JP4202530B2 - タイヤのビード幅測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤ試験機により試験されるタイヤのビード幅を測定するビード幅測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来においては、タイヤの上ビード部と下ビード部との間隔、即ちビード幅を測定するビード幅測定装置が存在していなかった。
つまり、従来では、タイヤ幅とタイヤの内径を測定し、その測定して得られたタイヤ幅と内径のデータをタイヤ試験機に設定している。
従来のタイヤ幅測定装置として、例えばタイヤをローラコンベア上に寝かせた状態で停止させておき、ローラコンベアの搬送面からタイヤの上面までの高さを測定し、この測定して得られた高さをタイヤ幅としている。
【0003】
タイヤ試験機(タイヤ用ダイナミックバランサ)は、図3に示すものであり、、二面不釣合い試験機1である。このタイヤ試験機1にタイヤ幅Wとタイヤ2の内径Cのデータが設定されると、この設定されたタイヤ幅Wと内径Cの測定データに対応する予め設定されているリム幅を選択し、この選択したリム幅でタイヤ2を上リム3と下リム4との間に挟み込んで装着するようになっている。この際、上下リム3、4の間隔がこの選択されたリム幅となるように、上リム3を所定の距離だけ下降させて、タイヤ2を上リム3と下リム4との間に挟み込んで装着する。そして、この装着した状態でタイヤ2に圧力空気を注入して膨らませ、しかる後に回転させてタイヤ2の上面側の動不釣合いと下面側の動不釣合いとを測定することができる。図3に示す本体5内には、上リム3と下リム4との間に装着されたタイヤ2を回動自在に片持ち支持する回転軸29、軸受、上下リム3、4に挿着されたタイヤ2を回転させるためのモータ、並びにタイヤ2の上面側及び下面側の動不釣合いを測定するためのロードセルを設けてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のように、タイヤ幅Wと内径Cの測定データに対応する予め設定されているリム幅を選択し、その選択したリム幅と対応して定められている所定の距離だけ上リム3を下降させて、タイヤ2を上下リム3、4の間に装着し、この装着した状態でタイヤ2の上面側及び下面側の各動不釣合いを測定すると、タイヤ2の上面側及び下面側の各動不釣合いを正確に測定することができない場合がある。つまり、タイヤ幅W及び内径Cが同一であっても、タイヤ2の種類、偏平率(タイヤ2の断面高さをタイヤ幅で割った比)等が基準のものと相違すると、タイヤ2のビード幅Bが基準のものと相違する場合がある。ビード幅Bが基準のものと相違するタイヤ2では、その上下のビード部6、7を上下リム3、4により適正なリム幅で挟み込むことができないと言うことになる。リム幅が適正でないと言うことは、上リム3によって位置決めされている上ビード部6の高さが適正でないと言うことである。一方、タイヤ2の上面側及び下面側の各動不釣合いは、タイヤ2の上ビード部6から複数の各ロードセルまでの距離のデータを使用して計算しているので、この上ビード部6の高さ位置が適正でない場合は、タイヤ2の各動不釣合いを正確に測定することができないことになる。
【0005】
本発明は、タイヤのビード幅を正確に測定することができるタイヤのビード幅測定装置を提供することを目的とし、この測定して得られたビード幅に対して予め設定されているリム幅でタイヤを上下リムに装着することによりタイヤの動不釣合いをタイヤ試験機により正確に測定できるようにしている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るタイヤのビード幅測定装置は、タイヤを搬送面上に寝かせた状態で所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送中のタイヤの移動を停止させる停止手段と、上記移動が停止しているタイヤの幅を測定するタイヤ幅測定手段、及び上記搬送面から当該タイヤの上ビード部までの高さを測定するビード高さ測定手段と、上記測定して得られたタイヤ幅と上ビード部の高さの情報に基づいて当該タイヤの上ビード部と下ビード部との間隔を算出するビード幅算出手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0007】
第2の発明に係るタイヤのビード幅測定装置は、第1の発明において、上記停止手段は、搬送中のタイヤのビード部の内縁と係合してタイヤの上記搬送方向の移動を停止させると共に、上記搬送方向に対して直交する略水平方向の位置決めを行う係止手段を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
第1の発明に係るタイヤのビード幅測定装置によると、搬送面上に寝かせた状態で搬送されているタイヤを停止手段により移動を停止させて、タイヤ幅を測定すると共に、搬送面からタイヤの上ビード部までの高さを測定し、この測定して得られたタイヤ幅と上ビード部の高さの情報に基づいてタイヤの上ビード部と下ビード部との間隔であるビード幅を算出することができる。
【0009】
第2の発明に係るタイヤのビード幅測定装置によると、搬送中のタイヤのビード部の内縁に係止部を係合させることによりタイヤを所定の搬送位置に停止させることができる。この際、搬送手段による搬送力が係止部を基準にしてその両側のタイヤの底面に対して働き、これによって、搬送方向に直交する略水平方向のタイヤの位置決めを行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係るタイヤのビード幅測定装置の一実施形態を図1乃至図3を参照して説明する。このタイヤのビード幅測定装置8は、タイヤ2のビード幅Bを測定し、この測定して得られたビード幅Bのデータを後段に設けられているタイヤ試験機1の演算制御部(図示せず)に送信すると共に、ビード幅測定済みのタイヤ2をタイヤ試験機1に送り込むことができるものである。このビード幅測定装置8は、搬送装置9、停止装置10、ビード高さ測定部11、タイヤ幅測定部12、及び演算制御部を備えている。
なお、ビード幅測定装置8の演算制御部は、タイヤ試験機1の演算制御部に組み込まれており、中央演算処理装置(CPU)により構成されている。以下、ビード幅測定装置8とタイヤ試験機1の両方の演算制御部をまとめて1つの演算制御部として説明する。
【0011】
搬送装置9は、図1に示すように、従来公知のローラコンベアであり、タイヤ2を搬送面13上に寝かせた略水平な状態で所定の搬送方向14に搬送して後段のタイヤ試験機1に送り込むためのものである。
停止装置10は、図1に示すように、搬送装置9のローラ15、・・・の長さ方向の略中央部であって、ローラ15の下方に設けてあり、タイヤ2の搬送方向14の移動を停止させるための係止部16を備えている。
係止部16は、棒状体であり、中心軸を鉛直方向に向けて配置してあり、軸方向に昇降自在に案内部17に保持されている。係止部16の下端部は、この係止部16の下方に配置されているエアーシリンダから成る第1の駆動部18のピストンロッド18aの先端部とリンク結合している。第1の駆動部18は、係止部16の下方に同一軸線上に設けてあり、この第1の駆動部18と案内部17はビード幅測定装置8の架台19に固定して設けてある。第1の駆動部18が所定のタイミングでピストンロッド18aを図1に示す上昇位置に駆動すると、係止部16がピストンロッド18aに伴って係止部16の上部がローラ15の搬送面13よりも上側に突出する係止位置に移動して停止する。係止部16が係止位置に移動すると、係止部16がタイヤ2の下ビード部7の内縁と係合してタイヤ2の搬送方向14の移動を停止させて、このタイヤ2の上ビード部6の高さAやタイヤ2幅Wを測定することができる図2に示す所定の測定位置に位置決めすることができる。そして、図には示さないが、所定のタイミングで第1の駆動部18がピストンロッド18aを下降位置に駆動すると、係止部16がピストンロッド18aに伴って係止部16の上端部がローラ15の搬送面13よりも下側となる非係止位置に移動する。係止部16が非係止位置に移動すると、係止部16がタイヤ2の下ビード部7の内縁から外れてタイヤ2の搬送が可能な状態となる。
【0012】
ビード高さ測定部11は、図1に示すように、上ビード部6の上面に当接させるためのビードパッド20と、このビードパッド20を昇降駆動するためのエアーシリンダから成る第2の駆動部21と、ポテンションメータ22と、を備えている。ビード高さ測定部11は、搬送装置9の上方に配置してあり、第2の駆動部21とポテンションメータ22をタイヤ試験機1の架台23に設けられている取付アーム24に取り付けてある。そして、この第2の駆動部21のピストンロッド21aの先端部にビードパッド20を略水平な状態で取り付けてある。
また、ビードパッド20は、ポテンションメータ22のポテンションロッド22aの先端部と連結している。ポテンションメータ22は、第2の駆動部21と平行して設けてあり、搬送装置9の搬送面13からビードパッド20の下面までの距離(高さ)を測定することができるものである。
【0013】
このビード高さ測定部11によると、所定のタイミングで第2の駆動部21がピストンロッド21aを伸長方向に駆動してビードパッド20を下降させると、図1に示すように、係止部16により係止されて搬送装置9上の所定の測定位置に位置決めされているタイヤ2の上ビード部6の上面にビードパッド20の下面が当接し、この当接した時にビードパッド20の下降が停止する。ビードパッド20の下降を停止させる構成は、ビードパッド20が上ビード部6の上面に当接した時に、ビードパッド20がピストンロッド21aに対して相対的に少し持ち上がったことを近接スイッチが検出してこの検出信号によって第2の駆動部21の駆動を停止させるようにするものである。この時、ポテンションメータ22は、搬送装置9の搬送面13からビードパッド20の下面までの距離Aを測定することができる。即ち、この距離Aは、搬送装置9の搬送面13からタイヤ2の上ビード部6の上面までの高さ(上ビード部高さA)を表すものであり、ポテンションメータ22は、この上ビード部高さAを表す信号を生成してその信号を演算制御部に送信することができる。なお、ビードパッド20は、上ビード部6と連なり上ビード部6よりも上方に位置するタイヤ2の上面と接触しない大きさ及び形状としてある。
そして、図には示さないが、上ビード部高さAを測定した後で、第2の駆動部21がピストンロッド21aを短縮方向に駆動すると、ビードパッド20が上昇して搬送装置9上のタイヤ2の上面よりも上方の所定の上昇位置に移動する。ビードパッド20がこの上昇位置に移動すると、今回のビード幅Bが測定されたタイヤ2をタイヤ試験機1に搬送することができ、次のビード幅Bが未測定のタイヤ2をこのビード高さ測定部11の下方に搬送が可能な状態となる。
【0014】
タイヤ幅測定部12は、図1に示すように、タイヤ幅Wを測定するためのタイヤ2の上面の所定の幅測定部分(搬送面13よりの高さが最も高くなっている部分)に当接させるための幅パッド25と、この幅パッド25を昇降駆動するためのエアーシリンダから成る第3の駆動部26と、ポテンションメータ27と、を備えている。第3の駆動部26及びポテンションメータ27は、第2の駆動部21と平行してその側方に配置してあり、取付アーム24に取り付けてある。そして、第3の駆動部26は、係止部16により係止されて搬送装置9上の所定の測定位置に停止しているタイヤ2の幅測定部分の上方であって、ビード高さ測定部11と接触しないように、搬送装置9のローラ15の一方の端部に接近する位置に設けてある。第3の駆動部26のピストンロッド26aの先端部に幅パッド25を略水平な状態で取り付けてある。そして、幅パッド25は、外径の小さいタイヤ2から大きいものまで所定の範囲内のタイヤ2の幅を測定することができるように、タイヤ2の半径方向に長い形状としてある。
また、幅パッド25は、ポテンションメータ27のポテンションロッド27aの先端部と連結している。ポテンションメータ27は、第3の駆動部26と平行して設けてあり、搬送装置9の搬送面13から幅パッド25の下面までの距離(高さ)を測定することができるものである。
【0015】
このタイヤ幅測定部12によると、第3の駆動部26がピストンロッド26aを伸長方向に駆動して幅パッド25を下降させると、図1に示すように、係止部16により係止されて搬送装置9上の所定の測定位置に停止しているタイヤ2の所定の幅測定部分の上面に幅パッド25の下面が当接し、この当接した時に幅パッド25の下降が停止する。幅パッド25の下降を停止させる構成は、幅パッド25が幅測定部分の上面に当接した時に、幅パッド25がピストンロッド26aに対して相対的に少し持ち上がったことを近接スイッチが検出してこの検出信号によって第3の駆動部26の駆動を停止させるようにするものである。この時、ポテンションメータ27は、搬送装置9の搬送面13から幅パッド25の下面までの距離Wを測定することができる。即ち、この距離Wは、搬送装置9の搬送面13からタイヤ2の幅測定部分の上面までの高さ(タイヤ幅W)を表すものであり、ポテンションメータ27は、このタイヤ幅Wを表す信号を生成してその信号を演算制御部に送信することができる。
そして、図には示さないが、タイヤ幅Wを測定した後に、第3の駆動部26がピストンロッド26aを短縮方向に駆動すると、幅パッド25が上昇して搬送装置9上のタイヤ2の上面よりも上方の所定の上昇位置に移動する。幅パッド25が上昇位置に移動すると、今回のビード幅Bが測定されたタイヤ2をタイヤ試験機1に搬送することができ、次のビード幅Bが未測定のタイヤ2をこのタイヤ幅測定部12の下方に搬送が可能な状態となる。
【0016】
演算制御部(CPU)は、記憶部(図示せず)が接続しており、記憶部に予め記憶されているプログラムに従って所定の演算処理を行うことができるし、各駆動部を所定のタイミングで駆動制御することができるものである。この演算制御部と記憶部に記憶されているプログラムがビード幅算出手段を構成している。
ビード幅算出手段は、タイヤ幅測定部12とビード高さ測定部11より送信されたタイヤ幅Wの信号と上ビード部高さAの信号に基づいて、(1)式の演算を行ってタイヤ2の上ビード部6と下ビード部7との間隔であるビード幅Bを算出する手段である。
ビード幅B=タイヤ幅W−2×(タイヤ幅W−上ビード部高さA)・・・・(1)
【0017】
上記のように構成されたタイヤのビード幅測定装置8を使用してタイヤ2のビード幅Bを測定するときは、まず、図1に示す搬送装置9の入口側の搬送面上にタイヤ2を寝かせた状態で載置する。すると、タイヤ2は、搬送装置9によりビード幅測定装置8に向かって搬送され、そしてタイヤ2のリム嵌合孔28が係止部16の上方に移動すると、フォトセンサから成るタイヤ検出器(図示せず)によりタイヤ2が検出されて所定のタイミングで演算制御部が第1の駆動部18を駆動させる。第1の駆動部18が駆動すると、図1に示すように、係止部16が下降位置から上昇位置に上昇して搬送中のタイヤ2の下ビード部7の内縁に係合してタイヤ2を所定の測定位置に停止させることができる。この際、搬送装置9の各ローラ15が回転駆動しており、各ローラ15による搬送力が係止部16を基準にしてその両側のタイヤ2の底面に対して働き、これによって、搬送方向14に直交する略水平方向のタイヤ2の位置決めを行うことができる。これによって、タイヤ2の種類、偏平率、及び外径等の相違に拘わらず、この係止部16と係合しているタイヤ2の内縁を形成する下ビード部7、上ビード部6、及びタイヤ幅を測定するための幅測定部分(被測定部分)を、係止部16の近傍に位置させることができる。従って、タイヤ2に対するタイヤ幅測定部12、及びビード高さ測定部11の位置合わせを行う必要がなく、測定作業の省力化を図ることができるし、ビード幅測定装置8を簡単な構造とすることができる。
【0018】
また、搬送装置9は、タイヤ2に対して搬送方向14に直交する略水平方向の位置決めを行うことができる機能と、ビード幅Bの測定済みのタイヤ2を後段のタイヤ試験機1に搬送する機能の2つの機能を併せ持っているので、この点でビード幅測定装置8の構造の簡単化、及び費用の低減を図ることができる。
【0019】
次に、演算制御部は、タイヤ2が所定の測定位置に位置決めされた後に搬送装置9を停止させ、第2及び第3の駆動部21、26を駆動してビードパッド20及び幅パッド25をそれぞれ下降及び上昇移動させることによって、ビード高さ測定部11及びタイヤ幅測定部12により上ビード部高さA及びタイヤ幅Wを測定させることができる。そして、ビード幅算出手段がタイヤ幅Wの信号と上ビード部高さAの信号に基づいて(1)式の演算を行ってタイヤ2のビード幅Bを算出することができる。これで、このビード幅測定装置8によるタイヤ2のビード幅Bの測定が終了する。
しかる後に、搬送装置9がこのビード幅Bが測定されたタイヤ2をタイヤ試験機1の下リム4上に搬送する。演算制御部は、タイヤ2のビード幅Bの測定データとタイヤ2の内径Cの測定データ(タイヤ2の内径Cは、詳細には説明しないが予め測定されている。)を記憶部に設定し、この設定したビード幅Bとタイヤ2の内径Cの測定データに対応する予め記憶されているリム幅を選択して、この選択したリム幅でタイヤ2を上リム3と下リム4との間に挟み込んで装着することができる。この際、上下リム3、4の間隔がこの選択されたリム幅となるように、上リム3を所定の距離だけ下降させて、タイヤ2を上リム3と下リム4との間に挟み込んで装着することができる。上下リム3、4に装着されたタイヤ2の上面側と下面側の各動不釣合いを測定する手順及び演算方法は従来公知のタイヤ試験機1と同等であるのでその説明を省略する。
【0020】
次に、上下リム3、4の間隔がこの選択されたリム幅となるように、上リム3を所定の距離だけ下降させて、タイヤ2を上リム3と下リム4との間に挟み込んで装着する手順及びタイヤ試験機1の構造を説明する。図3に示すように、下リム4は、回動自在に回転軸29の上端に設けてある。上リム3は、着脱自在にチャック30に保持されており、チャック30は昇降部31に設けられている。昇降部31には、摺動部32を取り付けてあり、この摺動部32は上下方向に架台23に設けられているレール33に沿って移動自在である。従って、昇降部31は、レール33に沿って昇降自在となっている。
34は、エアーシリンダから成る第4の駆動部であり、架台23に設けてある。この第4の駆動部34は、伸縮駆動することによって昇降部31を下降及び上昇させることができる。
35は、上リム3の高さ設定装置である。高さ設定装置35は、図3における左右の方向に移動自在に設けてある階段状体36を備えている。この階段状体36は、ラック37とピニオンを介してモータ38により左右方向に駆動されて、設定された所定の位置に移動して停止する。39は、ストッパ部である。
【0021】
今、演算制御部がタイヤ2のビード幅Bとタイヤ2の内径Cに対応する所定のリム幅を選択すると、まず、タイヤ2の内径Cと対応する直径のリム部40を直径が相違する3種類のリム部40から選択する。上下の各リム3、4には3種類の直径のリム部40が形成されている。次に、ビード幅Bと対応する高さのステップ部41を高さが相違する9種類のステップ部41から選択する。階段状体36には9種類の高さのステップ部41が形成されている。ビード幅Bと対応する高さのステップ部41を選択すると、演算制御部がモータ38を駆動してその選択したステップ部41がストッパ部39の真下となる位置に階段状体36を移動させる。しかる後に、タイヤ2が下リム4の上に載置された状態で、演算制御部が第4の駆動部34を駆動して上リム3を下降させる。そして、ストッパ部39の下端がその選択したステップ部41の上面に当接する位置に上リム3が下降した時に第4の駆動部34の駆動を停止させる。そして、上リム3と下リム4とを図示しない連結機構により互いに結合し、チャック30を開放して上リム3を昇降部31から切り離す。これによって、そのタイヤ2に対して最適なリム幅となるように上リム3と下リム4との間隔を設定することができる。これによって、このタイヤ試験機1によりタイヤ2の上面側及び下面側の各動不釣合いを従来よりも正確に測定することができる。
【0022】
ただし、上記実施形態では、搬送装置9としてローラコンベアを適用したが、これに代えて、例えばエンドレスな牽引要素を使用するベルトコンベアを適用してもよい。なお、ベルトコンベアを適用した場合は、搬送装置9の上方に停止装置10を設け、タイヤ2の上方から係止部16を下降させてタイヤ2の移動を停止させる構成とすることができる。また、例えば互いに平行する同じ幅の2つのコンベアベルトを互いに所定の間隔を隔てて駆動プーリと従動プーリに掛けて両者を同一の速度で走行させて、この2つのコンベアベルトによってタイヤ2を搬送することとして、この2つのコンベアベルトの間であってその下方に停止装置10を設け、上記実施形態と同様にしてタイヤ2の下方から係止部16を上昇させてタイヤ2の移動を停止させる構成としてもよい。
【0023】
そして、上記実施形態の停止装置10は、搬送装置9によって搬送されているタイヤ2の下ビード部7の内縁に係止部16を係合させてタイヤ2の移動を停止させると共に、搬送方向14に対して直交する略水平方向の位置決めを行う構成としたが、これに代えて、搬送装置9によって搬送されているタイヤ2を外側から挟み込んで停止させる構成としてもよい。なお、このように構成した場合は、タイヤ2の外径が変わってもタイヤ2の中心を所定の基準位置に位置決めすることができるが、タイヤ2の外径が変わるとビード部の内径が変わることがあり、この場合は、ビードパッド20が上ビード部6の上面に当接するようにビード高さ測定部11の位置を調整する必要がある。
【0024】
【発明の効果】
第1の発明に係るタイヤのビード幅測定装置によると、搬送手段上のタイヤの幅と搬送面からタイヤの上ビード部までの高さを測定してこの測定して得られた情報に基づいてタイヤの上ビード部と下ビード部との間隔であるビード幅を算出することができる。そして、この算出して得られたビード幅に基づいてタイヤ試験機の上リムと下リムとの間隔であるリム幅を設定することができるので、タイヤを従来よりも適正なリム幅で上下リムの間に装着することができる。
その結果、タイヤ試験機によりタイヤの上面側及び下面側の各動不釣合いを従来よりも正確に測定することができる。そして、従来では、タイヤ内に空気を注入する際に、リム幅をビード幅に対して広くし過ぎると、空気漏れによりタイヤ内の空気圧を適切な圧力に上昇させることができないし、リム幅をビード幅に対して狭くし過ぎると、タイヤに損傷を与えることがあるが、本発明によると、タイヤ内の空気圧を適切な圧力に上昇させることができ、この点でもタイヤの各動不釣合いを従来よりも正確に測定することができる。
また、搬送手段上でビード幅を測定することができるので、ビード幅測定済みのタイヤをこの搬送手段により後段のタイヤ試験機に搬送する構成とすることができ、これによって、ビード幅測定済みのタイヤをタイヤ試験機に載せ替える手間を省くことができる。
【0025】
第2の発明に係るタイヤのビード幅測定装置によると、搬送中のタイヤのビード部の内縁に係止部を係合させることによりタイヤを所定の搬送位置に停止させ、この際、搬送手段が駆動していることにより、搬送手段上のタイヤに対して、搬送方向に直交する略水平方向の位置決めを行うことができる。これによって、タイヤの種類、偏平率、外径、及び内径等の相違に拘わらず、この係止部と係合しているタイヤの内縁を形成するビード部及びタイヤ幅を測定するための被測定面を、係止部の近傍に位置させることができる。従って、タイヤに対するタイヤ幅測定手段、及びビード高さ測定手段の位置合わせを行う必要がなく、その結果、ビード幅測定装置を簡単な構造とすることができる。
そして、搬送手段は、上記のようにタイヤに対して搬送方向に直交する略水平方向の位置決めを行うことができる機能と、ビード幅の測定済みのタイヤを後段のタイヤ試験機に搬送する機能の2つの機能を併せ持っているので、この点で構造の簡単化、費用の低減、及び設置スペースの狭小化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るタイヤのビード幅測定装置の正面図である。
【図2】同実施形態に係るタイヤのビード幅測定装置の平面図である。
【図3】同実施形態に係るタイヤのビード幅測定装置とタイヤ試験機を示す正面図である。
【符号の説明】
2 タイヤ
6 上ビード部
7 下ビード部
8 ビード幅測定装置
9 搬送装置
10 停止装置
11 ビード高さ測定部
12 タイヤ幅測定部
13 搬送面
14 搬送方向
16 係止部

Claims (2)

  1. タイヤを搬送面上に寝かせた状態で所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送中のタイヤの移動を停止させる停止手段と、上記移動が停止しているタイヤの幅を測定するタイヤ幅測定手段、及び上記搬送面から当該タイヤの上ビード部までの高さを測定するビード高さ測定手段と、上記測定して得られたタイヤ幅と上ビード部の高さの情報に基づいて当該タイヤの上ビード部と下ビード部との間隔を算出するビード幅算出手段と、を具備することを特徴とするタイヤのビード幅測定装置。
  2. 請求項1に記載のタイヤのビード幅測定装置において、上記停止手段は、搬送中のタイヤのビード部の内縁と係合してタイヤの上記搬送方向の移動を停止させると共に、上記搬送方向に対して直交する略水平方向の位置決めを行う係止手段を備えていることを特徴とするタイヤのビード幅測定装置。
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