JP2007155518A - 固相抽出カートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】試料中からの目的物質の抽出を安定して行うことができる固相抽出カートリッジを提供する。
【解決手段】カートリッジ本体10aに分析対象となる試料を流し、この試料中の目的物質をカートリッジ本体10a内の充填材11に吸着させた後に、カートリッジ本体10aに溶媒を流して、充填材11から溶媒に目的物質を溶出させた溶出液を回収するための固相抽出カートリッジであって、充填材11が溶媒によって膨潤する物質を含み、カートリッジ本体10aに溶媒を流したときに充填材11が膨潤し、試料を流したときよりもカートリッジ本体10a内の空隙が減少し、流出時の圧力損失が高まることによって、
カートリッジ本体10aから流出する溶出液の流出速度が緩やかなものとなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、固相抽出カートリッジ、並びにこれを用いた固相抽出方法に関する。
従来、液中からの目的物質(分析の対象とする物質)の抽出には、液−液抽出法が多く用いられてきた。しかしながら、この液−液抽出法は、作業が繁雑で時間と経験を要すること、溶媒を多量に使用することなどの問題があった。このため、現在では、作業が簡単で溶媒の使用量も少なく、自動化により大量の試料を処理することができる固相抽出法が用いられるようになっている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
この固相抽出法では、カートリッジ本体に充填材が充填されてなる固相抽出カートリッジが用いられ、この固相抽出カートリッジに大気ガスや水道水などの分析対象となる試料を流し、試料中の目的物質を充填材に吸着させた後に、固相抽出カートリッジに溶媒を流して、充填材から溶媒に目的物質を溶出させた溶出液を回収する。
ところで、一般的な固相抽出方法では、固相抽出カートリッジに試料を流す際に、試料が速やかに流れるものがよく、一方、固相抽出カートリッジに溶媒を流し、目的物質を回収する際には、溶媒による目的物質の抽出を確実なものとするために、溶媒が緩やかに流れるものが望まれる。
しかしながら、試料の通気(液)性が良い固相抽出カートリッジを用いた場合には、溶媒を流したときに、この固相抽出カートリッジから流出される溶出液の流出速度も速くなるため、充填材から溶媒に目的物質を溶出させる時間が不充分となり、目的物質の安定した抽出を行うことが困難となるといった問題があった。
一方、固相抽出カートリッジから流出される溶媒の流出速度を調整するため、定量ポンプを用いることもあるが、費用がかかるため、より安価で手軽な方法が望まれる。また、固相抽出カートリッジから流出される溶媒の流出速度を緩やかなものとするために、固相抽出カートリッジのノズルに注射針を装着することも考えられるが、注射針を使用する場合、その取り扱いに注意が必要である。
特表2000−514704号公報 特開2001−246245号公報
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、固相抽出カートリッジに分析対象となる試料を速やかに流しつつ、固相抽出カートリッジに溶媒を流す際には、この固相抽出カートリッジから流出される溶媒の流出速度を緩やかなものとすることができる固相抽出カートリッジ、並びにこの固相抽出カートリッジを用いることによって、試料中からの目的物質の抽出を安定して行うことができる固相抽出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、固相抽出カートリッジに溶媒を流したときに充填材が膨潤し、試料を流したときよりもカートリッジ本体内の圧力損失が高まることを利用することによって、固相抽出カートリッジから流出される溶媒の流出速度を調整できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
(1) カートリッジ本体に分析対象となる試料を流し、この試料中の目的物質を前記カートリッジ本体内の充填材に吸着させた後に、前記カートリッジ本体に溶媒を流して、前記充填材から前記溶媒に前記目的物質を溶出させた溶出液を回収するための固相抽出カートリッジであって、前記充填材が前記溶媒によって膨潤する物質を含み、前記カートリッジ本体に前記溶媒を流したときに前記充填材が膨潤し、前記試料を流したときよりも前記カートリッジ本体内の圧力損失が高まることを特徴とする固相抽出カートリッジ。
(2) 前記カートリッジ本体内の前記充填材を挟んだ両側に一対配置され、少なくとも一方が前記カートリッジ本体内で移動可能とされた一対のフリットと、
前記充填材の膨潤に伴う前記フリットの移動を規制する規制手段とを備えることを特徴とする前項(1)に記載の固相抽出カートリッジ。
(3) 前記フリットと前記規制手段との間に隙間が設けられていることを特徴とする前項(2)に記載の固相抽出カートリッジ。
(4) 前記カートリッジ本体内において、前記充填材が膨潤する前の前記フリット間の体積をVとし、前記充填材が膨潤した後の前記フリット間の体積をVとしたときに、V/Vが1.05〜1.35の範囲となるように前記隙間が設けられていることを特徴とする前項(3)に記載の固相抽出カートリッジ。
(5) 前記充填材がポリマーを含むことを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジ。
(6) 前記充填材は、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、オクタデシル基を化学結合させたシリカゲル、ジビニルベンゼン−エチレンジメタクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体、ジビニルベンゼン−グリセリンジメタクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジ。
(7) 前記カートリッジ本体から流出する前記溶媒の流出速度が、0.3〜1.5ml/分であることを特徴とする前項(1)〜(6)の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジ。
(8) 前項(1)〜(7)の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジを用いた固相抽出方法であって、前記カートリッジ本体に分析対象となる試料を流し、この試料中の目的物質を前記カートリッジ本体内の充填材に吸着させた後に、前記カートリッジ本体に溶媒を流して、前記充填材から前記溶媒に前記目的物質を溶出させた溶出液を回収することを特徴とする固相抽出方法。
(9) 前記試料として、液体試料を流すことを特徴とする前項(8)に記載の固相抽出方法。
(10) 前記溶媒として、有機溶媒を流すことを特徴とする前項(8)又は(9)に記載の固相抽出方法。
(11) 前記有機溶媒として、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、n−ヘキサン、メチルエチルケトン、トルエンの何れかを用いることを特徴とする前項(10)に記載の固相抽出方法。
以上のように、本発明によれば、カートリッジ本体に溶媒を流したときに充填材が膨潤し、試料を流したときよりもカートリッジ本体内の圧力損失が高まることから、固相抽出カートリッジに分析対象となる試料を速やかに流しつつ、固相抽出カートリッジに溶媒を流し、目的物質の抽出操作を行う際には、この固相抽出カートリッジから流出される溶媒(溶出液)の流出速度を緩やかなものとすることができる。したがって、このような固相抽出カートリッジを用いることによって、試料中からの目的物質の抽出を安定して行うことができる。
以下、本発明を適用した固相抽出カートリッジ及び固相抽出法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(固相抽出方法)
本発明を適用した固相抽出方法は、気体又は液体の試料中に含まれる目的物質の精製・濃縮・分析・分取といった処理を、本発明を適用した固相抽出カートリッジを用いて行うものである。ここで、「目的物質」とは、これら精製・濃縮・分析・分取等の対象となる化学物質のことを言う。このような目的物質としては、例えば、環境汚染物質、化学汚染物質、ダイオキシン類、環境ホルモン、農薬、医薬、界面活性剤、生物毒素、天然薬物、天然色素、天然香料、天然調味料などを挙げることができる。
本発明を適用した固相抽出法は、このような気体又は液体試料中に存在する極微量の目的物質を効率よく精製・濃縮・分析・分取するため、例えば図1に示すような手順に従って、目的物質の抽出を行う。具体的には、先ず、(a)例えば室内空気や大気などの試料ガスGs、或いは、(b)例えば河川水や水道水などの試料水Ldを、ポンプPで吸引しながら、固相抽出カートリッジ10の一方の側から通気又は通液させる。これにより、(c)試料ガスGs又は試料水Ld中の目的物質が固相抽出カートリッジ10内の充填材11に吸着(捕集)される。次に、(d)固相抽出カートリッジ10の一方の側を下にして、その下に試験管20を配置した状態で、固相抽出カートリッジ10の他方の側から、シリンダ30に収容された溶媒Sを流す。これにより、充填材11から溶媒Sに目的物質が溶出(離脱)された溶出液S’が固相抽出カートリッジ10の一方の側から流出されて、(e)その下にある試験管20へと回収される。そして、(f)この回収された溶出液S’は、例えば液体クロマトグラフィー測定装置などを用いた分析工程(クロマトグラムの測定)へと回される。
(固相抽出カートリッジ)
本発明を適用した固相抽出カートリッジ10は、例えば図2に示すように、略円筒状に形成されたカートリッジ本体10aを備えており、このカートリッジ本体10aの長手方向の両端部には、それぞれノズル10b,10cが設けられている。固相抽出カートリッジ10は、このようなカートリッジ本体10aの内部に、充填材11と、この充填材11を挟んだ長手方向から両側に位置する一対のフリット(フィルタともいう。)12a,12bとを備えている。なお、このカートリッジ本体10aは、内部に充填材11及びフリット12a,12bを収容するため、ノズル10b側が設けられた蓋部と、ノズル10cが設けられた容器部との間で分割可能となっている。
カートリッジ本体10aの材質については、有機溶媒に不溶、且つ、試料濃縮作業中に充填材11が漏れ出たりしないものであればよく、例えば、ポリプロピレンや、ポリエチレン等を挙げることができる。また、カートリッジ本体10aの形状や大きさ等については、図1に示すものに特に限定されるものではなく、例えば、容積が1〜500ml、好ましくは2〜100mlの注射筒型シリンジ、或いはバレル型であって、樹脂製又は多孔性ガラス製のフィルタがセットされたものなどであってもよい。
また、目的物質の抽出に用いられる溶媒Sについては、その抽出する目的物質に合わせて任意の有機溶媒を使用することができる。このような有機溶媒としては、例えば、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、n−ヘキサン、メチルエチルケトン、トルエン等を用いることができる。
充填材11は、カートリッジ本体10aの内部に充填されると共に、カートリッジ本体10aのノズル10b,10cから外部に漏れ出ないように、一対のフリット12a,12bによって保持されている。
充填材11としては、例えば、シリカゲル、オクタデシル基、オクチル基、ブチル基、トリメチルシリル基、シアノプロピル基、ニトロフェニルエチル基、ペレニル基などの官能基を持ったシリカゲルなどのシリカ系材料、活性炭粒子、活性炭素繊維、カーボングラファイトなどの炭素系材料、アルミナゼオライトなどの多孔質な無機系材料を用いることができる。
また、充填材11としては、多孔質材料により形成されたものであれば、上述した無機系材料以外にも有機系材料からなるものを用いることができ、例えば、合成多孔質高分子や、コルク等の天然物、合成多孔質高分子や天然物等を焼成・賦活した活性炭などを用いることができる。その中でも、特に合成多孔質高分子(ポリマー)を用いることが好ましい。
合成多孔質高分子としては、例えば3次元網目構造をもつ架橋(共)重合体や、フルオロカーボンや二酸化炭素等の発泡剤による気泡が分散して多孔質化された高分子などを用いることができる。これら合成多孔質高分子の中でも、特に架橋(共)重合体が好ましく、架橋剤として2つ以上の二重結合をもつ架橋性ポリビニルモノマーを重合して得られる3次元網目構造の架橋(共)重合体を用いることが好ましい。
架橋性ポリビニルモノマーとしては、例えば、芳香族ポリビニルモノマーや、多価アルコールポリ(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ポリアリルエーテル、N,N’−低級アルキレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド)等を挙げることができる。なお、ここで言う「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」の意味である(以下、同様)。
具体的に、芳香族ポリビニルモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ジビニルフェノール等を挙げることができる。
多価アルコールポリ(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ポリアリルエーテルとしては、例えば、ジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テトラアリロキシエタン等を挙げることができる。
N,N’−低級アルキレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド)としては、例えば、N,N’−1,3−プロピレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N’−1,2−メチレンビス(N−ビニルアセトアミド)等を挙げることができる。
これらの中でも、芳香族ポリビニルモノマーが好ましく、より好ましくは、ジビニルベンゼン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、トリビニルベンゼン、ジビニルフェノールであり、さらに好ましくは、ジビニルベンゼンである。
また、これらの架橋性ポリビニルモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋(共)重合体を製造する際には、必要に応じて、上記架橋性ポリビニルモノマーと共に、これらと共重合可能な非架橋性ビニルモノマーを用いてもよい。ここで、非架橋性ビニルモノマーとは、重合性二重結合を1つ有する化合物を言う。
このような非架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、芳香族モノビニルモノマーや、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、カルボン酸不飽和エステル系モノマー、マレイン酸系モノマー、カルボキシル基を有するモノマー、不飽和エーテル系モノマー、N−アルケニルカルボン酸アミドモノマー、アクリロニトリル等を挙げることができる。
具体的に、芳香族モノビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、o−,m−,p−エチルビニルベンゼン、o−,m−,p−(クロロメチル)スチレン、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、(ジエチルアミノエチルスチレン)、ビニルナフタレン、N−ビニルピリジン等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
カルボン酸不飽和エステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。
マレイン酸系モノマーとしては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等を挙げることができる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等を挙げることができる。
不飽和エーテル系モノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ブチルアリルエーテル等を挙げることができる。
N−アルケニルカルボン酸アミドモノマーとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−(2−プロペニル)ホルムアミド、N−(2−プロペニル)アセトアミド、N−ビニルブチロアミド、N−ビニルベンズアミド、N−ビニル(o−トルアミド)、N−ビニル(p−トルアミド)等を挙げることができる。
これらの中でも、スチレン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、N−ビニルアセトアミドが好ましい。
また、これらの非架橋性ビニルモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、重合後さらに官能基を導入できる可能性が高く、応用範囲の広い重合体を得るために、例えば、o−,m−,p−(クロロメチル)スチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのように、クロロメチル基、エポキシ基、水酸基などの反応性基を有するものを用いることもできる。
架橋(共)重合体の重合法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの通常のラジカル重合を挙げることができる。
ここで、例えば水性懸濁重合により共重合体粒子を作製する場合を例にあげて説明する。なお、本発明は、これに特に限定されるものではない。
先ず、モノマーと溶媒又は分散媒との混合物に重合開始剤を添加して、水性懸濁重合に用いる油相の調製を行う。
溶媒又は分散媒は、生成する架橋(共)重合体粒子を多孔性にする目的でモノマー混合物に添加されるものであり、その種類は、塊状重合などのように水を媒体に用いない場合には、特に限定されないが、水性懸濁重合などのように水を媒体に用いる場合には、水に難溶性の有機化合物が好ましい。
溶媒又は分散媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−ドデカノール、非架橋ポリスチレン等を挙げることができる。
また、これらの溶媒又は分散媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、これらの組み合わせを、選択したモノマーとの親和性によって決定すれば、架橋ポリマーのBET比表面積を制御することができる。すなわち、選択した単量体と親和性の高いものを組み合わせることによって、BET比表面積を高めることができる。
また、これらの溶媒又は分散媒の添加量は、単量体の総量100質量部に対して10〜300質量部とすることが好ましく、より好ましくは30〜200質量部であり、さらに好ましくは40〜150質量部である。これは、添加量が10質量部未満になると、多孔共重合体粒子の多孔性が不十分となり、添加量が300質量部を超えると、多孔共重合体粒子の物理的強度が不十分となるためである。
一方、重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物や、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジ−t−ブチル、過安息香酸−t−ブチル、メチルエチルケトンペルオキシド等の有機過酸化物など一般に使用されているものを用いることができる。また、これらの重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、重合開始剤の濃度は、単量体の種類などにより適宜決められるものであり一概に規定できないものの、例えば単量体の総量100質量部に対して0.1〜5質量部とすることが好ましい。
次に、分散安定剤を添加し、水相の調整を行う。
分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ゼラチンなどの水溶性高分子化合物を挙げることができる。また、分散安定剤の濃度は、特に限定されないものの、例えば水100質量部に対して0.1〜5質量部とすることが好ましい。
また、単量体の一部が水相へ溶解するのを防ぐため、水相に塩類を添加することが好ましい。添加する塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。また、これらの塩類は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、塩類の濃度は、特に限定されないものの、溶解度の許す範囲で可能な限り高い濃度とすることが好ましい。例えば塩化ナトリウムであれば、水100質量部に対して1〜15質量部とすることが好ましく、塩化カルシウムであれば、水100質量部に対して1〜40質量部部とすることが好ましい。
また、油相に対する水相の比率が大きすぎると、単量体の一部が水相へ溶解する量が増えてしまい、逆に小さすぎると、油滴の合一が起こりやすくなる。このため、使用する水の質量は、単量体と溶媒又は分散媒との総量100質量部に対して、200〜1000質量部とすることが好ましい。
次に、油相と水相を混合し、油滴が目的とする粒子径(粒子の直径)になるように分散させる。この分散には、微粒子化用の攪拌翼を付けた攪拌装置又は高速分散機(ホモジナイザー)などを用いることができる。このうち、比較的粒子径の大きい吸着剤(例えば固相抽出用)を作製する場合には、微粒子化用の攪拌翼を付けた攪拌装置を用いることが好ましく、比較的粒子径の小さい吸着剤(例えば液体クロマトグラフィー用の吸着剤)を作製する場合には、高速分散機(ホモジナイザー)を用いることが好ましい。
次に、水性懸濁重合を行う。この水性懸濁重合による重合反応は、通常の攪拌下において40〜100℃の温度範囲で5〜16時間行なわれる。以上のようにして、球状且つ多孔性の共重合体粒子を得ることができる。
この共重合体粒子の平均粒子径は、0.1〜2000μmであること好ましく、より好ましくは、1〜500μmであり、さらに好ましくは、2〜200μmである。これは、平均粒子径が0.1μmより小さいと、強度が十分でなく、2000μmを超えると、一定重量当たりの吸着速度が下がり、吸着剤としての性能が低下するためである。
充填材11の形状については、特に限定されるものではなく、例えば、球状粒子や破砕粒子、膜、繊維、塊状連続体など種々の形状のものを用いることができる。なお、塊状連続体は、例えば円筒型容器中で塊状重合させたものを抜き出して得られる棒状重合体である。破砕粒子は、例えば塊状連続体や球状粒子などをハンマー、乳鉢、粉砕機などでより小さな断片に砕いて得られる不規則なあるいは規則的な形の粒子である。
充填材11のBET法により測定される比表面積は、50m/g以上が好ましく、より好ましくは、400m/g以上である。充填材11の比表面積が50m/gより小さいと、目的物質の吸着効率が悪くなる。
一対のフリット12a,12bは、カートリッジ本体10aのノズル10b,10cから充填材11が漏れ出ないように、この充填材11をカートリッジ本体10a内に保持するものであり、また、充填材11に試料や溶媒を均一に通液させるための機能も有している。このようなフリット12a,12bには、溶媒を流したときに不要な成分を溶出させないものを用いることが好ましく、例えば、ポリエチレン粒子や、ガラス粒子、金属粒子などを焼結し、厚さ0.5〜3mm程度の多孔質円板状に成形したもの、又は紙やガラス繊維などからなるフィルタ等を用いることができる。また、フリット12a,12bには、後述する充填材11の膨潤に伴う圧力に耐え得る強度のものを用いることが好ましい。
以上のような構造を有する固相抽出カートリッジ10を用いて、上述した固相抽出方法による目的物質の抽出を行う際には、先ず、カートリッジ本体10aのノズル10c側(或いはノズル10b側)から分析対象となる気体又は液体の試料を流することによって、この試料中の目的物質を充填材11に吸着させる。次に、図3に示すように、カートリッジ本体10aの上部側のメス型ノズル10bに、この固相抽出カートリッジ10に流す溶媒Sを収容するシリンダ30のノズル30aを差し込む一方、カートリッジ本体10aの下部側のオス型ノズル10cの下に、この固相抽出カートリッジ10から流出された溶出液S’を回収する容器となる試験管20を配置する。そして、スポイト40を用いて溶媒Sをシリンダ30に定量的に注入し、カートリッジ本体10aのノズル10b側からシリンダ30に収容された溶媒Sを流すことによって、充填材11から溶媒Sに目的物質を溶出させる。この目的物質を含む溶出液S’は、カートリッジ本体10aのノズル10c側から流出されて、その下にある試験管20へと回収される。
ところで、本発明を適用した固相抽出カートリッジ10は、充填材11が溶媒Sによって膨潤する物質を含み、カートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときに、充填材11が膨潤し、試料を流したときよりもカートリッジ本体10a内の圧力損失が高まることを特徴としている。
具体的に、充填材11は、上述した目的物質を吸着するための物質(吸着材)を含むと共に、この吸着材とは別個に溶媒Sによって膨潤する物質(膨潤材)を含んでいる。或いは、この吸着材自体が膨潤する物質であってもよい。充填材11は、このような溶媒により膨潤する物質として、上述した合成多孔質高分子の中でも特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、オクタデシル基を化学結合させたシリカゲル、ジビニルベンゼン−エチレンジメタクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体、ジビニルベンゼン−グリセリンジメタクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体等の中から選ばれる少なくとも1種又は複数種を用いることが好ましい。
また、溶媒により膨潤する物質としては、上述した合成多孔質高分子以外にも多孔質でない合成高分子も用いることができる。このような合成高分子として、例えばポリビニルアルコール等を用いることができる。しかしながら、このような膨潤材は、膨潤速度が遅くなることがあるため、例えば微小化して表面積を増やすなどの対応を行うことが好ましい。
本発明を適用した固相抽出カートリッジ10では、このような充填材11が充填されたカートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときに、充填材11が膨潤し、試料を流したときよりもカートリッジ本体10a内の空隙が減少し、抽出時の圧力損失が高まることを利用して、カートリッジ本体10aから流出される溶媒(溶出液S’)の流出速度を調整することができる。
具体的に、本発明を適用した固相抽出カートリッジ10では、図4(a)に示すように、カートリッジ本体10a内で充填材11が膨潤する割合を考慮して、予めカートリッジ本体10a内の充填材11との間に隙間Dを設けておくことが好ましい。このような隙間Dは、充填材11を挟んだ一対のフリット12a,12bと、カートリッジ本体10aの長手方向の両端部との何れかの間に設けることができる。或いは、一対のフリット12a,12bと充填材11との何れかの間に設けることもできる。図4(a)に示す固相抽出カートリッジ10では、一方のフリット12aとカートリッジ本体10aの内側の上面部との間及び他方のフリット12bとカートリッジ本体10aの内側の下面部との間に隙間Dが設けられている。
また、一対のフリット12a,12bは、少なくとも一方をカートリッジ本体10a内で移動可能としておくことが好ましい。図4(a)に示す固相抽出カートリッジ10では、一対のフリット12a,12bがカートリッジ本体10a内で移動可能となされている。
そして、この固相抽出カートリッジ10では、図4(b)に示すように、カートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときに、充填材11が膨潤する。このとき、一対のフリット12a,12bは、膨潤により体積が増加した充填材11に押圧されて、カートリッジ本体10a内を移動する。そして、一対のフリット12a,12bの移動がカートリッジ本体10aの両端部で規制されると、カートリッジ本体10a内の隙間Dが無くなり、充填材11がそれ以上膨潤することができなくなる。これにより、充填材11がカートリッジ本体10a内で圧密状態となる。
本発明を適用した固相抽出カートリッジ10では、この充填材11の圧密状態の度合いによって、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度を任意に調整することが可能となっている。
具体的に、本発明を適用した固相抽出カートリッジ10では、10ml程度の溶媒Sをシリンダ30に入れて自然滴下させたときに、カートリッジ本体10aのノズル10cから流出する溶出液S’の流出速度が、0.3〜1.5ml/分となるよう上記設定を行うことが好ましい。これにより、カートリッジ本体10aのノズル10cから流出する溶出液S’の流出速度を緩やかなものとすることができる。
ここで、カートリッジ本体10a内において、充填材11が膨潤する前のフリット12a,12b間の体積をVとし、充填材11が膨潤した後のフリット12a,12b間の体積をVとしたときに、V/Vが1.05〜1.35の範囲となるように、上記隙間Dを設けることが好ましい。
例えば、カートリッジ本体10aの内径が13mm、一対のフリット12a,12b間の長さが6mmの円筒形の固相抽出カートリッジ10の場合、上記隙間Dの長さは、上下合わせて、0.5〜2mmの範囲に設定すればよい。
図4(a)に示す固相抽出カートリッジ10では、カートリッジ本体10a内の隙間Dが無くなることで、充填材11が適切な圧密状態となるよう設定されている。したがって、上記隙間Dを設けないと、充填材11が膨潤した際に、充填材の体積増加が強く制限されるため、圧密状態が大きくなり過ぎてしまい、結果として、溶出液S’の流出速度が著しく低下することになる。これは分析時間の短縮の面で好ましくない。
また、上記隙間Dを設けない場合には、一対のフリット12a,12bが充填材11の膨潤により移動しないようカートリッジ本体10a内に強固に固定されていなくてはならない。一方、図4(a)に示す固相抽出カートリッジ10では、充填材11の偏りを避けるため、一対のフリット12a,12bがカートリッジ本体10aの内面との摩擦力等によりカートリッジ本体10a内に軽く固定されてはいるものの、充填材11の膨潤によってカートリッジ本体10aの長手方向に移動可能となっている。
なお、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度は、充填材11の充填量や、充填材11の粒子間の隙間、充填材11の粒径、充填材11の充填時の圧力などによっても変化するため、場合によっては上記隙間Dを設けないで調整することも可能である。例えば、充填材11の粒径が大きい場合(大気分析用のカートリッジ)は、上記隙間Dは必ずしも必要ではなく、例えば充填材11内の空隙率を調整することによって、上記隙間と同等の効果を与えることができる。
また、カートリッジ本体10aのノズル10cから流出する溶出液S’の流出速度を緩やかなものとするため、充填材11の粒子径については、50〜500μmとすることが好ましい。
本発明を適用した固相抽出カートリッジ10では、上記一対のフリット12a,12bのうち、少なくとも一方又は両方の充填材11の膨潤に伴う移動を規制する規制手段を設けることができる。
具体的に、規制手段としては、例えば図5に示すように、カートリッジ本体10a内に一対のフリット12a,12bの移動を規制する一対のストッパ13a,13bを設けることができる。これら一対のストッパ13a,13bは、図5(a)に示すように、それぞれカートリッジ本体10aの内側の上面部及び下面部から突出形成されている。また、これら一対のストッパ13a,13bは、図5(a)に示すように、フリット12a,12bに均一に当接されるように、ノズル10b,10cの周囲に同じ高さで放射状に複数配置されている。また、上部側のフリット12aとストッパ13aとの間には、隙間Dが設けられている。
この場合、カートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときには、充填材11が膨潤しながら、一方のフリット12aが上方に移動し、隙間Dが無くなると、一対のストッパ13a,13bが一対のフリット12a,12bを内側へと押圧することで、充填材11が圧密状態となる。これにより、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度をストッパ13a,13bの高さ(隙間D)に応じて任意に調整することができる。また、この場合は、カートリッジ本体10aに充填される充填材11の充填量を目的物質の抽出を行うのに最適な値に設定しつつ、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度も最適な値に設定することができる。
また、規制手段としては、例えば図6(a)に示すような一対のスペーサ14a,14bを設けることもできる。これら一対のスペーサ14a,14bは、カートリッジ本体10a内のフリット12a,12bの外側に配置されたリング状の部材であり、カートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときに、一対のフリット12a,12bの充填材11の膨潤に伴う移動を規制する。
この場合も、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度をスペーサ14a,14bの厚みに応じて任意に調整することができる。したがって、カートリッジ本体10aに充填される充填材11の充填量を目的物質の抽出を行うのに最適な値に設定しつつ、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度も最適な値に設定することができる。
また、規制手段としては、例えば図6(b)に示すような一対のストッパ15a,15bを設けることもできる。これら一対のストッパ15a,15bは、カートリッジ本体10aの内のフリット12a,12bの外側に配置されて、カートリッジ本体10aの内側面から突出された突起部であり、カートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときに、一対のフリット12a,12bの充填材11の膨潤に伴う移動を規制する。
この場合も、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度をストッパ15a,15bの配置に応じて任意に調整することができる。したがって、カートリッジ本体10aに充填される充填材11の充填量を目的物質の抽出を行うのに最適な値に設定しつつ、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度も最適な値に設定することができる。
また、規制手段としては、例えば図6(c)に示すように、フリット12a,12bにストッパ16a,16bを設けることもできる。これら一対のストッパ16a,16bは、フリット12a,12bの充填材11とは反対側の面から突出された突起部であり、カートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときに、カートリッジ本体10aの内側の上面部及び下面部に当接されて、一対のフリット12a,12bの充填材11の膨潤に伴う移動を規制する。
この場合も、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度をストッパ16a,16bの高さに応じて任意に調整することができる。したがって、カートリッジ本体10aに充填される充填材11の充填量を目的物質の抽出を行うのに最適な値に設定しつつ、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度も最適な値に設定することができる。
また、規制手段としては、例えば図6(d)に示すように、カートリッジ本体10aに縮径部17a,17bを設けることができる。これら一対の縮径部17a,17bは、カートリッジ本体10aの内のフリット12a,12bよりも外側で、このカートリッジ本体10aの径が縮小された部分であり、カートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときに、一対のフリット12a,12bの充填材11の膨潤に伴う移動を規制する。
この場合も、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度を縮径部17a,17bの位置に応じて任意に調整することができる。したがって、カートリッジ本体10aに充填される充填材11の充填量を目的物質の抽出を行うのに最適な値に設定しつつ、カートリッジ本体10aから流出される溶出液S’の流出速度も最適な値に設定することができる。
以上のように、本発明によれば、カートリッジ本体10aに溶媒Sを流したときに充填材11が膨潤し、試料を流したときよりもカートリッジ本体10a内の圧力損失が高まることから、固相抽出カートリッジ10に分析対象となる試料を速やかに流しつつ、固相抽出カートリッジ10に溶媒Sを流す際には、この固相抽出カートリッジ10から流出される溶媒(溶出液S’)の流出速度を緩やかなものとすることができる。すなわち、試料の通気(液)性が良い固相抽出カートリッジ10を用いた場合でも、この固相抽出カートリッジ10から流出される溶出液S’の流出速度を緩やかなものとすることで、目的物質の抽出率を高めることができる。
したがって、このような固相抽出カートリッジ10を用いた固相抽出方法では、操作時間の短縮を図りつつ、試料中からの目的物質の抽出を安定して行うことができる。また、このような固相抽出カートリッジ10を用いた場合には、上述した注射針のような特別な器具を装着する必要がないため、非常に安価であり、安全な操作が可能であるだけでなく、分析の際に妨害となるような不純物の混入を防ぐことができる。
以下、実施例により本発明の効果を明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
実施例1では、上述した図5に示す固相抽出カートリッジ10を用いて、フリット12aとストッパ13aとの間の隙間Dを変化させた際のカートリッジ本体10aのノズル10cから流出する溶媒の流出速度について測定を行った。その測定結果を表1に示す。
なお、本測定において、カートリッジ本体10aの内径は13mmであり、その内部に充填材11として、粒径が50〜100μmのスチレンジビニルベンゼン共重合体を300mg充填したものを用い、溶媒Sとして、10mlのアセトニトリルをシリンダ30に入れて自然滴下させたときの溶媒Sの流出速度を求めた。
Figure 2007155518
表1に示す測定結果から、隙間Dが無い(D=0mm)場合には、溶媒Sの流出速度が0.3ml/min未満となってしまい、溶媒Sの流出速度としては遅すぎる。一方、隙間Dが0.5〜2mmの場合には、溶媒Sの流出速度が0.3〜1.5ml/minの範囲となり、適度な流出速度が得られた。一方、隙間Dが2mmを超える場合には、溶媒Sの流出速度が0.5〜2ml/minの範囲となり、適度な流出速度が得られたものの、フリット12aとストッパ13aとの間に隙間Dが残るため、充填材11が動くことによって、目的物質の安定した抽出操作を行うことが困難となる。
(実施例2)
実施例2では、上述した図5に示す固相抽出カートリッジ10を用いて、カートリッジ本体10aに充填材11充填する際の圧力と、フリット12aとストッパ13aとの間の隙間Dとを変化させた際のカートリッジ本体10aのノズル10cから流出する溶媒の流出速度について測定を行った。その測定結果を表2に示す。
なお、本測定において、カートリッジ本体10aの内径は13mmであり、その内部に充填材11として、粒径が200〜400μmのスチレンジビニルベンゼン共重合体を300mg充填したものを用い、溶媒Sとして、10mlのアセトニトリルをシリンダ30に入れて自然滴下させたときの溶媒Sの流出速度を求めた。
Figure 2007155518
表2に示す測定結果から、隙間Dが無い(D=0mm)場合でも、充填材11の充填時の圧力が5kg以上とすることで、溶媒Sの流出速度が0.3〜1.5ml/minの範囲となり、適度な流出速度が得られた。一方、充填材11の充填時の圧力が0〜5kgの場合には、溶媒Sの流出速度が1.5〜3.0ml/minの範囲となり、溶媒Sの流出速度としては速すぎる。一方、隙間Dが0.5〜2mmの場合で、充填材11の充填時の圧力を0kgとすると、溶媒Sの流出速度が2ml/minを超えてしまい、溶媒Sの流出速度としては速すぎる。一方、隙間Dが2mmを超える場合で、充填材11の充填時の圧力を0kgとすると、溶媒Sの流出速度が2ml/minを超えてしまい、溶媒Sの流出速度としては速すぎる。さらに、この場合は、フリット12aとストッパ13aとの間に隙間Dが残るため、充填材11が動くことによって、目的物質の安定した抽出操作を行うことが困難となる。
このことから、充填材11の粒径が大きい場合(大気用のカートリッジ)は、隙間Dは必ずしも必要ではなく、むしろ圧力をかけて充填材11をカートリッジ本体10aに充填することが好ましいことが明らかとなった。
図1は、本発明を適用した固相抽出方法の手順を示す模式図である。 図2は、本発明を適用した固相抽出カートリッジを示す斜視図である。 図3は、図2に示す固相抽出カートリッジを用いた固相抽出方法による操作を示す斜視図である。 図4(a)は、図2に示す固相抽出カートリッジの溶媒を流す前の状態を示す断面図であり、図4(b)は、図2に示す固相抽出カートリッジの溶媒を流した後の状態を示す断面である。 図5(a)は、図2に示す固相抽出カートリッジに規制手段を配置した状態を示す断面図であり、図5(b)は、ストッパを示す平面図である。 図6は、別の規制手段を示す断面図である。
符号の説明
10…固相抽出カートリッジ 10a…カートリッジ本体 10b,10c…ノズル 11…充填材 12a,12b…フリット 13a,13b…ストッパ(規制手段)

Claims (11)

  1. カートリッジ本体に分析対象となる試料を流し、この試料中の目的物質を前記カートリッジ本体内の充填材に吸着させた後に、前記カートリッジ本体に溶媒を流して、前記充填材から前記溶媒に前記目的物質を溶出させた溶出液を回収するための固相抽出カートリッジであって、
    前記充填材が前記溶媒によって膨潤する物質を含み、前記カートリッジ本体に前記溶媒を流したときに前記充填材が膨潤し、前記試料を流したときよりも前記カートリッジ本体内の圧力損失が高まることを特徴とする固相抽出カートリッジ。
  2. 前記カートリッジ本体内の前記充填材を挟んだ両側に一対配置され、少なくとも一方が前記カートリッジ本体内で移動可能とされた一対のフリットと、
    前記充填材の膨潤に伴う前記フリットの移動を規制する規制手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の固相抽出カートリッジ。
  3. 前記フリットと前記規制手段との間に隙間が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の固相抽出カートリッジ。
  4. 前記カートリッジ本体内において、前記充填材が膨潤する前の前記フリット間の体積をVとし、前記充填材が膨潤した後の前記フリット間の体積をVとしたときに、V/Vが1.05〜1.35の範囲となるように前記隙間が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の固相抽出カートリッジ。
  5. 前記充填材がポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジ。
  6. 前記充填材は、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、オクタデシル基を化学結合させたシリカゲル、ジビニルベンゼン−エチレンジメタクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体、ジビニルベンゼン−グリセリンジメタクリレート−N−ビニルアセトアミド3元共重合体の中から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジ。
  7. 前記カートリッジ本体から流出する前記溶媒の流出速度が、0.3〜1.5ml/分であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジ。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の固相抽出カートリッジを用いた固相抽出方法であって、
    前記カートリッジ本体に分析対象となる試料を流し、この試料中の目的物質を前記カートリッジ本体内の充填材に吸着させた後に、前記カートリッジ本体に溶媒を流して、前記充填材から前記溶媒に前記目的物質を溶出させた溶出液を回収することを特徴とする固相抽出方法。
  9. 前記試料として、液体試料を流すことを特徴とする請求項8に記載の固相抽出方法。
  10. 前記溶媒として、有機溶媒を流すことを特徴とする請求項8又は9に記載の固相抽出方法。
  11. 前記有機溶媒として、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、n−ヘキサン、メチルエチルケトン、トルエンの何れかを用いることを特徴とする請求項10に記載の固相抽出方法。
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