JP2017075307A - セパレーター付き粘着テープおよびセパレーター - Google Patents

セパレーター付き粘着テープおよびセパレーター Download PDF

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Abstract

【課題】粘着剤層表面に部分的に設けられた低粘着性の凸部の突出高さの減少が十分に抑制される、セパレーター付き粘着テープの提供。
【解決手段】粘着剤層11表面に低粘着性の凸部12が部分的に設けられた粘着テープと1、該粘着テープ1の粘着剤層表面を保護するセパレーター2とを含み、該セパレーターの圧縮弾性率が1MPa以下である、セパレーター付き粘着テープ。
【選択図】図8

Description

本発明は、セパレーター付き粘着テープ、およびそれに用いられるセパレーターに関する。
従来より、加圧接着型の粘着テープが知られている(例えば、特許文献1〜3等)。この加圧接着型の粘着テープは、粘着剤層の表面に非粘着性又は微粘着性(以下、「非粘着性」及び「微粘着性」をまとめて「低粘着性」とも称する)の凸部が部分的に設けられた粘着テープであり、加圧せずに粘着テープが被着体表面に載置された状態では、低粘着性の凸部が被着体表面に当接し、粘着剤層が被着体表面に接触しにくいため、被着体表面上で粘着テープを移動させることができ、粘着テープの位置調整を行うことができる。そして、位置調整をした後、粘着テープを加圧すると、低粘着性の凸部が粘着剤層内に埋没し、粘着剤層が被着体に接触して接着力が発現し、被着体の意図した位置に粘着テープを接着することができる。
通常、粘着テープは製造の最終段階で巻回してロールにしてから保管される。このロールの作製時、粘着テープは加圧して巻かれることから粘着テープには巻き締りによる圧力が加わる。また、作製されたロールの保管や輸送時におけるロールの積み重ねや温湿度変化によってもロールに巻き締りが生じる。
特開平01−118584号公報 特開2010−215900号公報 特開2001−279200号公報
本明者等の検討によれば、加圧接着型の粘着テープのロールに上記のような巻き締りによる圧力が生じると、低粘着性の凸部の一部が粘着剤層に埋め込まれて、凸部の突出高さが減少するか、或いは、凸部が完全に粘着剤層に埋没することがあり、その結果、低粘着性の凸部による粘着テープの位置調整機能が低減或いは消失し、ロールから粘着テープを巻き戻して粘着テープを被着体表面に接着する際、粘着テープを被着体表面に載置するだけで粘着剤層が被着体に接触して接着力が発現してしまい、粘着テープの位置調整をスムーズに行うことができなくなる問題が生じることが分かった。また、保管したロールから巻き戻した粘着テープにおいて凸部の突出高さがある程度維持されていても、巻き戻した粘着テープを積み重ねて保管しておくと、積み重ねによる圧力により凸部の粘着剤層への埋没が生じて、上記と同様の問題が生じることがあることが分かった。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、その解決しようとする課題は、粘着剤層表面に部分的に設けられた低粘着性の凸部の突出高さの減少が十分に抑制される、セパレーター付き粘着テープを提供することにある。
また、セパレーター付き粘着テープに用いられる、粘着剤層表面に部分的に設けられた低粘着性の凸部の突出高さの減少を抑制できるセパレーターを提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、圧縮弾性率が一定値以下のセパレーターであれば、粘着テープの粘着剤層表面に設けられた低粘着性の凸部に加わる応力集中を十分に緩和できることを見出した。かかる知見に基づく本発明は以下の通りである。
[1] 粘着剤層表面に低粘着性の凸部が部分的に設けられた粘着テープと、該粘着テープの粘着剤層表面を保護するセパレーターとを有し、該セパレーターの圧縮弾性率が1MPa以下であることを特徴とする、セパレーター付き粘着テープ。
[2] セパレーターの200μm圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以下であり、かつ、該圧縮後の圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力が0.05MPa以下である、上記[1]記載のセパレーター付き粘着テープ。
[3] セパレーターが、(a)多孔質フィルムの少なくとも片面に(b)中実フィルムまたはスキン層が積層され、該(b)中実フィルムまたはスキン層の表面に(c)離型処理が施されたものである、上記[1]または[2]のセパレーター付き粘着テープ。
[4] (a)多孔質フィルムが、ポリオレフィン発泡体、ポリエステル発泡体、ポリウレタン発泡体又はゴム系発泡体である、上記[3]記載のセパレーター付き粘着テープ。
[5] (b)中実フィルムが樹脂製の中実フィルムであり、該樹脂製の中実フィルムまたはスキン層の引張弾性率をE(N/m)、厚さをT(m)としたき、E×Tの値が500μN・m未満である、上記[4]記載のセパレーター付き粘着テープ。
[6] 中実フィルムが、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂を含む中実フィルムである、上記[3]〜[5]のいずれか1つに記載のセパレーター付き粘着テープ。
[7] 粘着テープの粘着剤層表面に部分的に設けられた低粘着性の凸部が、粘着剤層表面からの突出高さが200μm以下のストライプ状、格子状またはドット状の低粘着性パターンである、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載のセパレーター付き粘着テープ。
[8] 粘着剤層の弾性率が0.01〜10MPaである、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載のセパレーター付き粘着テープ。
[9] 低粘着性の凸部の弾性率が0.1MPa以上である、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載のセパレーター付き粘着テープ。
[10] 低粘着性の凸部の弾性率が粘着剤層の弾性率より高い、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載のセパレーター付き粘着テープ。
[11] 粘着剤層表面に低粘着性の凸部が部分的に設けられた粘着テープの該粘着剤層表面を保護するセパレーターであって、圧縮弾性率が1MPa以下であることを特徴とする、セパレーター。
[12] 200μm圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以下であり、かつ、該圧縮後の圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力が0.05MPa以下である、上記[11]記載のセパレーター。
[13] (a)多孔質フィルムの少なくとも片面に(b)中実フィルムまたはスキン層が積層され、該(b)中実フィルムまたはスキン層の表面に(c)離型処理が施されたものである、上記[11]または[12]記載のセパレーター。
[14] (a)多孔質フィルムが、ポリオレフィン発泡体、ポリエステル発泡体、ポリウレタン発泡体又はゴム系発泡体である、上記[13]記載のセパレーター。
[15] (b)中実フィルムが樹脂製の中実フィルムであり、該樹脂製の中実フィルムまたはスキン層の引張弾性率をE(N/m)、厚さをT(m)としたき、E×Tの値が500μN・m未満である、上記[14]記載のセパレーター。
[16] 中実フィルムが、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂を含む中実フィルムである、上記[13]〜[15]のいずれか1つに記載のセパレーター。
本発明によれば、セパレーターが粘着剤層表面の保護だけでなく、粘着剤層表面に設けられた低粘着性の凸部に加わる応力集中を緩和する機能を有するため、粘着テープのロールの巻き締りや巻き戻した粘着テープの積み重ねによって粘着テープに圧力が加わっても、低粘着性の凸部の潰れや低粘着性の凸部の粘着剤層への埋没が生じるのを十分に抑制することができる。このため、巻き戻した粘着テープからセパレーターを剥がして粘着テープを被着体に貼付する際、低粘着性の凸部の存在によって粘着テープを被着体との間に高い接着力が生じることなくスムーズに移動させることができ、その結果、被着体の意図した位置に粘着テープを作業性良く、接着することができる。
本発明における第1例の粘着テープの概略斜視図である。 本発明における粘着テープの被着体への貼付作業時の状態変化を示す概略断面図である。 本発明における第2例の粘着テープの平面図である。 本発明における第3例の粘着テープの平面図である。 本発明における粘着テープのドット状の凸部が千鳥状に配列された状態を示す平面図である。 複数の凝集性粒子の集合体からなる凸部の概略側面図である。 凸部を構成するコアシェル構造ポリマー粒子を示す断面斜視図である。 本発明のセパレーター付き粘着テープにおける粘着テープの凸部を有する粘着剤層の表面にセパレーターを重ね合わせた状態を示す要部概略断面図である。 本発明のセパレーター付き粘着テープにおけるセパレーターの好適態様の概略断面図である。 粘着剤層および凸部の弾性率の測定方法を説明する図である。 凸部の摩擦力の測定方法を説明する図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即してより具体的に説明する。
本発明のセパレーター付き粘着テープは、粘着剤層表面に低粘着性の凸部が部分的に設けられた粘着テープと、該粘着テープの粘着剤層表面を保護するセパレーターとを含む。
なお、一般に、「シート」は薄くて広いもの、「テープ」は薄くて細いものを意味することが多いが、本発明でいう「粘着テープ」は、薄くて細い形状の粘着部材だけでなく、「粘着シート」と呼ばれることが多い、薄くて広い形状の粘着部材も含む概念で使用している。
先ず、粘着テープについて詳しく説明する。
1.粘着テープ
図1は本発明のセパレーター付き粘着テープを構成する第1例の粘着テープの概略斜視図である。本発明における粘着テープはかかる第1例の粘着テープ1に示されるように、粘着剤層11と、該粘着剤層11の表面に部分的に設けられた低粘着性の凸部12とを含む。ここで、「低粘着性の凸部」における「低粘着性」とは、非粘着(タックを有しない)か、或いは、凸部12が粘着剤層11よりも低タックであることを意味する。
なお、本第1例(図1)の粘着テープ1は片面粘着タイプの粘着テープであり、粘着剤層11の低粘着性の凸部12が設けられた面とは反対側の面に支持体10を有している。
図2は図1の粘着テープ1の被着体3への貼付作業時の状態変化を説明するための粘着テープと被着体の概略断面図である。本発明における粘着テープは、粘着剤層11の表面に、低粘着性の凸部12(以下、「低粘着性の凸部」は単に「凸部」とも略称する)が部分的に設けられているので、粘着テープ1が被着体3の表面に載置された状態(非加圧の状態)では、図2(A)に示されるように、低粘着性の凸部12が被着体3に当接し、粘着剤層11が被着体3に実質的に接触しないので、被着体3の表面上で粘着テープ1を容易に移動させることができる。また、被着体3の表面に載置された粘着テープ1が微弱な圧力で加圧されたときは、図2(B)に示されるように、低粘着性の凸部12の一部が粘着剤層11内に埋没することから、粘着剤層11の表面から低粘着性の凸部12が露出した状態で粘着剤層11の一部が被着体3に接触し(図2(B)中、粘着剤層11と被着体3の接触領域は図示していない。)、低い接着力で粘着テープが被着体3に接着する。このため、被着体3に粘着テープ1を微弱な圧力で加圧して被着体3に仮止めした後(低い接着力で粘着テープを貼付けた後)、被着体3から粘着テープ1を容易に剥離することができ、また、剥離後は低粘着性の凸部12が露出しているので、被着体3の表面上で粘着テープ1を比較的容易に移動させることができる。図2(C)は、被着体3の表面に載置された粘着テープ1に十分な圧力を加えて被着体3に粘着テープ1を接着させた状態である。図2(C)に示されるように、粘着テープ1に加えられた十分な圧力により低粘着性の凸部12はその全体が粘着剤層11内に埋没するため、粘着テープ1が被着体3に十分な接着力で接着される。
このように本発明のセパレーター付き粘着テープにおける粘着テープは、被着体への接着位置を最終的に決定するまでは、被着体上で容易に位置調整することができ、位置調整終了後は、被着体に十分な接着力で接着させることができる。
[粘着剤層]
本発明における粘着テープ1の粘着剤層11は、感圧性粘着剤を主成分として含有する感圧性粘着剤層である。感圧性粘着剤(以下、単に「粘着剤」とも略称する)としては、特に限定されるものではなく、例えば、粘着剤を構成するベースポリマーの種類によって、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられ、これら公知の粘着剤の中から適宜選択することができる。なかでも、アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐候性等種々の特性に優れ、アクリル系重合体を構成するモノマー成分の種類等を選択することにより、所望の特性を発現させることが可能であるため、好適に使用することができる。
アクリル系粘着剤は、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマー成分として構成されるベースポリマーによって形成される。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル(好ましくは(メタ)アクリル酸C2−12アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2−8アルキルエステル)等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは1種又は2種以上を選択して使用することができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。
アクリル系重合体は、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分に対応する単位を含んでいてもよい。このような単量体成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチルグリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー;イソプレン、ジブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;ビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は1種又は2種以上を使用することができる。
アクリル系共重合体は、上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、必要に応じてその他の単量体を公知適宜な方法により重合に付すことにより製造できる。アクリル系共重合体の分子量等は特に制限されず、例えば、重量平均分子量100000〜2000000、好ましくは150000〜1000000、さらに好ましくは300000〜1000000の範囲であるものを使用できる。
粘着剤は、ベースポリマーとしてカルボキシル基等の酸性基を有するポリマーを使用し、中和剤を添加してベースポリマー中の酸性基の全部又は一部を中和することにより親水性を付与した親水性粘着剤としてもよい。親水性粘着剤は一般に被着体への糊残りが少なく、また、糊残りが生じた場合であっても、純水で洗浄することにより簡易に除去することができる。
酸性基を有するポリマーは、ベースポリマーを調製する際に上述のカルボキシル基含有モノマー等の酸性基を有する単量体を共重合することにより得られる。
中和剤としては、例えば、モノエチルアミン、モノエタノールアミン等の1級アミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン等の2級アミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等の3級アミン等、アルカリ性を示す有機アミノ化合物が挙げられる。
粘着剤は、必要に応じて架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等の架橋剤を使用することができ、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤等を好適に使用することができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
粘着剤層11は、可塑剤、安定剤、フィラー滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明において、粘着剤層11は十分なタックを発現するために、弾性率が0.01〜10MPaであるのが好ましく、0.1〜10MPaであるのがより好ましい。
また、前述のとおり、本発明における粘着テープ1は加圧時に低粘着性の凸部12が粘着剤層11内に埋め込まれた状態になり、粘着剤層11が被着体3に接触して接着力が発現する構成になっている。従って、粘着剤層11の弾性率と低粘着性の凸部12の弾性率の関係が重要になる。後述のとおり、低粘着性の凸部12は位置調整機能を発揮するためには、被着体との接触状態において、自体が変形しないことが必要であり、そのために0.1MPa以上の弾性率を有する。粘着剤層11の弾性率が0.01〜10MPaであると、低粘着性の凸部12の弾性率(0.1MPa以上)とのバランスを保ちつつ、位置調整機能と接着性の双方に関して良好な結果が得られる。なお、粘着テープの粘着剤層の弾性率は下記の方法で測定される。
粘着剤層11の厚さは特に制限されないが、好ましくは10〜1000μm、より好ましくは50〜500μm、特に好ましくは70〜250μmである。粘着剤層の厚さが上記の好ましい範囲内であると、低粘着性の凸部12による位置調整機能を維持しつつ、位置調整後の粘着テープの加圧接着時に十分な接着力にて粘着テープを被着体に接着することができる。
[低粘着性の凸部]
上記第1例(図1)の粘着テープ1では、低粘着性の凸部12が粘着剤層11の表面にドット状に設けられている。また、図3、4は本発明における粘着テープの第2、第3例の要部平面図であり、これらの例では、低粘着性の凸部12は、ストライプ状、格子状にそれぞれ設けられている。本発明における粘着テープ1において、低粘着性の凸部12は、粘着剤層11の表面全体に一様なパターンで設けられていればよく、パターンの形状は特に限定されないが、パターン形成のしやすさの観点から、ドット状、ストライプ状、格子状、網状等が好ましい。なお、ここでいう、「格子状」と「網状」は、「格子状」が孔部(凸部の非存在部分)の平面形状が正方形や長方形になる凸部のパターンであり、「網状」が孔部(凸部の非存在部分)の平面形状が正方形及び長方形以外の形状になる凸部のパターンである点で相違する。凸部が網状の場合、孔部(凸部の非存在部分)の形状は、全て同じであってもよく、また孔部ごとに異なっていてもよいが、全て同じであるのが好ましい。
凸部がドット状のパターンである場合、個々のドット(凸部)の平面形状は、三角形、四角形(例えば、正方形、長方形、ひし形、台形等)、円形(例えば、真円、真円に近い円、楕円形状等)、長円形、正多角形(正方形等)、星形等の種々の形状であってよく、また、ドットの配列形態は特に限定はされないが、正方行列状、千鳥状等が好ましい。なお、第1例(図1)の粘着テープ1では、平面形状が円形のドット(凸部12)が千鳥状に配列されている。
凸部12がドット状のパターンである場合、ドット(凸部12)の平面面積は0.007〜20mmが好ましく、0.2〜1.8mmがより好ましい。なお、ドット(凸部12)の平面面積は全てのドット(凸部12)で同じであってもよいし、ドット(凸部12)ごとに異なっていてもよいが、全てのドット(凸部12)で同じであるのが好ましい。また、隣接するドット(凸部12)間のピッチ(中心点間の距離)は0.1〜5mmが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。
なお、ドット(凸部12)が千鳥状に配列されている場合(図5)、ドット(凸部12)間のピッチは図5中のD1とD2である。
凸部12がストライプ状のパターンの場合、個々の線部(凸部)の幅は0.1〜5mmが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。また、隣接する線部(凸部)間のスペース部の幅(図3中のD)は0.1〜5mmが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。
凸部12が格子状のパターンの場合、縦、横の線部(凸部)の幅(図4中のW1、W2)は、それぞれ0.1〜5mmが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。また、縦、横における隣接する線部(凸部)間のピッチ(軸線間の距離(図4中のD1、D2))は、それぞれ0.1〜5mmが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。
なお、上記凸部12の平面面積、幅等は、粘着剤層11の表面の鉛直上方から粘着剤層11の表面を見たときの凸部12の最大の面積となる部分の面積、凸部12の最大の幅となる部分の幅である。また、上記凸部12は被着体3と接触する先端は平坦面であっても非平坦面であってもよい。
低粘着性の凸部12の粘着剤層11表面からの突出高さは、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、特に好ましくは130μm以下である。また、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。突出高さが200μmを超える場合、粘着テープの粘着性や接着力が不十分となる可能性があり、突出高さが1μm未満では、低粘着性の凸部12による位置調整機能が不十分になる可能性がある。
また、凸部12の突出高さは、粘着剤層11の厚さを基準にした場合、粘着剤層11の厚さの3〜100%であることが好ましく、より好ましくは10〜100%である。凸部12の突出高さが粘着剤層11の突出高さの3%未満であると、粘着テープの位置調整機能が不十分となる可能性があり、逆に凸部の厚さが粘着剤層の厚さの100%を超えると、粘着テープの粘着性や接着力が不十分となる可能性がある。
粘着剤層11の表面における低粘着性の凸部12の占有率([凸部12の総面積/粘着剤層表面全体の面積]×100(%))は、粘着テープ1の接着性と低摩擦性(すなわち、被着体上での易移動性)の観点から30〜90%が好ましく、好ましくは40〜80%である。
低粘着性の凸部12の構成材料は、粘着剤層11を構成する粘着剤の種類に応じて選択することができる。すなわち、非粘着(タックを有しない)か、或いは、粘着剤層11よりも低タックであり、粘着剤層11に不溶であり、形状保持性を有するものであれば、いかなるものでも使用することができる。例えば、ガラス粉、ガラス繊維、シリカビーズ、酸化アルミニウムビーズ、金属繊維、金属網(ネット)等の無機材料や、合成樹脂ビーズ、合成樹脂バルーン、天然繊維、合成樹脂繊維、天然樹脂及び/または合成樹脂の成形体(糸、網体、格子体)等の有機材料、或いは、粘着剤層11よりも低タックの感圧性粘着剤(例えば、ゴム系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系等)等が挙げられる。低粘着性の凸部12の構成材料は1種または2種以上を使用することができる。
なお、低粘着性の凸部12の構成材料が粘着剤層11よりも低タックであるとは、低粘着性の凸部12の構成材料により、ナノインデンターにより測定した弾性率が、粘着剤層11の弾性率より大きいことである。
低粘着性の凸部12が安定な位置調整機能を発揮するためには、被着体との接触状態において、自体が変形しにくいこと(=低タック)が重要であり、そのために、凸部12は弾性率が0.1MPa以上であることが好ましく、5MPa以上であることがさらに一層好ましい。凸部12の弾性率は以下の方法で測定される。
<粘着剤層11及び凸部12の弾性率の測定方法>
図10を参照して、粘着剤層11及び凸部12の弾性率の測定方法を説明する。
ここでいう弾性率とは、ナノインデンターHYSITRON社製「TriboScope」を用いたナノインデンテーション試験によって得られる複合弾性率である。ナノインデンテーション試験は、バーコビッチ圧子(三角錐のダイヤモンド製圧子)を徐々に荷重Pをかけて所定の最大荷重Pmaxとなるまで被検体に押し込む過程(以下、負荷過程)、最大荷重Pmaxで一定時間保持する過程(以下、保持過程)、保持後、徐々に除荷して荷重Pが0になるまで引き抜く過程(以下、除荷過程)において得られる、圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係から、被検体の弾性的性質を測定する試験である。押し込み深さhは、圧子の先端と初期状態の被検材表面(圧子を押し込む前の被検材表面)との距離を意味し、圧子が被検材の表面に初めて接触した位置を基準とした圧子の変位量に相当する。
凸部12及び粘着剤層11の弾性率は、上記のナノインデンテーション試験によって得られる圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係に基づき、以下の式(1)によって算出される。
Er=1/β・S/2・(π/A)1/2・・・(1)
ここで、上記の式(1)において、Erは弾性率を、βは圧子形状により決定される定数であり、バーコビッチ型圧子の場合β=1.034を用いる。Sは接触剛性率を、πは円周率を、Aは圧子と被検材表面との接触射影面積を示す。
圧子を被検材(粘着テープ)の粘着剤層の表面に接触させることで、粘着剤層の弾性率が測定される。また、凸部の弾性率は、粘着剤層の影響を除くため、例えば、ダイヤモンド刃を取り付けたウルトラミクロトームを用いて−100℃以下の環境下で粘着テープ上の凸部のみを粘着剤層から切り出し、所定の試料台(SUS製)に固定し、該凸部の表面に圧子を接触させることで測定される。
(接触剛性率)
上記接触剛性率Sは、上記のナノインデンテーション試験によって得られる圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係の内、除荷過程で得られる関係に基づき算出される。より具体的に説明すれば、接触剛性率Sは、圧子の位置が最大押し込み深さhmax(最大荷重Pmaxをかけたときの押し込み深さ)に到達してから、保持過程の後に、除荷過程に遷移した直後の除荷曲線の傾きによって定義される。換言すれば、接触剛性率Sは、点(hmax、Pmax)における除荷曲線に対する接線Lの勾配(dP/dh)を意味する。
(接触射影面積)
上記接触射影面積Aは、圧子の位置が最大押し込み深さhmaxに到達したときにおける圧子と被検材表面との接触部分の面積を、圧子の押し込み方向に射影した面積を意味する。なお、この接触部分の深さ(接触深さ)をhcとすると、バーコビッチ圧子の場合、接触射影面積Aは、以下の式(2)で近似できる。
A=24.56・hc・・・(2)
上記の接触深さhcは、最大押し込み深さhmax、最大荷重Pmax及び接触剛性率Sを用いて、以下の式(3)で表される。
hc=hmax−0.75・Pmax/S・・・(3)
尚、本発明におけるナノインデンテーション試験において測定と弾性率の解析はHystron社製の測定・解析ソフトTriboScanVer.8.0.0.4を用いる。
(測定条件)
負荷・除荷過程の押し込み速度200μN/sec
保持時間15秒
最大押込み深さ(除荷過程に遷移するときの押込み深さ)0.9〜5μm
本発明における低粘着性の凸部12の好適な一態様として、複数の凝集性粒子の集合体からなる凸部を挙げることができる。図6は複数の凝集性粒子20の集合体からなる凸部12の概略側面図を示す。複数の凝集性粒子20の集合体(凸部12)は、上面が湾曲面からなり、平面視が円形の扁平体である。なお、凝集性粒子とは、所定の凝集力を有する粒子を意味し、粒子の集合体として把握することもできる。複数の凝集性粒子20としては、例えば、ポリマーエマルション由来のポリマー粒子群を挙げることができ、該ポリマーエマルション由来のポリマー粒子群は、単一のポリマー組成の粒子からなるポリマー粒子群、及び/又は、コアとシェルでポリマー組成が異なるコアシェル構造ポリマー粒子からなるポリマー粒子群を含む。なお、以下の記載において、単一のポリマー組成の粒子は「非コアシェル構造ポリマー粒子」とも称する。ポリマーエマルション由来のポリマー粒子群はそれ自体で凝集能力を有するので、添加剤は必ずしも必要ではないが、凸部12の性能に影響を与えない範囲で、例えば、ポリマーエマルションにエポキシ系架橋剤やシランカップリング剤等の添加剤を加えて、ポリマー粒子群の凝集力を高めるようにしてもよい。
ポリマー粒子群の由来源であるポリマーエマルションは、乳化重合、すなわち、モノマーエマルションを重合することによって得られる。ポリマーエマルションにおけるモノマー成分(すなわち、モノマーエマルションを構成するモノマー)は、アクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、及びアクリル酸ラウリルから選ばれる1種または2種以上が好ましく、メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、及びメタクリル酸イソボルニルから選ばれる1種または2種以上が好ましい。また、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマーを含有することができる。カルボキシル基含有モノマーおよびヒドロキシル基含有モノマーはそれぞれ1種または2種以上を使用できる。
コアシェル構造ポリマー粒子群は、シェルの弾性率がコアの弾性率よりも高いコアシェル構造ポリマー粒子からなるものが好ましく、また、シェルの重量に対するコアの重量が80%以下(好ましくは80%以下、10%以上)のコアシェル構造を有するコアシェル構造ポリマー粒子からなるものが好ましい。シェルの弾性率をコアの弾性率より高く設定することにより、コアシェル構造ポリマー粒子の摩擦力が小さくなる。従って、低粘着性の凸部12が、シェルの弾性率をコアの弾性率よりも高く設定したコアシェル構造ポリマー粒子からなるポリマー粒子群により構成されることで、低粘着性の凸部12が低摩擦性になり、低粘着性の凸部12による位置調整機能が向上するとともに、粘着剤層11との関係で適切な弾性率を得ることができる。
図7はコアシェル構造ポリマー粒子群を構成するコアシェル構造ポリマー粒子20の断面斜視図であり、個々のコアシェル構造ポリマー粒子20は、コア21がアクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とするアクリル系ポリマー(A1)で構成され、シェル22がアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とするアクリル系ポリマー(A2)で構成されているのが好ましい。コアシェル構造ポリマー粒子群を構成するコアシェル構造ポリマー粒子20は、略球状を有し、その平均粒子径「a」は凸部12の最大径「A」や高さ「B」を考慮して適宜変更することができる(図6参照)。例えば、凸部12の最大径「A」や高さ「B」を考慮した凝集性粒子20の粒子径は、水分散液(ポリマーエマルション)の粘度の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは120nm以上であり、一方、乾燥後(すなわち、水分散液(ポリマーエマルション)から水分を除去した後)の粒子の凝集性の観点から、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である。また、この場合の凸部12の最大径「A」は、凸部の形状安定性の観点から、好ましくは100μm以上、より好ましくは250μm以上であり、粘着テープの接着力の観点から、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下であり、高さ「B」は、位置調整機能の安定性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上であり、接着力の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。
<コア>
コア21を構成する、アクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とするアクリル系ポリマー(A1)は、アクリル酸ブチル(BA)(=アクリル酸n−ブチル)のホモポリマーであるか、或いは、アクリル酸ブチル(BA)に、アクリル酸ブチル(BA)以外のアクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸アルキルエステルが共重合したコポリマーであるのが好ましい。
アクリル酸ブチル(BA)以外のアクリル酸アルキルエステルとしては、好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル等が挙げられ、該アクリル酸アルキルエステルは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、アクリル酸プロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等のアルキル基の炭素数が3〜9のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。また、メタクリル酸アルキルエステルは、主にポリマーの弾性率を制御する目的で共重合される成分であり、好ましくは、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル 酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボルニル等)が使用される。なかでも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル等が好ましい。該メタクリル酸アルキルエステルは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系ポリマー(A1)は、全モノマー成分中、アクリル酸アルキルエステルを60〜100重量%含有することが好ましく、70〜99.9重量%含有することがより好ましく、80〜99重量%含有することがさらに好ましく、80〜98重量%含有することが特に好ましい。
また、アクリル系ポリマー(A1)は、粘着剤の接着性向上とエマルションへの安定性付与のために、カルボキシル基含有モノマーやヒドロキシル基含有モノマーが共重合されていてもよい。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。また、ヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等が挙げられる。カルボキシル基含有モノマーおよび/またはヒドロキシル基含有モノマーは、アクリル系ポリマー(A1)を構成する全モノマー成分中、0.1〜8重量%含有することが好ましく、1〜7重量%含有することがより好ましく、2〜5重量%含有することがさらに好ましい。
<シェル>
シェルを構成するアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分とするアクリル系ポリマー(A2)は、全モノマー成分中、メタクリル酸アルキルエステルを30〜95重量%含有することが好ましく、35〜90重量%含有することがより好ましく、40〜80重量%含有することが特に好ましい。メタクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボルニル等)が使用される。なかでも、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソボルニル等が好ましく、メタクリル酸メチル(MMA)が特に好ましい。
また、アクリル系ポリマー(A2)において、アクリル酸アルキルエステルは、主にポリマーの弾性率を制御する目的で共重合される成分であり、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸アルキルエステルは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル(BA)(=アクリル酸n−ブチル)、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル等を例示できる。これらの中でも、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等のアルキル基の炭素数が3〜9のアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸ブチル(BA)が特に好ましい。
また、アクリル系ポリマー(A2)は、粘着剤の接着性向上と、エマルションへの安定性付与のために、カルボキシル基含有モノマーやヒドロキシル基含有モノマーが共重合されていてもよい。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。また、ヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等が挙げられる。カルボキシル基含有モノマーおよび/またはヒドロキシル基含有モノマーは、アクリル系ポリマー(A2)を構成する全モノマー成分中、0.1〜8重量%合含有することが好ましく、1〜7重量%含有することがより好ましく、2〜5重量%含有することがさらに好ましい。
アクリル系ポリマー(A2)はモノマー成分としてアクリル酸ブチル(BA)とメタクリル酸メチル(MMA)を含むことが好ましく、アクリル系ポリマー(A2)中のアクリル酸ブチル(BA)の重量(M)に対するメタクリル酸メチル(MMA)の重量(N)の割合(N/M)である「MMA比率(%)」は粘着テープを貼り付ける被着体や粘着剤層11の構成材料等に応じて変更することができるが、100%以下が好ましく、40〜80%がより好ましい。
また、コアシェル構造ポリマー粒子における、シェル22の重量(K)に対するコア21の重量(L)の割合(L/K)である「コアシェル比率(%)」は100%以下が好ましく、20〜80%がより好ましい。
コアシェル構造ポリマー粒子におけるシェル22とコア21の重量比やコアシェル構造の詳細は、例えば、DSC測定やTEM(3D−TEM)法によって分析可能である。
コアシェル構造ポリマー粒子からなるポリマー粒子群(コアシェル構造ポリマー粒子からなるポリマー粒子群、非コアシェル構造ポリマー粒子からなるポリマー粒子群)の由来源であるポリマーエマルションは、乳化重合、すなわち、モノマーエマルションを重合することによって得られる。
<乳化重合>
非コアシェル構造ポリマー粒子からなるポリマー粒子群の由来源となるポリマーエマルションを得るための乳化重合は常法により行うことができる。すなわち、前述のモノマーとともに、乳化剤(界面活性剤)、ラジカル重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤等を適宜配合し、例えば、一括仕込み法(一括重合法)、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法等の公知の乳化重合法にて乳化重合を行う。モノマー滴下法では、連続滴下又は分割滴下が適宜選択される。公知の乳化重合法は適宜組み合わせることができる。反応条件等は、適宜選択されるが、重合温度は、例えば、40〜95℃程度であるのが好ましく、重合時間は30分間〜24時間程度であるのが好ましい。
また、コアシェル構造ポリマー粒子からなるポリマー粒子群の由来源となるポリマーエマルションを得るための乳化重合は、コアシェル構造ポリマー粒子のコアとなるポリマーを生成するための乳化重合を行い、生成したコアとなるポリマーの存在下に、シェルとなるポリマーを生成するための乳化重合を行う、多段階の乳化重合を行う。それぞれの乳化重合は常法により行なうことができ、上述の方法、条件に従えば良い。
一例として、コアシェル比率が50%で、且つ、MMA比率が50%の凝集性粒子(コアシェル構造ポリマー粒子からなるポリマー粒子群)を製造した例を以下に示す。
先ず、コアシェル構造ポリマー粒子のコアを作製するため、容器に原料として、アクリル酸ブチル(BA)100重量部に対して、界面活性剤であるラテムルE-118B(花王(株)製)3重量部、イオン交換水205重量部の混合物を調製し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用い窒素雰囲気下で5分間、6000rpmで撹拌し、モノマーエマルションAを調製した。
次に、コアシェル構造ポリマー粒子のシェルを作製するため、別の容器にて、原料としてアクリル酸ブチル(BA)50重量部に対して、メタクリル酸メチル(MMA)50重量部、ラテムルE-118B1重量部、イオン交換水87.5部の混合物を調製し、ホモミキサーを用いて窒素雰囲気下で5分間、6000rpmで撹拌しモノマーエマルションBを調製した。
その後、冷却管、窒素導入管、温度計、滴下設備、及び撹拌羽根を備えた反応容器に、調製したモノマーエマルションA)を全量仕込み、撹拌しながら反応容器を十分に窒素置換した後、反応液を60℃まで昇温し、アクリル酸ブチル(BA)50重量部に対して水溶性アゾ重合開始剤であるV-50(和光(株)製)0.1重量部を添加して60℃を保ちながら2時間重合して、コア層となる共重合体を得た。次いで、アクリル酸ブチル(BA)50重量部に対してV-50を0.5重量部だけ更に添加して60℃に保ちながら、上記モノマーエマルションBを2.5時間かけて滴下して、シェルを形成し、固形分濃度40%のコアシェル構造ポリマー粒子を含有する水分散液を得た。得られたコアシェル構造ポリマー粒子の平均粒子径は160nmであった。
複数の凝集性粒子(ポリマーエマルション由来のポリマー粒子群)20により、凸部12を形成する場合、例えば、粘着剤層11の表面にディスペンサーを用いてポリマーエマルション(エマルション液)を滴下する方法や、凸部12のパターンに対応するパターンが刻まれたグラビアロールでポリマーエマルション(エマルション液)を粘着剤層11の表面に転写する方法、スクリーン印刷やオフセット印刷、フレキソ印刷等の一般的な印刷技術を用いて、ポリマーエマルション(エマルション液)を印刷する方法等が挙げられる。複数の凝集性粒子(ポリマーエマルション由来のポリマー粒子群)における個々の粒子は、粒子の集合体となる前は略球状である。複数の凝集性粒子(ポリマーエマルション由来のポリマー粒子群)の平均粒子径は、ポリマーエマルション(水分散液)の粘度の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは120nm以上であり、一方、ポリマーエマルション(水分散液)を乾燥させた後のポリマー粒子の凝集性の観点から、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である。
複数の凝集性粒子(ポリマーエマルション由来のポリマー粒子群)20により形成される凸部12の最大径(図6中の符号A)は凸部の形状安定性の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは250nm以上であり、加圧接着後に十分な接着力を発現するために、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下である。また、凸部12の高さ(図6中の符号B)は粘着テープ1の位置調整機能の安定性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上であり、粘着テープの粘着性や接着力の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下である。
<平均粒子径の測定>
複数の凝集性粒子(ポリマーエマルション由来のポリマー粒子群)の平均粒子径は以下の方法で測定される。ある1つの凸部12を形成する複数の凝集性粒子の中からランダムに抽出した数個の凝集性粒子につき、レーザー回折散乱法によって各凝集性粒子の径を測定し、測定された数個の凝集性粒子の径の中の中央に位置する値を採用する(つまり、メディアン径にて評価する)といった処理を1サイクルとして、このサイクルを数回繰り返すことによって得られた数個のメディアン径の平均値をもって平均粒子径とする。
本発明における低粘着性の凸部12の他の好適な一態様として、ポーラススクリーンからなる凸部を挙げることができる。本発明においてポーラススクリーンとは、多孔質(又は孔の開いた)シート状物のことをいう。また、ポーラススクリーンには、網状物も含まれる。
ポーラススクリーンの具体例としては、特に制限されないが、例えば、プラスチックネット、繊維ネット、金属糸ネット等が挙げられる。また、例えばプラスチックシート、薄葉金属シート、織布、不織布、紙等に穿孔処理を施したもの等が挙げられる。
ポーラススクリーンの孔又は網目の形状としては、上記の特性を発揮できる限り特に制限されないが、例えば、三角形、四角形(例えば、正方形、長方形、ひし形、台形等)、円形(例えば、真円、真円に近い円、楕円形状等)等が挙げられる。また、前記形状に似ている不定形状であってもよい。なお、孔又は網目の形状は、全て同じであってもよく、また孔ごとに異なっていてもよい。
ポーラススクリーンの厚さとしては、上記特性を発揮する限り特に制限されないが、例えば、10〜200μmが好ましく、好ましくは、50〜150μmである。厚さが10μm未満であると、滑り性が悪くなる場合があり、一方200μmを超えると、接着性と滑り性との両立ができなくなる場合がある。
ポーラススクリーンがネットである場合、その素材としては、特に制限されないが、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂(プラスチック)、天然繊維、金属繊維等が挙げられる。
また、坪量は、特に制限されないが、ポーラススクリーンが貼り合わせられた粘着面における接着性と滑り性との両立という点から、1.0〜70g/mが好ましく、好ましくは2.0〜20g/mである。
網目の大きさは、特に制限されないが、ポーラススクリーンが貼り合わせられた粘着面における接着性と滑り性との両立という点から、5個/インチ〜50個/インチが好ましく、好ましくは20個/インチ〜40個/インチである。
このようなネットの市販品としては、例えば、商品名「ネットND20」株式会社ダイセン製等が挙げられる。
ポーラススクリーンが孔を有するシートである場合、その素材としては、特に制限されないが、ポーラススクリーンが貼り合わせられた粘着面における接着性と滑り性との両立という点から、プラスチックや不織布が好ましい。
ポーラススクリーンの孔の大きさとしては、上記の特性を発揮できるかぎり特に制限されず、孔の大きさが共通していてもよいし、孔ごとに異なっていてもよい。このような孔の大きさとしては、例えば、孔の最も大きい部分で、500μm〜10mm程度である。
ポーラススクリーンの孔の分布は、上記の特性を発揮できるかぎり特に制限されず、一定の領域に集中していてもよいし、また全体的に分散していてもよい。
ポーラススクリーンの孔部間の距離としては、特に制限されず、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
本発明における低粘着性の凸部12の他の好適な一態様として、固体粒子からなる凸部を挙げることができる。
固体粒子の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、二硫化モリブデン、酸化チタン、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化第一鉄、酸化第二鉄、ガラスビーズ等の無機質固体粒子;硬化ゴム、エボナイト、リグニン/フェノール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、その他の樹脂類等の有機質固体粒子が挙げられる。固体粒子は1種または2種以上を使用できる。
また、固体粒子には、圧着圧力によって中空粒子壁が破砕されない限り、中空の固体粒子も使用できる。このような中空の固体粒子の例としては、尿素樹脂バルーン、メラミン樹脂バルーン、フェノール樹脂バルーン、ポリ塩化ビニリデンバルーン、エポキシ樹脂バルーンのような有機質バルーン;ガラスバルーン、シラスバルーン、炭素バルーン、アルミナバルーン、ケイ砂バルーンのような無機質バルーン等の圧着圧力によって中空粒子壁が破砕されない中空の固体粒子を挙げることができる。ここで「破砕されない」の語は、中空粒子壁の1部でも破損して、中空粒子の中の気体が外部に洩れることの無い意味で用いられるものである。
固体粒子は平均粒子径が1〜100μmであることが好ましい。固体粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填剤の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、固体粒子を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。
本発明において、粘着テープ1が片面粘着タイプの粘着テープである場合、図1に示されるように、着剤層11の低粘着性の凸部12が設けられた面とは反対側の面に支持体10を有する。支持体10は、特に限定はされないが、具体的には、ポリエステル(例えば、ポエチレンテレフタレート(PET)等)、ナイロン、サラン(商品名)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、アイオノマー樹脂等の単独フィルム、金属箔、又はこれらから選ばれる2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルム等が挙げられる。また、支持体と粘着剤層との接着性(投錨性)を向上させるために、上記材質からなる無孔性フィルムと下記の多孔性フィルムとのラミネートフィルムを支持体とし、該支持体の多孔性フィルム側に粘着剤層を形成するようにしてもよい。
多孔性フィルムとしては、例えば、紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)不織布等)、上記のフィルム(例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ナイロン、サラン(商品名)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、アイオノマー樹脂等の単独フィルム、金属箔、又はこれらから選ばれる2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルム等)に機械的に穿孔処理したフィルム等が挙げられ、特に紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布等)が支持体の柔軟性の点から好ましい。多孔性フィルム、例えば、織布や不織布の場合、これらの目付量を5〜30g/mとすることが投錨力の向上の点で好ましい。
支持体におけるラミネートフィルムは、熱ラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、エクストルージョン(押し出し)ラミネート法、ホットメルトラミネート、コ・エクストルージョン(共押し出し)ラミネート法等の公知のラミネートフィルムの製造方法によって製造される。
支持体の厚みは、特に限定されないが、粘着テープとして一般的に用いられる、汎用性の観点から、好ましくは3〜200μm、より好ましくは3〜100μmである。
本発明において、粘着テープ1は粘着剤層11表面に低粘着性の凸部12を有しているため低摩擦性であり、本接着する前は、被着体3の面上でスムーズに移動させることができる。粘着シート1を被着体3の面上で自由に移動させるには、粘着テープの摩擦力は、好ましくは0.4N/cm以下である。摩擦力が0.4N/cmを超えると、スライドによる位置調整が困難となり、0.4N/cm以下であるとストレス無く位置調整を行うことができる。摩擦力は被着体の面に接する低粘着性の凸部12の摩擦力であり、該摩擦力の測定方法を、図11を参照して、説明する。
図11中の測定対象であるサンプル1Aは、PET基材10Aの一方の面10A’に凸部付き粘着剤層11の凸部12のない側の粘着面が接着したものである。2cm四方に切断したサンプル1Aを、凸部12が接するように被着体であるステンレス板(SUS304BA、厚み:400μm、縦100mm、横30mm、質量9.5g)3の上に静置する。次いで、2cm×10cmのPET基材(導き)15をサンプル1A上に両面粘着テープ(図示せず)を用いて固定する。サンプル1Aの全体に略均等に力が加わるようにPET基材10Aの他方の面10A”の上方に50gの重り4を載せ、重り4を固定した状態で、サンプル1Aを水平方向に300mm/分の速度で引っ張った際にかかる応力(N/cm2)を測定して摩擦力とする。重り4の重さを50gに設定するのは経験値によるものである。摩擦力は粘着テープ1の位置調整機能を評価するための指標であり、粘着テープ1を位置調整するに際し、ユーザは粘着テープ1を被着体3の表面(被着面)に所定の力で押し付けた状態で被着体3の表面上で移動させることになるが、ユーザが粘着テープ1の他方の面10A”の側を操作する際に、粘着テープ1から被着体3に加わる圧力を、ここでは約12.5g/cm程度であると仮定し、この値から逆算することにより50gという値を得た。但し、50gという重さは、サンプル1Aの重さがステンレス板3に実質的に影響を与えないことを前提としたものであり、例えば、PET基材以外の支持体を使用して、その重さがステンレス板3に実質的に影響を与えるような場合には、勿論、そのような重さを50gから差し引くものとする。
2.セパレーター
本発明のセパレーター付粘着テープは、粘着テープの粘着剤層表面を保護するセパレーターを有する。図8は粘着テープ1の粘着剤層11の表面にセパレーター2を重ね合わせた状態の要部概略断面図を示す。セパレーター2は、粘着剤層11と、粘着剤層11の表面に設けられた低粘着性の凸部12を覆う。
本発明において、セパレーター2は圧縮弾性率が1MPa以下のものが使用される。すなわち、セパレーター2は一定レベル以上のクッション性を備える。粘着テープ1の粘着剤層11の表面を覆うセパレーター2が圧縮弾性率が1MPa以下となるクッション性を有することで、セパレーター2が粘着テープ1とともに巻回されてロールにされて、保管され、巻き締りによる圧力が粘着テープ1に加わっても、図8に示されるように、セパレーター2によって粘着剤層11の表面に設けられた低粘着性の凸部12に対する応力集中が緩和されるため、凸部12が潰れたり、粘着剤層11に埋め込まれて、凸部12の突出高さが著しく減少してしまうのを防止することができる。セパレーター2の圧縮弾性率は、0.7MPa以下であることがより好ましく、特に好ましくは0.5MPa以下である。
本発明において、セパレーター2は、上記の圧縮弾性率を満たすとともに、200μm圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以下であり、かつ、該圧縮後の圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力が0.05MPa以下を示すものが好ましい。
前述のとおり、粘着テープの被着体への仮止めや、粘着テープを加圧して粘着テープを被着体に接着(本接着)する際の粘着テープの接着性を良好にする観点から、低粘着性の凸部12の突出高さは200μm以下であることが好ましい。セパレーター2の200μm圧縮時の圧縮応力及び200μm圧縮後の圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力を規定するのは、セパレーター2の圧縮量及び圧縮回復時の変形量を低粘着性の凸部12の突出高さの好適範囲の最大の突出高さ(200μm)に対応させたときの圧縮応力が十分に小さければ、低粘着性の凸部12の突出高さが200μm以下の場合には、粘着テープの巻き締りによる圧力によって低粘着性の凸部12に作用する応力が十分に緩和されて、凸部12の潰れや凸部12の粘着剤層11への埋入をより高いレべルで防止することができるためである。
セパレーター2の200μm圧縮時の圧縮応力はより好ましくは0.05MPa以下であり、特に好ましくは0.04MPa以下である。また、圧縮後の圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力はより好ましくは0.04MPa以下であり、特に好ましくは0.03MPa以下である。
セパレーター2は上記の圧縮弾性率および圧縮応力を有するものであれば、材質、形態等は特に限定はされないが、クッション性が得られやすい点から、多孔質フィルムを主体とするフィルムの少なくとも片面に離型処理を施したものが好ましい。ここで、「多孔質フィルムを主体とするフィルム」とは、多孔質フィルムの単体か、或いは、図9に示される、多孔質フィルム51と他のフィルム(層)52との積層フィルム50を意味する。図9中の符号53は離型層である。
多孔質フィルム51としては、(1)紙、織布、不織布(例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)不織布等)、(2)ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ナイロン、サラン(商品名)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、及びアイオノマーからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂を成分とする中実のフィルムに機械的に穿孔処理を施したフィルム、(3)ポリオレフィン発泡体(例えば、非架橋ポリエチレン発泡体、架橋ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)を成分とする発泡体等)、ポリエステル発泡体(例えば、ポリエチレンテレフタレート発泡体等)、ウレタン発泡体(例えば、軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム等)、又はゴム系発泡体等の発泡体フィルム等が挙げられる。中でも、十分なクッション性が得られやすい点から、発泡体フィルムが好ましく、ポリオレフィン発泡体フィルムがより好ましい。
多孔質フィルム51は、JIS K 7222(2005)に準拠して測定される見かけ密度が500kg/m以下であるのが好ましく、200kg/m以下であるのがより好ましい。多孔質フィルムがかかる見かけ密度を有するものであれば、(a)圧縮弾性率が1MPa以下のセパレーター、(b)圧縮弾性率が1MPa以下、200μm圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以下、200μm圧縮後の圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力が0.05MPa以下のセパレーターが得られやすい。また、多孔質フィルムの見かけ密度は、製造時にかかる張力での破れやちぎれ防ぐという観点から、20kg/m以上が好ましく、30kg/m以上がより好ましい。
多孔質フィルム51の厚さは、凸部へかかる応力を分散するためには、100μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましい。また、ロール状に巻き取った際の厚みの観点(すなわち、粘着シートの巻取り量を多くするという観点)から、2000μm以下が好ましく、1500μm以下がより好ましく、1100μm以下がさらに一層好ましい。
多孔質フィルムが発泡体フィルムである場合、微細孔の平均長径が10〜1000μmの範囲にあり、平均短径が10〜1000μmの範囲にあるものが好適に用いられる。発泡体フィルムの開孔率は、柔軟性の観点から50〜99%が好ましく、より好ましくは60〜98%である。ここで「開孔率」とは、発泡体フィルムの厚み方向と垂直な平面でのフィルムの面積中に占める微細孔の面積率を意味する。
他のフィルム(層)52としては、例えば、金属または樹脂製の中実フィルム、スキン層等が挙げられる。
「金属または樹脂製の中実フィルム」とは、機械的に穿孔処理を施していない金属製または樹脂製の無孔フィルムを意味する。なお、金属または樹脂をフィルム化する製造段階で不可避的に発生する微細孔を有していても、そのような金属製または樹脂製のフィルムは「中実フィルム」に包含される。樹脂製の中実フィルムとしては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等);ポリアミド(例えば、ナイロン等);ポリ塩化ビニル(PVC);ポリ酢酸ビニル(PVAc);ポリ塩化ビニリデン;ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、リアクターTPO、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等);ポリイミド(PI);フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等);セロハン及びアイオノマー樹脂(例えば、ポリエチレンユニット(E)とアクリル酸ユニット(A)を有するポリマーを金属(M)で架橋した樹脂等)等からなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂から形成されたフィルムが挙げられる。また、金属製の中実フィルムとしては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス伯等が挙げられる。
中実フィルムは、樹脂製の中実フィルムが好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリイミドからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂から形成されたフィルムであり、さらに一層好ましくは、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂から形成されたフィルムである。
金属または樹脂製の中実フィルムの厚みは、多孔質フィルムのクッション性の維持と、離型層の安定形成の観点から3〜80μmが好ましく、より好ましくは3〜50μmであり、さらに一層好ましくは10〜50μmである。
中実フィルムの多孔質フィルムへのラミネートは、熱プレス機による熱プレス加工、ロール・ツー・ロールでの連続熱ラミネート加工等の積層フィルムの常法の製法によって行われる。
「スキン層」とは、多孔質フィルム(発泡体フィルム)の表面に形成された、多孔質フィルム(発泡体フィルム)の開孔率よりも小さい開孔率の多孔質の薄層である。なお、「開孔率」とは、多孔質フィルムの厚み方向と垂直な平面での薄層の面積中に占める微細孔の面積率である。スキン層の開孔率は、多孔質フィルム(発泡体フィルム)のクッション性の維持と、離型層の安定形成の観点から10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。スキン層の厚さは多孔質フィルム(発泡体フィルム)のクッション性の維持と、離型層の安定形成の観点から3〜50μmが好ましく、3〜20μmがより好ましい。
スキン層は、通常、多孔質フィルム(発泡体フィルム)51の表層部分を溶融することによって形成される。例えば、フィルムの融点よりも5〜20℃程度低い温度に設定した加熱ロールを用い、加熱ロールの回転速度をフィルムの走行速度よりも低減させることによって、フィルムの加熱ロールの接触面側にスキン層を形成することができる。
一般に、フィルムや層の曲げ弾性率(R)と荷重、厚さには、
R=PL/(4bTx)[式中、P:破断荷重(N)、L:曲げスパン(m)、b:試験片幅(m)、T:厚さ(m)、x:たわみ]という関係式がある。
そして、一般的な樹脂では、曲げ弾性率(R)と引張弾性率(E)はほぼ等しい。
また、粘着テープ表面の凸部の保護が十分になされるかは凸部にかかる荷重が重要である。
そこで、破断荷重の値を凸部にかかる荷重とみなし、以下のパラメーターAにて、セパレーターの中実フィルムまたはスキン層の凸部の保護性能を示すこととした。
すなわち、セパレーターの中実フィルムまたはスキン層は、中実フィルムまたはスキン層の引張弾性率をE(N/m)、厚さをT(m)としたき、粘着テープ表面に形成した凸部にかかる応力を分散するという観点から、E×Tの値が500μN・m未満であるものが好ましく、E×Tの値が62μN・m未満であるものがより好ましく、E×Tの値が10μN・m未満であるものがさらに一層好ましい。「E×T」は中実フィルムまたはスキン層を曲げるために必要な力と関係し、セパレーター付粘着テープに外力が印加されたときに粘着テープの凸部に作用する中実フィルムまたはスキン層の力に相当する。
中実フィルムまたはスキン層の引張弾性率は、以下の方法で測定される。セパレーターから、表面層である中実フィルムまたはスキン層をカミソリ刃(例えば、GEM社製の片刃トリミングカミソリ)でスライスして取り出し、それを巾10mm、長さ50mmの短冊状にカットする。こうして得られた短冊状の試験片を、23℃の雰囲気下で、チャック間距離50mm、引張速度10mm/minの条件で、引張試験機(例えば、島津製作所製小型卓上試験機Extest)にて引張試験を行い、その時の応力−ひずみ曲線における引張開始直後の曲線の傾きから引張弾性率を算出する。
セパレーターの離型処理に使用される、剥離剤としては、特に限定されず、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤、シリコーン系剥離剤等が使用される。中でも、シリコーン系剥離剤が好ましく、硬化方法としては、紫外線照射や電子線照射等の硬化方法を用いるのが好ましい。さらに、シリコーン系剥離剤の中でもカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤が好ましい。カチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤は、カチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)とオニウム塩系光開始剤を含む混合物であるが、オニウム塩系光開始剤がホウ素系光開始剤からなるものが特に好ましく、このようなオニウム塩系光開始剤がホウ素系光開始剤からなるカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤を使用することで特に良好な剥離性(離型性)が得られる。カチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能基を有するものであって、直鎖状のもの、分岐鎖状のものまたはこれらの混合物であってもよい。ポリオルガノシロキサンに含有されるエポキシ官能基の種類は特に制限されないが、オニウム塩系光開始剤によって開環カチオン重合が進行するものであればよい。具体的には、γ−グリシジルオキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、β−(4−メチル−3,4エポキシシクロヘキシル)プロピル基等が例示できる。かかるカチオン重合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリオルガノシロキサン)は上市されており、市販品を使用することができる。例えば、東芝シリコーン社製のUV9315、UV9430、UV9300、TPR6500、TPR6501等、信越化学工業社製のX−62−7622、X−62−7629、X−62−7655、X−62−7660,X−62−7634A等、荒川化学社製のPoly200、Poly201、RCA200、RCA250、RCA251等を挙げることができる。
また、シリコーン系剥離剤には、熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤(熱硬化性付加型ポリシロキサン系剥離剤)を使用することもできる。熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤は、分子中に官能基としてアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン(アルケニル基含有シリコーン)及び分子中に官能基としてヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンを必須の構成成分とする。
上記分子中に官能基としてアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、中でも、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリオルガノシロキサンが好ましい。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。なお、上記アルケニル基は、通常、主鎖又は骨格を形成しているポリオルガノシロキサンのケイ素原子(例えば、末端のケイ素原子や、主鎖内部のケイ素原子等)に結合している。
また、上記主鎖又は骨格を形成しているポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサン(ポリジアルキルシロキサン)や、ポリアルキルアリールシロキサンの他、ケイ素原子含有モノマー成分が複数種用いられている共重合体[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−ジエチルシロキサン)等]等が挙げられる。中でも、ポリジメチルシロキサンが好適である。即ち、分子中に官能基としてアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、具体的には、ビニル基、ヘキセニル基等を官能基として有するポリジメチルシロキサンが好ましく例示される。
上記分子中に官能基としてヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサン架橋剤は、分子中にケイ素原子に結合している水素原子(特に、Si−H結合を有するケイ素原子)を有しているポリオルガノシロキサンであり、特に分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリオルガノシロキサンが好ましい。上記Si−H結合を有するケイ素原子としては、主鎖中のケイ素原子、側鎖中のケイ素原子のいずれであってもよく、すなわち、主鎖の構成単位として含まれていてもよく、あるいは、側鎖の構成単位として含まれていてもよい。なお、Si−H結合のケイ素原子の数は、2個以上であれば特に制限されない。上記分子中に官能基としてヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサン架橋剤としては、具体的には、ポリメチルハイドロジェンシロキサンやポリ(ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン)等が好適である。
熱硬化型シリコーン系離型処理剤には、前記熱硬化型シリコーン系樹脂とともに、室温における保存安定性を付与するために反応抑制剤(反応遅延剤)が用いられていてもよい。該反応抑制剤としては、例えば、剥離剤として熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤が用いられている場合、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等が挙げられる。
また、熱硬化型シリコーン系離型処理剤には、上記成分の他にも必要に応じて、剥離コントロール剤等が用いられていてもよい。具体的には、MQレジン等の剥離コントロール剤、アルケニル基又はヒドロシリル基を有しないポリオルガノシロキサン(トリメチルシロキシ基末端封鎖ポリジメチルシロキサン等)等が添加されていてもよい。これらの成分の離型処理剤中の含有量は、特に限定されないが、固形分全体に対して、1〜30重量%が好ましい。
熱硬化型シリコーン系離型処理剤は通常硬化触媒を含む。硬化触媒は熱硬化性付加型シリコーン用の触媒として一般的に用いられる白金系触媒を用いることが好ましい。中でも、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体から選ばれた少なくとも1つの白金系触媒が好ましい。硬化触媒はそのまま、又は溶剤に溶解又は分散した形態で使用できる。
硬化触媒の配合量(固形分)は、熱硬化型シリコーン系樹脂100重量部(樹脂分)に対して、0.05〜0.55重量部が好ましく、0.06〜0.50重量部がさらに好ましい。前記硬化触媒の配合量が0.05重量部未満であると硬化速度が遅くなり、0.55重量部を超えるとポットライフが著しく短くなる。
本発明において、離型処理層を設ける際に用いられる離型処理剤を含む塗工液には、塗工性を向上させるため、通常、有機溶剤が使用される。該有機溶剤としては、特に制限されず、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が使用できる。これらの有機溶剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合使用してもよい。
本発明におけるセパレーターにおいて、離型処理して形成される離型層53の厚さは、優れた剥離性(離型性)および厚みムラの抑制(離型層の安定形成)の観点から0.001〜10μmが好ましく、より好ましくは0.03〜5μmであり、特に好ましくは0.1〜1μmである。
本発明のセパレーター付き粘着テープは、例えば、以下のようにして、製造される。
ベースとなる粘着剤層表面に凸部を直接形成するか、または、剥離性基材にパターン形成した凸部を粘着剤表面に転写することで粘着剤面に凸部パターンを形成し、次にセパレーターを貼り合わせ、ロールにして、保管される。
本発明のセパレーター付き粘着テープでは、粘着テープのロールの巻き締りにより、粘着テープに圧力が加わっても、セパレータ2の圧縮弾性率が1MPa以下であることから、低粘着性の凸部の潰れや低粘着性の凸部の粘着剤層への埋没が生じるのを十分に抑制することができる。このため、巻き戻した粘着テープからセパレーターを剥がして粘着テープを被着体に貼付する際、低粘着性の凸部の存在によって粘着テープを被着体との間に高い接着力が生じることなくスムーズに移動させることができ、その結果、被着体の意図した位置に粘着テープを作業性良く、接着することができる。
以上は、支持体を有する片面接着型の粘着テープ1の粘着剤層11の支持体とは反対側の面にセパレーター2が重ね合わされたセパレーター付き粘着テープについて説明したが、粘着剤層の両面に低粘着性の凸部が形成された両面接着型の粘着テープの場合、粘着剤層の両面に圧縮弾性率が1MPa以下であるセパレーター2を重ね合わせることで、粘着テープ1の両面において、低粘着性の凸部の潰れや低粘着性の凸部の粘着剤層への埋没が生じるのを十分に抑制することができる。
また、本発明におけるセパレーター付き粘着テープにおけるセパレーターは、セパレーターが両面離型処理されたセパレーター(所謂「シングルセパレーター」)であってもよい。すなわち、セパレーターが、セパレーターの主体となるフィルム(多孔質フィルム等)の粘着テープの粘着剤層(凸部)に対向する側の面だけでなく反対側の面にも中実フィルムまたはスキン層の積層と離型処理が施された態様のセパレーターであるか、或いは、該反対側の面に直接離型処理が施された態様のセパレーターであってもよい。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより詳細に説明する。
[実施例1〜22、比較例1、2]
以下の粘着テープおよびセパレーターを使用した。
1.粘着テープA
日東電工社製両面粘着テープNo.515(テープ幅:5mm)に低粘着性の凸部を形成したもの。
・粘着剤層(粘着剤:アクリル系粘着剤、弾性率:1.56MPa、層厚:250μm)
・低粘着性の凸部(山豊テグス社製VERSATILE DESIGN(直径150μmの釣り糸)をスペース部の幅を4mmにしてストライプ状に配列し、5kgローラー(巾60mm)を一往復することで圧着固定したストライプ状パターン(突出高さ:127μm、弾性率:2024MPa))。
・粘着剤層の表面における低粘着性の凸部の占有率:3.6%
2.セパレーター
(1)セパレーターA
非架橋ポリエチレン発泡体フィルム(酒井化学社製「エサノン」、フォーム層厚さ:0.5mm、見かけ密度:34kg/cm)に、片面をカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤(信越化学社製UV硬化型シリコーンX−62−7622)で離型処理(離型層厚さ:1μm)した高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の離型処理面とは反対側の面をラミネートした積層フィルム。
(2)セパレーターB
非架橋ポリエチレン発泡体フィルム(酒井化学社製「エサノン」、フォーム層厚さ:1.0mm、見かけ密度:34kg/cm)に、片面をカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤(信越化学社製UV硬化型シリコーンX−62−7622)で離型処理(離型層厚さ:1μm)した高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の離型処理面とは反対側の面をラミネートした積層フィルム。
(3)セパレーターC
ポリプロピレン発泡体フィルム(日東電工社製SFC100、厚さ:0.5mm、見かけ密度:30kg/m)の片面をカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤(信越化学社製UV硬化型シリコーンX−62−7622)で離型処理(離型層厚さ:1μm)した。
(4)セパレーターD
架橋ポリエチレン発泡体フィルム(積水化学社製ソフトロン#1001、厚さ:1mm、見かけ密度:96kg/m)の片面をカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤(信越化学社製UV硬化型シリコーンX−62−7622)で離型処理(離型層厚さ:1μm)した。
(5)セパレーターE
EPTゴム(入間川ゴム社製、厚さ:3.0mm)の片面をカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤(信越化学社製UV硬化型シリコーンX−62−7622)で離型処理(離型層厚さ:1μm)した。
(6)セパレーターF
ポリエステルフィルム(東レ社製ルミラーs10、厚さ:38μm)の片面をカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系剥離剤(信越化学社製UV硬化型シリコーンX−62−7622)で離型処理(離型層厚さ:1μm)した。
(7)セパレーターG
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、PETフィルム(厚さ(T):25μm、引張弾性率(E):4000MPa、E×T=62.5μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(8)セパレーターH
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりにPETフィルム(厚さ(T):25μm、引張弾性率(E):4000MPa、E×T=62.5μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
(9)セパレーターI
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、PETフィルム(厚さ(T):50μm、引張弾性率(E):4000MPa、E×T=500μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(10)セパレーターJ
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、PETフィルム(厚さ(T):50μm、引張弾性率(E):4000MPa、E×T=500μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
(11)セパレーターK
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):20μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.32μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(12)セパレーターL
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):20μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.32μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
(13)セパレーターM
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):30μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=1.08μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(14)セパレーターN
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):30μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=1.08μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
(15)セパレーターO
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、低密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):20μm、引張弾性率(E):20MPa、E×T=0.16μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(16)セパレーターP
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、低密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):20μm、引張弾性率(E):20MPa、E×T=0.16μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
(17)セパレーターQ
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、低密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):30μm、引張弾性率(E):20MPa、E×T=0.54μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(18)セパレーターR
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、低密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):30μm、引張弾性率(E):20MPa、E×T=0.54μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
(19)セパレーターS
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、PETフィルム(厚さ(T):75μm、引張弾性率(E):4000MPa、E×T=1687.5μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(20)セパレーターT
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、PETフィルム(厚さ(T):75μm、引張弾性率(E):4000MPa、E×T=1687.5μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
(21)セパレーターU
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):50μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=5.0μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(22)セパレーターV
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):50μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=5.0N・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
(23)セパレーターW
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、低密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):50μm、引張弾性率(E):20MPa、E×T=2.5μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターAと同様にして作製された積層フィルム。
(24)セパレーターX
高密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):10μm、引張弾性率(E):40MPa、E×T=0.04μN・m、中実フィルム)の代わりに、低密度ポリエチレンフィルム(厚さ(T):50μm、引張弾性率(E):20MPa、E×T=2.5μN・m、中実フィルム)を使用した以外はセパレーターBと同様にして作製された積層フィルム。
なお、セパレーターA、B、G〜Xにおける中実フィルムの引張弾性率は前述の試験方法で測定した。
3.セパレーターの圧縮弾性率、200μm圧縮時の圧縮応力、及び圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力(200μm回復時の圧縮応力)の測定
オートグラフ(島津製作所製小型卓上試験機EXtest)を用いた圧縮試験を実施した。
台(SUS製)上にセパレーター(4cm×4cm)を離型処理した面とは反対側の面を台に向けて載置し、円筒状の圧子(SUS製)をセパレーター(4cm×4cm)の中心部に対し、離型処理面に対する垂直方向から押し付けて圧縮応力を測定し(温度:23℃、圧子面積:1cm、圧縮速度:1mm/min)、目標応力0.1MPaに到達した後、引張り方向に速度1mm/minで円筒状の圧子を移動することで圧縮回復させた。
4.凸部潰れの評価
粘着テープAの粘着剤層にセパレーターの離型層側を乗せ、セパレーターの背面に圧力0.1MPaを5分間加え、圧力を加える前後の凸部の高さをレーザー顕微鏡(オリンパス社製OLS4000)で測定した。
5.摩擦力の評価
前述の方法に従って、粘着テープAの粘着剤層表面の凸部の摩擦力を測定した。
実施例および比較例の物性・特性の測定結果を表1に示す。
表1中の評価Aにおいて、「○」は良好(摩擦力が0.4N/cm以下)、「×」は不可(摩擦力が0.4N/cm超)。
表1中の評価Bにおいて、「◎」は最良(セパレーターの圧縮弾性率が1MPa以下、かつ、凸部高さ残存率が60%以上)、「○」は良好(セパレーターの圧縮弾性率が1MPa以下、かつ、凸部高さ残存率が40%以上、60%未満)、「△」は可(セパレーターの圧縮弾性率が1MPa以下、かつ、凸部高さ残存率が40%未満)
1 粘着テープ
2 セパレーター
3 被着体
10 支持体
11 粘着剤層
12 低粘着性の凸部
51 多孔質フィルム(発泡体フィルム)
52 他のフィルム(層)
53 離型層
本出願は日本で出願された特願2015−203009を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含される。

Claims (16)

  1. 粘着剤層表面に低粘着性の凸部が部分的に設けられた粘着テープと、該粘着テープの粘着剤層表面を保護するセパレーターとを有し、該セパレーターの圧縮弾性率が1MPa以下であることを特徴とする、セパレーター付き粘着テープ。
  2. セパレーターの200μm圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以下であり、かつ、該圧縮後の圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力が0.05MPa以下である、請求項1記載のセパレーター付き粘着テープ。
  3. セパレーターが、(a)多孔質フィルムの少なくとも片面に(b)中実フィルムまたはスキン層が積層され、該(b)中実フィルムまたはスキン層の表面に(c)離型処理が施されたものである、請求項1又は2記載のセパレーター付き粘着テープ。
  4. (a)多孔質フィルムが、ポリオレフィン発泡体、ポリエステル発泡体、ポリウレタン発泡体又はゴム系発泡体である、請求項3記載のセパレーター付き粘着テープ。
  5. (b)中実フィルムが樹脂製の中実フィルムであり、該樹脂製の中実フィルムまたはスキン層の引張弾性率をE(N/m)、厚さをT(m)としたき、E×Tの値が500μN・m未満である、請求項4記載のセパレーター付き粘着テープ。
  6. 中実フィルムが、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂を含む中実フィルムである、請求項3〜5のいずれか1項記載のセパレーター付き粘着テープ。
  7. 粘着テープの粘着剤層表面に部分的に設けられた低粘着性の凸部が、粘着剤層表面からの突出高さが200μm以下のストライプ状、格子状またはドット状の低粘着性パターンである、請求項1〜6のいずれか1項記載のセパレーター付き粘着テープ。
  8. 粘着剤層の弾性率が0.01〜10MPaである、請求項1〜7のいずれか1項記載のセパレーター付き粘着テープ。
  9. 低粘着性の凸部の弾性率が0.1MPa以上である、請求項1〜8のいずれか1項記載のセパレーター付き粘着テープ。
  10. 低粘着性の凸部の弾性率が粘着剤層の弾性率より高い、請求項1〜9のいずれか1項記載のセパレーター付き粘着テープ。
  11. 粘着剤層表面に低粘着性の凸部が部分的に設けられた粘着テープの該粘着剤層表面を保護するセパレーターであって、圧縮弾性率が1MPa以下であることを特徴とする、セパレーター。
  12. 200μm圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以下であり、かつ、該圧縮後の圧縮回復時の変形量200μmにおける圧縮応力が0.05MPa以下である、請求項11記載のセパレーター。
  13. (a)多孔質フィルムの少なくとも片面に(b)中実フィルムまたはスキン層が積層され、該(b)中実フィルムまたはスキン層の表面に(c)離型処理が施されたものである、請求項11又は12記載のセパレーター。
  14. (a)多孔質フィルムが、ポリオレフィン発泡体、ポリエステル発泡体、ポリウレタン発泡体又はゴム系発泡体である、請求項13記載のセパレーター。
  15. (b)中実フィルムが樹脂製の中実フィルムであり、該樹脂製の中実フィルムまたはスキン層の引張弾性率をE(N/m)、厚さをT(m)としたき、E×Tの値が500μN・m未満である、請求項14記載のセパレーター。
  16. 中実フィルムが、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂を含む中実フィルムである、請求項13〜15のいずれか1項記載のセパレーター。
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