JP7371422B2 - フタロシアニン顔料、着色組成物、感光性着色組成物、及びカラーフィルタ - Google Patents

フタロシアニン顔料、着色組成物、感光性着色組成物、及びカラーフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、カラーフィルタに用いた際に輝度、コントラスト、及び電圧保持率に優れ、塗膜での異物発生が少なく、かつ、低粘度で保存安定性に優れた着色組成物を得ることができるフタロシアニン顔料、該フタロシアニン顔料を用いた着色組成物、該着色組成物を用いた感光性着色組成物、及びカラーフィルタに関する。
近年、テレビ、コンピューターのモニタ、スマートフォン等の表示装置の大部分は、液晶表示装置で占められている。液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏向度を制御して、2枚目の偏光板を通過する光の量を制御することにより表示を行うものである。液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となる。
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯状のフィルタセグメントを平行、又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなる。フィルタセグメントは、数ミクロン~数100ミクロンと微細であり、色相毎に所定の配列で配置されている。
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるために配向膜が形成されている。これらの透明電極、及び配向膜の性能を十分に得るためには、その形成を一般的に200℃以上の高温で行う必要がある。そのため、カラーフィルタには、着色剤として耐熱性、耐光性に優れる有機顔料が主に使用される。
カラーフィルタには、液晶表示装置の表示画面をより明るくなるようにするための性能である高輝度化と、表示画面をよりはっきり見えるようにするための性能である高コントラスト化などの光学特性が必要である。
輝度が低いカラーフィルタを用いると、光の透過率が低いた暗い画面となってしまい、明るい画面とするためには、光源であるバックライトの数を増量する必要がある。そのため、近年、低消費電力の観点や、テレビ、スマートフォンの薄型化に伴い、カラーフィルタのさらなる高輝度化が要求されている。
また、コントラストが低いカラーフィルタを用いると、液晶によって制御された偏向度を乱してしまい、光を遮断しなければならないときに光が漏れたり、光を透過しなければならないときに透過光が減衰したりするため、ぼやけた画面となる。そのため、近年、テレビの大型化に伴い、カラーフィルタのさらなる高コントラスト化が要求されている。
上記のような光学特性に対して、一次粒子径を数10nmまで微細化した有機顔料が一般的に用いられる。しかしながら、有機顔料の一次粒子径を小さくすると、比表面積が大きくなるため有機顔料粒子間の凝集力が強くなり、二次凝集が起こりやすくなる。そのため、微細化した有機顔料を用いたカラーフィルタ用着色組成物は、分散安定性が低下しやすく、カラーフィルタ製造工程で不具合が発生する。そのため、高い輝度、コントラストと同時に、高い分散安定性を有する有機顔料が要求されている。
上記のような背景のもと、緑色フィルタの高輝度化に関しては、例えば、特許文献1では、従来のC.I.ピグメントグリーン7、36に代わる特定の色相を有する新規の緑色顔料である臭素化亜鉛フタロシアニンが開示されている。しかしながら、当該新規緑色顔料は、従来のC.I.ピグメントグリーン7、36と比較して輝度は向上したが十分ではなかった。また、当該新規緑色顔料は、低酸素下での光の照射によりフタロシアニンラジカルイオン化するため、電圧保持率(以下、VHRとも言う)が低下し液晶表示素子の駆動に悪影響を与えるという課題があった。
また、緑色フィルタの高コントラスト化に関しては、例えば、特許文献2では、新規の緑色顔料である中心金属のアルミニウムと特定の酸性化合物とを結合させたハロゲン化アルミニウムフタロシアニンが開示されている。しかしながら、当該新規緑色顔料は、従来のC.I.ピグメントグリーン7、36と比較してコントラストは向上したが十分でなく、輝度も不十分で課題があった。また、当該新規緑色顔料は、低酸素下での光の照射によりフタロシアニンがラジカルイオン化するため、VHRが低下し液晶表示素子の駆動に悪影響を与えるという課題があった。さらに、中心金属のアルミニウムと結合している酸性化合物によっては、初期粘度や経時保管後の粘度が高くなり、塗工性の悪化や塗工後の塗膜に異物が発生するなどの課題もあった。
特開2004-70342号公報 特開2016-14534号公報
本発明が解決しようとする課題は、カラーフィルタに用いた際に輝度、コントラスト、及び電圧保持率に優れ、塗膜での異物発生が少なく、かつ、低粘度で保存安定性に優れた着色組成物を得ることができるフタロシアニン顔料、該フタロシアニン顔料を用いた着色組成物、該着色組成物を用いた感光性着色組成物、及びカラーフィルタを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すフタロシアニン顔料、該フタロシアニン顔料を用いた着色組成物、該着色組成物を用いた感光性着色組成物、及びカラーフィルタにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料に関する。

一般式(1)

(一般式(1)中のX、及びYはハロゲン原子を表し、nは4~16、mは1~10を表す。)
また、本発明は、一般式(1)中のmが1~4である、前記フタロシアニン顔料に関する。
また、本発明は、一般式(1)中のYで表されるハロゲン原子の分布幅が2~6である、前記フタロシアニン顔料に関する。
また、本発明は、前記一般式(1)中のXが臭素原子で、nが6~10である、前記フタロシアニン顔料に関する。
また、本発明は、着色剤として前記フタロシアニン顔料、及び分散樹脂を含む、着色組成物に関する。
また、本発明は、前記分散樹脂として、酸性分散樹脂を含む、前記着色組成物に関する。
また、本発明は、さらに前記分散樹脂として、塩基性分散樹脂を含む、前記着色組成物に関する。
また、本発明は、さらに前記着色剤として、黄色色素を含む、前記着色組成物に関する。
また、本発明は、前記黄色色素として、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185、及び下記一般式(2)で表されるキノフタロン顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記着色組成物に関する。
一般式(2)

(一般式(2)中、R~R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基または置換基を有しても良いアリール基を表す。ただし、R~Rのうち少なくとも1つの隣接した一組の基、及び/又は、R10~R13のうち少なくとも1つの隣接した一組の基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。)
また、本発明は、前記着色組成物、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含む、感光性着色組成物に関する。
また、本発明は、基材上に、前記感光性着色物により形成されてなるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタに関する。
本発明によって、カラーフィルタに用いた際に輝度、コントラスト、及び電圧保持率に優れ、塗膜の異物発生が少なく、かつ、低粘度で保存安定性に優れた着色組成物を得ることができるフタロシアニン顔料、該フタロシアニン顔料を用いた着色組成物、該着色組成物を用いた感光性着色組成物、及びカラーフィルタを提供することができた。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書で使用する用語について説明する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタアクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックスを意味する。
<フタロシアニン顔料>
本発明について詳細に説明する。本発明のフタロシアニン顔料は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
前記一般式(1)中のX、及びYはハロゲン原子を表し、nは4~16、mは1~10を表す。
なお、前記一般式(1)が、X、及びYで表されるハロゲン原子の数が異なる複数の化合物を含む場合、n、及びmはそれら複数の化合物の平均値である。
前記一般式(1)中のXで表されるハロゲン原子は、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素が挙げられ、2種以上併用してもよい。保存安定性の観点から、臭素、及び塩素であることが好ましく、臭素であることがより好ましい。
前記一般式(1)中のnは、輝度の観点から6~10であることが好ましく、7~9であることがより好ましい。
前記一般式(1)中のYで表されるハロゲン原子は、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素が挙げられ、2種以上併用してもよい。輝度、電圧保持率の観点から、臭素、及び塩素であることが好ましく、低粘度化、保存安定性、及び塗膜での異物発生の抑制の観点から、臭素であることより好ましい。
前記一般式(1)中のmは、低粘度化、保存安定性、及び塗膜での異物発生の抑制の観点から、1~4であることが好ましく、さらに、輝度、コントラスト、及び電圧保持率の観点から、2~3であることがより好ましい。
前記一般式(1)中のYで表されるハロゲン原子の分布幅は、保存安定性、電圧保持率、及び塗膜での異物発生の抑制の観点から、2~6であることが好ましい。
ここで「ハロゲン原子の分布幅」とは、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料のリン化合物に置換しているハロゲン置換基数の分布である。Yで表されるハロゲン原子の分布幅は、後述する一般式(5)に表されるリン化合物のLC-MSマススペクトルにおいて、各成分に相当する分子量のピークの面積を算出し、クロマトグラム中の検出されたピークの総面積を100%とした際の、ピーク面積比が1%以上のピーク数をカウントすることで求めた。ハロゲン数の分布幅は、後述する一般式(5)で表されるリン化合物の置換基数が異なる複数の化合物を含む場合に生じ、一般式(5)で表されるリン化合物中のハロゲン原子の置換基数が同じ化合物のみの場合は、分布幅は1となる。なお、置換基数が同じで、置換部位が異なるものは1つの化合物とみなす。
[フタロシアニン顔料の製造方法]
本発明の前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料の合成方法としては、特に制限がなく公知の方法で合成できる。例えば、以下の方法が挙げられる。
下記一般式(3)で表されるフタロシアニン化合物をハロゲン化した後、加水分解し下記一般式(4)を得て、下記一般式(5)で表されるリン化合物と反応させることにより、前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を合成することができる。
なお、一般式(4)におけるX、n、及び一般式(5)におけるY、mは、一般式(1)におけるX、及びnとそれぞれ同義である。
一般式(3)で表されるフタロシアニン化合物のハロゲン化は、例えば、The Phthalocyanines Volume II Manufacture and Applications(CRC Press, Inc.,1983年)等に記載されているクロロスルフォン酸法、溶解法等の方法で合成できる。
クロロスルフォン酸法としては、一般式(3)で表されるフタロシアニン化合物を、クロロスルフォン酸、硫酸等の硫黄酸化物系の溶媒に溶解させ、これにハロゲン化剤を仕込みハロゲン化するが挙げられる。この際の反応温度は、20~120℃で行うのが好ましく、反応時間は1~10時間の範囲で行うのが好ましい。
溶解法としては、例えば、特開昭51-64534号公報にある様に、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムの様なハロゲン化アルミニウム、四塩化チタンの様なハロゲン化チタン、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等の様なアルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物〔以下、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物という〕、塩化チオニル等、各種ハロゲン化剤の一種または二種以上の混合物からなる10~170℃程度の溶融物中で、フタロシアニン化合物をハロゲン化する方法が挙げられる。
ハロゲン化に用いられるハロゲン化剤とは、フッ素化剤、塩素化剤、臭素化剤およびヨウ素化剤を意味するが、例えばフッ素化剤としては、フルオロキシトリフルオロメタン、フッ化硫酸セシウム、アセチルハイポフルオライト、N-フルオロスルホンアミド、ジエチルアミノサルファトリフルオリド、N-フルオロピリジニウム塩などが挙げられる。
塩素化剤としては、塩素(Cl)、N-クロロスクシンイミド、スルフリルクロライド、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエノン、2,3,4,4,5,6-ヘキサクロロ-2,5-シクロヘキサジエノン、N-クロロトリエチルアンモニウムクロライド、ベンゼンセレネニルクロライドなどが挙げられる。
臭素化剤としては、臭素(Br)、N-ブロモスクシンイミド、硫酸銀-臭素、テトラメチルアンモニウムトリブロマイド、トリフルオロアセチルハイポブロマイト、ジブロモイソシアヌル酸、2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサ-2,5-ジエンオン、臭化水素-ジメチルスルホキシド、N-ブロモスクシンイミド-ジメチルホルムアミド、2,4-ジアミノー1,3-チアゾールハイドロトリブロマイド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインなどが挙げられる。
ヨウ素化剤としては、ヨウ素(I2)、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、トリフルオロアセチルハイポヨーダイト、ヨウ素-過ヨウ素酸、エチレンヨードクロライド、N-ヨードスクシンイミドなどが挙げられる。
前記一般式(5)で表されるリン化合物の合成法は、特に制限がなく公知の方法で合成できる。例えば、上記記載と同様にクロロスルフォン酸法、溶解法等の方法でリン酸ジフェニルをハロゲン化して得ることができる。また、あらかじめハロゲン化したアルコールを原料として用い、得ることもできる。
前記一般式(4)で表されるフタロシアニン化合物は、顔料としての性質を有すため、前記一般式(5)で表されるリン化合物との反応効率を向上させるために、反応に先だって予めアシッドペースティング法やソルベントソルトミリング法等の方法によって微細化したものを使用することが望ましい。一般式(4)で表されるフタロシアニン化合物を予め微細化することにより、それから製造される前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料も微細なものを得られ易くなるため、これらを着色組成物として用いた場合、高いコントラストを得られ易くなることにつながるという効果がある。
前記一般式(4)で表されるフタロシアニン化合物と前記一般式(5)で表されるリン化合物との反応は、例えば、有機溶媒中で混合撹拌することで進行させることができる。次いで、前記有機溶剤を除去することによって前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を得ることができる。
前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料の製造の際に用いられる有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノールに代表される一価のアルコール系溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、もしくはトリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール系溶媒、1-メチル-2-ピロリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、2-ピロリジノン、ε-カプロラクタム、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、尿素、もしくはテトラメチル尿素等のようなアミド系溶媒、その他、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級モノアルキルエーテル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、もしくはトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のポリエーテル系溶媒、スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3-スルホレン等の含イオウ系溶媒、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能系溶媒、酢酸、マレイン酸、ドコサヘキサエン酸、トリクロロ酢酸、もしくはトリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶媒、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロスルホン酸等のスルホン酸系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられるが、リン酸ジフェニルの溶解が良好であることから、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価のアルコール系溶媒や、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリジノン等の非プロトン性極性溶媒を用いることが好ましい。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応終了後に前記有機溶媒を除去する方法としては、特に制限がなく、公知の方法を用いることができるが、吸引濾過または加圧濾過を行った後、使用した前記有機溶媒と相溶性があり、かつ低沸点の有機溶媒で洗浄した後、乾燥除去することが望ましい。また、水溶性有機溶媒の場合には、水と混合した後、水洗により除去することが望ましい。
(フタロシアニン顔料の微細化)
本発明の前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料、及び着色組成物に使用するその顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理等を行い微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5~90nmの範囲であることが好ましい。5nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になり、90nmよりも大きくなると十分なコントラスト比を得ることができない場合がある。このような理由から、より好ましい平均一次粒子径は10~70nmの範囲である。
ソルベントソルトミリング法とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶媒との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶媒を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料粒子が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウムを用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全質量に対し、50~2,000質量部用いることが好ましく、300~1,000重量部用いることがより好ましい。
水溶性有機溶媒は、顔料、及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶媒が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点のものが好ましい。そのようなものとしては、例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコールなどが用いられる。これら水溶性有機溶媒は、顔料の全質量に対し、5~1,000質量部用いることが好ましく、50~500質量部用いることがより好ましい。
顔料をソルベントソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。ここで、用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記水溶性有機溶媒に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全質量に対し、5~200質量部であることが好ましい。
本発明の前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料は、その使用用途に合わせて、2種類以上の前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を併用してもよい。このとき別々に製造したフタロシアニン顔料同士を混合しても良いし、同時に2種類以上のフタロシアニン顔料を合成し、微細化することによって製造して、使用しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料以外のフタロシアニン顔料を併用してもよい。
<着色組成物>
本発明の一実施形態は、着色組成物に係わる。当該着色組成物は、着色剤として、前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料、及び分散樹脂を含む。
以下、一実施形態の着色組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を説明する。
[着色剤]
本発明における着色組成物は、着色剤として前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を含む。本発明において、前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(その他着色剤)
本発明における着色組成物は、色度調整するために、着色剤として前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他着色剤を含んでもよい。その他着色剤としては、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。例えば、緑色色素や黄色色素などが挙げられる。
緑色色素としては、特に制限はないが、一般的には緑色顔料、又は緑色染料が挙げられる。緑色顔料としては、具体的には、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、62、63、特開2008-19383号公報、特開2007-320986号公報、特開2004-70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。
緑色染料としては、具体的には、C.I.ソルベントグリーン1、4、5、7、34、35等のC.I.ソルベント染料、C.I.アシッドグリーン1、3、5、9、16、50、58、63、65、80、104、105、106、109等のC.I.アシッド染料、C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等のC.I.ダイレクト染料、C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、15、26、29、33、34、35、41、43、53等のC.I.モーダント染料などが挙げられる。
中でも、コントラスト、輝度の観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58、62、63からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
黄色色素としては、特に制限はないが、一般的に黄色顔料、又は黄色染料が挙げられる。黄色顔料としては、具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214などが挙げられる。また、特開2012-226110号公報、特許第6432077号公報に記載のキノフタロン顔料などが挙げられる。
黄色染料としては、アゾ染料、アゾ金属錯塩染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、チオインジゴ染料、フタロシアニン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、チアジン染料、カチオン染料、シアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、ナフトキノン染料、オキサジン染料などが挙げられる。 具体的には、C.I.アシッド イエロー2、3、4、5、6、7、8、9、9:1、10、11、11:1、12、13、14、15、16、17、17:1、18、20、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、36、38、39、40、40:1、41、42、42:1、43、44、46、48、51、53、55、56、60、63、65、66、67、68、69、72、76、82、83、84、86、87、90、94、105、115、117、122、127、131、132、136、141、142、143、144、145、146、149、153、159、166、168、169,172、174、175、178、180、183、187、188、189、190、191、192、199などが挙げられる。
また、C.I.ダイレクトイエロー1、2、4、5、12、13、15、20、24、25、26、32、33、34、35、41、42、44、44:1、45、46、48、49、50、51、61、66、67、69、70、71、72、73、74、81、84、86、90、91、92、95、107、110、117、118、119、120、121、126、127、129、132、133、134などが挙げられる。
また、C.I.ベーシックイエロー1、2、5、11、13、14、15、19、21、24、25、28、29、37、40、45、49、51、57、79、87、90、96、103、105、106などが挙げられる。
また、C.I.ソルベントイエロー2、3、4、7、8、10、11、12、13、14、15、16、18、19、21、22、25、27、28、29、30、32、33、34、40、42、43、44、45、47、48、56、62、64、68、69、71、72、73、77、79、81、82、83、85、88、89、90、93、94、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、138、141、143、145、146、147、157、160、162、163、167、172、174、175、176、177、179、181、182、183、184、185、186、187、188、190、191、192、194、195などが挙げられる。
また、C.I.ディスパーズイエロー1、2、3、5、7、8、10、11、13、13、23、27、33、34、42、45、48、51、54、56、59、60、63、64、67、70、77、79、82、85、88、93、99、114、118、119、122、123、124、126、163、184、184:1、202、211、229、231、232、233、241、245、246、247、248、249、250、251などが挙げられる。
中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び輝度の観点から、黄色色素としては、C.I.ピグメント イエロー138、150、185、及び下記一般式(2)で表されるキノフタロン顔料からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
一般式(2)

(一般式(2)中、R~R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基または置換基を有しても良いアリール基を表す。ただし、R~Rのうち少なくとも1つの隣接した一組の基、及び/又は、R10~R13のうち少なくとも1つの隣接した一組の基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。)
一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料に黄色色素を併用する場合には、輝度と色相の観点から、黄色色素/一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料の質量比が70/30~10/90の範囲が好ましく、70/30~25/75の範囲がより好ましく、65/35~35/65の範囲が特に好ましい。
[分散樹脂]
本発明における前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を含む着色組成物は、低粘度化、保存安定性、及びコントラストの観点から、分散樹脂を含む。分散樹脂は、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。
具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系などが挙げられる。
また、前記分散樹脂の構造に関しても、特に制限がないが、ランダム構造、ブロック構造、くし型構造、星型構造等が挙げられる。中でも、分散安定性の観点から、ブロック構造、または、くし型構造が好ましい。
前記分散樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記分散樹脂の含有量は、分散安定性の観点から、着色剤100質量部に対して、0.01~100質量部であることが好ましく、0.01~60質量部がより好ましく、5~40質量部がさらに好ましい。
[酸性分散樹脂]
前記分散樹脂は、低粘度化、保存安定性の観点から、酸性分散樹脂を含むことが好ましい。酸性分散樹脂としては、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。具体的には、酸性基として、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などを有する分散樹脂である。中でも、顔料への吸着性が高いカルボキシル基、リン酸基を有することが好ましい。
前記酸性分散樹脂の重量平均分子量は、粘度と分散安定性の観点から、2,000~100,000が好ましく、2,000~50,000がより好ましく、2,000~20,000がさらに好ましい。
前記酸性分散樹脂酸価は、粘度と分散安定性の観点から、5~200mgKOH/gが好ましく、10~150mgKOH/gがより好ましく、15~100mgKOH/gがさらに好ましい。
(カルボキシル基を有する酸性分散樹脂)
カルボキシル基を有する酸性分散樹脂としては、カルボキシル基の位置や数を制御し、分散安定性を向上することができるため、テトラカルボン酸二無水物、及びトリカルボン酸無水物からなる群から選ばれる1種以上の酸無水物の酸無水物基と、水酸基含有化合物の水酸基とを反応させて得られるカルボキシル基含有のポリエステル部分を有することが好ましい。
さらに、前記カルボキシル基を有する酸性分散樹脂は、水酸基、オキセタン基、t-ブチル基、及びブロックイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を含有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体とをラジカル重合してなるビニル重合体部分とを有することが好ましい。
カルボキシル基含有のポリエステル部分が有機顔料吸着基として、ビニル重合体部分が有機顔料担体親和基として、作用することにより、顔料の凝集を抑え、分散安定性に優れた着色組成物が得られる。そして、ビニル重合体部分が、熱架橋性基を有することにより、硬化した後の耐薬品性、耐溶剤性が優れる感光性着色組成物が得られる。
以下、カルボキシル基を有する酸性分散樹脂の各構成要素について説明する。
≪酸性分散樹脂中のカルボキシル基含有のポリエステル部分を構成する酸無水物≫
酸性分散樹脂中のカルボキシル基含有のポリエステル部分を構成する酸無水物は、テトラカルボン酸二無水物、及びトリカルボン酸無水物からなる群から選ばれる1種以上である。
テトラカルボン酸二無水物の二つの無水物基は、水酸基含有化合物の水酸基と反応することによって、前記分散樹脂に有機顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、分散安定性に有利である。また、トリカルボン酸無水物を使用した場合は、水酸基と反応してエステル結合を形成し、カルボキシル基を残すことができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。中でも、芳香族カルボン酸は、脂肪族カルボン酸に比べて有機顔料への親和性が高く、分散安定性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
トリカルボン酸無水物としては、3-カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4-ブタントリカルボン酸-1,2-無水物、cis-プロペン-1,2,3-トリカルボン酸-1,2-無水物、1,3,4-シクロペンタントリカルボン酸無水物、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。中でも、有機顔料への親和性の観点から、芳香族トリカルボン酸無水物が好ましい。
テトラカルボン酸二無水物、及びトリカルボン酸無水物から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と、水酸基含有化合物中の水酸基の比率は、酸無水物基/水酸基が、0.5~1.5であることが好ましい。0.5より小さい場合、1.5以上より大きい場合、いずれも反応しない部分が多くなり、目的とする分散樹脂が得られないことが多い。
前記酸無水物は、テトラカルボン酸二無水物、及びトリカルボン酸無水物以外のポリカルボン酸無水である、ジカルボン酸無水物、5個以上のカルボン酸を有する化合物の無水物を併用することもできる。
≪酸性分散樹脂中のカルボキシル基含有のポリエステル部分を構成する水酸基含有化合物≫
前記水酸基含有化としては、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物、片末端水酸基含有ビニル重合体、その他のポリオールが挙げられる。
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物しては、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
前記カルボキシル基を有する酸性分散樹脂の合成方法の詳細は後述するが、先にポリエステル部分を合成してから次にビニル重合体部分を合成する方法と、先にビニル重合体部分を合成して次にポリエステル部分を合成する方法とある。先にポリエステル部分を合成する場合は、上述した分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物を少なくとも含む水酸基含有化合物と酸無水物を反応させる。一方、先にビニル重合体部分を合成する場合は、上述した分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物の存在下、エチレン性不飽和単量体を重合させて、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物由来の水酸基が末端に導入されたビニル重合体部分を得る。そのため、次のポリエステル部分を合成する際に酸無水物と反応させるのは、ビニル重合体部分の末端水酸基となる。すなわち、先にビニル重合体部分を合成する場合は、ポリエステル部分を構成する水酸基含有化合物に、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物由来の水酸基が末端に導入されたビニル重合体部分(片末端水酸基含有ビニル重合体)も含む。
その他のポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、グリセリン、又はヘキサントリオール等の多価アルコール類;
ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール等の各種のポリエーテルグリコール類;
上述した各種の多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、若しくはアリルグリシジルエーテル等の(環状)エーテル結合含有化合物と、の開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類;
上述した各種の多価アルコール類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られるポリエステルポリオール類であって、多価カルボン酸類が、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,4-シクロヘキサンヒカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサトリカルボン酸、若しくは2,5,7-ナフタレントリカルボン酸等で特に代表されるものを用いて得られるポリオール類;
上述した各種の多価アルコール類の1種以上と、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、若しくは3-メチル-δ-バレロラクトン等の各種ラクトン類と、の重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、又は、上記した各種の多価アルコール類と、多価カルボン酸類と、各種のラクトン類と、の重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;
ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価及び/若しくは多価アルコール類のグリシジルエーテル、又は、一塩基酸及び/若しくは多塩基酸類のグリシジルエステル等のエポキシ化合物を、ポリエステルポリオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール類;
ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物、又は水酸基含有シリコン樹脂等のその他のポリマーポリオール等が挙げられる。
これらのその他のポリオールは、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは勿論であるが、その重量平均分子量としては、相溶性や分散安定性の観点から、40~10,000が好ましく、より好ましくは、100~2,000であり、更に好ましくは、100~1,000である。重量平均分子量が、40未満では、相溶性や分散安定性を改善する効果は小さく、重量平均分子量が、10,000以上では、かえって相溶性が悪くなる場合がある。
その他のポリオールの一分子中の水酸基の数は、前記酸性分散樹脂の分子量調整や、着色組成物の粘度調整のため等、設計の観点からジオールが好ましい。特に、テトラカルボン酸二無水物と反応することで、有機顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、分散安定性に有利である。水酸基が二つより多いポリオールを多く用いると、ポリエステルの主鎖が分岐して複雑かつ嵩高くなり、分散安定性が得られにくくなる場合がある。
≪酸性分散樹脂中のビニル重合体部分を構成するエチレン性不飽和単量体≫
ビニル重合体部分は、水酸基、オキセタン基、t-ブチル基、及びブロックイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とをラジカル重合して得られる。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル-α-ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート、あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
また、上述のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート、N-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-、1,4-、2,3-又は1,3-ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、炭素原子数1~6のアルキル基で置換されたε-カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(ビニルオキシアルキル)アルキルオキセタン、(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキセタン、〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕アルキルオキセタン等を挙げることができる。中でも好ましくは、メタクリル酸(3-エチルオキセタン―3-イル)メチル等を挙げることが出来る。市販品としては、例えば、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3-エチルオキセタン―3-イル)メチル)(宇部興産製)が挙げられる。
t-ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、t-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレートなどが挙げられる。
ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、メタクリル酸2-(0-[1‘-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等を挙げることが出来る。
市販品としては、例えば、カレンズ(登録商標)MOI-BM(メタクリル酸2-(0-[1‘-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル)(昭和電工製)、カレンズ(登録商標)MOI-BP(2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)(昭和電工製)などが挙げられる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等を挙げることができる。中でも、共重合反応性および入手が容易である点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体、t-ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体、およびブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量は、エチレン性不飽和単量体全体中に5~90質量%使用するのが好ましく、20~60質量%使用するのが特に好ましい。5質量%以上であれば、架橋の効果により耐性に優れた感光性着色組成物を得ることが可能となり、90質量%以下であれば、分散安定性も良好であるために好ましい。
前記カルボキシル基を有する酸性分散樹脂中のビニル重合体部分には、熱架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体以外のその他のエチレン性不飽和単量体をラジカル重合しても良い。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、上述したエチレン性不飽和単量体以外に、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類があげられる。なお、ここで、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを示し、(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミド又はアクリルアミドを示す。
また、上記アクリル系単量体と併用できる単量体として、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類があげられる。
ビニル重合体部分の重量平均分子量は、1,000~20,000が好ましく、2,000~15,000がより好ましくは、2,000~12,000が更に好ましく、3,000~8,000が特に好ましい。ビニル重合体部分が、分散媒である溶剤への親和性部分となる。ビニル重合体部分の重量平均分子量が1,000未満では、溶媒親和部による立体反発の効果が少なくなるとともに、顔料の凝集を防ぐことが困難となり、分散安定性が不十分となる場合がある。又、20,000を超えると、溶媒親和部の絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合がある。更に、分散体の粘度が高くなる場合がある。
前記カルボキシル基を有する酸性分散樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられる。例えば、以下の合成方法が挙げられる。
前記カルボキシル基を有する酸性分散樹脂の合成方法としては、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物の存在下に、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体、t-ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体、及びブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群より選ばれる少なくともいずれか1種以上を含むエチレン性不飽和単量体をラジカル重合してなる片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体中の水酸基と、テトラカルボン酸無水物及びトリカルボン酸無水物から選ばれる1種以上の酸無水物中の酸無水物基と、を反応させることによりカルボキシル基を有する酸性分散樹脂が得られる。
また、別の合成方法としては、ポリエステル部分を構成する水酸基含有化合物(ただし、片末端水酸基含有ビニル重合体は含まない)中の水酸基と、テトラカルボン酸無水物、及びトリカルボン酸無水物からなる群より選ばれる1種以上の酸無水物中の酸無水物基と、を反応させて生成される化合物の存在下に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体、t-ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体、及びブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群より選ばれる少なくともいずれか1種以上を含むエチレン性不飽和単量体をラジカル重合することによりカルボキシル基を有する酸性分散樹脂が得られる。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を用いてラジカル重合する場合、合成方法1を利用して合成することが好ましい。合成方法2を利用すると、酸無水物中の酸無水物基が、ビニル重合体部分を構成するエチレン性不飽和単量体由来の水酸基とも反応してしまうため、ビニル重合体部分の片末端の水酸基と反応させるという目的を達せなくなり、目的の構造が得られない場合がある。
前記カルボキシル基を有する酸性分散樹脂中のテトラカルボン酸無水物、及びトリカルボン酸無水物から選ばれる1種以上の酸無水物中の酸無水物基と水酸基含有化合物中の水酸基とを反応させ得られるカルボキシル基含有のポリエステル部分の合成方法は、特に制限はなく、公知の方法が用いられる。
前記カルボキシル基を有する酸性分散樹脂中のビニル重合体部分の合成方法は、特に制限はなく、公知の方法が用いられる。
前記カルボキシル基を有する酸性分散剤としては、特開2009-155406号公報に記載されている公知技術を用いることができる。
(リン酸基を有する酸性分散樹脂)
リン酸基を有する酸性分散樹脂とは、分子内にリン酸結合[(-OP=O]を有する樹脂をいう。
例えば、リン酸基を有する酸性分散樹脂としては、下記一般式(6)で表される樹脂が挙げられる。
一般式(6)
Figure 0007371422000006

(一般式(1)中、R1は数平均分子量300~10,000のポリエステル残基、nは1または2を表す。)
前記一般式(6)で表されるリン酸基を有する分散樹脂は、例えば、モノアルコールを開始剤として、環状エステルを開環付加(第一の工程)した後、リン酸エステル化(第二の工程)を行うことにより製造することが好ましい。
モノアルコールは、分子内に1つの水酸基を持つものであれば特に限定されるものではなく、1級、2級、3級アルコールの何れも使用可能である。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキシルアルコール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール等並びにその混合物が用いられる。特に、ラウリルアルコール、N-ヘキサノール、およびヘキサデシルアルコールが好ましい。
片末端に水酸基を有するポリエステル残基は、モノアルコールを開始剤として、ε-カプロラクトン等を開環付加重合することによって得ることができる。ε-カプロラクトンの付加反応は、公知の方法、例えば、脱水管、コンデンサーを接続した反応器にモノアルコール、ε-カプロラクトン、重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。反応には、無溶剤またはトルエン、キシレンの様な適当な脱水溶媒を使用することもできる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま製品の一部として使用することもできる。
第一の工程における反応温度は120℃~220℃、好ましくは160℃~210℃の範囲で行う。反応温度が120℃未満では反応速度がきわめて遅く、220℃を越えるとε-カプロラクトンの付加反応以外の副反応、たとえばε-カプロラクトン付加体のε-カプロラクトンモノマーへの分解、環状のε-カプロラクトンダイマーの生成等が起こりやすい。
モノアルコール1モルに対するε-カプロラクトンの付加モル数は、1~50モル、好ましくは、3~20モルである。付加モル数が、1モルより少ないと、分散剤としての効果を得にくくなり、50モルより大きいと反応物の分子量が大きくなりすぎ、分散性、流動性の低下を招く傾向がある。
重合触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨードなどの四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨードなどの四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラートなどのアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、及び塩化亜鉛などの亜鉛化合物等が挙げられる。触媒の使用量は 0.1ppm~3,000ppm、好ましくは1ppm~1,000ppmである。触媒量が3,000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなり、 製品の安定性に悪影響を与える。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満では環状エステルの開環付加重合速度が極めて遅くなるので好ましくない。
片末端に水酸基を有するポリエステル残基は、五酸化リン、ポリリン酸、オルトリン酸、オキシ塩化リン等のリン酸エステル化剤の1種あるいは2種以上組み合わせて反応させることにより、リン酸エステル化を行うことができる。これらのうち、塩酸ガス等の副生がなく、特殊な設備が不要であることから、オルトリン酸、ポリリン酸および五酸化リンからなる群より選ばれる1種以上のリン酸エステル化剤が好ましい。中でもオルトリン酸換算含有量116質量%のポリリン酸が好ましい。
リン酸エステル化剤の仕込み比は、片末端に水酸基を有するポリエステル残基の水酸基に対する、リン酸エステル化剤中のリン原子のモル比が0.5~1.5であることが好ましく、1.0~1.3であることが更に好ましく、1.05~1.2であることが最も好ましい。エポキシ基に対するリン原子のモル比が0.5未満では、水酸基に対するリン酸エステル化が不十分となったり、リン酸ジエステルの副生量が増加したりする傾向があり、1.5を超えると、添加量に見合う増量効果は得られない傾向がある。
第二の工程における反応温度は、特に限定されないが40℃~130℃が好ましく、50℃~110℃が更に好ましく、60℃~100℃が最も好ましい。反応温度がこれらの範囲よりも低い場合にはエステル化反応が不充分でリン酸エステル化剤が残留する場合があり、これらの範囲よりも高い場合には副生成物が生成し易くなるとともにエステル化反応物の分解が起こり易くなる傾向がある。
前記一般式(6)において、n=1のリン酸エステルとn=2のリン酸エステルとのモル比が100:0~100:30であると、顔料分散性が良好になり好ましい。
また、前記一般式(6)において、R1が下記一般式(6-1)で示される構造であることが好ましい。
一般式(6-1)
Figure 0007371422000007

(一般式(6-1)中、Rはラクトン残基、Rはモノアルコール残基、mは1~50の整数を表す。)
例えば、前記一般式(6)中のR1がポリカプロラクトン残基であると、顔料分散性、乾燥溶解性が良好になり好ましい。特に、数平均分子量300~10,000のポリカプロラクトン残基がより好ましい。
また、リン酸基を有する酸性分散樹脂としては、リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である分散樹脂が挙げられる。具体的には、特開2003-253078号公報、特開2008-161737号公報に記載されたものである。
前記酸性分散樹脂としては、カルボキシル基を有する酸性分散樹脂、リン酸基を有する酸性分散樹脂をそれぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
[塩基性分散樹脂]
本発明の着色組成物は、さらに、低粘度化、保存安定性の観点から、前記分散樹脂として塩基性分散樹脂を含むことが好ましい。塩基性分散樹脂としては、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。具体的には、塩基性基として、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニア塩基、含窒素複素環など窒素原子を含有する官能基を有する分散樹脂である。
中でも、分散安定性の観点から、塩基性基として、下記一般式(7)、一般式(8)、及び一般式(9)で表される群より選ばれる少なくとも一つの構成単位を有することが好ましい。
(一般式(7) において、R1~R3は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R1~R3のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R4 は水素原子又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を示し、Yは対アニオンを示す。)
( 一般式(8)において、R及びRは、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R及びRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。Rは水素原子又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を示す。)
( 一般式(9)において、Rは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、またはOR12を表し、R12は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、またはアシル基を表し、R、R、R10、R11はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。Rは水素原子又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を示す。)
一般式(7) におけるR~Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~16のアラルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基が特に好ましい。
一般式(8) におけるR5及びR6としては、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。
一般式(9)のRにおいて、炭素数1~18のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることが出来る。
炭素数6~20のアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等を挙げることが出来る。
炭素数7~12のアラルキル基としては、例えば、炭素数6~10のアリール基に炭素数1~8のアルキル基が結合した基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、2-フェニルプロパン-2-イル基等を挙げることが出来る。
またアシル基としては、炭素数2~8のアルカノイル基及び、アロイル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、ベンゾイル基等を挙げることが出来る。
この中でも特に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
一般式(7)、(8)、及び(9)において、2価の連結基Xとしては、例えば、メチレン基、炭素数2~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R13-、-COO-R1 14-(但し、R13及びR14は単結合、メチレン基、炭素数2~10のアルキレン基、又は炭素数2~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である)等が挙げられ、好ましくは-COO-R1 4-である。 また、上記式(3) において、対アニオンのYとしては、Cl、Br、I 、ClO4 、BF4 、CH3COO、PF6 等が挙げられる。
一般式(7)の前駆体・部分構造となる、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
一般式(8)の前駆体・部分構造となる、3級アミン基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、N ,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類;
等が挙げられる。
一般式(9)の前駆体・部分構造となる、エチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、下記一般式(9-1)~(9-11)で表される化合物等を挙げることが出来る。
一般式(9-1)~(9-11)において、R4は水素またはメチル基を表す。
これらのうち、2,2,6,6-テトラメチルピペリジルメタクリレート(上記一般式(9-1)において、R4がメチル基である化合物)、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート(上記一般式(9-2)においてR4がメチル基である化合物)が好ましく、特に1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートが好ましい。
一般式(7)、(8)、及び(9)で表される構成単位は、単独または2種以上含有されていても良く、ランダム共重合、ブロック共重合またはグラフト共重合いずれかの態様で含有されていても良い。
一般式(7)、(8)、及び(9)で表される構成単位以外の構成単位としては、共重合可能な単量体を共重合させた構造であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。以下に共重合可能な単量体を示す。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα-メチルスチレン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(7)、(8)、及び(9)で表される構成単位以外のアミノ基を含有するエチレン性不飽和単量体を併用してもよい。
前記塩基性分散樹脂の重量平均分子量は、粘度と分散安定性の観点から、1,000~100,000が好ましい。
(分散助剤)
本発明における着色組成物は、分散安定性の観点から、分散樹脂以外に色素誘導体などの分散助剤を含有することができる。
前記色素誘導体としては、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する公知の色素誘導体を用いることができる。例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素としては、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、等が挙げられる。
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001-220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007-226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、WO2009/025325号パンフレット、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基としては、特開2004-307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報、などに記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なおこれらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
前記色素誘導体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記色素誘導体の含有量は、分散安定性の観点から、着色剤の全質量に対して、0.5~40質量部であることが好ましく、1~35質量部であることがより好ましく、3~35質量部であることが特に好ましい。
顔料に前記色素誘導体を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、ソルベントソルトミリング等の顔料化処理を行う事で、顔料表面に色素誘導体が吸着し、色素誘導体を添加しない場合と比較して顔料の一次粒子をより微細化することができる。
顔料に色素誘導体を添加し、二本ロール、三本ロール、ビーズを用いた湿式分散などの分散処理を行うことで、色素誘導体が顔料表面に吸着し顔料表面が極性を持ち、分散樹脂との吸着が促進され、顔料、色素誘導体、分散樹脂、溶媒、その他添加剤との相溶性が向上し、着色組成物や感光性着色組成物とした時の分散安定性が向上する。また、相溶性が向上することで感光性着色組成物をガラス基板等に塗工した際の塗膜経時安定性に優れ、感光性着色組成物の塗布から露光までの待ち時間(PCD:Post Coating Delay)や露光から熱処理までの待ち時間(PED:Post Exposure Delay)に対するパターン形状などの安定性・特性依存性や、線幅感度安定性が良好となる。
また、顔料表面が色素誘導体、及び分散樹脂で吸着・被覆されることで、塗膜を加熱焼成した際の顔料の凝集や昇華による結晶析出を抑制できる。さらに、現像時間ばらつきや現像残渣も抑制される。
(バインダー樹脂)
本発明における着色組成物は、分散性、成膜性、及び塗膜耐性の観点からバインダー樹脂を含有することができる。バインダー樹脂は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記バインダー樹脂としては、その主たる硬化方式で分類すると熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エチレン性不飽和二重結合等を有する活性エネルギー線硬化性樹脂などがあり、活性エネルギー線硬化性樹脂は熱可塑性樹脂であっても熱硬化の機能を併せ持つものであってもよく、さらに現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
前記バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、分散安定性の観点から、10,000~100,000の範囲が好ましく、10,000~80,000の範囲がより好ましい。
前記バインダー樹脂として用いることができる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
前記バインダー樹脂として用いることができる熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、カルド樹脂、またはメラミン樹脂などが挙げられる。また、樹脂のような高分子量化合物だけでなく、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、カルド化合物、およびフェノール化合物といった、低分子化合物でもよく、本発明はこれに限定されるものではない。中でも、エポキシ化合物、及びオキセタン化合物が好ましい。このような熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し、塗膜の架橋密度を高めるため耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の顔料凝集が抑えられるという効果が得られる。
前記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ化合物であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記オキセタン化合物としては、オキセタン基を有する公知の化合物を特に限定されず使用することができる。オキセタン化合物は、オキセタン基が1官能であるもの、オキセタン基が2官能であるもの、オキセタン基が2官能以上であるものが挙げられる。具体的には、オキセタン基が1官能のものとしては、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、 (3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。オキセタン基が2官能のものとしては、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル-3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコースビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。オキセタン基が2官能以上であるものとしては、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂などが挙げられる。
前記バインダー樹脂は、現像性、耐熱性、透明性の観点から、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。カラーフィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸基及び/又は水酸基を有する。
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、アルカリ現像溶解性を付与するために、2,000~40,000であり、3,000~30,000であることが好ましく、4,000~20,000であることがより好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると基板に対する密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。40,000を超えるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50~200(KOHmg/g)であり、70~180であることが好ましく、90~170であることがより好ましい。酸価が50未満であるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。200を超えると基板への密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。
前記アルカリ可溶性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有さないアルカリ可溶性樹脂や、組成物の光感度を向上させる、エチレン性不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂なども挙げられ、各々単独、又は併用して用いることができる。
エチレン性不飽和二重結合を有さないアルカリ可溶性樹脂は、少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体と、その他の前記エチレン性不飽和単量体を1種以上用いて合成し、側鎖にエチレン性不飽和結合を付与しないことで得ることができる。
エチレン性不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂は、例えば、以下に示す(i)や(ii)の方法によりエチレン性不飽和二重結合を導入した樹脂を得ることができる。
(方法(i))
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
(方法(ii))
方法(ii)としては、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
前記アルカリ可溶性樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類、
あるいは、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
または、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε-カプロラクトン付加アクリル酸、ε-カプロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられる。
または、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。又、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
または、リン酸エステル基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。リン酸エステル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、上記水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの水酸基にたとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応せしめることで得ることができるモノマーが挙げられる。
前記バインダー樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記バインダー樹脂の含有量は、成膜性、及び諸耐性の観点から、着色剤の全質量に対し、20~1000質量部であることが好ましく、20~400質量部であることがより好ましく、50~250質量部であることがより好ましい。
(有機溶剤)
本発明における着色組成物は、着色剤の分散性、バインダー樹脂の溶解性の観点から、有機溶剤を含有することができる。有機溶剤は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記有機溶剤としては、具体的には、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステルなどが挙げられる。中でも、着色剤の分散性、バインダー樹脂の溶解性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。これらの有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[着色組成物の作製方法]
本発明における着色組成物は、有機溶剤中に、前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料、及び前記分散樹脂を加え、さらに必要に応じてバインダー樹脂、分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して作製する。
また、本発明における着色組成物は、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料、及びその他着色剤を一緒に分散して作製することもできるし、別々に分散したものを混合して作製することもできる。
本発明における着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。
<感光性着色組成物>
本発明の一実施形態は、感光性着色組成物に係わる。当該感光性着色組成物は、前記着色組成物、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含む。
以下、一実施形態の感光性着色組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を説明する。
[光重合性化合物]
本発明における感光性着色組成物は、光重合性化合物を含有する。光重合性化合物は、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。
前記光重合性化合物には、紫外線や熱などにより硬化するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
紫外線や熱などにより硬化するモノマー、オリゴマーとしては、具体的には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。
また、光重合性化合物は、酸基を含有してもよい。酸基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基などが挙げられる。
酸基を含有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物などを挙げることができる。具体的には、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレートまたはモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレートまたはモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物などが挙げられる。
また、光重合性化合物は、ウレタン結合を含有してもよい。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレー、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
前記光重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記光重合性化合物の含有量は、光硬化性、現像性の観点から、感光性着色組成物の全固形分に対して、1~50質量部であることが好ましく、2~40質量部であることがより好ましい。
[光重合開始剤]
本発明における感光性着色組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;チタノセン系化合物等が挙げられる。
前記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記光重合開始剤の含有量は、光硬化性の観点から、着色剤100質量部に対して、5~200質量部であることが好ましく、10~150質量部であることがより好ましい。
(増感剤)
本発明における感光性着色組成物は、光硬化性向上の観点から、さらに、増感剤を用いることができる。増感剤は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記増感剤としては、例えば、ベカルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。中でも、光硬化性向上の観点から、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が好ましい。
前記増感剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記増感剤の含有量は、光硬化性の観点から、光重合開始剤100質量部に対し、3~60質量部であることが好ましく、5~50質量部であることがより好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明における感光性着色組成物は、さらに、塗膜耐性の観点から、上述したバインダー樹脂を加えることができる。
(有機溶剤)
本発明における感光性着色組成物は、さらに、塗布性の観点から、上述した有機溶剤を加えることができる。
(連鎖移動剤)
本発明における感光性着色組成物は、酸素による重合阻害の抑制の観点から、連鎖移動剤を含有することができる。連鎖移動剤は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記連鎖移動剤としては、チオール化合物が挙げられる。中でも、チオール基を2個以上有する多官能チオール化合物が好ましく、具体的には、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(5-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられる。
前記多官能チオール化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記多官能チオールの含有量は、感光性着色組成物の全固形分に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、2~10質量部であることがより好ましい。
(レベリング剤)
本発明における感光性着色組成物は、塗布性の観点から、レベリング剤を含有することができる。レベリング剤は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
前記レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造、又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK(登録商標)333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK(登録商標)310、BYK(登録商標)370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。
前記レベリング剤として、特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2130、FZ-2166、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどが挙げられる。また、レベリング剤に補助的に加える両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられる。
前記レベリング剤の含有量は、感光性着色組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量部であることが好ましく、0.005~1.0質量部であることがより好ましい。
(紫外線吸収剤、重合禁止剤)
本発明における感光性着色組成物は、紫外線吸収剤、または重合禁止剤を含有することができる。紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することで、パターンの形状と解像性を制御することができる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p-tert-ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系、2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(トリアセトン-アミン-N-オキシル)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-セバケート、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]等のヒンダードアミン系等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
前記重合禁止剤としては、例えば、メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、4-ベンゾキノン、4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、t-ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体およびフェノール化合物、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅およびマンガン塩化合物、4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物およびそのアンモニウム塩またはアルミニウム塩等が挙げられる。
前記重合禁止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
前記紫外線吸収剤、及び重合禁止剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対して、0.01~20質量部、好ましくは0.05~10質量部の量で用いることができる。
前記紫外線吸収剤、又は重合禁止剤を0.01質量部以上用いることで、より良い解像度を得ることができる。
(酸化防止剤)
本発明における感光性着色組成物は、塗膜の透過率向上の観点から、酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は、感光性着色組成物に含まれる光重合開始剤が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
前記酸化防止剤として好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはスルフィド系酸化防止剤などが挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
前記酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、及び2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
前記ヒンダードアミン系酸化防止剤では、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)(1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜りん酸エチルビス(2,4-ジtert-ブチル-6-メチルフェニル)が挙げられる。
前記スルフィド系酸化防止剤としては、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
前記酸化防止剤の含有量は、感光性着色組成物の固形分の合計100質量%中、0.1~5質量%の量で用いることが好ましい。
酸化防止剤が0.1質量%より少ない場合、透過率アップの効果が少なく、5質量%より多い場合、硬度が大きくダウンし、またカラーフィルタ用着色組成物の感度が大きく低下する。
(その他成分)
本発明における感光性着色組成物は、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤、または溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物等を含有させることができる。
前記シランカップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。
前記シランカップリング剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対して、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。
前記アミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<カラーフィルタ>
本発明の一実施形態は、カラーフィルタに係わる。当該カラーフィルタは、基材上に、前記感光性着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを備える。
以下、一実施形態のカラーフィルタについて説明する。
[カラーフィルタの製造方法]
本発明のカラーフィルタは、印刷法、又はフォトリソグラフィー法により、製造することができる。印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、有機溶剤現像型あるいはアルカリ現像型として調製した感光性着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、有機溶剤、又はアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、感光性着色組成物の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上述した印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を含有することもできる。
なお、露光感度を上げるために、感光性着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上述した方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の感光性着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板等の基材上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成することができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また、本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
フィルタセグメント、及びブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2~10μmであることが好ましく、0.2~5μmであることがより好ましい。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」及び「%」とは、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
本発明における前記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料、及び一般式(4)で表されるフタロシアニン化合物の同定は、飛行時間型質量分析装置(autoflexIII(TOF-MS)、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いて得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致、並びに、元素分析装置(2400CHN元素分析装置、パーキン・エルマー社製)を用いて得られる炭素、水素および窒素の比率と、理論値との一致により行った。
本発明に用いた前記一般式(5)で表されるリン化合物の同定、及びハロゲン原子の分布幅は、LC-MSスペクトルを用いた。LC-MSスペクトルの測定は、下記の条件で行った。

装置:日本ウォーターズ株式会社製 UPLC H-Class/XevoTQD
カラム:Symmetry C18 5micron(日本ウォーターズ株式会社)
溶離液:
(A)H
(B)DMF
溶離液条件:(A):(B)=10:90(体積比)
流速:0.400ml/分
注入量:1μl
カラム温度:40℃
測定波長:300nm

得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物の同定を行った。
ハロゲン原子の分布幅は、得られたマススペクトルにおいて、各成分に相当する分子量のピークの面積を算出し、クロマトグラム中の検出されたピークの総面積を100%とした際の、ピーク面積比が1%以上のピーク数をカウントすることで求めた。
前記一般式(4)中のnで表されるハロゲン原子の置換数は、一般式(4)で表されるフタロシアニン化合物を酸素燃焼フラスコ法にて燃焼させ、該燃焼物を水に吸収させた液体を、イオンクロマトグラフ(ICS-2000イオンクロマトグラフィー、DIONEX社製)によりハロゲン量を定量し、ハロゲン原子の置換数に換算することで得た。
同様の方法によって、前記一般式(5)中のmで表されるハロゲン原子の置換数を得た。
本発明における分散樹脂、及びバインダー樹脂の重量平均分子量は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
本発明における酸価(mgKOH/g)は、以下のようにして測定した。
サンプル溶液0.5~1gに、アセトン80ml、及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業製)を用いて滴定し、サンプル溶液の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、サンプル溶液の酸価とサンプル溶液の固形分濃度から、サンプルの固形分あたりの酸価を算出した。
本発明におけるアミン価(mgKOH/g)は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である
<リン化合物の合成>
まず、実施例、及び比較例のフタロシアニン顔料の合成に用いるリン化合物の合成方法について説明する。
(リン化合物(d-1)の合成)
反応容器中で、濃硫酸1,500部にリン酸ジフェニル150部を氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン173部を加え、15度で4時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、157部の前記一般式(5)で表されるリン化合物(d-1)を得た。得られたリン化合物(d-1)は、Y=臭素、m=2、ハロゲン原子の分布幅が3であった。
(リン化合物(d-2)の合成)
前記リン化合物(d-1)の合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン173部を、リン化合物N-クロロスクシンイミド160部に変更した以外は、前記リン化合物(d-1)の合成と同様にして、リン化合物(d-2)を得た。得られたリン化合物(d-2)は、Y=塩素、m=2、ハロゲン原子の分布幅が3であった。
(リン化合物(d-3)の合成)
反応容器中で、濃硫酸1,500部にリン酸ジフェニル150部を氷浴下にて加えた。その後、N-クロロスクシンイミド80部を加え、15度で2時間撹拌を行った。続けて、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン88部を加えさらに15度で2時間撹拌を行った。この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、157部の前記一般式(5)で表されるリン化合物(d-3)を得た。得られたリン化合物(d-3)は、Y=塩素、及び臭素、m=2(塩素が1、臭素が1)、ハロゲン原子の分布幅が3であった。
(リン化合物(d-4)~(d-7)の合成)
前記リン化合物(d-1)の合成において、ハロゲン化剤の仕込み量を表1に記載した条件にそれぞれ変更した以外は、リン化合物(d-1)と同様な操作を行い、それぞれリン化合物(d-4)~(d-7)を得た。得られたリン化合物(d-4)~(d-7)のY、m、ハロゲン原子の分布幅については表1の通りであった。
(リン化合物(d-8)の合成)
前記リン化合物(d-1)の合成において、リン酸ジフェニル150部をジフェニルホスフィン酸に変更したした以外は、前記リン化合物(d-1)の合成と同様にして、リン化合物(d-8)を得た。得られたリン化合物(d-8)は、臭素数2、ハロゲン原子の分布幅が3であった。
次に、実施例、及び比較例のフタロシアニン顔料の合成に用いる一般式(4)で表されるフタロシアニン化合物の合成方法について説明する。
(フタロシアニン化合物(p-1)の合成)
反応容器中で、n-アミルアルコール1,250部にフタロジニトリル225部と塩化アルミニウム無水物78部を混合攪拌した。これに、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)266部を加え、昇温し、136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5,000部、水10,000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2,000部、水4,000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、135部の上記一般式(3)で示されるクロロアルミニウムフタロシアニンを得た。得られたクロロアルミニウムフタロシアニンについて元素分析を行ったところ、計算値(C)66.85%、(H)2.80%、(N)19.49%に対して、実測値(C)66.7%、(H)3.0%、(N)19.2%であり、目的の化合物であることを同定した。
次いで、反応容器中で、濃硫酸1500部に上記クロロアルミニウムフタロシアニン100部を氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン225部を徐々に加え、20℃で8時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、159部の前記一般式(4)で表されるフタロシアニン化合物(p-1)を得た。得られたフタロシアニン化合物(p-1)は、X=臭素、n=8であった。
(フタロシアニン化合物(p-2)の合成)
前記フタロシアニン化合物(p-1)合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン215部を、175部に変更した以外は、前記フタロシアニン化合物(p-1)の合成と同様にして フタロシアニン化合物(p-2)を得た。得られたフタロシアニン化合物(p-2)は、X=臭素、n=6であった。
(フタロシアニン化合物(p-3)の合成)
前記フタロシアニン化合物(p-1)の合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン215部を、296部に変更した以外は、前記フタロシアニン化合物(p-1)の合成と同様にして フタロシアニン化合物(p-3)を得た。得られたフタロシアニン化合物(p-3)は、X=臭素、n=10であった。
(フタロシアニン化合物(p-4)の合成)
前記フタロシアニン化合物(p-1)の合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン215部を、358部に変更した以外は、前記フタロシアニン化合物(p-1)の合成と同様にして フタロシアニン化合物(p-4)を得た。得られたフタロシアニン化合物(p-4)は、X=臭素、n=12であった。
(フタロシアニン化合物(p-5)の合成)
前記フタロシアニン化合物(p-1)の合成において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン215部を、トリクロロイソシアヌル酸122部に変更した以外は、前記フタロシアニン化合物(p-1)の合成と同様にして、フタロシアニン化合物(p-5)を得た。得られたフタロシアニン化合物(p-5)は、X=塩素、n=8であった。
(フタロシアニン化合物(p-6)の合成)
反応容器中で、濃硫酸1,500部に上記クロロアルミニウムフタロシアニン100部を氷浴下にて加えた。その後、トリクロロイソシアヌル酸60部を徐々に加え、20℃で3時間撹拌を行った。続いて、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン136部を徐々に加え、25℃で4時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、159部の前記一般式(3)で表されるフタロシアニン化合物(p-6)を得た。得られたフタロシアニン化合物(p-6)は、X=臭素、及び塩素、n=8(臭素が4、塩素が4)であった。
<一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料の合成>
[実施例1]
(フタロシアニン顔料(GP-1)の合成)
反応容器に、1-メチル-2-ピロリジノン1,000部、フタロシアニン化合物(p-1)100部、リン化合物(d-1)50部を加えた。85℃で、3時間反応させた後、水8,000部中にこの溶液を注入した。反応生成物をろ過し、水16,000部で洗浄後、減圧下60℃にて一昼夜乾燥させて、112部の生成物を得た。次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート600部に得られた生成物を加え、120℃で2時間加熱した。生成物をろ過し、減圧下にて60℃で一昼夜乾燥させて、106部のフタロシアニン顔料(GP-1)を得た。
[実施例2~12]
(フタロシアニン顔料(GP-2~12)の合成)
前記フタロシアニン顔料(GP-1)の合成において、原料となるフタロシアニン化合物とリン化合物を、表2に記載の記載した組成、配合比にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、フタロシアニン顔料(GP-2~12)を得た。
[実施例13]
(フタロシアニン顔料(GP-13)の合成)
前記フタロシアニン顔料(GP-1)の合成において、リン化合物(d-1)50部を、ハロゲン原子の分布幅が1であるリン酸ビス(4-ブロモフェニル)50部に変更した以外は、実施例1と同様にして、フタロシアニン顔料(GP-13)を得た。
ただし、実施例13は参考例である。
[実施例14]
(フタロシアニン顔料(GP-14)の合成)
前記フタロシアニン顔料(GP-1)の合成において、リン化合物(d-1)50部を、ハロゲン原子の分布幅が1であるリン酸ビス(3,5-ジブロモフェニル)72部に変更した以外は、実施例1と同様にして、フタロシアニン顔料(GP-14)を得た。
ただし、実施例14は参考例である。
[比較例1]
(比較フタロシアニン顔料(CP-1)の合成)
前記フタロシアニン化合物(GP-1)の合成において、リン化合物(d-1)50部を、リン酸ジフェニル32部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較フタロシアニン顔料(CP-1)を得た。
[比較例2]
(比較フタロシアニン顔料(CP-2)の合成)
前記フタロシアニン化合物(GP-1)の合成において、リン化合物(d-1)50部を、リン酸ビス(p-ニトロフェニル)44部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較フタロシアニン顔料(CP-2)を得た。
[比較例3]
(比較フタロシアニン顔料(CP-3)の合成)
前記フタロシアニン化合物(GP-1)の合成において、リン化合物(d-1)50部を、2-ジナフチルリン酸47部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較フタロシアニン顔料(CP-3)を得た。
[比較例4]
(比較フタロシアニン顔料(CP-4)の合成)
前記フタロシアニン化合物(GP-1)の合成において、リン化合物(d-1)50部を、(d-8)48部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較フタロシアニン顔料(CP-4)を得た。
Figure 0007371422000013
<着色組成物の作製>
本発明の着色組成物に用いた顔料、分散樹脂、及びバインダー樹脂を説明する。
(カルボキシル基を有する酸性分散樹脂S1の合成)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、無水トリメリット酸4部、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAcとも称する)50部、ジメチルベンジルアミン0.1部を仕込んだ。窒素ガスで置換した後、反応容器内を120℃に加熱し4時間反応させ、次いで80℃で2時間反応させた。さらにターシャリーブチルアクリレート30部、メタクリル酸(3‐エチルオキセタン‐3‐イル)メチル(宇部興産社製「ETERNACOLL(登録商標)OXMA 」)20部、メタクリル酸5部、エチルアクリレート40部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10部を仕込み、反応容器内を80℃に保ちながら2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を15回に分けて30分ごとに添加した。最終添加から1時間後に不揮発分測定を行い、モノマーの95%が反応したことを確認した。不揮発分測定で不揮発分40質量%となるようPGMAcを添加し、不揮発分当たりの酸価55mgKOH/g、重量平均分子量15,000のカルボキシル基を有する酸性分散樹脂S1の溶液を得た。
(リン酸基を有する酸性分散剤S2の合成)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ラウリルアルコール186g、ε-カプロラクトンモノマー571g、テトラブチルチタネート0.6gを仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で3時間加熱、撹拌した。カプロラクトンモノマーの消失を、テトラヒドロフランを溶離液とするGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)のRI検出器により確認した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、前記一般式(5)中のR1の数平均分子量760、n=1と2の存在比が100:12のリン酸基を有する酸性分散剤S2を得た。不揮発分測定で不揮発分40質量%となるようPGMAcを添加し、不揮発分当たりの酸価166mgKOH/gのリン酸基を有する酸性分散剤S2溶液を得た。
(塩基性分散樹脂B1の合成)
ガス導入管、コンデンサー、撹拌機、及び温度計を備え着けた反応装置に、メチルメタクリレート40部、n-ブチルメタクリレート10部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で110℃まで昇温して第一ブロック部分の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック部分のモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート40部、メタクリロイルオキシエチレンベンジルジメチルアンモニウムクロライド10部を投入し、110℃・窒素雰囲気下で撹拌し反応を継続した。2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック部分の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。室温まで冷却した後、反応溶液が不揮発分40質量%となるようにPGMAcを添加し、重量平均分子量20,000、アミン価169.8mgKOH/gの塩基性分散樹脂B1を得た。
(バインダー樹脂1の合成)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器に、PGMAc196部を仕込み、撹拌しながら80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n-ブチルメタクリレート37.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックス(登録商標)M110」)20.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してバインダー樹脂1の溶液を得た。重量平均分子量は26,000であった。
(バインダー樹脂2の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコ内を窒素雰囲気とし、PGMAc210部を入れ、撹拌しながら100℃まで昇温した。次いで、ベンジルメタクリレート106部、アクリル酸22部、及びジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成社製「ファンクリル(登録商標)FA-513M」)22部をPGMAc215部に溶解させ、さらに2,2’-アゾビスイソブチロニトリル3.6部を溶解させて調製した溶液を、フラスコ内に滴下し、100℃で5時間撹拌し続けることにより、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してバインダー樹脂2の溶液を得た。重量平均分子量は、10,000であった。
[実施例101]
(着色組成物(GM-1)の作製)
下記の成分を混合し均一になるように撹拌した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の緑色着色組成物(GM-1)を作製した。

上記記載の方法により微細化したフタロシアニン顔料(GP-1):14.0部
酸性分散樹脂S1の溶液:1.5部
塩基性分散樹脂B1の溶液:1.5部
バインダー樹脂1の溶液:12.0部
バインダー樹脂2の溶液:12.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc):59.0部
[実施例102~118、比較例101~104]
表3に示す原料、量を変更した以外は、実施例101と同様の方法で実施例102~118、比較例101~104を作製した。
ただし、実施例113、114は参考例である。
<着色組成物の評価>
実施例101~118、比較例101~104の着色組成物の粘度、保存安定性、及びコントラストの評価の評価を下記方法で行った。結果を表3に示す。
(粘度)
着色組成物の粘度を、E型粘度計(東機産業社製:ELD型粘度計)を用い、温度25℃、回転数50rpmの条件で測定した。3以上を実用レベルとした。

5:4.0以上、8.0未満
4:8.0以上、12.0未満
3:12.0以上、16.0未満
2:16.0以上、20.0未満
1:20.0以上
(保存安定性の評価)
着色組成物の作製当日の初期粘度と、40℃の恒温室にて7日間保存後に測定した粘度から、粘度変化率(%)(=(40℃7日間保存後の粘度-初期粘度)/初期粘度×100)を算出し、保存安定性を下記の基準にて評価した。3以上を実用レベルとした。
なお、初期、保存後粘度とも、E型粘度計(東機産業社製:ELD型粘度計)を用い、温度25℃、回転数50rpmの条件で測定した。

5:粘度変化率が2%未満
4:粘度変化率が2%以上、5%未満
3:粘度変化率が5%以上、10%未満
2:粘度変化率が10%以上、15%未満
1:粘度変化率が15%以上
(コントラスト比の評価)
着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて膜厚が1.5μmになるように塗布し、次に70℃で20分乾燥後、さらに230℃で30分間加熱、放冷し塗膜基板を作製した。
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の塗膜を通過し、もう一方の偏光板に到達する。この際、偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直交している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の塗膜を通過する際に、着色剤粒子によって散乱等が起こり、偏光面の一部にずれが生じると、偏光板が平行のときは透過する光量が減り、偏光板が直交のときは一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行の際の輝度と、直交の際の輝度との比を、コントラスト比として算出した。

(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直交のときの輝度)

従って、塗膜中の着色剤により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直交のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
作製した塗膜基板を用い、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM-5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF-G1220DUN」)を用いた。測定に際しては、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色マスクを介して測定した。3以上を実用レベルとした。

5:9,000以上
4:7,000以上、9,000未満
3:5,000以上、7,000未満
2:3,000以上、5,000未満
1:3,000未満

本発明の実施例101~118では、粘度、保存安定性、及びコントラストが優れる結果であった。中でもYが臭素でmが2~3、ハロゲン原子の分布幅が2~6であり、かつXが臭素であるフタロシアニン顔料を用いた着色組成物は、粘度、保存安定性、及びコントラストが特に優れていた。
さらに、実施例101、117、及び118からわかるように、分散樹脂として、酸性分散樹脂と塩基性分散樹脂を併用している着色組成物は、粘度、及び保存安定性が優れた結果であった。
一方、比較例101のように一般式(1)のmが0のフタロシアニン顔料を用いた着色組成物は、コントラストが劣る結果であった。また、比較例102~104のように酸性化合物が本願特定の構造ではないフタロシアニン顔料を用いた着色組成物は、粘保存安定性、及びコントラストに劣る結果であった。
<黄色色素を含む着色組成物の作製>
本発明の黄色色素を含む着色組成物に用いた黄色色素について説明する。
(微細化PY138の作製)
C.I.ピグメントイエロー138(BASF社製「Paliotol(登録商標)Yellow L 0960HD」)200部、塩化ナトリウム1,400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化PY138を得た。
(微細化PY150の作製)
C.I.ピグメントイエロー138 200部をC.I.ピグメントイエロー150(ランクセス社製「YELLOW PIGMENT E4GN」)200部に変えた以外は、微細化PY138と同様の方法で、微細化PY150を得た。
(微細化PY150の作製)
C.I.ピグメントイエロー138 200部をC.I.ピグメントイエロー185(BASF社製「Paliotol(登録商標)Yellow L1155」)200部に変えた以外は、微細化黄色顔料(PY138-1)と同様の方法で、微細化PY185を得た。
(前記一般式(2)で表される微細化キノフタロン顔料(A)の作製)
特開2012-226110号公報に記載の合成方法に従い、下記式(2-1)で表されるキノフタロン顔料(A)を得た。
式(2-1)
続いて、得られたキノフタロン顔料(A)を100部、塩化ナトリウム1,200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化キノフタロン顔料(A)を得た。
(前記一般式(2)で表される微細化キノフタロン顔料(B)の作製)
特許6432077号公報に記載の合成方法に従い、下記式(2-2)で表されるキノフタロン顔料(B)を得た。
式(2-2)

続いて、得られたキノフタロン顔料(B)を100部、塩化ナトリウム500部、及びジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化キノフタロン顔料(B)を得た。
(着色組成物(YM-1)の作製)
下記の成分を混合し均一になるように撹拌した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の着色組成物(YM-1)を作製した。

微細化PY138:14部
酸性分散樹脂S1の溶液:3.0部
バインダー樹脂1の溶液:12.0部
バインダー樹脂2の溶液:12.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc):59.0部
表4に示す顔料を変更した以外は、着色組成物(YM-1)と同様の方法で、YM-2~YM-5を作製した。

[実施例201~205、比較例201~204]
表5に示す成分を混合、撹拌し孔径1.0μmのフィルタでろ過して実施例201~205、比較例201~204の黄色色素を含む着色組成物を作製した。緑色着色組成物と黄色着色組成物の配合比率は、基板作製後の色度がC光源で(x=0.297、y=0.570)になる比率とした。
<着色組成物の評価>
実施例201~205、及び比較例201~204の着色組成物の粘度、保存安定性、輝度、及びコントラストの評価を下記方法で行った。粘度、保存安定性の評価法は、実施例101~118、比較例101~104の着色組成物の評価と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
(輝度の評価)
着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥後、さらに230℃で30分間加熱、放冷し塗膜基板を作製した。
得られた塗膜基板の輝度(Y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP200」)で測定し下記の基準にて評価した。3以上を実用レベルとした。
なお、塗膜基板は230℃での熱処理後で、C光源でx=0.297、y=0.570の色度に合わせた。

5:66.5以上
4:65.9以上、66.5未満
3:65.3以上、65.9未満
2:64.9以上、65.3未満
1:64.9未満
(コントラスト比の評価)
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の塗膜を通過し、もう一方の偏光板に到達する。この際、偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直交している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の塗膜を通過する際に、着色剤粒子によって散乱等が起こり、偏光面の一部にずれが生じると、偏光板が平行のときは透過する光量が減り、偏光板が直交のときは一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行の際の輝度と、直交の際の輝度との比を、コントラスト比として算出した。

(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直交のときの輝度)

従って、塗膜中の着色剤により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直交のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
輝度の評価をしたものと同じ塗膜を用い、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM-5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF-G1220DUN」)を用いた。測定に際しては、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色マスクを介して測定した。3以上を実用レベルとした。

5:13,000以上
4:13,000以上、11,000未満
3:9,000以上、11,000未満
2:7,000以上、9,000未満
1:7,000未満
<感光性着色組成物の作製>
本発明の感光性着色組成物に用いたバインダー樹脂を説明する。
(バインダー樹脂3の合成)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックス(登録商標)M110」)20部、メタクリル酸メチル45部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製「カレンズ(登録商標)MOI」)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダー樹脂3の溶液を得た。重量平均分子量は、18,000であった。
(バインダー樹脂4の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート333gを導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5g(0.40モル)、グリシジルメタクリレート71.1g(0.50モル)、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成社製「ファンクリル(登録商標)FA-513M」)22.0g(0.10モル)および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート164gからなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6gを添加した溶液を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、メタクリル酸43.0g[0.5モル、(本反応に用いたグリシジルメタクリレートのグリシジル基に対して100モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9gおよびハイドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け不揮発分酸価が1mgKOH/gとなったところで反応を終了した。次に、テトラヒドロフタル無水フタル酸60.9g(0.40モル)、トリエチルアミン0.8gを加え、120℃で3.5時間反応させ酸価80mgKOH/gの感光性透明樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、感光性透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダー樹脂4の溶液を得た。重量平均分子量は、12,000であった。
(バインダー樹脂5の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182gを導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5g(0.40モル)、メタクリル酸43.0g(0.5モル)、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成社製「ファンクリル(登録商標)FA-513M」)22.0g(0.10モル)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gからなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6gを添加した溶液を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5g[0.25モル、(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9gおよびハイドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、酸価が79mgKOH/gの感光性透明樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、感光性透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダー樹脂5の溶液を得た。重量平均分子量は、13,000であった。
(バインダー樹脂6の合成)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート40部、メタクリル酸40部、メタクリル酸メチル120部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデカンチオール8部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート32部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート395部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110 ℃ にした。3時間110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル70部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃ で12時間反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150部を加えて室温まで冷却し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダー樹脂6の溶液を得た。重量平均分子量は、18,000 で不揮発分当たりの酸価は2mgKOH/gであった。
[実施例301]
(感光性着色組成物(GR-1)の作製)
下記の成分を混合し均一になるように撹拌した後、孔径1.0μmのフィルタでろ過して、感光性着色組成物(GR-1)を作製した。

着色組成物(GM-1):19.5部
着色組成物(YM-1):30.5部
バインダー樹脂3の溶液:3.75部
バインダー樹脂4の溶液:3.75部
バインダー樹脂5の溶液:3.75部
バインダー樹脂6の溶液:3.75部
エポキシ化合物(ダイセル社製「EHPE(登録商標)3150」):0.16部
光重合性化合物(東亞合成社製「アロニックス(登録商標)M402」):1.10部
光重合性化合物(東亞合成社製「アロニックス(登録商標)M350」):1.45部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュア(登録商標)OXE02」): 0.15部
光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製「OMNIRAD(登録商標)369」): 0.30部
増感剤(日本化薬社製「KAYACURE(登録商標)DETX-S」):0.05部
チオール化合物(ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート):0.20部
レベリング剤(ビックケミー社製「BYK(登録商標)330 」):0.05部
酸化防止剤(BASF社製「IRGANOX(登録商標)1010」):0.10部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:21.44部
3-エトキシプロピオン酸エチル:10.00部
[実施例302~322、比較例301~304]
表6に示す着色組成物とその量を変更した以外は、実施例301と同様の方法で実施例302~322、比較例301~304を作製した。
ただし、実施例313、314は参考例である。

<感光性着色組成物の評価>
実施例301~322、比較例301~304の感光性着色組成物の粘度、保存安定性、輝度、コントラスト、電圧保持率、及び塗膜の異物の評価を下記方法で行った。
結果を表6に示す。
(粘度)
感光性着色組成物の粘度を、E型粘度計(東機産業社製:ELD型粘度計)を用い、温度25℃、回転数50rpmの条件で測定した。3以上を実用レベルとした。

5:2.0以上、4.0未満
4:4.0以上、6.0未満
3:6.0以上、8.0未満
2:8.0以上、10.0未満
1:10.0以上
(保存安定性の評価)
感光性着色組成物の作製当日の初期粘度と、40℃の恒温室にて7日間保存後に測定した粘度から、粘度変化率(%)(=(40℃7日間保存後の粘度-初期粘度)/初期粘度×100)を算出し、保存安定性を下記の基準にて評価した。3以上を実用レベルとした。
なお、初期、保存後粘度とも、E型粘度計(東機産業社製:ELD型粘度計)を用い、温度25℃、回転数50rpmの条件で測定した。

5:粘度変化率が2%未満
4:粘度変化率が2%以上、5%未満
3:粘度変化率が5%以上、10%未満
2:粘度変化率が10%以上、15%未満
1:粘度変化率が15%以上
(輝度の評価)
感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量200mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、塗膜基板を得た。ついで230℃で60分間加熱、放冷後、得られた塗膜基板の輝度(Y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP200」)で測定し下記の基準にて評価した。3以上を実用レベルとした。
なお、塗膜基板は230℃での熱処理後で、C光源でx=0.297、y=0.570の色度に合わせた。アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム1.5質量%炭酸水素ナトリウム0.5質量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)8.0質量%、及び水90質量%からなるものを用いた。

5:66.5以上
4:65.9以上、66.5未満
3:65.3以上、65.9未満
2:64.9以上、65.3未満
1:64.9未満
(コントラスト比の評価)
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された感光性着色組成物の塗膜を通過し、もう一方の偏光板に到達する。この際、偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直交している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の塗膜を通過する際に、着色剤粒子によって散乱等が起こり、偏光面の一部にずれが生じると、偏光板が平行のときは透過する光量が減り、偏光板が直交のときは一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行の際の輝度と、直交の際の輝度との比を、コントラスト比として算出した。

(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直交のときの輝度)

従って、塗膜中の着色剤により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直交のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
なお、輝度の評価をしたものと同じ塗膜を用い、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM-5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF-G1220DUN」)を用いた。測定に際しては、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色マスクを介して測定し下記の基準にて評価した。3以上を実用レベルとした。

5:13,000以上
4:11,000以上、13,000未満
3:9,000以上、11,000未満
2:7,000以上、9,000未満
1:7,000未満
(電圧保持率変化率ΔVHRの評価)
感光性着色組成物を有効電極サイズ10mm×10mmのITO透明電極を有するガラス基板上に、スピンコーターを用いて、乾燥皮膜の膜厚が3.2μmになるように塗布し、電極部の塗膜を溶剤で拭き取りした後、積算光量50mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像し、塗膜基板を得た。ついで230℃で20分間加熱、放冷後、測定用のサンプル塗布基板を各二枚作製した。
上記サンプル塗布済ガラス基板2枚を、ITO透明電極面同士が向かい合うように対向配置し、セルギャップが9μm になるようにシール剤を用いて小型セルを作製した。この小型セルに液晶液をセルギャップ間に注入して、50℃において、電圧5Vで60μ秒間電圧を印加し、電圧解放後16.67m秒経過後のセル電圧[V1]を、東陽テクニカ製VHR-1Sにて測定した。測定されたセル電圧を平均化し、得られたセル電圧を用いて、下記式より初期VHR( % ) を求めた。

VHR(電圧保持率)(%)=([V1]/5)×100

上記初期VHR測定済セルサンプルを、LED照明15万nit、3時間照射し再度照射後のVHR( % )の測定し、下記式よりΔVHR(電圧保持率変化率)を求め、下記の基準にて評価した。3以上を実用レベルとした。

ΔVHR=|初期VHR-露光後VHR|

5:2%未満
4:2%以上、5%未満
3:5%以上、10%未満
2:10%以上、15%未満
1:15%以上
(塗膜の異物)
感光性着色組成物を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が1.2μmとなるように回転塗工し、120℃で120秒間プリベークを行い、試験サンプル基板を作成した。評価はオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」)を用いて表面観察を行った。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントする。3以上を実用レベルとした。

5:異物が20個未満
4:異物が20個以上、50個未満
3:異物が50以上100個未満
2:異物が100個以上
1:異物が100個以上で、塗工面にムラがある
本発明の実施例301~322は、輝度、コントラスト、ΔVHR、及び塗膜異物に優れ、かつ粘度、保存安定性にも優れた結果であった。中でもYが臭素でmが2~3、ハロゲン原子の分布幅が2~6であり、かつXが臭素でnが7~9であるフタロシアニン顔料を用いた感光性着色組成物は、輝度、ΔVHR、及び塗膜異物が特に優れ、かつ粘度、保存安定性にも特に優れた結果であった。
さらに、実施例301、317、及び318からわかるように、分散樹脂として、酸性分散樹脂と塩基性分散樹脂を併用している感光性着色組成物は、粘度、及び保存安定性が優れた結果となった。
また、実施例301と実施例319~322からわかるように、本発明のフタロシアニン顔料と併用する着色剤として、C.I.ピグメントイエロー138を用いた感光性着色組成物は、輝度、及びコントラストに優れた結果であった。
一方、比較例301のように一般式(1)のmが0のフタロシアニン顔料を用いた感光性着色組成物は、輝度、コントラスト、及びΔVHRも劣る結果であった。また、比較例302~304のように酸性化合物が本願特定の構造ではないフタロシアニン顔料を用いた感光性着色組成物は、輝度、コントラスト、ΔVHR、及び塗膜異物が劣り、保存安定性も劣る結果であった。
<カラーフィルタの作製>
感光性着色組成物(GR-1)を、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成された基板を室温に冷却した後、高圧水銀ランプを用い、ストライプ状フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を1,000J/mの露光量で露光した。
アルカリ現像を行った後、超純水で洗浄し、更に230℃で20分間ポストベークを行うことにより、基板上に緑色のストライプ状画素を形成した。
次いで、画素上に、光硬化性樹脂組成物を用いて保護膜を形成した。このようにして、輝度、コントラスト、電圧保持率に優れ、塗膜の異物が少ないカラーフィルタを作成することができた。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料。

    一般式(1)

    (一般式(1)中のX、及びYは、ハロゲン原子を表し、nは4~16、mは1~10を表し、Yで表されるハロゲン原子の分布幅が2~6である。)
  2. 前記一般式(1)中のmが1~4である、請求項1に記載のフタロシアニン顔料。
  3. 前記一般式(1)中のXが臭素原子で、nが6~10である、請求項1または2に記載のフタロシアニン顔料。
  4. 着色剤として請求項1~のいずれか1項に記載のフタロシアニン顔料、及び分散樹脂を含む、着色組成物。
  5. 前記分散樹脂として、酸性分散樹脂を含む、請求項に記載の着色組成物。
  6. 前記分散樹脂として、塩基性分散樹脂を含む、請求項4または5に記載の着色組成物。
  7. 前記着色剤として、黄色色素を含む、請求項のいずれか1項に記載の着色組成物。
  8. 前記黄色色素として、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185、及び下記一般式(2)で表されるキノフタロン顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項に記載の着色組成物。

    一般式(2)

    (一般式(2)中、R~R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基または置換基を有しても良いアリール基を表す。ただし、R~Rのうち少なくとも1つの隣接した一組の基、及び/又は、R10~R13のうち少なくとも1つの隣接した一組の基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。)
  9. 請求項のいずれか1項に記載の着色組成物、光重合性化合物、及び光重合開始剤を含む、感光性着色組成物。
  10. 基材上に、請求項に記載の感光性着色組成物により形成されてなるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタ。
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