JP2017067577A - タイヤの摩耗評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部に生成される最大段差量を的確に捉え、ヒールアンドトゥ摩耗性能を精度良く評価できるタイヤの摩耗評価方法を提供する。
【解決手段】タイヤの摩耗評価方法は、トレッド部において第1計測点及び第2計測点を設定することと、計測における基準点を設定することと、異なる少なくとも3段階のトレッド部の摩耗進行度合いのそれぞれで、タイヤ径方向における第1計測点と基準点との距離を計測することと、第2計測点と基準点との距離を計測することと、第1計測点と基準点との距離と第2計測点と基準点との距離との相違に基づいて、摩耗進行度合いのそれぞれにおける第1計測点と第2計測点との段差量を算出することと、算出された段差量を示す段差量データに基づいて摩耗履歴における最大段差量を推定することと、推定された最大段差量に基づいてタイヤのヒールアンドトゥ摩耗性能を評価することと、を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、タイヤの摩耗評価方法に関する。
タイヤの偏摩耗の形態として、タイヤのトレッド部の陸部がタイヤ周方向において不均一に摩耗するヒールアンドトゥ摩耗が知られている。トレッド部においてヒールアンドトゥ摩耗が発生すると、タイヤ周方向においてトレッド部に段差が生成される。トレッド部に段差が生成されると、タイヤの走行において異音又は振動のような不具合事象が発生する。トレッド部に生成される段差量が大きくなるほど不具合事象は大きくなる。
タイヤの偏摩耗の状態を測定する方法として、特許文献1に開示されているような段差摩耗量測定器を使用する方法、特許文献2に開示されているような偏摩耗量測定装置を使用する方法、及び特許文献3に開示されているような装置を使用する方法が知られている。また、耐偏摩耗性能の評価方法として、特許文献4に開示されているようなヒールアンドトゥ摩耗を評価する方法が知られている。ヒールアンドトゥ摩耗による不具合事象を評価することにより、異なる仕様のタイヤの優劣を判断することができる。
実開昭61−139404号公報 特許第5552925号公報 特許第3274729号公報 特開2013−221847号公報
ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部に形成される段差量は、ヒールアンドトゥ摩耗による段差の生成、成長、及び消滅が関連し複雑なプロセスで変化する。すなわち、トレッド部における摩耗進行度合い(摩耗量、残溝量、若しくは摩耗量又は残溝量と相関する走行距離)はシンプルなプロセスで変化するのに対し、ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部に形成される段差量は、摩耗の進行により複雑なプロセスで変化する。ヒールアンドトゥ摩耗によってトレッド部に段差が形成されることにより、騒音又は振動が誘発され、段差量が大きいほど騒音又は振動のような不具合事象のレベルが大きくなる。そのため、摩耗の進行とともに複雑に変化する段差量の推移において、最大段差量を的確に捉えることは、ヒールアンドトゥ摩耗性能評価において重要である。
本発明の態様は、ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部に生成される最大段差量を的確に捉え、ヒールアンドトゥ摩耗性能を精度良く評価できるタイヤの摩耗評価方法を提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、タイヤのトレッド部においてタイヤ周方向に少なくとも第1計測点及び第2計測点を設定することと、計測における基準点を設定することと、異なる少なくとも3段階の前記トレッド部の摩耗進行度合いのそれぞれで、タイヤ径方向における前記第1計測点と前記基準点との距離を計測することと、前記摩耗進行度合いのそれぞれで、前記タイヤ径方向における前記第2計測点と前記基準点との距離を計測することと、前記第1計測点と前記基準点との距離と前記第2計測点と前記基準点との距離との相違に基づいて、前記摩耗進行度合いのそれぞれにおける前記第1計測点と前記第2計測点との段差量を算出することと、算出された前記段差量を示す段差量データに基づいて摩耗履歴における最大段差量を推定することと、推定された前記最大段差量に基づいて前記タイヤのヒールアンドトゥ摩耗性能を評価することと、を含むタイヤの摩耗評価方法が提供される。
本発明の態様によれば、トレッド部においてタイヤ周方向に少なくとも第1計測点及び第2計測点を設定し、基準点と第1計測点との距離及び基準点と第2計測点との距離を計測して、第1計測点と第2計測点との段差量を算出するので、ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部に生成される段差量を知ることができる。第1計測点と第2計測点との段差量の算出は、異なる少なくとも3段階の摩耗進行度合いのそれぞれで実施される。異なる少なくとも3段階の摩耗進行度合いの段差量を示す段差量データが取得されることにより、その段差量データに基づいて、摩耗進行度合いに応じた段差量の変化の傾向を知ることができる。そのため、段差量の最大値を示す最大段差量を精度良く且つ簡便に推定することができる。ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部に生成される最大段差量を的確に捉えることができるので、ヒールアンドトゥ摩耗性能を精度良く評価することができる。
本発明の態様において、前記トレッド部は前記タイヤ周方向に設けられた複数の溝パターンを含み、1つの前記溝パターンで規定されるピッチ及び前記タイヤ周方向に隣り合う2つのラグ溝で規定されるブロックの少なくとも一方に基づいて、前記トレッド部に評価区画を規定することを含み、前記第1計測点及び前記第2計測点は、前記評価区画において前記タイヤ周方向に設定されてもよい。
ピッチ及びブロックの少なくとも一方に基づいてタイヤのトレッド部に評価区画が規定され、その評価区画に第1計測点及び第2計測点が設定されることにより、第1計測点と第2計測点との段差量に基づいて、評価区画におけるヒールアンドトゥ摩耗性能を的確に評価したうえで、最大段差量を精度良く推定することができる。
本発明の態様において、前記トレッド部は、第1トレッド表面と、ラグ溝又はサイプを介して前記タイヤ周方向において前記第1トレッド表面の隣に配置される第2トレッド表面と、を含み、前記第1計測点は前記第1トレッド表面に設定され、前記第2計測点は前記第2トレッド表面に設定されてもよい。
第1トレッド表面に第1計測点が設定され、第2トレッド表面に第2計測点が設定されることにより、第1計測点と第2計測点との段差量に基づいて、第1トレッド表面及び第2トレッド表面におけるヒールアンドトゥ摩耗性能を的確に評価したうえで、最大段差量を精度良く推定することができる。また、ラグ溝又はサイプによって規定されるトレッド部の所定区画における段差量よりも、ラグ溝又はサイプにより隔てられたトレッド部の2つの所定区画の間の段差量が大きくなる摩耗形態を的確に評価することができる。
本発明の態様において、前記摩耗進行度合いのうち少なくとも1段階の摩耗進行度合いは、前記タイヤの新品時を除き、且つ、前記新品時からの前記タイヤの走行距離の累積値が3000[km]以下のときの摩耗進行度合いでもよい。
最大段差量となるタイミングは、トレッド部の摩耗率が30[%]以上50[%]以下のときである場合が多い。したがって、最大段差量を精度良く推定するためには、摩耗率が30[%]になる前に段差量を算出する必要がある。一般市場において想定される最もタイヤが摩耗する走行条件でタイヤを走行させた場合、3000[km]走行させると、摩耗の進行が速いタイヤでは摩耗率が30[%]に到達する場合がある。そのため、新品時からのタイヤの走行距離の累積値が3000[km]以下のときにおいて段差量の算出を少なくとも1回実施することにより、最大段差量になる前の摩耗初期における段差量を算出することができる。これにより、ヒールアンドトゥ摩耗性能を的確に評価することができる。
本発明の態様において、算出された前記段差量のうち最大値を示す前記段差量を前記最大段差量としてもよい。
これにより、最大段差量を簡便に捉えることができる。
本発明の態様において、算出された前記段差量を補間して前記最大段差量を推定してもよい。
これにより、最大段差量を精度良く推定することができる。段差量の補間として、最小二乗法による関数近似が用いられてもよい。あるいは、段差量の補間として、2次スプラインや3次スプラインによるスプライン補間が用いられてもよい。スプライン曲線としては、B−スプライン、C−スプライン、自然スプライン等が用いられてもよい。
本発明の態様において、前記第1、第2計測点に近接するラグ溝又はサイプの溝深さを計測することを含み、算出された前記段差量と前記溝深さとに基づいて前記最大段差量を推定してもよい。
計測点に近接するラグ溝又はサイプの溝深さを計測することにより、摩耗進行度合いを精度良く求めることができる。そのため、第1計測点と第2計測点との段差量の算出、及び最大段差量の推定を精度良く行うことができる。
本発明の態様において、前記溝深さを関数とする成長項と前記溝深さにおける前記段差量を関数とする抑制項とを含む多項式を使って前記最大段差量を推定してもよい。
溝深さが深くなると、ブロックが倒れ易くなり、段差量は成長し易くなる。一方、段差量が大きくなると、ブロックの接地圧分布が変動し、段差が平坦に戻るようにブロックが摩耗し、段差量の成長が抑制されたり、段差が消滅したりする。すなわち、ヒールアンドトゥ摩耗による段差の生成、成長、及び消滅は、溝深さと段差量とのバランスによって決定される。溝深さを関数とする段差の成長項と、段差量を関数とする段差の抑制項とを含む多項式を使うことにより、最大段差量を高精度に推定することができる。
本発明の態様によれば、ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部に生成される最大段差量を的確に捉え、ヒールアンドトゥ摩耗性能を精度良く評価できるタイヤの摩耗評価方法が提供される。
図1は、第1実施形態に係るタイヤの一部を拡大した断面図である。 図2は、第1実施形態に係る処理装置の一例を示す模式図である。 図3は、第1実施形態に係るタイヤの摩耗評価方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図4は、第1実施形態に係るタイヤのトレッド部の一例を示す図である。 図5は、第1実施形態に係るタイヤのトレッド部の一例を示す図である。 図6は、第1実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図7は、第1実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図8は、第1実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図9は、第1実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図10は、第1実施形態に係る計測装置の一例を模式的に示す図である。 図11は、第1実施形態に係る計測点と基準点との距離の計測方法の一例を説明するための模式図である。 図12は、第1実施形態に係る計測点と基準点との距離の計測方法の一例を説明するための模式図である。 図13は、第1実施形態に係るヒールアンドトゥ摩耗の評価結果の一例を模式的に示す図である。 図14は、第1実施形態に係るヒールアンドトゥ摩耗の評価結果の一例を模式的に示す図である。 図15は、第1実施形態に係るヒールアンドトゥ摩耗の評価結果の一例を模式的に示す図である。 図16は、第1実施形態に係るヒールアンドトゥ摩耗の評価結果の一例を模式的に示す図である。 図17は、第1実施形態に係る最大段差量を推定する処理を説明するための図である。 図18は、第1実施形態に係る最大段差量を推定する処理を説明するための図である。 図19は、ヒールアンドトゥ摩耗の摩耗進行度合いと2つの計測点間の段差量との関係を模式的に示す図である。 図20は、摩耗率を説明するための図である。 図21は、摩耗末期において算出された段差量に基づいて最大段差量が推定される場合の作用を示す図である。 図22は、ヒールアンドトゥ摩耗による段差量の変遷を示す図である。 図23は、第1実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図24は、第1実施形態に係る基準高さの一例を説明するための模式図である。 図25は、第1実施形態に係る基準高さの一例を説明するための模式図である。 図26は、第1実施形態に係る基準点の一例を模式的に示す図である。 図27は、第1実施形態に係る基準点の一例を模式的に示す図である。 図28は、第1実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図29は、第2実施形態に係る評価区画の一例を模式的に示す図である。 図30は、第2実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図31は、第2実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図32は、第2実施形態に係る計測点を説明するための模式図である。 図33は、第2実施形態に係るヒールアンドトゥ摩耗の評価結果の一例を模式的に示す図である。 図34は、第3実施形態に係るタイヤの摩耗評価方法を示す図である。 図35は、第4実施形態に係るタイヤの摩耗評価方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図36は、第4実施形態に係るラグ溝又はサイプの溝深さを説明するための図である。 図37は、第4実施形態に係るラグ溝又はサイプの溝深さを説明するための図である。 図38は、第4実施形態に係るラグ溝又はサイプの溝深さを説明するための図である。 図39は、第4実施形態に係る最大段差量を推定する処理を説明するための図である。 図40は、第4実施形態に係る最大段差量を推定する処理を説明するための図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るタイヤ1の一部を拡大した断面図である。図1は、タイヤ1の回転軸AXを通る子午断面を示す。
タイヤ1は、乗用車用タイヤである。乗用車用タイヤとは、JATMA YEAR BOOK 2015(日本自動車タイヤ協会規格)のA章に定められるタイヤをいう。なお、タイヤ1は、B章に定められる小型トラック用タイヤでもよいし、C章に定められるトラック及びバス用タイヤでもよい。
タイヤ1は、車両のホイールのリムに装着される。タイヤ1は、車両に装着された状態で、回転軸AXを中心に回転して、路面を走行する。
以下の説明においては、タイヤ1の回転軸AXと平行な方向を適宜、タイヤ幅方向、と称し、タイヤ1の回転軸AXに対する放射方向を適宜、タイヤ径方向、と称し、タイヤ1の回転軸AXを中心とする回転方向を適宜、タイヤ周方向、と称する。
また、以下の説明においては、タイヤ幅方向のタイヤ1の中心を適宜、タイヤ中心CL、と称する。タイヤ中心CLは、タイヤ赤道面、及びタイヤ1のトレッド部10の表面においてタイヤ赤道面とトレッド部10の表面とが交差するセンターライン(タイヤ赤道線)を含む。タイヤ赤道面とは、タイヤ1のタイヤ幅方向の中心を通り、回転軸AXと直交する平面をいう。
また、以下の説明においては、タイヤ幅方向においてタイヤ中心CLから遠い位置又は離れる方向を適宜、タイヤ幅方向外側、と称し、タイヤ幅方向においてタイヤ中心CLに近い位置又は近付く方向を適宜、タイヤ幅方向内側、と称し、タイヤ径方向において回転軸AXから遠い位置又は離れる方向を適宜、タイヤ径方向外側、と称し、タイヤ径方向において回転軸AXに近い位置又は近付く方向を適宜、タイヤ径方向内側、と称する。
タイヤ1は、カーカス部2と、ベルト層3と、ベルトカバー4と、ビード部5と、トレッド部10と、サイド部9とを備える。トレッド部10は、トレッドゴム6を含む。サイド部9は、サイドゴム8を含む。
カーカス部2は、タイヤ1の骨格を形成する強度部材である。カーカス部2は、タイヤ1に空気が充填されたときの圧力容器として機能する。カーカス部2は、ビード部5に支持される。ビード部5は、タイヤ幅方向においてカーカス部2の一側及び他側のそれぞれに配置される。カーカス部2は、ビード部5において折り返される。カーカス部2は、カーカスコードと、そのカーカスコードを覆うゴムとを含む。
ベルト層3は、タイヤ1の形状を保持する強度部材である。ベルト層3は、カーカス部2とトレッドゴム6との間に配置される。ベルト層3は、ベルトコードと、そのベルトコードを覆うゴムとを含む。ベルト層3は、第1ベルトプライ3Aと、第2ベルトプライ3Bとを含む。第1ベルトプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとは、第1ベルトプライ3Aのコードと第2ベルトプライ3Bのコードとが交差するように積層される。
ベルトカバー4は、ベルト層3を保護し、補強する強度部材である。ベルトカバー4は、タイヤ1の回転軸AXに対してベルト層3の外側に配置される。ベルトカバー4は、カバーコードと、そのカバーコードを覆うゴムとを含む。
ビード部5は、カーカス部2の両端を固定する強度部材である。ビード部5は、タイヤ1をリムに固定させる。ビード部5は、スチールワイヤの束又炭素鋼の束である。
トレッドゴム6は、トレッド部10を形成する。トレッド部10は、陸部19と、陸部19の周囲に配置される溝20とを有する。陸部19は、路面と接触するトレッド表面24(接地面)を含む。
サイドゴム8は、サイド部9を形成する。サイドゴム8は、タイヤ幅方向においてトレッドゴム6の一側及び他側のそれぞれに配置される。
図2は、本実施形態に係るタイヤ1の摩耗の評価を実施可能な処理装置50の一例を示す図である。処理装置50は、コンピュータを含む。
処理装置50は、タイヤ1の摩耗状態を計測可能な計測装置57と接続される。処理装置50は、計測装置57で計測されたタイヤ1の摩耗状態に基づいて、タイヤ1の摩耗性能を評価する。
処理装置50は、処理部50pと、記憶部50mと、入出力部53とを含む。処理部50pと記憶部50mとは、入出力部53を介して接続される。
処理部50pは、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)のようなメモリとを含む。処理部50pは、計測装置57の計測結果に基づいて演算を実施する演算部と、タイヤ1の摩耗の評価を実施する解析部とを含む。処理部50pは、入出力部53と接続される。
記憶部50mは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードディスク装置のような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ装置の少なくとも一つを含む。記憶部50mは、タイヤ1の摩耗の評価のための情報を記憶する。記憶部50mは、タイヤ1の摩耗の評価結果を記憶する。記憶部50mは、タイヤ1の摩耗の評価を実施するためのコンピュータプログラムを記憶する。コンピュータプログラムは、タイヤ1の摩耗評価方法を処理装置50に実行させることができる。
入出力部53は、計測装置57及び端末装置54と接続される。端末装置54は、入力装置55及び出力装置56と接続される。入力装置55は、キーボード、マウス、及びマイクの少なくとも一つを含む。出力装置56は、ディスプレイなどの表示装置、及びプリンタの少なくとも一つを含む。
計測装置57の計測結果は、入出力部53を介して、処理部50pに出力される。処理部50pは、計測装置57の計測結果を取得する。処理部50pは、計測装置57の計測結果を使って、タイヤ1の摩耗性能を評価する。なお、タイヤ1の摩耗の評価のためのデータの少なくとも一部が、入力装置55から入力されてもよい。
処理部50pにおいて実施されたタイヤ1の摩耗の評価結果は、入出力部53及び端末装置54を介して出力装置56に出力される。出力装置56は、タイヤ1の摩耗の評価結果を出力可能である。出力装置56が表示装置を含む場合、表示装置は、タイヤ1の摩耗の評価結果を表示可能である。
次に、本実施形態に係るタイヤ1の摩耗評価方法の一例について説明する。図3は、本実施形態に係るタイヤ1の摩耗評価方法の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、タイヤ1の摩耗評価方法は、タイヤ1のトレッド部10においてタイヤ周方向に少なくとも第1計測点43A及び第2計測点43Bを設定する工程(ステップSP10)と、計測における基準点44を設定する工程(ステップSP20)と、異なる少なくとも3段階のトレッド部10の摩耗進行度合いのそれぞれで、タイヤ径方向における第1計測点43Aと基準点44との距離を計測し、タイヤ径方向における第2計測点43Bと基準点44との距離を計測する工程(ステップSP50)と、第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、摩耗進行度合いのそれぞれにおける第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量を算出する工程(ステップSP60)と、算出された段差量を示す段差量データに基づいて摩耗履歴における最大段差量を推定する工程(ステップSP80)と、推定された最大段差量に基づいてタイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能を評価する工程(ステップSP90)と、を含む。
ヒールアンドトゥ摩耗とは、タイヤ周方向においてタイヤ1の陸部19のトレッド表面24が不均一に摩耗することをいう。ヒールアンドトゥ摩耗は、トレッド表面24の先着部の摩耗量と後着部の摩耗量との相違に起因して発生する。先着部とは、タイヤ1が回転軸AXを中心に回転しながら路面を走行する場合において、トレッド表面24のうち路面に先に接触する部分をいう。後着部とは、タイヤ1が回転軸AXを中心に回転しながら路面を走行する場合において、トレッド表面24のうち路面に後に接触する部分をいう。
図4は、本実施形態に係るタイヤ1のトレッド部10の一例を示す図である。図4に示すように、トレッド部10は、陸部19と、陸部19に隣接する溝20とを有する。溝20は、タイヤ周方向に延びる主溝21と、少なくとも一部がタイヤ幅方向に延びるラグ溝22と、少なくとも一部がタイヤ幅方向に延びるサイプ23とを含む。溝20の周囲に陸部19が設けられる。陸部19は、溝20と、その溝20に隣り合う溝20との間に設けられる。
主溝21は、タイヤ周方向に形成される。主溝21の少なくとも一部は、トレッド部10のセンター部11に設けられる。主溝21は、内部にトレッドウェアインジケータを有する。トレッドウェアインジケータは、摩耗末期を示す。主溝21は、4.0[mm]以上の幅を有し、5.0[mm]以上の深さを有してもよい。図4に示す例において、タイヤ1は、4つの主溝21を有する。
ラグ溝22の少なくとも一部は、タイヤ幅方向に形成される。ラグ溝22の少なくとも一部は、トレッド部10のショルダー部12に設けられる。ショルダー部12は、タイヤ幅方向においてセンター部11の一側及び他側のそれぞれに配置される。ラグ溝22は、1.5[mm]以上の幅を有する。ラグ溝22は、4.0[mm]以上の深さを有してもよく、部分的に4.0[mm]未満の深さを有していてもよい。
サイプ23の少なくとも一部は、タイヤ幅方向に形成される。サイプ23は、陸部19に形成される。サイプ23の少なくとも一部は、トレッド部10のショルダー部12に設けられる。サイプ23は、1.5[mm]未満の幅を有する。
トレッド部10は、タイヤ周方向に設けられた同一の又は類似するデザインの複数の溝パターンを有する。1つの溝パターンによって形成される領域は、ピッチ31又はパターンエレメント31と呼ばれる。すなわち、ピッチ31とは、タイヤ周方向に沿って同一の又は類似する溝パターンが繰り返されるときの、パターン構成要素の最小単位をいう。換言すれば、ピッチ31とは、タイヤ周方向に同一の又は類似するデザインの溝パターンが複数設けられている場合において、1つの溝パターンでタイヤ1のトレッド部10に規定される部分をいう。ピッチ31は、タイヤ周方向に配置された2つのラグ溝22で区画されてもよい。ピッチ31は、タイヤ周方向に配置された2つのサイプ23で区画されてもよい。ピッチ31は、タイヤ周方向に配置された第1の幅のラグ溝22と第1の幅とは異なる第2の幅のラグ溝22とで区画されてもよい。ピッチ31は、タイヤ周方向に配置されたラグ溝22とサイプ23とで区画されてもよい。
また、トレッド部10は、複数のブロック32を有する。ブロック32とは、タイヤ周方向に隣り合う2つのラグ溝22でタイヤ1のトレッド部10に規定される部分をいう。ブロック32は、タイヤ周方向に隣り合う同一の幅のラグ溝22で区画されてもよい。ブロック32は、タイヤ周方向に隣り合う第1の幅のラグ溝22と第1の幅とは異なる第2の幅のラグ溝22とで区画されてもよい。
図4に示す例において、1つのピッチ31は、タイヤ周方向に配置された2つのラグ溝22で規定されている。ピッチ31は、サイプ23及び主溝21の一部を含む。ブロック32は、タイヤ周方向において、1つのピッチ31に対して1つ配置される。
図5は、本実施形態に係るタイヤ1のトレッド部10の一例を示す図である。図5に示す例において、タイヤ1のトレッド部10に、主溝21と、ラグ溝22と、サイプ23とが設けられている。タイヤ1は、2つの主溝21を有する。ラグ溝22は、タイヤ幅方向の一側のショルダー部12に設けられたラグ溝22A及びラグ溝22Bと、センター部11に設けられたラグ溝22C、ラグ溝22D、及びラグ溝22Eと、タイヤ幅方向の他側のショルダー部12に設けられたラグ溝22F及びラグ溝22Gとを含む。ラグ溝22A、ラグ溝22B、ラグ溝22C、ラグ溝22D、ラグ溝22E、ラグ溝22F、及びラグ溝22Gはそれぞれ、デザインが異なる。ラグ溝22のデザインは、ラグ溝22の幅、長さ、延びる方向、角部の数、及び角部の角度の少なくとも一つを含む。タイヤ幅方向の一側のショルダー部12において、ラグ溝22Aとラグ溝22Bとは、タイヤ周方向に交互に配置される。センター部11において、ラグ溝22Cとラグ溝22Dとは、タイヤ周方向に交互に配置される。タイヤ幅方向の他側のショルダー部12において、ラグ溝22Gは、ラグ溝22Fとラグ溝22Fとの間に3つ配置される。サイプ23は、タイヤ幅方向の他側のショルダー部12に設けられる。タイヤ幅方向の一側のショルダー部12にサイプ23は設けられない。
図5に示す例において、1つのピッチ31は、主溝21の一部、ラグ溝22A、ラグ溝22B、ラグ溝22C、ラグ溝22D、ラグ溝22Eの一部、ラグ溝22F、ラグ溝22G、及びサイプ23を含む。ピッチ31は、ラグ溝22B、ラグ溝22C、及びラグ溝22Fと、それらラグ溝(22B、22C、22F)に対して周方向に隣り合うラグ溝22B、ラグ溝22C、及びラグ溝22Fとの間に規定される。ブロック32は、タイヤ周方向に配置されるラグ溝22Aとラグ溝22Bとで規定されるブロック32Aと、タイヤ周方向に配置されるラグ溝22Bとラグ溝22Bとで規定されるブロック32Bと、タイヤ周方向に配置されるラグ溝22Fとラグ溝22Gとで規定されるブロック32Cと、タイヤ周方向に配置されるラグ溝22Gとラグ溝22Gとで規定されるブロック32Dとを含む。
本実施形態においては、トレッド部10に評価区画41が規定される。評価区画41とは、ピッチ31及びブロック32の少なくとも一方に基づいて、タイヤ1のトレッド部10に規定される部分をいう。評価区画41は、タイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗の計測対象部分、及びタイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗の評価対象部分を含む。
図4に示す例において、評価区画41は、1つのピッチ31で規定されてもよい。評価区画41は、1つのブロック32で規定されてもよい。
図5に示す例において、評価区画41は、1つのピッチ31で規定されてもよい。評価区画41は、ブロック32Aで規定されてもよい。評価区画41は、ブロック32Bで規定されてもよい。評価区画41は、ブロック32Cで規定されてもよい。評価区画41は、ブロック32Dで規定されてもよい。
また、本実施形態においては、トレッド部10に最小区画42が規定される。最小区画42とは、ラグ溝22及びサイプ23の少なくとも一方に基づいて、評価区画41の内側に規定される部分をいう。最小区画42は、タイヤ周方向に隣り合う2つのラグ溝22で区画されてもよい。最小区画42は、タイヤ周方向に隣り合う2つのサイプ23で区画されてもよい。最小区画42は、タイヤ周方向に隣り合うラグ溝22とサイプ23とで区画されてもよい。
図4に示す例において、最小区画42は、評価区画41の内側において、タイヤ周方向に隣り合うラグ溝22とサイプ23との間に規定される。
図5に示す例において、最小区画42は、評価区画41の内側において、タイヤ周方向に隣り合うラグ溝22Aとラグ溝22Bとの間に規定される。最小区画42は、評価区画41の内側において、タイヤ周方向に隣り合うラグ溝22Fとサイプ23との間に規定される。最小区画42は、評価区画41の内側において、タイヤ周方向に隣り合うラグ溝22Gとサイプ23との間に規定される。
最小区画42は、評価区画41においてタイヤ周方向に複数設定されてもよいし、評価区画41と同一の区画でもよい。図4に示した例では、最小区画42は、評価区画41においてタイヤ周方向に2つ規定される。なお、1つの評価区画41に対して、最小区画42が3つ以上規定されてもよい。なお、1つの評価区画41に対して、最小区画42が1つ規定されてもよい。
図4又は図5に示したような、同一の又は類似するデザインのピッチ31がタイヤ周方向に複数設けられたタイヤ1が準備される。タイヤ1は、評価対象の試験タイヤである。
準備されるタイヤ1は、新品のタイヤである。すなわち、準備されるタイヤ1は、未だ路面を走行してなく、摩耗していない状態のタイヤである。
次に、ピッチ31及びブロック32の少なくとも一方に基づいて、タイヤ1の評価区画41が規定される。評価区画41の規定は、処理装置50によって実施される。
次に、評価区画41において最小区画42が規定される。最小区画42の規定は、処理装置50によって実施される。最小区画42は、1つの評価区画41においてタイヤ周方向に複数規定される。
次に、評価区画41においてタイヤ周方向に少なくとも2つの計測点43が設定される(ステップSP10)。計測点43は、トレッド部10の陸部19に設定される。なお、上述したように、評価区画41が複数の最小区画42を含んでもよいし、評価区画41と最小区画42とが同一の区画でもよい。
図6、図7、図8、及び図9は、本実施形態に係る計測点43の一例を示す図である。図6は、評価区画41においてタイヤ周方向に設定された少なくとも2つの計測点43を示す模式図である。図6は、評価区画41の平面図である。図6は、評価区画41と最小区画42とが同一の区画である例を示す。評価区画41は、陸部19のトレッド表面24を含む。評価区画41においてタイヤ周方向に設定された複数の計測点43の位置が計測装置57で計測される。
計測点43は、タイヤ周方向において評価区画41の一端部に設定された第1計測点43Aと、評価区画41の他端部に設定された第2計測点43Bとを含む。第1計測点43Aは、評価区画41の先着部に設定される。第2計測点43Bは、評価区画41の後着部に設定される。
図7は、1つの評価区画41において、タイヤ周方向に2つ規定された最小区画42のそれぞれに設定された計測点43を示す模式図である。図7は、評価区画41の平面図である。図7に示すように、第1の最小区画42Aにおいて第1計測点43Aと第2計測点43Bとが設定される。第2の最小区画42Bにおいて第1計測点43Aと第2計測点43Bとが設定される。図7に示す例では、複数の最小区画42(42A、42B)それぞれの計測点43(43A、43B)の位置が計測される。
図8は、1つの評価区画41において、タイヤ周方向に3つ規定された最小区画42のそれぞれに設定された計測点43を示す模式図である。図8は、評価区画41の平面図である。図8に示すように、第1の最小区画42Aにおいて第1計測点43Aと第2計測点43Bとが設定される。第2の最小区画42Bにおいて第1計測点43Aと第2計測点43Bとが設定される。第3の最小区画42Cにおいて第1計測点43Aと第2計測点43Bとが設定される。図8に示す例では、複数の最小区画42(42A、42B、42C)それぞれの計測点43(43A、43B)の位置が計測される。
図9は、タイヤ周方向に複数規定された最小区画42のうち、少なくとも一つの最小区画42に計測点43が設定されていない例を示す模式図である。図9は、評価区画41の平面図である。図9に示すように、第1の最小区画42Aにおいて第1計測点43Aと第2計測点43Bとが設定される。第3の最小区画42Cにおいて第1計測点43Aと第2計測点43Bとが設定される。第2の最小区画42Bにおいて計測点43は設定されない。図9に示す例では、第1の最小区画42A及び第3の最小区画42Cそれぞれの計測点43(43A、43B)の位置が計測される。
なお、図7、図8、及び図9を参照して説明した1つの最小区画42が評価区画41とみなされてもよい。
次に、計測における基準点44が設定される(ステップSP20)。
次に、カウンタkが「1」にセットされる(ステップSP30)。
次に、車両に装着された状態のタイヤ1を路面において走行させる(ステップSP40)。路面を走行することにより、タイヤ1の摩耗が進行する。なお、例えば、タイヤ1はドラム試験機等の試験機に装着されて走行されてもよい。
路面においてタイヤ1を所定距離走行させた後、設定された計測点43の位置が計測装置57によって計測される。所定距離は、例えば、2000[km]である。新品時からの走行距離が2000[km]になるまでタイヤ1を走行させた後、計測点43の位置が計測装置57によって計測される。
計測装置57は、設定された計測点43と基準点44との距離を計測する(ステップSP50)。計測点43と基準点44との距離は、タイヤ径方向における計測点43と基準点44との距離である。
図10は、本実施形態に係る計測装置57の一例を模式的に示す図である。計測装置57は、タイヤ1の外形(プロファイル)を計測可能である。タイヤ1の外形は、トレッド部10の外形を含む。計測装置57は、タイヤ1の外形を光学的に計測する。
計測装置57は、計測光MLを生成する生成部571と、生成部571で生成された計測光MLを射出する射出部572と、タイヤ1に照射されそのタイヤ1で反射した計測光MLが入射する入射部573と、入射部573からの計測光MLを受光する受光センサ574と、タイヤ1を支持する支持部575と、を有する。支持部575は、回転軸AXを中心にタイヤ1を回転可能に支持する。生成部571及び射出部572の位置は、固定されている。入射部573及び受光センサ574の位置は、固定されている。
計測光MLは、レーザ光を含む。トレッド表面24において、計測光MLの照射領域は、スポット状である。トレッド表面24において、計測光MLの照射領域の大きさと、計測点43の大きさとは、実質的に等しい。
射出部572から射出された計測光MLは、トレッド部10のトレッド表面24に設定された計測点43に照射される。計測装置57は、射出部572から射出された計測光MLがタイヤ1の計測点43に照射されるように、射出部572とタイヤ1との相対位置を調整する。射出部572とタイヤ1との相対位置が調整された状態で、射出部572から計測光MLが射出される。射出部572から射出された計測光MLは、計測点43に照射される。
計測装置57は、計測点43に照射される計測光MLがトレッド表面24に実質的に垂直に入射するように、射出部572とタイヤ1の計測点43との相対位置を調整する。また、計測装置57は、射出部572から射出される計測光MLの光路の延長線上に回転軸AXが配置されるように、射出部572と計測点MLとの相対位置を調整する。
タイヤ1の計測点43に照射された計測光MLの少なくとも一部は、その計測点43で反射する。計測点43で反射した計測光MLは、入射部573に入射する。射出部572から射出される計測光MLの光路と、入射部573に入射する計測光MLの光路とは、実質的に一致する。
計測装置57は、ハーフミラー(ビームスプリッタ)を含む光学部材576を有する。射出部572及び入射部573は、光学部材576の表面を含む。本実施形態において、射出部572は入射部573を含む。入射部573に入射した計測光MLは、受光センサ574に受光される。
基準点44は、計測装置57に設定される。基準点44の位置は固定されている。基準点44は、入射部573に設定される。なお、基準点44が、受光センサ574の受光面に設定されてもよい。
計測装置57は、受光センサ574による計測光MLの受光結果に基づいて、基準点44に対する計測点43の位置を求める。計測装置57は、計測光MLを使って、基準点44と計測点43との相対位置を求める。
計測装置57は、受光センサ574の受光結果に基づいて、計測点43と基準点44との距離を計測する。本実施形態においては、計測点43と入射部573との距離が計測される。
以上、タイヤ1に設定された1つの計測点43と基準点44との距離を計測する例について説明した。上述のように、計測点43は、タイヤ周方向に少なくとも2つ設けられる。計測装置57は、計測光MLの照射領域に複数の計測点43を順次配置して、それら複数の計測点43のそれぞれと基準点44との距離を計測する。計測装置57は、支持部575を使って、回転軸AXを中心にタイヤ1を回転させることによって、計測光MLの照射領域に複数の計測点43を順次配置する。
図11及び図12は、本実施形態に係る計測点43(43A、43B)と基準点44との距離の計測方法の一例を説明するための模式図である。基準点44の位置は固定されている。トレッド表面24には、第1計測点43A及び第2計測点43Bが設定される。
タイヤ1は、支持部575に支持される。計測光MLの照射領域に第1計測点43Aが配置されるように、支持部575が駆動される。計測光MLの照射領域に第1計測点43Aが配置された状態で、第1計測点43Aに計測光MLが照射される。これにより、図11に示すように、計測装置57によって、第1計測点43Aと基準点44との距離KAが計測される。
第1計測点43Aと基準点44との距離KAが計測された後、計測光MLの照射領域に第2計測点43Bが配置されるように、タイヤ1を支持する支持部575が駆動される。計測光MLの照射領域に第2計測点43Bが配置された状態で、第2計測点43Bに計測光MLが照射される。これにより、図12に示すように、計測装置57によって、第2計測点43Bと基準点44との距離KBが計測される。
図7、図8、及び図9に示したように、最小区画42が評価区画41においてタイヤ周方向に複数規定されている場合、複数の最小区画42のそれぞれに設定された計測点43と基準点44との距離が計測される。
図7に示した例では、第1の最小区画42Aの第1計測点43Aと基準点44との距離、第1の最小区画42Aの第2計測点43Bと基準点44との距離、第2の最小区画42Bの第1計測点43Aと基準点44との距離、及び第2の最小区画42Bの第2計測点43Bと基準点44との距離が、計測装置57によって計測される。
図8に示した例では、第1の最小区画42Aの第1計測点43Aと基準点44との距離、第1の最小区画42Aの第2計測点43Bと基準点44との距離、第2の最小区画42Bの第1計測点43Aと基準点44との距離、第2の最小区画42Bの第2計測点43Bと基準点44との距離、第3の最小区画42Cの第1計測点43Aと基準点44との距離、及び第3の最小区画42Cの第2計測点43Bと基準点44との距離が、計測装置57によって計測される。
図9に示した例では、第1の最小区画42Aの第1計測点43Aと基準点44との距離、第1の最小区画42Aの第2計測点43Bと基準点44との距離、第3の最小区画42Cの第1計測点43Aと基準点44との距離、及び第3の最小区画42Cの第2計測点43Bと基準点44との距離が、計測装置57によって計測される。
計測装置57により複数の計測点43(43A、43B)のそれぞれと基準点44との距離が計測された後、その計測結果が処理装置50に出力される。処理装置50の処理部50pは、少なくとも2つの計測点43のうち、第1計測点43Aと基準点44との距離と、第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量を算出する(ステップSP60)。
図6に示したように、最小区画42に第1計測点43A及び第2計測点43Bが設定されている場合、第1計測点43Aと基準点44との距離と、第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出される。
図7に示したように、評価区画41が2つの最小区画42(42A、42B)を有する場合、最小区画42Aについての第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、最小区画42Aについての第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出される。また、最小区画42Bについての第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、最小区画42Bについての第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出される。
図8に示したように、評価区画41が3つの最小区画42(42A、42B、42C)を有する場合、最小区画42Aについての第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、最小区画42Aについての第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出される。また、最小区画42Bについての第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、最小区画42Bについての第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出される。また、最小区画42Cについての第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、最小区画42Cについての第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出される。
図9に示した例では、最小区画42Aについての第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、最小区画42Aについての第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出される。また、最小区画42Cについての第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、最小区画42Cについての第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出される。
図13は、ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部10の評価区画41において段差が生成された状態を模式的に示す図である。図13は、評価区画41におけるタイヤ1の一部の側断面図を示す。図13は、回転軸AXと直交する平面におけるタイヤ1の断面を示す。
評価区画41の段差とは、タイヤ径方向において、基準点44と先着部との距離と、基準点44と後着部との距離との差をいう。換言すれば、評価区画41の段差とは、先着部の高さと後着部の高さとの差をいう。評価区画41の段差量とは、評価区画41の段差の値をいう。
なお、本実施形態においては、基準点44が、タイヤ1の外側に配置される計測装置57に設定される。基準点44は、例えば回転軸AXに設定されてもよい。その場合、最小区画42の段差とは、タイヤ径方向において、回転軸AXと先着部との距離と、回転軸AXと後着部との距離との差をいう。
評価区画41の先着部の摩耗量と後着部の摩耗量との差が大きいと、評価区画41の段差量は大きくなる。評価区画41の先着部の摩耗量と後着部の摩耗量との差が小さいと、評価区画41の段差量は小さくなる。
したがって、評価区画41の先着部に設定された第1計測点43Aと基準点44との距離KAが計測され、評価区画41の後着部に設定された第2計測点43Bと基準点44との距離KBが計測され、それら距離KAと距離KBとの相違(差)が導出されることによって、評価区画41におけるタイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗の状態を把握することができる。
図14は、図7に示したような2つの最小区画42(42A、42B)を有する評価区画41におけるヒールアンドトゥ摩耗の一例を模式的に示す図である。図14は、回転軸AXと直交する平面と平行なタイヤ1の一部の断面を示す。図14に示すように、評価区画41に複数の最小区画42が規定されるので、最小区画42(42A、42B)それぞれの局所的なヒールアンドトゥ摩耗の状態を把握することができる。また、評価区画41全体におけるヒールアンドトゥ摩耗の状態も把握することができる。
図15は、図8に示したような3つの最小区画42(42A、42B、42C)を有する評価区画41におけるヒールアンドトゥ摩耗の評価結果の一例を模式的に示す図である。図15は、回転軸AXと直交する平面と平行なタイヤ1の一部の断面を示す。図15に示すように、評価区画41に複数の最小区画42が規定されるので、最小区画42(42A、42B、42C)それぞれの局所的なヒールアンドトゥ摩耗の状態を把握することができる。また、評価区画41全体におけるヒールアンドトゥ摩耗の状態も把握することができる。
図16は、図9に示したような3つの最小区画42(42A、42B、42C)を有する評価区画41において、最小区画42Bに計測点43を設定しなかったときのヒールアンドトゥ摩耗の評価結果の一例を模式的に示す図である。図16は、回転軸AXと直交する平面と平行なタイヤ1の一部の断面を示す。最小区画42Bに計測点43を設定しないことにより、計測装置57の工数が低減され、計測に要する時間が短縮される。また、図16に示すように、評価区画41に規定された3つの最小区画42(42A、42B、42C)のうち、2つの最小区画42(42A、42C)において計測点43と基準点44との距離が計測され、ヒールアンドトゥ摩耗が評価されることにより、評価区画41全体におけるヒールアンドトゥ摩耗の形態を把握することができる。
2000[km]走行後のタイヤ1の第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出された後、カウンタkが規定値Kr以上になったか否かが判定される(ステップSP70)。本実施形態において、規定値Krは「3」である。
タイヤ1が2000[km]走行した後においては、カウンタkは「1」であり、ステップSP70において「No」と判定される。カウンタkに「1」が加算される(ステップSP75)。これにより、カウンタkは「2」にセットされる。
カウンタkが「2」にセットされた後、ステップSP40の処理が実施される。すなわち、タイヤ1が車両に装着され、路面を走行する。路面を走行することにより、タイヤ1の摩耗が更に進行する。
路面においてタイヤ1を所定距離走行させた後、設定された計測点43の位置が計測装置57によって計測される。新品時からの走行距離の累積値が4000[km]になるまでタイヤ1を走行させた後、計測点43の位置が計測装置57によって計測される(ステップSP50)。計測装置57は、タイヤ径方向における第1計測点43Aと基準点44との距離を計測するとともに、タイヤ径方向における第2計測点43Bと基準点44との距離を計測する。
処理装置50は、第1計測点43Aと基準点44との距離と、第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量を算出する(ステップSP60)。
4000[km]走行後のタイヤ1の第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出された後、カウンタkが規定値Kr以上になったか否かが判定される(ステップSP70)。
タイヤ1が4000[km]走行した後においては、カウンタkは「2」であり、ステップSP70において「No」と判定される。カウンタkに「1」が加算される(ステップSP75)。これにより、カウンタkは「3」にセットされる。
カウンタkが「3」にセットされた後、ステップSP40の処理が実施される。すなわち、タイヤ1が車両に装着され、路面を走行する。路面を走行することにより、タイヤ1の摩耗が更に進行する。
路面においてタイヤ1を所定距離走行させた後、設定された計測点43の位置が計測装置57によって計測される。新品時からの走行距離の累積値が6000[km]になるまでタイヤ1を走行させた後、計測点43の位置が計測装置57によって計測される(ステップSP50)。計測装置57は、タイヤ径方向における第1計測点43Aと基準点44との距離を計測するとともに、タイヤ径方向における第2計測点43Bと基準点44との距離を計測する。
処理装置50の処理部50pは、第1計測点43Aと基準点44との距離と、第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量を算出する(ステップSP60)。
6000[km]走行後のタイヤ1の第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が算出された後、カウンタkが規定値Kr以上になったか否かが判定される(ステップSP70)。
タイヤ1が6000[km]走行した後においては、カウンタkは「3」であり、ステップSP70において「Yes」と判定される。
新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が2000[km]、4000[km]、及び6000[km]のそれぞれにおいて、タイヤ径方向における第1計測点43Aと基準点44との距離を計測する処理と、タイヤ径方向における第2計測点43Bと基準点44との距離を計測する処理と、第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて第1計測点43Aと第2計測点44Bとの段差量を算出する処理とが実施された後、処理装置50は、算出された段差量を示す段差量データに基づいて、摩耗履歴における最大段差量を推定する(ステップSP80)。
図17は、本実施形態に係る最大段差量を推定する処理を説明するための図である。図17は、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値と、各走行距離の累積値において算出された第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sとの関係を示す図である。図17に示すグラフにおいて、横軸は、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値を示し、縦軸は、各走行距離の累積値において算出された第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sを示す。
新品時からの走行距離の累積値の増大に伴って、タイヤ1の摩耗(ヒールアンドトゥ摩耗)は進行する。そのため、新品時からの走行距離は、タイヤ1のトレッド部10の摩耗進行度合いと同義である。走行距離の累積値が第1距離(本例では2000[km]である)であるとは、摩耗進行度合いが第1進行度であることを示す。走行距離の累積値が第1距離よりも長い第2距離(本例では4000[km]である)であるとは、摩耗進行度合いが第1進行度よりも進行している第2進行度であることを示す。走行距離の累積値が第2距離よりも長い第3距離(本例では6000[km]である)であるとは、摩耗進行度合いが第2進行度よりも進行している第3進行度であることを示す。
本実施形態においては、異なる3段階のトレッド部10の摩耗進行度合い(走行距離の累積値)のそれぞれで、タイヤ径方向における第1計測点43Aと基準点44との距離を計測する処理及びタイヤ径方向における第2計測点43Bと基準点44との距離を計測する処理が実施される。第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、3段階のトレッド部10の摩耗進行度合いのそれぞれにおける第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sを算出する処理が実施される。
走行距離の累積値が第1距離(本例では2000[km])であるときの第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量をSとする。走行距離の累積値が第2距離(本例では4000[km])であるときの第2計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量をSとする。走行距離の累積値が第3距離(本例では6000[km])であるときの第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量をSとする。
3段階のトレッド部10の摩耗進行度合いのそれぞれにおける段差量S(S、S、S)をプロットすると、図17に示すようになる。
処理装置50は、算出された3つの段差量S、S、Sを示す段差量データに基づいて、摩耗履歴における最大段差量Smaxを推定する。本実施形態において、処理装置50は、算出された3つの段差量S、S、Sを補間して、最大段差量Smaxを推定する。段差量S、S、Sの補間として、最小二乗法による関数近似が用いられてもよい。あるいは、段差量S、S、Sの段差量の補間として、2次スプラインや3次スプラインによるスプライン補間が用いられてもよい。スプライン曲線としては、B−スプライン、C−スプライン、自然スプライン等が用いられてもよい。
例えば、(1)式に示すような、段差量Sを示すn次関数(n=2,3,4…)について、最小二乗法で残差が最小となるような係数aを求めてもよい。(1)式において、xi(i=1,2,…,n)は、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値である。
Figure 2017067577
図18は、本実施形態に係る最大段差量Smaxを推定する処理を説明するための図である。図18は、3つの段差量S、S、Sを補間して得られた段差量Sを表す近似曲線を示す図である。近似曲線が得られることにより、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sの最大値を示す最大段差量Smaxが推定される。推定された最大段差量Smaxに基づいて、タイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能の評価が実施される(ステップSP90)。
タイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能の評価として、リファレンスタイヤから得られた基準最大段差量と、タイヤ1の最大段差量Smaxとが比較されてもよい。また、仕様が異なる複数のタイヤ1のそれぞれが評価され、第1のタイヤ1の最大段差量Smaxと第2のタイヤ1の最大段差量Smaxとが比較されてもよい。これにより、どの仕様のタイヤ1がどれくらいの走行距離で最大段差量Smaxに到達するのかを知ることができる。
推定された最大段差量Smaxに基づいて、タイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能が評価されることにより、異音(騒音)又は振動のような不具合事象のレベルを推測することができる。
最大段差量Smaxに到達する走行距離と、推測される段差量の推移とに基づいて、ヒールアンドトゥ摩耗性能による不具合事象のレベルが摩耗の進行によってどのように変化していくかが評価されてもよい。図18に示す例では、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が約4500[km]のときに、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが最大段差量Smaxになると推定される。最大段差量Smaxとなる、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が約4500[km]のときに、タイヤ1の走行において異音又は振動のような不具合事象のレベルが最大になると評価することができる。また、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が約4500[km]を超えたときには、段差量Sが徐々に小さくなり、不具合事象も徐々に小さくなると評価することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、トレッド部10においてタイヤ周方向に少なくとも第1計測点43A及び第2計測点43Bが設定され、基準点44と第1計測点43Aとの距離及び基準点44と第2計測点43Bとの距離が計測され、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが算出されるので、ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部10に生成される段差量S、及びヒールアンドトゥ摩耗の状態を的確に知ることができる。第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sの算出は、異なる少なくとも3段階の摩耗進行度合いのそれぞれで実施される。異なる少なくとも3段階の摩耗進行度合いの段差量Sを示す段差量データが取得されることにより、その段差量データに基づいて、ヒールアンドトゥ摩耗の進行度合いに応じた段差量Sの変化の傾向を知ることができる。そのため、段差量Sの最大値を示す最大段差量Smaxを精度良く且つ簡便に推定することができる。ヒールアンドトゥ摩耗によりトレッド部10に生成される最大段差量Smaxを的確に捉えることができるので、ヒールアンドトゥ摩耗性能を精度良く評価することができる。上述したように、摩耗進行度合いは、摩耗量としてもよいし、走行距離としてもよい。
また、本実施形態によれば、ピッチ31及びブロック32の少なくとも一方に基づいてタイヤ1のトレッド部10に評価区画41が規定され、その評価区画41に第1計測点43A及び第2計測点43Bが設定される。これにより、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sに基づいて、評価区画41におけるヒールアンドトゥ摩耗性能の状態を的確に評価したうえで、最大段差量Smaxを精度良く推定することができる。
また、本実施形態においては、算出された少なくとも3つの段差量Sを補間することによって最大段差量Smaxが推定される。これにより、最大段差量Smaxを精度良く推定することができる。
また、本実施形態においては、摩耗進行度合いのうち少なくとも1段階の摩耗進行度合いは、タイヤ1の新品時を除き、且つ、新品時からのタイヤの走行距離の累積値が3000[km]以下のときの摩耗進行度合いである。本例では、新品時からのタイヤの走行距離の累積値が2000[km]のときの段差量Sが算出される。
図19は、ヒールアンドトゥ摩耗の摩耗進行度合いと、2つの計測点間の段差量との一般的な関係を模式的に示す図である。図19に示すように、トレッド部10の摩耗初期において段差量Sは急激に増大し、摩耗中期において段差量Sはほぼ一定又は緩やかに減少し、摩耗末期において段差量Sは緩やかに減少する。摩耗初期における段差量Sの成長速度は、摩耗中期及び摩耗末期における段差量Sの減少速度よりも速い。段差量Sの成長速度とは、摩耗進行度合いに対する段差量Sの増加率である。段差量Sの減少速度とは、摩耗進行度合いに対する段差量Sの減少率である。
また、成長する段差量Sは、摩耗中期において最大段差量Smaxに到達する傾向にある。これは、タイヤ1の摩耗初期においてはトレッド部10の溝20の溝深さDが深いので、タイヤ1の走行において接地したブロック32が倒れ込むように大きく変形し、段差は成長過程にある。タイヤ1の摩耗中期においては、摩耗の進行によって溝深さDが浅くなり、ブロック32の倒れ込みが小さくなるため、段差の成長が収束し、最大段差量Smaxに達する。これにより、摩耗中期において最大段差量Smaxに到達すると考えられる。
また、タイヤ1の摩耗初期における段差量Sの成長速度及び最大段差量Smaxは、タイヤ1の仕様の影響を受ける。タイヤ1の仕様とは、コーナリングスティフネスや制駆動スティフネスに関わるタイヤ構造、及びトレッドパターンのようなタイヤ1の走行において接地したブロック32の倒れ込み易さ(変形し易さ、剛性)を決定する要素を含む。最大段差量Smaxを精度良く推定し、タイヤ1の仕様によるヒールアンドトゥ摩耗性能を評価するためには、段差量Sの成長速度が速く、最大段差量Smaxに到達する前の摩耗初期において段差量Sを算出することが好ましい。
最大段差量Smaxに到達するタイミングは、トレッド部10の摩耗率が30[%]以上50[%]以下のときである場合が多い。したがって、最大段差量Smaxを精度良く推定するためには、摩耗率が30[%]になる前に段差量Sを算出する必要がある。なお、摩耗率とは、図20に示すように、新品時におけるタイヤ径方向のブロック32の寸法をH、摩耗により消失したブロック32の一部分のタイヤ径方向の寸法(摩耗量)をHとしたとき、H/Hの値をいう。なお、摩耗量Hの定義は、摩耗進行度合いの定義に基づく。摩耗進行度合い(評価区画41の摩耗量)が、評価区画41(ブロック32)の最大摩耗量によって規定される場合、摩耗率を規定するための摩耗量Hは、消失したブロック32の最大寸法Hemaxで定義される。摩耗進行度合い(評価区画41の摩耗量)が、ブロック32(評価区画41)の最小摩耗量によって規定される場合、摩耗率を規定するための摩耗量Hは、消失したブロック32の最小寸法Heminで定義される。摩耗進行度合い(評価区画41の摩耗量)が、ブロック32(評価区画41)の最大摩耗量と最小摩耗量との平均値によって規定される場合、摩耗率を規定するための摩耗量Hは、消失したブロック32の最大寸法Hemaxと最小寸法Heminとの平均値で定義される。
本発明者は、一般市場において想定される最も厳しい走行条件(最も摩耗する走行条件)でタイヤを3000[km]走行させると摩耗率が30[%]になる場合が多いという統計データを保有する。そのため、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が3000[km]以下のときにおける段差量Sの算出が少なくとも1回実施されることにより、最大段差量Smaxになる前の摩耗初期における段差量Sを算出することができる。これにより、ヒールアンドトゥ摩耗性能を的確に評価することができる。
例えば、タイヤ1の走行距離が長距離に及んだ後の摩耗末期における段差量Sが算出されても、摩耗初期における段差量Sが算出されないと、図21に示すように、最大段差量Smaxを正確に捉えることができない。すなわち、最大段差量Smaxを的確に捉えるためには、段差量Sを算出するための3回の算出処理のうち、少なくとも1回の算出処理は、最大段差量Smaxになる前の段階において実施される必要がある。
つまり、図22に示すように、ヒールアンドトゥ摩耗による段差量Sの変遷を、「ピーク到達前の段差量成長過程」、「ピーク付近」、「ピーク到達後の段差量減少過程」の3つの期間に分類すると、最大段差量Smaxを的確に推定するには、少なくとも「ピーク到達前の段差量成長過程」で算出された段差量Sを用いることが必要である。
なお、「ピーク到達前の段差量成長過程」で算出された段差量に加えて、「ピーク付近」で算出された段差量Sも用いて、最大段差量Smaxを推定することがより好ましい。上述したように、「ピーク付近」は、摩耗率が30[%]以上50[%]以下に到達した時点とみなすことができる。
更に、最大段差量Smaxをより的確に推定するには、「ピーク付近」のタイミングにおいて、少なくとも2回段差量Sを算出し、算出した段差量Sに基づいて、最大段差量Smaxを推定することがより好ましい。
また、「ピーク到達前の段差量成長過程」で算出された段差量S、及び「ピーク付近」で算出された段差量Sに加えて、「ピーク到達後の段差量減少過程」で算出された段差量Sも用いて、最大段差量Smaxを推定してもよい。「ピーク到達後の段差量減少過程」は、摩耗率が60[%]以上80[%]以下に到達した時点とみなせる。
なお、所定の摩耗率に到達する走行距離の推定方法として、以下の(2)式を用いてもよい。(2)式は、摩耗率がa[%]に到達するための新品時からのタイヤ1の推定走行距離Mを示す。
Figure 2017067577
(2)式において、Mは、走行履歴における最新の段差量Sが算出されたときの新品時からの走行距離の累積値を示し、Wは、その時点の摩耗率を示す。
以上より、所定の摩耗率a[%]以上b[%]以下に到達するための新品時からのタイヤ1の推定走行距離をMとすると、(3)式の条件が成立する。
Figure 2017067577
推定走行距離Mにおける段差量Sを算出し、算出された段差量Sに基づいて、最大段差量Smaxが推定されてもよい。
なお、摩耗初期であっても、タイヤの走行距離が短過ぎるときに段差量Sが算出される場合、最大段差量Smaxを精度良く推定できない可能性がある。そのため、新品時からのタイヤの走行距離の累積値が1000[km]以上3000[km]以下のときに段差量Sが算出されることが好ましい。
なお、上述の実施形態においては、新品時のタイヤ1の第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sの算出は行っていない。新品時のタイヤ1の第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sの算出が行われ、算出された新品時の段差量Sを含む少なくとも3つの段差量Sを使って最大段差量Smaxが推定されてもよい。以下の実施形態においても同様である。
なお、上述の実施形態においては、異なる3段階の摩耗進行度合いのそれぞれで、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが算出されることとした。異なる少なくとも5段階の摩耗進行度合いのそれぞれで、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが算出されてもよい。異なる少なくとも5段階の摩耗進行度合いのそれぞれで第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが算出されることにより、最大段差量Smaxをより精度良く推定することができる。以下の実施形態においても同様である。
なお、上述の実施形態においては、タイヤ幅方向において複数の計測点43の位置が実質的に同一であることとした。図23に示すように、タイヤ幅方向において複数の計測点43の位置が異なってもよい。なお、タイヤ幅方向において複数の計測点43の位置が異なる場合、最も一方側の計測点43と最も他方側の計測点43との距離は、5[mm]以下であることが好ましい。以下の実施形態においても同様である。
なお、上述の実施形態においては、基準点44が計測装置57又は回転軸AXに設定されることとした。図24に示すように、計測におけるタイヤ径方向の基準点44がトレッド部10の陸部19の頂点に設定されてもよい。タイヤ1が走行することによって、そのタイヤ1の陸部19に、図24に示すような頂点(突出部)が形成される可能性がある。陸部の頂点とは、陸部19のトレッド表面24のうちタイヤ径方向において回転軸AXとの距離が最も大きい点をいう。
トレッド部10の陸部19の頂点に基準点44が設定され、タイヤ径方向の基準点44の位置と第1計測点43A及び第2計測点43Bそれぞれとの距離が計測されることにより、タイヤ径方向についての第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが明確に算出される。そのため、タイヤ1の評価区画41におけるヒールアンドトゥ摩耗性能を的確に評価することができる。
なお、図25に示すように、複数の陸部の頂点(基準点44)に基づいて、基準高さが設定されてもよい。図25に示す例では、基準高さは、タイヤ周方向に配置された複数(3つ)の陸部19の頂点(基準点44)を結ぶ仮想面を含む。基準高さの仮想面は、回転軸AXの周囲に配置される円弧状の面を含む。
なお、図26及び図27に示すように、基準点44が、タイヤ径方向の異なる位置に設定される第1基準点44A及び第2基準点44Bを含んでもよい。図26に示す例では、第1基準点44Aは、計測装置57に設定され、第2基準点44Bは、タイヤ1の回転軸AXに設定される。図27に示す例では、第1基準点44Aは、計測装置57に設定され、第2基準点44Bは、新品のタイヤ1のトレッド部10の表面に相当する位置に設定される。第1基準点44Aの位置及び第2基準点44Bの位置は固定されている。第1基準点44Aと第2基準点44Bとの相対位置は変化しない。
計測装置57は、第1基準点44Aと計測点43と第2基準点44Bとが同一直線上に配置された状態で、タイヤ径方向における計測点43と第1基準点44Aとの距離を計測する。計測装置57の計測結果は、処理装置50に出力される。処理装置50は、計測点43と第1基準点44Aとの距離の相違に基づいて、第1基準点44Aに対するタイヤ径方向の計測点43の位置を算出する。処理装置50は、第1基準点44Aと第2基準点44Bとの距離の相違に基づいて、第2基準点44Bに対するタイヤ径方向の計測点43の位置を算出する。例えば、計測装置57により、計測点43と第1基準点44Aとの距離L1が計測される。これにより、第1基準点44Aに対するタイヤ径方向の計測点43の位置が算出される。第1基準点44Aの位置及び第2基準点44Bの位置は固定されている。第1基準点44Aと第2基準点44Bとの距離Lは、既知データである。第1基準点44Aと第2基準点44Bとの距離Lを示すデータは、記憶部50mに記憶されている。処理装置50は、記憶部50mに記憶されている第1基準点44Aと第2基準点44Bとの距離Lと、計側装置57で計測された計測点43と第1基準点44Aとの距離L1とに基づいて、第2基準点44Bと計測点43との距離L2を算出することができる。これにより、第2基準点44Bに対するタイヤ径方向の計測点43の位置が算出される。処理装置50は、第2基準点44Bに対するタイヤ径方向の第1計測点43Aの位置と、第2基準点44Bに対するタイヤ径方向の第2計測点43Bの位置との相違に基づいて、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量を算出する。
図26及び図27を参照して説明した例によれば、第1基準点44Aと計測点43との位置関係のみならず、第2基準点44Bと計測点43との位置関係が求められる。そのため、ヒールアンドトゥ摩耗性能をより的確に評価することができる。例えば、計測点43の摩耗状態を定量化した上で、その摩耗状態と段差量との関係を評価することができる。また、図26に示したように、第2基準点44Bがタイヤ1の回転軸AXに設定されることにより、タイヤ1のトレッド部10が摩耗した後の、タイヤ1の回転軸AXとトレッド部10の表面との距離を求めることができる。また、図27に示したように、第2基準点44Bが新品のタイヤ1のトレッド部10の表面に相当する位置に設定されることにより、新品時からのタイヤ1の実際の摩耗量を求めることができる。タイヤ1の摩耗量の絶対値と、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量との関係を評価することができる。
なお、上述の実施形態においては、最小区画42(評価区画41)に2つの計測点43(第1計測点43A及び第2計測点43B)が設定されることとした。また、第1計測点43Aが最小区画42(評価区画41)の先着部に設定され、第2計測点43Bが最小区画42(評価区画41)の後着部に設定されることとした。
図28に示すように、最小区画42(評価区画41)においてタイヤ周方向に3つの計測点43(第1計測点43A、第2計測点43B、及び第3計測点43C)が設定されてもよい。第1計測点43Aは、例えば最小区画42の先着部に設定される。第2計測点43Bは、例えば最小区画42の後着部に設定される。第3計測点43Cは、タイヤ周方向において第1計測点43Aと第2計測点43Bとの間に配置される。
第3計測点43Cが設定されることにより、図28のラインSa、ラインSb、及びラインScで示すように、摩耗後の陸部の表面の形状をより詳細に評価することができる。例えば、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量が同じでも、第3計測点43Cの計測高さも計測することによって、種々の偏摩耗の形態を評価することができる。
例えば、ラインSaで示すように、先着側から後着側にかけて直線的に勾配する偏摩耗形態もあれば、ラインSbに示すように、タイヤ1の表面側に凸となるような偏摩耗形態もあるし、ラインScで示すように、タイヤ1の表面において凹になるような偏摩耗形態もある。第1計測点43A及び第2計測点43Bに加えて、第3計測点43Cを設定し、それら少なくとも3つの計測点43(43A、43B、43C)に基づいて段差量を算出することによって、偏摩耗形態を的確に捉えることができ、段差量を的確に評価することができる。なお、より詳細に偏摩耗形態を捉えるために、3点以上の計測点43が設定されてもよい。
なお、第1計測点43A、第2計測点43B、及び第3計測点43Cのうち、計測高さが最も高い計測点43(例えば第1計測点43A)と、計測高さが最も低い計測点43(例えば第2計測点43B)との段差量が算出されることにより、最小区画42における偏摩耗形態に基づいて、段差量を的確に評価することができる。隣り合う計測点43間の段差量(例えば第3計測点43Cと第2計測点43Bとの段差量)が算出されることにより、局所的な偏摩耗部分を把握することができ、段差量を的確に評価することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
上述の実施形態においては、1つの評価区画41又は最小区画42において第1計測点43A及び第2計測点43Bが設定されることとした。本実施形態においては、ラグ溝22又はサイプ23を介してタイヤ周方向に隔てられた第1の陸部19のトレッド表面24と第2の陸部19のトレッド表面24とのそれぞれに、第1計測点43Aと第2計測点43Bとが設定される例について説明する。以下の説明においては、ラグ溝22及びサイプ23を合わせて適宜、横溝202、と総称する。
図29は、横溝202で隔てられた2つのトレッド表面24及び計測点43の一例を模式的に示す図である。図29に示すように、2つのトレッド表面24は、タイヤ周方向に配置される。横溝202は、2つのトレッド表面24の間に設けられる。以下の説明において、横溝202で隔てられた2つのトレッド表面24のうち、タイヤ周方向において横溝202の一方の隣に配置されたトレッド表面24を適宜、第1トレッド表面241、と称し、他方の隣に配置されたトレッド表面24を適宜、第2トレッド表面242、と称する。
第2トレッド表面242は、ラグ溝22又はサイプ23を含む横溝202を介してタイヤ周方向において第1トレッド表面241の隣に配置される。横溝202は、第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との間に設けられる。
第1トレッド表面241及び第2トレッド表面242のそれぞれは、タイヤ周方向において一側に配置された端部440と、他側に配置された端部450とを有する。第1トレッド表面241の端部450は、横溝202との境界を形成する。第2トレッド表面242の端部440は、横溝202との境界を形成する。第1トレッド表面241の端部450と第2トレッド表面242の端部440との間に、横溝202が設けられる。
図29に示す例においては、第1トレッド表面241及び第2トレッド表面242のそれぞれによって、評価区画41が規定される。評価区画41は、第1トレッド表面241によって規定される第1評価区画411と、第2トレッド表面242によって規定される第2評価区画412と、を含む。
計測点43は、第1トレッド表面241及び第2トレッド表面242のそれぞれに定められる。以下の説明において、第1トレッド表面241に設定された計測点43を適宜、第1計測点43A、と称し、第2トレッド表面242に設定された計測点43を適宜、第2計測点43B、と称する。
第1計測点43Aは、第1トレッド表面241の端部450に定められる。第2計測点43Bは、第2トレッド表面242の端部440に定められる。本実施形態において、端部440は、トレッド表面24の先着部である。端部450は、トレッド表面24の後着部である。
第1トレッド表面241の後着部である端部450に定められた第1計測点43Aと、第2トレッド表面242の先着部である端部440に定められた第2計測点43Bとのそれぞれが計測装置57で計測される。
図30、図31、及び図32は、本実施形態に係る計測点43の一例を示す図である。
図30に示すように、計測点43が、先着部である端部440を含む先着領域48に定められてもよい。計測点43が、後着部である端部450を含む後着領域49に定められてもよい。先着領域48は、タイヤ周方向においてトレッド表面24の端部440と、タイヤ周方向において端部440よりもトレッド表面24の中心側の部位46との間に規定される。後着領域49は、タイヤ周方向においてトレッド表面24の端部450と、タイヤ周方向において端部450よりもトレッド表面24の中心側の部位47との間に規定される。
タイヤ周方向において、端部440と部位46との距離、及び端部450と部位47との距離はそれぞれ、10[mm]以下に定められる。すなわち、計測点43は、タイヤ周方向において端部440から10[mm]以内のトレッド表面24の一部の先着領域48に定められる。また、計測点43は、タイヤ周方向において端部450から10[mm]以内のトレッド表面24の一部の後着領域49に定められる。なお、端部440と部位46との距離、及び端部450と部位47との距離はそれぞれ、5[mm]以下に定められることが好ましい。端部440と部位46との距離は、タイヤ周方向における先着領域48の寸法である。端部450と部位47との距離は、タイヤ周方向における後着領域49の寸法である。
先着領域48に計測点43が定められ、後着領域49に計測点43が定められることにより、トレッド表面24の端部440又はその近傍、及びトレッド表面24の端部450又はその近傍における摩耗量を計測することができる。したがって、横溝202によって隔てられた先着領域48と後着領域49のそれぞれの摩耗量を計測することができる。そのため、ヒールアンドトゥ摩耗によって発生する第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差の形態、及び段差量を的確に評価することができる。
また、タイヤ周方向においてトレッド表面24の中央部を避けて摩耗量が計測される。これにより、トレッド表面24とトレッド表面24との段差が過小評価されることが抑制される。
図29及び図30に示した例では、タイヤ幅方向において第1計測点43Aの位置と第2計測点43Bの位置とは、実質的に同一である。図31に示すように、タイヤ幅方向において第1計測点43Aの位置と第2計測点43Bの位置とが異なってもよい。なお、タイヤ幅方向において第1計測点43Aの位置と第2計測点43Bの位置とが異なる場合、そのタイヤ幅方向における第1計測点43Aと第2計測点43Bとの距離は、5[mm]以下であることが好ましい。以下の実施形態においても同様である。
図32に示すように、横溝202及びトレッド表面24は、タイヤ周方向に複数設けられる。複数のトレッド表面24それぞれについて、横溝202との境界を形成する端部440又はその近傍に計測点43が定められる。複数のトレッド表面24それぞれについて、横溝202との境界を形成する端部450又はその近傍に計測点43が定められる。それら複数の計測点43の位置(摩耗量)が計測される。
複数のトレッド表面24それぞれの端部440又はその近傍の摩耗量と、端部450又はその近傍の摩耗量との相違に基づいて、複数のトレッド表面24それぞれの段差の形態及び段差量を評価することができる。複数の横溝202それぞれの両側の端部440又はその近傍の摩耗量と、端部450又はその近傍の摩耗量との相違に基づいて、隣り合うトレッド表面24の段差の形態及び段差量を評価することができる。
第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sを算出する場合、上述の実施形態と同様、計測における基準点44が設定され、異なる少なくとも3段階のトレッド部10の摩耗進行度合いのそれぞれで、タイヤ径方向における第1計測点43Aと基準点44との距離が計測され、タイヤ径方向における第2計測点43Bと基準点44との距離が計測される。第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、少なくとも3段階の摩耗進行度合いのそれぞれにおける第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが算出される。
算出された少なくとも3つの段差量Sを示す段差量データに基づいて摩耗履歴における最大段差量Smaxが推定される。推定された最大段差量Smaxに基づいてタイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能が評価される。ヒールアンドトゥ摩耗性能の評価は、処理装置50によって実施される。
図33は、第1トレッド表面241及び第2トレッド表面242におけるヒールアンドトゥ摩耗の評価結果の一例を模式的に示す図である。図33は、第1トレッド表面241及び第2トレッド表面242におけるタイヤ1の一部の側断面図を示す。図33は、中心軸AXと直交する平面におけるタイヤ1の断面を示す。
トレッド表面24の段差とは、タイヤ径方向において、回転軸AXと端部440との距離と、回転軸AXと端部450との距離との差をいう。換言すれば、トレッド表面24の段差とは、端部440の高さと端部450の高さとの差をいう。トレッド表面24の段差量とは、トレッド表面24の段差の値をいう。
トレッド表面24の端部440の摩耗量と端部450の摩耗量との差が大きいと、トレッド表面24の段差量は大きくなる。トレッド表面24の端部440の摩耗量と端部450の摩耗量との差が小さいと、トレッド表面24の段差量は小さくなる。
トレッド表面24の端部450に設定された第1計測点43Aが計測され、トレッド表面24の端部440に設定された第2計測点43Bが計測され、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが算出されることによって、トレッド表面24におけるタイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能が的確に評価される。
本実施形態においては、ラグ溝22又はサイプ23によって隔てられた第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差量Sを算出する。第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差とは、タイヤ径方向において、回転軸AXと第1トレッド表面241との距離と、回転軸AXと第2トレッド表面242との距離との差をいう。換言すれば、第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差とは、第1トレッド表面241の高さと第2トレッド表面242の高さとの差をいう。第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差量Sとは、第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差の値をいう。
第1トレッド表面241の摩耗量と第2トレッド表面242の摩耗量との差が大きいと、第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差量は大きくなる。第1トレッド表面241の摩耗量と第2トレッド表面242の摩耗量との差が小さいと、第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差量は小さくなる。
したがって、第1トレッド表面241に設定された第1計測点43Aが計測され、第2トレッド表面242に設定された第2計測点43Bが計測され、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの相違が導出されることによって、第1トレッド表面241と第2トレッド表面242との段差量Sが的確に評価される。すなわち、第1トレッド表面241の摩耗量と第2トレッド表面242の摩耗量との相違に起因する、第1トレッド表面241のヒールアンドトゥ摩耗の摩耗量と第2トレッド表面242のヒールアンドトゥ摩耗の摩耗量との相違(不均一性)を的確に評価することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1トレッド表面241に第1計測点43Aが設定され、横溝202によって第1トレッド表面241と隔てられた第2トレッド表面242に第2計測点43Bが設定されることにより、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sに基づいて、第1トレッド表面241及び第2トレッド表面242におけるヒールアンドトゥ摩耗性能を的確に評価したうえで、最大段差量Smaxを精度良く推定することができる。例えば、同一の評価区画41(最小区画42)における段差量よりも、ラグ溝22又はサイプ23で隔てられた2つのトレッド表面24の段差量Sが大きくなる摩耗性能を的確に評価することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図34は、本実施形態に係るタイヤ1の摩耗評価方法の一例を示す図である。図34は、異なる4段階のトレッド部10の摩耗進行度合いのそれぞれで、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが算出された例を示す。なお、算出される段差量Sのデータは、3つでもよいし、5つでもよいし、6つ以上でもよい。
本実施形態においては、算出された複数の段差量Sのうち最大値を示す段差量Sを最大段差量Smaxとする。
本実施形態によれば、最大段差量Smaxを推定するための演算処理を実施することなく、最大段差量Smaxを簡便に捉えることができる。
上述の実施形態と同様、タイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能の評価は、リファレンスタイヤから得られた基準最大段差量と、タイヤ1の最大段差量Smaxとを比較することを含んでもよいし、第1のタイヤ1の最大段差量Smaxと第2のタイヤ1の最大段差量Smaxとを比較することを含んでもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、計測点43に近接するラグ溝22又はサイプ23の溝深さDが計測される。算出された第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sと、計測されたラグ溝22又はサイプ23の溝深さDとに基づいて、最大段差量Smaxが推定される。
図35は、本実施形態に係るタイヤ1の摩耗評価方法の処理手順を示すフローチャートである。上述の実施形態と同様、本実施形態に係るタイヤ1の摩耗評価方法は、少なくとも2つの計測点43を設定する工程(ステップSP10)と、計測における基準点44を設定する工程(ステップSP20)と、カウンタkを「1」にセットする工程(ステップSP30)と、タイヤ1を所定距離走行させる工程(ステップSP40)と、異なる少なくとも3段階のトレッド部10の摩耗進行度合いのそれぞれで、タイヤ径方向における第1計測点43Aと基準点44との距離を計測し、タイヤ径方向における第2計測点43Bと基準点44との距離を計測する工程(ステップSP50)と、第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、摩耗進行度合いのそれぞれにおける第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sを算出する工程(ステップSP60)と、カウンタkと規定値Krとを比較する工程(ステップSP70)と、カウンタkが規定値Krよりも小さい場合にカウンタkに「1」を加算する工程(ステップSP75)と、カウンタkが規定値Kr以上である場合に算出された段差量Sを示す段差量データに基づいて摩耗履歴における最大段差量Smaxを推定する工程(ステップSP80)と、推定された最大段差量Smaxに基づいてタイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能を評価する工程(ステップSP90)と、を含む。
本実施形態においては、異なる少なくとも3段階のトレッド部10の摩耗進行度合いのそれぞれで、計測点43に近接するラグ溝22又はサイプ23の溝深さDを計測する工程(ステップSP55)が実施される。
図36、図37、及び図38は、本実施形態に係るラグ溝22又はサイプ23の溝深さDを説明するための図である。以下の説明においても、ラグ溝22及びサイプ23を合わせて適宜、横溝202、と総称する。なお、溝深さDは、ノギスのような計測工具を使って計測することができる。
図36は、1つの評価区画41(最小区画42)に第1計測点43A及び第2計測点43Bが設定されているときの溝深さDを示す図である。第1計測点43Aは先着部に設定され、第2計測点43Bは後着部に設定される。溝深さDは、第1計測点43Aに隣接する横溝202の溝深さDmaxと、第2計測点43Bに隣接する横溝202の溝深さDminとを含む。溝深さDとして、溝深さDmaxと溝深さDminとの平均値が採用される。なお、溝深さDとして、溝深さDmaxが採用されてもよいし、溝深さDminが採用されてもよい。例えば、図37に示すように、先着部が薄くなるヒールアンドトゥ摩耗(所謂フェザーエッジ調のヒールアンドトゥ摩耗)が発生する場合、計測工具を用いて溝深さDmaxを精度良く計測することが困難となる。そのような場合、溝深さDとして、溝深さDminが採用されてもよい。
図38は、第1トレッド表面241に第1計測点43Aが設定され、第2トレッド表面242に第2計測点43Bが設定されているときの溝深さDを示す図である。図38に示す例においては、溝深さDは、第1トレッド表面241と第2トレッド表面242とを隔てる横溝202の溝深さDである。
横溝202の溝深さDの計測は、異なる少なくとも3段階のトレッド部10の摩耗進行度合いのそれぞれにおいて実施される。本実施形態においては、新品時のタイヤ1における溝深さDと、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が第1距離のときの第1深さDと、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が第1距離よりも長い第2距離のときの第2深さDと、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が第2距離よりも長い第3距離のときの第3深さDとが計測される。なお、第1距離は、3000[km]以下であることが好ましい。
図39は、計測された摩耗量又は溝深さDと、各摩耗量又は溝深さDにおいて算出された第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sとの関係を示す図である。図39に示すグラフにおいて、横軸は、計測された摩耗量又は溝深さDを示し、縦軸は、各摩耗量又は溝深さDにおいて算出された第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sを示す。横軸において、摩耗量が大きくなれば溝深さDは小さくなり、摩耗量が小さくなれば溝深さDは大きくなる。摩耗量がゼロのとき、溝深さは最大(新品)となり、溝深さがゼロのとき、摩耗量は最大(完摩耗)となる。
新品時からの走行距離の累積値の増大に伴って、タイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗が進行し、溝深さDは徐々に小さく(浅く)なる。そのため、溝深さDは、タイヤ1のトレッド部10の摩耗量と同義である。溝深さDが第1深さDであるとは、摩耗量が第1進行度であることを示す。溝深さDが第1深さDよりも浅い第2深さDであるとは、摩耗量が第1進行度よりも進行している第2進行度であることを示す。溝深さDが第2深さDよりも浅い第3深さDであるとは、摩耗量が第2進行度よりも進行している第3進行度であることを示す。
本実施形態においては、異なる3段階のトレッド部10の摩耗量又は溝深さDのそれぞれで、タイヤ径方向における第1計測点43Aと基準点44との距離を計測する処理及びタイヤ径方向における第2計測点43Bと基準点44との距離を計測する処理が実施される。第1計測点43Aと基準点44との距離と第2計測点43Bと基準点44との距離との相違に基づいて、3段階のトレッド部10の摩耗量又は溝深さDのそれぞれにおける第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sを算出する処理が実施される。
溝深さDが第1深さDであるときの第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量をSとする。溝深さDが第2深さDであるときの第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量をSとする。溝深さDが第3深さDであるときの第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量をSとする。なお、摩耗が進行していない溝深さDが溝深さDであるときの第1計測点43Aと第2計測点42Bとの段差量Sは零である。
4段階のトレッド部10の摩耗量のそれぞれにおける段差量Sをプロットすると、図39に示すようになる。
処理装置50は、算出された4つの段差量S、S、S、Sを示す段差量データと、計測された4つの溝深さD、D、D、Dとに基づいて、摩耗履歴における最大段差量Smaxを推定する。
本実施形態において、処理装置50は、溝深さDを関数とする成長項f(D)と、その溝深さDにおける段差量Sを関数とする抑制項f(S(i−1))とを含む多項式を使って、最大段差量Smaxを推定する。成長項f(D)は、以下の(4)式で示される。抑制項f(S(i−1))は、以下の(5)式で示される。段差量Sを示す多項式は、以下の(6)式で示される。
Figure 2017067577
Figure 2017067577
Figure 2017067577
(4)式及び(5)式において、a、bは定数である。なお、(4)式及び(5)式において、nは整数でなくてもよい。(6)式において、制約条件として切片=0が与えられる。
図40は、(6)式から得られた段差量Sを表す曲線を示す図である。曲線が得られることにより、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sの最大値を示す最大段差量Smaxが推定される。図40に示す例では、新品時からのタイヤ1の走行距離の累積値が第1距離と第2距離との間であり、溝深さDが第1深さDと第2深さDとの間のときに、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sが最大段差量Smaxになると推定される。
最大段差量Smaxが推定された後、その推定された最大段差量Smaxに基づいて、タイヤ1のヒールアンドトゥ摩耗性能の評価が実施される。
以上説明したように、本実施形態によれば、ヒールアンドトゥ摩耗による段差量Sと、ラグ溝22又はサイプ23の溝深さDとの両方を用いることにより、最大段差量Smaxをより高精度に推定することができる。
ヒールアンドトゥ摩耗の摩耗進行度合いを求める方法として、上述の実施形態において説明した、タイヤ1の走行距離から推定する方法と、本実施形態において説明した、走行後の溝深さDを計測する方法とが挙げられる。計測点43に近接するラグ溝22又はサイプ23の溝深さDを計測することにより、摩耗進行度合いを精度良く求めることができる。そのため、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sの算出、及び最大段差量Smaxの推定を精度良く行うことができる。
また、段差量Sの成長は、ブロック32の倒れ込み易さに依存する。また、ブロック32の倒れ込み易さは、ラグ溝22又はサイプ23を含む横溝202の溝深さDと相関する。溝深さDが深いと、ブロック32が倒れ込み易くなり、段差量Sが成長し易くなる。溝深さDが浅いと、ブロック32が倒れ込み難くなり、段差量Sの成長が抑制される。したがって、段差量Sと溝深さDとの両方を用いることにより、最大段差量Smaxをより高精度に推定することができる。
本実施形態においては、溝深さDを関数とする成長項f(D)と、その溝深さDにおける段差量Sを関数とする抑制項f(S(i−1))とを含む多項式を使って最大段差量Smaxが推定される。
上述したように、溝深さDが深くなると、ブロック32が倒れ易くなり、段差量Sは成長し易くなる。一方、段差量Sが大きくなると、ブロック32の接地圧分布が変動し、段差が平坦になるようにブロック32が摩耗し、段差量Sの成長が抑制されたり、段差が消滅したりする。すなわち、ヒールアンドトゥ摩耗による段差の生成、成長、及び消滅は、溝深さDと段差量Sとのバランスによって決定される。溝深さDを関数とする段差の成長項f(D)と、段差量Sを関数とする段差の抑制項f(S(i−1))とを含む多項式を使うことにより、最大段差量Smaxを高精度に推定することができる。
成長項f(D)は、段差を成長させる成分であり、ブロック32の倒れ込み易さを示す。ブロック32の倒れ込み易さは、ブロック32の後着部のすべり易さを示し、摩擦エネルギーの大きさに比例する。抑制項f(S(i−1))は、段差の成長を抑制する成分又は段差を消滅させる成分であり、段差形状によって変動する接地圧分布に依存する。段差量Sは、成長成分である溝深さDと抑制成分である段差量Sとの組み合わせ(合成)によって決定される。そのため、成長項f(D)と抑制項f(S(i−1))とを含む多項式を使うことにより、最大段差量Smaxをより精度良く推定することができる。
なお、上述の各実施形態において、第1計測点43Aと基準点44との距離(第1の距離)と、第2計測点43Bと基準点44との距離(第2の距離)との相違に基づいて、第1計測点43Aと第2計測点43Bとの段差量Sを算出する場合、その段差量は、第1の距離と第2の距離との差に基づいて算出されてもよいし、第1の距離と第2の距離との比に基づいて算出されてもよい。すなわち、上述の各実施形態において、第1計測点43Aと基準点44との距離(第1の距離)と第2計測点43Bと基準点44との距離(第2の距離)との相違は、第1の距離と第2の距離との差、及び第1の距離と第2の距離との比の一方又は両方含む概念である。
なお、上述の各実施形態においては、周方向偏摩耗の一形態として、ヒールアンドトゥ摩耗を評価する例について説明した。周方向偏摩耗とは、ヒールアンドトゥ摩耗及び多角形摩耗の両方を含む概念であり、タイヤ周方向においてタイヤの陸部が不均一に摩耗する摩耗形態をいう。したがって、上述の各実施形態において、多角形摩耗が評価されてもよい。多角形摩耗とは、タイヤ周方向において複数の角が形成されるようにタイヤのトレッド部が摩耗する摩耗形態をいう。推定された最大段差量Smaxに基づいて、タイヤ1の多角形摩耗性能が評価されてもよい。
1 タイヤ
2 カーカス部
3 ベルト層
4 ベルトカバー
5 ビード部
6 トレッドゴム
8 サイドゴム
9 サイド部
10 トレッド部
11 センター部
12 ショルダー部
19 陸部
20 溝
21 主溝
22 ラグ溝
22A ラグ溝
22B ラグ溝
22C ラグ溝
22D ラグ溝
22E ラグ溝
22F ラグ溝
22G ラグ溝
23 サイプ
24 トレッド表面
31 ピッチ
32 ブロック
32A ブロック
32B ブロック
32C ブロック
32D ブロック
41 評価区画
42 最小区画
42A 最小区画
42B 最小区画
42C 最小区画
43 計測点
43A 第1計測点
43B 第2計測点
44 基準点
44A 第1基準点
44B 第2基準点
46 部位
47 部位
48 先着領域
49 後着領域
50 処理装置
50m 記憶部
50p 処理部
53 入出力部
54 端末装置
55 入力装置
56 出力装置
57 計測装置
202 横溝
241 第1トレッド表面
242 第2トレッド表面
411 第1評価区画
412 第2評価区画
440 端部
450 端部
571 生成部
572 射出部
573 入射部
574 受光センサ
575 支持部
576 光学部材
ML 計測光

Claims (8)

  1. タイヤのトレッド部においてタイヤ周方向に少なくとも第1計測点及び第2計測点を設定することと、
    計測における基準点を設定することと、
    異なる少なくとも3段階の前記トレッド部の摩耗進行度合いのそれぞれで、タイヤ径方向における前記第1計測点と前記基準点との距離を計測することと、
    前記摩耗進行度合いのそれぞれで、前記タイヤ径方向における前記第2計測点と前記基準点との距離を計測することと、
    前記第1計測点と前記基準点との距離と前記第2計測点と前記基準点との距離との相違に基づいて、前記摩耗進行度合いのそれぞれにおける前記第1計測点と前記第2計測点との段差量を算出することと、
    算出された前記段差量を示す段差量データに基づいて摩耗履歴における最大段差量を推定することと、
    推定された前記最大段差量に基づいて前記タイヤのヒールアンドトゥ摩耗性能を評価することと、
    を含むタイヤの摩耗評価方法。
  2. 前記トレッド部は前記タイヤ周方向に設けられた複数の溝パターンを含み、
    1つの前記溝パターンで規定されるピッチ及び前記タイヤ周方向に隣り合う2つのラグ溝で規定されるブロックの少なくとも一方に基づいて、前記トレッド部に評価区画を規定することを含み、
    前記第1計測点及び前記第2計測点は、前記評価区画において前記タイヤ周方向に設定される、
    請求項1に記載のタイヤの摩耗評価方法。
  3. 前記トレッド部は、第1トレッド表面と、ラグ溝又はサイプを介して前記タイヤ周方向において前記第1トレッド表面の隣に配置される第2トレッド表面と、を含み、
    前記第1計測点は前記第1トレッド表面に設定され、前記第2計測点は前記第2トレッド表面に設定される、
    請求項1に記載のタイヤの摩耗評価方法。
  4. 前記摩耗進行度合いのうち少なくとも1段階の摩耗進行度合いは、前記タイヤの新品時を除き、且つ、前記新品時からの前記タイヤの走行距離の累積値が3000[km]以下のときの摩耗進行度合いである、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のタイヤの摩耗評価方法。
  5. 算出された前記段差量のうち最大値を示す前記段差量を前記最大段差量とする、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のタイヤの摩耗評価方法。
  6. 算出された前記段差量を補間して前記最大段差量を推定する、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のタイヤの摩耗評価方法。
  7. 前記第1、第2計測点に近接するラグ溝又はサイプの溝深さを計測することを含み、
    算出された前記段差量と前記溝深さとに基づいて前記最大段差量を推定する、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のタイヤの摩耗評価方法。
  8. 前記溝深さを関数とする成長項と前記溝深さにおける前記段差量を関数とする抑制項とを含む多項式を使って前記最大段差量を推定する、
    請求項7に記載のタイヤの摩耗評価方法。
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