JP4184564B2 - 室内用タイヤ接地面解析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動時、駆動時におけるタイヤ接地面の挙動を解析しうる室内用タイヤ接地面解析装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、タイヤ接地面の形状の観測や摩耗エネルギーの測定等、タイヤ接地面の状態は、室内用タイヤ接地面解析装置を用いて行われていた。このような室内用タイヤ接地面解析装置は、例えば図7に示すように、リムaに装着されたタイヤbを支持しかつ回転しうるタイヤ回転軸cと、前記タイヤbのトレッド面b1に接しかつタイヤ接地面eが裏面から透視可能な透光板dとを具えている。そして、タイヤ回転軸cを透光板dに向けて押圧しタイヤbのトレッド面b1を透光板dに接触させた状態にて透光板dを水平に移動させることにより、タイヤbをこの透光板dと伴廻りさせる。そして、例えば透光板dの裏面からタイヤ接地面eを撮像装置fにて撮像しそれを画像処理したり、或いは接地面eにかかる荷重を測定すること等により解析を行っていた。
【0003】
しかしながら、前記従来の室内用タイヤ接地面解析装置では、タイヤ回転軸cが回転自在な状態で支持されていたため、透光板dの水平移動により該透光板dとタイヤbとの接地面eに作用する摩擦力は、主としてタイヤbを回転させるモーメントとして働く。このため、前記接地面eに、制動時や駆動時のようにトレッド部を大きく変形させるタイヤ周方向の剪断力を実質的に作用させることができない。このように従来の装置では、一定速度で転がり回転するタイヤ接地面eはほぼ再現することは可能であるが、大きな剪断力が作用する実走行中の制動時や駆動時の接地面に関しては、未だ十分に再現できないという不具合があった。
【0004】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、タイヤ接地面に制動力を与えた制動状態にする制動手段と、駆動力を与えた駆動状態にする駆動手段とを設けることを基本として、制動時、駆動時でのタイヤ接地面を再現してこれを解析に供することが可能な室内用タイヤ接地面解析装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、室内用タイヤ接地面解析装置であって、タイヤを支持しかつ回転しうるタイヤ回転軸と、前記タイヤのトレッド面に接しかつタイヤ接地面が裏面から透視可能な透光板を有ししかも前記タイヤと、伴移動しうるタイヤ接地台と、前記タイヤに対して相対的に上下動し前記タイヤ接地台にタイヤを押圧する押圧手段を具えるとともに、前記タイヤ接地面に制動力を与えた制動状態にする制動手段と、前記タイヤ接地面に駆動力を与えた駆動状態にする駆動手段とを具え、
かつタイヤと前記タイヤ接地台との間でスリップ角を発生させ、旋回状態に近い接地面の解析も可能とするスリップ角調節部、及びタイヤと前記タイヤ接地台との間でキャンバー角を発生させ実車走行により近づけた状態にて接地面の解析を可能とするキャンバー角調節部を設けることを特徴とする。
【0006】
また請求項1記載の発明は、前記制動手段は、前記タイヤ接地台の駆動による移動によって伴廻りするタイヤの回転方向と反対方向に回転させる向きに前記タイヤを錘体を用いて付勢するタイヤ付勢具からなることを特徴としている。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記駆動手段が、前記タイヤ回転軸の駆動による前記タイヤの回転によって伴移動する前記タイヤ接地台の移動方向と反対方向に移動させる向きに前記タイヤ設置台を錘体を用いて付勢する接地台付勢具からなることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の実施形態を示す全体斜視図、図2はその平面図、図3はその正面図、図4はその部分右側面図をそれぞれ示している。図において、本実施形態の室内用タイヤ接地面解析装置(以下、単に「接地面解析装置」と記載することがある。)1は、タイヤ2を支持しかつ回転しうるタイヤ回転軸3と、前記タイヤ2のトレッド面2aに接しかつタイヤ接地面4(図4に示す)が裏面から透視可能な透光板5を有ししかも前記タイヤ2と伴移動しうるタイヤ接地台6と、前記タイヤ2に対して相対的に上下動し前記タイヤ接地台6にタイヤ2を押圧する押圧手段7とを具えている。
【0009】
前記タイヤ回転軸3は、本例では軸受を内挿したケース筒11によって水平かつ回転自在に支持され、その一端側にフランジ状のリム取付片12を具える。またタイヤ2は、リム13(図2に示す)にリム組されて内圧を充填されるるとともにリム13を前記リム取付片12にボルト等で固着することにより、前記タイヤ回転軸3に一体的に支持される。またタイヤ回転軸3は、その他端側に、第1のプーリ14が固着されている。またこの第1のプーリ14には、ギヤモーター等のタイヤ回転軸駆動用の電動機M1のトルクがチエーン、Vベルト等の伝達具を介して減速伝動される。これによってタイヤ回転軸3、ひいてはタイヤ2が回転しうる。なお本例ではタイヤ回転軸駆動用の電動機M1をオフすることにより、タイヤ回転軸3は、自由回転状態に切替えしうるが、適宜クラッチ手段などを設けて前記電動機M1との動力を係脱しうるように切替えることもできる。
【0010】
前記ケース筒11は、回転軸支持フレーム16に設けられている。回転軸支持フレーム16は、本例では垂直にのびる複数本の柱材17と水平にのびかつ前記柱材17間を継ぐ継ぎ材19とを含む枠材によって剛に形成されている。そして前記ケース筒11は、例えば柱材17の外側面にスライド具20を介してを上下動自在に設けられる。
【0011】
前記スライド具20は、本例では一方の面に前記ケース筒11を固着するとともに他方の面にスライドブロック22を固着したスライド板23と、柱材17に固着されかつ前記スライドブロック22を上下に案内しうるレール部25とを含んでいる。そして、前記スライド板23には、該スライド板23を上下に移動させる駆動源となる押圧手段7が連係されている。
【0012】
押圧手段7は、本例ではエアーシリンダーからなり、シリンダケース底部を回転軸支持フレーム16に枢支しかつピストンロッドの先端を上向きとしかつ前記スライド板23に枢着している。そして押圧手段7は、ピストンロッドをタイヤ2に対して相対的に上下動することにより、スライド板23、ひいてはタイヤ回転軸3を上下に移動させることにより、このタイヤ回転軸3に支持されているタイヤ2を後述するタイヤ接地台6に押圧しうる。このように、本実施形態のタイヤ回転軸3は、回転自在にかつ上下動自在に設けられる。
【0013】
また押圧手段7は、エアーシリンダーの空気圧を適宜調節することにより、タイヤ接地台6に対するタイヤ2との接地圧を種々調節することができる。これはタイヤ接地台6に圧力センサー(図示省略)などを設けて測定できる。また本例では約2500〜8000Nの荷重をタイヤ2に負荷することが可能に構成されている。なお押圧手段7としては、例示のエアシリンダに代えて、油圧シリンダ等の直線移動型アクチュエータや、リンク、歯車などの伝動機構を用いたものなど種々のものが採用できるのは言うまでもない。
【0014】
前記タイヤ接地台6は、本例では、接地台支持フレーム30に設けられる。該接地台支持フレーム30は、本例では床面に固定された固定部31と、この固定部31に対して水平軸廻りに小角度で揺動可能に装着された第1の可動枠32と、この第1の可動枠32に対して垂直軸廻りに回転可能な第2の可動枠33とを有し、この第2の可動枠33の長手方向に沿って移動可能に前記タイヤ接地台6を設けたものを例示している。
【0015】
前記タイヤ接地台6は、図1、図4に示す如く、平面視にて略矩形状をなしかつ前記タイヤ2が接地しうる表面をなす前記透光板5と、この透光板5の下に配されかつ透光板5の側縁部に介在させた透光板支持具36を介して該透光板5を支える受板35とを含み、この受板35の下面には第2の可動枠33に設けたレール部材40に案内されて移動しうるスライドブロック39を設けたものが例示される。
【0016】
前記透光板5は、本形態ではタイヤ2の接地に耐えうる所定厚さを有した透明のガラス板から構成されている。このガラス板は、上、下面が円滑でかつ互いに平行に形成される。また透光板5は、タイヤ2の接地幅を超える幅寸法を有し、例えばその幅中心線をタイヤ2の赤道Cの位置と略一致するように設置するのが好ましい。また透光板5の長さは適宜定めうるが、タイヤ2の1周長さ以上とすることが望ましい。
【0017】
また前記受板35は、図2に鎖線で示す如く、その中央部分にタイヤ2と透光板5とが接触するタイヤ接地面4を下方から透視可能な開口部35aが形成されている。これにより、受板35の下方からでもこの開口部35aを通してタイヤ接地面4を透視できる。またスライドブロック39は、前記第2の可動枠33のレール部材40に沿ってタイヤ接地台6を円滑に移動させる。
【0018】
前記第2の可動枠33は、前記タイヤ接地台6よりも長さが大に形成されることによりタイヤ接地台6をその上で移動させることができ、本例では基板部45と、この基板部45に支持柱46を介して保持されかつタイヤ接地台6の長手方向と平行かつ直線にのびる平行な2本のレール部材40、40とを含んでいる。また第2の可動枠33には、図2に示すように、両端を回動自在に保持されかつタイヤ接地台駆動用の電動機M2によって回動しうるねじ軸47が前記レール部材40と平行に配されている。また前記タイヤ接地台6には、前記受板35の下面にこのねじ軸47に螺合するボールナット部49を固着している。
【0019】
これにより、前記電動機M2を所定の向きに回転させると、タイヤ接地台6は、第2の可動枠33のレール部材40に沿って移動できる。また本例では、前記電動機をM2駆動することにより、例えばタイヤ接地台6を20mm/sec 程度の速度範囲で移動させることができ、その水平方向の移動力は約2000Nまで設定しうる。このタイヤ接地台6の移動速度は、速度センサー(図示省略)などで適宜測定しうる。また本例では、前記ねじ軸47のねじ山のピッチ(リード)を大としており、前記電動機M2を停止した状態においてタイヤ接地台6を前記レール部材40に沿って移動させることにより、ねじ軸47側を回転させることもできる。また本例では、ボールネジ機構によりタイヤ接地台6を第2の可動枠33に対して移動させるものを例示したが、これに代えてアクチュエーター等の直動機器を用いてもよく、さらにはラックピニオンやベルト、チエーン等を用いて構成することもできる。
【0020】
また本実施形態の接地面解析装置1は、図2、図4に示す如く、第2の可動枠33と第1の可動枠32との間にはスリップ角調節部50を、また第1の可動枠32と固定部31との間にはキャンバー角調節部51をそれぞれ設けたものを例示している。
【0021】
スリップ角とは、タイヤ2の進行方向(例えばタイヤ2の赤道C)と路面の進行方向(例えばタイヤ接地台6の幅中心線)との交差角度であって、例えば旋回状態ではこのスリップ角が大となる。前記スリップ角調節部50は、垂直軸を中心として湾曲しかつ曲率の中心を同位置に設定した向き合う一対の円弧レール53と、この円弧レール53に案内されて円弧移動しうるスライドブロック55とを含んで構成される。本例の円弧レール53は前記第1の可動枠32の上面の両端に、またスライドブロック55は第2の可動枠33の前記基板部45の下面の円弧レール53に対応する位置にそれぞれ設けたものを例示している。
【0022】
また円弧レール53の曲率の中心は、タイヤ回転軸3の軸中心線と直角に交わる垂直軸Z(図1に示す)上に設定してある。このように、第2の可動枠33を、垂直軸Zの廻りで回動させかつ所定の位置で固定することにより、タイヤ2とタイヤ接地台6との間でスリップ角を発生させることができ、旋回状態に近い接地面の解析も可能となる。なおスリップ角調節部50は、円弧レール53とスライドブロック55との組合せに代えて、前記垂直軸Zを回転中心とする軸受部材を用いて第2の可動枠33をターンテーブル状に回転させるようにも構成しうる。またスリップ角の調節は、各種のアクチュエータを用いて自動化しても良いし、必要に応じて手動でも調節しうる。
【0023】
また前記第1の可動枠32は、本例では略水平にのびる板状の基部32Aの両端に下方に突出した垂下部32Bを具え、本例では前記固定部31との間に前記キャンバー角調節部51が設けられる。キャンバー角とは、タイヤ2の赤道Cを通る平面(以下、「赤道面」という。)と路面(例えばタイヤ接地台6の上面)とのなす角度であって、通常、四輪自動車にはキャンバー角が与えられた状態でタイヤ2が装着されている。前記キャンバー角調節部51は、本例ではタイヤ2の赤道面を通る水平軸を中心として湾曲しかつこの水平軸は透光板5の上面(図1に符号Yで示す。)に設定した円弧レール57と、この円弧レール57に案内されて円弧移動しうるスライドブロック59とを含んで構成される。本例の円弧レール57は前記固定部31の側端面に、またスライドブロック59は第1の可動枠32の前記垂下部31Bの内面にそれぞれ設けられたものが例示される。
【0024】
このように、第1の可動枠32を、前記水平軸Yの廻りで回動させ、かつ適宜の位置で固定することにより、タイヤ2と前記タイヤ接地台6との間でキャンバー角を発生させることができ、実車走行により近づけた状態にて接地面の解析も可能となる。なおスリップ角調節部50と同様に円弧レール57とスライドブロック59の組合せに代えて、種々の機構が採用しうるのは言うまでもなく、またキャンバー角の調節は、各種のアクチュエータを用いて自動化しても良いし、必要に応じて手動調節としても良い。
【0025】
また本実施形態では、前記第2の可動枠33の基板部45には、例えばタイヤ接地面4を撮像しうる撮像装置60が設けられている。この撮像装置60は、接地面4の直下に位置決めされ固定され、前記受板35の開口部35aより接地面4を透視して所定の撮像をなしうる。また透光板5の側縁部には、例えば適宜光源(図示省略)を配置し、タイヤ接地面4の形状が細部まで明確に撮像されうるようにすることも好ましく採用できる。撮像装置60によって得られた画像データは、例えば必要な画像処理がなされて接地形状などの解析に供される。
【0026】
また本発明の接地面解析装置1は、タイヤ接地面4に制動力を与えた制動状態にする制動手段9と、タイヤ2の接地面に駆動力を与えた駆動状態にする駆動手段10とを具えることを特徴事項の一つとしている。
【0027】
前記制動手段9は、例えばタイヤ接地台6の駆動による移動によって伴廻りするタイヤ2の回転方向と反対方向に回転させる向きにタイヤ2を付勢するタイヤ付勢具61から構成することができる。このタイヤ付勢具61は、本例では錘体62と、この錘体62を前記タイヤ回転軸3に連係させ、該タイヤ2に制動力を与えうる第1の連結具63とから構成されたものが例示される。
【0028】
前記錘体62は、本例では金属材からなりかつ一側面から半径方向にのびる切欠き溝を有する円盤状の錘プレート62aと、この錘プレート62aを載置しうるプレート受け具62bとから構成される。プレート受け具62bは、底板部65から上方に軸部材64を突出させて形成されている。そして、この軸部材64には、前記錘プレート62aが切り欠き溝を用いて側方から必要個数が挿入され、かつ軸部材64の上部に設けたナット部により複数個の錘プレート62aを軸方向に締め付けしうる。これにより、錘プレート62aとプレート受け具62bとを容易に一体化し錘体62を簡易に構成しうる。なお錘体62の重量は、タイヤ回転軸3への負荷トルクとして働き、結果としてタイヤ2への制動力として作用する。またこの制動力は錘プレート62aの個数を変えることにより調節でき操作性を高めうる。また軸部材64の上端には、第1の連結具63として本例ではワイヤ66の一端が固着されている。
【0029】
また前記ワイヤ66は、上方にのび前記回転軸支持フレーム16の上部に固着された本例では2つの受けプーリP1、P1に巻掛けされた後、下方に方向転換されるとともに、該ワイヤ66の他端はタイヤ回転軸3の他端側に固着された第2のプーリ70に連結されている。本例ではタイヤ接地台6が図1において矢印A方向に駆動され、この駆動によりタイヤ2は矢印C方向に伴廻りする。この伴廻りにより、第2のプーリ70が前記錘体62を引き上げるようワイヤ66の他端が該第2のプーリ70に連結される。また本実施形態では、タイヤ回転軸3は、前記第2のプーリ70を該タイヤ回転軸3から切り離しうる電磁クラッチ71を具えることにより、錘体62による前記制動力を必要に応じて断ち、あるいは負荷させることができる。なお第1の連結具63は、ワイヤ66に代えてチエーン、ベルトなどを用いても良い。
【0030】
本例の錘体62は、例えば0〜1500N程度の範囲で調節可能に構成され、また第2のプーリ70の有効半径を0.3mとしている結果、タイヤ回転軸3には、タイヤ2の伴廻りと逆向きに0〜450N・mの負荷トルクを作用させることができる。また前記錘体62の底板部65は、その両側に係合用に切り欠いた矩形の溝部73が形成されるとともに、この溝部73を前記回転軸支持フレーム16に隣接して形成された一対のガイド柱75に係合させている。これにより、タイヤ回転軸3が回転し、第2のプーリ70がワイヤ66を介して錘体62を巻き上げる際など、前記錘体62はガイド柱75に沿って円滑に上昇しまた下降できる。なお前記ワイヤ66の途中に、バネ秤(図示省略)などを配して錘体62の重量を測定するようにも構成しうる。
【0031】
前記駆動手段10は、本例ではタイヤ回転軸3の駆動による前記タイヤ2の回転によって伴移動する前記タイヤ接地台6の移動方向と反対方向に移動させる向きに前記タイヤ接地台6を付勢する接地台付勢具90から構成されている。接地台付勢具90は、本例では前記錘体62と、この錘体62を前記タイヤ接地台6に連係させて該タイヤ接地台6に前記駆動力を与える第2の連結具91とから構成されたものが例示される。
【0032】
前記錘体62は、本例では制動手段9で用いたものと同一に構成され、同一部分には同一の符号を付しここでの説明は省略する。また第2の連結具91は本例ではワイヤ93から構成され、その一端が、前記錘体62の軸部材64の上端に連結される。またワイヤ93は、前記錘体62を上下に案内しうる前記ガイド柱75を有するフレーム枠95の上端に固着された2つの受けプーリP2、P2に巻掛けされた後、下方に方向転換されるとともに、このワイヤ93を略水平に向き変えしうる向き変えプーリP3を経て該ワイヤ93の他端を前記タイヤ接地台6に連結している。
【0033】
またワイヤ93は、前記他端に取付、取り外し容易なフックFが固着されるとともに、このフックFをタイヤ接地台6に設けた係止金具97に引っ掛けて係止することにより前記タイヤ接地台6に連結される。従って、このフックFを外すことにより、タイヤ接地台6の伴移動と逆向きの付勢力を容易に解除できる。
【0034】
以上のように構成された本実施形態の接地面解析装置1の作用について先ず制動状態を再現する動作について説明する。リム13に例えば正規内圧でタイヤ2をリム組みし、該リム13をタイヤ回転軸3のリム取付片12に固定する。このときタイヤ接地台6は本例では図1に示すように位置決めされている。次に、押圧手段7であるエアシリンダを作動させてタイヤ2とともにタイヤ回転軸3を下降させ、タイヤ接地台6の透光板5にタイヤ2のトレッド面2aを押圧する。このとき、タイヤ2に負荷する縦荷重は、エアシリンダの空気圧を変えることにより調節できる。またタイヤ回転軸駆動用の電動機M1の停止によりタイヤ回転軸3は予め自由転動状態にあり、またタイヤ接地台6には、接地台付勢具90との連係を前記フックFを外して解除している。
【0035】
次に、スリップ角調節部50、キャンバー角調節部51を操作し、タイヤ接地台6を垂直軸Z或いは水平軸Yの廻りで所定量回転移動させてその位置で固定し、タイヤ2と透光板5との間に必要に応じたスリップ角及び/又はキャンバー角を設定する。
【0036】
次にタイヤ接地面4に制動力を与えた制動状態にするために、タイヤ付勢具61において錘体62の重量を調節した後、前記電磁クラッチ71を切り換えて第2のプーリ70とタイヤ回転軸3とを接続しておく。
【0037】
しかる後、タイヤ接地台駆動用の電動機M2を回転駆動させると、図5に略示するようにタイヤ接地台6が矢印A方向に移動する。このタイヤ接地台6の駆動による移動に伴い、摩擦力によってタイヤ2は回転方向Cに伴廻りするが、この伴廻りは第2のプーリ70を回転させ錘体62の持ち上げを伴う結果、タイヤ2には、その伴廻りの回転方向Cと反対の回転方向Bの付勢力(制動力)が加わり、タイヤ2の伴廻りに抵抗を与える。これにより、タイヤ接地面4には、実質的なタイヤ周方向の剪断力が生じ、これが接地面のトレッドゴムの大きな変形をもたらし、実走行中においてタイヤ2の周速よりも路面移動速度が大きい制動状態に近い接地面形状を作り出すことができる。そして、この接地面4を前記撮像装置60によって撮像しかつ解析しうる。
【0038】
この制動状態において、錘体62の重量は、過小であると制動力が小さすぎて接地面4に作用する剪断力が小さくなり、逆に過大であるとタイヤ2が伴廻りせずに逆転する。ここで、錘体62の重量をW、第2のプーリ70の有効半径をr、タイヤ2の接地半径をRとするとき、W×r/Rで得られる制動力Fbをタイヤ2にかかる前後力と言う。そして、タイヤ2に作用する垂直荷重をFvとすると、比(Fb/Fv)を0〜0.5、より好ましくは0よりも大かつ0.5以下、さらに好ましくは0.1〜0.3、より好ましくは0.2程度で試験を行うのが良い。これにより、実走行での制動状態にきわめて近似した望ましいタイヤ2の接地面を観察することができる。なお前記比(Fb/Fv)が0のとき、いわゆるフリーローリング状態となる。
【0039】
次に、接地面解析装置1の駆動状態を再現する動作について説明する。タイヤ2をタイヤ回転軸3に装着するとともに、押圧手段7であるエアシリンダを作動させてタイヤ接地台6の透光板5にタイヤ2のトレッド面2aを押圧してタイヤ2に縦荷重を与える所までは前記手順と同一である。またタイヤ回転軸駆動用の電動機M1の停止によりタイヤ回転軸3は予め自由転動状態にあり、またタイヤ接地台6には、接地台付勢具90との連係を前記フックFを外して解除している。また前記同様にスリップ角調節部50、キャンバー角調節部51を操作し、タイヤ接地台6を垂直軸Z或いは水平軸Yの廻りで所定量回転移動させてその位置で固定し、タイヤ2と透光板5との間に必要に応じたスリップ角及び/又はキャンバー角を設定する。
【0040】
次にタイヤ接地面4に駆動力を与えた駆動状態にするために、接地台付勢具90において錘体62の重量を調節した後、前記フックFをタイヤ接地台6の係止金具97に引っ掛け両者を連結する。しかる後、タイヤ回転軸駆動用の電動機M1を回転駆動させ、図6に略示するようにタイヤ回転軸3の駆動による前記タイヤ2の回転(回転方向C)に伴い、摩擦力によりタイヤ接地台6が矢印A方向に伴移動する。またこの伴移動は、ワイヤ93を引っ張って接地台付勢具90の錘体62の持ち上げを伴う結果、タイヤ接地台6には、その移動方向Aとは反対方向Bの付勢力(駆動力)が加わり、タイヤ接地台6の伴移動に抵抗を与える。これにより、タイヤ接地面4には、実質的なタイヤ周方向の剪断力が生じ、これが接地面のトレッドゴムの大きな変形をもたらし、実走行中において路面移動速度よりもタイヤ2の周速が大きい駆動状態に近似した接地面形状を作り出すことができる。そして、この接地面4を例えば前記撮像装置60などで観察しかつ解析しうる。
【0041】
この駆動状態において、錘体62の重量は、過小であると駆動力が小さすぎて接地面に作用する剪断力が小さくなり、逆に過大であるとタイヤ接地台6が伴移動せずに逆移動する。このような観点より、錘体62の重量Wに等しい駆動力Fdを、タイヤ2の回転力Fcよりも小、好ましくは前記タイヤの垂直荷重Fvとの比(Fc/Fv)を0〜0.5、より好ましくは0よりも大かつ0.5以下、さらに好ましくは0.1〜0.3、より好ましくは0.2程度で試験を行うのが良い。これにより、実走行での駆動状態にきわめて近似した望ましいタイヤ接地面4を観察することができる。なお前記比(Fc/Fv)が0のとき、フリーローリング状態となる。
【0042】
なお本実施形態の接地面解析装置1では、例えば制動手段9、駆動手段10はいずれも電磁クラッチ71やフックFにより係脱自在に設けられているため、これらをいずれも遮断してタイヤ2を所定の接地圧にてタイヤ接地台6の透光板5に接地させるとともに、タイヤ2又はタイヤ接地台6のいずれかを駆動することにより、従来と同様にタイヤ2の転がり状態の接地面を透光板5の裏面側から観察でき、また撮像することもできる。
【0043】
【発明の効果】
上述したように、本発明の室内用タイヤ接地面解析装置は、タイヤ接地面に制動力を与えた制動状態にする制動手段と、駆動力を与えた駆動状態にする駆動手段を具えることにより、実走行状態に近似した制動時、駆動時でのタイヤ接地面を再現してこれを解析することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を例示する全体斜視図である。
【図2】その平面図である。
【図3】その正面図である。
【図4】その部分右側面図である。
【図5】本発明の作用として制動状態を説明する略図である。
【図6】本発明の作用として駆動状態を説明する略図である。
【図7】従来の技術を説明するタイヤ接地面解析装置の略図である。
【符号の説明】
1 室内用タイヤ接地面解析装置
2 タイヤ
3 タイヤ回転軸
2a トレッド面
4 タイヤ接地面
5 透光板
6 タイヤ接地台
7 押圧手段
9 制動手段
10 駆動手段
Claims (2)
- タイヤを支持しかつ回転しうるタイヤ回転軸と、
前記タイヤのトレッド面に接しかつタイヤ接地面が裏面から透視可能な透光板を有ししかも前記タイヤと伴移動しうるタイヤ接地台と、
前記タイヤに対して相対的に上下動し前記タイヤ接地台にタイヤを押圧する押圧手段を具えるとともに、
前記タイヤ接地面に制動力を与えた制動状態にする制動手段と、前記タイヤ接地面に駆動力を与えた駆動状態にする駆動手段とを具え、
かつタイヤと前記タイヤ接地台との間でスリップ角を発生させ、旋回状態に近い接地面の解析も可能とするスリップ角調節部、及びタイヤと前記タイヤ接地台との間でキャンバー角を発生させ実車走行により近づけた状態にて接地面の解析を可能とするキャンバー角調節部を設けるとともに、
前記制動手段は、前記タイヤ接地台の駆動による移動によって伴廻りするタイヤの回転方向と反対方向に回転させる向きに前記タイヤを錘体を用いて付勢するタイヤ付勢具からなることを特徴とする室内用タイヤ接地面解析装置。 - 前記駆動手段は、前記タイヤ回転軸の駆動による前記タイヤの回転によって伴移動する前記タイヤ接地台の移動方向と反対方向に移動させる向きに前記タイヤ設置台を錘体を用いて付勢する接地台付勢具からなることを特徴とする請求項1記載の室内用タイヤ接地面解析装置。
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