JPH11295191A - モバイル型タイヤ回転機及びそれを用いたタイヤ検査方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両をジャッキアップするだけで、タイヤを
一定速度で容易に回転させることができ、例えばレーザ
変位計等のレーザ測定器と併用することによって、タイ
ヤ全周に亘る摩耗データを多くのユーザーに便宜に提供
することができる。安全運転あるいはタイヤの使用寿命
の向上を達成しうる。 【解決手段】 ジャッキアップにより浮き上がるタイヤ
Ｔを検査のために回転させるモバイル型タイヤ回転機１
である。基台２に、トレッド部Ｔ１又はサイドウォール
部Ｔ２に接しうる回転ローラ３と、この回転ローラ３を
駆動する駆動機Ｍを有する駆動手段４とを一体可搬に設
けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特にタイヤの摩耗
検査のために好適に用いうるモバイル型タイヤ回転機及
びそれを用いたタイヤ検査方法に関する。

【０００２】

【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】ユー
ザやサービスマンが、車両に装着されたタイヤにおい
て、その摩耗状態及び偏摩耗状態を一本毎に把握し、タ
イヤ交換時期やローテーション時期等を的確に捉えるこ
とは、安全運転あるいはタイヤの使用寿命を向上させる
上で重要である。

【０００３】しかしながら、ユーザーチェックなど車両
装着されたままでのタイヤ検査は、従来、目視による外
観チェックが主であるため、摩耗検査などのデータをタ
イヤ全周に亘って取得し、そのデータを活用してタイヤ
交換時期やローテーション時期を的確に得ることは困難
であった。

【０００４】そこで本願発明は、車両をジャッキアップ
するだけで、それにより持上がるタイヤを一定速度で容
易に回転させることができ、例えばレーザ変位計等のレ
ーザ測定器と併用することによって、タイヤ全周に亘る
摩耗データを多くのユーザーに便宜に提供することが可
能になり、安全運転あるいはタイヤの使用寿命の向上に
役立つモバイル型タイヤ回転機及びそれを用いたタイヤ
検査方法の提供を目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本願第１発明は、ジャッキアップされることにより
浮き上がるタイヤを検査のために回転させるモバイル型
タイヤ回転機であって、基台に、タイヤのトレッド部又
はサイドウォール部に接しうる回転ローラと、この回転
ローラを駆動することによりタイヤを周方向に回転させ
る駆動機を有する駆動手段とを一体可搬に設けたことを
特徴としている。

【０００６】前記回転ローラをタイヤと接する向きに移
動させる調整手段を設けることが、操作性を高めかつタ
イヤを安定して回転させるために好ましい。

【０００７】又本願第２発明であるタイヤの検査方法
は、前記モバイル型タイヤ回転機を用いてタイヤを回転
させるとともに、回転するタイヤの回転面をレーザ測定
器を用いて検査することを特徴としている。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本願第１発明のモバイル型
タイヤ回転機の実施の一形態を、それを用いたタイヤの
検査方法の実施の一形態とともに、図示例を用いて説明
する。図１、２は、モバイル型タイヤ回転機１（以下タ
イヤ回転機１という）の斜視図及び断面図であって、タ
イヤ回転機１は、基台２に、回転ローラ３と、この回転
ローラ３を駆動する駆動手段４とを一体可搬に設けてい
る。

【０００９】本例では、タイヤ回転機１は、車両をジャ
ッキアップすることにより浮き上がるタイヤＴのトレッ
ド部Ｔ１に接してタイヤＴを回転させるトレッド接触タ
イプの回転機であって、前記回転ローラ３をトレッド部
Ｔ１と接する向き（本例では上向き）に移動させる調整
手段５を付設した場合を例示している。

【００１０】前記調整手段５は、基台２から立上がる一
対の支柱６の上端間を上枠７で継ぐ枠組状のフレーム９
と、このフレーム９に上下移動自在に案内される昇降台
１０とを具える。前記フレーム９は、前記支柱６の向き
合う面に、上下にのびる案内レール６Ａを、例えば凸状
に形成している。

【００１１】又前記昇降台１０は、前記案内レール６Ａ
に係合する係合部１０Ａを例えば溝状に形成したブロッ
ク体であり、この昇降台１０の上端には、本例では、ネ
ジ軸１２の下端部が回転自在に枢着される。このネジ軸
１２は、前記上枠７に設けるネジ孔７Ａに螺合するとと
もに、その上端部にはこのネジ軸１２を手操作により回
転させるハンドル操作部１２Ａを形成している。従っ
て、調整手段５の前記昇降台１０は、ハンドル操作によ
る前記ネジ軸１２の回転によって、案内レール６Ａに沿
って上下移動しうる。

【００１２】又前記回転ローラ３は、前記トレッド部Ｔ
１に接するローラ主部１３と、前記昇降台１０に設ける
孔部１０Ｂに軸受け片１４を介して枢支される枢着部１
５とから形成され、タイヤ軸と略平行な軸芯を有して前
記昇降台１０に片持ち状に支持されている。この回転ロ
ーラ３は、前記昇降台１０の上昇に伴いタイヤＴに接す
る上向き方向に移動でき、これにより、ローラ主部１３
をトレッド部Ｔ１に圧接せしめ、その回転をタイヤＴに
伝達しうる。なお、小さな圧接力でタイヤＴを回転させ
るためには、トレッド部Ｔ１との接触面積を高めること
が好ましく、そのために、本例では前記ローラ主部１３
を、トレッド中央部と接するための平行部分１３Ａと、
トレッドショルダー部に接するための両側のコーン部分
１３Ｂとで形成している。

【００１３】また前記駆動手段４は、前記基台２に固定
される、例えば減速器付きモータなどの駆動機Ｍを有
し、この駆動機Ｍと回転ローラ３の前記枢着部１５と
は、Ｖ字ベルト、タイミングベルトあるいはチェーンな
どの無端連紐１６、及びこれに連係するプーリ、スプロ
ケットなどの鎖車１７により接続する。なお前記鎖車１
７は、前記無端連紐１６を弛み止めするテンション用鎖
車（図示しない）を含み、本例では、前記回転ローラ３
の上下移動を許容しうるように、テンション用鎖車によ
る弛み止め調整範囲を広く設定している。

【００１４】このようなタイヤ回転機１は、持運びを容
易とするため、総重量を１０ｋｇ以下でできるだけ軽量
に形成することが必要であり、又持運び用の取手（図示
しない）を設けることもできる。

【００１５】次に、前記タイヤ回転機１を用いた検査方
法を、図３を用いて説明する。図中、符号２０はレーザ
測定器、２１は測定結果を記録する記録計である。前記
レーザ測定器２０としては、市販のレーザー変位計等が
好適に採用しうる。

【００１６】図において、タイヤの検査方法は、車両を
ジャッキアップし、これによって浮上がるタイヤＴと床
面との間に、タイヤ回転機１を配置するとともに、調整
手段５へのハンドル操作によりローラ主部１３Ａがトレ
ッド部Ｔ１と接触するまで回転ローラ３を上昇移動させ
る。その後、駆動機Ｍを作動し、前記回転ローラ３の回
転がスリップなくタイヤＴに安定して伝達されるよう
に、前記回転ローラ３の圧接力を前記調整手段５により
調整する。又タイヤＴの回転が安定した状態で、前記レ
ーザ測定器２０及び記録計２１を作動し、タイヤＴの回
転面の凹凸を検査することにより、タイヤ全周に亘る摩
耗データを簡易に得ることができる。

【００１７】図４(A) 〜(C) に、前記検査方法を用い
て、ブロックパターンを有する重荷重用タイヤＴの摩耗
状態を検査した時の摩耗データを示している。図４(A)
は、約１万ｋｍ走行後のブロックＢの摩耗状態である。
図４(B) は、同じタイヤＴの約３万ｋｍ走行後の摩耗状
態を示し、ヒール＆トゥ摩耗が発生しているのが容易に
確認できる。又図４(C)は、約６万ｋｍ走行後の摩耗状
態を示し、前記ヒール＆トゥ摩耗を通り越して多角形摩
耗に移行しているのがわかる。

【００１８】このように、タイヤ全周に亘る摩耗進行状
況のデータを容易に取得することができるため、そのデ
ータを活用してタイヤ交換時期やローテーション時期を
的確に把握することが可能になり、安全運転あるいはタ
イヤの使用寿命の向上等を達成することができる。

【００１９】又図５(A) 、(B) に、トレッド接触タイプ
のタイヤ回転機１の他の実施例を示す。図において、調
整手段５は、所謂テーブルリフタ状をなし基台２に平行
な板状の昇降台２３と、この昇降台２３と前記基台２と
を連係するＸ字状のリンク２４、２４とを有する。各リ
ンク２４は、一対のリンク片２４Ａ、２４Ｂの中央を、
中心軸２５で屈曲可能に連結してなり、リンク片２４
Ａ、２４Ｂの各一端は、それぞれ昇降台２３及び基台２
に枢着されるとともに、各他端は、昇降台２３及び基台
２に沿って摺動可能に構成される。又前記昇降台２３に
設ける下突出部２３Ａには、ハンドル操作部２６Ａを有
しかつ前記摺動の方向にのびるネジ軸２６が枢支される
とともに、そのネジ軸２６の内端は、前記中心軸２５に
設けるブロック２５Ａに螺合する。従って、調整手段５
は、ハンドル操作によるネジ軸２６の回転により、リン
ク２４を介して昇降台２３を上下移動できる。

【００２０】又回転ローラ３は、前記昇降台２３に設け
る上突出部２３Ｂ、２３Ｂ間に、タイヤ軸と略平行な軸
芯を有して枢着される。又駆動手段４の駆動機Ｍは、一
方の上突出部２３Ｂに取付き、本例では、その出力軸と
回転ローラ３とが直結される場合を例示している。な
お、回転ローラ３は、同図の如く、昇降台２３に設ける
孔部２３Ｃ内に配置し、タイヤ回転機１を小型化するの
が好ましい。

【００２１】このタイヤ回転機１の第２実施例では、前
記図１、２に示す第１実施例に比してコンパクトに折畳
めるため、保管・収納が便利である。なお第１実施例
は、回転ローラ３をより低い高さ位置まで移動できると
いう利点がある。

【００２２】次に図６に、タイヤ回転機１が、タイヤＴ
のサイドウォール部Ｔ２に接して回転させるサイドウォ
ール接触タイプである第３の実施例を示す。図におい
て、基台２は、下面に自在首振の車輪３０を有し、又上
面にはタイヤ軸と略平行にのびる案内レール３１を例え
ば凸状に形成している。

【００２３】又調整手段５は、前記案内レール３１に案
内されるブロック状の一対の移動台３２、３２と、ハン
ドル操作部３３Ａを有しかつ前記案内レール３１と平行
にのびるネジ軸３３とを具える。このネジ軸３３は、前
記基台２の上突出部２Ａに枢着される。又このネジ軸３
３は、一方の移動台３２に螺合する右ネジ部３３Ｂと他
方の移動台３２に螺合する左ネジ部３３Ｃとを有し、従
って、このネジ軸３３の回転によって、移動台３２、３
２を近離方向に移動しうる。

【００２４】各移動台３２には、本例では、直軸状の回
転ローラ３が、回転可能に立設される。なお一方の回転
ローラ３には、一方の移動台３２に取付く駆動手段４の
駆動機Ｍが連結する。

【００２５】従って、第３の実施例では、回転ローラ
３、３間でタイヤＴのサイドウォール部Ｔ２を挟み込む
ことができ、一方の回転ローラ３の回転によりサイドウ
ォール部Ｔ２を介してタイヤＴを周方向に回転できる。
なお前記挟み込みの際、両側の回転ローラ３の圧接力が
互いに均等になるように、基台２が車輪３０によって自
動的に移動し、均等な圧接が行われる。本例では、前記
回転ローラ３がタイヤ中心に向くことによってタイヤＴ
の円滑な回転が得られるため、タイヤ回転機１のセット
位置に応じて、回転ローラ３がタイヤ中心に向くよう
に、回転ローラ３を傾斜調整可能に支持しても良い。

【００２６】又図７(A) 、(B) に、サイドウォール接触
タイプである第４の実施例を示す。図の如く、調整手段
５は、基台２から立ち上がる支軸３６の廻りで傾動可能
に支持される傾動台３７を有する。又この傾動台３７の
上面には、回転ローラ３と、駆動手段４の駆動機Ｍとが
取り付けられる。

【００２７】従って、本例では、前記傾動台３７に設け
るレバー３７Ａへの操作によって、前記回転ローラ３を
支軸３６の廻りで水平に傾動でき、その傾動状態におい
て、サイドウォール部Ｔ２と圧接してタイヤＴを回転さ
せる。

【００２８】なおサイドウォール接触タイプでは、トレ
ッドパターンに影響することなくタイヤ回転できる。従
って、例えばダンプ用等の大きなブロックパターンのタ
イヤをトレッド接触タイプで回転させる時など、回転ロ
ーラ３が溝内に入り込んで回転むらが生じる等の不具合
を容易に回避できる。

【００２９】なおタイヤ回転機１は、前記実施例に特定
されることなく種々の構造のものに変化させることがで
きる。

【００３０】

【発明の効果】本発明は叙上の如く構成しているため、
車両をジャッキアップするだけで、それにより持上がる
タイヤを一定速度で容易に回転させることができ、例え
ばレーザ変位計等のレーザ測定器と併用することによっ
て、タイヤ全周に亘る摩耗データを多くのユーザーに便
宜に提供することが可能になり、安全運転あるいはタイ
ヤの使用寿命の向上を達成しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のタイヤ回転機の第１実施例を示す斜視
図である。

【図２】その断面図である。

【図３】タイヤ回転機を用いたタイヤ検査方法を説明す
る線図である。

【図４】(A) 〜(C) は、タイヤ検査方法によって得られ
た摩耗データの一例を示す線図である。

【図５】(A) はタイヤ回転機の第２実施例を示す断面
図、(B) はその斜視図である。

【図６】タイヤ回転機の第３実施例を示す斜視図であ
る。

【図７】タイヤ回転機の第４実施例を示す断面図、(B)
はその斜視図である。

【符号の説明】

２ 基台 ３ 回転ローラ ４ 駆動手段 ５ 調整手段 ２０ レーザ測定器 Ｍ 駆動機 Ｔ タイヤ Ｔ１ トレッド部 Ｔ２ サイドウォール部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ジャッキアップされることにより浮き上が
   るタイヤを検査のために回転させるモバイル型タイヤ回
   転機であって、 基台に、タイヤのトレッド部又はサイドウォール部に接
   しうる回転ローラと、この回転ローラを駆動することに
   よりタイヤを周方向に回転させる駆動機を有する駆動手
   段とを一体可搬に設けたことを特徴とするモバイル型タ
   イヤ回転機。
2. 【請求項２】前記回転ローラを前記タイヤと圧接する向
   きに移動する調整手段を具えることを特徴とする請求項
   １記載のモバイル型タイヤ回転機。
3. 【請求項３】請求項１のモバイル型タイヤ回転機を用い
   てタイヤを回転させるとともに、回転するタイヤを、レ
   ーザ測定器を用いて回転面を検査するタイヤの検査方
   法。