JP2017082097A - ポリエステル樹脂の製造方法、及び電子写真感光体 - Google Patents

ポリエステル樹脂の製造方法、及び電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化しやすいモノマーを用いてポリエステル樹脂の製造する場合、酸化防止剤を多量に使用すると不純物として残存し、電子写真感光体に含有した場合の電気特性が悪化することがある。特に電子写真感光体に含有した場合に電気特性、溶解性及び耐摩耗性に優れたポリエステル樹脂を簡易に製造する方法を提供する。【解決手段】特定構造の繰返し単位を含むポリエステル樹脂の製造方法であって、特定構造の2価フェノールと特定構造のジカルボン酸クロライドとを反応させてエステルオリゴマーを得る工程、及び前記エステルオリゴマーと特定構造の2価フェノールとを反応させてポリエステル樹脂を得る工程を含み、前記エステルオリゴマー中の特定構造のジカルボン酸クロライドモノマー残存量が下記式(6)を満たすことを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はポリエステル樹脂の製造方法に関し、より詳しくは、溶解性及び耐摩耗性に優れたポリエステル樹脂の製造方法に関する。
ポリエステル樹脂は、耐熱性や機械物性に優れており、様々な分野において種々部品の素材として利用されている。また、ポリエステル樹脂が優れた透明性を有していることもあり、近年光学分野においても利用されている。
光学分野におけるポリエステル樹脂の利用方法として、電子写真感光体用のバインダー樹脂用途が挙げられる。電子写真感光体は、電子写真プロセス、即ち、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、その間の様々なストレスを受けて劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に与える化学的なダメージ、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れること、又は除電光及び外部からの光に起因する感光層組成物の分解等の化学的、電気的劣化がある。更に、クリーニングブレード、磁気ブラシ等の摺擦、現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗、傷の発生、膜の剥がれ等の機械的劣化がある。このような機械的劣化による損傷は画像上に現れやすく、直接画像品質を損なうため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。表面保護層等の機能層を設けない一般的な感光体の場合、特に感光層がこのような負荷を受け易い。感光層は、通常、バインダー樹脂と光導電性物質とからなり、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、光導電性物質のドープ量が相当多いため充分な機械強度を持たせるには至っていない。近年、感光層のバインダー樹脂として、感度や耐摩耗性に優れているポリエステル樹脂が使用されている(特許文献1〜特許文献7参照)。
ポリエステル樹脂の製造方法は種々知られているが、分子量が高く、且つ着色が少なく、純度の高いポリエステル樹脂が得られる界面重合が広く利用されている。しかしながら、例えば、ヒドロキノンのような酸化されやすいモノマーを用いて界面重合法によりポリエステル樹脂を製造しようとすると、アルカリ水溶液中で簡単に酸化されキノン等の酸化体になってしまう。この酸化体は、ジカルボン酸クロライドと反応しないため想定量を樹脂中に組み込みことは難しく、また樹脂中に残存する酸化体により樹脂が着色する。このような問題から、一般的な界面重合ではポリエステル樹脂に使用できるモノマーの構造が限られている。このような重合中のモノマー酸化を防ぐ方法は検討されており、過剰量の酸化防止剤を入れる重合方法等が知られている(特許文献8参照)。
特開平3−6567号公報 特開平9−22126号公報 特開平10−20514号公報 特開2001−265021号公報 特開2004−294750号公報 特開2006−53549号公報 特開2008−293006号公報 特開2010−83986号公報
しかしながら、本発明者の検討によると、前記特許文献1〜7に記載の技術のポリエステル樹脂を使用した感光体では、100,000枚以上印刷するような高寿命・高速ハイエンド機種においては、機械強度が足りず、より高性能なポリエステル樹脂が必要であった。
また、前記特許文献8に記載の技術により、製造可能なポリエステル樹脂構造は多くなるが、酸化防止剤を多量に使用するため重合された樹脂中に不純物として残存し、電気特性が悪化することがある。また、重合中に厳密に水溶液中の酸素を除く必要があり、実際に製造する上では困難が伴う。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、電気特性、溶解性及び耐摩耗性に優れたポリエステル樹脂を簡易に製造する方法を提供し、また実用上の負荷に対する耐摩耗性、及び電気特性に優れた電子写真感光体を提供することである。
本発明者らは、前記の課題を解決しうるポリエステル樹脂の製造方法について鋭意検討を行なった結果、ポリエステル樹脂の製造において、エステルオリゴマーを経由し、該エステルオリゴマー中の残存カルボン酸時クロライドモノマー量を制御することにより、電子写真感光体に含有した場合の電気特性、溶解性及び耐摩耗性に優れたポリエステル樹脂を簡易に製造できることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させた。即ち、発明の要旨は、以下<1>〜<7>に存する。
<1>下記式(1)で表される繰返し単位及び下記式(2)で表される繰返し単位を含むポリエステル樹脂の製造方法であって、下記式(4−1)で表される2価フェノールと下記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドとを反応させてエステルオリゴマーを得る工程、及び前記エステルオリゴマーと下記式(4−2)で表される2価フェノールとを反応させてポリエステル樹脂を得る工程を含み、前記エステルオリゴマー中の下記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドモノマー残存量が下記式(6)を満たすことを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法。
Figure 2017082097
(式(1)中、Xは、下記式(3)で表される2価の基であり、Y、Yは、それぞれ独立に2価の基である。式(2)中、Xは、2価の芳香族を含む基である。但し、YはYと同一であってもよく、XはXとは同一ではない。)
Figure 2017082097
(式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基を表し、n、nはそれぞれ0〜4の整数を表す。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。但し、RとRが互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2017082097
<2>該エステルオリゴマーを得る工程では、前記式(4−1)で表される2価フェノール及び前記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドの仕込みモル比率が、
Figure 2017082097
であることを特徴とする<1>に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
<3>前記式(2)中のXが下記式(7)〜(10)から選ばれる少なくとも1種の2価の芳香族を含む基であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
Figure 2017082097
(式(7)中、Rは水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシル基、置換されてもよい芳香族基、ハロゲン基のいずれかを表し、nは0〜4の整数である。)
Figure 2017082097
(式(8)中、Rは水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシル基、置換されてもよい芳香族基、ハロゲン基のいずれかを表し、nは0〜6の整数である。)
Figure 2017082097
(式(9)中、R、Rは、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシル基、置換されてもよい芳香族基、ハロゲン基のいずれかを表し、n、nは0〜4の整数である。Wは、単結合、酸素、硫黄、メチレン基のいずれかを表す。)
Figure 2017082097
(式(10)中、Ar、Arは、それぞれ独立に炭素数6〜16の置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Zは、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレン基であり、sは0又は1の整数である。)<4>前記ポリエステル樹脂中の前記式(2)で表される繰返し単位の含有量が、前記式(1)で表される繰返し単位とのモル比率で0.45≧(2)/((1)+(2))≧0.05を満たすことを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
<5>前記式(1)、(2)中のY、Yは、が、下記式(11)で表される2価の基であることを特徴とする、<1>〜<4>のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
Figure 2017082097
(式(11)中、Ar、Arは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、式(12)で表される構造、又は式(13)で表される構造を有する2価の基を表す。式(12)中のR及びR10は、それ
ぞれ独立に、水素原子、アルキル基、若しくはアリール基、又はRとR10とが結合して形成されるシクロアルキリデン基を表す。更に、式(13)中、R11は、アルキレン基、アリーレン基、又は式(14)で表される基を表す。式(14)中、R12及びR13は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、Arはアリーレン基を表す。kは0〜5の整数を表す。)
Figure 2017082097
<6>前記ポリエステル樹脂の製造方法が、溶液重合法であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
<7>導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、前記感光層が、前記式(1)で表される繰返し単位及び前記式(2)で表される繰返し単位を含むポリエステル樹脂を含有し、前記ポリエステル樹脂は、前記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドモノマー残存量が前記式(6)を満たすエステルオリゴマーと前記式(4−2)で表される2価フェノールとから得られ、前記エステルオリゴマーは下記式(4−1)で表される2価フェノールと前記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドとから得られることを特徴とする、電子写真感光体。
本発明のポリエステル製造方法は、溶解性の異なるモノマーの添加する順番等を工夫することにより、溶解性及び耐摩耗性に優れたポリエステル樹脂を提供する方法である。また、本製造方法により製造されたポリエステル樹脂を電子写真感光体に用いることにより、耐摩耗性や電気特性等の諸特性に優れたものが得られる。
本発明によれば、溶解性、耐摩耗性に特に優れたポリエステル樹脂を製造することが可能となる。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の一実施例を表す概念図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
≪ポリエステル樹脂≫
本発明の製造方法が適用されるポリエステル樹脂は、下記式(1)で表される繰返し単位及び下記式(2)で表される繰返し単位を有している。
Figure 2017082097
式(1)中、Xは、下記式(3)で表される2価の基であり、Y、Yは、2価の基である。式(2)中、Xは、2価の芳香族を含む基である。但し、XはXとは同一ではない。
Figure 2017082097
式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。炭素数は、置換基を含めた基全体の炭素数である。R、Rの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、置換基を有さないことが好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基,tert−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、溶解性、耐摩耗性、製造上の簡便性から、メチル基、エチル基が好ましい。
、nは、それぞれ0〜4の整数である。耐摩耗性の観点から、好ましくは、0〜2の整数であり、特に好ましくは0又は1である。
、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。但し、RとRが互いに結合して環を形成してもよい。炭素数は、置換基を含めた基全体の炭素数である。R、Rの置換基としては、R、Rの置換基として挙げたものが適用できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族基の具体例として、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。RとRが互いに結合して環を形成する場合の具体例として、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、1〜3個のメチル基で置換されたシクロヘキシリデン基等が挙げられる。R、Rは、溶解性、耐摩耗性、製造上の簡便性から、水素原子、メチル基、エチル基、又はシクロヘキシリデン基が好ましい。
式(3)で表される2価の基の元となるビスフェノールとして具体的に例表すると、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン等が挙げられる。この中でも、製造の簡便性及び溶解性、電気特性を考慮すれば、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが好ましい。更に機械物性を考慮すれば、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンがより好ましい。
前記式(2)中のXは、Xとは同一ではない2価の芳香族を含む基である。2価の芳香族を含む基としては、前記式(3)のような2価の基や下記式(7)〜(10)の2価の基等が挙げられる。耐刷性の観点から、下記式(7)〜(10)から選ばれる少なくとも1種の2価の芳香族を含む基が好ましい。
Figure 2017082097
式(7)中、Rは水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表す。炭素数は、置換基を含めた基全体の炭素数である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基,tert−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、メチル置換されたフェニル基等が挙げられる。ハロゲン基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基が挙げられる。溶解性、耐摩耗性、製造上の簡便性から、メチル基、フェニル基、フルオロ基、クロロ基が好ましい。nは0〜4の整数である。耐刷性の観点から、好ましくは、0〜2の整数であり、特に好ましくは0である。式(7)で表される2価の基の元となる2価フェノールとして具体的に例表すると、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、フルオロハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール等が挙げられる。耐刷性の観点から、ハイドロキノンが好ましい。
Figure 2017082097
式(8)中、Rは水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表す。Rの具体例としては、前記Rと同等のものが挙げられる。nは0〜6の整数である。耐刷性の観点から、好ましくは、0〜2の整数、特に好ましくは0である。式(8)で表される2価の基の元となる2価フェノールとして具体的に例表すると、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。耐刷性の観点から、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレンが好ましい。
Figure 2017082097
式(9)中、R、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表す。R、Rの具体例としては、前記Rと同等のものが挙げられる。n、nは0〜4の整数である。耐刷性の観点から、好ましくは、0〜2の整数であり、特に好ましくは0又は1である。Wは、単結合、酸素、又は硫黄を表す。式(9)で表される2価の基の元となる2価フェノールとして具体的に例表すると、4,4´−ビフェノール、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルビフェニル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニル、4,4´−ジヒドロキシ−2,2´,3,3´,5,5´−ヘキサメチルビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。耐刷性及び入手容易性の観点から、4,4´−ビフェノール、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルビフェニル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルが好ましい。
Figure 2017082097
式(10)中、Ar、Arは、それぞれ独立に炭素数6〜16の置換基を有してい
てもよいアリーレン基を表す。Zは、置換基を有していてもよいアリーレン基、又は置換基を有していてもよいアルキリデン基を表し、sは0又は1の整数である。
式(10)中、Ar、Arにおけるアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。製造上の簡便性から、フェニレン基が好ましい。アリーレン基の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン基、ベンジル基等が挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、フッ化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン基としては、フッ素基、クロロ基、ブロモ基等が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
式(10)中、Zにおける置換基を有していてもよいアリーレン基の具体例としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、又は下記式(15)で表される構造等が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキリデン基の具体例としては、エチリデン、プロピリデン、シクロヘキシリデン、1,4−ジメチルシクロヘキサン等が挙げられる。製造上の簡便性から、p−フェニレン基、又は下記式(15)で表される構造、エチリデンが好ましい。
Figure 2017082097
式(15)中、R14〜R17は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
式(15)中のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。溶解性、耐摩耗性、製造上の簡便性から、R14〜R17は、水素原子又はメチル基が好ましい。
sは、耐摩耗性の観点から0又は1の整数が好ましく、溶解性の観点から0が更に好ましい。
式(10)で表される2価の基の元となる2価フェノールの具体例として以下に表す。
Figure 2017082097
また、前記式(4−1)及び式(4−2)は、X及びXに対応する2価フェノールでありX及びXは前述の通りである。
前記式(1)及び(2)中のY、Yは、下記式(11)で表される2価の基であることが好ましい。Y、Yは同一であることが好ましい。
Figure 2017082097
Ar、Arは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Wは、単結合、酸素原子、硫黄原子、式(12)で表される構造を有する2価の有機残基、又は式(13)で表される構造を有する2価の有機残基を表す。式(12)中のR及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、若しくはアリール基、又はRとR10とが結合して形成されるシクロアルキリデン基を表す。更に、式(13)中、R11は、アルキレン基、アリーレン基、又は式(14)で表される基を表す。式(14)中、R12及びR13は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、Arはアリーレン基を表す。kは0〜5の整数を表す。
Figure 2017082097
式(11)中、Ar、Arは、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基が挙げられる。中でも、製造コストの面から、フェニレン基、ナフチレン基、又はビフェニレン基がより好ましい。
前記アリーレン基がそれぞれ独立に有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、縮合多環基、ハロゲン基が挙げられる。感光層用バインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性を勘案すれば、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましく、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が更に好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、具体的にはメチル基が特に好ましい。Ar、Arそれぞれの置換基の数に特に制限は無いが、3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましく、1個以下であることが特に好ましい。耐摩耗性、製造の簡便性の観点から、ArとArは同じ置換基を有する同じアリーレン基であることが好ましく、無置換のフェニレン基であることがより好ましい。
式(12)中、R及びR10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、若しくはアリール基、又はRとR10とが結合して形成されるシクロアルキリデン基を表す。R及びR10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、式(12)中のRとR10とが結合して形成されるシクロアルキリデン基としては、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基等が挙げられる。式(13)中、R11は、アルキレン基、アリーレン基、又は式(14)で表される基であって、式(14)中、R12及びR13は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、Arはアリーレン基を表す。式(13)中のR11のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、R11のアリーレン基としては、フェニレン基、テルフェニレン基等が挙げられる。式(14)で表される基としては、具体的には下記式(15)で表される基等が挙げられる。Wは、耐摩耗性の観点から、酸素原子であることが好ましい。
Figure 2017082097
式(11)中、kは0〜5の整数である。耐摩耗性の観点から、好ましくは0又は1の整数であり、1であることが特に好ましい。kが0の場合、式(11)で表される2価の基の元となる2価カルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。kが1である場合、式(11)は、下記一般式(16)であることが特に好ましい。
Figure 2017082097
式(16)中、R18、R19は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、又はアルコキシ基を表し、n,mは、それぞれ独立に0〜4の整数である。
式(16)中、R18、R19としては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。式(16)で表される2価の基を誘導する2価カルボン酸化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、R18、R19は、水素原子、メチル基が特に好ましい。n,mはそれぞれ独立に、0〜4の整数であり、特に好ましくは、n=m=0である。式(16)で表される2価の基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸が特に好ましい。
ジカルボン酸残基は、必要に応じて複数の化合物を組み合わせて用いることも可能である。組み合わせてよい2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエン−2,5−ジカルボン酸、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ビフェニル−2,2´−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸が特に好ましい。
また、前記式(5)は、Yに対応する2価カルボン酸化合物であり、Yは前述の通りである。
ポリエステル樹脂中の前記式(2)で表される繰返し単位の含有量は、前記式(1)で表される繰返し単位とのモル比率で0.45≧(2)/((1)+(2))≧0.05であることが好ましい。更に、ポリエステル樹脂の溶解性の観点及び耐摩耗性の観点から、好ましくは0.40≧(2)/((1)+(2))≧0.08であり、更に好ましくは、0.35≧(2)/((1)+(2))≧0.10である。
ポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常、10,000以上、機械的強度の観点から、好ましくは20,000以上である。また、通常、200,000以下、塗布性の観点から、好ましくは、150,000以下である。
前記ポリエステル樹脂の末端に存在するカルボン酸クロライド基量は、通常0.1μ当量/g以下、好ましくは0.05μ当量/g以下である。末端カルボン酸クロライド基量が前記範囲を超えると、ポリエステル樹脂を電子写真感光体用塗布液とした際の保存安定性が低下する傾向がある。
前記ポリエステル樹脂のカルボキシル酸価は、300μ当量/g以下とすることが好ましく、より好ましくは150μ当量/g以下である。カルボキシル酸価が300μ当量/gを超えると、感光体の電気的特性が悪化する傾向があり、更に、樹脂を溶媒に溶解して塗工液としたときの保存安定性が低下する傾向がある。
前記ポリエステル樹脂の末端に存在するOH基量は、通常200μ当量/g以下、好ましくは100μ当量/g以下である。末端OH基量が前記範囲を超えると、ポリエステル樹脂を電子写真感光体とした際の電気特性が悪化する可能性がある。
前記ポリエステル樹脂に含まれる全窒素量(T−N量)は、500ppm以下が好ましく、300pp以下であることが更に好ましく、150ppm以下であることが特に好ましい。全窒素量が500ppmを超えると電気特性が悪化する場合がある。
前記ポリエステル樹脂に含まれる遊離の2価カルボン酸量は、その量は特に限定されないが、50ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。遊離の2価カルボン酸含有量が50ppmを超える場合、感光体の電気特性が悪化したり、画像評価に現れる異物となったりする場合がある。感光体の電気特性・画像特性の観点からは、遊離の2価カルボン酸量は少ないほどよいが、ポリエステル樹脂の安定性の観点からは、0.01ppm以上であることが好ましく、0.1ppm以上であることが特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂に含有される遊離の2価フェノールについては、その量は特に限定されないが、100ppm以下が好ましく、50ppm以下が更に好ましい。100ppmを超えると電気特性の悪化や着色、使用する溶媒によっては異物が生じる場合がある。感光体の電気特性の観点からは、遊離の2価フェノールは少ないほどよいが、製造の簡便性からは、0.001ppm以上であることが好ましく、0.01ppm以上であることが特に好ましい。
≪ポリエステル樹脂の製造方法≫
次に、ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。製造方法としては、前記式(4−1)で表される2価フェノールと前記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドとを反応させてエステルオリゴマーを得る工程、及び前記エステルオリゴマーと下記式(4−2)で表される2価フェノールとを反応させてポリエステル樹脂を得る工程を含むものである。ポリエステル樹脂の製造方法としては、溶液重合法、溶液重合法と界面重合法を組み合わせた重合法又は界面重合法が挙げられる。
電子写真感光体用ポリエステルを製造する場合、一般的には界面重合法で製造される。しかしながら、ハイドロキノンのように容易にアルカリ水溶液中で酸化されてしまうモノマーや、エステル結合を有し加水分解されやすい2価フェノールをモノマーとして使用する場合、界面重合法では、前記モノマーが水溶液中でアルカリ塩となった際に、キノンに速やかに酸化したり、エステル結合が水酸化物イオン等の求核剤により速やかに加水分解されたりすることを防ぐ観点から、溶液重合法又は、溶液重合法と界面重合法とを組み合わせた重合法であることが好ましい。製造の簡便性から、特に溶液重合法が好ましい。以下に溶液重合法によるポリエステル樹脂の製造方法の一例を説明する。
<溶液重合法による製造方法>
溶液重合法による製造の場合は、例えば、前記式(1)のXで表される2価の基を誘導する2価フェノール化合物及び2価カルボン酸クロライド化合物を溶媒に溶解させ、トリエチルアミン等の塩基を添加し、反応系中にエステルオリゴマーを形成した後、同一反応容器内へ前記式(2)のXで表される2価の基を誘導する2価フェノール化合物を添加、更に塩基を添加することによりワンポットでポリエステル樹脂が得られる。重合温度は−10℃〜40℃の範囲、重合時間は0.5時間〜10時間の範囲であるのが生産性の点から好ましい。重合終了後、有機相中に溶解しているポリエステル樹脂を、洗浄、回収することにより、目的とするポリエステル樹脂が得られる。YとYが異なる場合には、YとYがエステルオリゴマーに含有されていてもよいし、Yを含むエステルオリゴマー製造後に、更にYに対応するジカルボン酸クロライドモノマーと前記式(2)のXで表される2価の基を誘導する2価フェノール化合物とを添加することでポリエステル樹脂に含んでいてもよい。
<溶液重合法と界面重合法を組み合わせた製造方法>
溶液重合法と界面重合法を組み合わせた重合法の場合には、例えば、前記式(1)のXで表される2価の基を誘導する2価フェノール化合物及び2価カルボン酸クロライド化合物を溶媒に溶解させ、トリエチルアミン等の塩基を添加し、エステルオリゴマーを得た後(溶液重合)、前記式(2)のXで表される2価の基を誘導する2価フェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、エステルオリゴマー及びジカルボン酸クロライド化合物を溶解したハロゲン化炭化水素及び芳香族炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0℃〜40℃の範囲、重合時間は2時間〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂が得られる。
前記式(1)のXで表される2価の基を誘導する2価フェノール化合物は溶解性に優れるためそれから成るエステルオリゴマーを経由することにより、溶解性の悪い2価フェノールと組み合わせた場合でも溶解性が高く透明性に優れたポリエステル樹脂が製造され、得られたポリエステル樹脂は塗膜への適用が可能となる。
一方で、エステルオリゴマーを経由せず溶解性の悪い2価フェノールと前記(1)のXで表される2価の基を誘導する2価フェノールを最初から同一反応容器内でジカルボン酸クロライドと反応させた場合、溶解性の悪い2価フェノールとジカルボン酸クロライド反応物が反応溶液中で析出するため、得られるポリエステル樹脂中に不溶物が残る。そのため、そのポリエステル樹脂の塗布液は白濁し、得られる塗布膜も白濁したり、塗膜表面が不均一となったりする可能性がある。また、前記不溶物中には酸クロライド末端やフェノール末端が残るため、得られる塗布膜の電気特性が悪化する可能性もある。特に溶液重合では、この析出は顕著となる。界面重合では、溶解性の悪い2価フェノールでもアルカリ塩となり水溶液中に溶解するため、途中析出する可能性は低くなるが、溶液重合では2価フェノールのアルカリ塩を経由しないため析出する。
エステルオリゴマー中の残存ジカルボン酸クロライドモノマー量は、下記式(6)の条件を満たす。
Figure 2017082097
残存ジカルボン酸クロライドモノマーとは、エステルオリゴマー中に残存するジカルボン酸クロライドモノマー量を表す。仕込みジカルボン酸クロライドモノマーとは、エステルオリゴマーを製造するために、最初に仕込むジカルボン酸クロライドモノマー量を表す。尚、エステルオリゴマーを製造した後に、ジカルボン酸クロライドモノマーを添加する場合においても、前記式(6)を満たせば本発明の範囲内である。即ち、前記残存ジカルボン酸クロライドモノマー、仕込みジカルボン酸クロライドモノマーにそのエステルオリゴマーを製造した後に更に添加した量を加えて計算する。
エステルオリゴマー中の残存ジカルボン酸クロライドモノマー量は、前記式(6)の条件を満たすが、製造されるポリエステル樹脂の溶解性の観点から、残存ジカルボン酸クロライドモノマー量は前記式(6)において0.18以下が好ましく、0.16以下がよりに好ましい。これらの値は、実施例[エステルオリゴマー中の残存酸クロライドモノマー測定]に記載の方法により測定できる。また、エステルオリゴマー中の残存ジカルボン酸クロライドモノマー量は、例えば塩基の使用量を後述する範囲に調節することにより特定の範囲とすることができる。
前記エステルオリゴマーを製造する場合、前記(1)のXで表される2価の基を誘導する2価フェノール化合物と2価カルボン酸クロライドの仕込み比率は、前記式(4−1)で表される2価フェノール及び前記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドの仕込みモル比率が、下記式を満たすことが好ましい。
Figure 2017082097
モル比率で2価カルボン酸クロライド:2価フェノールが1.05:1〜1.8:1であること示す。感光体に含有した際の耐摩耗性の観点から、1.08以上がより好ましく、1.1以上が更に好ましい。樹脂の溶解性の観点から、1.6以下がより好ましく、1.55以下が更に好ましい。
溶液重合法で用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジエチルイソプロピルアミン、N,N,N´,N´−テトラメチルジエチルアミン、1,4-ジアザビシク
ロ[2,2,2]オクタン等の3級アミンや、ピリジン、4-メチルピリジン等のピリジン
類及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]‐7‐ウンデセン等の有機塩基が挙げられる
。また、フォスファゼン塩基、無機塩基等エステル化反応に使用されるような塩基ならば特に制限されない。これらの塩基の中で、エステル化反応の反応性及び入手の簡便性の観点からトリエチルアミン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルア
ミン、ピリジンが好ましく、酸クロリドの分解抑制や洗浄における除去の容易さの観点からトリエチルアミンが特に好ましい。
塩基の使用量としては、エステルオリゴマーを製造する場合は、エステルオリゴマー製造に使用するカルボン酸クロライド基に対して通常0.50倍当量以上、好ましくは0.60倍当量以上である。一方、通常0.95倍当量以下、好ましくは0.90倍当量以下である。また、酸クロライドの不要な分解を防ぐため、使用するフェノール性水酸基に対して1.1倍当量以下が好ましい。一方、ポリエステル樹脂を製造する場合は、反応に使用するカルボン酸クロライド基に対して、通常1.01倍当量以上、重合反応を速やかに進行させるため、1.05倍当量以上が更に好ましい。また、通常2倍当量以下、形成したエステル結合の分解を防いだり、残存塩基を少なくしたりするため、1.8倍当量以下が好ましい。
溶液重合法で用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化合物、トルエン、アニソール、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素化合物、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン等のエーテル化合物、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ベンジル等のエステル化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、等が挙げられる。また、ピリジンを塩基かつ溶媒として使用してもよい。これらの中で、モノマーや生成するオリゴマーの溶解性及びエステル化反応の反応性の観点から、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリ
ジンが好ましい。更に洗浄効率及び電気特性の観点からジクロロメタンが特に好ましい。
溶液重合法においてポリエステル樹脂を製造する場合、全2価フェノールと全2価カルボン酸クロライドの比率は、高分子量のポリエステル樹脂の製造及び末端基の制御の観点から、全2価フェノール:全2価カルボン酸クロライドはモル比率で1:0.95〜1:1.05が好ましく、更には1:0.99〜1:1.01、特に好ましくは1:0.992〜1:1.008である。
ポリエステル樹脂を製造する際には、分子量調節剤を使用することができる。分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類;o,m,p−フェニルフェノール等の1官能性のフェノール;酢酸クロライド、酪酸クロライド、オクチル酸クロライド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルフィニルクロライド、スルフィニルクロライド、ベンゼンホスホニルクロライドやそれらの置換体等の1官能性酸ハロゲン化物等が挙げられる。また、メタノール、エタノール、プロパノール等の1官能脂肪族アルコールや、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4―ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等のア
クリル類を有する1官能アルコール、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−1−n−オクタノール、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール等のパーフルオロアルキルを有する1官能アルコール、シロキサンを有する1官能アルコール等が挙げられる。これらの分子量調節剤の中でも、分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいのは、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体である。特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノールである。
また、2価フェノールを酸化させないために、重合反応中や洗浄液中に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト(次亜硫酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化防止の効果及び環境負荷の低減からもハイドロサルファイトが特に好ましい。酸化防止剤の使用量としては、全2価フェノールに対して、0.01質量%以上、10.0質量%以下が好ましい。更に好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下である。
ポリエステル樹脂の重合後の洗浄方法は、例えば、ポリエステル樹脂の溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液;塩酸、硝酸、リン酸等の酸水溶液;水等で洗浄した後、静置分離、遠心分離等により分液する方法が挙げられる。洗浄後のポリエステル樹脂溶液は、ポリエステル樹脂が不溶の水、アルコールその他有機溶媒中に析出させるか、ポリエステル樹脂の溶液を温水又はポリエステル樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去するか、加熱、減圧等により溶媒を留去することにより取り出してもよいし、スラリー状で取り出した場合は遠心分離器、濾過器とうにより固体を取り出すことも
できる。
ポリエステル樹脂の乾燥は、通常ポリエステル樹脂の分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃以上、ポリエステル樹脂の溶融温度以下で乾燥することができる。このとき減圧下で乾燥することが好ましい。乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、更に好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
溶液重合法以外の製造方法においても、エステルオリゴマー中の残存ジカルボン酸クロライドモノマー量が、前記式(6)の条件を満たせばよく、溶液重合法と界面重合法を組み合わせた重合法又は界面重合法も本発明の範囲内である。
≪電子写真感光体≫
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に設けた感光層を有し、感光層が、前記製造方法により製造されたポリエステル樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体;導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。前記ポリエステル樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
<導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いてもよい。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理
を施すのが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでもよい。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、及び樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもよい。下引き層には、公知の酸化防止剤等、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いてもよい。その膜厚は、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を表すことから好ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
<感光層>
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
[電荷発生層−積層型]
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られ、またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類等が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを表すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウム
フタロシアニン、V型及び28.1゜に最も強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。これらの中でも、D型(Y型)チタニルフタロシアニンが良好な感度を表すため好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらのバインダ樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いてもよい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲である。
[電荷輸送層−積層型]
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。電荷輸送層は、単一の層から成ってもよいし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでもよい。その膜厚は、通常、5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μmである。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブ
タジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は単独で用いてもよいし、いくつかを混合してもよい。電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に表す。
Figure 2017082097
Figure 2017082097
Figure 2017082097
前記製造方法で製造されたポリエステル樹脂は、電荷輸送層のバインダー樹脂として用いられることが好ましい。他の樹脂を混合して用いることも可能である。ここで混合される他の構造を有する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体及びその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂及び種々の熱硬化性樹脂等及びこれらの共重合体が挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂とシリコーン樹脂の共重合体及びポリエステル樹脂とシリコーン樹脂の共重合体が好ましい。また、混合される他の構造を有する樹脂の混合割合は、特に限定されないが、通常、前記ポリエステル樹脂の割合を超えない範囲で併用することが好ましく、具体的には前記ポリエステル樹脂に対する他の構造を有する樹脂の含有量は、通常50質量部以下、耐摩耗性の観点から、30質量部以下が好ましい。
前記他の構造を有する樹脂の好適な構造の具体例を以下に表す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなるバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
Figure 2017082097
前記ポリエステル樹脂と電荷輸送物質との割合は、ポリエステル樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を30質量部以上の比率で使用する。電気特性の観点から、好ましくは40質量部以上である。耐摩耗性の観点から、200質量部以下、好ましくは150質量部以下である。
バインダー樹脂全体と電荷輸送物質との割合としては、通常同一層中のバインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、通常電荷輸送物質を150質量部以下、感光層の熱安定性の観点から120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送物質とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐摩耗性の観点から80質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から70質量部以下が特に好ましい。
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤等の添加剤を含有させてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。この場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていてもよい。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させてもよい。また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させてもよい。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成してもよい。更に必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層等、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよい。
<各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホル
ム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。これらの溶剤の中で、環境配慮の観点から非ハロゲン系溶剤が好ましく、溶解性の観点から、トルエン、キシレン、アニソール、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが特に好ましい。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なってもよい。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を表す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に表すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化
した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下に、本発明の具体的態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[エステルオリゴマー中の残存酸クロライドモノマー測定]
[エステルオリゴマーの製造]
製造例1(エステルオリゴマー(1)の製造)
窒素置換した500mL4つ口反応容器に1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(以下、BP−1)(8.32g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.085g)及び以下、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(以下、AC−1)(12.83g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(6.92g:東京化成製)とジクロロメタン(15mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることにより、反応容器内にエステルオリゴマー(1)を生成させた。
続いて、生成したエステルオリゴマー溶液に以下の酸クロライドモノマー測定用の内部標準として安息香酸メチル(6.41g)を添加した。
[残存酸クロライドモノマー測定]
酸クロライドの分析は、酸クロライドをアミド化により安定化合物とした後に、HPLC分析により実施した。本特許ではアミド化物のHPLCピークを、酸クロライドモノマーのピークとして記載する。以下に実施方法を記載する。
モルホリン(0.3ml:東京化成製)及びアセトニトリル(50ml:純正化学製、高速液クロ用)を入れた100mlサンプル瓶に、前記エステルオリゴマー(1)溶液(1.25g)を量りとり、混合させた。室温下で30分間放置し酸クロライド部位をアミド化した後、この溶液を1ml量りとり、下記HPLC分析で使用する移動相9mlと混合した。この混合溶液をGLクロマトディスク13P(ジーエルサイエンス(株)、孔径0.45μm)でろ過することにより固形分を除去し、サンプル溶液を調製した。
続いて、前記サンプル溶液を用いて下記の条件でHPLC分析を行い、酸クロライドモノマーピーク面積/安息香酸メチルピーク面積比を求め、下記検量線から酸クロライドモ
ノマー量を求めた。エステルオリゴマー(1)に含まれる残存酸クロモノマー量を以下の表−1に示す。
(HPLC測定条件)
カラム:Inertsil ODS-3 5・m 4.6mmX150mm(GLサイエンス製)
カラム温度:40℃
移動相:メタノール:純水:酢酸=60:40:0.05(vol%)
流速:1.0ml/min
測定時間:20min
検出波長:254nm
サンプル溶液注入量:10・l
(検量線の作成)
酸クロライドモノマーと安息香酸メチル比率を各100:50、50:50、20:50、10:50、5:50
、3:50、1:50、0.5:50、0.1:50(mg)としたサンプルをそれぞれ前記のエステルオリゴマー溶液(1)と変更した以外は、前記残存酸クロライドモノマー測定と同様に、アミド化し、HPLC分析することにより、酸クロライドモノマーピーク面積/安息香酸メチル
ピーク面積比の検量線を作成した。
製造例2(エステルオリゴマー(2)の製造)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(7.27g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.090g)及び以下、AC−1(12.88g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(6.12g)とジクロロメタン(15mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることにより、反応容器内にエステルオリゴマー(2)を生成させた。続いて、生成したエステルオリゴマー溶液に安息香酸メチル(6.44g)を添加した。
製造例1と同様にエステルオリゴマー(2)に含まれる残存酸クロモノマー量の測定を行った。結果を以下の表−1に示す。
製造例3(エステルオリゴマー(3)の製造)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(6.27g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.090g)及び以下、AC−1(12.88g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(5.26g)とジクロロメタン(15mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることにより、反応容器内にエステルオリゴマー(3)を生成させた。続いて、生成したエステルオリゴマー溶液に安息香酸メチル(6.44g)を添加した。
製造例1と同様にエステルオリゴマー(3)に含まれる残存酸クロモノマー量の測定を行った。結果を以下の表−1に示す。
製造例4(エステルオリゴマー(4)の製造)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(8.32g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.085g)及び以下、AC−1(12.83g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(4.35g)とジクロロメタン(15mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることにより、反応容器内にエステルオリゴマー(4)を生成させた。続いて、生成したエステルオリゴマー溶液に安息香酸メチル(6.41g)を添加した。
製造例1と同様にエステルオリゴマー(4)に含まれる残存酸クロモノマー量の測定を行った。結果を以下の表−1に示す。
製造例5(エステルオリゴマー(5)の製造)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(5.21g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.090g)及び以下、AC−1(12.93g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(4.61g)とジクロロメタン(15mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることにより、反応容器内にエステルオリゴマー(5)を生成させた。続いて、生成したエステルオリゴマー溶液に安息香酸メチル(6.47g)を添加した。
製造例1と同様にエステルオリゴマー(5)に含まれる残存酸クロモノマー量の測定を行った。結果を以下の表−1に示す。
Figure 2017082097
[ポリエステル樹脂の製造]
実施例1(ポリエステル樹脂(1−1)の合成1:エステルオリゴマー(1)処方)
前記製造例1と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(1−1)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した1000mL4つ口反応容器にBP−1(14.57g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.102g)及びAC−1(22.44g)を秤取り、ジクロロメタン(140mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(12.17g)とジクロロメタン(35mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、4−ヒドロキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニル(以下、BP−2)(3.46g)を加えた。その後、トリエチルアミン(3.22g)とジクロロメタン(35mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(230mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(230mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(490mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(490mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(490mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(300ml)を加えて希釈し、メタノール(4000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(1−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は61,000であった。ポリエステル樹脂(1)群の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
[粘度平均分子量(Mv)の測定]
ポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計
を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量(Mv)を算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
比較例1(ポリエステル樹脂(1−2)の合成2:エステルオリゴマー経由無)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(8.33g)、BP−2(1.98g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.059g)及びAC−1(12.83g)を秤取り、ジクロロメタン(100mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(9.37g)とジクロロメタン(35mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ40分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.1時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(120mL)で希釈し、0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(120mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(280mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(280mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(280mL)にて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥してポリエステル樹脂(1−2)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は36,800であった。
比較例2(ポリエステル樹脂(1−3)の合成3:エステルオリゴマー(4)処方)
前記製造例4と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(1−3)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(8.33g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.059g)及びAC−1(12.83g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(4.35g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、BP−2(1.98g)を加えた。その後、トリエチルアミン(5.03g)とジクロロメタン(35mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.2時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(120mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(120mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(280mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(280mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(280mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥してポリエステル樹脂(1−3)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は45,000であった。
比較例3(ポリエステル樹脂(1−4)の合成4:エステルオリゴマー(5)処方)
前記製造例5と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(1−4)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(5.21g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.059g)及びAC−1(12.83g)を秤取り、ジクロロメ
タン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(4.46g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、BP−1(3.12g)及びBP−2(1.98g)を加えた。その後、トリエチルアミン(4.92g)とジクロロメタン(35mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.2時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(120mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(120mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(280mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(280mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(280mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥してポリエステル樹脂(1−4)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は46,500であった。
実施例2(ポリエステル樹脂(2−1)の合成:エステルオリゴマー(2)処方)
前記製造例2と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(2−1)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(7.92g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.064g)及びAC−1(13.86g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(6.64g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、BP−2(2.96g)を加えた。その後、トリエチルアミン(3.20g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(120mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(120mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(280mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(280mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(280mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(2−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は75,000であった。ポリエステル樹脂(2)群の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
実施例3(ポリエステル樹脂(3−1)の合成1:エステルオリゴマー(2)処方)
前記製造例2と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(3)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した1000mL4つ口反応容器にBP−1(13.89g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.067g)及びAC−1(24.33g)を秤取り、ジクロロメタン(120mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(11.60g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、ハイドロキノン(以下、BP−3)(2.71g)を加えた。その後、トリエチルアミン(6.13g)とジクロロメタン(50mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(230mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(230mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(490mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(490mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(490mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(300ml)を加えて希釈し、メタノール(4000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(3−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は55,000であった。ポリエステル樹脂(3)群の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
比較例4(ポリエステル樹脂(3−2)の合成2:エステルオリゴマー経由無)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(6.95g)、BP−3(1.35g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.034g)及びAC−1(12.17g)を秤取り、ジクロロメタン(100mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(8.87g)とジクロロメタン(35mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ40分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.1時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(120mL)で希釈し、0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(120mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(280mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(280mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(280mL)にて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥してポリエステル樹脂(3−2)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は39,000であった。
実施例4(ポリエステル樹脂(4−1)の合成:エステルオリゴマー(3)処方)
前記製造例3と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(4−1)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(7.00g)、2,3,5−トリ
メチルフェノール(0.065g)及びAC−1(14.34g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(5.87g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、BP−3(2.12g)を加えた。その後、トリエチルアミン(4.56g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(120mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(120mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(280mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(280mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(280mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(4−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は57,500であった。ポリエステル樹脂(4)群の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
実施例5(ポリエステル樹脂(5−1)の合成1:エステルオリゴマー(1)処方)
前記製造例1と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(5−1)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(8.44g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.119g)及びAC−1(13.02g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(7.07g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、4,4’−ビフェノール(以下、BP−4)(1.62g)を加えた。その後、トリエチルアミン(2.42g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(90mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(80mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(230mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(230mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(230mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(5−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は38,200であった。ポリエステル樹脂(5)群の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
比較例5(ポリエステル樹脂(5−2)の合成2:エステルオリゴマー経由無)
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(8.44g)、BP−4(1.62g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.119g)及びAC−1(13.02g)を秤取り、ジクロロメタン(100mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(9.49g)とジクロロメタン(35mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ40分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.1時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(85mL)で希釈し、0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(80mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(230mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(230mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(230mL)にて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥してポリエステル樹脂(5−2)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は25,000であった。
実施例6(ポリエステル樹脂(6−1)の合成:エステルオリゴマー(3)処方)
前記製造例3と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(6−1)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(6.36g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.060g)及びAC−1(13.07g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(5.42g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル(以下、BP−5)(3.75g)を加えた。その後、トリエチルアミン(4.16g)とジクロロメタン(50mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(75mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(75mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(230mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(230mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(230mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(6−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は55,200であった。ポリエステル樹脂(6−1)の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
実施例7(ポリエステル樹脂(7−1)の合成)
前記製造例2と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(7−1)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−1(7.63g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.092g)及びAC−1(13.42g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(6.42g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、2,6−ジヒドロキシナフタレン(以下、BP−6)(2.16g)を加えた。その後、トリエチルアミン(3.41g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(90mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(80mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(200mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(200mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(200mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(7−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は40,700であった。ポリエステル樹脂(7−1)の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
実施例8(ポリエステル樹脂(8−1)の合成)
実施例7における2,6−ジヒドロキシナフタレンを2,7-ジヒドロキシナフタレン
(以下、BP−7)に代えた以外は実施例7と同様に実施し、ポリエステル樹脂(8−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は35,500であった。ポリエステル樹脂(8−1)の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
実施例9(ポリエステル樹脂(9−1)の合成)
前記製造例1と同様の処方でエステルオリゴマーを製造した後、同一反応容器内でポリエステル樹脂(9−1)の製造を実施した。以下に製法を示す。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン(以下、BP−8)(9.03g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.060g)及びAC−1(13.13g)を秤取り、ジクロロメタン(75mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(7.20g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
続いて前記反応容器内へ、BP−1(1.01g)を加えた。その後、トリエチルアミン(2.41g)とジクロロメタン(80mL)との混合溶液を反応容器内へ5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下した。反応内温を15〜23℃に保ちながら、0.2時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(50mL)で希釈した後、更に0.5時間撹拌を行った。続いてジクロロメタン(70mL)で更に希釈した後、4時間撹拌を行った。その後、脱塩水(210mL)にて洗浄を行い、続いて0.2規定塩酸(210mL)にて洗浄を3回行い、更に、脱塩水(210mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層にジクロロメタン(150ml)を加えて希釈し、メタノール(2000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(9−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は60,100であった。ポリエステル樹脂(9−1)の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
実施例10(ポリエステル樹脂(10−1)の合成)
実施例10におけるビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタンを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下、BP−9)に代えた以外は実施例10と同様に実施し、ポリエステル樹脂(10−1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は56,200であった。ポリエステル樹脂(10−1)の構造式を以下に表す。
Figure 2017082097
<ポリエステルTHF溶液の外観>
実施例1〜10、比較例1〜5で製造したポリエステル樹脂100質量部を透明サンプル瓶に入れた後、テトラヒドロフラン溶媒660質量部で溶解させ、溶液の外観を確認した。○は透明な溶液を表し、×は白濁した溶液を表す。結果を以下の表−2に示す。
Figure 2017082097
表−2の結果より、エステルオリゴマーを経由し、更にエステルオリゴマー中の残存酸クロライドモノマー量を本特許の範囲内にすることにより、溶解性に優れたポリエステル樹脂が得られることが分かる。一方で、エステルオリゴマーを経由しない場合又は、本発明中の範囲よりもエステルオリゴマー中の残存酸クロライドモノマー量が多い場合は不溶性のオリゴマーが形成されるため溶液が白濁する。
<感光体シートの作製>
[実施例11]
10質量部のオキシチタニウムフタロシアニンと、150質量部の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンとを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料分散液を製造した。尚、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを表す。
この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製、商品名デンカブチラール♯6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液を50質量部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名PKHH)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液を50質量部混合し、更に、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、固形分濃度4.0%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が0.4μmになるように塗布、乾燥して電荷発生層を設けた。
次に、電荷輸送物質として、下記に表す構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる、特開2002−080432号公報の実施例1に記載の方法で製造した混合物(CTM−1)を50質量部、実施例1で製造したポリエステル樹脂(1−1)を100質量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)8質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 2017082097
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。
[実施例12]
ポリエステル樹脂(1)を実施例3で製造したポリエステル樹脂(3−1)に変えた以外は実施例11と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例13]
ポリエステル樹脂(1)を実施例5で製造したポリエステル樹脂(5−1)に変えた以外は実施例11と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例14]
ポリエステル樹脂(1)を実施例6で製造したポリエステル樹脂(6−1)に変えた以外は実施例11と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例15]
ポリエステル樹脂(1)を実施例7で製造したポリエステル樹脂(7−1)に変えた以外は実施例11と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例16]
ポリエステル樹脂(1)を実施例8で製造したポリエステル樹脂(8−1)に変えた以外は実施例11と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例17]
ポリエステル樹脂(1−1)を実施例9で製造したポリエステル樹脂(9)に変えた以外は実施例11と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例6]
ポリエステル樹脂(1−2)を比較例1で製造したポリエステル樹脂(1)に変えた以外は実施例11と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例7]
ポリエステル樹脂(1−3)を比較例2で製造したポリエステル樹脂(1)に変えた以外は実施例11と同様にして、感光体シートを作製した。
[参考例1]
ポリエステル樹脂(1−1)を特開2006−53549号公報の実施例6に記載の方法により製造した以下に表す構造を有するポリエステル樹脂(11)(粘度平均分子量36,200)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
Figure 2017082097
[電荷輸送層の表面状態]
実施例11〜17、比較例6〜7、参考例1で作成した感光体シートの表面状態を目視で確認した。目視で表面に凹凸がない場合を○、表面に凹凸がある場合を×とした。目視で分かる凹凸がある場合、印刷した際に画像欠陥となる。
[電気特性評価]
実施例11〜17、比較例6〜7、参考例1で作成した感光体シートを用いて測定を行った。電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、前記感光体シートをアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で実施した。なお本評価装置は、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルができる。電気特性評価として−700Vに帯電して5秒放置後の電位保持率(DDR)を測定した(%)。電位保持率は高い方が感光体として安定であり、かぶり等の画像欠陥が発生しづらい。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下(N/N)で行った。結果を表−3に表す。
Figure 2017082097
[摩耗試験]
感光体フィルムを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、25℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重500gで1000回回転後の摩耗量を試験前後の質量を比較することにより測定した。値が小さい方が耐摩耗性に優れる。結果を表−4に表す。
Figure 2017082097
以上から、本発明により製造されたポリエステル樹脂を用いることにより、欠陥がないきれいな塗布膜が得られ、電気特性及び耐摩耗性に優れた電子写真感光体が提供できることを明らかとした。
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される繰返し単位及び下記式(2)で表される繰返し単位を含むポリエステル樹脂の製造方法であって、下記式(4−1)で表される2価フェノールと下記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドとを反応させてエステルオリゴマーを得る工程、及び前記エステルオリゴマーと下記式(4−2)で表される2価フェノールとを反応させてポリエステル樹脂を得る工程を含み、前記エステルオリゴマー中の下記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドモノマー残存量が下記式(6)を満たすことを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法。
    Figure 2017082097
    (式(1)中、Xは、下記式(3)で表される2価の基であり、Y、Yは、それぞれ独立に2価の基である。式(2)中、Xは、2価の芳香族を含む基である。但し、YはYと同一であってもよく、XはXとは同一ではない。)
    Figure 2017082097
    (式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基を表し、n、nはそれぞれ0〜4の整数を表す。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。但し、RとRが互いに結合して環を形成してもよい。)
    Figure 2017082097
  2. 前記エステルオリゴマーを得る工程では、前記式(4−1)で表される2価フェノール及び前記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドの仕込みモル比率が、
    Figure 2017082097
    を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 前記式(2)中、Xが、下記式(7)〜(10)から選ばれる少なくとも1種の2価の芳香族を含む基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
    Figure 2017082097
    (式(7)中、Rは水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
    Figure 2017082097
    (式(8)中、Rは水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表し、nは0〜6の整数を表す。)
    Figure 2017082097
    (式(9)中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表し、n、nは0〜4の整数を表す。Wは、単結合、酸素原子、硫黄原子、メチレン基のいずれかを表す。)
    Figure 2017082097
    (式(10)中、Ar、Arは、それぞれ独立に炭素数6〜16の置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Zは、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレン基を表し、sは0又は1の整数を表す。)
  4. 前記ポリエステル樹脂中の前記式(2)で表される繰返し単位の含有量が、前記式(1)で表される繰返し単位とのモル比率で0.45≧(2)/((1)+(2))≧0.05を満たすことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の
    製造方法。
  5. 前記式(1)及び式(2)中、Y、Yが、下記式(11)で表される2価の基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
    Figure 2017082097
    (式(11)中、Ar、Arは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子、式(12)で表される構造、又は式(13)で表される構造を有する2価の基を表す。式(12)中のR及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はRとR10とが結合して形成されるシクロアルキリデン基を表す。更に、式(13)中、R11は、アルキレン基、アリーレン基、又は式(14)で表される基を表す。式(14)中、R12及びR13は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、Arはアリーレン基を表す。kは0〜5の整数を表す。)
    Figure 2017082097
  6. 前記ポリエステル樹脂の製造方法が、溶液重合法であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  7. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、前記感光層が、下記式(1)で表される繰返し単位及び下記式(2)で表される繰返し単位を含むポリエステル樹脂を含有し、前記ポリエステル樹脂は、下記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドモノマー残存量が下記式(6)を満たすエステルオリゴマーと下記式(4−2)で表される2価フェノールとから得られ、前記エステルオリゴマーは下記式(4−1)で表される2価フェノールと下記式(5)で表されるジカルボン酸クロライドとから得られることを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 2017082097
    (式(1)中、Xは、下記式(3)で表される2価の基であり、Y、Yは、それぞ
    れ独立に2価の基である。式(2)中、Xは、2価の芳香族を含む基である。但し、XはXとは同一ではない。)
    Figure 2017082097
    (式(3)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基を表し、n、nはそれぞれ0〜4の整数を表す。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基を表す。但し、RとRが互いに結合して環を形成してもよい。)
    Figure 2017082097
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