JP2010070740A - シート材料、転倒すべり防止シート及び軽量物固定用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中間層となる支持体(A)1の表面に、SP剪断力が10N/25mm2以上、発泡倍率が2〜8倍、厚さが0.3〜8mmの発泡弾性体(B)2を積層し、一方、支持体(A)1の裏面には、ゲル分率が15〜90%のアクリル系粘着剤からなる粘着層(C)3を積層したことを特徴とするシート材料、転倒すべり防止シートおよび軽量物固定用シート。
【選択図】図1
Description
このような粘着発泡体シート等は、使用の際に離型紙を剥がさなければならず、貼り付け作業の能率が悪いうえに、剥がした離型紙は廃棄するほかなく、資源の無駄とコスト高を招くものであった。
しかしながら、上記の発泡体シートにおいては、シート等を貼り付け施工中または一度貼り付けたのちに、修正もしくは貼り付け場所の変更をしたい場合、その発泡体シート等を一旦剥がして再度貼り付ける場合、発泡体シート等は、発泡体の強度が粘着強度より弱いために、発泡体シート等を剥がすときに発泡体自身が表層破壊されるため、再使用することができないという問題があった。
しかしながら、いずれの発泡体を用いても、被着体によく接着し、且つ容易に剥離させることができ、被着体に糊が残留するという問題を十分解決するに至っていない。
さらに、粘着層を有するテープの場合、剥離の際に、被着体をむしったり、糊残りが発生するという問題があった。
これらを解決する手段として、フィルム基材の第一の面に、弱粘着力の粘着層を有し、第2の面に、第一の面より粘着力の強い粘着層を有する両面テープが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、提案された両面テープは、繰り返し使用すると、粘着力が低下し固定力が弱くなり、また、粘着層が剥離して貼り付けたものに対して、糊が残るという問題があった。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記支持体(A)は、クロス(織物)、編物、布または不織布に、ポリオレフィンがラミネートされている基材フィルムであることを特徴とするシート材料が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記支持体(A)は、クロス(織物)に、ポリオレフィンがラミネートされている基材フィルムであり、手切れ性を有することを特徴とするシート材料が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記発泡弾性体(B)は、アクリル樹脂エマルジョン組成物からなり、吸着力を有することを特徴とするシート材料が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記粘着層(C)は、支持体(A)に対する粘着層(C)の占有塗工面積率が10〜50%になるように規則的に支持体(A)に部分塗工されていることを特徴とするシート材料が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明に係るシート材料を用いることを特徴とする軽量物固定用シートが提供される。
また、本発明のシート材料を用いた軽量物固定用シートは、発泡弾性体(B)の表面の細かな凹凸形状が吸着効果を生み出し、貼り付くので、平滑な表面のものであれば、材質を問わず固定できる。また、一旦貼り付けた後、表層破壊を起こすことなく簡単に剥がして張り替えが可能となる。特に、支持体に対する粘着層の占有塗工面積が10〜50%になるように規則的に部分塗工されている構成とすれば、微粘着となって、大面積のシートとした場合でも、簡単に剥がして張り替えが可能となる。さらに、被着体との接着面が発泡弾性体なので、被着体(軽量固定物)に対する糊残りや変色といった汚染性がないという、顕著な効果を奏する。
なお、本発明においては、「シート」は、「テープ」状物を包含するものとする。
本発明のシート材料の支持体(A)としては、特に制限されないが、例えば、クロス(織物)、編物、布、不織布等に、ポリオレフィンがラミネートされている基材フィルムが挙げられ、好ましくは、手切れ性の観点から、クロス(織物)に、ポリオレフィンがラミネートされている基材フィルムである。
また、その材料は、特に制限されないが、合成樹脂製のクロス、編物、布、不織布が好ましい。適度な腰の強さと伸縮性を持つため、被着体の凹凸により追従しやすいためである。
合成樹脂としては、特に制限されず、例えば、オレフィン系、ポリエステル系、またはナイロン系などの基材が挙げられる。これらの中でも、手切れ性に優れる材料が好ましい。
本発明のシート材料に用いられる発泡弾性体(B)は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂またはエチレン酢酸ビニル樹脂の少なくとも一種を含む樹脂エマルジョン組成物からなり、好ましくは、アクリル樹脂エマルジョン組成物からなる。すなわち、アクリル系発泡体が用いられる。
なお、天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等は、二重結合を有しているため、これらのゴムからなる発泡体は、耐候性、耐水性が十分ではない場合がある。一方、アクリル系重合体は、二重結合を有していないため、耐候性にも優れる。
したがって、この製造方法によれば、通気度の低いシートに接する側がセル径が大きい側となり、一表面から他表面へとセル径が厚さ方向に小さくすることができる。この「小さくなる」とは、発泡体シートの厚さ方向の任意の断面における平均開口径が一表面から他表面へと漸次小さくなっていることを意味する。
なお、この通気度は、JIS L1096に従いフラジール型試験機を用いて測定することができる。
アクリル系重合体(アクリル樹脂)を含有するエマルジョンと同様に、ウレタン樹脂またはエチレン酢酸ビニル樹脂を含むエマルジョンを用いることができる。
なお、SP剪断力は、JIS Z0237(1991)の「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠して、測定する値である。
なお、発泡倍率は、発泡体の体積を、使用したエマルジョンに配合した原料すべての組成物の体積で除した値である。
本発明のシート材料は、上記支持体(A)上に、発泡弾性体(B)が積層され、支持体の発泡弾性体が積層された反対側面に、粘着剤を用いた粘着層(C)が積層される。
本発明のシート材料の粘着層(C)に用いられる粘着剤としては、好ましくは、アクリル系粘着剤を用いる。
さらに、粘着層(C)は、支持体(A)の裏面に粘着層(C)の占有塗工面積が10〜50%になるように規則的に部分塗工(即ち、パターンコーティング)されていることが、微粘着の点から好ましい。ここで、「占有塗工面積が10〜50%になるように規則的に部分塗工されている」とは、粘着層(C)が支持体(A)の裏面に、条線状、水玉状、タイル状、ストライプ状などの規則的な形状(図2参照。)で均一に塗工され、粘着層の全面積で支持体上の粘着剤が塗工されている部分が10〜50%を占有していることを意味する。上記占有塗工率が10〜50%であると、接着力が微粘着化し、大面積のシートとした場合でも、軽量物固定用シートなどに用いた場合に、剥離し易く、再使用でき好適である。そして、上記占有塗工率が10〜50%である場合、粘着層(C)の厚さは5〜15μmが好ましい。
本発明のシート材料は、粘着剤を使用せずとも、発泡弾性体表面の細かな凹凸形状部が吸着効果を生み出し、その結果、粘着剤に比べ剥離が容易で、糊残りの問題も起こらない。さらに、繰り返し使用が可能であり、剪断粘着力も初期とかわらないという特徴を有する。
そのため、本発明のシート材料は、転倒すべり防止シートや軽量物固定用シートとして、好適に用いることができる。
本発明のシート材料や転倒すべり防止シート、軽量物固定用シート等を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、発泡体シートと粘着剤の両面テープを貼り合わせる方法等がある。
すなわち、発泡体シートを作成する。一方、粘着剤組成物を、離型紙上に塗工・乾燥し、得られた離型紙上の粘着剤組成物層に、支持体層を重ねてロールで圧着し、さらに、支持体層のもう片面についても、同様の操作を施し、中間に支持体層を有する両面テープを製造する。上記発泡体シートと上記両面テープを重ね貼り合わせて転倒すべり防止シートや軽量物固定用シートを作成する方法である。
本発明に係る軽量物固定用シートの使用方法としては、図3に示すように、例えば、先ず、本発明のシート材料の粘着層(C)面を壁に貼付ける。次に、平滑な紙およびプラスチックシートや、平滑な面をもつ軽量物、例えば、カードケースなどを、それらの平滑な面やシートをシート材料の発泡弾性体(B)の面に、貼付けて、紙およびプラスチックシートなどの軽量物を固定することができる。
なお、実施例で用いた物性測定法等は、以下の通りである。
JIS Z0237(1991)に準じて下記の条件で測定した。
25mm幅の短冊状に切断したシート(テープ)サンプルを、25mm×25mmの大きさになるように発泡体の面をSP板(ステンレス板)に23℃で貼り合わせ、3kgの重りを1分間のせて圧着し、300mm/分の引張速度で引っ張り、その最大強度をSP剪断力とした。
粘着剤を、片面をシリコーン系剥離剤により剥離処理したポリエチレンテレフタレート剥離シート(リンテック社製、SP−PET3811)の剥離処理面に乾燥後の塗布厚が20μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱し、粘着剤層を形成した。その粘着剤層と、別のポリエチレンテレフタレート剥離シート(リンテック社製、SP−PET3801)の剥離処理面とを貼り合わせて、粘着シートを得た。得られた粘着シートを23℃、湿度50%の雰囲気下で1週間放置した後、その粘着シートから約0.1gの粘着剤を取り出してSUS製金網(#400)に包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率(%)とした。
シート(テープ)サンプルをタンス(幅80cm×奥行き57cm×高さ133cm、重量30kgに衣類等で全重量が100kgになるようにした)の底面四隅に貼り付け、フローリング材を敷いた振動テーブル上に設置し、試験を実施し、対象物に貼り付けているサンプルとフローリング材との浮き上がり及びはずれの有無を観察し、次の基準で評価した。なお、試験装置は、IMV株式会社製VS2000−10、試験条件は加速度0.5G、周波数3Hz、加震時間60秒とした。
○:浮き上がりあり
×:はずれあり
シート(テープ)のアクリル発泡体面をフローリング材に貼り、1kg/cm2の荷重をかけ30分後に引き剥がし、次の基準で評価した。
○:引き剥がしが可能なもの
×:発泡体が伸びて引き剥がしづらいもの
シート(テープ)が手で切れるかどうかを確認し、次の基準で評価した。
○:手切れ可能なもの
×:切れないもの、伸びてしまったもの
転倒すべり防止シートでは、シート(テープ)の粘着剤面を被着体であるフローリング材やPVC面に貼り付け、1kg/cm2の荷重をかけ、40℃×1週間の加熱経時を行った。加熱経時後に常温23℃×1時間、サンプルを冷ました後、シート(テープ)剥離を行い、次の基準で評価した。
無し:粘着剤が被着体に残らなかったもの
有り:粘着剤が被着体に残ったもの
無し:粘着剤が被着体に残らなかったもの
有り:粘着剤が被着体に残ったもの
シート(テープ)サンプルをタンス(幅80cm×奥行き57cm×高さ133cm、重量30kgに衣類等で全重量が100kgになるようにした)の底面四隅に貼り付け、フローリング材を敷いた振動テーブル上に設置したとき、タンスの底面とフローリング材の間のすき間を計測し、次の基準で評価した。
○:すき間が1mm以内で目立たないもの
×:すき間が1mmを超えて目立つもの
塗装鋼板の一面に、20mm*15mmにカットしたサンプルを貼付し、500gローラーで圧着した。さらに、サンプルの他面に0.5mm厚のPETシートを貼付、500gローラーで圧着した。その後、PETシートの先端に荷重をかけ、24時間後の落下の有無を評価(図4参照。)し、次の基準で評価した。
○:落下しないもの
×:落下したもの
(1)アクリル発泡体の作成
基本配合及び発泡体シートの作製は、Tgが−8℃のアクリル系重合体を60重量%含むアクリル系エマルジョン100重量部に、発泡助剤(前記の商品名「FR−25」)2.0重量部、架橋剤(前記の商品名「キャタリスト376」と「デコナート614P」との併用)5.0重量部、整泡剤(前記の商品名「SNフォーム」)3.0重量部、及び分散剤(前記の商品名「リポランPB−800」)5.0重量部を配合し、発泡体の原料を用意した。その後、この発泡体の原料をオークスミキサに100g/分の速度で供給し、同時に空気を所定の速度で圧入し、気液混合物を調製した。オークスミキサの攪拌翼の回転数500rpmとした。
この気液混合物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)製シート(厚さ100μm、通気度0.32cm3/cm2・秒)上に供給して塗布し、ロールコーターにより厚さを2mmに調整した。次いで、140℃に調温されたオーブンによって20分加熱し、乾燥させて発泡倍率5倍の発泡体シートを作製した。
(2)両面テープの作成
粘着剤組成物として、アクリル系粘着剤(綜研化学社製SK1717;固形分45±1%;強粘着、耐応力、オレフィン接着力に優れるタイプ)を、離型紙上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工し、その後110℃の温度で5分間乾燥した。次いで、この離型紙上の粘着剤組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に重ね、ロールで圧着した。この操作をPETフィルムのもう片面についても施し、PETフィルムを支持体とする両面テープを得た。
(3)転倒すべり防止シートの作成
得られたアクリル発泡体と両面テープを重ね貼り合わせることで、転倒すべり防止シートを作成した。
(4)評価
得られた転倒すべり防止シートの評価を行った。結果を表1に示す。
支持体として、ポリエチレンテレフタレート繊維で織られたクロス(PETクロス)を用いる以外は実施例1と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表1に示す。
支持体として、スフ布を用いる以外は実施例1と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表1に示す。
支持体として、不織布を用いる以外は実施例1と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表1に示す。
アクリル発泡体として、0.5mm厚の発泡体を用いる以外は実施例2と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表1に示す。
アクリル発泡体として、3.3mm厚の発泡体を用いる以外は実施例2と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表1に示す。
粘着剤として、綜研化学社製SK1340(固形分45±1%、塩ビ基材向け、再剥離タイプ)を用いる以外は実施例2と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表1に示す。
支持体を使用しない以外は実施例1と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表2に示す。
粘着剤として、添加する硬化剤の量を低減してゲル分率が10重量%になるように調整したアクリル系粘着剤を用いる以外は実施例2と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表2に示す。
アクリル発泡体として、0.1mm厚で、発泡倍率が約1倍の発泡体を用いる以外は実施例2と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表2に示す。
アクリル発泡体として、8mm厚で、発泡倍率が約10倍の発泡体を用いる以外は実施例2と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表2に示す。
アクリル発泡体として、8mm厚で、発泡倍率が約1倍の発泡体を用いる以外は実施例2と同様にして、転倒すべり防止シートを得た。評価結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、得られたアクリル発泡体と両面テープを重ね貼り合わせることで、軽量物固定用シートを得た。評価結果を表3、4に示す。
市販の3M社製の掲示用テープを用いて、軽量物固定用シートとした。糊残り性の評価結果を表3に、保持力の評価結果を表4に示す。
2 発泡弾性体(B)
3 粘着層(C)
Claims (9)
- 中間層となる支持体(A)の表面に、SP剪断力が10N/25mm2以上、発泡倍率が2〜8倍、厚さが0.3〜8mmの発泡弾性体(B)を積層し、一方、支持体(A)の裏面には、ゲル分率が15〜90%のアクリル系粘着剤からなる粘着層(C)を積層したことを特徴とするシート材料。
- 前記支持体(A)は、クロス(織物)、編物、布または不織布に、ポリオレフィンがラミネートされている基材フィルムであることを特徴とする請求項1に記載のシート材料。
- 前記支持体(A)は、クロス(織物)に、ポリオレフィンがラミネートされている基材フィルムであり、手切れ性を有することを特徴とする請求項2に記載のシート材料。
- 前記発泡弾性体(B)は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂またはエチレン酢酸ビニル樹脂の少なくとも一種を含む樹脂エマルジョン組成物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート材料。
- 前記発泡弾性体(B)は、アクリル樹脂エマルジョン組成物からなり、吸着力を有することを特徴とする請求項4に記載のシート材料。
- 前記粘着層(C)は、塩化ビニル樹脂に対しても糊残りしにくいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシート材料。
- 前記粘着層(C)は、支持体(A)に対する粘着層(C)の占有塗工面積率が10〜50%になるように規則的に支持体(A)に部分塗工されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシート材料。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のシート材料を用いることを特徴とする転倒すべり防止シート。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のシート材料を用いることを特徴とする軽量物固定用シート。
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