JP6167882B2 - 顔料組成物とその製造方法およびそれを用いた着色組成物、カラーフィルタ - Google Patents

顔料組成物とその製造方法およびそれを用いた着色組成物、カラーフィルタ Download PDF

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本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用される顔料組成物とその製造方法、またこれを含有してなるカラーフィルタ用着色組成物、並びにこれを用いて形成されるカラーフィルタに関するものである。
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。一般的に赤、緑、及び青の3色フィルタセグメントで形成されることが多く、各セグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、ツイストネマチック(TN)型液晶を用いるタイプが主流となっている。液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高コントラスト化、高明度化、高色再現性の要求が高まっている。
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐熱性、耐光性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
しかしながら、一般に、微細化度の高い顔料粒子を、ワニスのような顔料担体に分散させ、安定な分散体を得ることは困難である。また、このような分散体は往々にして経時で顔料粒子の凝集などにより高粘度化し、チキソトロピック性を示すようになる。このような分散体の粘度上昇、流動性不良は、カラーフィルタ製造作業上の問題や製品価値に種々の問題を引き起こす。例えば、カラーフィルタのフィルタセグメントの形成は、一般にモノマーおよび樹脂を含む担体に顔料が分散されている着色組成物をガラス等の透明基板上に塗布することで行われる。この際に、高粘度、流動性不良の着色組成物を用いると塗布性不良、レベリング不良などにより、膜厚の均一な塗膜を得ることができず好ましくない。また、顔料粒子が凝集した分散体を用いて形成されたカラーフィルタは、コントラスト比を著しく低下させる。そこで、顔料には凝集することなく安定な微細粒子であり、かつ取り扱いが容易な性状であることが望まれている。
特許文献1には、有機顔料、水不溶性の合成樹脂、水溶性無機塩、および水溶性有機溶剤を機械的に混練する技術が開示されている。特許文献2には、ジケトピロロピロール系顔料、色素誘導体、水溶性無機塩、および水溶性有機溶剤を機械的に混練する技術が開示されており、樹脂型分散剤を用いることができるという記載がある。特許文献3には、有機顔料とアミノ基および4級アンモニウム塩基から選択される基を有する樹脂と水溶性無機塩、および水溶性有機溶剤とを機械的に混練する技術が開示されている。
しかしながら、前記従来技術では、カラーフィルタ形成時の加熱工程において、樹脂成分や光重合開始剤成分が劣化し黄変したり、あるいは樹脂成分や光重合開始剤成分が元来僅かに黄色に着色していたりすることから、着色層の色特性が劣化するという問題点がある。
特許文献4には、前記問題を解決するために、着色剤とピペリジル骨格を有するビニル系樹脂を有する着色層形成用感放射性組成物が開示されている。
特開平7−13016号公報 特開2001−220520号公報 特開2009−256615号公報 特開2010−054808号公報
本発明の課題は、高明度、高コントラスト比を両立し得るカラーフィルタを得るための顔料組成物とその製造方法およびそれを用いたカラーフィルタ用着色組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタの高明度、高コントラスト比を両立し得る顔料組成物を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の実施態様は、顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤と、樹脂とを機械的に混練して混練組成物を得た後、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤とを除去する工程を含む顔料組成物の製造方法であって、樹脂が、ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂であることを特徴とする顔料組成物の製造方法に関する。
また、本発明の実施態様は、ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂のアミン価が、10〜350mgKOH/gである前記顔料組成物の製造方法に関する。
また、本発明の実施態様は、更に芳香族カルボキシル基を有する樹脂を混練中に添加することを特徴とする前記顔料組成物の製造方法に関する。
また、本発明の実施態様は、顔料が、ジケトピロロピロール系有機顔料、ナフトール系有機顔料、アントラキノン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、およびキノフタロン系有機顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種の顔料である前記顔料組成物の製造方法に関する。
また、本発明の実施態様は、前記製造方法よって得られてなる顔料組成物に関する。
また、本発明の実施態様は、少なくとも着色剤、バインダー樹脂、および有機溶剤からなるカラーフィルタ用着色組成物であって、着色剤が、前記顔料組成物であるカラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明の実施態様は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有してなる前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
また、本発明の実施態様は、基材上に、前記カラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
本発明によって、高明度、高コントラスト比を両立し得るカラーフィルタを得ることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書における「C.I.」とは、カラーインデックスを意味する。また、本明細書では、「カラーフィルタ用着色組成物」を単に「着色組成物」ということがある。
<着色剤>
(本発明の顔料組成物に用いられる顔料)
本発明の実施態様の一つである顔料組成物に用いられる顔料は、アゾ系、アンサンスロン系、アンスラピリミジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インダンスロン系、キサンテン系、キナクリドン系、キノフタロン系、サブフタロシアニン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、チアジン系、チオインジゴ系、トリフェニルメタン系、ピランスロン系、フタロシアニン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、ベンズイミダゾロン系などの有機顔料や染料が挙げられる。以下、本発明に使用しうる代表的な顔料を挙げる。
本発明で使用することができる赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、221、224、226、242、246、254、255、264、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、または特表2011−523433号公報に記載のジケトピロロピロール顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、キサンテン系、アゾ系、ジスアゾ系、アントラキノン系などの赤色染料も使用できる。具体的には、C.I.アシッドレッド52、87、92、289、338などのキサンテン系酸性染料の造塩化合物等が挙げられる。
本発明で使用することができる橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ38、43、71、または73等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明で使用することができる黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、または221等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、キノリン系、アゾ系、ジスアゾ系、メチン系などの黄色染料も使用できる。
本発明で使用することができる緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37、58、特開2008−19383号公報、特開2007−320986号公報、特開2004−70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明で使用することができる青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、特開2004−333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明で使用することができる紫色顔料は、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、27、29、30、31、32、37、39、40、42、44、47、49、50等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明で使用することができる好ましい顔料としては、ジケトピロロピロール系有機顔料、ナフトール系有機顔料、アントラキノン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、キノフタロン系有機顔料が挙げられる。
ジケトピロロピロール系有機顔料は、赤〜橙色の顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。ジケトピロロピロール系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.ピグメントレッド 254、255、264、又は272、あるいは、C.I.ピグメントオレンジ 71、73、又は81等が挙げられる。また、特表2011−523433号公報に記載の臭素化ジケトピロロピロール顔料も好ましく使用できる。
ナフトールアゾ系有機顔料は、赤色の有機顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。ナフトールアゾ系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.ピグメントレッド30、112、114、119、150、163、170、176、183、187、188、208、253、268、269等が挙げられる。
キノフタロン系有機顔料は、黄色の有機顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。キノフタロン系有機顔料として、下記一般式(1)で表されるキノフタロン化合物が挙げられる。具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
一般式(1)
[一般式(1)中、R1〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、−SO3H;−COOH;およびこれら酸性基の1価〜3価の金属塩;アルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。
1〜R4、R5〜R9、R10〜R13の隣接した基は、一体となって、環を形成しても良い。]
アントラキノン系有機顔料は、赤色の有機顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。アントラキノン系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.ピグメントレッド177等が挙げられる。
フタロシアニン系有機顔料は、青色もしくは緑色の有機顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。青色用のフタロシアニン系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、又は17等が、緑色用のフタロシアニン系有機顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I.ピグメントグリーン7、36、又は58等が挙げられる。また、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料も好ましく使用できる。
<染料>
本発明の顔料組成物は染料と併用して着色組成物として使用することができる。染料としては、アゾ系染料、アゾ金属錯体系染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、フタロシアニン系染料、メチン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、カチオン系染料、シアニン系染料、ニトロ系染料、キノリン系染料、ナフトキノン系染料、オキサジン系染料、ペリレン系染料、ジケトピロロピロール系染料、キナクリドン系染料、アンサンスロン系染料、イソインドリノン系染料、イソインドリン系染料、インダンスロン系染料、クマリン系染料、キナクリドン系染料、ピランスロン系染料、フラバンスロン系染料、ペリノン系染料等が挙げられるがこれらに限定されない。
<顔料化>
一般的に微細な顔料を製造する方法としては、粗大な粗製顔料粒子を機械的摩砕によって微細にする方法(乾式粉砕法、ソルベントミリング法)、粗製顔料粒子を溶解可能な溶媒に溶解させ、貧溶媒に接触させることで微細な粒子を得る方法(アシッドペースティング法、溶解析出法)、アゾ顔料のように合成時に適切な反応条件を選択することにより微細で整粒された顔料粒子を得る合成法が知られている。
粗大な粗製顔料粒子を顔料化する方法として、現在広く用いられている方法には、アシッドペースティング法、ソルベントソルトミリング法、乾式粉砕法等がある。
アシッドペースティング法とは、硫酸中に粗製顔料粒子を加えて溶解した後、大量の水に硫酸溶液を滴下し、析出させることで微細な顔料を得る方法である。析出させる際に使用する水の量、および温度等を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料粒子を得ることができる。
乾式粉砕法は、粗大な粗製顔料粒子を、ボールミル、アトライター、振動ミル等により乾式で粉砕することで顔料化する方法であり、ソルベントソルトミリング法と比較して、単位エネルギー当たりの生産効率は良い。しかしながら、得られる顔料粒子径のばらつきが大きくなり易い等の恐れがある。
ソルベントソルトミリング法は、粗大な粗製顔料粒子を、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の水溶性無機塩と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の粘性の高い水溶性有機溶剤、必要に応じて樹脂とからなる混練組成物を、ニーダー等により機械的に摩砕した後、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤とを除去して顔料化する方法である。混練する際には溶剤量を調節することによって混練組成物を稠密な塊状(ドウ)にし、任意の温度、時間で処理することにより、所望の微細化度の顔料を得ることが可能である。
混練組成物に用いられる水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料を破砕し、顔料の一次粒子が微細化される。水に溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウム又はこれらの混合物等を挙げることができ、価格面から塩化ナトリウムを用いることが好ましい。
混練組成物中の水溶性無機塩の量は、特に限定されるものではないが、顔料重量に対し1〜30重量倍の範囲が好ましく、5〜20重量倍の範囲であることがより好ましく、目的とする粒度に応じて選択できる。1重量倍以上だと、微細化及び整粒が進み易く、30重量倍以下だと混練物中の顔料の処理量が多いため、生産性が高く工業的に有利である。
水溶性無機塩の粒子径は、特に限定されるものではないが、体積基準のメディアン粒子径(D50)で1〜50μmであることが好ましい。D50が50μm以下だと、粗製有機顔料を微細にするための処理時間が短く、D50が1μm以上だと、水溶性無機塩を得るためのエネルギーが少なくて済む。又、水溶性無機塩の粒子径は、乾式仕様のレーザー回折式粒度分布測定機を用いて求めることが可能である。
混練組成物に用いられる水溶性有機溶剤としては、顔料と、樹脂及び水溶性無機塩とが均一な塊状となるように加えるもので、水と自由に混和するもの、又は自由に混ざらないが工業的に水洗による除去が可能な程度の溶解度を有するものが望ましい。又、混練時に混練組成物の温度が上昇し、水溶性有機溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。
具体的に水溶性有機溶剤としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール、アニリン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、又はN−メチルピロリドン等を挙げることができる。又必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
混練組成物中の水溶性有機溶剤の量は、特に限定されるものではないが、混練組成物中の割合が3〜40重量%であることが望ましく、水溶性無機塩の量と混練組成物の硬さに応じて選択できる。水溶性有機溶剤が不足する場合には混練組成物がまとまらず、エネルギーが与えられないため微細化することが難しい、もしくは混練組成物がかたくなり過ぎることにより、安定した運転状態を保持することが難しい場合がある。又、過剰に投入した場合には混練組成物が軟らかくなり過ぎるため、所望の微細化度や整粒度を得ることが難しい場合がある。
<ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂>
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂は、ピペリジル骨格を有するエチレン性不飽和単量体と、必要に応じその他のエチレン性不飽和単量体を重合せしめて得ることができる。酸化防止機能を有するピペリジル骨格を樹脂化することによって、カラーフィルタ材料の酸化による明度の低下を大きく抑制できる。さらに、塩基性であるピペリジル骨格を有する樹脂を顔料処理に利用することで、顔料の微細化と整粒化がより進行するため、高い明度とコントラストを達成することができる。
ピペリジル骨格を有するエチレン性不飽和単量体としては、ピペリジル骨格を有していれば特に限定はされないが、例えば、ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト、テトラメチルピペリジルメタクリレートが挙げられる。これらのうち、ペンタメチルピペリジルメタクリレ−トが特に好ましい。
ピペリジル骨格を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能な、その他のエチレン性不飽和単量体としては、ピペリジル骨格を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。
例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、
フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等を用いることもできる。
更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を併用することもできる。
水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(若しくは3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(若しくは3若しくは4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、又はエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート等のアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、あるいは、
水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、又はN−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、
水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、又は2−(若しくは3−若しくは4−)ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは、
水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、又は2−(若しくは3−若しくは4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル等が挙げられる。
また、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を2つ有する単量体も挙げられる。更に、エポキシ基等の環状エーテル基を有するエチレン系不飽和単量体に、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を反応させたものや、あるいは(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体に、単官能エポキシ化合物等の単官能環状エーテル化合物を反応させたもの等も挙げられる。
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルヒドロキシアルキルアリルエーテル、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートに、アルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又は1,2−、1,4−、2,3−、若しくは1,3−ブチレンオキサイドが挙げられ、これらの2種以上の併用系も用いることができる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式は、ランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、又は炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトンが挙げられ、これらの2種以上の併用系も用いることができる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
また、アミノ基を含有するエチレン性不飽和単量体を併用してもよく、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類;ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられる。
また、4級アンモニウム塩基を含有するエチレン性不飽和単量体を併用することが高明度の観点で好ましい。4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
[重合法について]
重合方法は、ランダム重合、ブロック重合のいずれを用いても目的の効果を得ることができる。また、共重合相手としてマクロマー(重合可能な官能基を有する高分子量モノマー)を用いて重合した、いわゆる櫛形共重合体でも同様の効果を得る事ができる。
(ランダム重合)
本願発明のピペリジル骨格を有するビニル系樹脂はランダム共重合体であることが特に好ましい。本願発明のピペリジル骨格を有するビニル系樹脂が、ランダム共重合体である場合、フリーラジカル重合法を好適に用いることができる。フリーラジカル重合法の場合は、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤としては例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、より好ましくは5〜20時間である。
上記重合には有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられる。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
ピペリジル骨格を有するエチレン性不飽和単量体を用いたランダム重合体であるピペリジル骨格を有するビニル系樹脂は、顔料分散体の粘度及び粘度安定性の観点から、エチレン性不飽和単量体固形分に対して、ピペリジル骨格を有する基を有するエチレン性不飽和単量体を1重量%〜100重量%含有することが好ましく、さらに25重量%〜100重量%含有することが好ましく、特に40重量%〜100重量%含有することが好ましい。
ピペリジル骨格を有する基は酸化防止機能があるため、少量でも含むことでカラーフィルタ材料の酸化を防止し、その結果明度の低下を防止することができる。
更に、本発明のピペリジル骨格を有する基を有するエチレン性不飽和単量体を用いたランダム重合体であるピペリジル骨格を有するビニル系樹脂は、アミン価が10〜350mgKOH/gであることが好ましい。アミン価が10mgKOH/g未満だと顔料分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合がある。350mgKOH/gを越えると、明度が低下する場合がある。
本発明のピペリジル骨格を有する基を有するエチレン性不飽和単量体を用いたランダム重合体であるピペリジル骨格を有するビニル系樹脂の数平均分子量は、500〜30,000が好ましい。500未満、又は30,000を越えると、顔料分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合がある。
(ブロック重合)
本願発明のピペリジル骨格を有するビニル系樹脂が、ブロック共重合体である場合、側鎖にピペリジル骨格を有するAブロックとヒンダードアミン構造を有さないBブロックとからなる共重合体であればよく、A―Bブロック、B−A−Bブロック、または、A−B−Aが好ましく、A―Bブロック、B−A−Bブロックがさらに好ましく用いることができる。
このようなブロック共重合体は、例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。ここでリビング重合とは、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、さらには重合の成長が均一に起こるため、容易にブロックポリマーや分子量の揃った樹脂を合成する重合方法である。重合時に添加する重合開始剤とビニル系モノマーとの仕込み比によって、重合体の分子量やブロック共重合するモノマーの比率を自由にコントロールでき、ブロックポリマー・グラジエントポリマー・星形ポリマー・くし型ポリマー、さらには、末端官能性ポリマーなどの製造に利用することができる。
本発明のブロック共重合体は公知のラジカルリビング重合法によって合成することが出来る。具体例としては、下記に列挙した方法などが開発され、幅広く研究開発が行われている。アミンオキシドラジカルの解離と結合を利用するニトロキサイド法(Nitroxide mediated polymerization :NMP法)(参考文献1参照)。銅やルテニウム、ニッケル、鉄などの重金属、そして、それと錯体を形成するリガンドを使用して、ハロゲン化合物を開始化合物として重合する原子移動ラジカル重合(Atom transfer radical polymerization :ATRP法)(参考文献2、参考文献3、及び、参考文献4参照)。ジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物などを開始化合物として、付加重合性モノマーとラジカル開始剤を使用して重合する可逆的付加解裂型連鎖移動重合( Reversible addition- fragmentation chain transfer :RAFT法)(参考文献5参照)や、 Macromolecular Designvia Interchange of Xanthate (MADIX法)(参考文献6参照)。有機テルルや有機ビスマス、有機アンチモン、ハロゲン化アンチモン、有機ゲルマニウム、ハロゲン化ゲルマニウムなどの重金属を用いる方法( Degenerative transfer :DT法)(参考文献7、及び、参考文献8参照)
(参考文献1)Chemical Review (2001)101,3661
(参考文献2)特表2000−500516号公報
(参考文献3)特表2000−514479号公報
(参考文献4)Chemical Review (2001)101,3689
(参考文献5)特表2000−515181号公報
(参考文献6)国際公開第1999−05099号パンフレット参照
(参考文献7)特開2007−277533号公報
(参考文献8)Journal of American Chemical Society (2002)124,2874
これらラジカルリビング重合のなかでも、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒として重合する原子移動ラジカル重合法(ATRP法)は重合体の分子量・分子量分布の制御の観点のみならず、広範囲な単量体に適応出来る点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用出来る点で好ましい。
原子移動ラジカル重合法では、レドックス重合触媒として、銅、ルテニウム、鉄、ニッケルなどの遷移金属錯体を用いて行われる。遷移金属錯体の具体的な例としては、塩化銅(I)臭化銅(I)などの低原子価のハロゲン化遷移金属が挙げられる。
上記繊維金属錯体には有機配位子が使用される。有機配位子は、重合溶剤への可溶性およびレドックス重合触媒の可逆的な変化を可能にするために使用される。遷移金属の配位原子としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。
原子ラジカル重合法に使用される開始剤としては、公知のものを使用出来るが、主に、反応性の高い炭素ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物等が用いられる。具体的に例示すると、ブロモイソ酪酸エチル、ブロモ酪酸エチル、クロロイソ酪酸エチル、クロロ酪酸エチル、パラトルエンスルホン酸クロライド、1−ブロモエチルベンゼン、クロロエチルベンゼン等である。これらは単独又は併用で用いる。
ブロック共重合体固形分に対する、側鎖にピペリジル骨格を有する部分構造(Aブロック)の含有率は1重量%〜99重量%含有することが好ましく、さらに20重量%〜50重量%含有することが好ましく、特に20重量%〜30重量%含有することが好ましい。Aブロックが20重量%〜30重量%含有することで、残りの70重量%〜80重量%がBブロックを構成する。その為、Bブロックが分散媒である溶剤に親和することにより、顔料を分散媒中に安定に存在させることができる。
本発明で用いるブロック共重合体はA−Bブロック共重合体であっても、B−A−Bブロック共重合体であっても、その共重合体を構成するAブロック/Bブロック比(重量比)は通常1/99以上、中でも20/80以上、また通常80/20以下、中でも60/40以下の範囲であることが好ましい。この範囲外では良好な明度と分散性を両立することが出来ない場合がある。(赤ラインは各特許に合わせて記載を変更する。)
また、本発明で用いるA−Bブロック共重合体、B−A−Bブロック共重合体1g中のピペリジル骨格を有する基の量は、通常0.1〜5mmolであることが好ましく、この範囲外では良好な明度と分散性を両立することが出来ない場合がある。
本発明のブロック共重合体は、該アミン価の元となるピペリジル骨格を有する基の種類にもよるが、アミン価が50〜350mgKOH/gであることが好ましい。アミン価が50mgKOH/g未満だと顔料分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合がある。350mgKOH/gを越えると、明度が低下する場合がある。
また、本発明のブロック共重合体の分子量はポリスチレン換算の重量平均で、通常1,000以上、100,000以下の範囲が好ましい。ブロック共重合体の分子量が1,000未満であると分散安定性が低下し、100,000を超えると現像性が低下する傾向がある。
ブロック共重合体を構成するAブロックはピペリジル骨格を有し、ピペリジル骨格を有する樹脂型分散剤の説明欄で既に説明したものと同じものを用いることが出来る。
一方、ピペリジル骨格を有する基を含まない部分構造のAブロック、及び、ヒンダードアミン構造を有さないBブロックとしては、共重合可能な単量体を共重合させたポリマー構造であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。
ブロック共重合体を製造する工程では、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ヘキサン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、メタノール、イソプロピルアルコール等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではなく、用途、コストなどから任意に選択することができる。重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
使用する溶剤量は重合方法に依らずエチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、更には0〜100重量部が好ましい。使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま、混練時に使用することもできる。
<混錬方法>
混練組成物中の樹脂の量は、特に限定されるものではないが、顔料1重量部に対し、0.01〜1.0重量部であることが好ましく、0.02〜0.1重量部であることがより好ましい。樹脂の量が0.01重量部以上の場合は、微細化効果が容易に得られ、1.0重量部以下の場合は、着色組成物において好ましい粘度となる。又、樹脂と顔料担体との相溶性によって樹脂の量を調整することが好ましい。すなわち、相溶性が高い場合は樹脂の量を必要最小限に止めて顔料担体の物性への影響を少なくし、一方、相溶性が低い場合は樹脂の量を多くして分散効果を十分に発揮させることが好ましい。
混練組成物中には、必要に応じてピペリジル骨格を有するビニル系樹脂の他に各種樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、着色剤の全重量を基準(100重量%)として、2〜200重量%の範囲であることが好ましい。
特に芳香族カルボキシル基を有する樹脂を添加すると、顔料表面に吸着したピペリジル骨格を有するビニル系樹脂のアミノ基と、芳香族カルボキシル基が静電的に相互作用をする。その顔料を分散すると、芳香族カルボキシル基を有する樹脂に存在する重合体部が分散媒である溶剤に親和することにより、顔料が分散媒体中に安定に存在し、低粘度化する効果を発揮する。中でも、芳香族カルボキシル基を有する樹脂としては、水酸基を有する重合体と、芳香族トリカルボン酸無水物及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させてなる樹脂であることが好ましい。
混練組成物中には、必要に応じてさらに分散助剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤等の添加剤、有機顔料の分子に置換基を導入した化合物である色素誘導体、あるいは一般に体質顔料として用いられている炭酸カルシウム、硫酸バリウム、及びシリカ等の無機顔料を併用してもよい。又、色相を調整するために他の顔料と混合して処理を行ってもよい。
特に、顔料の結晶成長や結晶転移を防止し、効率的に微細な顔料組成物を製造するために、色素誘導体、アントラキノン誘導体、アクリドン誘導体又はトリアジン誘導体から選ばれる少なくとも一種の誘導体を混練組成物に含有させることが好ましい。前記各誘導体は、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、又はフタルイミドメチル基を導入した化合物である。フタルイミドメチル基は、置換基を有していても良い。中でも色素誘導体、とくに微細化される有機顔料と同一の構造を母体骨格とする色素誘導体は、顔料の結晶成長を抑制する効果が特に高いため好ましい。
ここで色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物であり、用いる顔料の色相に近いものが好ましいが、添加量が少なければ色相の異なるものを用いても良い。有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特開昭52−132031号公報、特開昭54−062227号公報、特開昭56−061461号公報、又は特開昭60−088185号公報等に記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料組成物の分散効果が大きいため、好適に用いられる。これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
好ましい色素誘導体の態様として、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
一般式(2)

A−B

(一般式(2)中、Aは、有機顔料残基であり、Bは、塩基性置換基、酸性置換基、又はフタルイミドメチル基である。)
一般式(2)中、Aの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、若しくはポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、若しくは無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、若しくはビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ベンズイミダゾロン顔料、スレン系顔料、又は金属錯体系顔料等が挙げられる。
一般式(2)中、Bの塩基性置換基としては、下記一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で示される置換基が挙げられ、酸性置換基としては、一般式(6)、一般式(7)、又は一般式(8)で示される置換基が挙げられる。
一般式(3)
一般式(4)
一般式(5)
〔一般式(3)〜(5)において、
Xは、−SO2−、−CO−、−CH2−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHSO2CH2−、又は直接結合であり、
Yは、−NH−、−O−、又は直接結合であり、
nは、1〜10の整数であり、
1は、−NH−、−NR22−Z−NR23−、又は直接結合であり、
22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜36のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜36のアルケニル基、又は置換基を有しても良いフェニル基であり、
Zは、置換基を有しても良いアルキレン基、又は置換基を有しても良いアリーレン基であり、
14、R15は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基、又はR14とR15とが一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む、置換基を有しても良い複素環であり、
16、R17、R19、及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基であり、
18は、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基であり、R21は、一般式(3)で示される置換基、又は一般式(4)で示される置換基であり、
Qは、水酸基、アルコキシル基、一般式(3)で示される置換基、又は一般式(4)で示される置換基である。〕
一般式(3)〜(5)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニペコチン酸メチル、イソニペコチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、又は1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
一般式(6)
一般式(7)
一般式(8)
上記一般式(6)〜(8)において、
Mは、水素原子、ナトリウム原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子、又はアルミニウム原子であり、
iは、Mの価数であり、
24、R25、R26、及びR27は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜36のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜36のアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は−(Cm2mO)n−R28である。ただし、mは、1〜4の整数。nは、1〜10の整数、R28は、水素原子またはアルキル基を表す。
一般式(8)のスルホン酸アミン塩を形成するために使用されるアミン成分は、1級、2級もしくは3級アミンまたは4級アンモニウム塩である。
1級アミンとしては、側鎖を有していてもよいへキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、又はエオコシルアミン等の飽和アミン、あるいは、前記飽和アミンの炭素数に対応する不飽和アミンが挙げられる。
2級アミンとしては、ジオレイルアミン、又はジステアリルアミン等が挙げられる。
3級アミンとしては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、又はトリオクチルアミン等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、ジメチルジドデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、トリメチルデシルアンモニウムクロリド、トリメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルドデシルテトラデシルアンモニウムクロリド、又はジメチルヘキサデシルオクタデシルアンモニウムクロリド等が挙げられる
又、一般式(8)におけるR24、R25、R26、及びR27のいずれかが−(Cm2mO)n−R28であらわされる場合、その例としては−(C24O)n−H、又は−(C36O)n−H等が挙げられる(nは、1〜10の整数)。
混練組成物中の色素誘導体の配合量は、顔料100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、更に、好ましくは5〜20重量部である。誘導体の配合量が1重量部以上の場合には、添加した効果が得られ易く、30重量部以下の場合には、余剰の誘導体により分散に影響を及ぼすことがない。
特に酸性置換基を有する色素誘導体を添加すると、色素誘導体が吸着した顔料とピペリジル骨格を有するビニル系樹脂との相互作用が強くなる。その結果、分散時に分散安定性が向上し、低粘度化の効果がある。
特にキノフタロン系黄色顔料の微細化時の色素誘導体の添加量は、全有機色素分1重量部に対して0.005〜0.1重量部が好ましく、0.01〜0.02重量部がより好ましい。
混練組成物を機械的に混練する装置としては、ニーダー、プラネタリーミキサー、トリミックス(井上製作所社製)、2本ロール、3本ロール、多軸ロール、エクストルーダー、KRCニーダー(栗本鐵工所社製)、又はミラクルKCK(浅田鉄工社製)等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、混練組成物に効率よく機械的剪断力が与えられるものであれば、バッチ式及び連続式に関わらず使用できる。
混練組成物を機械的に混練するときの温度は、特に限定されるものではないが、20〜90℃で処理することが好ましく、30〜70℃で処理することがより好ましい。20℃以上90℃以下の混練条件においては混練物処理量を低減する、もしくは混練混合物の粘度を低減する等の所作、もしくはこれら所作の併用をすることなく、有機顔料粒子を砕いて微細化する速度と有機顔料粒子の結晶成長速度の制御が容易であり、所望の微細化度を得ることができる。
混練後の微細有機顔料は、常法により処理される。すなわち、混練組成物を水又は鉱酸水溶液で処理し、濾過、水洗により水溶性無機塩及び水溶性有機液体を除去し、顔料組成物を単離する。具体的には、混練後の微細有機顔料を水中に投入し、撹拌してスラリーとし、次いで、このスラリーを濾過、水洗することにより水溶性無機塩と水溶性有機溶剤とを除去して顔料組成物を製造することができる。これらの工程を複数回繰り返してもよい。鉱酸水溶液としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸を含む水溶液が挙げられる。撹拌には、例えば、ハイスピードミキサーを用いてもよい。濾過には、例えば、フィルタープレスを用いてもよい。顔料組成物は、このまま湿潤状態で使用することも、乾燥・粉砕により粉末状態で使用することも可能である。
得られる顔料組成物の平均一次粒子径は、40nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下であり、更に、好ましくは20nm以下である。又、平均一次粒子径は5nm以上であることが好ましい。顔料組成物の平均一次粒子径が上限値より大きい場合には、着色膜の透明性等が低下する。又、下限値より小さい場合は、顔料分散が難しくなり、着色組成物としての安定性を保ち、流動性を確保することが困難になる。又、一次粒子径の算出方法としては、例として以下のものが挙げられる。透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した顔料組成物の像を画像処理すること等により、粒子個々の投影面積を求め、その投影面積に相当する円の直径を算出する。個々に算出された粒子の円の直径の総和を個数で除した値を、顔料組成物の平均一次粒子径として使用することが可能である。
<カラーフィルタ用着色組成物>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、前記で説明した着色剤の他に、バインダー樹脂、有機溶剤から構成される。尚、着色組成物中の着色剤とは、本発明の一態様である顔料組成物を意味する。
<バインダー樹脂>
本発明の着色組成物に用いられるバインダー樹脂は、着色剤を分散、または浸透させるものであって、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂をアルカリ現像型着色レジスト材に用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで着色剤が固定され、耐熱性が良好になり、着色剤の熱による退色(分光特性の悪化)を抑制できる。また、現像工程においても着色剤成分の凝集・析出を抑制する効果もある。
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、5,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは7,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
バインダー樹脂をカラーフィルタ用感光性着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基および現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である場合がある。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる場合がある。
バインダー樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤の全重量100重量部に対し、20重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、1000重量部以下の量で用いることが好ましい。
バインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(i)や(ii)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
(熱硬化性化合物)
本発明においては、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含んでもよい。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/または樹脂、ベンゾグアナミン化合物及び/または樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/または樹脂、ロジン変性フマル酸化合物及び/または樹脂、メラミン化合物及び/または樹脂、尿素化合物及び/または樹脂、フェノール化合物及び/または樹脂、が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために有機溶剤を含有させることができる。
有機溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
中でも、本発明の着色剤の分散が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤100重量部にして、500〜4000重量部用いることが好ましい。
<分散助剤>
着色剤を着色剤担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
<色素誘導体>
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
色素誘導体の配合量は、着色剤の分散性向上の観点から、着色剤100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、着色剤100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは35重量部以下である。
<樹脂型分散剤>
樹脂型分散剤は、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、リン酸基を有する樹脂、スルホン酸基あるいは硫酸基を有する樹脂、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
上記分散剤のうち少量の添加量で着色組成物の粘度が低くなり高いコントラストを示すという理由から、塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体、窒素原子含有アクリル系ランダム共重合体、窒素原子含有アクリル系櫛形共重合体およびウレタン系高分子分散剤などが好ましい。その場合、塩基性官能基を有する高分子分散剤と、後で詳細を述べる芳香族カルボキシル基を有する樹脂、リン酸基を有する樹脂、スルホン酸あるいは硫酸基を有する樹脂から選ばれる樹脂を併用すると分散性の観点でより好ましい。
樹脂型分散剤は、着色剤100重量部に対して、5〜200重量部使用することが好ましく、成膜性の観点から10〜100重量部使用することがより好ましい。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDsperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、21116またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
<芳香族カルボキシル基を有する樹脂>
本発明の芳香族カルボキシル基を有する樹脂は、数平均分子量が500〜30000であることが好ましい。500未満であっても、30000を超えても、着色組成物の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
本発明の芳香族カルボキシル基を有する樹脂は、酸価が10〜200mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の芳香族カルボキシル基を有する樹脂は、その分子内に芳香族カルボキシル基を有するものが好ましく、その製造方法には、例えば、水酸基を有する重合体(D)に芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)を反応させる製造方法1、芳香族カルボキシル基を有する単量体を用いて重合体を作る製造方法2、水酸基を有する単量体を重合しながら芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)を反応させる製造方法3、のいずれかが挙げられる。この中で、顔料分散性の観点から、芳香族カルボキシル基を有する樹脂中の芳香族カルボキシル基の個数をより制御し易い製造方法1により作られたものが好ましい。
(水酸基を有する重合体(D))
本発明の芳香族カルボキシル基を有する樹脂の前駆体として使用する水酸基を有する重合体(D)としては、片末端に水酸基を有する重合体(D1)と、側鎖に水酸基を有する重合体(D2)とに分けられる。更に、片末端に水酸基を有する重合体(D1)において、片末端に2つの水酸基を有するものを、片末端に2つの水酸基を有する重合体(D3)とする。
〔片末端に水酸基を有する重合体(D1)、片末端に2つの水酸基を有する重合体(D3)〕
まず、片末端に水酸基を有する重合体(D1)について説明する。本発明に用いる片末端に水酸基を有する重合体(D1)としては、片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(D1−1)と、片末端に水酸基を有するビニル系重合体(D1−2)とが挙げられる。片末端に2つの水酸基を有する重合体(D3)は、ビニル系重合体であることが好ましい。
[片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(D1−1)]
片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(D1−1)としては、下記一般式(9)で示されるものが好ましい。
一般式(9):
〔一般式(9)中、
1は、炭素原子数1〜20、酸素原子数0〜12、及び窒素原子数0〜3の1価の末端基であり、
2は、−O−、−S−、又は−N(Rb)−(但し、Rbは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基)であり、
1は、−OHであり、
1は、−R29O−で示される繰り返し単位であり、
2は、−C(=O)R30O−で示される繰り返し単位であり、
3は、−C(=O)R31C(=O)−OR32O−で示される繰り返し単位であり、
R29は、炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、
R30は、炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、
R31は、炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6〜20アリーレン基であり、
R32は、−CH(R33)−CH(R34)−であり、
33とR34は、どちらか一方が水素原子であり、もう一方が炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、アルキル部分の炭素原子数1〜20のアルキルオキシメチレン基、アルケニル部分の炭素原子数2〜20のアルケニルオキシメチレン基、アリール部分の炭素原子数6〜20でアリール部分が場合によりハロゲン原子で置換されていることのあるアリールオキシメチレン基、N−メチレン−フタルイミド基であり、
35は、前記R29、−C(=O)R30−、又は−C(=O)R31C(=O)−OR32−であり、
m1は、0〜100の整数であり、
m2は、0〜60の整数であり、
m3は、0〜30の整数であり、
但しm1+m2+m3は1以上100以下であり、
一般式(9)における前記繰り返し単位G1〜G3の配置は、その順序を限定するものではなく、一般式(9)で表される重合体において、基X2と基R35との間に繰り返し単位G1〜G3が任意の順序で含まれていることを示し、更に、それらの繰り返し単位G1〜G3は、それぞれランダム型又はブロック型のどちらでもよい。〕
前記一般式(9)は、Y1が炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが、顔料分散体の低粘度化及び保存安定性の観点から好ましい。
又、別の形態として、前記一般式(9)の中でY1がエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。この場合、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤に活性エネルギー線硬化性を付与することができる。
又、前記一般式(9)の中で、m2が3〜15の整数であることが、顔料分散体の低粘度化及び保存安定性の観点から好ましい。
又、前記一般式(9)の中で、m2=0、m3=0の場合、Y1は炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であるか、若しくはエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。
前記一般式(9)で示される片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(D1-1)は、公知の方法で製造することができ、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、ジカルボン酸無水物、及びエポキシドの群から選択される環状化合物を開環重合して容易に得られる。
モノアルコールとしては、水酸基を一つ有する化合物であればいかなる化合物でも構わない。例示すると、
メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、又はオレイルアルコール等の脂肪族モノアルコール類;
ベンジルアルコール、フェノキシエチルアルコール、パラクミルフェノキシエチルアルコール等の芳香環を有するモノアルコール類;あるいは、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、又はテトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類等が挙げられる。
モノアルコールとしてエチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールを使用してもよい。この場合、生成される芳香族カルボキシル基を有する分散剤に、活性エネルギー線硬化性能を付与することができる。
前記のエチレン性不飽和二重結合を有する基の例としては、ビニル基、又は(メタ)アクリロイル基(なおここで、以降「(メタ)アクリロイル」又は「(メタ)アクリレート」と表記する場合には、それぞれ「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」又は「メタアクリレート及び/又はアクリレート」を示すものとする。)が挙げられるが、好ましいのは(メタ)アクリロイル基である。これら二重結合を有する基の種類は、一種類でもよいし、複数種類でもよい。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールとしては、エチレン性不飽和二重結合を1個、2個、及び3個以上含む化合物を用いることができる。エチレン性不飽和二重結合の数が1個のモノアルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(なお、「(メタ)アクリレート」と表記する場合には、アクリレート及び/又はメタクリレートを示すものとする。以下同じ。)、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、又は4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合の数が2個のモノアルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、又はグリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合の数が3個のモノアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合の数が5個のモノアルコールとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。
このうち、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートは、それぞれ、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物として得られるので、生成される分散剤の分子量を制御するためにはHPLC(高速液体クロマトグラフィ)法や水酸基価の測定によりモノアルコール体の比率を決定する必要がある。モノアルコール体の数とG1〜G3を形成する原料の比率により、分散剤の分子量が決まるからである。
前記のモノアルコールのうち、エチレン性不飽和二重結合の数が2個以上のものは、硬化性の点で活性エネルギー線硬化型顔料組成物に用いる場合に好ましい。
1級モノアミンとしては、例えば、
メチルアミン、エチルアミン、1−プロピルアミン、イソプロピルアミン、1−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、3−ペンチルアミン、1−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、4−メチル−2−ペンチルアミン、1−ヘプチルアミン、1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−ノニルアミン、イソノニルアミン、1−デシルアミン、1−ドデシルアミン、1−ミリスチルアミン、セチルアミン、1−ステアリルアミン、イソステアリルアミン、2−オクチルデシルアミン、2−オクチルドデシルアミン、2−ヘキシルデシルアミン、ベヘニルアミン、又はオレイルアミン等の脂肪族1級モノアミン類;
3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−イソブチロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、又は3−ミリスチロキシプロピルアミン等のアルコキシアルキル1級モノアミン類;あるいは、
ベンジルアミン等の芳香族1級モノアミンが挙げられる。
2級モノアミンとしては、例えば、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−1−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−1−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−1−ペンチルアミン、ジイソペンチルアミン、ジ−1−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−(4−メチル−2−ペンチル)アミン、ジ−1−ヘプチルアミン、ジ−1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−1−ノニルアミン、ジイソノニルアミン、ジ−1−デシルアミン、ジ−1−ドデシルアミン、ジ−1−ミリスチルアミン、ジセチルアミン、ジ−1−ステアリルアミン、ジイソステアリルアミン、ジ−(2−オクチルデシル)アミン、ジ−(2−オクチルドデシル)アミン、ジ−(2−ヘキシルデシル)アミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ピペラジン、又はアルキル置換ピペラジン等の脂肪族2級モノアミン類が挙げられる。
モノチオールとしては、例えば、
メチルチオール、エチルチオール、1−プロピルチオール、イソプロピルチオール、1−ブチルチオール、イソブチルチオール、tert−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、イソペンチルチオール、3−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、シクロヘキシルチオール、4−メチル−2−ペンチルチオール、1−ヘプチルチオール、1−オクチルチオール、イソオクチルチオール、2−エチルヘキシルチオール、1−ノニルチオール、イソノニルチオール、1−デシルチオール、1−ドデシルチオール、1−ミリスチルチオール、セチルチオール、1−ステアリルチオール、イソステアリルチオール、2−オクチルデシルチオール、2−オクチルドデシルチオール、2−ヘキシルデシルチオール、ベヘニルチオール、又はオレイルチオール等の脂肪族モノチオール類;あるいは、
チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチルなどのチオグリコール酸アルキルエステル、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、又はメルカプトプロピオン酸トリデシル等のメルカプトプロピオン酸アルキルエステル類が挙げられる。
本発明で言うモノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールからなる群から選ばれる化合物は、前記例示に限定されることなく、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基を一つ有する化合物であればいかなる化合物も用いることができ、又、単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。
ここで、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、又はモノチオールのそれぞれ水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基を除いた部分が、前記一般式(9)におけるY1を構成する。
前記例示したモノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールからなる群から選ばれる化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選ばれる環状化合物を開環重合して、前記一般式(9)で示される重合体のうちZ1が−OHのものを製造することができる。但し、ジカルボン酸無水物とエポキシドとの組み合わせは、必ず、同時に用いられ、交互に重合させる。
ここで、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選ばれる環状化合物の反応順序は、どのようなものでもよく、例えば、一段階目として、前記開始剤にアルキレンオキサイドを重合した後、二段階目にラクトンを重合し、更に三段階目にジカルボン酸無水物とエポキシドとを交互に重合することもできる。この例では、二段階目にラクトンを重合するときの開始剤は、一段階目に重合されている片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体となる。又、三段階目にジカルボン酸無水物とエポキシドとを交互に重合するときの開始剤は、二段階目までに重合されている片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体とラクトン重合体のブロック共重合体となる。本発明の製造方法では、以降に説明する前記一般式(9)で示される重合体を製造する場合の開始剤として、このような前記一般式(9)で示される重合体のうちZ1が−OHのものや、後述する一般式(11)で示される重合体も開始剤となりうる。
前記の環状化合物の反応順序は、一段階目のアルキレンオキサイド、二段階目のラクトン、三段階目のジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せに限定されず、アルキレンオキサイド、ラクトン(及び/又はラクチド)、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せを任意の順序で、それぞれ1ないし複数回に亘って実施することができる。あるいは、アルキレンオキサイド、ラクトン(及び/又はラクチド)、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せについて、全ての開環重合を実施せずに、それらの内から、任意の環状化合物を選択して、開環重合を実施することもできる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、又は1,3−ブチレンオキサイド等が挙げられ、これらを、単独あるいは2種以上併用して用いることができる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式は、ランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。開始剤1モルに対するアルキレンオキサイドの重合モル数は、0〜100が好ましい。
アルキレンオキサイドの重合は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で、加圧状態で行うことができる。モノアルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを重合して得られる片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体は市販されており、例えば、日本油脂社製ユニオックスシリーズ、日本油脂社製ブレンマーシリーズ等があり、前記一般式(9)で示される重合体のうちZ1が−OHでG1〜G3の繰り返し単位のうちG1のみを有するものとして本発明の芳香族カルボキシル基を有する分散剤の原料にそのまま使用することもできる。市販品を具体的に例示すると、ユニオックスM−400、M−550、M−2000、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−400、PP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、55PET−400、30PET−800、55PET−800、AETシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、10APB−500B等がある。
ここで、アルキレンオキサイドのアルキレン基が、前記一般式(9)における繰り返し単位G1中のR29を構成する。
ラクトンとしては、具体的にはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、又はアルキル置換されたε−カプロラクトン、が挙げられ、この内、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、又はアルキル置換されたε−カプロラクトンを使用するのが開環重合性の点で好ましい。
本発明の製造方法において、ラクトンは、前記例示に限定されることなく用いることができ、又単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。2種類以上を併用して用いることで結晶性が低下し室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
ラクチドとしては、下記一般式(10)で示されるものが好ましい(グリコリドを含む)。
一般式(10):
〔一般式(10)中、
49及びR50は、それぞれ独立して、水素原子、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜20のアルキル基であり、
51及びR52は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、並びに飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜9の低級アルキル基である。〕
本発明の芳香族カルボキシル基を有する分散剤の原料として、特に好適なラクチドは、ラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、及びグリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)である。又、本発明の芳香族カルボキシル基を有する分散剤の原料として前記ラクトン又はラクチドのうち、ラクトンが用いられるのが好ましい。
ラクトン及び/又はラクチドの開環重合は、公知方法、例えば、脱水管、コンデンサーを接続した反応器に、開始剤、ラクトン及び/又はラクチド、及び重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。又、モノアルコールにエチレン性不飽和二重結合を有するものを使用する場合は、重合禁止剤を添加し、乾燥空気流下で反応を行うことが好ましい。
開始剤1モルに対するラクトン及び/又はラクチドの重合モル数は、1〜60モルの範囲が好ましく、更には2〜20モルが好ましく、最も好ましくは3〜15モルである。
ラクトン及び/又はラクチドの重合触媒としては、公知のものを制限なく使用することができるが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、又はベンジルトリメチルアンモニウムヨード等の四級アンモニウム塩;
テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、又はテトラフェニルホスホニウムヨード等の四級ホスホニウム塩;
トリフェニルフォスフィン等のリン化合物;
酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、又は安息香酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩;
ナトリウムアルコラート、又はカリウムアルコラート等のアルカリ金属アルコラート;
三級アミン類;
有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、又は有機チタネート化合物等の有機金属化合物;あるいは、
塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。
触媒の使用量は0.1ppm〜3000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmである。触媒量が3000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなる場合がある。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満ではラクトン及び/又はラクチドの開環重合速度が遅くなる場合がある。
ラクトン及び/又はラクチドの重合温度は100℃〜220℃、好ましくは、110℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が100℃未満では反応速度が遅くなる場合があり、220℃を超えるとラクトン及び/又はラクチドの付加反応以外の副反応、たとえばラクトン付加体のラクトンモノマーへの解重合、環状のラクトンダイマーやトリマーの生成等が起こりやすい。
ここで、ラクトン又はラクチドのエステル基以外の部分が、前記一般式(9)における繰り返し単位G2中のR30を構成する。
ジカルボン酸無水物としては、例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、又はクロレンデック酸無水物等が挙げられる。
エポキシドとしては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、2,4−ジブロモフェニルグリシジルエーテル、3−メチル−ジブロモフェニルグリシジルエーテル(ただし、ブロモの置換位置は任意である)、アリルグリシジルエーテル、エトキシフェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルフタルイミド、又はスチレンオキシド等が挙げられる。
ジカルボン酸無水物とエポキシドとは開始剤に対して同時に使用され、交互に反応する。このとき、開始剤の水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基に対して、まずジカルボン酸無水物の酸無水物基が反応してカルボキシル基を生じ、次いでこのカルボキシル基にエポキシドのエポキシ基が反応して水酸基を生じる。更に、この水酸基にジカルボン酸無水物の酸無水物基が反応するというように、以下、順次、前記と同様の反応を進行させることができる。開始剤1モルに対するジカルボン酸無水物及びエポキシドの重合モル数はそれぞれ0〜30モルが好ましい。又、ジカルボン酸無水物とエポキシドとの反応比率([D]/[E])は、
0.8≦[D]/[E]≦1.0
([D]はジカルボン酸無水物のモル数であり、[E]はエポキシドのモル数である)
であることが好ましい。0.8未満であるとエポキシドが残りやすく、1.0を超えると、片末端に水酸基を有する重合体が得られず、片末端にカルボキシル基を有する重合体ができる場合があるので好ましくない。
ジカルボン酸無水物とエポキシドとの交互重合は、好ましくは50℃〜180℃、より好ましくは、60℃〜150℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満となる場合や180℃を超える場合では反応速度が遅い場合がある。
ここで、ジカルボン酸無水物のジカルボン酸無水物基以外の部分が前記一般式(9)における繰り返し単位G3中のR31を構成し、エポキシドの環状エーテルを形成する酸素原子以外の部分が前記一般式(9)における繰り返し単位G3中のR32を構成する。
前記一般式(9)で示される重合体を製造するときに、エチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコール、ジカルボン酸無水物、又はエポキシドを使用する場合は、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、フェノチアジン等が好ましく、これらを単独若しくは併用で0.01%〜6%、好ましくは、0.05%〜1.0%の範囲で用いる。
[片末端に水酸基を有するビニル系重合体(D1−2)]
片末端に水酸基を有するビニル系重合体(D1−2)としては、下記一般式(11)で示される重合体が好ましい。
一般式(11):
〔一般式(11)中、Y2は、ビニル重合体の重合停止基であり、
4は、−O−、又は−S−であり、
2は、−R45−OH、又は−R46(OH)2であり、
45は、炭素数1〜18の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキレン基であり、
46は、炭素原子数1〜18の、脂肪族、脂環式、又は芳香族である3価の炭化水素基であり、
R39及びR40は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、
R41及びR42は、いずれか一方が水素原子、他の一方が芳香族基、又は−C(=O)−X6−R43(但し、X6は、−O−若しくは−N(R44)−であり、
43、R44は、水素原子、炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は置換基として芳香族基を有する炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はエーテル基を有する炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐状、若しくは環状構造を含むアルキル基であり、
nは、2〜50である。〕
前記一般式(11)で示される重合体はエチレン性不飽和単量体を重合せしめたビニル系重合体である。
前記一般式(11)で示される重合体の繰り返し単位の部分、すなわち、{−〔C(R39)(R41)−C(R40)(R42)〕n−}は、相互に同一のものからなる(ホモポリマー)であっても、異なるものからなる(コポリマー)でもよい。前記一般式(11)で示される重合体の好ましい形態は、R39及びR40が、いずれか一方が水素原子、他の一方が水素原子又はメチル基であり、R41及びR42は、いずれか一方が水素原子、他の一方が−C(=O)−O−R47(R47は炭素原子数1〜8の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基で、置換基として芳香族基を有していることができるもの、又はエーテル基を有する炭素原子数1〜18の直鎖状、分岐状、若しくは環状構造を含むアルキル基)であり、−X4−Z2が−S−CH2CH2−OH、若しくはS−CH2CH(OH)CH2−OH、の場合である。
前記一般式(11)中のY2、すなわち、ビニル重合体の重合停止基は、通常のエチレン性不飽和単量体の重合を通常の方法で実施した場合に導入される任意の公知重合停止基であり、当業者には自明である。具体的には、例えば、重合開始剤由来の基、連鎖移動剤由来の基、溶剤由来の基、又はエチレン性不飽和単量体由来の基であることができる。Y2がこれらのいずれの化学構造を有していても、本発明の分散剤は、重合停止基Y2の影響を受けずに、その効果を発揮することができる。
前記一般式(11)で示される重合体のうちZ2が−R45−OHのものは、公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基とチオール基とを有する化合物とエチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することで得ることができる。
分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物としては、例えば、メルカプトメタノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、1−メルカプト−2−ブタノール、又は2−メルカプト−3−ブタノール等が挙げられる。
前記一般式(11)で示される重合体のうちZ2が−R46(OH)2のものは、公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基2つとチオール基1つとを有する化合物とエチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することで得ることができる。この場合に片末端に水酸基を有する重合体(D)の中でも、もっとも好ましい態様である片末端に2つの水酸基を有する重合体(D3)となる。
分子内に水酸基2つとチオール基1つとを有する化合物としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、又は2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
好ましくは、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、1〜30重量部の水酸基とチオール基とを有する化合物を用い、塊状重合又は溶液重合を行う。反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、より好ましくは5〜20時間である。水酸基とチオール基を有する化合物が、1重量部未満では、分子量が大きくなり、分散体の粘度が高くなり好ましくない場合がある。30重量部を超えると、分子量が小さくなり、溶媒親和性のビニル重合体部分による立体反発効果が少なくなるため好ましくない場合がある。
チオール基はエチレン性不飽和単量体を重合するためのラジカル発生基となるため、該重合には必ずしも別の重合開始剤は必要ではないが、使用することもできる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましい。
重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和単量体としては、共重合可能な単量体であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。
例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(ポリ)ア
ルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等を用いることもできる。
更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
以上挙げた、エチレン性不飽和単量体の中から、1種又は2種以上を選択することができ、少なくとも、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びメトキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選択されるエチレン性不飽和単量体が用いられるのが好ましい。
前記一般式(11)で示される重合体を製造する工程では、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
使用する溶剤量はエチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、更には0〜100重量部が好ましい。使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま、分散剤の製品の一部として使用することもできる。
〔側鎖に水酸基を有する重合体(D2)〕
本発明の側鎖に水酸基を有する重合体(D2)は、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と必要に応じその他のエチレン性不飽和単量体を重合せしめて得ることができる。水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、
水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(若しくは3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(若しくは3若しくは4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、又はエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート等のアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、あるいは、
水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、又はN−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、
水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、又は2−(若しくは3−若しくは4−)ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは、
水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、又は2−(若しくは3−若しくは4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル等が挙げられる。
又、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を2つ有する単量体も挙げられる。更に、エポキシ基等の環状エーテル基を有するエチレン系不飽和単量体に、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を反応させたものや、あるいは(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体に、単官能エポキシ化合物等の単官能環状エーテル化合物を反応させたもの等も挙げられる。
又、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルヒドロキシアルキルアリルエーテル、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートに、アルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明方法において、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又は1,2−、1,4−、2,3−、若しくは1,3−ブチレンオキサイドが挙げられ、これらの2種以上の併用系も用いることができる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式は、ランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、又は炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトンが挙げられ、これらの2種以上の併用系も用いることができる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と他のエチレン性不飽和単量体との共重合比は、重合後の一分子に平均で少なくとも0.3〜177個の水酸基が入るように決められるのが好ましい。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、前記一般式(11)で示される重合体を製造する工程で説明したエチレン性不飽和単量体が挙げられ、任意に使用することができる。
重合開始剤としては、例えば、前記一般式(11)で示される重合体を製造する工程で説明したアゾ系化合物、又は有機過酸化物を用いることができる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
重合溶剤としては、例えば、前記一般式(11)で示される重合体を製造する工程で説明した溶剤を同じ様に用いることができる。
<水酸基を有する重合体(D)と、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)との反応>
次に、水酸基を有する重合体(D)と、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)とを反応させる工程について説明する。
上記反応については、片末端に水酸基を有する重合体(D1)又は側鎖に水酸基を有する重合体(D2)と、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)とを反応させるのが好ましい。
前記の片末端に水酸基を有する重合体(D1)又は側鎖に水酸基を有する重合体(D2)の水酸基と、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)の無水物基とを反応させることによって、本発明の芳香族カルボキシル基を有する分散剤を得ることができる。
芳香族トリカルボン酸無水物(E1)としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物)など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等を挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、M−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、又は9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物等を挙げることができる。
本発明で使用される芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)は、前記に例示した化合物に限らず、どのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。本発明に使用されるものは、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物が好ましい。
重合体(D)の水酸基のモル数を<H>、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)のカルボン酸無水物基のモル数を<N>としたとき、反応比率は0.3≦<H>/<N>≦3が好ましく、更に好ましくは0.5≦<H>/<N>≦2の場合である。特に重合体(D1)として重合体(D3)を用いる場合は、1<<H>/<N>≦2であることが好ましい。もし、<H>/<N><1で反応させる場合は、残存する酸無水物を必要量の水で加水分解しても、単官能アルコールでアルコリシスしてもよい。
重合体(D2)を用いる場合は、一分子に0.3個から3個の芳香族トリカルボン酸及び/又は芳香族テトラカルボン酸を導入せしめるのが好ましい。具体的には重合体(D2)の数平均分子量を測定し、その測定値が[X]であった場合、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)を使用する場合は樹脂[X]gに対して0.3モル以上3モル以下の芳香族トリカルボン酸無水物を反応させれば良い。一方、芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)を使用する場合は樹脂[X]gに対して0.15モル以上1.5モル以下の芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させれば良い。これは、芳香族テトラカルボン酸二無水物は酸無水物基を2つ有するため、重合体(D2)分子を橋掛けするため芳香族トリカルボン酸無水物(E1)を使用する場合の半分の量で良いためである。
水酸基を有する重合体(D)と、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)との反応には触媒を用いてもかまわない。触媒としては、例えば、3級アミン系化合物が使用でき、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、又は1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
水酸基を有する重合体(D)と、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)との反応は無溶剤で行ってもよいし、適当な脱水有機溶媒を使用してもよい。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま分散剤の製品の一部として使用することもできる。使用する溶剤は、特に限定はないが、前記一般式(11)で示される重合体を製造する工程で説明した溶剤を同じ様に用いることができる。
水酸基を有する重合体(D)と、芳香族トリカルボン酸無水物(E1)又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(E2)との反応温度は、好ましくは50℃〜180℃、より好ましくは60℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く、180℃を超えると反応して開環した酸無水物が、再度環状無水物を生成し、反応が終了しにくくなる場合がある。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、着色剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に悪影響を及ぼすことがある。
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、前述の着色剤、バインダー樹脂、および有機溶剤を混合したものを、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、着色剤等を別々にバインダー樹脂および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。
微細化された着色剤をサンドミル等の分散機を用いて透明樹脂に分散すると、一次粒子が複数個集まった二次粒子からなる分散粒子の状態で分散され、分散状態の進行によりこの分散粒子は徐々に小さくなり、最終的には一次粒子の状態で分散されているようになるものであるが、分散状態を分散粒子の大きさで制御し、分散粒子の平均径が50nmから150nmの範囲内となるように分散させたものである。
分散が進むにつれ分散粒径は小さくなり、透明性が増し、コントラスト比は上昇するため、分散粒径は小さくなるほどよく、300nmくらいから良好なコントラスト比が得られるようになる。一方、分散が進行し、分散粒径が小さくなると分散体の粘度が上昇し、かつチキソトロピック性が大きくなる傾向がみられる。カラーフィルタ用着色組成物として用いる場合には、薄膜塗布されかつ塗膜表面が平滑であることが要求されるため、低粘度でかつニュートニアンフローであることが要求される。このため、通常の使用に好ましい粘度やチキソトロピック性を考慮すると、分散粒径を100nm程度に抑えることが好ましい。このように、平均一次粒子径が100nm以下の着色剤を用い、分散粒子の平均粒径を50nmから150nmの範囲内となるように分散度合いを制御することにより、粘度上昇およびチキソトロピック性が最小限に抑えられ、コントラスト比が非常に高い顔料分散体を得ることができる。
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を添加し、カラーフィルタ用着色組成物として使用することができる。
<光重合性単量体>
光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。モノマーの配合量は、着色剤100重量部に対して、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
<光重合開始剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合、光重合開始剤等を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。光重合開始剤を使用する際の配合量は、着色剤100重量部に対して、2〜200重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から5〜150重量部であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。これらの光重合開始剤は、カラーフィルタ用着色組成物中の着色剤100重量部に対して、2〜200重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から5〜150重量部であることがより好ましい。
<増感剤>
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、またはミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’または4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
増感剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上用いても構わない。増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対して、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
<多官能チオール>
本発明の着色組成物は、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有することができる。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、
2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の全固形分の重量を基準(100重量%)として好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。多官能チオールの含有量が0.1重量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30重量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
<酸化防止剤>
本発明の着色組成物は、本発明で使用するピペリジル骨格を有するビニル系樹脂以外の酸化防止剤も含有することができる。酸化防止剤は、着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分重量を基準(100重量%)として、0.5〜5.0重量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
<アミン系化合物>
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物100重量部に対して、0.003〜0.5重量部用いることが好ましい。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有する、いわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂全量に対し、0.01〜15重量%が好ましい。
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100重量部に対して、0.1〜10重量部用いることが好ましい。
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部用いるのが良い。
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備する。さらには、上記3色のフィルタセグメントに加えて、黄色フィルタセグメントを具備することもできる。本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つフィルタセグメントは、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成される。
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備するものである。カラーフィルタとしては、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備するものが挙げられ、前記フィルタセグメントは、スピンコート方式あるいはダイコート方式によってカラーフィルタ用着色組成物を塗布したのち、紫外線等の活性エネルギー線を照射してフィルタセグメントとなる部分を硬化し、ついで現像することにより、基板上に形成される。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、少なくとも一つのフィルタセグメントの形成に用いられ、それ以外の各色のフィルタセグメントは、従来用いられる赤色着色組成物、青色着色組成物、緑色着色組成物を用いて形成することができる。本発明のカラーフィルタ用着色組成物以外の各色の着色組成物は、着色剤(顔料、染料のどちらでも可)、前記バインダー樹脂、前記光重合性組成物等を含有する各着色組成物を用いて形成することができる。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストであり、かつ量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性制御も重要であり、分散剤や体質顔料によってインキ粘度の調整も行うことができる。
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
以下に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」及び「%」は、特に断わりのない限り、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。また、下記実施例における「黄色着色剤」、「赤色着色剤」は、いずれも「顔料組成物」に相当する。
<樹脂のアミン価>
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂等の塩基性を有する樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
<樹脂の4級アンモニウム塩価>
樹脂の4級アンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。下記樹脂溶液の4級アンモニウム塩価は、固形分の4級アンモニウム塩価を示す。
<芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の酸価>
芳香族カルボキシル基の酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
<ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂の平均分子量>
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを3本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK−GEL SUPER AW−4000」、「AW−3000」、及び「AW−2000」を用い、オーブン温度40℃、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用い、流速0.6ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、50マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
<芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の平均分子量>
芳香族カルボキシル基を有する樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。
<りん酸基、硫酸基を有する樹脂の平均分子量>
りん酸基、硫酸基を有する樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。
<ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂の合成方法>
(ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂の製造例1)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら110℃に昇温した。滴下槽に2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート120部(日立化成工業社製、ファンクリルFA−712HM)、メチルアクリレート70部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メトキシプロピルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が145mgKOH/g、数平均分子量3,500(Mn)、その後、メトキシプロピルアセテートで希釈し、45重量%のピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を得た。
(ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂の製造例2〜6(b〜f)
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外は製造例1と同様にして合成を行い、ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(b)〜(f)の溶液を得た。それぞれのアミン価、数平均分子量は表1に記載の通りであった。
(ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(g)の製造例7)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテル133部を仕込み、窒素置換しながら110℃に昇温した。滴下槽に2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート120部(日立化成工業社製、ファンクリルFA−712HM)、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド40部(共栄社化学制、ライトエステルDQ)、メチルアクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、プロピレングリコールモノメチルエーテル61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、固形分当たりのアミン価が142mgKOH/g、数平均分子量3,700(Mn)、45重量%のピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(g)を得た。
(ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(h)の製造例8)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、nーブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(日立化成工業(株)製、ファンクリルFA−711HM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
GPC測定の結果、ポリマーのMw9200、Mw/Mn=1.5であり、反応転化率は98.5%であった。このようにして、固形分当たりのアミン価が57mgKOH/g、のブロック共重合体タイプのピペリジル骨格を有するビニル樹脂を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したピペリジル骨格を有するビニル樹脂溶液に不揮発分が45重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してブロック共重合体タイプのピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(h)を調製した。
(ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(i)の製造例9)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、メトキシプロピルアセテート150部、メチルメタクリレート50部、およびn−ブチルタクリレート50 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2−メルカプトエタノール4部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95% が反応したことを確認し、数平均分子量は3900、重量平均分子量8000の反応生成物(i−a)を得た。
上記反応生成物(i−a)に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート7.8部とメチルジブチル錫ジラウレート0.05部とメチルヒドロキノン0.05部を追加で仕込み、反応容器を100℃に加熱して4時間反応した。その後40℃まで冷却し、反応性生物(i−b)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート43部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽に上記反応性生物(i−b)、ペンタメチルピペリジルメタクリレート(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−82)70部、メチルアクリレート10部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)を4部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのアミン価が57mgKOH/g、重量平均分子量22500(Mw)の櫛形共重合体タイプのピペリジル骨格を有するビニル系樹脂を得た。室温まで冷却した後、ビニル系樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、ビニル樹脂溶液に不揮発分が45重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して櫛形共重合体タイプのピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(i)を調製した。
<芳香族カルボキシル基を有する樹脂の合成方法>
(芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の製造例1)
[製造例10]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート60部を仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート40部、ベンジルメタクリレート28部、n−ブチルアクリレート20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。このようにして、数平均分子量が3,800であり、一分子中の水酸基の平均個数3.5個である中間体を得た。該中間体を固形分で100部、トリメリット酸無水物5.1部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数が1個、固形分当たりの酸価30mgKOH/g、数平均分子量(Mn)4,000である芳香族カルボキシル基を有する樹脂を得た。また、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が50重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加して芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)を調製した。
(芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B)の製造例2)
[製造例11]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート15部、メタクリル酸5部、t−ブチルメタクリレート20部、2−メトキシエチルアクリレート60部、メトキシプロピルアセテート45部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3部をメトキシプロピルアセテート60部に溶解したものを20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.2部を追加し、120℃で7時間反応させた。98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し反応を終了し、固形分当たりの酸価71mgKOH/g、数平均分子量(Mn)5000である芳香族カルボキシル基を有する樹脂を得た。また、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が50重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加して芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B)を調製した。
<リン酸基を有する樹脂(C)の合成方法>
[製造例12]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここにポリリン酸116%(純正化学製)29.2部を加え、120℃で2時間反応させ、分散剤を得た。このようにして固形分当たりの数平均分子量(Mn)1,200のりん酸基を有する樹脂(C)を得た。
<硫酸基を有する樹脂(D)の合成方法>
[製造例13]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここに三酸化硫黄−ピリジン錯体を53.5部を加え、50℃で2時間反応させた。その後、ストリッピングしてピリジンを除去し、分散剤を得た。このようにして固形分当たりの数平均分子量(Mn)1,200の硫酸基を有する樹脂(D)を得た。
<ピペリジル骨格を有しない4級アンモニウム塩樹脂の合成方法>
[製造例14]
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン62.4部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、滴下ロートへメチルメタクリレート19.5部、n−ブチルメタクリレート11.7部、2−エチルヘキシルメタクリレート11.7部、ジエチレングリコールモノメタクリレート(日油製、商品名:ブレンマーPE90」)を7.8部、ジメチルアミノエチルメタクリレート27.3部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を4.7部、及びメチルエチルケトン15.6部を仕込み、均一にした後、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、7130である事を確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化ベンジル22.0部、エタノール22.0部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。その後、ジエチレングリコールを150部加え、100℃で減圧しながら、エタノール及びメチルエチルケトンを留去し、溶媒をジエチレングリコールに置換した。このようにして樹脂成分が34.2重量%のピペリジル骨格を有しない樹脂溶液を得た(アミン価3mgKOH/g、4級アンモニウム塩価97mgKOH/g)。
<窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体樹脂の合成方法>
[製造例15]
(窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体樹脂1の合成とその溶液の調製)
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン70部、n−ブチルアクリレート76.0部、スパルテイン2.8部、ブロモイソ酪酸エチル1.9部を仕込み窒素気流下で40℃に昇温した。塩化第一銅 1.1部を投入し、75℃まで昇温して重合を開始した。3時間重合後、重合溶液をサンプリングし、重合の固形分から重合収率が95%以上である事を確認し、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート24.0部、及びMEK30.0部を添加し、更に、重合を行った。2時間後重合溶液の固形分から重合収率が97%以上であるのを確認し、室温に冷却して重合を停止した。得られた樹脂溶液100部をメチルエチルケトン100部で希釈し、カチオン交換樹脂「ダイアイオン PK228LH(三菱化学(株)製)」60部を添加し室温で1時間攪拌し、更に、中和剤として「キョーワード500SN(協和化学工業(株)製)」を部添加し30分攪拌を行った。濾過によりカチオン交換樹脂と吸着剤を取り除く事で重合触媒の残渣を取り除いた。更に、樹脂溶液を濃縮しエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換して不揮発分が20重量%の窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体樹脂(Mn=10200、Mw=12200、アミン価86mgKOH/g)の溶液を得た。
<色素誘導体>
実施例で使用した色素誘導体は、下記化学式(9)で示されるベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)および下記化学式(10)で示されるキノフタロン系色素誘導体(2)を使用した。
・ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)
化学式(9)
(色素誘導体(2)の製造)
特許第4585781号公報に記載の合成方法に従い、色素誘導体(2)を得た。
色素誘導体(2)
<着色剤(顔料組成物)の製造>
[実施例1]
顔料としてC.I.ピグメントイエロー138(C.I.Pigment Yellow 138、(BASF社製「パリオトールエロー K0961HD」)、キノフタロン系有機顔料、Y138と略記することがある)100部、ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 5部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム1200部、および水溶性有機溶剤としてジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で15時間混練し、湿式粉砕した。得られた混練組成物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、98部の顔料組成物である黄色着色剤1(QP−1)を得た。
[実施例2]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 5部を2部に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤2(QP−2)を得た。
[実施例3]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 5部を10部に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤3(QP−3)を得た。
[実施例4]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を、ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(b)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤4(QP−4)を得た。
[実施例5]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を,ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(c)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤5(QP−5)を得た。
[実施例6]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を,ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(d)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤6(QP−6)を得た。
[実施例7]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を,ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(e)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤7(QP−7)を得た。
[実施例8]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を,ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(f)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤8(QP−8)を得た。
[実施例9]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を,ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(g)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤9(QP−9)を得た。
[実施例10]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を,ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(h)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤10(QP−10)を得た。
[実施例11]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を,ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(i)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、97部の黄色着色剤11(QP−11)を得た。
[実施例12]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤12(QP−12)を得た。
[実施例13]
キノフタロン系色素誘導体(2)5部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、97部の黄色着色剤13(QP−13)を得た。
[実施例14]
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)5部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤14(QP−14)を得た。
[実施例15]
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B)5部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、97部の黄色着色剤15(QP−15)を得た。
[実施例16]
キノフタロン系色素誘導体(2)5部と芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)5部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、98部の黄色着色剤16(QP−16)を得た。
[実施例17]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を,ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(g)に変更した以外は、黄色着色剤16(QP−16)の製造と同様に行い、97部の黄色着色剤17(QP−17)を得た。
[比較例1]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を除いた(使用しなかった)以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤18(QP−18)を得た。
[比較例2]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を、ピペリジル骨格を有しない4級アンモニウム塩樹脂に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤19(QP−19)を得た。
[比較例3]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤20(QP−20)を得た。
[比較例4]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤18(QP−18)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤21(QP−21)を得た。
[比較例5]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤19(QP−19)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤22(QP−22)を得た。
[比較例6]
キノフタロン系色素誘導体(2)5部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤18(QP−18)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤23(QP−23)を得た。
[製造例16]
(キノフタロン化合物(1)の製造)
特許第4993026号公報に記載の合成方法に従い、下記化学式(10)で示されるキノフタロン化合物(1)(キノフタロン系有機顔料)を得た。
化学式(10)
[実施例18]
C.I.ピグメントイエロー138を、キノフタロン化合物(1)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤24(QP−24)を得た。
[実施例19]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤24(QP−24)の製造と同様に行い、100部の黄色着色剤25(QP−25)を得た。
[実施例20]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)をピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(g)に変更した以外は、黄色着色剤24(QP−24)の製造と同様に行い、100部の黄色着色剤26(QP−26)を得た。
[実施例21]
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)5部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤24(QP−24)の製造と同様に行い、100部の黄色着色剤27(QP−27)を得た。
[実施例22]
キノフタロン系色素誘導体(2)5部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤24(QP−24)の製造と同様に行い、100部の黄色着色剤28(QP−28)を得た。
[比較例7]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を除いた(使用しなかった)以外は、黄色着色剤24(QP−24)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤29(QP−29)を得た。
[比較例8]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を、ピペリジル骨格を有しない4級アンモニウム塩樹脂に変更した以外は、黄色着色剤24(QP−24)の製造と同様に行い、98部の黄色着色剤30(QP−30)を得た。
[比較例9]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤29(QP−29)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤31(QP−31)を得た。
[比較例10]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤30(QP−30)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤32(QP−32)を得た。
[実施例23]
C.I.ピグメントイエロー138(BASF社製「パリオトールエロー K0961HD」))100部を、C.I.ピグメントイエロー138(C.I.Pigment Yellow 138、(BASF社製「パリオトールエロー K0961HD」))80部とキノフタロン化合物(1)20部との混合物に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、98部の黄色着色剤33(QP−33)を得た。
[実施例24]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤33(QP−33)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤34(QP−34)を得た。
[実施例25]
キノフタロン系色素誘導体(2)5部と芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)5部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤33(QP−33)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤35(QP−35)を得た。
[比較例11]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を除いた(使用しなかった)以外は、黄色着色剤33(QP−33)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤36(QP−36)を得た。
[比較例12]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を、ピペリジル骨格を有しない4級アンモニウム塩樹脂に変更した以外は、黄色着色剤33(QP−33)の製造と同様に行い、98部の黄色着色剤37(QP−37)を得た。
[比較例13]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤36(QP−36)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤38(QP−38)を得た。
[比較例14]
ベンズイミダゾロン系色素誘導体(1)2部を混練時に加えた以外は、黄色着色剤37(QP−37)の製造と同様に行い、96部の黄色着色剤39(QP−39)を得た。
[実施例26]
C.I.ピグメントイエロー138を、ジケトピロロピロール顔料(C.I.Pigment Red 254、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGAFOR RED B−CF」、ジケトピロロピロール系有機顔料、R254と略記することがある)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の赤色着色剤1(R254−1)を得た。
[実施例27]
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)5部を混練時に加えた以外は、赤色着色剤1(R254−1)の製造と同様に行い、96部の赤色着色剤2(R254−2)を得た。
[比較例15]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を除いた(使用しなかった)以外は、赤色着色剤1(R254−1)の製造と同様に行い、96部の赤色着色剤3(R254−3)を得た。
[比較例16]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を、ピペリジル骨格を有しない4級アンモニウム塩樹脂に変更した以外は、赤色着色剤1(R254−1)の製造と同様に行い、98部の赤色着色剤4(R254−4)
[実施例28]
C.I.ピグメントイエロー138を、C.I.Pigment Red 269(ナフトール系有機顔料、R269と略記することがある)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の赤色着色剤5(R269−1)を得た。
[比較例17]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を除いた(使用しなかった)以外は、赤色着色剤5(R269−1)の製造と同様に行い、96部の赤色着色剤6(R269−2)を得た。
[比較例18]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を、ピペリジル骨格を有しない4級アンモニウム塩樹脂に変更した以外は、赤色着色剤5(R269−1)の製造と同様に行い、98部の赤色着色剤7(R269−3)
[実施例29]
C.I.ピグメントイエロー138を、C.I.Pigment Red 177(アントラキノン系有機顔料、R177と略記することがある)に変更した以外は、黄色着色剤1(QP−1)の製造と同様に行い、96部の赤色着色剤8(R177−1)を得た。
[比較例19]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を除いた(使用しなかった)以外は、赤色着色剤8(R177−1)の製造と同様に行い、96部の赤色着色剤9(R177−2)を得た。
[比較例20]
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a)を、ピペリジル骨格を有しない4級アンモニウム塩樹脂に変更した以外は、赤色着色剤8(R177−1)の製造と同様に行い、98部の赤色着色剤10(R177−3)
<顔料組成物の粒子径>
以下に示す方法により、顔料組成物の平均一次粒子径を測定(算出)した。顔料組成物粉末にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、樹脂型分散剤としてDisperbyk−161を少量添加し、超音波洗浄機の水浴中で1分間分散処理して測定用試料を調整した。この試料を透過型電子顕微鏡(TEM)により、200個以上の顔料組成物の一次粒子が観察出来る写真を5〜10万倍で6葉(6視野分)撮影し、任意に1000個の一次粒子の大きさを測定した。具体的には、個々の顔料組成物の一次粒子の短軸径と長軸径を1nm単位で計測し、その平均値を個々の粒子の顔料組成物の一次粒子径とした。
実施例および比較例で作成した着色剤(顔料組成物)について、粒子径の評価結果を表2に示す。
表2より、ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂を湿式粉砕中に添加することで、比較例に対して非常に小さな粒子径を持つ顔料組成物が得られていることが分かる。
<アクリル樹脂の重量平均分子量>
バインダー樹脂として用いるアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製)で測定した。GPCで測定するときには、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、展開溶媒にテトラヒドロフラン(THF)」を用いて測定した。ポリスチレン換算で測定した。分子量はポリスチレン換算値である。
<バインダー樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n−ブチルメタクリレート37.2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
(アクリル樹脂溶液2の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は18000であった。
<黄色着色組成物の作製>
[実施例30]
(黄色着色組成物1(DQP−1)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物1(DQP−1)を作製した。

黄色着色剤1(QP−1) 11.0部
アクリル樹脂溶液1 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
[実施例31〜32、34〜40、42、44〜48、56]
(黄色着色組成物2〜3、5〜11、13、15〜19、27(DQP−2〜3、5〜11、13、15〜19、27)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を表2に示す着色剤に変更した以外は実施例30と同様に行い、黄色着色組成物2〜3、5〜11、13、15〜19、27(DQP−2〜3、5〜11、13、15〜19、27)を作製した。
[実施例33]
(黄色着色組成物4(DQP−4)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物4(DQP−4)を作製した。

黄色着色剤3(QP−3) 11.0部
窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体樹脂 11,0部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
[実施例41、43、49、57]
(黄色着色組成物12、14、20、28(DQP−12、14、20、28)の作製)
黄色着色剤3(QP−3)を、表2に示す着色剤に変更した以外は実施例33と同様に行い、黄色着色組成物12、14、20、28(DQP−12、14、20、28)を作製した。
[実施例50]
(黄色着色組成物21(DQP−21)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物21(DQP−21)を作製した。

黄色着色剤16(QP−16) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 0.98部
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A) 3.52部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.5部
[実施例51]
(黄色着色組成物22(DQP−22)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物22(DQP−22)を作製した。

黄色着色剤16(QP−16) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 0.98部
りん酸基を有する樹脂(C) 1.76部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.3部
[実施例52]
(黄色着色組成物23(DQP−23)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物23(DQP−23)を作製した。

黄色着色剤16(QP−16) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 0.98部
硫酸基を有する樹脂(D) 1.76部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.3部
[実施例53]
(黄色着色組成物24(DQP−24)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物24(DQP−24)を作製した。

黄色着色剤16(QP−16) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(g) 4.89部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.1部
[実施例54]
(黄色着色組成物25(DQP−25)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物25(DQP−25)を作製した。

黄色着色剤16(QP−16) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(h) 4.89部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.1部
[実施例55]
(黄色着色組成物26(DQP−26)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物26(DQP−26)を作製した。

黄色着色剤16(QP−16) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(i) 4.89部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.1部
[実施例58]
(黄色着色組成物29(DQP−29)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物29(DQP−29)を作製した。

黄色着色剤17(QP−17) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 0.98部
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A) 3.52部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.5部
[実施例59]
(黄色着色組成物30(DQP−30)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物30(DQP−30)を作製した。

黄色着色剤17(QP−17) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 0.98部
りん酸基を有する樹脂(C) 1.76部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.3部
[実施例60]
(黄色着色組成物31(DQP−31)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物31(DQP−31)を作製した。

黄色着色剤17(QP−17) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 0.98部
硫酸基を有する樹脂(D) 1.76部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.3部
[実施例61]
(黄色着色組成物32(DQP−32)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物32(DQP−32)を作製した。

黄色着色剤17(QP−17) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(g) 4.89部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.1部
[実施例62]
(黄色着色組成物33(DQP−33)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物33(DQP−33)を作製した。

黄色着色剤17(QP−17) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(h) 4.89部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.1部
[実施例63]
(黄色着色組成物34(DQP−34)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物34(DQP−34)を作製した。

黄色着色剤17(QP−17) 11.0部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(i) 4.89部
アクリル樹脂溶液1 34.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.1部
[比較例21]
(黄色着色組成物35(DQP−35)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−18)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物15(DQP−35)を作製した。
[比較例22]
(黄色着色組成物36(DQP−36)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物36(DQP−36)を作製した。

黄色着色剤18(QP−18) 9.5部
ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(a) 0.5部
アクリル樹脂溶液1 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
[比較例23]
(黄色着色組成物37(DQP−37)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−19)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物37(DQP−37)を作製した。
[比較例24]
(黄色着色組成物38(DQP−38)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−20)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物38(DQP−38)を作製した。
[比較例25]
(黄色着色組成物39(DQP−39)の作製)
黄色着色剤15(QP−15)を黄色着色剤(QP−21)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物39(DQP−39)を作製した。
[比較例26]
(黄色着色組成物40(DQP−40)の作製)
黄色着色剤1(QP−18)を黄色着色剤(QP−21)に変更した以外は、黄色着色組成物36(DQP−36)と同様にして、黄色着色組成物40(DQP−40)を作製した。
[比較例27]
(黄色着色組成物41(DQP−41)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−22)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物41(DQP−41)を作製した。
[比較例28]
(黄色着色組成物42(DQP−42)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−23)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物42(DQP−42)を作製した。
[実施例64]
(黄色着色組成物43(DQP−43)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−24)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物43(DQP−43)を作製した。
[実施例65]
(黄色着色組成物44(DQP−44)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−25)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物44(DQP−44)を作製した。
[実施例66]
(黄色着色組成物16(DQP−45)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−26)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物45(DQP−45)を作製した。
[実施例67]
(黄色着色組成物46(DQP−46)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−27)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物46(DQP−46)を作製した。
[実施例68]
(黄色着色組成物47(DQP−47)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−28)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物47(DQP−47)を作製した。
[比較例29]
(黄色着色組成物48(DQP−48)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−29)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物48(DQP−48)を作製した。
[比較例30]
(黄色着色組成物49(DQP−49)の作製)
黄色着色剤36(QP−18)を黄色着色剤(QP−29)に変更した以外は、黄色着色組成物36(DQP−36)と同様にして、黄色着色組成物49(DQP−49)を作製した。
[比較例31]
(黄色着色組成物50(DQP−50)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−30)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物50(DQP−50)を作製した。
[比較例32]
(黄色着色組成物51(DQP−51)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−31)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物51(DQP−51)を作製した。
[比較例33]
(黄色着色組成物52(DQP−52)の作製)
黄色着色剤18(QP−18)を黄色着色剤(QP−31)に変更した以外は、黄色着色組成物36(DQP−36)と同様にして、黄色着色組成物52(DQP−52)を作製した。
[比較例34]
(黄色着色組成物53(DQP−53)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−32)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物53(DQP−53)を作製した。
[実施例69]
(黄色着色組成物54(DQP−54)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−33)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物54(DQP−54)を作製した。
[実施例70]
(黄色着色組成物55(DQP−55)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−34)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物55(DQP−55)を作製した。
[実施例71]
(黄色着色組成物56(DQP−56)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−35)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物56(DQP−56)を作製した。
[比較例35]
(黄色着色組成物57(DQP−57)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−36)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物57(DQP−57)を作製した。
[比較例36]
(黄色着色組成物58(DQP−58)の作製)
黄色着色剤18(QP−18)を黄色着色剤(QP−36)に変更した以外は、黄色着色組成物36(DQP−36)と同様にして、黄色着色組成物27(DQP−58)を作製した。
[比較例37]
(黄色着色組成物59(DQP−59)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−37)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物59(DQP−59)を作製した。
[比較例38]
(黄色着色組成物60(DQP−60)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−38)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物60(DQP−60)を作製した。
[比較例39]
(黄色着色組成物61(DQP−61)の作製)
黄色着色剤18(QP−18)を黄色着色剤(QP−38)に変更した以外は、黄色着色組成物36(DQP−36)と同様にして、黄色着色組成物61(DQP−61)を作製した。
[比較例40]
(黄色着色組成物62(DQP−62)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を黄色着色剤(QP−39)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、黄色着色組成物62(DQP−62)を作製した。
[実施例72]
(赤色着色組成物1(DR254−1)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤1(R254−1)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物1(DR254−1)を作製した。
[実施例73]
(赤色着色組成物2(DR254−2)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤2(R254−2)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物1(DR254−2)を作製した。
[比較例41]
(赤色着色組成物3(DR254−3)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤3(R254−3)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物3(DR254−3)を作製した。
[比較例42]
(赤色着色組成物4(DR254−4)の作製)
黄色着色剤18(QP−18)を赤色着色剤3(R254−3)に変更した以外は、黄色着色組成物36(DQP−36)と同様にして、赤色着色組成物4(DR254−4)を作製した。
[比較例43]
(赤色着色組成物5(DR254−5)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤4(R254−4)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物5(DR254−5)を作製した。
[実施例74]
(赤色着色組成物6(DR269−1)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤5(R269−1)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物6(DR269−1)を作製した。
[比較例44]
(赤色着色組成物7(DR269−2)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤6(R269−2)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物7(DR269−2)を作製した。
[比較例45]
(赤色着色組成物8(DR269−3)の作製)
黄色着色剤18(QP−18)を赤色着色剤6(DR269−2)に変更した以外は、黄色着色組成物36(DQP−36)と同様にして、赤色着色組成物8(DR269−3)を作製した。
[比較例46]
(赤色着色組成物9(DR269−4)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤7(R269−3)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物9(DR269−3)を作製した。
[実施例75]
(赤色着色組成物10(DR177−1)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤8(R177−1)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物10(DR177−1)を作製した。
[比較例47]
(赤色着色組成物11(DR177−2)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤9(R177−2)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物11(DR177−2)を作製した。
[比較例48]
(赤色着色組成物12(DR177−3)の作製)
黄色着色剤18(QP−18)を赤色着色剤9(DR177−2)に変更した以外は、黄色着色組成物36(DQP−36)と同様にして、赤色着色組成物12(DR177−3)を作製した。
[比較例49]
(赤色着色組成物13(DR177−4)の作製)
黄色着色剤1(QP−1)を赤色着色剤10(R177−3)に変更した以外は、黄色着色組成物1(DQP−1)と同様にして、赤色着色組成物13(DR177−4)を作製した。
<着色組成物の評価>
着色組成物の評価は、着色組成物を用いた塗膜を作製し、その明度、コントラスト比、および耐熱性を測定することで評価を行なった。以下に、評価方法を示す。
(粘度)
着色組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。
(保存安定性)
得られた着色組成物について、40℃の恒温機に1週間保存して経時促進させた後、経時後の着色組成物の粘度を前記粘度測定と同じ方法で測定し、40℃で1週間保存した前後の粘度の変化率を計算し、以下の基準により2段階で評価した。

◎:粘度変化率が±3%以内で、沈降物を生じなかった(最も良好)
○:粘度変化率が±10%以内で、沈降物を生じなかった(良好)
×:粘度変化率が±10%を超える場合、又は粘度変化率が±10%以内であっても沈降物を生じていた(不良)
(明度評価)
着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、着色膜の膜厚が異なる4種類の基板を塗布し、70℃で10分乾燥後、220℃で30分加熱することで塗膜を得た。得られた塗膜を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて明度(Y)、色度を測定し、4点のデータからC光源において黄色着色組成物はx=0.440、赤色着色組成物はx=0.640における明度(Y)を一次相関法で求めた。この際、
黄色着色組成物1〜42(DQP−1〜42)は比較例23の黄色着色組成物(DQP−37)を、
黄色着色組成物43〜53(DQP−43〜53)は比較例31の黄色着色組成物(DQP−50)を、
黄色着色組成物54〜62(DQP−54〜62)は比較例37の黄色着色組成物(DQP−59)を、
赤色着色組成物1〜5(DR254−1〜5)は比較例43の赤色着色組成物(DR254−5)を、
赤色着色組成物6〜9(DR269−1〜4)は比較例46の赤色着色組成物(DR269−4)を、
赤色着色組成物10〜13(DR177−1〜4)は比較例49の赤色着色組成物(DR177−4)をそれぞれ基準として、下記の4段階での相対値で評価した。
明度Y(C)に関しては、0.5%以上の差であれば、明らかに差があるといえる。

◎:+2%以上(極めて良好)
○:+2%未満〜+0.5%以上(良好)
△:+0.5%未満〜−0.5%以上(基準と同等)
×:−0.5%未満(基準より劣る)
(コントラスト比評価)
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の塗膜を通過し、もう一方の偏光板に到達する。この際、偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の塗膜を通過する際に、着色剤粒子によって散乱等が起こり、偏光面の一部にずれが生じると、偏光板が平行のときは透過する光量が減り、偏光板が直行のときは一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行の際の輝度と、直行の際の輝度との比を、コントラスト比として算出した。

(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)

従って、塗膜中の着色剤により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直行のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
なお、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF−G1220DUN」)を用いた。測定に際しては、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色マスクを介して測定した。明度評価をしたものと同じ塗膜を用いて、4種の膜厚の異なる塗布基板の色度とコントラスト比の関係から、黄色着色組成物は色相x=0.440のとき、赤色着色組成物は色相x=0.640のときにおけるコントラスト比を一次相関法で求めた。
黄色着色組成物1〜42(DQP−1〜42)は比較例23の黄色着色組成物(DQP−37)を、
黄色着色組成物43〜53(DQP−43〜53)は比較例31の黄色着色組成物(DQP−50)を、
黄色着色組成物54〜62(DQP−54〜62)は比較例37の黄色着色組成物(DQP−59)を、
赤色着色組成物1〜5(DR254−1〜5)は比較例43の赤色着色組成物(DR254−5)を、
赤色着色組成物6〜9(DR269−1〜4)は比較例46の赤色着色組成物(DR269−4)を、
赤色着色組成物10〜13(DR177−1〜4)は比較例49の赤色着色組成物(DR177−4)をそれぞれ基準として、下記の4段階での相対値で評価した。

◎:+10%以上(極めて良好)
○:+10%未満〜+5%以上(良好)
△:+5%未満〜−10%以上(基準と同等)
×:−10%未満〜−30%以上(基準より劣る)
(耐熱性試験)
明度およびコントラスト比評価した基板を更に230℃で60分加熱処理し、熱処理後の明度およびコントラスト比を同様に測定し、熱処理前後の変化率を算出し、それぞれ下記の基準により2段階で評価した。

耐熱試験前後の明度
○:−0。5%未満(良好)
×:−0.5%以上(不良)

耐熱試験前後ののコントラスト比
○:−5%未満(良好)
×:−5%以上(不良)
実施例および比較例で作成した着色組成物について、着色組成物中で使用した着色剤の種類と併せて、評価結果を表3に示す。
表3より湿式粉砕時にピペリジル骨格を有するビニル系樹脂を添加した着色剤を用いて作製した着色組成物は、比較例に対して低い初期粘度と増粘率を示しており、湿式粉砕時に添加することで高い分散安定性、明度、コントラスト比を示した。それは、湿式粉砕時に添加することでより微細な粒子になったことで高いコントラスト比を示し、また、凝集が緩和され高い分散安定を示したと考えられる。
また、湿式粉砕時にピペリジル骨格を有するビニル系樹脂とともに、芳香族カルボキシル基を有するビニル樹脂を併用することでより良好な保存安定性を示した。
また、分散時にアクリル樹脂とともに樹脂型分散剤を併用することで、より良好な保存安定性を示した。湿式分散時に加え、分散時にも分散剤を加えることで、さらに凝集が緩和されたためだと考えられる。
また、ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂(g)を添加した着色剤は、その他のピペリジル骨格を有するビニル系樹脂に比べより良好な保存安定性を示した。
また表3より湿式粉砕時にピペリジル骨格を有するビニル系樹脂を湿式粉砕時に添加した着色剤を用いて作製した着色組成物は、比較例に対して高い明度、コントラスト比を示しており、さらに耐熱試験後でも高い明度、コントラスト比を維持していることが分かる。
<緑色着色組成物の作製>
(緑色着色組成物1(DG−1)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し緑色着色組成物1(DG−1)を作製した。

緑色顔料(C.I.ピグメントグリーン58) 10.0部
樹脂型分散剤(チバ・ジャパン社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液1 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
(緑色着色組成物(DG−2)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し緑色着色組成物2(GP−2)を作製した。

緑色顔料(C.I.ピグメントグリーン36) 10.0部
樹脂型分散剤(チバ・ジャパン社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液1 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
<緑色感光性着色組成物の作製>
[実施例76]
(緑色感光性着色組成物1(RG−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物1(RG−1)を作製した。

黄色着色組成物1(DQP−1) 22.5部
緑色着色組成物1(DG−1) 22.5部
アクリル樹脂溶液2 4.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」) 3.6部
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」) 1.3部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.2部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.4部
[実施例77〜120、比較例50〜78]
(緑色感光性着色組成物2〜74(RG−2〜74)の作製)
表4に示した黄色着色組成物と緑色着色組成物を使用し、かつ、塗膜評価の際にC光源でx=0.290、y=0.600の色度に合うように黄色着色組成物と緑色着色組成物の比率を変更(着色組成物の全量が45部となるように比率を変更)する以外は、緑色感光性着色組成物1(RG−1)と同様に、感光性着色組成物2〜74(RG−2〜74)を作製した。
<赤色感光性着色組成物の作製>
(赤色感光性着色組成物の作製方法)
[実施例121]
(感光性着色組成物1(RR−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物1(RR−1)を作製した。

赤色着色組成物(DR254−1) 28.6部
赤色着色組成物(DR269−1) 16.4部
アクリル樹脂溶液2 8.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」) 2.8部
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアーOXE02」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 43.6部
[実施例122〜123、比較例79〜84]
(赤色感光性着色組成物2〜9(RR−2〜9))
表4に示した赤色着色組成物の組み合わせで、かつ、塗膜評価の際にC光源でx=0.640、y=0.330の色度に合うようにそれぞれの赤色着色組成物の比率を変更(着色組成物の全量が45部となるように比率を変更)する以外は、赤色感光性着色組成物1(RR−1)と同様に、感光性着色組成物2〜9(RR−2〜9)を作製した。
<感光性着色組成物の塗膜評価>
得られた緑色感光性着色組成物1〜74(RG−1〜74)、および赤色感光性着色組成物1〜9(RR−1〜9)を用いて作製した塗膜の、明度、コントラスト比、耐熱性試験の評価を下記方法で行った。
(明度評価)
感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、4種類の着色膜の膜厚が異なる塗布基板を得た。次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、300mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム1.5重量%、炭酸水素ナトリウム0.5重量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)8.0重量%、および水90重量%からなるものを用いた。さらに、220℃で30分加熱することで塗膜を得た。得られた塗膜を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて明度(Y)、色度を測定し、4点のデータからC光源において緑色感光性着色組成物はy=0.600、赤色感光性着色組成物はx=0.640における明度(Y)を一次相関法で求めた。この際、
緑色感光性着色組成物1〜46(RG−1〜46)は比較例52の緑色感光性着色組成物(RG−38)を、
緑色感光性着色組成物47〜61(RG−47〜61)は比較例63の緑色感光性着色組成物(RG−55)を、
緑色感光性着色組成物62〜74(RG−62〜74)は比較例72の緑色感光性着色組成物(RG−68)を、
赤色感光性着色組成物1〜5(RR−1〜5)は比較例81の赤色感光性着色組成物(RR−5)を、
赤色感光性着色組成物6〜9(RR−6〜9)は比較例84の赤色感光性着色組成物(RR−9)を、それぞれ基準として、下記の4段階での相対値で評価した。
明度Y(C)に関しては、0.5%以上の差であれば、明らかに差があるといえる。

◎:+2%以上(極めて良好)
○:+2%未満〜+0.5%以上(良好)
△:+0.5%未満〜−0.5%以上(基準と同等)
×:−0.5%未満(基準より劣る)
(コントラスト比評価)
塗膜のコントラスト比の測定法については、前記着色組成物のコントラスト比測定と同様の方法で測定した。明度評価をしたものと同じ塗膜を用いて、4種の膜厚の異なる塗布基板の色度とコントラスト比の関係から、C光源において緑色感光性着色組成物は色度y=0.600、赤色感光性着色組成物は色度x=0.640のときにおけるコントラスト比を一次相関法で求めた。この際、
緑色感光性着色組成物1〜46(RG−1〜46)は比較例52の緑色感光性着色組成物(RG−38)を、
緑色感光性着色組成物47〜61(RG−47〜61)は比較例63の緑色感光性着色組成物(RG−55)を、
緑色感光性着色組成物62〜74(RG−62〜74)は比較例72の緑色感光性着色組成物(RG−68)を、
赤色感光性着色組成物1〜5(RR−1〜5)は比較例81の赤色感光性着色組成物(RR−5)を、
赤色感光性着色組成物6〜9(RR−6〜9)は比較例84の赤色感光性着色組成物(RR−9)を、それぞれ基準として、下記の4段階での相対値で評価した。

◎:+10%以上(極めて良好)
○:+10%未満〜+5%以上(良好)
△:+5%未満〜−10%以上(基準と同等)
×:−10%未満〜−30%以上(基準より劣る)
(耐熱性試験)
前記、着色組成物の評価と同様に評価を行い、同様の評価基準で評価した。実施例および比較例で作成した感光性着色組成物の評価結果を表4に示す。
表4の結果より、カラーフィルタ形成において、本発明の湿式粉砕中にピペリジル骨格を有するビニル系樹脂を使用した着色剤および着色組成物を使用した実施例は、比較例よりも、高い明度とコントラスト比を有しており、さらに高い熱安定をもっていることがわかる。
<カラーフィルタの作製>
カラーフィルタの作製に使用する青色感光性着色組成物の作製を行った。尚、緑色および赤色については本発明の緑色感光性着色組成物1(RG−1)および赤色感光性着色組成物(RR−1)を使用した。
(青色着色組成物1(DB−1)の調製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミルで8時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物1(DB−1)を作製した。

青色顔料(C.I.ピグメントブルー15:6) 7.2部
紫色顔料(C.I.ピグメントバイオレット23) 4.8部
樹脂型分散剤(チバ・ジャパン社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液1 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
(青色感光性着色組成物1(RB−1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物1(RB−1)を作製した。

青色着色組成物1(DB−1) 34.0部
アクリル樹脂溶液2 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで本発明の赤色感光性着色組成物1(RR−1)をx=0.640、y=0.330になるような膜厚に塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を220℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、本発明の緑色の感光性着色組成物1(RG−1)をx=0.290、y=0.600になるような膜厚に、青色感光性着色組成物1(RB―1)を用いてx=0.150、y=0.060になるような膜厚にそれぞれ塗布し、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
本発明の緑色感光性着色組成物1(RG−1)および赤色感光性着色組成物1(RR−1)を用いることにより、明度、コントラスト比に優れたカラーフィルタを作製することが可能となった。

Claims (7)

  1. 顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤と、樹脂とを機械的に混練して混練組成物を得た後、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤とを除去する工程を含む顔料組成物の製造方法であって、樹脂が、ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂であり、更に芳香族カルボキシル基を有する樹脂を混練中に添加することを特徴とする顔料組成物の製造方法。
  2. ピペリジル骨格を有するビニル系樹脂のアミン価が、10〜350mgKOH/gである請求項1記載の顔料組成物の製造方法。
  3. 顔料が、ジケトピロロピロール系有機顔料、ナフトール系有機顔料、アントラキノン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、およびキノフタロン系有機顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種の顔料である請求項1または2記載の顔料組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか記載の製造方法によって得られてなる顔料組成物。
  5. 少なくとも着色剤、バインダー樹脂、および有機溶剤からなるカラーフィルタ用着色組成物であって、着色剤が、請求項記載の顔料組成物であるカラーフィルタ用着色組成物。
  6. さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有してなる請求項記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  7. 基材上に、請求項5または6記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
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