JP2017058652A - カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、耐熱性、耐溶剤性に優れる安定なカラーフィルタ用着色組成物、並びにそれを用いた色特性が良く、高コントラスト、高い耐熱性、耐溶剤性を有するカラーフィルタを提供することにある。【解決手段】着色剤、特定の分散剤(X1)と、アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/ 又は、アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)とを含有する分散剤、バインダー樹脂、および溶剤を含有するカラーフィルタ用着色組成物によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物、及びこれを用いて形成されてなるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタに関するものである。
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極および配向膜の性能を充分に得るには、カラーフィルタを形成する製造工程において、一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温処理が必要である。このため、現在、カラーフィルタは、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
しかし、一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低いという問題がある。
そこで近年、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるため、フィルタセグメント中に含まれる顔料を微細化処理して用いられることが多い。しかし、単純に顔料(化学反応により製造された粒子径が10〜100μmのクルードと呼ばれるものを、顔料化処理により一次粒子とこれが凝集した二次粒子の混合物にまでしたものである)を様々な微細化処理方法により微細化しても、一次粒子あるいは二次粒子の微細化が進行した顔料は一般に凝集し易く、微細化が進行し過ぎた場合には巨大な塊状の顔料固形物を形成してしまう。さらに、微細化の進行した顔料は、樹脂等を含有する顔料担体中へ分散させ、再び顔料の二次粒子をなるべく一次粒子にまで近づけて安定化させようとしても、安定な着色組成物を得ることは非常に困難である。
そのため、例えば、微細な粒子からなる顔料を含む顔料組成物は往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出しや輸送が困難となるばかりではなく、悪い場合は保存中にゲル化を起こし、使用困難となることさえある。そこで、ブロック型構造(特許文献1)や櫛形構造(特許文献2)を有する構造制御されたものや、特定構造を有するポリエステル分散剤等の樹脂型分散剤(特許文献3)等により、分散性、保存安定性に優れ、かつ高コントラスト比を有する着色組成物の検討がされている。しかし、これらの樹脂型分散剤を用いても、顔料の微細化が進み、表面積が増加している顔料の耐性を改善するには十分ではなく、顔料組成物の展色物の表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生じたり、耐熱性、耐光性、耐溶剤性等の耐性については十分でないのが現状である。
また、近年顔料で達成し得ない高コントラスト比・高明度化を実現するため、色材として、染料にも注目が集まっている。
染料は、一般に、溶剤やポリマーに可溶であり、カラーフィルタ着色組成物中でも凝集等を起さずに安定している。また、この染料を分散させた着色液を用いて得られるカラーフィルタは、染料が分子レベルで分散しているため消偏作用がなく、光透過性も優れる。しかしながら、顔料を着色剤とする着色組成物に比べ染料を含有する着色組成物は、さらに耐熱性、耐光性、また耐薬品性に劣るといった欠点を有することが多い。
このように、フォトリソグラフィー技術により製造されるカラーフィルタにおいて、微細化された有機顔料や、染料を用いることによる高コントラスト比、高精細、高透明性、高色純度を有し、しかも耐熱性、耐光性、耐薬品性、耐昇華性に優れた実用性のあるカラーフィルタは得られていない。
特開2002−31713号公報 特開平11−1515号公報 国際公開第2008/007776号パンフレット
そこで、本発明の目的は、微細化顔料や染料を着色剤として用いても耐熱性、耐光性、耐薬品性といった堅牢性に優れ、かつ高コントラスト比を示しつつ、分散体の安定性も確保された良好なカラーフィルタ用着色組成物を提供することである。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、熱架橋性官能基を含有する特定の顔料分散剤(X1)とともに、アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/又は、アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)を含有する着色組成物は、高コントラスト比を示し、かつ、分散体の安定性も確保された良好な分散状態を作り出すことができ、かつ、硬化した後の耐薬品性、耐溶剤性に優れることを見出した。
すなわち、着色剤、分散剤(X)、バインダー樹脂、および溶剤を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、
分散剤(X)が、熱架橋性官能基を含有する分散剤(X1)と、アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/ 又は、アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)とを含有し、
熱架橋性官能基を含有する分散剤(X1)が、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分(X1’)と、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分(X2’)とを有し、
かつ、熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分(X2’)の熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明は、着色剤が、カラーインデックス( C . I . ) ピグメントイエロー1 5 0 、1 3 8、 ピグメントグリーン58、キノフタロン系顔料、及び、下記一般式(2A)または下記一般式(2B)のいずれかであるアルミニウムフタロシアニン顔料から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。

一般式(2A)

[一般式(2A)中、X1〜X4はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、または置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。
l〜Y4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Zは、水酸基、塩素原子、−OP(=O)R12、または−O−SiR345を表す。
ここでR1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R同士が互いに結合して環を形成しても良い。m1〜m4、n1〜n4は、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、m1+n1、m2+n2、m3+n3、m4+n4は、各々、0〜4で、同一でも異なっても良い。]

一般式(2B)

[一般式(2B)中、X5〜X12はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、または置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。Y5〜Y12はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Lは、−O−SiR67−O−、−O−SiR67−O−SiR89−O−、または−O−P(=O)R10−O−を表し、R6〜R10はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。m5〜m12、n5〜n12は、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、m5+n5、m6+n6、m7+n7、m8+n8、m9+n9、m10+n10、m11+n11、m12+n12は、各々、0〜4で、同一でも異なっても良い。]
また、本発明は、分散剤(X1)の熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明は、さらに光重合開始剤を含有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明は、基材上に、前記カラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物により、優れた分散性、保存安定性、及び耐溶剤性に優れるカラーフィルタ用着色組成物、並びにそれを用いた色特性が良く、耐光性、耐溶剤性に優れるカラーフィルタを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤、分散剤、バインダー樹脂、熱硬化性化合物、および溶剤を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、分散剤(X)が、熱架橋性官能基を含有する分散剤(X1)と、アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/ 又は、アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)とを含有し、
熱架橋性官能基を含有する分散剤(X1)が、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分(X1’)と、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分(X2’)とを有し、
かつ、熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分(X2’)の熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を構成する各成分について詳述する。
<着色剤>
本発明の着色組成物に用いることができる着色剤としては、従来公知の種々の顔料、および染料から任意に選択することができる。これらの顔料・染料は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
着色剤の含有量は、着色組成物の全不揮発成分を基準(100重量%)として、充分な色再現性を得る観点から10重量%以上が好ましく、より好ましくは15重量%以上であり、最も好ましくは20重量%以上である。また、着色組成物の安定性の観点から、好ましい着色剤含有量は90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下であり、最も好ましくは70重量%以下である。
なお、着色剤が染料を含有する場合、染料の含有量は、顔料100重量部に対し1〜800重量部であることが好ましい。より好ましくは5〜400重量部である。染料の添加量がこの範囲にあることにより、明度およびコントラスト比に優れたものとすることができる。
《有機顔料》
着色剤としてカラーフィルタの画素を形成する場合に使用できる顔料の具体例を示す。赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、または254であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、または254である。
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、または15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55または58を挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36または58である。また、特開2008−19383号公報、特開2007−320986号公報、特開2004−70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料等を用いることもでき、特にこれらに限定されない。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、または185であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、または180である。
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、または23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
キノフタロン系顔料としては特許4993026号に記載のものを使用することができるが、特にこれらに限定されない。
更に、下記一般式(2A)または下記一般式(2B)のいずれかであるアルミニウムフタロシアニン顔料を使用することができる。

一般式(2A)

[一般式(2A)中、X1〜X4はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、または置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。
l〜Y4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Zは、水酸基、塩素原子、−OP(=O)R12、または−O−SiR345を表す。
ここでR1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R同士が互いに結合して環を形成しても良い。m1〜m4、n1〜n4は、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、m1+n1、m2+n2、m3+n3、m4+n4は、各々、0〜4で、同一でも異なっても良い。]

一般式(2B)

[一般式(2B)中、X5〜X12はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、または置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。Y5〜Y12はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Lは、−O−SiR67−O−、−O−SiR67−O−SiR89−O−、または−O−P(=O)R10−O−を表し、R6〜R10はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。m5〜m12、n5〜n12は、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、m5+n5、m6+n6、m7+n7、m8+n8、m9+n9、m10+n10、m11+n11、m12+n12は、各々、0〜4で、同一でも異なっても良い。]
一般式(2A)中、X1〜X4は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。上記X1〜X4が置換基を有する場合、置換基は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン基、アミノ基、水酸基、ニトロ基等の特性基の他、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数あっても良い。
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、「置換基を有するアルキル基」としては、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−tert−プチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、「置換基を有するアリール基」としては、p−メチルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−アミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられ、「置換基を有するシクロアルキル基」としては、2,5−ジメチルシクロペンチル基、4−tert−プチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられ、「置換基を有する複素環基」としては、3−メチルピリジル基、N−メチルピペリジル基、N−メチルピロリル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、「置換基を有するアルコキシル基」としては、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」としては、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアルキルチオ基」としては、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールチオ基」としては、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2−アミノフェニルチオ基、2−ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
次に、Yl〜Y4の具体例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C64(CO)2N−CH2−)、スルファモイル基(H2NSO2−)が挙げられる。また、置換基を有するフタルイミドメチル基とは、フタルイミドメチル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表し、置換基を有するスルファモイル基とは、スルファモイル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表す。好ましいYは、ハロゲン原子及びスルファモイル基である。ml〜m4が0である(つまり、Yl〜Y4がない)フタロシアニン化合物も好適に使用できる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、および、置換基を有してもよいスルファモイル基の「置換基」としては、X1〜X4の置換基と同義である。
さらに、Yが臭素または塩素であることが、耐有機溶剤性の観点から好ましい。また、m1〜m4の合計が8〜13であることが、分散性の観点から好ましい。
Zは、水酸基、塩素原子、−OP(=O)R12、または、−O−SiR345で表さ
れ、ここで、R1、R2は、各々、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R1、R2が互いに結合して環を形成しても良い。
ここで、R1およびR2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、アルキル基が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、メトキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、トリル基等の芳香族基、ニトロ基などがある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、べンジル基、4−メチルべンジル基、4−tert−ブチルべンジル基、4−メトキシべンジル基、4−ニトロべンジル基、2,4−ジクロロべンジル基等が挙げられる。
1およびR2におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等があり、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等がある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアリール基には、例えば、p−トリル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−ジメチルアミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基等がある。
1およびR2におけるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、置換基を有するアルコキシル基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基などがある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアルコキシル基としては、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等がある。
1およびR2におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフタルオキシ基、アンスリルオキシ基等があり、アリールオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等がある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアリールオキシ基には、例えば、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基等がある。
本発明で用いられる、一般式(2A)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料としては、分散性や色特性の観点から、R1、R2のうちの少なくとも1つが、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基であることが好ましい。より、好ましくは、R1、R2がいずれもアリール基、またはアリールオキシ基である。さらに、好ましくは、R1、R2がいずれもフェニル基、またはフェノキシ基である。
一般式(2A)中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、又は環の数が4以下の芳香族基である。アルキル基の炭素数が18を超えたり、芳香族環の数が4を超えたりすると、分子量が増大し単位重量あたりの吸光係数が小さくなるため、着色組成物中の顔料濃度を高くせざるを得なくなり、好ましくない。
3、R4、及びR5におけるアルキル基として、直鎖の他、分岐しても、環状になっていても良く、ヘテロ原子数が合計で3以下の範囲で、官能基を有していても良い。例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
3、R4及びR5における芳香族基として、芳香族環にヘテロ原子を含んでいてもよく、
各芳香族環にヘテロ原子数2以下の範囲で、官能基を有していても良い。例示すると、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、テトラフェニレニル基、及びコロネニル基等が挙げられる。
本発明で用いられる、一般式(2A)で表されるフタロシアニン化合物のうち、耐熱性・耐光性の観点から、Zは−OP(=O)R12の方がより好ましい。
一般式(2B)中、X5〜X12は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。上記X5〜X12が置換基を有する場合、置換基は、同一でも異なっても良く、その具体例としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン基、アミノ基、水酸基、ニトロ基等の特性基の他、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数あっても良い。
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、「置換基を有するアルキル基」としては、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−tert−プチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、「置換基を有するアリール基」としては、p−メチルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−アミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられ、「置換基を有するシクロアルキル基」としては、2,5−ジメチルシクロペンチル基、4−tert−プチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられ、「置換基を有する複素環基」としては、3−メチルピリジル基、N−メチルピペリジル基、N−メチルピロリル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、「置換基を有するアルコキシル基」としては、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」としては、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアルキルチオ基」としては、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールチオ基」としては、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2−アミノフェニルチオ基、2−ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
次に、Y5〜Y12の具体例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C64(CO)2N−CH2−)、スルファモイル基(H2NSO2−)が挙げられる。また、置換基を有するフタルイミドメチル基とは、フタルイミドメチル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表し、置換基を有するスルファモイル基とは、スルファモイル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表す。好ましいYは、ハロゲン原子及びスルファモイル基である。ml〜m4が0である(つまり、Y5〜Y12がない)フタロシアニン化合物も好適に使用できる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、および、置換基を有してもよいスルファモイルル基の「置換基」としては、X5〜X12の置換基と同義である。
さらに、Yが臭素または塩素であることが、耐有機溶剤性の観点から好ましい。また、m1〜m4の合計が8〜13であることが、分散性の観点から好ましい。
一般式(2B)中、Lは−O−SiR67−O−、−O−SiR67−O−SiR89−O−、または−O−P(=O)R10−O−を表し、R6〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。
ここで、R6〜R10におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、アルキル基が置換基を有するアルキル基である場合の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、メトキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、トリル基等の芳香族基、ニトロ基などがある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、べンジル基、4−メチルべンジル基、4−tert−ブチルべンジル基、4−メトキシべンジル基、4−ニトロべンジル基、2,4−ジクロロべンジル基等が挙げられる。
6〜R10におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等があり、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等がある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアリール基には、例えば、p−トリル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−ジメチルアミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基等がある。
6〜R10におけるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、置換基を有するアルコキシル基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基などがある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアルコキシル基としては、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等がある。
6〜R10におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフタルオキシ基、アンスリルオキシ基等があり、アリールオキシ基が置換基を有する場合の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等がある。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するアリールオキシ基には、例えば、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基等がある。
本発明で用いられる、一般式(2B)で表されるフタロシアニン化合物としては、分散体の粘度や色特性の観点から、R6〜R7、R6〜R9において少なくとも1つが、およびR10が置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基であることが好ましい。より、好ましくは、R6〜R7、R6〜R9、およびR10がいずれもアリール基、またはアリールオキシ基である。さらに、好ましくは、R6〜R7、R6〜R9、およびR10がいずれもフェニル基、またはフェノキシ基である。
[顔料の微細化]
本発明で顔料を用いる場合、微細化して用いることが好ましいが、微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理を行うことができる。顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いカラーフィルタを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25〜85nmの範囲である。なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径としている。
本発明の着色組成物は、熱架橋性官能基を含有する特定の顔料分散剤(X1)、アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/ 又は、アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)とともに、このような微細化処理された顔料を用いた場合にも、耐性に優れ、輝度およびコントラスト比の高いカラーフィルタ用着色組成物とすることができるものである。
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
《染料》
本発明の着色組成物は、着色剤として、染料を用いることもできる。染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等のいずれも用いることができる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもかまわない。
さらに、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の形態の場合は、酸性染料の無機塩や、酸性染料と四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、もしくは一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物、またはこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることで耐性に優れたものとなるために、堅牢性に優れた着色組成物とすることができ、好ましい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましく、より好ましくは、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂である場合である。
塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸もしくはその金属塩を用いて造塩化して用いることができる。中でも、塩基性染料の造塩化合物が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに塩基性染料と、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、または酸性染料とを造塩した、造塩化合物を用いることがより好ましいものである。
また、色素骨格に重合性不飽和基を有する場合、耐性に優れた染料とすることができ、好ましい。
染料の化学構造としては、例えば、アゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造を挙げることができる。
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
[キサンテン系染料]
本発明において好ましく用いることのできるキサンテン系染料は、赤色、紫色を呈するものであり、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料のいずれかの形態を有するものであることが好ましい。またこれらの染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもかまわない。
これらの中でも、キサンテン系油溶性染料、キサンテン系酸性染料、を用いることが色相に優れるために好ましい。
赤色、紫色を呈するとは、C.I.ソルベントレッド、C.I.ソルベントバイオレット等の油溶性染料、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレット等の塩基性染料、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドバイオレット等の酸性染料、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトバイオレット等の直接染料等、に属するものが挙げられる。
ここで直接染料は、構造中にスルホン酸基(−SOH、−SONa)を有しており、本発明においては、直接染料は酸性染料として見なすものである。
また、キサンテン系塩基性染料は、有機酸や過塩素酸を用いて造塩化して用いることが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましい。中でもトビアス酸等のナフタレンスルホン酸、過塩素酸を用いることが耐性の面で好ましい。
また、キサンテン系酸性染料は、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることが耐性の面で好ましい。
これらの中でも特に、キサンテン系酸性染料の造塩化合物および/またはキサンテン系酸性染料のスルホン酸アミド化合物が色相および耐性に優れているために好ましく、さらにキサンテン系酸性染料を、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である四級アンモニウム塩化合物を用いて造塩化した化合物、およびキサンテン系酸性染料をスルホンアミド化したスルホン酸アミド化合物を用いることがより好ましいものである。
また、キサンテン系色素の中でも、ローダミン系色素は発色性、耐性にも優れているために好ましい。
以下、本発明に用いるキサンテン系色素の形態について具体的に詳述する。
〔キサンテン系油溶性染料〕
キサンテン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソルベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット10などがあげられる。
中でも、発色性の高いローダミン系油溶性染料であるC.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2がより好ましい。
〔キサンテン系塩基性染料〕
キサンテン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックレッド1(ローダミン6GCP)、8(ローダミンG)、C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)等があげられる。中でも発色性に優れる点において、C.I.ベーシックレッド1、C.I.ベーシックバイオレット10を用いることが好ましい。
〔キサンテン系酸性染料〕
キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることが好ましい。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド388、あるいは、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることがより好ましい。
この中でも特に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点において、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いることが最も好ましい。
また、これらの酸性染料は、酸性染料と含窒素化合物との造塩化合物であることが好ましく、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化し、キサンテン系酸性染料の造塩化合物とすることで、高い耐熱性、耐光性、耐溶剤性を付与することができるために好ましい。
また、酸性染料と、オニウム塩基を有する化合物との造塩化合物であってもよく、なかでも、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂であることにより、明度および耐性に優れた着色組成物とすることが出来る。
一級アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、トリドデシルアミン、テトラデシルアミン(ミリスチルアミン)、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、アリルアミン等の脂肪族不飽和1級アミン、アニリン、ベンジルアミン等が挙げられる。
二級アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジアリルアミン等の脂肪族不飽和2級アミン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジココアルキルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミン、ジステアリルアミン等が挙げられる。
三級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリベンジルアミン等が挙げられる。
四級アンモニウム塩化合物としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、モノラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド、トリアミルベンジルアンモニウムクロライド、トリヘキシルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルベンジルアンモニウムクロライド、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド、及びベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド、ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(硬化牛脂)等が挙げられる。
具体的な四級アンモニウム塩化合物の製品としては、例えば花王社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB−50等、ライオン社製のアーカード210−80E、2C−75、2HT−75、2HTフレーク、2O−75I、2HP−75、2HPフレーク等があげられ、中でもコータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、アーカード2HT−75(ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド)が挙げられる。
また、これらの酸性染料は、酸性染料と含窒素化合物との造塩化合物であることが好ましく、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化し、キサンテン系酸性染料の造塩化合物とすることで、高い耐熱性、耐光性、耐溶剤性を付与することができるために好ましい。
また、酸性染料と、オニウム塩基を有する化合物との造塩化合物であってもよく、なかでも、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂であることにより、明度および耐性に優れた着色組成物とすることが出来る。
一級アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、トリドデシルアミン、テトラデシルアミン(ミリスチルアミン)、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、アリルアミン等の脂肪族不飽和1級アミン、アニリン、ベンジルアミン等が挙げられる。
二級アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジアリルアミン等の脂肪族不飽和2級アミン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジココアルキルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミン、ジステアリルアミン等が挙げられる
三級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリベンジルアミン等が挙げられる。
四級アンモニウム塩化合物としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、モノラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド、トリアミルベンジルアンモニウムクロライド、トリヘキシルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルベンジルアンモニウムクロライド、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド、及びベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド、ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(硬化牛脂)等が挙げられる。
具体的な四級アンモニウム塩化合物の製品としては、例えば花王社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB−50等、ライオン社製のアーカード210−80E、2C−75、2HT−75、2HTフレーク、2O−75I、2HP−75、2HPフレーク等があげられ、中でもコータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、アーカード2HT−75(ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド)が挙げられる。
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂)
側鎖にカチオン性基を有する樹脂について説明する。造塩化合物を得るための側鎖にカチオン性基を有する樹脂としては、側鎖に少なくとも1つのオニウム塩基を有するものであれば、特に制限はないが、好適なオニウム塩構造としては、入手性等の観点からは、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、及びホスホニウム塩であることが好ましく、保存安定性(熱安定性)を考慮すると、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、及びスルホニウム塩であることがより好ましい。さらに好ましくはアンモニウム塩である。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、下記一般式(3)で表わされる構造単位を含むアルカリ樹脂であって一般式(3)中のカチオン性基が、キサンテン系酸性染料のアニオン性基と塩形成することで、造塩化合物を得ることができる。
一般式(3)


[一般式(3)中、R51は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R52〜R54は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基を表し、R52〜R54のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R55−、−COO−R55−を表し、R55はアルキレン基を表す。Yは無機または有機のアニオンを表す。]
(塩形成)
酸性染料と、含窒素化合物または側鎖にカチオン性基を有する樹脂との造塩化合物は、従来知られている方法により製造することができる。特開平11−72969号公報などに具体的な手法が開示されている。
キサンテン系酸性染料を用いて一例をあげると、キサンテン系酸性染料を水に溶解した後、四級アンモニウム塩化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでキサンテン系酸性染料中のスルホン酸基(−SOH)、スルホン酸ナトリウム基(−SONa)の部分と四級アンモニウム塩化合物のアンモニウム基(NH )の部分が結合した造塩化合物が得られる。また水の代わりに、メタノール、エタノールも造塩化時に使用可能な溶媒である。
また、本発明に用いる造塩化合物は、一般式(3)で表わされる側鎖にカチオン性基を有する樹脂と、酸性染料とを溶解させた水溶液を攪拌または振動させるか、あるいは一般式(3)で表わされる側鎖にカチオン性基を有する樹脂の水溶液と酸性染料の水溶液とを攪拌または振動下で混合させることにより、容易に得ることができる。水溶液中で、樹脂のアンモニウム基と酸性染料のアニオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となり析出する。逆に、樹脂の対アニオンと酸性染料の対カチオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。使用する側鎖にカチオン性基を有する樹脂、および酸性染料は、各々単一種類のみを使用しても、構造の異なる複数種類を使用してもよい。また、その他の酸性染料においても、キサンテン系染料と同様の手法で、含窒素化合物または側鎖にカチオン性基を有する樹脂との造塩化合物を得ることができる。
(スルホン酸アミド化合物)
本発明に用いる酸性染料は、スルホン酸アミド化合物と、アニオン性染料とを反応させて得られたスルホン酸アミド化合物であっても構わない。
本発明の酸性染料に好ましく用いることのできる酸性染料のスルホン酸アミド化合物は、−SOH、−SONaを有する酸性染料を常法によりクロル化して、−SOHを−SOClとし、この化合物を、−NH基を有するアミンと反応して製造することが
できる。
また、スルホンアミド化において好ましく使用できるアミン化合物としては、具体的には、2−エチルへキシルアミン、ドデシルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、シクロへキシルアミン等を用いることが好ましい。
キサンテン系酸性染料を用いて一例をあげると、C.I.アシッドレッド289を3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合は、C.I.アシッドレッド289をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド289のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
また、C.I.アシッドレッド52を3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合も、C.I.アシッドレッド52をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド52のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
また、その他の酸性染料においても、キサンテン系染料と同様の手法でスルホン酸アミド化合物を得ることができる。
<分散剤>
一般に、分散剤は着色剤に吸着する部位と、着色剤担体及び分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの部位のバランスで分散剤の性能が決まる。
つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の着色剤に吸着する性能と着色剤担体及び分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。ここで言う着色剤担体とは、固形分から着色剤成分と分散剤を除いた、樹脂及びその前駆体又はそれらの混合物からなる。
本発明では、熱架橋性官能基を含有する特定の分散剤(X1)と、アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/又は、アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)とを組み合わせることにより、高コントラスト比を示し、かつ、分散体の安定性も確保された良好な分散状態を作り出すことができ、かつ、熱架橋性官能基により硬化度が上がり、塗膜にした後の耐薬品性、耐溶剤性が優れることを見出した。
以下に各分散剤について詳細を説明する。
《分散剤(X1)》
本願発明の分散剤(X1)は、X1’とX2’の2つ部位より構成されており、これら部位がどのように結合されているかを特定し、記載することは、不可能であるかおよそ現実的ではないため、製造方法により記載する。
分散剤(X1)は、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分(X1’)と、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分(X2’)を有し、
該熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である分散剤である。
また、架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、ブロックイソシアネート基、または(メタ)アクリロイル基である場合、溶剤耐性に優れるものとなるために好ましい。
なお、本発明の分散剤(X1)は、ビニル重合体部分(X2’)のエチレン性不飽和単量体(c)がラジカル重合であることから、分散剤(X1)の構造を特定することは、不可能または著しく過大な負担を要する。
ここで、主鎖のポリエステル部分(X1’)が、着色剤吸着基として、側鎖のビニル重合体部分(X2’)が着色剤担体親和基として、作用することにより、着色剤の凝集を抑え、安定性に優れた分散体を得ることができる。そして更に、この分散剤(X1)における側鎖のビニル重合体部分(X2’)の熱架橋性官能基により硬化度が上がり、耐薬品性、耐溶剤性が良好な塗膜を得ることができる。
分散剤(X1)の含有量は、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.01〜60重量部、更に好ましくは5〜40重量部である。分散剤(X1)の含有量がこの範囲にある場合、分散性および耐性に優れたものとすることができる。
また、分散剤(X1)の重量平均分子量は、好ましくは、2,000〜100,000である。
重量平均分子量が2,000未満であれば顔料組成物の安定性が低下する場合があり、100,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、着色組成物の増粘が起きる場合がある。又、得られた分散剤の酸価は、5〜200mgKOH/gが好ましい。更に好ましくは、5〜150mgKOH/gであり、特に好ましくは、5〜100mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満では、着色剤への吸着能が低下し分散性に問題がでる場合があり、200mgKOH/gを超えると、樹脂間の相互作用が強くなり着色組成物の粘度が高くなる場合がある。
続いて、分散剤(X1)の各構成要素について説明する。
[水酸基含有化合物(a)]
水酸基含有化合物としては、分子内に水酸基を有してさえいれば、特に制限されないが、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオールであることが好ましく、特に分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a1)であることが好ましい。
〔分子内に2の水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a1)〕
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a1)としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、又は2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
〔その他のポリオール(a2)〕
用いることのできるその他のポリオール(a2)として、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のグループ(1)〜(7)に属するものがある。これらのポリオール化合物を併用することでカルボン酸基の密度や、溶剤溶解部の割合の調整が容易になる。
(1)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、又はヘキサントリオール等の多価アルコール類;
(2)ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール等の各種のポリエーテルグリコール類;
(3)上記した各種の多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、若しくはアリルグリシジルエーテル等の(環状)エーテル結合含有化合物と、の開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類;
(4)上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られるポリエステルポリオール類であって、多価カルボン酸類が、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンヒカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサトリカルボン酸、若しくは2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等で特に代表されるものを用いて得られるポリオール類;
(5)上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、若しくは3−メチル−δ−バレロラクトン等の各種ラクトン類と、の重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、又は、上記した各種の多価アルコール類と、多価カルボン酸類と、各種のラクトン類と、の重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;
(6)ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価及び/若しくは多価アルコール類のグリシジルエーテル、又は、一塩基酸及び/若しくは多塩基酸類のグリシジルエステル等のエポキシ化合物を、ポリエステルポリオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール類;あるいは、
(7)ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物、又は水酸基含有シリコン樹脂等のその他のポリマーポリオール等が挙げられる。
これら(1)〜(7)に示された任意に添加する、その他のポリオール(a2)は、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは勿論であるが、その重量平均分子量としては、相溶性や分散安定性の観点から、40〜10,000が好ましく、より好ましくは、100〜2,000であり、更に好ましくは、100〜1,000である。重量平均分子量が、40未満では、相溶性や分散安定性を改善する効果は小さく、重量平均分子量が、10,000以上では、かえって相溶性が悪くなる場合がある。
その他のポリオール(a2)の一分子中の水酸基の数は、目的とする分散剤が合成できれば特に限定はないが、ジオールが好ましい。特に、テトラカルボン酸二無水物(b1)と反応することで、主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散に有利である。水酸基が二つより多いポリオールを多く用いると、ポリエステルの主鎖が分岐して複雑かつ嵩高くなり、分散効果が得られにくくなる場合がある。ポリエステル(X1)の分子量調整や、分散液の粘度調整のため等、設計の観点から最小限に止めるべきである。
[酸無水物(b)]
本発明の酸無水物(b)は、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上を含有する。
テトラカルボン酸二無水物(b1)の二つの無水物基は、水酸基含有化合物(a)の水酸基と反応することによって、分散剤(X1)の主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散に有利である。
また、トリカルボン酸無水物(b2)を使用した場合は、水酸基と反応してエステル結合を形成し、カルボキシル基を残すことができる。
また、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)以外のポリカルボン酸無水物である、ジカルボン酸無水物、5個以上カルボン酸を有する化合物の無水物を併用することもできる。
〔テトラカルボン酸無水物(b1)〕
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物(b1)としては、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明で使用されるテトラカルボン酸二無水物は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。テトラカルボン酸二無水物は、ポリオールとの反応により、ポリエステルの一単位に二個のカルボキシル基を有する分散剤を形成するため、顔料吸着性の観点から、本発明の分散剤(X1)の構成要素として好ましい。
更に、本発明に好ましく使用されるものは、着色剤に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、更に、好ましくは、芳香族環を2つ以上有するテトラカルボン酸二無水物である。芳香族カルボン酸は、脂肪族カルボン酸に比べて顔料吸着能が高く、更に、芳香族環を2つ以上有するカルボン酸は、顔料吸着に適した骨格であり、耐熱性も高い。
具体的には、下記一般式(4)又は一般式(5)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
一般式(4):


[一般式(4)中、kは1または2である。]
一般式(5):


[一般式(5)中、Q1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、一般式(6):


で表される基、または一般式(7):


で表される基である。]
〔トリカルボン酸無水物(b2)〕
トリカルボン酸無水物(b2)としては、脂肪族トリカルボン酸無水物、又は芳香族トリカルボン酸無水物等が挙げられる。
脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。本発明に好ましく使用されるものは、顔料に対する吸着性の観点から、上記のうち芳香族トリカルボン酸無水物である。
テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と、水酸基含有化合物(a)中の水酸基の比率は、酸無水物基/水酸基が、0.5〜1.5であることが好ましい。
0.5より小さい場合、1.5以上より大きい場合、いずれも反応しない部分が多くなり、目的とする分散剤が得られないことが多い。
[エチレン性不飽和単量体(c)]
本発明の分散剤(X1)は、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなるビニル重合体部位(X2’)を有する。
〔エチレン性不飽和単量体(c1)〕
エチレン性不飽和単量体(c1)は、熱架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体、または熱架橋性基を導入するためのエチレン性不飽和単量体である。
このような水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)、を含むエチレン性不飽和単量体を共重合することにより、ビニル重合体部分(X2’)に、熱架橋性基を導入することができる。
または、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)を含むエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなる水酸基含有重合体中の水酸基と、
イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)中のイソシアネート基と、を反応させることにより、ビニル重合体部分(X2’)に、(メタ)アクリロイル基を導入することができる。
また、このようなエチレン性不飽和単量体(c1)の含有量は、全エチレン性不飽和単量体(c)の合計を基準(100重量%)として、5〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。5重量%以上であると、架橋性に優れ、耐性がより良い結果となり、70重量%未満であれば、安定性に優れたものとすることができる。
(水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1))
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明方法において、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
(オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2))
オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)としては、メタクリル酸(3-エチルオキセタン―3−イル)メチル等を挙げることが出来る。
市販品としては、例えば、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3-エチルオキセタン―3−イル)メチル)(宇部興産製)などが挙げられる。
(t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3))
t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)としては、例えば、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレートなどが挙げられる。
(ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4))
ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)としては、メタクリル酸2−(0−[1‘−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等を挙げることが出来る。
市販品としては、例えば、カレンズMOI−BM(メタクリル酸2−(0−[1‘−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル)(昭和電工製)、カレンズMOI−BP(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)(昭和電工製)などが挙げられる。
(イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有する
エチレン性不飽和単量体(c1−5))
イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)は、1つのイソシアネート基、および1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であって、1つのイソシアネート基、および1つまたは2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、具体的には2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、または1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが好ましい。
本発明で使用されるイソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)は、上記に例示した化合物に限らず、イソシアネート基および1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有していれば、どのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。
〔その他のエチレン性不飽和単量体〕
その他のエチレン性不飽和単量体としては、上記したエチレン性不飽和単量体(c1)以外に、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
トラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類があげられる。なお、ここで、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを示し、(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミド又はアクリルアミドを示す。
又、上記アクリル単量体と併用できる単量体として、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類があげられる。
[分散剤(X1)の合成方法]
分散剤(X1)の合成方法としては、下記の合成方法(1)〜(3)による方法が挙げられるが、これらに制限されない。
〔合成方法(1)〕
水酸基含有化合物(a)の存在下に、
オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含むエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなる片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体中の水酸基と、
テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と、を反応させることにより、架橋性基としてオキセタン基、t−ブチル基、またはブロックイソシアネート基を有する分散剤が得られる。
このような合成方法1に水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)を用いると、酸無水物(b)中の酸無水物基が、エチレン性不飽和単量体(c1−1)の有する水酸基とも反応してしまうため、ビニル重合体の片末端の水酸基と反応させるという目的を達せなくなり、目的の構造が得られない場合があるために、好ましくない。
このとき、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)の含有量は、エチレン性不飽和単量体(c)全体中に5〜90重量%使用するのが好ましく、20〜60重量%使用するのが特に好ましい。5重量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた着色組成物を得ることが可能となり、90重量%以下であれば、組成物の安定性も良好であるために好ましい。
〔合成方法(2)〕
水酸基含有化合物(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と、を反応させて生成される化合物の存在下に、
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含むエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合することにより、架橋性基として水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、またはブロックイソシアネート基を有する分散剤が得られる。
このとき、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−2)、t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−3)、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−4)の含有量は、エチレン性不飽和単量体(c)全体中に5〜90重量%使用するのが好ましく、20〜60重量%使用するのが特に好ましい。5重量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた着色組成物を得ることが可能となり、90重量%以下であれば、組成物の安定性も良好であるために好ましい。
〔合成方法(3)〕
水酸基含有化合物(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と、を反応させて生成される化合物の存在下に、
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)を含むエチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなる水酸基含有化合物中の水酸基と、
1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(c1−5)中のイソシアネート基と、を反応させることにより、架橋性基として(メタ)アクリロイル基を有する分散剤が得られる。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−1)の含有量は、エチレン性不飽和単量体(c)全体中に5〜70重量%使用するのが好ましく、10〜50重量%使用するのが特に好ましい。5重量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた着色組成物を得ることが可能となり、70重量%以下であれば、組成物の安定性も良好であるために好ましい。
このとき、ラジカル重合後の共重合体における水酸基と、イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)中のイソシアネート基とのモル比は、ラジカル重合後の共重合体における水酸基中の水酸基1モルに対して、イソシアネート基および(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1−5)中のイソシアネート基が0.2〜1.0モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.0モル、最も好ましくは0.5〜1.0モルである。0.2モル未満であると、(メタ)アクリロイル基の量が少なくなってしまうために硬化性が不十分な場合があり、1.0モルを超えると、樹脂中に未反応のイソシアネート基が残存してしまい、保存安定性が悪くなってしまう場合がある。
反応温度は50℃〜150℃、好ましくは70℃〜120℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く、150℃を超えると反応により生成したウレタン基が分解してしまう場合がある。
〔ポリエステル部位(X1’)の合成〕
ポリエステル部分(X1’)の合成は、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させる工程である。
(反応触媒)
本発明のポリエステル部分(X1’)の製造に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。触媒として例えば、
トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、又は1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の3級アミン系化合物、あるいは、モノ−n−ブチル錫(IV)オキシド等が挙げられる。
(反応溶剤)
本発明のポリエステル部分(X1’)の製造には、これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になる等の問題を回避すべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、特に限定はなく、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、又はアセトニトリル等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用したりすることもできる。
(反応温度)
ポリエステル部分(X1’)の合成の反応温度は50℃〜180℃、好ましくは80℃〜140℃の範囲で行う。反応温度が50℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではカルボキシル基と水酸基がエステル化反応してしまい、酸価の減少や、ゲル化を起こしてしまう場合がある。反応の停止は、赤外吸収で酸無水物の吸収がなくなるまで反応させるのが理想であるが、酸価測定により97%以上の酸無水物がハーフエステル化したとき反応を止めてもよい。
〔ビニル重合体部分(X2’〕の合成〕
分散剤(X1)における、ビニル重合体部分(X2’)は、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を有する。このビニル重合体部分(X2’)が分散剤(X1)の側鎖として溶剤および着色剤担体の親和性部位として機能するために、微細な顔料を用いた場合や、染料を使用した場合にも、安定性に優れたものとすることができる。また、熱架橋性基を有していることで、エポキシ樹脂と塗膜の耐性向上といった効果を発揮することができる。
ビニル重合体部分(X2’)の重量平均分子量は、1000〜20000が好ましく、より好ましくは2000〜15000、更に好ましくは2000〜12000、特に好ましくは3000〜8000である。この部分(X2’)が分散媒である溶剤への親和性部分となる。ビニル重合体部分(X2’)の重量平均分子量が1000未満では、溶媒親和部による立体反発の効果が少なくなるとともに、顔料の凝集を防ぐことが困難となり、分散安定性が不十分となる場合がある。又、20000を超えると、溶媒親和部の絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合がある。更に、分散体の粘度が高くなる場合がある。
また、エチレン性不飽和単量体(c)の含有量は、水酸基含有化合物(a)1重量部に対して、3〜100重量部用い、塊状重合または溶液重合を行うのが好ましい。より好ましくは8〜25重量部、さらに好ましくは10〜20重量部である。100重量部を超えると、ビニル重合体部位X2’の分子量が高すぎて、顔料担体および溶剤に対する親和性部位として、その絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合があり、10重量未満であると、ビニル重合体部位(X2’)の分子量が低すぎて、顔料担体および溶剤に対する親和性部位として、その立体反発の効果がなくなると共に、顔料の凝集を抑えることが困難になる場合がある。
重合の際、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
分散剤(X1)としては、国際公開第2008/007776号パンフレット、特開2009−155406号公報、特開2011−157416号公報等に記載されている公知技術を用いることができる。
<塩基性分散剤>
塩基性分散剤は、アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/ 又は、アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)であり、アミノ基とは、−NH、−NHR、および−NR(Rは炭化水素基や他の有機残基等の炭素遊離基を示す)を意味するが、下記一般式(10)および/または下記一般式(11)で表される骨格であることが好ましく、グラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/ 又は、アクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)は、一般式(10)および/または一般式(11)の構造を有する単量体を少なくとも含む単量体を共重合して得ることができる。
一般式(10)


一般式(11)



[式(10)、式(11)中、
101は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、またはOR102を表し、
102は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、またはアシル基を表し、
103はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示し、
※は結合手を表す。]
一般式(10)のR101において、炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基、t―ブチル基、n―ヘキシル基、シクロヘキシル基、n―オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることが出来る。
また、炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることが出来る。
また、炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基に炭素数1〜8のアルキル基が結合した基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、α―メチルベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基等を挙げることが出来る。
またアシル基としては、炭素数2〜8のアルカノイル基及び、アロイル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、ベンゾイル基等を挙げることが出来る。
本発明において、一般式(10)のR101のとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(10)のR103において、炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基、t―ブチル基、n―ヘキシル基、シクロヘキシル基、n―オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることが出来る。炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
《グラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)》
本発明の、顔料組成物に含まれるグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)は、下記一般式(8)で示される構成単位、および一般式(9)で示される構成単位を含むことを特徴とする。グラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)は、一般式(8)で表される構成単位を形成するエチレン性不飽和単量体と、一般式(9)で表される構成単位を形成するエチレン性不飽和単量体を重合して得ることができる。
一般式(8)


[式(8)中、
104は、水素またはメチル基であり。
は、2価の連結基であり、
105は、下記一般式(10)または下記一般式(11)で表される基である。]
一般式(8)において、2価の連結基Xとしては例えば、
−C(=O)O−、−C(=O)(Ra)O−、−C(=O)(OC)n−、−C(=O)NH−、−SO−、−SONH−、−O−、−S−、等が挙げられ、Raは炭素数1〜18のアルキレン基であり、nは1〜4の整数である。
中でも、−C(=O)O−、−C(=O)(Ra)O−、−C(=O)(OC)n−、−C(=O)NH−が好ましく、Raは炭素数1〜6のアルキレン基であり、nは1〜2の整数であることがより好ましい。最も好ましくは−C(=O)O−である。
一般式(8)において、Raのアルキレン基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基が挙げられ、具体的には、メチレン基、エチレン基、イソプロレン基、シクロヘキシレン基、n―オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることが出来る。
一般式(8)において、2価の連結基Xとしては例えば、
−C(=O)O−、−C(=O)(Ra)O−、−C(=O)(OC)n−、−C(=O)NH−、−SO−、−SONH−、−O−、−S−、等が挙げられ、Raは炭素数1〜18のアルキレン基であり、nは1〜4の整数である。
中でも、−C(=O)O−、−C(=O)(Ra)O−、−C(=O)(OC)n−、−C(=O)NH−が好ましく、Raは炭素数1〜6のアルキレン基であり、nは1〜2の整数であることがより好ましい。最も好ましくは−C(=O)O−である。
一般式(8)において、Raのアルキレン基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基が挙げられ、具体的には、メチレン基、エチレン基、イソプロレン基、シクロヘキシレン基、n―オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることが出来る。
[一般式(8)で表される構造単位を含むエチレン性不飽和単量体]
一般式(8)で表される構成単位を形成するエチレン性不飽和単量体は、下記一般式(8−a)で表される。
一般式(8−a)

CH=CHR104−X−R105

一般式(8−a)において、R104、X、R105は一般式(8)で示したものと同じである
一般式(8)で表される構造単位を含むエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、下記化合物(a−1)〜(a−11)で表される化合物等を挙げることが出来る。

化合物(a−1)〜(a−11)において、R4は水素またはメチル基を表す。
これらのうち、2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート(上記化合物(a−1)において、R4がメチル基である化合物)、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート(上記化合物(a−2)においてR4がメチル基である化合物)が好ましく、特に1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレートが好ましい。
一般式(9)

[式(9)中、Yは、下記一般式(10)または下記一般式(11)で示される基を有さない重量平均分子量分子量500〜30000の一価の重合体(P)であり、
104は、水素またはメチル基である。]
一般式(9)における一価の重合体部分(P) は、下記一般式(12)で示される一価のポリエーテル鎖基及び/ 又はポリエステル鎖基からなる重合体部分(Pe)であるか、または、下記一般式(13)で示される一価のビニル共重合体(Pv)であることが好ましい。
一般式(12):


[一般式(12) 中、
は、炭素原子数1〜20、酸素原子数0〜12、及び窒素原子数0〜3を含む1価の末端基、
は、−O−、−S−、又は−N(Rb)−(但し、Rbは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
は、−OC(=O)−、−OC(=O)CH−、−N(Rc)C(=O)−、又は−N(Rc)C(=O)CH−(但し、Rcは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
は、−R21O−で示される繰り返し単位であり、
は、−C(=O)R22O−で示される繰り返し単位であり、
は、−C(=O)R23C(=O)−OR24O−で示される繰り返し単位であり、R21は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、
22は炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、
23は炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6〜20アリーレン基であり、
24は、−CH(R25)−CH(R26)−で示され、
25とR26は、どちらか一方が水素原子であり、もう一方が炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、アルキル部分の炭素原子数1〜20のアルキルオキシメチレン基、アルケニル部分の炭素原子数2〜20のアルケニルオキシメチレン基、アリール部分の炭素原子数6〜20でアリール部分が場合によりハロゲン原子で置換されていることのあるアリールオキシメチレン基、N−メチレン−フタルイミド基であって、
27は、前記R21、前記−C(=O)R22−、又は−C(=O)R23C(=O)−OR24−であり、
m1は0〜100の整数であり、m2は0〜60の整数であり、m3は0〜30の整数であり、但しm1+m2+m3は1以上100以下であり、
一般式(12)における前記繰り返し単位G〜Gの配置は、その順序を限定するものではなく、一般式(12)で表される重合体部分(P)において、基Xと基R27との間に繰り返し単位G〜Gが任意の順序で含まれていることを示し、更に、それらの繰り返し単位G〜Gは、それぞれランダム型又はブロック型のどちらでもよい。〕
一般式(13) :
〔一般式(13)中、Yは、ビニル重合体の重合停止基であり、
31及びR32は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、
33及びR34は、いずれか一方が水素原子、他の一方が芳香族基、又は−C(=O)−X−R35(但し、Xは、−O−若しくは−N(R36)−であり、
35及びR36は水素原子又は置換基として芳香族基を有していてもよい炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、
は、−O−R37−又は−S−R37−であり、
37は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、
は、−OC(=O)−、−OC(=O)CH−、−N(Rd)C(=O)−、又は−N(Rd)C(=O)CH−(但し、Rdは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)である。〕
一般式(9)における一価の重合体部分(P)の重量平均分子量は、500〜30000であり、より好ましくは1000〜25000、更に好ましくは2000〜20000 である。
[一般式(9)で表される構造単位を含むエチレン性不飽和単量体]
一般式(9)で表される構造単位を含むエチレン性不飽和単量体は、例えば、片末端に水酸基を有する重合体(POH)、片末端にカルボキシル基を有する重合体(PCOOH)、若しくは片末端に1 級アミノ基を有する重合体(PNH)を製造する第一の工程と、
該重合体(POH)、(PCOOH)、若しくは(PNH)と、
該重合体(POH)の水酸基、(PCOOH)のカルボキシル基、もしくは(PNH)の1級アミノ基、と結合を形成しうる基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させる第二の工程によって製造することができる。
(第一の工程)
《片末端に水酸基を有する重合(POH)の製造》
第一の工程で得られる重合体(POH) としては、
モノアルコール、1 級モノアミン、2 級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、ジカルボン酸無水物、及びエポキシドの群から選択される環状化合物を開環重合して得られる「片末端に水酸基を有するポリエーテル及び/ 又はポリエステルからなる重合体(PeOH)」であるか、又は、分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用し、エチレン性不飽和単量体を重合して得られる「片末端に水酸基を有するビニル共重合体(PvOH)」であることがより好ましい。
<PeOH>
前記のポリエーテル及び/又はポリエステルからなる重合体(PeOH)は、公知の方法で製造することができ、モノアルコール、1 級モノアミン、2 級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、ジカルボン酸無水物、及びエポキシドの群から選択される環状化合物を開環重合することで容易に得ることができる。
モノアルコールとしては、水酸基を一つ有する化合物であればいかなる化合物でも構わない。例示すると、メタノール、エタノール、1 − ドデカノール、などの脂肪族モノアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエチルアルコール、パラクミルフェノキシエチルアルコールなどの芳香環含有モノアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、が挙げられる。
1級モノアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、などの脂肪族1級モノアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、などのアルコキシアルキル1 級モノアミン、ベンジルアミンなどの芳香族1 級モノアミン、が挙げられる。
2 級モノアミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、等の脂肪族2級モノアミン、が挙げられる。
モノチオールとしては、例えば、メチルチオール、エチルチオール、などの脂肪族モノチオール、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、などのメルカプトプロピオン酸アルキルエステル、が挙げられる。
本発明の製造方法で用いるモノアルコール、1 級モノアミン、2 級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物は、前記例示に限定されることなく、水酸基、1級アミノ基、2 級アミノ基、又はチオール基を一つ有する化合物であればいかなる化合物も用いることができ、また単独で用いても、2 種類以上を併用して用いても構わない。このうち、好ましくはモノアルコールが用いられ、更には脂肪族モノアルコールを用いる場合が好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2 種以上の併用系が用いられる。2 種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。開始剤1モルに対するアルキレンオキサイドの重合モル数は、0〜100が好ましい。
アルキレンオキサイドの重合は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で、加圧状態で行うことができる。モノアルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを重合して得られる重合体(PeOH)は市販されており、例えば、日本油脂社製ユニオックスシリーズ、日本油脂社製ブレンマーシリーズなどがあり、本発明の製造方法において、重合体(PeOH)として使用することができる。市販品を具体的に例示すると、ユニオックスM−400、M−550、M−2000、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−400、PP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、55PET−400、30PET−800、55PET−800、AETシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、10APB−500Bなどがある。これらの市販品を用いて第一の工程を省略してもよい。
ラクトンとしては、具体的にはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、アルキル置換されたε−カプロラクトン、が挙げられ、このうちδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、アルキル置換されたε−カプロラクトンを使用するのが開環重合性の点で好ましい。
本発明の製造方法において、ラクトンは、前記例示に限定されることなく用いることができ、また単独で用いても、2 種類以上を併用して用いても構わない。2 種類以上を併用して用いることで結晶性が低下し室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
ラクチドとしては、下記一般式(50)で示されるものが好ましい(グリコリドを含む)。
一般式(50)
一般式(50) 中、
41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜20のアルキル基であり、
43及びR44は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、並びに飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜9の低級アルキル基である。
本発明の製造方法において、特に好適なラクチドはラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)及びグリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)である。前記ラクトン又はラクチドのうち、ラクトンが用いられるのが好ましい。
ラクトン及び/又はラクチドの開環重合は、公知方法、例えば、脱水管、コンデンサーを接続した反応器に、開始剤、ラクトン及び/又はラクチド、及び重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。また、モノアルコールにエチレン性不飽和二重結合を有するものを使用する場合は、重合禁止剤を添加し、乾燥空気流下で反応を行うことが好ましい。
重合触媒としては、公知のものを制限なく使用することができるが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨードなどの四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホ
ニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨードなどの四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルフォスフィンなどのリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラートなどのアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、及び塩化亜鉛などの亜鉛化合物等が挙げられる。触媒の使用量は0.1ppm〜3000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmである。触媒量が3000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなる場合がある。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満ではラクトン及び/又はラクチドの開環重合速度が極めて遅くなるので好ましくない。
ラクトン及び/又はラクチドの重合温度は100℃〜220℃、好ましくは、110℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が100℃未満では反応速度がきわめて遅く、220℃を超えるとラクトン及び/又はラクチドの付加反応以外の副反応、たとえばラクトン付加体のラクトンモノマーへの解重合、環状のラクトンダイマーやトリマーの生成等が起こりやすい。
《片末端に水酸基を有するビニル共重合体(PvOH)》
ビニル共重合体(PvOH)は、分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用し、エチレン性不飽和単量体を重合することで得ることができる。
分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物としては、例えば、メルカプトメタノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、1−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプト−3−ブタノールなどが挙げられる。
水酸基とチオール基とを有する化合物とエチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することでビニル共重合体(PvOH)を得ることができる。
チオール基はエチレン性不飽和単量体を重合するためのラジカル発生基となるため、該重合には必ずしも別の重合開始剤は必要ではないが、使用することもできる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましい。重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和単量体としては、アクリル単量体とアクリル単量体以外の単量体とが挙げられる。アクリル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド(なお、「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを示すものとする。以下同じ。)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、およびアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類が挙げられる。
また、前記アクリル単量体以外の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。アクリル単量体以外の前記単量体を、前記アクリル単量体と併用することもできる。
また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を単独で用いるか、もしくは前記単量体と併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε−カプラロラクトン付加アクリル酸、ε−カプラロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などから1種又は2種以上を選択することができる。
《片末端にカルボキシル基を有するビニル共重合体(PvCOOH)》
カルボキシル基を有するビニル共重合体(PvCOOH) は、分子内にカルボキシル基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用し、エチレン性不飽和単量体を重合することで得ることができる。使用可能なエチレン性不飽和単量体、重合開始剤及び溶剤の種類、使用量、また重合条件は前記「片末端に水酸基を有する前記ビニル共重合体(PvOH)」で説明したものと同じである。
分子内にカルボキシル基とチオール基とを有する化合物としては、例えば、メルカプト酢酸《チオグリコール酸》、α−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、3−メルカプトピリジン−2−カルボン酸等が挙げられ、これらのうち、α−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸が好ましい。
《片末端に1 級アミノ基を有する重合体(PNH)》
重合体(PNH)は、モノアルコールを開始剤としてアルキレンオキサイドを開環重合して、片末端に水酸基を有するポリエーテルを生成し、その水酸基を還元アミノ化することによって得られる、「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」であるか、又は、分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物若しくは分子内に1級アミノ基と水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用し、エチレン性不飽和単量体を重合してなる、「片末端に1級アミノ基を有するビニル共重合体(PvNH)」であることが好ましい。
<PeNH>
「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」の前駆体としての、「片末端に水酸基を有するポリエーテル(PeOH)」は、既に、前記重合体(PeOH)の製造方法に関して説明したとおりであり、この条件や原料についても前記の説明のとおりである。この「片末端に水酸基を有するポリエーテル(PeOH)」を用い、例えば、アンモニア、水素及び触媒の存在下に、圧力5〜30MPa、170〜250℃の高温条件で、0.15〜2時間反応することで得られる。このように、水酸基を還元アミノ化することで、「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」が得られる。還元アミノ化する触媒としては、ラネーニッケル/ アルミニウム触媒が好ましい。
「片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)」は、市販されており、例えば、三井化学ファイン社又はハンツマンコーポレーションより、ジェファーミン、又はサーフォナミンの商品名で市販されている。本発明の製造方法においては、片末端にアミノ基を有するポリエーテル(PeNH)として、前記市販品を使用し、第一の工程を省略することができる。市販品を具体的に例示すると、ジェファーミンXTJ−475、XTJ−436、XTJ−505、XTJ−506、XTJ−507、M−2070、サーフォナミンB−60、L−100、B−200、L−207、L−300、B−30、B−100などがある。
<PvNH>
「片末端に1 級アミノ基を有するビニル共重合体(PvNH)」は、1級アミノ基とチオール基とを有する化合物を連鎖移動剤として、目的とする分子量にあわせてエチレン性不飽和単量体と重合開始剤とを混合して加熱することで得ることができる。使用可能なエチレン性不飽和単量体、重合開始剤及び溶剤の種類、使用量、また重合条件は前記「片末端に水酸基を有する前記ビニル共重合体(PvOH)」で説明したものと同じである。
分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物としては、例えば、2−アミノエタンチオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−メルカプト−4H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−メルカプト−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−チアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。このうち、好ましくは2−アミノエタンチオールを使用する場合である。
分子内に1級アミノ基と水酸基とを有する化合物としては、例えば、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、又は4−アミノブタノールなどが挙げられる
前記のうち、分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物は、分子内に1級アミノ基と水酸基とを有する化合物よりも好ましい。連鎖移動定数が高く重合体製造後に未反応物として残りにくいからである。
(第二の工程)
《水酸基、カルボキシル基、もしくは1級アミノ基と結合を形成しうる基を有するエチレン性不飽和単量体》
水酸基、カルボキシル基、もしくは1級アミノ基と結合を形成しうる基としては、酸無水物、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられ、これらの基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水メサコン酸等の不飽和ジカルボン無水物類、
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル類、
アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、等が挙げられ
好ましくは、無水マレイン酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートである。
[グラフト共重合体(X3a)の製造]
本発明におけるグラフト共重合体(X3a)は、上記一般式(8)で表される構造単位を含むエチレン性不飽和単量体、上記一般式(9)で表される構造単位を含むエチレン性不飽和単量体と、必要に応じ共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体とを重合せしめて得ることができる。
[その他のエチレン性不飽和単量体]
その他のエチレン性不飽和単量体としては、4級アンモニウム塩を有するエチレン性不飽和単量体、それ以外のエチレン性不飽和単量体、が挙げられる。
(4級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体)
4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
(それ以外のエチレン性不飽和単量体)
それ以外のエチレン性不飽和単量体としては例えば、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート類;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、等の脂肪酸ビニル類、等が挙げられる。
特に、一般式(8)に由来するアミン価の好ましい範囲は10〜350mgKOH/gである。さらに好ましいアミン価の範囲は10〜200mgKOH/gである。
また、グラフト共重合体(X3a)分子量はポリスチレン換算の重量平均で、通常2000以上、100,000以下の範囲が好ましい。ブロック共重合体の分子量が2000未満であると分散安定性が低下し、100,000を超えると現像性が低下する傾向がある。
《アクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)》
本発明の、ブロック共重合体(X3b)が、前記一般式(10)または前記一般式(11)で表される構造を有するAブロックと、前記一般式(10)または前記一般式(11)で表される構造を有さないBブロックとからなるブロック共重合体である。AブロックとBブロックの構成は特に限定されないが、A―Bブロック、B−A−Bブロック、または、A−B−Aが好ましく、A―Bブロック、B−A−Bブロックがさらに好ましく用いることができる。
Aブロックは一般式(10)または一般式(11)で表される構造を有していれば特に限定はされないが、エチレン性不飽和単量体由来の部分構造であることが好ましい。Aブロックは一般式(8)で表される構成単位を形成するエチレン性不飽和単量体(8−a)を含む単量体を重合して得ることができ、単量体の具体例としては、グラフト重合体で挙げたものと同じ化合物を挙げることが出来る。
一般式(10)または一般式(11)で表される基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に単独または2種以上含有されていても良く、2種以上含有する場合は、ランダム共重合または、ブロック共重合の何れかの態様で含有されていても良い。
また、Aブロック中における、一般式(10)または一般式(11)で表される基の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%であり、特に好ましくは95〜100重量%である。
一方、Aブロックのうち一般式(10)または一般式(11)で表される基を含まない構成単位、及び、Bブロックとしては、共重合可能な単量体を共重合させたポリマー構造であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。以下に共重合可能な単量体を示す。
例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレ5ート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(10)または一般式(11)で表される基以外のアミノ基を含有するエチレン性不飽和単量体を併用してもよい。
また、Bブロックはエチレン性不飽和単量体由来の部分構造であることが好ましく、さらに、少なくとも、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシエチル(メタ)クリレートからなる群から選択されるエチレン性不飽和単量体が用いられるのが好ましい。
(ブロック共重合体(X3b)の製造)
本発明で用いるブロック共重合体(X3b)は、例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。ここでリビング重合とは、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、さらには重合の成長が均一に起こるため、容易にブロックポリマーや分子量の揃った樹脂を合成する重合方法である。重合時に添加する重合開始剤とビニル系モノマーとの仕込み比によって、重合体の分子量やブロック共重合するモノマーの比率を自由にコントロールでき、ブロックポリマー・グラジエントポリマー・星形ポリマー・くし型ポリマー、さらには、末端官能性ポリマーなどの製造に利用することができる。
本発明のブロック共重合体(X3b)は公知のラジカルリビング重合法によって合成することが出来、特開2014−219665等に記載される方法を用いることができる。原子移動ラジカル重合法(ATRP法)およびニトロキサイド法(NMP法)が、重合体の分子量・分子量分布の制御の観点のみならず、広範囲な単量体に適応出来る点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用出来る点で好ましく、さらに、着色等の原因となり得る遷移金属等を用いない点でニトロキサイド法(NMP法)がより好ましい。
[原子移動ラジカル重合法(ATRP法)]
原子移動ラジカル重合法では、レドックス重合触媒として、銅、ルテニウム、鉄、ニッケルなどの遷移金属錯体を用いて行われる。遷移金属錯体の具体的な例としては、塩化銅(I)臭化銅(I)などの低原子価のハロゲン化遷移金属が挙げられる。
上記遷移金属錯体には有機配位子が使用される。有機配位子は、重合溶剤への可溶性およびレドックス重合触媒の可逆的な変化を可能にするために使用される。遷移金属の配位原子としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。
原子ラジカル重合法に使用される開始剤としては、公知のものを使用出来るが、主に、反応性の高い炭素ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物等が用いられる。具体的に例示すると、ブロモイソ酪酸エチル、ブロモ酪酸エチル、クロロイソ酪酸エチル、クロロ酪酸エチル、パラトルエンスルホン酸クロライド、1−ブロモエチルベンゼン、クロロエチルベンゼン等である。これらは単独又は併用で用いる。
[ニトロキサイド法(NMP法)]
ニトロキシドを介するリビングラジカル重合法は、安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いて行われる。安定なニトロキシフリーラジカルとしては、特に限定されないが、例えば2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
上記ラジカルキャッピング剤は、ラジカル重合開始剤と併用される。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モルが適当である。
上記ラジカル重合開始剤は、合成される樹脂の重量平均分子量(Mw)に応じて適宜選択されるが、共重合体(B)を合成する際に使用する単量体中の(メタ)アクリロイル基1
モルに対し、0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.1モルの割合で用いられる。
ラジカル重合開始剤としては、公知のものを使用できるが、重合温度条件下でラジカルを発生しうる化合物であれば特に制限はない。例示するならばジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル類;
シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレート、などのパーオキシケタール類;
クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルシクロヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;
ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;
ビス(t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類などの有機過酸化物、又はこれらの混合物があげられる。
又、ラジカル重合開始剤としてアゾ化合物も使用することもできる。例示するならば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの2,2’−アゾビスブチロニトリル類、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などの2,2’−アゾビスバレロニトリル類、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などの2,2’−アゾビスプロピオニトリル類、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などの1,1’−アゾビス−1−アルカンニトリル類などが使用できる。
更に、Macromolecules 1995,28,2993で報告されているように、ラジカルキャッピング剤と前記のラジカル重合開始剤とを併用する代わりに、下記化合物(N−1〜4)で示されるアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
(N−1)
(N−2)
(N−3)
(N−4)
ブロック共重合体を製造する工程では、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
使用する溶剤量はAブロックとBブロックとからなる単量体100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、更には0〜100重量部が好ましい。使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま、組成物の製品の一部として使用することもできる。
ブロック共重合体(X3b)固形分に対する、Aブロックの含有率は1重量%〜99重量%含有することが好ましく、さらに20重量%〜50重量%含有することが好ましく、特に20重量%〜30重量%含有することが好ましい。Aブロックが20重量%〜30重量%含有することで、残りの70重量%〜80重量%がBブロックを構成する。その為、Bブロックが分散媒である溶剤に親和することにより、顔料を分散媒中に安定に存在させることができる。
また、本発明で用いるA−Bブロック共重合体、B−A−Bブロック共重合体1g中の一般式(10)または一般式(11)で表される基の量は、通常0.1〜5mmolであることが好ましく、この範囲内であると明度と分散性をより両立することができる。
本発明のブロック共重合体(X3b)は、一般式(10)または一般式(11)で表される構造の種類にもよるが、アミン価が30〜350mgKOH/gであることがより好ましい。アミン価が30mgKOH/g以上であると顔料分散体の粘度、及び粘度安定性に優れ、350mgKOH/g以下であると明度に優れる
分散体の粘度、粘度安定性、明度の観点で、アミン価が35〜150mgKOH/gであることがより好ましく、アミン価が40以上100mgKOH/g未満であることが更に好ましい
また、本発明のブロック共重合体(X3b)の分子量はポリスチレン換算の重量平均で、通常1,000以上、100,000以下の範囲が好ましい。ブロック共重合体の分子量が1,000未満であると分散安定性が低下し、100,000を超えると現像性が低下する傾向がある。
本発明における顔料組成物では、このブロック共重合体(X3b)を分散剤として用いる事ができる。またその際に、各種樹脂を添加しても良い。用いられる樹脂の種類と後述の樹脂型分散剤を併用することが出来る。
《その他の分散剤》
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、その他の分散剤を併用してもよい。
その他の分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、着色剤を分散、染色、または浸透させるものであって、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂をアルカリ現像型着色レジスト材に用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで着色剤が固定され、耐熱性が良好になり、着色剤の熱による退色(分光特性の悪化)を抑制できる。また、現像工程においても着色剤成分の凝集・析出を抑制する効果もある。
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
バインダー樹脂をカラーフィルタ用感光性着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基および現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
バインダー樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤の全重量100重量部に対し、20重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、1000重量部以下の量で用いることが好ましい。
バインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(i)や(ii)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
<熱硬化性化合物>
本発明の着色組成物は、熱硬化性化合物を含むことができる。熱硬化性化合物ならば、特に制限は無いが耐薬品性、耐溶剤性の観点からエポキシ化合物を用いることが好ましい。
《エポキシ化合物》
エポキシ化合物としては、エポキシ基を有していれば特に制限はなく、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
特に、多官能のエポキシ樹脂であることが好ましく、官能基数は、2官能以上が好ましく、3官能以上であるとより好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ基は、カラーフィルタ作製工程である焼成時に、バインダー樹脂や分散剤のカルボキシル基と熱架橋することにより、架橋密度が高い着色膜を得ることができる。
エポキシ樹脂である場合、好ましい重量平均分子量としては、1500以上100,000以下が好ましい。より好ましい分子量は1750以上10,000以下であり、さらに好ましくは2000以上7000以下である。
カラーフィルタ用着色組成物中のエポキシ化合物の含有量は、5〜20重量%が好ましい。5重量%であれば、耐溶剤性の改善効果が優れたものとなり、20重量%以下であれば、ベーク後の黄変等によるカラーフィルタの品質防止が可能となり、着色組成物の経時安定性も良好となる。
本発明に使用できるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などがいずれも使用できる。
2官能のエポキシ樹脂としては、DIC製のEPICLON830、840、850、860、1050、2050、3050、4050、7050、HM−091、101、ナガセケムテックス製デナコールEX−211、212、252、711、721などが挙げられる。
3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂とは、下記一般式(16)で表される化合物で、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に分類される。
一般式(16)


R1は、それぞれ独立にメチル基または水素原子、qは、2〜100の整数である。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−4500、EOCN−4600、XD−1000、XD−1000−L、XD−1000−2L、NC−3000、NC−3000−H(以上、日本化薬社製)、YDPN−638、YDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5、YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704、YDCN−704A(以上、新日鐵化学社製)、N−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−690、N−695、N−665−EXP、N−672−EXP、N−655−EXP−S、N−662−EXP−S(以上、DIC社製)などが挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂とは、例えば、下記一般式(17)で表される化合物である。脂環式エポキシ樹脂としては、EHPE3150(ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。

一般式(17)
j、k、lはそれぞれ1〜30の整数である。
これ以外の3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、三官能のエポキシ樹脂であるテクモアVG3101(プリンテック社製)、四官能のエポキシ樹脂であるTETRAD−C、TETRAD−X(以上、三菱ガス化学社製)などが挙げられる。
また、ナガセケムテックス製デナコールEX−313、314、321、411、421、512、521、611、612、614、614B、622などが挙げられる。また、三菱化学製JER1031S、1302H60、604、630、630LSDなどが挙げられる。
《その他の熱硬化性化合物》
その他の熱硬化性化合物としては、例えば、ベンゾグアナミン化合物/樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン化合物/樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等の熱硬化性化合物や、これら熱硬化性樹脂の加熱重合前のモノマー及びオリゴマーを用いることもできる。
<溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
溶剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、100〜10000重量部、好ましくは500〜5000重量部の量で用いることができる。
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
光重合性単量体の含有量は、着色剤100重量部に対し、5〜500重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜400重量部であることがより好ましい。
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
光重合開始剤含有量は、着色剤100重量部に対し、1〜500重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から5〜400重量部であることがより好ましい。
<増感剤>
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
さらに具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
上記増感剤の中で、特に好適な増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N−エチルカルバゾール、3−ベンゾイル−N−エチルカルバゾール、3,6−ジベンゾイル−N−エチルカルバゾール等が用いられる。
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
<多官能チオール>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール(SH)基を2個以上有する化合物である。
多官能チオールは上述の光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られるカラーフィルタ用着色組成物は高感度となる。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、着色剤100重量部に対して、0.05〜100重量部が好ましく、より好ましくは1.0〜50.0重量部である。
多官能チオールを0.05重量部以上用いることで、より良い現像耐性を得ることができる。チオール(SH)基が1個の単官能チオールを用いた場合には、このような現像耐性の向上は得られない。
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量100重量部に対し、0.003〜1.0重量部用いることが好ましい。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
<紫外線吸収剤、重合禁止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することができる。紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することで、パターンの形状と解像性を制御することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(トリアセトン−アミン−N−オキシル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]等のヒンダードアミン系等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
重合禁止剤としては、例えばメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4−ベンゾキノン、4−メトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、t−ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体およびフェノール化合物、フェノチアジン、ビス−(1−ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅およびマンガン塩化合物、4−ニトロソフェノール、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物およびそのアンモニウム塩またはアルミニウム塩等が挙げられる。
これらの重合禁止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
紫外線吸収剤および重合禁止剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部の量で用いることができる。
紫外線吸収剤または重合禁止剤を0.01重量部以上用いることで、より良い解像度を得ることができる。
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、塗膜の透過率を上げるために、酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
酸化防止剤として好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはスルフィド系酸化防止剤などが挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)、及び2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤では、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′−4,7−テトラキス〔4,6−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)が挙げられる。
スルフィド系酸化防止剤としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分の合計100重量%中、0.1〜5重量%の量で用いることが好ましい。
酸化防止剤が0.1重量%より少ない場合、透過率アップの効果が少なく、5重量%より多い場合、硬度が大きくダウンし、またカラーフィルタ用着色組成物の感度が大きく低下する。
<その他の成分>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤、または溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物等を含有させることができる。
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。
シランカップリング剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
アミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<カラーフィルタ用着色組成物の製造方法>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤を、分散剤を用いて、樹脂などの着色剤担体および/または溶剤中に、必要に応じて分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性単量体及び/または光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の顔料分散剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
(分散助剤)
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、分散剤だけでなく、適宜、色素誘導体、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度および粘度安定性が良好になる。
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2004−091497号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは35重量部以下である。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。界面活性剤の含有量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、基材上に、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備するものであり、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、または黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよく、前記少なくとも1つのフィルタセグメントが、本発明の着色組成物から形成されてなるものである。
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板等の基材上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
透明基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウム等の無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されず、本発明のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるブラックマトリックスが好ましいものである。又、前記の透明基板又は反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントおよび/またはブラックマトリックスを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5μmである。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの形成は、下記の方法で行う。すなわち、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色カラーフィルタ用着色組成物として調製したカラーフィルタ用着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメントおよびブラックマトリックスを形成することができる。さらに、現像により形成されたフィルタセグメントおよびブラックマトリックスの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いフィルタセグメントおよびブラックマトリックスが形成できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記カラーフィルタ用着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
カラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜等が形成される。
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。また、「PGMAc」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
また、樹脂の重量平均分子量(Mw)、側鎖にカチオン性基を有する樹脂のアンモニウム塩価、および顔料の平均一次粒子径の測定方法は以下の通りである。
(樹脂の重量平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
<バインダー樹脂溶液の製造方法>
(バインダー樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26000のバインダー樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにPGMAcを添加してバインダー樹脂溶液1を調製した。
<分散剤(X1)の製造方法>
(分散剤(X1C−1)の合成)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n−ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整し、酸価43、重量平均分子量9000の分散剤(X1C−1)を得た。
(分散剤(X1−1)の合成)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、t−ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整し、酸価43、重量平均分子量9000の分散剤(X1−1)を得た。
(分散剤(X1−2〜4)の合成)
表1に示す原料に変更した以外は、分散剤(X1−1)と同様にして、分散剤(X−2〜4)を合成した。
表1の各略号は以下のとおりである。
《エチレン性不飽和単量体(c)》
MMA:メチルメタクリレート
n-BA:n-ブチルアクリレート
[熱架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体]
t-BA:tert-ブチルアクリレート
OXMA:宇部興産製「ETERNACOLL OXMA」
(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート
MOI−BM:昭和電工製「カレンズ MOI−BM」
メタクリル酸 2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル
AIBN:2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル
PMA:ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業株式会社製)
TMA:トリメリット酸無水物(三菱ガス化学株式会社製)
DBU:1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン(サンアプロ株式会社製)
(分散剤(X1−5))
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部、ピロメリット酸無水物9.7部、モノブチルスズオキシド0.01部、PGMAc88.9部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート50部とn−ブチルメタクリレート30部と、ヒドロキシメチルメタクリレート20部を仕込み、AIBN0.12部とPGMAc26.8部を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整し、酸価43、重量平均分子量9000の分散剤(X1−5)を得た。
(分散剤(X1−6))
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部、ピロメリット酸無水物9.7部、モノブチルスズオキシド0.01部、PGMAc88.9部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート50部とn−ブチルメタクリレート30部と、ヒドロキシメチルメタクリレート20部を仕込み、AIBN0.12部とPGMAc26.8部を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。さらに、MOI(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)23.9部、ヒドロキノン0.04部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm−1のピークの消失を確認するまで反応を行った。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで不揮発分50%に調整し、不飽和二重結合当量907、酸価43、重量平均分子量9500の分散剤(X1−6)を得た。
<アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)の製造方法>
(グラフト共重合体(X3a)の平均分子量)
グラフト共重合体(X3a)の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして SUPER−AW3000を使用し、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。
(グラフト共重合体(X3a)のアミン価)
グラフト共重合体(X3a)のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
<グラフト共重合体(X3a)の製造例>
[分類1;一般式(9)で示される部分がアクリル重合体であるもの]
(グラフト共重合体(X3a−1)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、メトキシプロピルアセテート150部、およびn−ブチルタクリレート100 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2−メルカプトエタノール4部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95% が反応したことを確認し、数平均分子量は3900、重量平均分子量7900の反応生成物(X3a−1a)を得た。
上記反応生成物(X3a−1a)に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート7.9部とメチルジブチル錫ジラウレート0.05部とメチルヒドロキノン0.05部を追加で仕込み、反応容器を100℃に加熱して4時間反応した。その後40℃まで冷却し、反応性生物(X3a−1b)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート122部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽に上記反応性生物(X3a−1b)、テトラメチルピペリジルメタクリレート(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−87)150部、ヒドロキシエチルメタクリレート10部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)を4部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が42mgKOH/g、重量平均分子量23,500(Mw)の一般式(8)で示される構成単位、および一般式(9)で示される構成単位を含んでなる重合体(X3a−1)を固形分50%で得た。
*ペンタメチルピペリジルメタクリレート(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−82
(グラフト共重合体(X3a−2〜X3a−8)の製造)
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外は(X3a−1)と同様にして合成を行い、グラフト共重合体(X3a−2)〜(X3a−8)の溶液を得た。それぞれのアミン価、重量平均分子量は表5に記載の通りであった。
表5中の略称:
MMA;メチルメタクリレート
nBA;n−ブチルアクリレート
MA;メチルアクリレート
BzMA;ベンジルメタクリレート
AIBN;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)
MOI;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
AOI;2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート
GMA;グリシジルメタクリレート
HEMA;ヒドロキシエチルメタクリレート
DM;ジメチルアミノエチルメタクリレート
表中の「a−1〜4」;重合体(A)における一般式(8)で表される構造単位を含むエチレン性不飽和単量体の説明に示した化合物a−1〜4と同一のものを示す。


<アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する
分散剤(X3b)の製造方法>

<ブロック共重合体(X3b)の製造例>
(ブロック共重合体の製造例(X3b−1):AB型ブロックポリマー)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート20部(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−87)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
GPC測定の結果、ポリマーのMw9200、Mw/Mn=1.2であり、反応転化率は98.5%であった。このようにして、固形分当たりのアミン価が56.1mgKOH/g、のヒンダードアミン構造を有するブロック共重合体(X3b−1)を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が50重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してブロック共重合体(X3b−1)溶液を調製した。
(ブロック共重合体(X3b−2〜X3b−10)の製造)
表6に記載した原料と仕込み量を用いた以外は(X3b−1)と同様にして合成を行い、ブロック共重合体(X3b−2)〜(X3b−10)の溶液を得た。
(ブロック共重合体の製造例(X3b−11):BAB型ブロックポリマー)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート20部、nーブチルメタクリレート15部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。3時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート30部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート25部(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−82)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート31部、第三ブロック(Bブロック)、メチルメタクリレート25部、nーブチルメタクリレート15部、を仕込み窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を継続した。第三ブロック(Bブロック)モノマー投入から4時間後、、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した反応溶液を室温まで冷却し重合を停止した。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が50重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してブロック共重合体(X3b−11)溶液を調製した。
それぞれのブロック共重合体のアミン価、重量平均分子量は表6に記載の通りであった。
表6中の略称:
MMA;メチルメタクリレート
nBA;n−ブチルアクリレート
HEMA;ヒドロキシエチルメタクリレート
DM;ジメチルアミノエチルメタクリレート
表中の「a−1〜4」;重合体(A)における一般式(8)で表される構造単位を含むエチレン性不飽和単量体の説明に示した化合物a−1〜4と同一のものを示す。


<色素誘導体の製造方法>
(色素誘導体1)
特許第4585781号公報に記載の合成方法に従い、色素誘導体(1)を得た。
色素誘導体(1)
<微細化処理顔料の製造方法>
(微細化顔料(PB−1))
C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の微細化顔料(PB−1)を得た。平均一次粒子径は28.3nmであった。
(微細化顔料(PB−2))
反応容器中でn−アミルアルコール1250部に、フタロジニトリル225部、塩化アルミニウム無水物78部を添加し、攪拌した。これに、DBU(1,8−Diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)266部を加え、昇温し、136℃で5時間還流させた。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部の混合溶媒中へ、攪拌下注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部の混合溶媒で洗浄し、乾燥して、135部のクロロアルミニウムフタロシアニンを得た。さらに、反応容器中でクロロアルミニウムフタロシアニン100部をゆっくり濃硫酸1200部に、室温にて加えた。40℃、3時間撹拌して、3℃の冷水24000部に硫酸溶液を注入した。青色の析出物をろ過、水洗、乾燥して、下記式(53)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を102部得た。
式(53)
続いて、式(53)で表わされるアルミニウムフタロシアニン顔料を100部と、塩化ナトリウムを1200部と、ジエチレングリコール120部とをステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化顔料(PB−2)を得た。平均一次粒子径は30.4nmであった。
(微細化顔料(PB−3))
反応容器中でメタノール1000部に、式(53)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を100部とリン酸ジフェニルを49.5部とを加え、40℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(54)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料114部を得た。
式(54)
得られた式(54)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を、青色着色剤(PB−2)と同様のソルトミリング処理法で、微細化顔料(PB−3)を得た。平均一次粒子径は31.2nmであった。
(微細化顔料(PB−4))
反応容器中でメタノール1000部に、式(53)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を100部と、ジフェニルホスフィン酸を43.2部とを加え、40℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(55)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料112部を得た。
得られた式(55)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を、青色着色剤(PB−2)と同様のソルトミリング処理法で、微細化顔料(PB−4)を得た。平均一次粒子径は29.5nmであった。
式(55)
(微細化顔料(PB−5))
特開2010−79247号公報に記載の合成方法に従い、下記式(56)で表わされるアルミニウムフタロシアニン顔料を得た。
式(56)
得られた式(56)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を、微細化顔料(PB−2)と同様のソルトミリング処理法で、青色着色剤(PB−5)を得た。平均一次粒子径は33.0nmであった。
(微細化顔料(PB−6))
式(53)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を100部に、ピリジン200部、キシレン800部、およびフェニルホスホン酸54.6部を加え、8時間加熱還流を続けた。ろ過して、メタノールで洗浄後、乾燥して、110部の下記式(57)で表わされるアルミニウムフタロシアニン顔料を得た。
式(57)


続けて、青色着色剤(PB−2)と同様の方法でソルトミリング処理を行い、微細化顔料(PB−6)を製造した。得られた着色剤の体積平均一次粒子径は37nmであった。
(微細化顔料(PB−7))
三つ口フラスコに、98%硫酸500部、下記式(58)で表されるフタロシアニン顔料50部、1,2−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)104.4部を加え撹拌し、20℃、4時間、反応させた。その後、3℃の氷水5000部に上記反応混合物を注入し、析出した固体をろ取し、水洗した。ビーカーに2.5%水酸化ナトリウム水溶液500部、ろ取した残渣を加え、80℃、1時間撹拌した。その後、この混合物をろ取、水洗、乾燥して、フタロシアニン環に臭素原子が平均で8.0個置換された顔料を得た。
次に、3口フラスコに、N−メチルピロリドンを500部、得られたフタロシアニン環に臭素原子が平均で8.0個置換された顔料を50部およびリン酸ジフェニル18.2部を加え、90℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(59)で表されるフタロシアニン顔料(PB−7)を得た。得られた着色剤の体積平均一次粒子径は27nmであった。

式(58)

式(59)

(微細化顔料(PB−8))
次に、3口フラスコに、N−メチルピロリドンを500部、(PB−7)で作製したフタロシアニン環に臭素原子が平均で8.0個置換された顔料を50部およびジフェニルホスフィン酸13.8部を加え、90℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(60)で表されるフタロシアニン顔料(PB−8)を得た。得られた着色剤の体積平均一次粒子径は31nmであった。

式(60)

(微細化顔料(PB−9))
次に、3口フラスコに、N−メチルピロリドンを500部、(PB−7)で作製したフタロシアニン環に臭素原子が平均で8.0個置換された顔料を50部およびリン酸ビス(4−ニトロフェニル)21.5部を加え、90℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(61)で表されるフタロシアニン顔料(PB−9)を得た。得られた着色剤の体積平均一次粒子径は32nmであった。

式(61)


(微細化顔料(PB−10))
三つ口フラスコに、98%硫酸500部、式(58)で表されるフタロシアニン顔料50部、1,2−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)129.3部を加え撹拌し、20℃、6時間、反応させた。その後、3℃の氷水5000部に上記反応混合物を注入し、析出した固体をろ取し、水洗した。ビーカーに2.5%水酸化ナトリウム水溶液500部、ろ取した残渣を加え、80℃、1時間撹拌した。その後、この混合物をろ取、水洗、乾燥して、フタロシアニン環に臭素原子が平均で10.1個置換された顔料を得た。
次に、3口フラスコに、N−メチルピロリドンを500部、得られたフタロシアニン環に臭素原子が平均で10.1個置換された顔料を50部およびリン酸ジフェニル13.9部を加え、90℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(62)で表されるフタロシアニン顔料(PB−10)を得た。得られた着色剤の体積平均一次粒子径は27nmであった。

式(62)


(微細化顔料(PB−11))
臭化アルミニウム203部、臭化ナトリウム47部および臭化第二鉄5部を加温して溶融し、140℃で式(58)で表されるフタロシアニン顔料50部を加えた。160℃に昇温して臭素215.4部を吹き込みながら、160℃にて7時間反応させた。3℃の氷水2500部に上記反応混合物を注入し、析出した固体をろ取し、水洗した。残渣を1%塩酸水溶液、温水、1%水酸化ナトリウム水溶液洗、温水の順で洗浄し、その後、乾燥して臭素化アルミニウムフタロシアニン98部を得た。得られた粗製臭素化アルミニウムフタロシアニンを濃硫酸980部に溶解し、50℃で3時間撹拌した。その後、3℃の氷水9800部に上記硫酸溶液を注入し、析出した固体をろ取、水洗し、乾燥させた。次いでビーカーに2.5%水酸化ナトリウム水溶液500部、ろ取した残渣を加え、80℃、1時間撹拌した。その後、この混合物をろ取、水洗、乾燥して、フタロシアニン環に臭素原子が平均で11.9個置換された顔料を得た。
次に、3口フラスコに、N−メチルピロリドンを500部、得られたフタロシアニン環に臭素原子が平均で11.9個置換された顔料を50部およびリン酸ジフェニル10.8部を加え、90℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(63)で表されるフタロシアニン顔料(PB−11)を得た。得られた着色剤の体積平均一次粒子径は31nmであった。

式(63)


(微細化顔料(PB−12))
三つ口フラスコに、塩化アルミニウム250部、塩化ナトリウム60部、ヨウ素2.25部加え150℃、30分間撹拌した。そこへ、式(53)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料50部加え、155℃、30分間撹拌し、溶解させた。さらにトリクロロイソシアヌル酸58.5部加え、190℃、5時間撹拌した。その後、3℃の氷水5000部に上記反応混合物を注入し、析出した固体をろ取し、水洗した。ビーカーに2.5%水酸化ナトリウム水溶液500部、ろ取した残渣を加え、80℃、1時間撹拌した。その後、この混合物をろ取、水洗、乾燥して、フタロシアニン環に塩素原子が平均で8.1個置換された顔料を得た。
次に、3口フラスコに、N−メチルピロリドンを500部、得られたフタロシアニン環に臭素原子が平均で11.9個置換された顔料を50部およびリン酸ジフェニル22.6部を加え、90℃に加熱し、8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記式(64)で表されるフタロシアニン顔料(PB−12)を得た。得られた着色剤の体積平均一次粒子径は29nmであった。

式(64)


(微細化顔料(PR−1))
C.I.ピグメントレッド254(BASF社製「B−CF」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化顔料(PR−1)を得た。平均一次粒子径は27.6nmであった。
(微細化顔料(PR−2))
C.I.ピグメントレッド177(PR177)(BASF社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の微細化顔料(PR−2)を得た。平均一次粒子径は33nmであった。
(微細化顔料(PG−1))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン36(トーヨーカラー社製「リオノールグリーン 6YK」)120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、117部の微細化顔料(PG−1)を得た。平均一次粒子径は32.6nmであった。
(微細化顔料(PG−2))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTGENGREEN A110」)を100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化顔料(PG−2)97部を得た。平均一次粒子径は28.2nmであった。
(微細化顔料(PY−1))
C.I.ピグメントイエロー138(PY138)(BASF社製「パリオトールイエローK0960−HD」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、95部の微細化顔料(PY−1)を得た。平均一次粒子径は40.2nmであった。
(微細化顔料(PY−2))
安息香酸メチル200部に、8−アミノキナルジン40部、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物150部、安息香酸154部を加え、180℃に加熱し、4時間攪拌を行った。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン5440部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノール洗浄、および乾燥を行い、下記式(52)で表わされる116部のキノフタロン化合物(c)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、キノフタロン化合物(c)であることを同定した。式(52) キノフタロン化合物(c)
続いて、得られたキノフタロン化合物(c)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化顔料(PY−2)97部を得た。平均一次粒子径は34.1nmであった。
(微細化顔料(PY−3))
キノフタロン化合物(c)を原料として、特開2008−81566号公報に記載の合成方法に従い、化合物(2)を得た。
化合物(2)



安息香酸メチル300部に、化合物(2)100部、テトラクロロ無水フタル酸108部、および安息香酸143部を加え、180℃に加熱し、4時間反応させた。TOF−MSにより、キノフタロン化合物(b)の生成、および原料の化合物(2)の消失を確認した。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン3510部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノール洗浄、および乾燥を行い、下記式(51)で表わされる120部のキノフタロン化合物(b)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、キノフタロン化合物(b)であることを同定した。
式(51)
続いて、得られたキノフタロン化合物(b)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化顔料(PY−3)97部を得た。平均一次粒子径は36.8nmであった。
(微細化顔料(PY−4))
微細化顔料(PY−3)の製造で得られたキノフタロン化合物(b)70部、C.I.ピグメントイエロー138(BASF社製「パリオトールイエローK0960−HD」)30部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の微細化顔料(PY−1)を得た。平均一次粒子径は31.3nmであった。
(微細化顔料(PY−5))
特開2008−81566号公報に記載の合成方法に従い、化合物(1)を得た。

化合物(1)

安息香酸メチル300部に、化合物(1)100部、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物70部、および安息香酸143部を加え、180℃に加熱し、4時間反応させた。TOF−MSにより、下記式(50)で表わされるキノフタロン化合物(a)の生成、および原料の化合物(1)の消失を確認した。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン3130部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノールにて洗浄、乾燥を行い、120部のキノフタロン化合物(a)を得た。TOF−MSによる質量分析の結果、キノフタロン化合物(a)であることを同定した。
式(50) キノフタロン化合物(a)
次に、上記キノフタロン化合物(a)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で6時間混練し、ソルトミリング処理した。得られた混練物を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の微細化顔料(PY−5)を得た。平均一次粒子径は31.3nmであった。
(微細化顔料(PY−6))
金属錯体系黄色顔料C.I.Pigment Yellow 150(ランクセス社「E4GN」)50部、塩化ナトリウム250部、及びジエチレングリコール25部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、100℃で6時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化顔料(PY−6)を得た。得られた顔料の体積平均一次粒子径は28nmであった。
<顔料分散体の製造方法>
(実施例1:顔料分散体(DP−1)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し青色顔料分散体(DP−1)を得た。
顔料分散体はPGMAc(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により固形分20重量%となるように調整した。

以下、固形分重量を示す。
微細化顔料(PB−1) :11.0部
分散剤(X1−1) : 7.2部
分散剤(X3a−1) : 7.2部
アクリル樹脂溶液1 :4.0部
PGMAc :69.6部
(実施例2〜37:顔料分散体(DP−2〜37)の作製
比較例1〜7:顔料分散体(DP−38〜44)の作製)
表7に示す組成に変更した以外は、顔料分散体(DP−1)と同様にして、顔料分散体(DP−2〜44)を得た。
実施例15〜35はC光源でx(C)=0.290/y(C)=0.600、実施例37はx(C)=0.640/y(C)=0.330となる配合比で作製した。
(分散体のコントラスト比評価)
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の乾燥塗膜を通過し、偏光板に到達する。偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の乾燥塗膜を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板を透過する光量が減り、偏光板が直行のときは偏光板を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比)を算出した。
(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
従って、塗膜中の顔料により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直行のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
なお、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF−G1220DUN」)を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てた。
作製した顔料分散体を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、乾燥塗膜の膜厚が1.2μmになるように塗布し、オーブンにて230℃で20分焼成し塗布基板を作製した。得られた塗布基板を用いてコントラスト比の測定を行った。
CRは以下の基準で評価した。


<青色顔料分散体>
◎:12000以上
○:10000より大きく12000より小さい
×:10000以下

<緑色顔料分散体>
◎:16000以上
○:12000より大きく16000より小さい
×:12000以下

<赤色顔料分散体>
◎:12000以上
○:10000より大きく12000より小さい
×:10000以下

(分散体の粘度安定性評価)
作製した顔料分散体の分散直後の25℃における粘度と40℃の恒温室にて7日間保存した後の粘度をE型粘度計(TOKI SANKGYO社製TUE−20L型)を用い回転数20rPmで測定した。着色組成物の作製当日の粘度を初期粘度(η0:mPa・s)と、40℃の恒温室にて7日間保存した後の粘度(η7:mPa・s)として、分散安定性を下記の基準で評価した。
◎:η7/η0が1.10以下
○:η7/η0が1.10より大きく1.20
×:η7/η0が1.20以上

(NMP耐性の評価)
100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、乾燥塗膜が約1.2μmとなるように得られた顔料分散体を塗布し、オーブンで230℃20分加熱焼成した。ここで、C光源での色度(L*(1),a*(1),b*(1))を測定した後、NMP(N−メチルピロリドン)に30分間浸漬し、さらにC光源での色度(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。
NMP浸漬前後の色差値を用いて、下記計算式により、色差ΔEab*を算出し、塗膜の耐熱性を、下記の3段階で評価した。

ΔE*ab=[[L*(2)−L*(1)]2+[a*(2)−a*(1)]2+[b*(2)−b*(1)]2]1/2

◎:ΔE*abが1以下
○:ΔE*abが1より大きく3より小さい
×:ΔE*abが3以上

以上の評価結果を表8にまとめる。
実施例1〜37に示した通り、各組成物は全て、高いコントラスト比を示し、粘度安定性が良好で、耐溶剤性(NMP耐性)が良好であった。
一方、比較例に示した通り、いずれか一つの成分が抜けても上記3つの性能を満足することができていない。
比較例1〜3に示した通り、(X3a)や(X3b)を含まないため、NMP耐性は良好だが、高いコントラスト比と粘度安定性を確保することができない。
更に比較例4〜7に示した通り、熱架橋性官能基を含有する分散剤(X1)を含まないと高いコントラスト比を示し、粘度安定性も良好だが、十分なNMP耐性を得ることができない。
<感光性着色組成物の製造>
(実施例38:アルカリ現像型レジスト材の作製)
固形分が以下の配合量になるように、顔料分散体、原料を混合、攪拌し、PGMAcを加えて不揮発分15重量%に調整し、1.0μmのフィルタで濾過してアルカリ現像型レジスト材(DR−1)を得た。

以下、固形分重量を示す。
顔料分散体(DP−1) 37.5部
バインダー樹脂溶液1 14.5部
光重合性単量体
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」) 3.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 1.2部
増感剤(保土谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
PGMAC 43.4部

(実施例39〜74:アルカリ現像型レジスト材(DR−2〜37)の作製
比較例8〜14:アルカリ現像型レジスト材(DR−38〜44)の作製)
表9に示す組成に変更した以外は、アルカリ現像型レジスト材(DR−1)と同様にして、アルカリ現像型レジスト材(DR−2〜44)を得た。
(アルカリ現像型レジスト材のコントラスト比評価)
顔料分散体の評価と同様にコントラスト比を測定した。
作製したアルカリ現像型レジスト材を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、乾燥塗膜の膜厚が約2.5μmとなるように得られたアルカリ現像型レジスト材を塗布し、塗膜全体に紫外線露光を行った後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して塗膜を洗浄し測定用基板を得た。その後、オーブンで230℃20分加熱焼成した。得られた塗布基板を用いてコントラスト比の測定を行った。


CRは以下の基準で評価した。
<青色アルカリ現像型レジスト材>
◎:12000以上
○:10000より大きく12000より小さい
×:10000以下

<緑色アルカリ現像型レジスト材>
◎:16000以上
○:12000より大きく16000より小さい
×:12000以下

<赤色アルカリ現像型レジスト材>
◎:12000以上
○:10000より大きく12000より小さい
×:10000以下

(NMP耐性の評価)
100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、乾燥塗膜の膜厚が約2.5μmとなるように得られたアルカリ現像型レジスト材を塗布し、所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行った後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成した。その後、オーブンで230℃20分加熱焼成した。ここで、C光源での色度(L*(1),a*(1),b*(1))を測定した後、NMP(N−メチルピロリドン)に30分間浸漬し、さらにC光源での色度(L*(2),a*(2),b*(2))を測定した。
NMP浸漬前後の色差値を用いて、下記計算式により、色差ΔEab*を算出し、塗膜の耐熱性を、下記の3段階で評価した。

ΔE*ab=[[L*(2)−L*(1)]2+[a*(2)−a*(1)]2+[b*(2)−b*(1)]2]1/2

◎:ΔE*abが1以下
○:ΔE*abが1より大きく3より小さい
×:ΔE*abが3以上


以上の評価結果を表10にまとめる。
アルカリ現像型レジスト材においても、顔料分散体と同様の結果を示した。
実施例38〜74に示した通り、各アルカリ現像型レジスト材は全て、高いコントラスト比を示し、耐溶剤性(NMP耐性)が良好であった。
一方、比較例に示した通り、いずれか一つの成分が抜けても上記2つの性能を満足することができていない。
比較例8〜14に示した通り、(X3a)や(X3b)を含まないとNMP耐性は良好だが、高いコントラスト比を確保することができない。
更に比較例11〜14に示した通り、熱架橋性官能基を含有する分散剤(X1)を含まないと高いコントラスト比を示すが、十分なNMP耐性を得ることができない。
<カラーフィルタの製造>
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで、赤色のアルカリ現像型レジスト材(DR−29)を塗布した。次に、該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cmの紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様に、緑色のアルカリ現像型レジスト材(DR−21)を使用して緑色フィルタセグメント、青色のアルカリ現像型レジスト材(DR-15)を使用して青色フィルタセグメントを形成した。
各色のフィルタセグメントは、C光源での測定値が以下となるようにした。
赤色画素:x(C)=0.640/y(C)=0.330
緑色画素:x(C)=0.290/y(C) =0.600
青色画素:x(C)=0.135/y(C) =0.080

Claims (5)

  1. 着色剤、分散剤(X)、バインダー樹脂、および溶剤を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、
    分散剤(X)が、熱架橋性官能基を含有する分散剤(X1)と、アミノ基を有するグラフト共重合体を含有する塩基性分散剤(X3a)及び/ 又は、アミノ基を有するアクリル系ブロック共重合体を含有する塩基性分散剤(X3b)とを含有し、
    熱架橋性官能基を含有する分散剤(X1)が、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分(X1’)と、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分(X2’)とを有し、
    かつ、熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分(X2’)の熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、t−ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
  2. 着色剤が、カラーインデックス( C . I . ) ピグメントイエロー1 5 0 、1 3 8 ピグメントグリーン58、キノフタロン系顔料、及び、下記一般式(2A)または下記一般式(2B)のいずれかであるアルミニウムフタロシアニン顔料から選ばれる少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。

    一般式(2A)

    [一般式(2A)中、X1〜X4はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、または置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。
    l〜Y4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
    Zは、水酸基、塩素原子、−OP(=O)R12、または−O−SiR345を表す。
    ここでR1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R同士が互いに結合して環を形成しても良い。m1〜m4、n1〜n4は、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、m1+n1、m2+n2、m3+n3、m4+n4は、各々、0〜4で、同一でも異なっても良い。]

    一般式(2B)

    [一般式(2B)中、X5〜X12はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、または置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。Y5〜Y12はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
    Lは、−O−SiR67−O−、−O−SiR67−O−SiR89−O−、または−O−P(=O)R10−O−を表し、R6〜R10はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。m5〜m12、n5〜n12は、それぞれ独立して0〜4の整数を表し、m5+n5、m6+n6、m7+n7、m8+n8、m9+n9、m10+n10、m11+n11、m12+n12は、各々、0〜4で、同一でも異なっても良い。]
  3. 分散剤(X1)の熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  4. さらに光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  5. 基材上に、請求項1〜4いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
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