JPS6313472Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車を室内で試験するシヤシダイナ
モメータに関し、特に駆動方式の異なる車種に対
応できるようにしたものの改良に関する。

路上での車両の走行条件を室内再現して試験を
行うため従来からシヤシダイナモメータが使用さ
れている。このシヤシダイナモメータでは、車両
の駆動輪をローラ上に載せる一方、他方の車輪を
床面に固定して試験が行われる。

ところが、車両の駆動方式としては後輪を駆動
輪とするもの（以下、FR車と言う。）と、前輪を
駆動輪とするもの（以下、FF車と言う。）とが採
用されていることから、第１図に示すようにFR
車１の場合には、後輪をピツト２内に設置されて
いる動力計３のローラ４上に位置させ、更に車両
の前方に冷却装置５を設置すると共に各種の計測
器も車両の位置に合わせて設置して試験を行う。
またFF車６の場合には、駆動輪が前輪である為、
前輪がローラ４上に載るようにFR車１の場合に
比べ、車両を試験室の後方で固定しなければなら
ず、しかも冷却装置５等もこれに伴つて移動しな
ければならない。従つて冷却装置５等の移動や調
整が煩雑であると共に大きな試験室が必要となる
等の欠点が、上述したシヤシダイナモメータには
あつた。

その為、これらの欠点を解決する一手段とし
て、第２図及び第３図に示すように、動力計３及
びローラ４を取り付けたベツド７を、ピツト底８
に固定したレール９上に往復動自在に載置し、駆
動モータ１０にチエーン１１で連結して同期回転
される１対の送りねじ１２によつて往復駆動でき
るようにして、車両及び冷却装置５等を移動しな
くても良いようにしたシヤシダイナモメータも考
えられている。ところがこのように送りねじ１２
によつて重いベツド７を往復駆動するには、送り
ねじ１２の径を大きくしなければならず、これに
伴つてねじの加工作業に手間がかかるようにな
る。更にベツド７のストロークを大きくするに
は、送りねじ１２の長さも長くしなければなら
ず、長い送りねじ１２を支持するのが困難にな
る。また試験をするときには、ベツド７を固定し
ておかなければならず、従来は第４図に示すよう
に、ベツド７に固定したエアシリンダ１３（若し
くは油圧シリンダ）のピストンロツド下端に取り
付けた係止部材１４によつて、レール９とベツド
７とをクランプするようにしている。図面では、
ベツド７がレール９に対して摺接するようになつ
ているが、実際には、摩擦抵抗を小さくする為車
輪が取り付けられている。従つて車輪を介してベ
ツド７をレール９にクランプさせるには、エアシ
リンダ１３の圧力を高めなければならず、その結
果、重いベツド７を支えている車輪に更に、荷重
が加わり、車輪の寿命を縮めたり、破壊したりし
ていた。またこのエアシリンダ１３が故障した場
合には、クランプすることができないうえ、試験
中にクランプ状態が解除されると、高速回転して
いるローラを支えるベツド７が不安定になり非常
に危険であり、安全性に欠けていた。

そこで本考案は、これら多くの欠点を解消し、
ローラ４を支持するベツド７の往復動及びクラン
プが支障なく行えるシヤシダイナモメータを提供
することを目的とする。

かかる目的を達成する為の本考案の構成は、自
動車の駆動輪が当接して回転駆動されるローラ及
び前記ローラに連結した動力計が載置されるベツ
ドと、このベツドを往復案内すると共にピツト底
に敷設された複数のクランプ用案内レールと、一
端部が前記ベツドにピンを介して回動自在に取り
付けられたレバーと、前記ベツドを上下方向に貫
通すると共に上端部が前記レバーの一端側に枢着
されたロツドと、前記ベツドに固定され且つ前記
レバーの他端部にピストンロツド上端部が枢着さ
れると共に前記ピンを支点として前記ロツドを上
下駆動するシリンダと、前記ロツドの下端部に水
平軸を介して回転自在に取り付けられ且つ前記ベ
ツドを持ち上げた前記ロツドの下降状態で前記ク
ランプ用案内レール上を転動し得る車輪と、前記
ロツドの下端に突設され且つ車輪が浮き上がつた
前記ロツドの上昇状態で前記ベツドを前記レール
との間でクランプする係止突起と、前記レバーと
前記ベツドとの間に設けられ且つ前記ロツドを上
昇するようなばね力を前記レバーに付与するばね
と、前記クランプ用案内レールと平行に前記ピツ
ト底に敷設され且つ長手方向に沿つて係合部が設
けられた固定・噛み合い部材と、この固定・噛み
合い部材の前記係合部に係合すると共に前記ベツ
ドに駆動回転自在に支持され且つ前記ロツドの上
昇状態で前記ベツドを往復動する回転係合部材と
から成る。

以下本考案を図面に示す一実施例を基に詳細に
説明する。本実施例によるシヤシダイナモメータ
を平面から見た第５図及び正面から見た第６図に
示すように、１対のローラ４を回転自在に支持す
ると共にこれらローラ４に連結された動力計３を
固定したベツド７が、レール（クランプ用案内レ
ール）９ａ，９ｂに車輪（後で詳しく述べる）を
介して往復動自在に載置されている。このベツド
７を往復駆動する装置として、レール９ａと９ｂ
との間にこれらと平行に設けられた１対の固定・
噛み合い部材１５，１５ａに、第７図に示すよう
なチエーン（係合部）１６，１６ａがそれぞれブ
ラケツト１７を介して敷設されており、更に駆動
モータ１８にチエーン１９を介して連結されると
共に、両端部に前記チエーン１６，１６ａにそれ
ぞれ係合するスプロケツト（回転係合部材）２
０，２０ａを固定した駆動軸２１が、ベツド７に
回転自在に取り付けられている。従つて、駆動モ
ータ１８の回転駆動により、ベツド７がレール９
ａ，９ｂに沿つて移動される。一方、第９図に示
すように、一端部（図中左側）がベツド７にピン
２２を介して回動自在に枢支されたレバー２３の
他端部には、上下方向に沿つてベツド７に固定さ
れたエアシリンダ（シリンダ）２４のピストンロ
ツド２５が、圧縮コイルばね（ばね）２６を介し
て枢着されている。尚この圧縮コイルばね２６の
ばね力は後述するクランプ状態となる位の強さが
ある。このレバー２３の一端側には、レバー２３
の回動よりピン２２を支点として上下動されるロ
ツド２７の上端部がレバー２３に枢着されてお
り、このロツド２７の下端部には、レール９ａ上
を転動し得る車輪２８を回転自在に取り付けた水
平軸２９が固定されている。更にこのロツド２７
の下端には、レール９ａ内に位置すると共にレー
ル９ａの巾方向に突出する係止突起３０が突設さ
れている。これら係止突起３０と車輪２８とは、
ロツド２７の下降状態で車輪２８がレール９ａを
押圧して、ベツド７が持ち上げられるようにまた
ロツド２７の上昇状態で車輪２８がレール９ａか
ら離れて係止突起３０がレール９ａ内に当接でき
るように、間隔が開けられており、この係止突起
３０がレール９ａ内に当接するときは、ベツド７
の底部に突設したクランプ部材３１が、レール９
ａ上に当接して、これらクランプ部材３１と係止
突起３０とで、ベツド７をレール９ａに対してク
ランプするようになつている。尚クランプ部材３
１はピツト底８に当接するようにしても良い。こ
の車輪２８と係止突起３０等を具えた装置は、第
５図でわかるように、レール９ａ，９ｂに対して
２箇所づつ設けられており、つまり４箇所でベツ
ド７を移動自在に支えると共にクランプするよう
に本実施例ではなつている。

またレバー２３の中央部には、２つの突起３
２，３２ａが突設されており、レバー２３の回動
によつてロツド２７の下降状態でベツド７が持ち
上げられた状態と、車輪２８がレール９ａ，９ｂ
から離れてベツド７をレール９ａ，９ｂにクラン
プした状態とをそれぞれ突起３２，３２ａの当接
により感知する１対のセンサ３３，３３ａが、ブ
ラケツト３４を介してベツドに固定されている。

従つて４つのエアシリンダ２４が作動してそれ
ぞれのピストンロツド２５が、圧縮コイルばね２
６のばね力に抗して下動するとロツド２７が下降
状態となり、このロツド２７が車輪２８を介して
レール９ａ，９ｂ上を押圧すると共にその反力
で、ベツド７がレール９ａ，９ｂから持ち上げら
れ、車輪２８で支えられる。その結果、ベツド７
は、レール９ａ，９ｂ上を移動自在となり、駆動
モータ１８によつてスプロケツト２０，２０ａを
往復回転駆動させると、ベツド７は往復動され
る。またエアシリンダ２４のエアを抜くと、圧縮
コイルばね２６のばね力により、ロツド２７が上
動されると共にクランプ部材３１が、レール９
ａ，９ｂに当接し更に係止突起３０が、レール９
ａ，９ｂ内から上方に押圧してクランプされる。

尚、言うまでもないが、車両の載るピツトカバ
ー２′（第２図参照）は、ピツトカバー２′上に突
出するローラ４が移動できるように、その部分だ
け移動自在となつている。また本実施例で用いた
エアシリンダ２４は、油圧シリンダに置き換えて
も良い。更にレバー２３の支点（ピン２２のある
部分）の位置をロツド２７よりエアシリンダ２４
側に置いても良いが、この場は、圧縮コイルばね
２６を引張りコイルばねに取り換える等しなけれ
ばならない。またチエーン１６，１６ａ及びスプ
ロケツト２０，２０ａの代わりに、ラツクとピニ
オンや、或いは敷設したボールスクリユとベツド
に取り付けた回転駆動ナツト等他の固定・噛み合
い部材や回転係合部材を用いることも可能であ
る。

以上説明したように本考案は、FF車及びFR車
に対応させて移動できるシヤシダイナモメータ
を、移動時は車輪を介してベツドを支え、クラン
プ時は車輪を浮かせてベツドをレール上若しくは
ピツト底に載置した状態で行えるようにしたの
で、移動がスムーズに行えると共にクランプ時に
車輪に無理な力が加わらず、車輪の寿命が延びる
うえクランプ状態が確実となる。更にベツドを持
ち上げる為のシリンダが壊れた場合は、ばね力に
よつて自動的にクランプされるので非常に安全な
シヤシダイナモメータが提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の固定式のシヤシダイナモメータ
を示した説明図、第２図は従来の移動式のシヤシ
ダイナモメータの正面図、第３図はその平面図、
第４図はそのクランプ部の説明図、第５図〜第９
図は本考案によるシヤシダイナモメータの一実施
例に係り、第５図は平面図、第６図は正面図、第
７図は第５図のＡ部拡大図、第８図は第６図のＡ
部拡大図、第９図は第６図のＢ部拡大図である。 図面中、３は動力計、４はローラ、７はベツ
ド、８はピツト底、９ａ，９ｂはクランプ用案内
レール、１５，１５ａは固定噛み合い部材、１
６，１６ａは係合部材、２０，２０ａは回転係合
部材、２２はピン、２３はレバー、２４はシリン
ダ、２５はピストンロツド、２６はばね、２７は
ロツド、２８は車輪、２９は水平軸、３０は係止
突起である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車の駆動輪が当接して回転駆動されるロー
   ラ及び前記ローラに連結した動力計が載置される
   ベツドと、このベツドを往復案内すると共にピツ
   ト底に敷設された複数のクランプ用案内レール
   と、一端部が前記ベツドにピンを介して回動自在
   に取り付けられたレバーと、前記ベツドを上下方
   向に貫通すると共に上端部が前記レバーの一端側
   に枢着されたロツドと、前記ベツドに固定され且
   つ前記レバーの他端部にピストンロツドの上端部
   が枢着されると共に前記ピンを支点として前記ロ
   ツドを上下駆動するシリンダと、前記ロツドの下
   端部に水平軸を介して回転自在に取り付けられ且
   つ前記ベツドを持ち上げた前記ロツドの下降状態
   で前記クランプ用案内レール上を転動し得る車輪
   と、前記ロツドの下端に突設され且つ車輪が浮き
   上がつた前記ロツドの上昇状態で前記ベツドを前
   記レールとの間でクランプする係止突起と、前記
   レバーと前記ベツドとの間に設けられ且つ前記ロ
   ツドを上昇するようなばね力を前記レバーに付与
   するばねと、前記クランプ用案内レールと平行に
   前記ピツト底に敷設され且つ長手方向に沿つて係
   合部が設けられた固定・噛み合い部材と、この固
   定・噛み合い部材の前記係合部に係合すると共に
   前記ベツトに駆動回転自在に支持され且つ前記ロ
   ツドの上昇状態で前記ベツドを往復動する回転係
   合部材とから成るシヤシダイナモメータ。