状態での回収率
は若干低い程度であったが、乾燥状態での回収率は顕著
に低かった。
【0063】
【表1】
【0064】(実施例2)油相と水相の混合物を高速分
散機(ホモジナイザー)にかけ、回転数と分散時間を調
節することにより、油滴の最大粒径が5μmになるよう
に調整した以外は、実施例1と同様な方法で反応、濾
過、洗浄、乾燥を行なった。得られた粒子を、風力分級
装置を用いて平均粒径4μmに分級し、液体クロマトグ
ラフィー用吸着剤とした。この吸着剤を、内径4.6m
m×長さ150mmのステンレス製カラムにスラリー法
で充填し、上記HPLC測定条件で疎水性崩壊試験を行
なった。通液1時間後の保持時間をt0、通液35時間
後の保持時間をtとするとき、t/t0=0.98であ
った。
【0065】膨潤孔がある程度親水性なので、その中の
アセトニトリルはすみやかに水と置き換わり、膨潤孔の
サイズに変化が生じなかったため、疎水性吸着に関与す
る細孔表面積が、常に一定に保たれたと考えられる。
【0066】(比較例2)油相と水相の混合物を高速分
散機(ホモジナイザー)にかけ、回転数と分散時間を調
節することにより、油滴の最大粒径が5μmになるよう
に調整した以外は、比較例1と同様な方法で反応、濾
過、洗浄、乾燥を行なった。得られた粒子を、風力分級
装置を用いて平均粒径4〜8μmに分級し、液体クロマ
トグラフィー用吸着剤とした。平均永久孔径は,6.2
nmであった。この吸着剤を、内径4.6mm×長さ1
50mmのステンレス製カラムにスラリー法で充填し、
実施例2と同じ方法で疎水性崩壊試験を行なった。t/
0=0.23であった。
【0067】膨潤孔が本質的に疎水性なので、その中の
アセトニトリルは水と置き換わりにくく、アセトニトリ
ルの濃度が限界以下になると、膨潤孔の崩壊(萎縮)が
起こり、その結果疎水性吸着に関与する細孔表面積が、
時間の経過とともに減少したと考えられる。
【0068】
【発明の効果】本発明の吸着剤は、水をはじかない限界
程度に疎水性が調節されているので、コンディショニン
グ不要の固相抽出用分離用具、及び疎水性崩壊を起こさ
ない液体クロマトグラフィー用分離用具のための材料と
して用いることができるほか、各種の化合物分離用具の
材料として、広範囲に使用することができる。本発明の
化合物分離用具は、固相抽出用として用いた場合には、
さまざまなマトリックスを含む医薬、農薬、環境ホルモ
ンなどの希薄溶液から、分析対象物質のみを、短時間の
簡単な作業で濃縮するために用いることができ、各種分
析の前処理に適用可能である。また、液体クロマトグラ
フィー用分離用具として用いた場合は、有機溶媒/水の
混合溶媒を移動相とする通常の逆相系での使用はもちろ
んのこと、水100%の移動相においても再現性のよい
分析を行なうことができるので、親水性物質の精密分析
に特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 廣志 東京都港区芝大門一丁目13番9号 昭和電 工株式会社内 Fターム(参考) 4G066 AB03A AB07A AB09A AC12B AC14D AC17D AC33B BA20 BA22 CA21 EA01 FA09 FA21 FA37 4J011 BB01 BB09 JA02 JB08 JB14 JB25 JB27 4J100 AB00R AB02R AB04R AB07R AB15Q AB16Q AE02R AE03R AE04R AE13R AE64Q AE71Q AE77Q AG02R AG04R AG10R AJ01R AJ02R AJ09R AK31R AK32R AL03R AL04R AL08R AL09R AL10R AL34R AL62Q AL63Q AL66Q AM02R AN04P AN13Q AQ12R BA02Q BA03Q BA03R BA08Q BA13P BA14P BA14Q BA20R BA31R BC43P CA04 CA05 CA23 EA11 EA13 FA02 FA21 JA15

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基ま
    たは炭素数6〜8のアラルキル基もしくはアリール基、
    2は炭素数2〜8のアルケニル基を示す。)で表わさ
    れるN−アルケニルカルボン酸アミド(a)、架橋性ビ
    ニル系単量体(b)及び必要に応じて用いられる他の非
    架橋性ビニル系単量体(c)を、溶媒または分散媒
    (d)の存在下で共重合して得られる多孔性共重合体粒
    子からなる吸着剤。
  2. 【請求項2】N−アルケニルカルボン酸アミド(a)
    が、下記一般式(II) 【化2】 (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基ま
    たは炭素数6〜8のアラルキル基もしくはアリール基、
    3は水素原子またはメチル基を示す。)で表わされる
    N−ビニルカルボン酸アミドである請求項1に記載の吸
    着剤。
  3. 【請求項3】 N−アルケニルカルボン酸アミド(a)
    が、N−ビニルアセトアミドである請求項1または2に
    記載の吸着剤。
  4. 【請求項4】 架橋性ビニル系単量体(b)が、ジビニ
    ルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、グ
    リセリンジメタクリレートから選ばれる1種または2種
    以上の混合物である請求項1ないし3のいずれかに記載
    の吸着剤。
  5. 【請求項5】 溶媒または分散媒(d)が、水に難溶性
    の有機化合物またはそれらの混合物である請求項1ない
    し4のいずれかに記載の吸着剤。
  6. 【請求項6】 上記(a)、(b)及び(c)の総量を
    100質量%としたとき、N−アルケニルカルボン酸ア
    ミド(a)が5〜60質量%、かつ架橋性ビニル系単量
    体(b)が40〜95質量%である請求項1ないし5の
    いずれかに記載の吸着剤。
  7. 【請求項7】 上記(a)、(b)及び(c)の総量1
    00質量%に対して、添加する溶媒または分散媒(d)
    の割合が10〜300質量%である、請求項1ないし6
    のいずれかに記載の吸着剤。
  8. 【請求項8】 多孔性共重合体粒子を、水性懸濁重合に
    よって得ることを特徴とする請求項7に記載の吸着剤。
  9. 【請求項9】 水性懸濁重合において、水相に塩類を添
    加して重合させる請求項8に記載の吸着剤。
  10. 【請求項10】 多孔性共重合体粒子が、球状粒子、破
    砕粒子、膜、繊維または塊状連続体である請求項1ない
    し9のいずれかに記載の吸着剤。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の吸着剤をバインダーに保持させてなる吸着成型体。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の吸着剤の1種類以上を、バインダーなしで、あるいは
    バインダーとともに支持体に塗布、散布、充填、設置、
    挿入、または密閉してなる化合物分離用具。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の吸着成型体をバイ
    ンダーなしで、あるいはバインダーとともに支持体に塗
    布、散布、充填、設置、挿入、または密閉してなる化合
    物分離用具。
  14. 【請求項14】 化合物分離用具が、固相抽出用または
    クロマトグラフィー用のカラム、カートリッジ、フィル
    ター、プレート、もしくはキャピラリーである請求項1
    2または13に記載の化合物分離用具。
  15. 【請求項15】 化合物分離用具が、液体クロマトグラ
    フィーまたはガスクロマトグラフィー用のカラム、カー
    トリッジ、フィルターもしくはキャピラリー、あるいは
    薄層クロマトグラフィー用プレートである請求項12な
    いし14のいずれかに記載の化合物分離用具。
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