JP2007121009A - 固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法 - Google Patents

固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】目的物質の分析障害となる不純物が少ない固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法を提供する。
【解決手段】充填材を通常の有機溶媒によって浸漬・撹拌などのバッチ方式で洗浄するのではなく、超臨界又は亜臨界状態の二酸化炭素で洗浄することにより、液体又は気体試料中に存在する極微量の目的物質を分析する際に障害となっていた不純物、特に芳香族化合物類を除去した不純物を実質的に含まない固相抽出カートリッジ用充填材を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、固相抽出カートリッジに用いられる固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法、並びに固相抽出カートリッジ用充填材、固相抽出カートリッジ、目的物質の処理方法に関する。
従来、気体中からの試料の抽出には液体吸収法が、また液体中からの試料の抽出には液−液抽出法が多く用いられてきたが、これらの方法は、作業が繁雑で時間と経験を要すること、溶媒を多量に使用することなどの問題があった。これに対して、液体クロマトグラフィーの原理を応用して開発された固相抽出法は、作業が簡単なうえに短時間で済み、しかも溶媒の使用量が少ないという特長を持っており、近年頻繁に採用されるようになっている。
固相抽出法が近年急速に浸透したことの背景には、吸脱着性能のよい多孔性粒子が開発され、それらが固相抽出用吸着剤として複数のメーカーから市場に提供されるようになったことが挙げられる。固相抽出用吸着剤としては、液体クロマトグラフィーに使用されるものと機能的に類似したものが多く、例えば官能基を導入したシリカゲル粒子、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などのポリマー粒子、活性炭やカーボングラファイトのような炭素粒子などの他、最近では、種々の合成繊維を焼成・賦活処理して作られる活性炭素繊維やカラム内重合(希釈剤存在下での塊状重合)により形成したロッド状の多孔質連続体(モノリス)など、様々な形態のものがあり、用途に応じて適切なものが選ばれている。
さらに、気体又は液体中に存在する極微量の化学物質を効率よく精製・濃縮・分析・分取するための用具として、シリカゲル粒子、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などのポリマー粒子、活性炭、カーボングラファイトなどを充填したディスクや、カラム、カートリッジなどがある。
ところで、近年、種類及び量が著しく増加している化学物質に関して環境汚染状況の把握の要求が強まり、より微量の成分を検出する必要が生じている。それに伴い、精製や濃縮に使用される分析処理用の充填材には、分析を妨害する溶出不純物がより少ない清浄なものが求められるようになってきている。
すなわち、通常、充填材には、原料や製造工程等に由来する不純物が含まれており、それらの不純物が目的物質の検出、分取を妨害することがある。特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの芳香環を分子内に持つポリマー粒子や、活性炭、カーボングラファイトなどには、芳香族化合物類が主な不純物として存在する。そして、この芳香族化合物類は、濃縮目的の極微量の化学物質、特にダイオキシンやポリ塩化ビフェニル(PCBs)などの芳香環を持った化合物に対し分析を妨害することがある。
このため、予め充填材を十分に洗浄しておくことが必要となる。従来の洗浄方法としては、適当な容器中で水、湯、有機溶媒などの液に未洗浄の充填材を浸漬、撹拌、分散、超音波処理等行った後、液と充填材を濾別する方法などがある。例えば、充填材の製造過程における洗浄方法としては、温水や有機溶媒を用いて充填材を数回に渡って繰り返し洗浄する、いわゆるバッチ法が用いられている(特許文献1を参照。)。その他にも、洗浄液に充填材を懸濁させてから撹拌し、その後に洗浄液を濾別過して取り除く一連の操作を繰り返す方法(特許文献2を参照。)や、洗浄液に充填材を懸濁させる際に超音波を加え、その後、撹拌及び洗浄液の濾別を繰り返し行う方法(特許文献3を参照。)などが挙げられる。
しかしながら、これら特許文献1〜3に記載のバッチ方式による洗浄方法では、洗浄回数を増やす毎に清浄度は高まるが、操作上の手間がかかるうえ、理論上溶出不純物がゼロになることはなく、近年求められるようになってきた清浄度のレベルに十分応えることは困難である。また、ディスクや、カラム、カートリッジ等に充填された充填材を洗浄する場合も、特許文献1〜3に記載の方法と同様に、洗浄を繰り返し行ったとしても不純物がゼロになることはなく、精製・濃縮・分析・分取の際に障害となる。特に、精製・濃縮を目的とした固相抽出用の用具などでは、使用前の洗浄操作が充分に行えない場合などに大きな障害が生じるおそれがある。
なお、本発明に関連する公知文献としては、例えば下記特許文献4〜6がある。
特許文献4には、塩素化樹脂に残存する溶媒を超臨界状態の二酸化炭素と接触させて除去する方法が記載されている。
特許文献5には、超臨界状態の二酸化炭素を用いてスチレン樹脂から不純物を抽出する方法が記載されている。
特許文献6には、クロマトグラフィー用担体を超臨界状態の二酸化炭素と接触させて処理する方法が記載されている。
特許文献4,5に記載の方法は、何れも成型前の樹脂中の不純物を除去するのであり、亜臨界又は超臨界状態の二酸化炭素を用いて洗浄した材料を充填した固相抽出カートリッジを製造したものではない。また、特許文献6に記載の方法で処理された充填材は、クロマトグラフィ用、特に高速液体クロマトグラフィ(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)用のカラムに使用されるものであり、目的物質の濃縮、分離を目的とする固相抽出カートリッジに応用したものではない。
特開2004−271522号公報 特開平7−260762号公報 特開2004−99790号公報 特公平7−51607号公報 特開2000−302813号公報 特開昭62−151754号公報
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、気体又は液体中に存在する極微量の化学物質を効率よく精製・濃縮・分析・分取するため、これら精製・濃縮・分析・分取等の対象となる化学物質(ここでは、目的物質と呼ぶ。)の分析の障害となる不純物が極めて少ない固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法、並びに固相抽出カートリッジ用充填材、固相抽出カートリッジ、目的物質の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、充填材を通常の有機溶媒によって浸漬・撹拌などのバッチ方式で洗浄するのではなく、超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素を接触させて洗浄することにより、液体又は気体試料中に存在する極微量の目的物質を分析する際に障害となっていた不純物、特に芳香族化合物類を除去した不純物を実質的に含まない固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素で充填材を洗浄することを特徴とする固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
(2) 前記充填材が、合成多孔質高分子又は活性炭であることを特徴とする前項(1)に記載の固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
(3) 前記合成多孔質高分子が、架橋(共)重合体であることを特徴とする前項(2)に記載の固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
(4) 前記架橋(共)重合体が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ジビニルベンゼン−エチレンジ(メタ)アクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体、ジビニルベンゼン−グリセリンジ(メタ)アクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体の何れかであることを特徴とする前項(3)に記載の固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
(5) 前記充填材のBET法により測定される比表面積が、50m/g以上であることを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
(6) 前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする固相抽出カートリッジ用充填材。
(7) 前項(6)に記載の充填材が充填されてなることを特徴とする固相抽出カートリッジ。
(8) 目的物質が含有された液体又は気体試料を、前項(7)に記載の固相抽出カートリッジに流通させて、前記目的物質を前記液体又は気体試料から分離することを特徴とする目的物質の処理方法。
(9) 前記目的物質が、環境汚染物質、ダイオキシン類、環境ホルモン、農薬、界面活性剤、生物毒素、天然薬物、天然色素、天然香料、及び天然調味料よりなる群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上であることを特徴とする前項(8)に記載の目的物質の処理方法。
以上のように、本発明によれば、気体又は液体中に存在する極微量の化学物質を効率よく精製・濃縮・分析・分取するため、それら目的物質の分析の障害となる不純物、特に芳香環を有する不純物が極めて少ない固相抽出カートリッジ用充填材を得ることができる。また、この固相抽出カートリッジ用充填材が充填された固相抽出カートリッジを用いることで、気体又は液体中に含まれる極微量の化合物、例えば環境ホルモン、化学汚染物質、生物毒素、農薬、医薬などの精製・濃縮・分析・分取といった目的物質の処理が可能となる。
以下、本発明を適用した固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法、並びに固相抽出カートリッジ用充填材、固相抽出カートリッジ、目的物質の処理方法について、図面を参照して詳細に説明する。
(固相抽出カートリッジ用充填材)
本発明を適用した固相抽出カートリッジ用充填材は、超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素で充填材を洗浄したものである。
充填材としては、多孔質材料により形成されたものであれば、種々の無機化合物又は有機化合物からなるものを用いることができる。その中でも、特に有機化合物からなる多孔質材料を用いることが好ましく、例えば、有機多孔質高分子や、コルク等の天然物、合成高分子や天然物等を焼成・賦活した活性炭などを用いることができる。より好ましくは、有機多孔質高分子や活性炭であり、有機多孔質高分子の中でも特に合成多孔質高分子を用いることが好ましい。
合成多孔質高分子としては、例えば3次元網目構造をもつ架橋(共)重合体や、フルオロカーボンや二酸化炭素等の発泡剤による気泡が分散して多孔質化された高分子などを用いることができる。これら合成多孔質高分子の中でも、特に架橋(共)重合体が好ましく、架橋剤として2つ以上の二重結合をもつ架橋性ポリビニルモノマーを重合して得られる3次元網目構造の架橋(共)重合体を用いることが好ましい。
架橋性ポリビニルモノマーとしては、例えば、芳香族ポリビニルモノマーや、多価アルコールポリ(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ポリアリルエーテル、N,N’−低級アルキレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド)等を挙げることができる。なお、ここで言う「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」の意味である(以下、同様)。
具体的に、芳香族ポリビニルモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ジビニルフェノール等を挙げることができる。
多価アルコールポリ(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ポリアリルエーテルとしては、例えば、ジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テトラアリロキシエタン等を挙げることができる。
N,N’−低級アルキレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド)としては、例えば、N,N’−1,3−プロピレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N’−1,2−メチレンビス(N−ビニルアセトアミド)等を挙げることができる。
これらの中でも、芳香族ポリビニルモノマーが好ましく、より好ましくは、ジビニルベンゼン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ジビニルフェノールであり、さらに好ましくは、ジビニルベンゼンである。
また、これらの架橋性ポリビニルモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋(共)重合体を製造する際には、必要に応じて、上記架橋性ポリビニルモノマーと共に、これらと共重合可能な非架橋性ビニルモノマーを用いてもよい。ここで、非架橋性ビニルモノマーとは、重合性二重結合を1つ有する化合物を言う。
このような非架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、芳香族モノビニルモノマーや、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、カルボン酸不飽和エステル系モノマー、マレイン酸系モノマー、カルボキシル基を有するモノマー、不飽和エーテル系モノマー、N−アルケニルカルボン酸アミドモノマー、アクリロニトリル等を挙げることができる。
具体的に、芳香族モノビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、o−,m−,p−エチルビニルベンゼン、o−,m−,p−(クロロメチル)スチレン、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、(ジエチルアミノエチルスチレン)、ビニルナフタレン、N−ビニルピリジン等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
カルボン酸不飽和エステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。
マレイン酸系モノマーとしては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等を挙げることができる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等を挙げることができる。
不飽和エーテル系モノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ブチルアリルエーテル等を挙げることができる。
N−アルケニルカルボン酸アミドモノマーとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−(2−プロペニル)ホルムアミド、N−(2−プロペニル)アセトアミド、N−ビニルブチロアミド、N−ビニルベンズアミド、N−ビニル(o−トルアミド)、N−ビニル(p−トルアミド)等を挙げることができる。
これらの中でも、スチレン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、N−ビニルアセトアミドが好ましい。
また、これらの非架橋性ビニルモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、重合後さらに官能基を導入できる可能性が高く、応用範囲の広い重合体を得るために、例えば、o−,m−,p−(クロロメチル)スチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのように、クロロメチル基、エポキシ基、水酸基などの反応性基を有するものを用いることもできる。
架橋(共)重合体の重合法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの通常のラジカル重合を挙げることができる。
ここで、例えば水性懸濁重合により共重合体粒子を作製する場合を例にあげて説明する。なお、本発明は、これに特に限定されるものではない。
先ず、モノマーと溶媒又は分散媒との混合物に重合開始剤を添加して、水性懸濁重合に用いる油相の調製を行う。
溶媒又は分散媒は、生成する架橋(共)重合体粒子を多孔性にする目的でモノマー混合物に添加されるものであり、その種類は、塊状重合などのように水を媒体に用いない場合には、特に限定されないが、水性懸濁重合などのように水を媒体に用いる場合には、水に難溶性の有機化合物が好ましい。
溶媒又は分散媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−ドデカノール、非架橋ポリスチレン等を挙げることができる。
また、これらの溶媒又は分散媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、これらの組み合わせを、選択したモノマーとの親和性によって決定すれば、架橋ポリマーのBET比表面積を制御することができる。すなわち、選択した単量体と親和性の高いものを組み合わせることによって、BET比表面積を高めることができる。
また、これらの溶媒又は分散媒の添加量は、単量体の総量100質量部に対して10〜300質量部とすることが好ましく、より好ましくは30〜200質量部であり、さらに好ましくは40〜150質量部である。これは、添加量が10質量部未満になると、多孔共重合体粒子の多孔性が不十分となり、添加量が300質量部を超えると、多孔共重合体粒子の物理的強度が不十分となるためである。
一方、重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物や、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジ−t−ブチル、過安息香酸−t−ブチル、メチルエチルケトンペルオキシド等の有機過酸化物など一般に使用されているものを用いることができる。また、これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、重合開始剤の濃度は、単量体の種類などにより適宜決められるものであり一概に規定できないものの、例えば単量体の総量100質量部に対して0.1〜5質量部とすることが好ましい。
次に、分散安定剤を添加し、水相の調整を行う。
分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ゼラチンなどの水溶性高分子化合物を挙げることができる。また、分散安定剤の濃度は、特に限定されないものの、例えば水100質量部に対して0.1〜5質量部とすることが好ましい。
また、単量体の一部が水相へ溶解するのを防ぐため、水相に塩類を添加することが好ましい。添加する塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。また、これらの塩類は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、塩類の濃度は、特に限定されないものの、溶解度の許す範囲で可能な限り高い濃度とすることが好ましい。例えば塩化ナトリウムであれば、水100質量部に対して1〜15質量部とすることが好ましく、塩化カルシウムであれば、水100質量部に対して1〜40質量部部とすることが好ましい。
また、油相に対する水相の比率が大きすぎると、単量体の一部が水相へ溶解する量が増えてしまい、逆に小さすぎると、油滴の合一が起こりやすくなる。このため、使用する水の質量は、単量体と溶媒又は分散媒との総量100質量部に対して、200〜1000質量部とすることが好ましい。
次に、油相と水相を混合し、油滴が目的とする粒子径(粒子の直径)になるように分散させる。この分散には、微粒子化用の攪拌翼を付けた攪拌装置又は高速分散機(ホモジナイザー)などを用いることができる。このうち、比較的粒子径の大きい吸着剤(例えば固相抽出用)を作製する場合には、微粒子化用の攪拌翼を付けた攪拌装置を用いることが好ましく、比較的粒子径の小さい吸着剤(例えば液体クロマトグラフィー用の吸着剤)を作製する場合には、高速分散機(ホモジナイザー)を用いることが好ましい。
次に、水性懸濁重合を行う。この水性懸濁重合による重合反応は、通常の攪拌下において40〜100℃の温度範囲で5〜16時間行なわれる。以上のようにして、球状且つ多孔性の共重合体粒子を得ることができる。
この共重合体粒子の平均粒子径は、0.1〜2000μmであること好ましく、より好ましくは、1〜500μmであり、さらに好ましくは、2〜200μmである。これは、平均粒子径が0.1μmより小さいと、強度が十分でなく、2000μmを超えると、一定重量当たりの吸着速度が下がり、吸着剤としての性能が低下するためである。
充填材の形状については、特に限定されるものではなく、例えば、球状粒子や破砕粒子、膜、繊維、塊状連続体など種々の形状のものを用いることができる。なお、塊状連続体は、例えば円筒型容器中で塊状重合させたものを抜き出して得られる棒状重合体である。破砕粒子は、例えば塊状連続体や球状粒子などをハンマー、乳鉢、粉砕機などでより小さな断片に砕いて得られる不規則なあるいは規則的な形の粒子である。
充填材のBET法により測定される比表面積は、50m/g以上が好ましく、より好ましくは、400m/g以上である。充填材の比表面積が50m/gより小さいと、特定物質の吸着効率が悪くなる。
(固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法)
本発明を適用した固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法は、上記充填材を超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素で洗浄することを特徴としている。
ここで、超臨界状態とは、臨界温度及び臨界圧力を超えた温度、圧力の状態を意味する。すなわち、超臨界状態とは、臨界温度以上で高密度に圧縮されることにより、拡散しやすい気体の性質と、成分を溶かし出す液体の性質とを併せ持つ状態のことを言う。一方、亜臨界状態とは、超臨界状態には達していないが、それに極めて近い状態に達している状態を意味する。二酸化炭素は、その臨界温度が31.1℃、臨界圧力が7.38MPaである。また、二酸化炭素は、不活性及び無害であり、しかも超臨界条件が温和であることから、非処理材料に過大な加熱を与えることなく処理できる利点がある。また、二酸化炭素は、その分子量が有機溶媒と比べて小さいために、分子量の大きな物質に対する溶解力は小さいものの、無極性の物質のためヘキサンなどの無極性有機溶媒の代替溶媒となり得る。
上記充填材の洗浄処理には、例えば図1に示すような洗浄処理装置を用いることができる。具体的に、この洗浄処理装置は、液化二酸化炭素(炭酸ガス)が充填されたボンベ1と、ボンベ1内の液化二酸化炭素を昇圧可能に送液するポンプ2と、ポンプ2により昇圧された二酸化炭素が通過する間に、この二酸化炭素を昇温して臨界状態又は亜臨界状態とする昇温用コイル3と、臨界状態又は亜臨界状態とされた二酸化炭素の温度を一定に保つように温度調整を行う恒温槽4と、昇温用コイル3から内部へと流通された臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素により上記充填材の洗浄を行う洗浄用容器5と、臨界状態又は亜臨界状態とされた二酸化炭素の圧力調整を行う圧力調整弁6とを概略備えて構成されている、このうち、昇温用コイル3及び洗浄用容器5は、恒温槽4内に配置されている。また、洗浄用容器5内を流通した二酸化炭素は、圧力調整弁6を通過する間に減圧されて外部へと排出される。
洗浄用容器5の形状は、特に限定されるものではないが、この洗浄用容器5内を均一に二酸化炭素が流れるように留意したものが好ましい。また、処理時の圧力に耐え得る強度を保ちつつ、洗浄時に不要な成分を溶出させない材料からなるものが好ましい。このようなものとしては、例えばステンレスなどの筒型容器などが好適である。
抽出洗浄の温度は、20〜150℃とすることが好ましく、より好ましくは、25〜100℃であり、さらに好ましくは、30〜80℃である。これは、温度が低すぎると二酸化炭素が亜臨界状態にならず、温度が高すぎると上記充填材のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体などが処理中に変形するおそれが生じるためである。
抽出洗浄の圧力は、5.0〜25.0MPaとすることが好ましく、より好ましくは、6.0〜20.0MPaであり、さらに好ましくは、7.0〜15.0MPaである。これは、圧力が低すぎると二酸化炭素が亜臨界状態にならず、圧力が高すぎると設備の耐圧性の問題が生じるからである。
二酸化炭素の流速は、処理される充填材1g当たり気体状の二酸化炭素に換算して、10NmL/min〜20NL/minとすること好ましく、より好ましくは100NmL/min〜15NL/minであり、さらに好ましくは、200NmL/min〜10NL/minである。
また、洗浄時間は、上記充填材の量や二酸化炭素の流速などに応じて適宜調整すればよい。
以上のような洗浄処理装置を用いて、上記充填材の洗浄を行う場合には、上記充填材を入れた洗浄用容器5に超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素を連続的に流通させて上記充填材の洗浄を行う。これにより、上記充填材から不純物を適切に除去することができる。
なお、上記充填材の洗浄については、超臨界流体として超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素を用いる方法であれば、上記洗浄処理装置を用いた連続方式に代えて、例えばバッチ方式による上記充填材の洗浄を行うこともできる。
また、洗浄が終了した充填材は、通常は乾燥する必要はない。しかしながら、より乾燥を行いたい場合には、洗浄用容器5から充填材を取り出して乾燥してもよく、或いは充填材を洗浄用容器5に入れたまま、清浄な窒素や空気などを通気して乾燥させる方法が効率的である。
以上のように、本発明では、上記充填材を通常の有機溶媒によって浸漬・撹拌などのバッチ方式で洗浄するのではなく、超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素を接触させて洗浄することにより、液体又は気体試料中に存在する極微量の目的物質を分析する際に障害となっていた不純物、特に芳香族化合物類を除去した不純物を実質的に含まない固相抽出カートリッジ用充填材を得ることができる。
(固相抽出カートリッジ)
本発明を適用した固相抽出カートリッジは、上記固相抽出カートリッジ用充填材が充填されてなるものである。すなわち、上記洗浄工程を経て製造された固相抽出カートリッジ用充填材は、特に限定はないが用途に応じてディスクや、カラム、カートリッジなどに充填して本発明の固相抽出カートリッジとすることができる。そして、この固相抽出カートリッジは、目的物質の精製・濃縮・分析・分取用具として用いることができる。
また、目的物質の精製・濃縮には、上記充填材と、この充填材の両端に当該充填材を保持する流体透過板とを樹脂製などの容器に充填して作製した固相抽出カートリッジを用いることができるが、一般的には使い捨てであり、使用の前に充分な時間をかけて洗浄操作を行うことはしない。通常、そのまま使用するか、使用の前に少量の有機溶媒を通液する程度であるため、充填材に少量でも不純物が含まれている場合、精製・濃縮した液中にその不純物が混入し、その後の分析等に障害を及ぼすことが少なくない。したがって、実質的に不純物を含まないように製造された本発明の充填材を用いた用具は極めて有用である。
上記固相抽出カートリッジ用充填材が充填された用具として、例えば図2に示す固相抽出カートリッジ10について説明する。
この固相抽出カートリッジ10は、上記固相抽出カートリッジ用充填材11が充填された略円筒状のカートリッジ本体10aを備え、このカートリッジ本体10aの長手方向の両端部に、それぞれノズル10b,10cが設けられた構造を有している。
カートリッジ本体10aの材質については、有機溶媒に不溶、且つ、試料濃縮作業中に充填材11が漏れ出たりしないものであればよく、例えば、ポリプロピレンや、ポリエチレン等を挙げることができる。
また、カートリッジ本体10aの形状や大きさ等については、図2に示すものに特に限定されるものではなく、例えば、容積が1〜500ml、好ましくは2〜100mlの注射筒型シリンジ、或いはバレル型であって、樹脂製又は多孔性ガラス製のフィルターがセットされたものなどであってもよい。
カートリッジ本体10aへの充填材11の充填量についても、特に限定されるものではなく、充填材粒子のかさ密度、試料の濃縮量などにより、例えばカートリッジ本体10aの容積が3〜6mlの場合には、100〜2000mgであり、好ましくは200〜1000mgである。また、充填材11は、必要に応じてバインダーを併用することができ、例えば、固相抽出用のウェルプレートやフィルターなどの形態とすることもできる。
以上のような固相抽出カートリッジ10を用いて、液体又は気体試料中の目的物質を固相抽出法により精製したり、濃縮したりする際には、先ず、固相抽出カートリッジ10のノズル10c側(或いはノズル10b側)から分析対象となる気体又は液体の試料を流すことによって、この試料中の目的物質を充填材11に吸着させる。その後に、固相抽出カートリッジ10のノズル10b側から溶媒を流すことによって、充填材11から溶媒に目的物質を溶出させる。この溶出させた溶出液は、固相抽出カートリッジ10のノズル10c側から排出されて回収されることになる。
以上のように、本発明では、超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素を用いて充填材11の洗浄を行えば、液体又は気体試料中に存在する極微量の目的物質を分析する際に障害となっていた不純物、特に芳香族化合物類を実質的に含まない充填材11を得ることができる。そして、この充填材11が充填された固相抽出カートリッジ10を用いることによって、微量の目的物質を定量化することができ、その結果、比較的簡単に目的物質のサンプリング及び分析を行うことができる。
(目的物質の処理方法)
本発明を適用した目的物質の処理方法は、目的物質が含有された液体又は気体試料を、上記固相抽出カートリッジ11に流通させて、目的物質を液体又は気体試料から分離することを特徴とする。
具体的に、本発明を適用した目的物質の処理方法は、上記固相抽出カートリッジに目的物質(被測定物質又は有用物質)を含む液体又は気体試料を通過させることによって、目的物質の測定を妨害する物質を吸着させて目的物質を精製したり、目的物質を充填材に一旦吸着させた後、溶媒で溶出させて目的物質を精製・濃縮したり、目的物質をその他の成分と分離したうえで適当な検出器を用いて目的物質を定量したり、目的物質を分取したりすることである。
本発明において、精製・濃縮・分析・分取の対象となる目的物質としては、環境水、底質又は大気中に存在するダイオキシン類や、環境ホルモン、生物毒素、農薬など、動植物の体液又は組織中に存在する化合物である医薬や、農薬、界面活性剤、ホルモン、神経伝達物質、ビタミン及びそれらの代謝物など、また、天然物に含まれている化合物である天然薬物や、天然色素、天然香料、天然調味料などが挙げられる。
また、分離する目的物質を含む液体又は気体としては、雨水、河川水、湖沼水、上水、下水、工場廃水、海水のような環境水を挙げることができる。また、尿、血液などの体液又はそれらからの分離液や抽出液や、植物又は動物の組織からの抽出液を挙げることができる。また、焼却炉排気ガス、各種製造設備排気ガス、室内空気、自動車排気ガス、幹線道路上空捕集大気のような環境大気又はそれらを通気させて得られる吸収液などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例では、充填材として、スチレン−ジビニルベンゼン共重合架橋体粒子を作製した。具体的には、先ず、精製したスチレン39g、ジビニルベンゼン(三共化成株式会社製のDVB−H、純度約80質量%)24g、トルエン70gの混合溶液に、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gを溶解して、油相を調製した。
次に、0.6質量%ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製のクラレポバールPVA−224)水溶液700mlに、上記トルエン溶液を加えた。また、目的の粒子径分布を得るために、油滴の最大粒径が300μmになるように高速攪拌して調整した。
次に、攪拌翼を通常攪拌用のものに交換し、150rpmで攪拌しながら、70℃で6時間反応を行った。
次に、生成した共重合架橋体粒子をろ取し、70℃の温水9リットル、次いでアセトン1.5リットルで洗浄した後に、ステンレス製バットに広げて風乾し、さらに70℃で24時間減圧乾燥した。
次に、得られた粒子を適切な目開きの篩にて分級して十分に乾燥させた後に、目的のスチレン−ジビニルベンゼン共重合架橋体粒子を得た。
このスチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子について、コールター社製のコールターSA3100を用いてBET法による比表面積の測定を行ったところ、620m/gであった。
(実施例1)
実施例1では、得られたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子を超臨界状態の二酸化炭素により洗浄した。具体的には、上述した図1に示す洗浄処理装置を用い、得られたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子8gをステンレス製カラムの洗浄用容器5に充填した。次いで、ボンベ1から供給される液体二酸化炭素をポンプ2を用いて昇圧しながら昇温用コイル3に供給した。このとき、洗浄用容器5内の温度が40℃、圧力が15MPaとなるように、恒温槽4による温度調整及び圧力調整弁6による圧力調整を行った。昇温用コイル3を通過する二酸化炭素は、加温されて超臨界状態となり、洗浄用容器5内に供給される。そして、この二酸化炭素の超臨界状態を保ちながら、洗浄用容器5内に二酸化炭素を600NL/h(気体に換算)の流量で流通させながら、充填材の洗浄を0.5時間行った。また、洗浄用容器5内の二酸化炭素は、充填材の洗浄後に減圧され、300NL/h(気体に換算)以下の流量で装置の外部へと排出される。以上の工程を経ることにより実施例1の充填材を得た。
(比較例1)
比較例1では、上記スチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子の洗浄を有機溶媒によるバッチ式洗浄法を用いて行った。具体的には、実施例1と同じスチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子10gを、テトラヒドロフラン100mLに浸漬して12時間放置した後に、テトラヒドロフランをデカンテーションして取り除いた。次に、新たなテトラヒドロフラン100mLを加えて、30分毎に穏やかに攪拌して2時間ほど放置した後に、テトラヒドロフランをデカンテーションして取り除いた。この操作を計2回繰り返した。次に、アセトン100mLに浸漬して12時間放置した後に、アセトンをデカンテーションして取り除いた。次に、新たなアセトン100mLを加えて、30分毎に穏やかに攪拌して2時間ほど放置した後に、アセトンをデカンテーションして取り除いた。この操作を計2回繰り返した。最後に、アセトンを吸引濾過して十分に取り除いた後に、60℃で減圧乾燥を行った。以上の工程を経ることにより比較例1の充填材を得た。
そして、これら実施例1の充填材及び比較例1の充填材について、洗浄されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子1gを容器に取り、10mLのアセトンで緩やかに撹拌しながら15分間の抽出を行った。そして、抽出した液に窒素を緩やかに吹付けて1mLまで濃縮した。そして、濃縮された各抽出液のGC−MS法による分析を行った。一方、未洗浄の充填材についても、これらと同様の抽出及び濃縮操作を行い、濃縮された抽出液のGC−MS法による分析を行った。
未洗浄の充填材によって抽出された抽出液のGC−MSスペクトルのトータルイオンクロマトグラムを図3に示し、実施例1の充填材によるGC−MSスペクトルのトータルイオンクロマトグラムを図4に示し、比較例1の充填材によるGC−MSスペクトルのトータルイオンクロマトグラムを図5に示す。なお、図1〜図3は、それぞれトータルイオンクロマトグラムのフルスケールが異なっている。
なお、このGC−MS法による分析条件は、以下に示すとおりである。
キャリアーガス:ヘリウム 2.0mL/min コンスタントフロー
分析カラム:J&W DB−5 60m×0.25mm 膜厚 0.25μm
カラム昇温条件:50℃、0min→20℃/min→180℃、0min→ 2℃/min→280℃
イオン化法:EI 70eV
測定法:SCAN モード
図3,4,5に示すトータルイオンクロマトグラムから、未洗浄の充填材により抽出された抽出液からは、図3に示すように、多数のピークが検出されたが、超臨界状態の二酸化炭素により洗浄した実施例1の充填材により抽出された抽出液からは、図4に示すように、未洗浄の充填材よりも大幅なピークの減少が見られた。一方、比較例1の充填材により抽出された抽出液からは、図5に示すように、未洗浄の充填材よりも多数のピークの消失が見られたものの、実施例1の充填材よりも明らかにピークが多いことがわかった。
次に、実施例1の充填材について、洗浄されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子1gを容器に取り、6mLの二硫化炭素を加え、超音波下にて30分間の抽出を行った。そして、抽出液のGC−MS法による分析を行い、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m、p−キシレン(合計で算出)、スチレン、パラジクロロベンゼンの6成分について定量した結果を表1に示す。
Figure 2007121009
なお、このGC−MS法による分析条件は、以下に示すとおりである。
キャリアーガス:ヘリウム 1.5mL/min コンスタントフロー
分析カラム:J&W DB−5MS 30m×0.32mm 膜厚 0.25μm
カラム昇温条件:40℃、1min→10℃/min→200℃、0min
イオン化法:EI 70eV
測定法:SIM モード
各化合物の測定質量数:確認質量数:トルエン−d8(内標) 100:99、トルエン 92:91、エチルベンゼン 106:91、o,m,p−キシレン 106:91、スチレン 104:77、パラジクロロベンゼン 148:146
表1に示す結果から、トルエンが約3.6μg/1g(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子)残存していた以外は、残りの5成分は何れも0.6μg/1g(同上)以下であった。
以上のことから、本発明のように、超臨界状態の二酸化炭素により洗浄した充填材を用いれば、この充填材に含まれる不純物の量を大幅に低減させることが可能であり、試料中に含まれる極微量の化合物、例えば環境ホルモン、化学汚染物質、生物毒素、農薬、医薬などの精製・濃縮・分析・分取を精度良く行うことが可能となる。
図1は、洗浄処理装置の一例を示す模式図である。 図2は、固相抽出カートリッジの一例を示す斜視図である。 図3は、未洗浄の充填材により抽出された抽出液のGC−MSスペクトルのトータルイオンクロマトグラムである。 図4は、実施例1の充填材により抽出された抽出液のGC−MSスペクトルのトータルイオンクロマトグラムである。 図5は、比較例1の充填材により抽出された抽出液のGC−MSスペクトルのトータルイオンクロマトグラムである。
符号の説明
1…ボンベ 2…ポンプ 3…昇温用コイル 4…恒温槽 5…洗浄用容器 6…圧力調整弁 10…固相抽出カートリッジ 11…充填材

Claims (9)

  1. 超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素で充填材を洗浄することを特徴とする固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
  2. 前記充填材が、合成多孔質高分子又は活性炭であることを特徴とする請求項1に記載の固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
  3. 前記合成多孔質高分子が、架橋(共)重合体であることを特徴とする請求項2に記載の固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
  4. 前記架橋(共)重合体が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ジビニルベンゼン−エチレンジ(メタ)アクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体、ジビニルベンゼン−グリセリンジ(メタ)アクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体の何れかであることを特徴とする請求項3に記載の固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
  5. 前記充填材のBET法により測定される比表面積が、50m/g以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジ用充填材の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする固相抽出カートリッジ用充填材。
  7. 請求項6に記載の充填材が充填されてなることを特徴とする固相抽出カートリッジ。
  8. 目的物質が含有された液体又は気体試料を、請求項7に記載の固相抽出カートリッジに流通させて、前記目的物質を前記液体又は気体試料から分離することを特徴とする目的物質の処理方法。
  9. 前記目的物質が、環境汚染物質、ダイオキシン類、環境ホルモン、農薬、界面活性剤、生物毒素、天然薬物、天然色素、天然香料、天然調味料よりなる群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上であることを特徴とする請求項8に記載の目的物質の処理方法。
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