JP2017065914A - クレーン車 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻過センサを取り付けない状態での使用を規制したクレーン車を提供する。【解決手段】当該装置は、操作部から操作信号が出力されたことに応じて、当該操作信号に対応する動作をアクチュエータに実行させる動作制御処理(S16)と、動作制御処理中に第1巻過信号或いは第2巻過信号が出力されたことに応じて(S17:Yes)、アクチュエータの動作を停止させる停止処理(S19)と、吊下長さを減じる特定動作に対応する操作信号が最初に出力されたことに応じて(S11:Yes&S12:Yes)、巻過センサから識別信号が既に出力されたか否かを報知する報知処理(S13)とを実行する。【選択図】図5

Description

この発明は、ブームの先端にジブを着脱可能なクレーン車に関する。
例えば特許文献1には、ジブブームを先端に着脱可能な伸縮ブームと、伸縮ブーム或いはジブブームの先端に吊下されたフックの巻過状態を検出する巻過防止装置とを備えるクレーン車が開示されている。また、上記構成のようなクレーン車において、1セットのフック及び巻過防止装置が、伸縮ブームの先端とジブブームの先端とで共用されるのが一般的である。
そのため、例えばジブブームを伸縮ブームに装着しようとする作業者は、伸縮ブームの先端に吊下されたフックから巻過防止装置を取り外し、伸縮ブームにジブブームを装着し、伸縮ブームの先端に吊下されていたフックをジブブームの先端に吊下し直し、ジブブームの先端に吊下されたフックに巻過防止装置を取り付ける必要がある。なお、伸縮ブームからジブブームを取り外す場合には、上記の作業が逆順で実行される。
特開2000−1293号公報
伸縮ブームにジブブームを着脱する過程において、巻過防止装置は作業者の手で取り外され、作業者の手で再び取り付けられる。そのため、巻過防止装置の取り付け忘れが発生する可能性がある。そして、巻過防止装置を取り付けないままクレーン車を動作させると、フックが伸縮ブーム或いはジブブームに衝突して、伸縮ブーム或いはジブブームの破損、又はフックを吊下するロープの破断等を引き起こす可能性がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、巻過センサを取り付けない状態での使用を規制したクレーン車を提供することにある。
(1) 本発明に係るクレーン車は、走行体と、起伏及び伸縮可能に上記走行体に支持されたブームと、上記ブームの先端に着脱可能なジブと、上記ブームの先端及び上記ジブの先端のどちらにも吊下可能な第1フックと、上記ブームの先端にのみ吊下可能な第2フックと、上記ブームを伸縮させ、上記ブームを起伏させ、上記第1フック及び上記第2フックそれぞれを吊下するロープを繰り出し及び巻き取るアクチュエータと、上記ブームの先端及び上記ジブの先端のどちらにも着脱可能であり、装着されたことに応じて第1識別信号を出力し、上記第1フックの吊下長さが閾値を下回ったことに応じて第1巻過信号を出力する第1巻過センサと、上記ブームの先端にのみ着脱可能であり、装着されたことに応じて第2識別信号を出力し、上記第2フックの吊下長さが閾値を下回ったことに応じて第2巻過信号を出力する第2巻過センサと、上記アクチュエータの動作を指示する操作を受け付けたことに応じて、当該操作に対応する操作信号を出力する操作部と、上記アクチュエータの動作を制御する制御部とを備える。そして、上記制御部は、上記操作信号が出力されたことに応じて、当該操作信号に対応する動作を上記アクチュエータに実行させる動作制御処理と、上記動作制御処理中に上記第1巻過信号或いは上記第2巻過信号が出力されたことに応じて、上記アクチュエータの動作を停止させる停止処理と、吊下長さを減じる特定動作に対応する上記操作信号が最初に出力されたことに応じて、上記第1識別信号及び上記第2識別信号が既に出力されたか否かを報知する報知処理とを実行する。
上記構成によれば、特定動作を指示する操作が最初になされたタイミングで、第1巻過センサ及び第2巻過センサが装着されているか否かが報知される。これにより、例えば、ジブの着脱時における第1巻過センサの装着忘れを作業者に認識させることができる。すなわち、巻過センサを取り付けない状態でのクレーン車の動作が規制される。
(2) 好ましくは、上記制御部は、上記第1識別信号が出力された後に、上記第1フックの吊下長さを減じる第1特定動作に対応する上記操作信号が出力されたことに応じて、上記動作制御処理を実行し、上記第1識別信号が出力される前に、上記第1特定動作に対応する上記操作信号が出力されたことに応じて、上記動作制御処理を実行しない。
(3) 例えば、上記ブームの先端に装着された上記ジブは、伸縮及び起伏が可能である。上記アクチュエータは、さらに上記ジブを伸縮させ、上記ジブを起伏させる。上記第1特定動作は、上記ブームの倒伏、上記ブームの伸長、上記ジブの倒伏、上記ジブの伸長、上記第1フックの上昇のいずれかである。
上記構成によれば、第1巻過センサが取り付けられていない場合に、第1特定動作の実行が規制される。同様に、第2巻過センサが取り付けられていない場合に、第2フックの吊下長さを減じる第2特定動作の実行を規制してもよい。
(4) 例えば、該クレーン車は、上記第1識別信号が出力されたことを示す第1値、或いは上記第1識別信号が出力されていないことを示す第2値が設定される存在フラグを記憶する記憶部を備える。そして、上記制御部は、上記第1識別信号が出力されたことに応じて、上記存在フラグに上記第1値を設定し、該クレーン車に電力が供給された或いは上記ジブが着脱されたことに応じて、上記存在フラグに上記第2値を設定し、上記存在フラグに設定された値に基づいて、上記第1識別信号が出力されたか否かを判断する。
上記構成によれば、クレーン車に電力が供給されたタイミング、及びジブが着脱されたタイミングで、第1巻過センサの装着状態が再び確認される。これにより、巻過センサを取り付けない状態でのクレーン車の動作が規制される。
(5) 好ましくは、上記第1巻過センサ及び上記第2巻過センサは、上記制御部に信号を出力する信号線の一部を共用している。
制御部と巻過センサとを接続する信号線は、例えば、コードリールに巻回されており、ブームの伸長に合わせて繰り出され、ブームの縮小に合わせて巻き取られる。そして、上記構成によれば、ブームに沿って延設される信号線の直径を小さくできるので、当該コードリールを小型化できる。
(6) 例えば、上記制御部、上記第1巻過センサ、及び上記第2巻過センサは、Controller Area Networkを通じて接続されている。
本発明によれば、特定動作を指示する操作が最初になされたタイミング、各巻過センサの装着状態が報知されるので、巻過センサを取り付けない状態でのクレーン車の動作が規制される。
図1は、本実施形態に係るオールテレーンクレーン100の概略図である。 図2は、ブーム22の先端部の拡大図である。 図3は、オールテレーンクレーン100の機能ブロック図である。 図4は、(A)が特定動作のリストを示し、(B)が記憶部51に記憶される各フラグを示す。 図5は、クレーン制御処理のフローチャートである。 図6は、表示部36の画面例である。
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
[オールテレーンクレーン100]
図1を参照して、本実施形態に係るオールテレーンクレーン100を説明する。本実施形態に係るオールテレーンクレーン100は、図1に示されるように、ベース車両(走行体の一例)10と、クレーン装置20とを主に備える。オールテレーンクレーン100は、クレーン車の一例である。但し、クレーン車の具体例はオールテレーンクレーン100に限定されず、例えば、ラフテレーンクレーン、カーゴクレーン等であってもよい。
[ベース車両10]
ベース車両10は、図1に示されるように、複数のタイヤ11と、走行キャビン12と、アウトリガ13とを主に備える。ベース車両10は、エンジン(図示省略)の動力によってタイヤ11が回転されることによって、走行する。但し、ベース車両10は、タイヤ11に代えてキャタピラによって走行するものであってもよい。
走行キャビン12は、ベース車両10の走行を制御するための操作部(例えば、ステアリング、シフトレバー、アクセルペダル、及びブレーキペダル等)を有する。走行キャビン12に搭乗した作業者(すなわち、運転者)は、操作部を操作することによって、ベース車両10を走行させる。なお、本実施形態に係る走行キャビン12は、図1に示されるような周囲が囲まれた箱形に限定されず、開放型であってもよい。
アウトリガ13は、クレーン装置20を動作させる際にオールテレーンクレーン100の姿勢を安定させるものである。本実施形態に係るアウトリガ13は、ベース車両10の中央及び後部の2カ所において、左右両側に設けられている(図1では、一方側のみを図示)。アウトリガ13は、ベース車両10から左右方向に張り出した位置において地面に接地する張出状態と、地面から離間した状態でベース車両10に格納される格納状態とに状態変化が可能である。
[クレーン装置20]
クレーン装置20は、図1に示されるように、旋回体21と、ブーム22と、クレーンキャビン23とを主に備える。クレーン装置20は、旋回体21に搭載されたエンジン(図示省略)の動力が油圧システム(図示省略)を通じて伝達されることによって動作する。また、ブーム22の先端には、後述するラフィングジブ(ジブの一例)24を着脱することができる。
旋回体21は、ベース車両10に旋回可能に支持されている。旋回体21は、旋回モータ31(図3参照)によって旋回される。ブーム22は、起伏及び伸縮可能に旋回体21に支持されている。ブーム22は、起伏シリンダ32(図1及び図3参照)によって起伏され、伸縮シリンダ33(図3参照)によって伸縮される。
クレーンキャビン23は、クレーン装置20の動作を制御するための操作部46(図3参照)と、各種情報を表示する表示部36とを有する。操作部46は、例えば、旋回レバー、起伏レバー、伸縮レバー、第1ウインチレバー、第2ウインチレバー、及び各種ボタン等を含む。クレーンキャビン23に搭乗した作業者は、操作部46を操作することによって、クレーン装置20を動作させる。なお、本実施形態に係るクレーンキャビン23は、図1に示されるような周囲が囲まれた箱形に限定されず、開放型であってもよい。
[ラフィングジブ24]
ラフィングジブ24は、ブーム22の先端に着脱可能に構成されている。ブーム22の先端に装着されたラフィングジブ24は、ブーム22に対して起伏可能に支持されている。また、ラフィングジブ24は、伸縮可能であってもよい。ラフィングジブ24は、複数のジブを長手方向に連結することによって構成される。すなわち、ラフィングジブ24の長さは、ジブの数を変更することによって可変となる。
[第1フック25、第2フック26]
クレーン装置20は、第1フック25と、第2フック26とを備える。第1フック25は、図1に示されるように、ロープ27によってラフィングジブ24の先端に吊下可能であり、図2に示されるように、ロープ27によってブーム22の先端に吊下可能である。一方、第2フック26は、図1及び図2に示されるように、ロープ28によってブーム22の先端にのみ吊下可能である。第1フック25は、第1ウインチ34(図3参照)がロープ27を巻き取り或いは繰り出すことによって昇降する。第2フック26は、第2ウインチ35(図3参照)がロープ28を巻き取り或いは繰り出すことによって昇降する。
オールテレーンクレーン100は、図3に示されるように、制御部50を備える。制御部50は、オールテレーンクレーン100の動作を制御する。制御部50は、記憶部51に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)によって実現されてもよいし、ハードウェア回路によって実現されてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。記憶部51は、CPUによって実行されるプログラム、プログラムの実行中に一時記憶される各種情報、及び図4(B)に示される各種フラグを記憶する。
制御部50は、旋回角センサ41、起伏角センサ42、ブーム長さセンサ43、第1巻過センサ44、第2巻過センサ45、及び操作部46から出力される各種信号を取得する。また、制御部50は、取得した各種信号に基づいて、旋回モータ31、起伏シリンダ32、伸縮シリンダ33、第1ウインチ34、及び第2ウインチ35の動作を制御する。さらに、制御部50は、表示部36に各種情報を表示させる。
なお、本実施形態に係る旋回モータ31、起伏シリンダ32、伸縮シリンダ33、第1ウインチ34、及び第2ウインチ35は、油圧式のアクチュエータである。すなわち、制御部50は、供給する作動油の方向及び流量を制御することによって、各アクチュエータを動作させる。但し、本発明のアクチュエータは油圧式に限定されず、電動式等であってもよい。
アクチュエータに実行させることができる動作のうち、図4(A)に示される動作は、フック25、26の吊下長さを減じる特定動作の一例である。なお、「吊下長さ」とは、ブーム22(または、ラフィングジブ24)の先端と、ブーム22(または、ラフィングジブ24)の先端に吊下されたフック25、26との距離を指す。ブーム22の倒伏、ブーム22の伸長、及び第1フック25の上昇は、第1フック25の吊下長さを減じる第1特定動作である。また、ブーム22の倒伏、ブーム22の伸長、及び第2フック26の上昇は、第2フック26の吊下長さを減じる第2特定動作である。
なお、ブーム22の先端に装着されたラフィングジブ24は、伸縮及び起伏の少なくとも一方が可能に構成されていてもよい。すなわち、オールテレーンクレーン100は、ブーム22の先端に装着されたラフィングジブ24を伸縮させるアクチュエータ(例えば、シリンダ)、及びブーム22の先端に装着されたラフィングジブ24を起伏させるアクチュエータ(例えば、ウインチ)の少なくとも一方を備えていてもよい。ラフィングジブ24を伸長させるアクチュエータの動作、ラフィングジブ24を倒伏させるアクチュエータの動作は、第1特定動作である。さらに、オールテレーンクレーン100は、ラフィングジブ24の長さ及び起伏角度の少なくとも一方を検出するセンサと、ラフィングジブ24を伸縮及び起伏させる操作の少なくとも一方を受け付ける操作部46とを備えていてもよい。
旋回角センサ41は、旋回体21の旋回角度(例えば、ベース車両10の前進方向を0°とした時計回り方向の角度)に応じた検出信号を出力する。起伏角センサ42は、ブーム22の起伏角度(水平方向とブーム22とのなす角)に応じた検出信号を出力する。ブーム長さセンサ43は、ブーム22の長さに応じた検出信号を出力する。第1巻過センサ44は、第1フック25の吊下長さに応じた検出信号を出力する。第2巻過センサ45は、第2フック26の吊下長さに応じた検出信号を出力する。第1巻過センサ45は、図2に示されるように、スイッチ44Aと、ウエイト44Bと、ワイヤー44Cとで構成される。同様に、第2巻過センサ45は、スイッチ45Aと、ウエイト45Bと、ワイヤー45Cとで構成される。
スイッチ44A、45Aは、ブーム22の先端に固定されている。また図示は省略するが、スイッチ44Aは、ラフィングジブ24の先端にも固定されている。ウエイト44Bは、ロープ27に挿通されるリング形状である。ウエイト45Bは、ロープ28に挿通されるリング形状である。ワイヤー44Cは、一端がスイッチ44Aに装着され、他端がウエイト44Bに装着される。ワイヤー45Cは、一端がスイッチ45Aに装着され、他端がウエイト45Bに装着される。
スイッチ44A、45Aは、不図示の信号線によって制御部50と接続されている。本実施形態における制御部50及びスイッチ44A、45Aは、バス型のCAN(Controller Area Network)を通じて相互に接続されている。すなわち、制御部50及びスイッチ44A、45Aは、信号線を通じてCANフレームを送受信する。本明細書中の「信号線」とは、例えば、作動信号を伝送する2本の作動信号線と、制御部50からスイッチ44A、45Aに電力を供給する電力線とを含むものとする。
また、スイッチ44A、45Aは、制御部50に信号を出力する信号線(すなわち、作動信号線)の一部を共用している。制御部50と巻過センサ44、45とを接続する信号線は、例えば、ブーム22の基端側に設けられたコードリールに巻回される。そして、コードリールに巻回された信号線は、ブーム22の伸長に合わせて繰り出され、ブーム22の縮小に合わせて巻き取られる。そして、制御部50からブーム22の先端までは1本の信号線が延設され、ブーム22の先端でスイッチ44A、45Aそれぞれに信号線が分岐されている。
第1フック25の吊下長さがワイヤー44Cの長さより長いとき、第1フック25とウエイト44Bとが離間する。これにより、ウエイト44Bに引っ張られたワイヤー44Cによって、スイッチ44A内の回路の一部が遮断される。一方、第1フック25の吊下長さがワイヤー44Cの長さより短くなると、ウエイト44Bが第1フック25に支持されることによって、ワイヤー44Cが撓む。これにより、スイッチ44A内の回路が接続される。ワイヤー44Cの長さは、閾値の一例である。
スイッチ44Aは、この回路の接続状態に応じた信号を制御部50に出力する。具体的には、スイッチ44Aは、回路が接続されていることに応じて、第1フック25の吊下長さが閾値を下回ったことを示す第1巻過信号を出力する。また、スイッチ44Aは、第1巻過センサ44を識別する第1識別情報を含む第1識別信号を出力する。第1識別信号は、例えば、第1巻過センサ44がブーム22或いはラフィングジブ24に装着された(より詳細には、信号線を通じてスイッチ44Aに電力が供給された)ことに応じて、所定の時間間隔で繰り返し出力される。なお、第1識別情報は、第1巻過信号にも含まれていてもよい。
第2巻過センサ45の動作は、第1巻過センサ44と共通する。但し、第2巻過センサ45から出力される信号には、第1識別情報に代えて、第2巻過センサ45を識別する第2識別情報が含められる。すなわち、第2巻過センサ45は、第2フック26の吊下長さが閾値を下回ったことに応じて、第2巻過信号を出力する。また、第2巻過センサ45は、ブーム22に装着されたことに応じて、所定の時間間隔で繰り返し第2識別信号を送出する。また、各巻過センサ45、46の閾値(すなわち、ワイヤー44C、45Cの長さ)は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
操作部46は、クレーン装置20を動作させるための操作を受け付ける。そして、操作部46は、受け付けた操作に応じた操作信号を出力する。すなわち、制御部50は、操作部46を通じて受け付けた操作に基づいて、クレーン装置20を動作させる。操作部46は、単一の操作(以下、「単独操作」と表記する。)を受け付けることもできるし、複数の操作(以下、「複合操作」と表記する。)を同時に受け付けることもできる。以下、第1特定動作の実行を指示する操作を「第1特定操作」と表記し、第2特定動作の実行を指示する操作を「第2特定操作」と表記し、第1特定操作及び第2特定操作を総称して「特定操作」と表記する。
表示部36には、例えば図6に示されるように、旋回体21の旋回角度、ブーム22の長さ、ブーム22の起伏角度、ブーム22の作業半径、及びフック25、26に吊り下げられた吊荷の重量等が表示される。また、表示部36には、後述するステップS13、S20等において、各種メッセージが表示される。なお、表示部36及び操作部46の一部は、例えば、過負荷防止装置のディスプレイ及び操作パネルを兼ねていてもよい。
図4(B)に示される初回フラグは、オールテレーンクレーン100の電源が投入されてから(すなわち、エンジンが始動されてから)、或いはラフィングジブ24が着脱されてから現在までの間に、特定動作が実行されたか否かを示す。初回フラグの初期値は、特定動作が実行されていないことを示す“OFF”である。また、初回フラグには、後述するステップS13が実行されたことに応じて、特定動作が実行されたことを示す“ON”が設定される。
図4(B)に示される第1存在フラグは、オールテレーンクレーン100の電源が投入されてから、或いはラフィングジブ24が着脱されてから現在までの間に、第1巻過センサ44から第1識別信号が出力されたか否かを示す。換言すれば、第1存在フラグは、第1巻過センサ44が装着されているか否かを示す。第1存在フラグの初期値は、第1巻過センサ44が装着されていないことを示す“OFF(第2値の一例)”である。また、第1存在フラグには、第1識別信号が出力されたことに応じて、第1巻過センサ44が装着されていることを示す“ON(第1値の一例)”が設定される。
図4(B)に示される第2存在フラグは、オールテレーンクレーン100の電源が投入されてから、或いはラフィングジブ24が着脱されてから現在までの間に、第2巻過センサ45から第2識別信号が出力されたか否かを示す。換言すれば、第2存在フラグは、第2巻過センサ45が装着されているか否かを示す。第2存在フラグの初期値は、第2巻過センサ44が装着されていないことを示す“OFF”である。また、第2存在フラグには、第2識別信号が出力されたことに応じて、第2巻過センサ45が装着されていることを示す“ON”が設定される。
さらに、初期フラグ、第1存在フラグ、及び第2存在フラグには、オールテレーンクレーン100の電源が投入された、或いはラフィングジブ24が着脱されたことに応じて、初期値“OFF”が設定される。初期フラグ、第1存在フラグ、及び第2存在フラグの設定値の変更は、制御部50によって行われる。
[ラフィングジブ30の着脱作業]
次に、ラフィングジブ24をブーム22の先端に装着する手順を説明する。なお、ラフィングジブ24をブーム22の先端から取り外す手順は、下記の手順の逆順である。
オールテレーンクレーン100は、ラフィングジブ24を取り外した状態でクレーン装置20を動作させる第1動作状態、ラフィングジブ24を装着した状態でクレーン装置20を動作させる第2動作状態、及びラフィングジブ24をブーム22から着脱する準備状態に状態遷移が可能である。第1動作状態と第2動作状態とでは、フック25、26に吊下可能な吊荷の最大重量が異なる。具体的には、第1動作状態における最大重量は、第2動作状態における最大重量より大きい。また、準備状態は、ラフィングジブ24の着脱に必要な最小限の動作のみが許容され、その他の動作が規制された状態である。オールテレーンクレーン100の状態は、操作部46を通じて作業者によって切り替えられる。
まず、作業者は、オールテレーンクレーン100の状態を第1動作状態から準備状態に、操作部46を通じて切り替える。次に、作業者は、ブーム22の先端からウエイト44B及びワイヤー44Cを取り外し、ラフィングジブ24をブーム22の先端に装着し、ロープ27によってラフィングジブ24の先端に第1フック25を吊下する。次に、作業者は、ラフィングジブ24の先端にウエイト44B及びワイヤー44Cを装着し、ラフィングジブ24の先端のスイッチ44Aと制御部50とを信号線によって接続する。これにより、スイッチ44Aから所定の時間間隔で第1識別信号が出力される。
さらに、作業者は、オールテレーンクレーン100の状態を準備状態から第2動作状態に、操作部46を通じて切り替える。そして、制御部50は、オールテレーンクレーン100の状態が第2動作状態に切り替えられたことに応じて、初回フラグ、第1存在フラグ、及び第2存在フラグを初期化する。さらに、制御部50は、第1存在フラグが初期化された後で第1識別信号が出力されたことに応じて、第1存在フラグに“ON”を設定する。また、制御部50は、第2存在フラグが初期化された後で第2識別信号が出力されたことに応じて、第2存在フラグに“ON”を設定する。
[クレーン制御処理]
次に、図5を参照して、クレーン装置20の動作を制御する制御部50の処理を説明する。制御部50は、例えば、クレーン装置20を動作させる操作を操作部46を通じて受け付けた(すなわち、操作部46から操作信号が出力された)ことに応じて、図5に示されるクレーン制御処理を実行する。
まず、制御部50は、操作部46を通じて特定操作を受け付けたか否かを判断する(S11)。なお、複合操作を受け付けた場合、当該複合操作のうちの1つが特定操作であるか(S11:Yes)、複合操作の全てが特定操作でないか(S11:No)が判断される。次に、制御部50は、特定操作を受け付けたと判断したことに応じて(S11:Yes)、初回フラグの設定値を確認する(S12)。
そして、制御部50は、初回フラグに“OFF”が設定されていることに応じて(S12:Yes)、第1巻過センサ44及び第2巻過センサ45が装着されているか否かを報知する(S13)。換言すれば、制御部50は、第1存在フラグ及び第2存在フラグを直近に初期化した後に、第1識別信号及び第2識別信号が出力されたか否かを報知する。一方、制御部50は、初回フラグに“ON”が設定されていることに応じて(S12:No)、ステップS13の処理をスキップする。ステップS13の処理は、報知処理の一例である。
制御部50は、例えば図6に示されるように、第1巻過センサ44が「未装着」で、第2巻過センサ45が「装着済み」であることを示すメッセージを、表示部36に表示させればよい。なお、ステップS13で報知される内容は、第1存在フラグ及び第2存在フラグの設定値によって変化する。すなわち、対応する存在フラグに“OFF”が設定されている場合に「未装着」と表示され、対応する存在フラグに“ON”が設定されている場合に「装着済み」と表示される。図6は、第1存在フラグに“OFF”が設定され、第2存在フラグに“ON”が設定されている場合の表示例である。
次に、制御部50は、操作部46を通じて第1特定操作を受け付けた場合に、第1存在フラグに“OFF”が設定されているか否かを判断する(S14)。換言すれば、制御部50は、第1フック25の吊下長さを減じる操作を受け付けた場合に、第1巻過センサ44が装着されているか否かを判断する。また、制御部50は、操作部46を通じて第2特定操作を受け付けた場合に、第2存在フラグに“OFF”が設定されているか否かを判断する(S15)。換言すれば、制御部50は、第2フック26の吊下長さを減じる操作を受け付けた場合に、第2巻過センサ45が装着されているか否かを判断する。
そして、制御部50は、ステップS14、S15のどちらの条件にも合致しないことに応じて(S14:No&S15:No)、操作部46を通じて受け付けた操作に対応する動作をアクチュエータに実行させる(S16)。ステップS16の処理は、動作制御処理の一例である。例えば、第2フック26の上昇を指示する操作(すなわち、第2ウインチレバーの操作)を受け付けた場合、制御部50は、第2ウインチ35にロープ28を巻き上げさせる。なお、この操作で第1フック25の吊下長さは減少しないので、第1存在フラグに“OFF”が設定されていても、第2ウインチ35によるロープ28の巻き上げを実行してもよい。
次に、制御部50は、巻過センサ44、45から巻過信号が出力されるか(S17:Yes)、操作部46からの操作信号の出力が停止するまで(S18:Yes)、ステップS16の処理を継続する。すなわち前述の例では、第2フック26の吊下長さが閾値を下回るか、第2ウインチレバーがニュートラルに戻されるまで、第2ウインチ35によるロープ28の巻き上げが継続される。
そして、制御部50は、巻過信号が出力されたことに応じて(S17:Yes)、ステップS16で動作させていたアクチュエータを緊急停止させて(S19)、クレーン制御処理を終了する。すなわち、制御部50は、アクチュエータへの作動油の供給を停止する。なお、複合操作を受け付けた場合の制御部50は、特定動作を実行するアクチュエータのみを停止させてもよいし、全てのアクチュエータを停止させてもよい。これは、作動油タンクから各アクチュエータへ至る流路のどの位置で、作動油の流通を遮断するかによって制御できる。ステップS19の処理は、停止処理の一例である。
一方、制御部50は、操作部46からの操作信号の出力が停止されたことに応じて(S18:Yes)、ステップS16で動作させていたアクチュエータを通常停止させて、クレーン制御処理を終了する。通常停止は、例えば、フック25、26に吊下された吊荷の揺れが小さくなるように、各動作の停止速度を制御する点において、前述の緊急停止と異なる。
また、制御部50は、第1特定操作を受け付け且つ第1存在フラグに“OFF”が設定されていることに応じて(S14:Yes)、或いは第2特定操作を受け付け且つ第2存在フラグに“OFF”が設定されていることに応じて(S15:Yes)、巻過センサの装着忘れを警告する(S20)。そして、制御部50は、ステップS16の処理を実行することなく、クレーン制御処理を終了する。制御部50は、例えばステップS20において、「巻過センサが装着されていないので、特定動作を実行できません」等のメッセージを、表示部36に表示させればよい。
さらに、制御部50は、特定操作と異なる操作を受け付けたと判断したことに応じて(S11:No)、ステップS12〜S15の処理をスキップして、ステップS16〜S18の処理を実行する。この場合、特定動作でない動作がステップS16で実行されるので、巻過センサ44、45から巻過信号が出力されることはない。すなわち、制御部50は、操作部46からの操作信号の出力が停止されるまで(S18:No)、当該動作をアクチュエータに実行させる(S16)。
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、オールテレーンクレーン100の電源が投入されてから、或いはラフィングジブ24が着脱されてから、最初に特定操作を受け付けたタイミングで、第1巻過センサ44及び第2巻過センサ45が装着されているか否かが報知される。これにより、例えば、ラフィングジブ30の着脱時における第1巻過センサ44の装着忘れを作業者に認識させることができる。すなわち、巻過センサ44、45を取り付けない状態でのオールテレーンクレーン100の動作が規制される。
また、上記の実施形態によれば、第1巻過センサ44が取り付けられていない場合に、第1特定動作の実行が規制される。すなわち、第1識別信号が出力される前は第1特定動作の実行が規制され、第1識別信号が出力された後は第1特定動作の実行が可能になる。同様に、第2巻過センサ45が取り付けられていない場合に、第2特定動作の実行が規制される。これにより、巻過センサ44、45の取り付けない状態でオールテレーンクレーン100が動作するのを、確実に防止できる。
さらに、巻過センサ44、45が信号線の一部を共用することによって、ブーム22に沿って延設される信号線の直径を小さくできる。その結果、信号線が巻回されるコードリールを小型化することができる。但し、制御部50と巻過センサ44、45それぞれとが独立した信号線によって接続される所謂スター型のネットワークであってもよい。
なお、上記の実施形態では、初回フラグに“OFF”が設定されている場合にのみ、ステップS13の処理を実行する例を説明した。しかしながら、ステップS12の判断を省略して、特定操作を受け付ける度にステップS13の処理を実行してもよい。ステップS13における報知の方法は、表示部36にメッセージを表示することに限定されず、スピーカ(不図示)から報知音を出力することであってもよいし、LED(不図示)を点灯することであってもよい。ステップS20における警告の方法についても同様である。
また、上記の実施形態では、ステップS14、S15の判断を実行する例を説明した。しかしながら、通常、第2巻過センサ45は着脱されることがないので、ステップS15の処理は省略することができる。また、特定操作と存在フラグの設定値との組み合わせに拘わらず、第1存在フラグ及び第2存在フラグの少なくとも一方に“OFF”が設定されている場合、ステップS16の処理を実行することなく、クレーン制御処理を終了してもよい。
さらに、上記の実施形態では、巻過センサ44、45が所定の時間間隔で繰り返し識別信号を出力する例を説明したが、識別信号の出力タイミングはこれに限定されない。例えば、巻過センサ44、45は、識別信号の出力を指示する出力指示信号を制御部50から受信したことに応じて、各々を識別する識別信号を出力してもよい。
10・・・ベース車両
20・・・クレーン装置
22・・・ブーム
24・・・ラフィングジブ
25・・・第1フック
26・・・第2フック
32・・・起伏シリンダ
33・・・伸縮シリンダ
34・・・第1ウインチ
35・・・第2ウインチ
44・・・第1巻過センサ
45・・・第2巻過センサ
46・・・操作部
50・・・制御部
51・・・記憶部
100・・・オールテレーンクレーン

Claims (6)

  1. 走行体と、
    起伏及び伸縮可能に上記走行体に支持されたブームと、
    上記ブームの先端に着脱可能なジブと、
    上記ブームの先端及び上記ジブの先端のどちらにも吊下可能な第1フックと、
    上記ブームの先端にのみ吊下可能な第2フックと、
    上記ブームを伸縮させ、上記ブームを起伏させ、上記第1フック及び上記第2フックそれぞれを吊下するロープを繰り出し及び巻き取るアクチュエータと、
    上記ブームの先端及び上記ジブの先端のどちらにも着脱可能であり、装着されたことに応じて第1識別信号を出力し、上記第1フックの吊下長さが閾値を下回ったことに応じて第1巻過信号を出力する第1巻過センサと、
    上記ブームの先端にのみ着脱可能であり、装着されたことに応じて第2識別信号を出力し、上記第2フックの吊下長さが閾値を下回ったことに応じて第2巻過信号を出力する第2巻過センサと、
    上記アクチュエータの動作を指示する操作を受け付けたことに応じて、当該操作に対応する操作信号を出力する操作部と、
    上記アクチュエータの動作を制御する制御部とを備えており、
    上記制御部は、
    上記操作信号が出力されたことに応じて、当該操作信号に対応する動作を上記アクチュエータに実行させる動作制御処理と、
    上記動作制御処理中に上記第1巻過信号或いは上記第2巻過信号が出力されたことに応じて、上記アクチュエータの動作を停止させる停止処理と、
    吊下長さを減じる特定動作に対応する上記操作信号が最初に出力されたことに応じて、上記第1識別信号及び上記第2識別信号が既に出力されたか否かを報知する報知処理と、を実行するクレーン車。
  2. 上記制御部は、
    上記第1識別信号が出力された後に、上記第1フックの吊下長さを減じる第1特定動作に対応する上記操作信号が出力されたことに応じて、上記動作制御処理を実行し、
    上記第1識別信号が出力される前に、上記第1特定動作に対応する上記操作信号が出力されたことに応じて、上記動作制御処理を実行しない請求項1に記載のクレーン車。
  3. 上記ブームの先端に装着された上記ジブは、伸縮及び起伏が可能であり、
    上記アクチュエータは、さらに上記ジブを伸縮させ、上記ジブを起伏させ、
    上記第1特定動作は、上記ブームの倒伏、上記ブームの伸長、上記ジブの倒伏、上記ジブの伸長、上記第1フックの上昇のいずれかである請求項2に記載のクレーン車。
  4. 該クレーン車は、上記第1識別信号が出力されたことを示す第1値、或いは上記第1識別信号が出力されていないことを示す第2値が設定される存在フラグを記憶する記憶部を備えており、
    上記制御部は、
    上記第1識別信号が出力されたことに応じて、上記存在フラグに上記第1値を設定し、
    該クレーン車に電力が供給された或いは上記ジブが着脱されたことに応じて、上記存在フラグに上記第2値を設定し、
    上記存在フラグに設定された値に基づいて、上記第1識別信号が出力されたか否かを判断する請求項1から3のいずれかに記載のクレーン車。
  5. 上記第1巻過センサ及び上記第2巻過センサは、上記制御部に信号を出力する信号線の一部を共用している請求項1から4のいずれかに記載のクレーン車。
  6. 上記制御部、上記第1巻過センサ、及び上記第2巻過センサは、Controller Area Networkを通じて接続されている請求項1から5のいずれかに記載のクレーン車。
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