JP2825034B2 - 車両の制動試験装置 - Google Patents

車両の制動試験装置

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JP2825034B2
JP2825034B2 JP3287885A JP28788591A JP2825034B2 JP 2825034 B2 JP2825034 B2 JP 2825034B2 JP 3287885 A JP3287885 A JP 3287885A JP 28788591 A JP28788591 A JP 28788591A JP 2825034 B2 JP2825034 B2 JP 2825034B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両のブレーキシステム
及びアンチスキッドシステムが適性となっているか否か
を測定する車両の制動試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両を製造した後に、車両に組込まれた
ブレーキシステムとアンチスキッドシステムとが適性に
作動するようになっているか否かを試験している。アン
チスキッドシステムは通常ABSと指称され、急制動時
における車両の方向安定性と制動距離を短縮するために
使用される装置である。このABSは、通常、車輪速度
を微分して得られる車輪の加速減速度と、車輪速度及び
車両速度により求められるスリップ率とによって、車輪
がロックあるいは空転に向かう状態であるか否かを判別
する。このようなABS及びブレーキシステムが適性に
作動するか否かについては、車両の組立てが完了した後
に、それぞれ試験装置によりテストがなされている。
【0003】図12(A)(B)は、ブレーキシステム
を試験するための従来の制動力試験装置を示す図であ
り、所定の間隔を隔てて平行状態となった2本のタイヤ
駆動ローラ1が設けられたタイヤ保持ユニット2が、車
両Bに設けられた車輪Wの位置に対応させて設置されて
いる。1つのユニット2に対をなして設けられたタイヤ
駆動ローラ1は、相互にチェーン3により同期して回転
するように連結され、図示するように、外周面に溝が加
工されている。そして、これらのローラ1はユニット2
に設けられたモータ4により動力伝達ベルト5を介して
駆動され、このモータ4がタイヤ駆動ローラ1を回転さ
せることによって、車輪Wが回転駆動される。したがっ
て、完成車両のブレーキシステムを検査するには、検査
作業者がブレーキペダルPを踏むと、タイヤWが制動さ
れてその制動力がタイヤ駆動ローラ1に伝達される。こ
れにより、タイヤ駆動ローラ1に直結して設けられた図
示しない制動力検出器が制動力を検知し、図示しない制
御盤を介してテスト結果が表示部に表示されるようにな
っている。
【0004】車両に設けられたABSをテストする場合
には、図12に示された試験装置を用いたのでは、溝加
工がなされたタイヤ駆動ローラ1が使用されているの
で、このローラ1とタイヤとの摩擦抵抗が高過ぎて、タ
イヤWがロックせずABSが作動しない。このため、従
来では、ABSを有する車両に対しては、図13に示さ
れるフリーローラーテスターとも言われるABS試験装
置が使用されている。この試験装置は、相互にチェーン
13により同期して回転するようになった2つのフリー
ローラ11、12と、一方のフリーローラ12に隣接さ
れて配置された補助フリーローラ14とを有している。
このABS試験装置により、フリーローラ上でのキック
バック、つまりペダルから伝わる周期的な反力の変動を
作業者が五感で検査するいわゆる官能評価を行なってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、ABSが
設けられた車両に対しては、従来、制動力試験装置によ
ってブレーキシステムの試験を行なった後に、車両をA
BS試験装置にまで搬送して、そこでABSの試験を行
なう必要があり、ABSの試験を含めた制動試験の作業
性が良好でない。
【0006】そこで、本発明は同一の装置でブレーキシ
ステムの試験と、ABSの試験とを行ない得る車両の制
動試験装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、車両に組込まれたブレーキシステムとアン
チスキッドシステムの適性試験するために、相互に平行
となって対をなし被測定車両の車輪の位置に対応して配
置されて前記車輪が載置される複数対のタイヤ駆動ロー
を有し、それぞれのタイヤ駆動ローラに、車輪との間
の摩擦抵抗が高い高摩擦領域と、車輪との間の摩擦抵抗
が低い低摩擦領域とを隣接して形成してなる車両の制動
試験装置であって、前記対のタイヤ駆動ローラ間に設け
られ、前記車輪を支持するリフタープレートと前記タイ
ヤ駆動ローラのいずれか一方を昇降可能とし、かつ前記
リフタープレートとタイヤ駆動ローラのいずれか一方を
当該タイヤ駆動ローラの軸方向に移動可能とし、前記リ
フタープレートにより前記車輪を支持した状態で、前記
リフタープレートとタイヤ駆動ローラのいずれか一方を
昇降するとともに当該車輪と前記タイヤ駆動ローラとの
タイヤ駆動ローラの軸方向における相対位置を変更し、
当該車輪が前記タイヤ駆動ローラの高摩擦領域又は低摩
擦領域に選択的に載置されるようにした切換え手段を
する車両の制動試験装置である。
【0008】
【作用】車両のブレーキシステムの制動力を検査するに
は、車両の車輪をタイヤ駆動ローラの高摩擦領域に位置
決めする。この状態でタイヤ駆動ローラを回転させた状
態で作業者が車両のブレーキペダルを踏み込めば、自動
的にブレーキシステムの制動力が測定される。次いで、
切換え手段により車輪又はタイヤ駆動ローラを相対的に
昇降変位させるとともに車輪のタイヤ駆動ローラに対す
る位置も変更されるので、車輪とタイヤ駆動ローラが摩
擦接触することなく位置を変更でき、車輪に対する摩耗
が生じることなくは、車輪の位置を変更できる。 そし
て、ABSの作動状態を検査するには、切換え手段を作
動させることにより、車輪をタイヤ駆動ローラの低摩擦
領域に位置決めする。この状態でタイヤ駆動ローラを駆
動させた状態でブレーキペダルを作業者が踏み込めば、
制動力の変動状態からABSの作動が適性になされてい
るか否かが自動的に判別されることになる。
【0009】
【実施例】以下、図示する本発明の実施例について説明
する。図1(A)(B)は本発明の一実施例に係る車両
の制動試験装置を示す図であり、車両Bの前輪を保持す
る第1測定ユニット21と、後輪を保持する第2測定ユ
ニット22とを有しており、これらは基盤23の上に設
置されている。第1測定ユニット21は、基台24に形
成されたガイド溝25を転動する車輪26が台車27を
有しており、この台車27は車両Bの車幅方向に往復動
自在となっている。この台車27を駆動するために、基
台24に取付けられたパワーシリンダ28のロッド29
が台車27に連結されている。
【0010】台車27の上には、左右の車輪に対応し
て、それぞれ2本で一対をなすタイヤ駆動ローラ31が
二対取付けられている。それぞれのローラ31は車両B
の車幅方向を向き回転自在となっており、これらのロー
ラ31を駆動するために、台車27に取付けられたモー
タ32の回転が駆動力伝達ベルト33を介して、ローラ
31に伝達されるようになっている。対をなす2つのロ
ーラは、相互に連結チェーン34により同期して回転す
るようになっている。それぞれのタイヤ駆動ローラ31
は、図2(A)〜(C)に拡大して示すように、車両B
の車幅方向の一方側が表面に溝を有する溝加工部31a
となり、他方側が表面に溝を有することなく平坦となっ
た平面部31bとなっている。溝加工部31aはタイヤ
Wとの摩擦係数が高い高摩擦領域となり、平面部31b
は低摩擦領域となっている。
【0011】台車27の上面には、台車27の往復動ス
トロークに対応した長さを有する切欠き部35が、対を
なすタイヤ駆動ローラ31の間に位置させて形成されて
いる。そして、基台24に取付けられた駆動シリンダ3
6により上下動自在となったリフタープレート37が、
切欠き部35の位置に設けられている。後の車輪を保持
する第2測定ユニット22についても、第1測定ユニッ
ト21と同様の構造となっており、第1測定ユニット2
1における部材と共通する部材には同一の符号が付され
ている。
【0012】図1は車両Bのブレーキシステムの制動力
を試験している状態を示す図であり、このときには、図
1(B)に示されるように、車輪Wは全てタイヤ駆動ロ
ーラ31の溝加工部31aに支持されている。図3
(A)(B)はリフタープレート37により車輪W全て
を支持することにより、車両Bを台車27から上昇させ
た状態を示す。この状態のもとで、台車27を所定のス
トローク移動させることにより、車輪Wの下方にタイヤ
駆動ローラ31の平面部31bが位置決めされる。図4
(A)(B)は、この状態のもとで、リフタープレート
37を下降移動させて、車輪Wを平面部31bに載置し
た状態を示し、この状態のもとで、ABSの作動試験が
なされる。
【0013】図5は上述した制動試験装置の制御回路を
示す図であり、タイヤ駆動ローラ31を駆動するための
モータ32と、それぞれのローラ31に直結された制動
力検出器41とからの信号は、CPU等が内蔵された制
御盤42に送られるようになっており、この制御盤42
からは測定結果を表示する表示部43に信号が送られる
ようになっている。
【0014】本発明においては、ABSの評価を官能評
価することなく、上記装置を用いて、定量的にABSの
機能を評価するようにしている。ABSを有する車両の
場合には、車輪Wが所定の回転速度となった状態で、ブ
レーキペダルPを踏むと、直ちに制動力が上昇するが、
所定の制動力の上限値となると制動力が低下されるよう
になっており、ABSは制動力の変動を繰り返す。図6
はある車種の車両における制動力の変動状態を示す図で
あり、ABSが適性に作動した場合における設定時間T
内の変動回数つまり作動回数は、車種に応じて予め実験
的に求められた。この実験データは、制御盤42内に設
けられたメモリー内に格納されており、ブレーキペダル
Pを踏むことにより、まず制動力の下限値Lを越えた時
点で、制御盤42内に設けられたタイマーが起動し、そ
れ以降、下限値Lよりも制動力が低下する毎に作動回数
がカウントされる。設定された時間T内に、予め定めら
れた作動回数Nがカウントされたならば、その車両のA
BSは所望の性能を有していることが自動的に判断され
る。ただし、変動数のカウントは上限値を越えた時点で
カウントするようにしても良い。
【0015】次に、上述した試験装置により車両の制動
試験を行なう手順について、図7〜図9に示すフローチ
ャートを参照しつつ説明する。
【0016】車両Bは、上昇限におけるリフタープレー
ト37とほぼ同一のレベルとなるように設けられた車両
搬入路を通って、試験装置の上にまで自走する。車両が
進入してリフタープレート37の上に車輪Wが載置され
たことが、ステップS1で判断されたならば、ブレーキ
システムの制動性能を試験するために、リフタープレー
ト37がシリンダ36によりステップS2で下降移動す
る。下降移動の完了が検出されたならば、モータ32に
よりタイヤ駆動ローラ31を駆動させる(ステップS
3、S4)。ローラ31を駆動させた状態で、作業者が
ーキペダルPを踏み込むと、タイヤWが制動されて
その制動力がタイヤ駆動ローラ31に伝達されて、制動
力検出器41により検出された制動力のデータがステッ
プS5で制御盤42に送られる。ブレーキベダルPの踏
み込みが解除されて制動力が除去されることにより、制
動力試験の終了が判断されたならば、タイヤ駆動ローラ
31の回転を停止すると共に、得られたデータに基づい
て制動力の適否を判断する(ステップS6〜S8)。こ
の判断結果が、表示部43に表示される(ステップS
9、S10)。
【0017】このようにして、ブレーキシステムの制動
力が測定された後には、ステップS11が実行されてリ
フタープレート37が上昇し、車両にABSが搭載され
ているか否かが、ステップS12で判断される。ABS
が搭載されていない車両であると判断されれば、車両は
退出することになる。検査されている車両がABSを有
しているのであれば、ステップS13で台車27を図4
に示される位置に移動させ、更にステップS14でリフ
タープレート37を下降移動させる。
【0018】下降移動の完了が検出されたならば、タイ
ヤ駆動ローラ31を駆動させて、ABSの試験が開始さ
れる(S15〜S17)。作業者がブレーキペダルPを
踏む込むことにより、制動力が下限値Lを越えたならば
(ステップS18)、ステップS19でタイマーがオン
し、ステップS20で図6に示された作動回数をカウン
トする。このタイマーにより設定された時間が経過した
ならば、ステップS21でそれを判断してステップS2
2でタイヤ駆動ローラ31の回転を停止する。そして、
ステップS23では、設定時間T内におけるカウントさ
れた作動回数を、予め被測定車両のABSが適性であれ
ば作動することになる回数と比較して、そのABSが適
正な作動状態となっているか否かを判断する。判断結果
は、ステップS24、S25で表示部43に表示され、
ステップS26〜S28が実行されて車両に対する制動
試験が完了する。
【0019】
【0020】
【0021】上述したように、図示実施例に係る試験装
置によれば、従来作業者の官能試験によってABSの作
動が適性であるか否かを試験していたのに対して、メモ
リーに記憶されている制動力の変動状態と、試験したA
BSの制動力の変動状態を比較することによって、自動
的にABSの作動が適性であるか否かを判断することが
でき、極めて効率良くブレーキシステムの制動力のみな
らず、ABSの作動試験をも行なうことが可能となる。
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、対をなす
それぞれのタイヤ駆動ローラに、ブレーキシステムの制
動力を試験するための高摩擦領域と、ABSの作動状態
を試験する低摩擦領域とが形成されており、車輪とタイ
ヤ駆動ローラが摩擦接触しないように切換え手段により
車輪とタイヤ駆動ローラとの相対位置が変更されるの
で、一台の試験装置によりブレーキシステムとABSの
作動とを連続して試験することができ、また車輪のタイ
ヤ駆動ローラに対する位置を円滑に切り換えることがで
きるので、試験の作業性が大幅に向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は制動力を試験している状態を示す本発
明の一実施例に係る制動試験装置の正面図、図1(B)
は同図(A)の平面図、
【図2】は図1に示されたタイヤ駆動ローラを示す拡大
図、
【図3】は図1に示される状態からリフターにより車両
を上昇させた状態を示す正面図と平面図、
【図4】はABSの作動試験を行なっている状態を示す
正面図と平面図、
【図5】は図1〜図4に示した装置の制御回路を示すブ
ロック図、
【図6】はABSが作動した場合における本発明の制動
力検出器が検出した制動力の変化を示す測定グラフ、
【図7】は本発明の制動試験装置の作動状態を示すフロ
ーチャート、
【図8】は本発明の制動試験装置の作動状態を示すフロ
ーチャート、
【図9】は本発明の制動試験装置の作動状態を示すフロ
ーチャート、
【図10】は従来のブレーキテスト装置を示す正面図、
【図11】は従来のABS作動試験装置を示す正面図で
ある。
【図12】は従来のブレーキテスト装置を示す正面図、
【図13】は従来のABS作動試験装置を示す正面図で
ある。
【符号の説明】
21…第1測定ユニット、22…第2測定ユニット、2
4…基台、27…台車(切換え手段)、31…タイヤ駆
動ローラ、31a…溝加工部(高摩擦領域)31b…平
面部(低摩擦領域)、41…制動力検出器、42…制御
盤、43…表示部、B…車両、P…ブレーキペダル、W
…車輪(タイヤ)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に組込まれたブレーキシステムとア
    ンチスキッドシステムの適性試験するために、相互に平
    行となって対をなし被測定車両の車輪の位置に対応して
    配置されて前記車輪が載置される複数対のタイヤ駆動ロ
    ーラを有し、それぞれのタイヤ駆動ローラに、車輪との
    間の摩擦抵抗が高い高摩擦領域と、車輪との間の摩擦抵
    抗が低い低摩擦領域とを隣接して形成してなる車両の制
    動試験装置であって、 前記対のタイヤ駆動ローラ間に設けられ、前記車輪を支
    持するリフタープレートと前記タイヤ駆動ローラのいず
    れか一方を昇降可能とし、かつ前記リフタープレートと
    タイヤ駆動ローラのいずれか一方を当該タイヤ駆動ロー
    ラの軸方向に移動可能とし、前記リフタープレートによ
    り前記車輪を支持した状態で、前記リフタープレートと
    タイヤ駆動ローラのいずれか一方を昇降するとともに当
    車輪と前記タイヤ駆動ローラとのタイヤ駆動ローラの
    軸方向における相対位置を変更し、当該車輪が前記タイ
    ヤ駆動ローラの高摩擦領域又は低摩擦領域に選択的に載
    置されるようにした切換え手段を有する車両の制動試験
    装置。
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