JP2017056505A - ブレード固定構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレードの撓みを防止することができ、ブレードの位置調整が容易であって作業性に優れたブレード固定構造を提供する。
【解決手段】基準面13および対向面14を有するブレード取付孔11に挿入されたブレード20を前記基準面に押し当てて締付固定するブレード固定構造において、前記ブレードを押圧する押付部材30と、締付駒40と、第1付勢部材50と、締付ボルト60および前記押付部材に取付けられたロッド部材70と、第2付勢部材80と、を備え、前記締付ボルトによる締付けの第1段階では、前記締付駒と前記ロッド部材とのそれぞれが、前記第1付勢部材と前記第2付勢部材とのそれぞれによって付勢され、前記押付部材を前記基準面側へ押圧し、さらに前記締付ボルトを締付けた第2段階では、前記締付駒が、前記締付ボルトによって押圧され、前記押付部材を前記基準面側へ押圧する。
【選択図】図3

Description

本発明は、工具本体にブレードを固定するためのブレード固定構造に関する。
従来、ブレード取付孔が形成された工具本体に、ブレードを固定するブレード固定構造として、ブレードに対して面で接触する押付部材と、該押付部材を押圧する締付ボルトとを備えた構造が知られている。
例えば、特許文献1には、ブレード取付孔の延在方向(ブレードの挿入方向)と交差する方向から締付ボルトを用いて押付部材を押圧し、該押付部材によってブレードをブレード取付孔の基準面に押し当ててブレードを締付固定する構造が記載されている。
また、特許文献2には、ブレード取付孔に楔構造を有する押付部材および締付駒を設け、ブレードの挿入方向に沿って締付ボルトを締付けるブレード固定構造が記載されている。
特許第3415852号公報 特開2010−179455号公報
特許文献1に記載されたブレード固定構造では、切削工具の使用時に、切削荷重の作用によって、ブレードの軸心が締付ボルトによる固定点を中心にずれてしまい、ブレード取付孔の内部でブレードに撓みが生じてしまうという問題があった。
一方、特許文献2に記載されたブレード固定構造では、押付部材と締付駒との楔作用によって、使用時におけるブレードの撓みを防止することができる。しかし、このブレード固定構造では、締付ボルトを締付ける方向とブレードの挿入方向とが平行になり、ブレードをブレード取付孔の基準面に押し当てる方向に向かって締付ボルトを締付けるものではないため、作業性が低下する。
また、特許文献1および2に記載されたブレード固定構造では、ブレードを基準面に弱い力で押し当てた状態で、ブレードの位置調整(工具本体から突出するブレードの高さの調整)を行うことが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ブレードの撓みを防止することができ、ブレードの位置調整が容易であって作業性に優れたブレード固定構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るブレード固定構造は、基準面および該基準面に対向する対向面を有するブレード取付孔が形成された工具本体に対し、前記ブレード取付孔に挿入されたブレードを前記基準面に押し当てて締付固定するブレード固定構造において、前記ブレード取付孔に収容され、前記対向面側に前記ブレード取付孔の開口に向かうに従って前記対向面側へ接近する少なくとも一つの傾斜面を有し、面接触状態でブレードを押圧する押付部材と、前記傾斜面と当接する対向傾斜面を有し、前記押付部材と前記対向面との間に配置される締付駒と、該締付駒を前記ブレード取付孔の前記開口に向かって付勢する第1付勢部材と、前記工具本体の外周面から前記対向面まで貫通する螺子孔に挿入された締付ボルトと、基端部が前記締付ボルトの内部に収容され、先端部が前記押付部材に取付けられたロッド部材と、前記締付ボルトの内部に収容され、前記ロッド部材を付勢する第2付勢部材と、を備え、前記締付ボルトによる締付けの第1段階では、前記締付駒と前記ロッド部材とのそれぞれが、前記第1付勢部材と前記第2付勢部材とのそれぞれによって付勢され、前記押付部材を前記基準面側へ押圧し、さらに前記締付ボルトを締付けた第2段階では、前記締付駒が、前記締付ボルトによって押圧され、前記押付部材を前記基準面側へ押圧することを特徴とする。
これによると、締付ボルトは、工具本体の外周面から対向面まで貫通する螺子孔に挿入されており、締付ボルトをブレード取付孔の基準面に向かって締付けてブレードを締付固定することができるので、作業性に優れている。また、締付けの第1段階では、押付部材を押圧する締付駒とロッド部材とが、第1付勢部材と第2付勢部材との付勢力によって比較的弱い力で押圧された状態にあるため、この付勢力に抗してブレードの位置調整を容易に行うことができる。また、締付けの第2段階では、締付駒が締付ボルトによって押圧されているので、押付部材を押圧する力が強く、ブレードを強固に締付固定することができる。これにより、使用時におけるブレードの撓みを防止することができる。
また、請求項2に記載のブレード固定構造は、上記の発明において、前記押付部材の前記傾斜面は、前記ロッド部材の取付け位置から前記ブレード取付孔の一方の開口側に向かって傾斜する第1傾斜面と、前記ロッド部材の取付け位置から前記ブレード取付孔の他方の開口側に向かって傾斜する第2傾斜面と、を有し、前記締付駒は、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とに対応するように前記ロッド部材を挟んで前記ブレード取付孔の両端部に対をなして配置されることを特徴とする。
これによると、ブレード取付孔の両端部に配置された一対の締付駒によって押付部材をバランスよく基準面側へ押圧することができるので、ブレードをより安定的に基準面に押し当てて締付固定することができ、ブレードの撓みを防止する効果が向上する。
また、請求項3に記載のブレード固定構造は、上記の発明において、前記締付ボルトは、先細のテーパ状の先端部を有し、前記締付駒は、前記締付ボルトの前記先端部の傾斜面と対向するボルト当接傾斜面を有することを特徴とする。
これによると、締付駒のボルト当接傾斜面を締付ボルトの先端部の傾斜面に沿ってスムーズに摺動させることができ、締付けの第2段階における作業性が向上する。
また、請求項4に記載のブレード固定構造は、上記の発明において、前記締付ボルトは、外周面に螺子溝が形成された本体部と、該本体部に取付けられた先細のテーパ状の先端部と、を備えることを特徴とする。
これによると、締付ボルトの先端部を本体部とは別部品とすることで、該先端部を締付駒の寸法差を吸収できる大きさや形状に容易に変更することができる。
また、請求項5に記載のブレード固定構造は、上記の発明において、前記第1付勢部材は、コイルスプリングであることを特徴とする。
これによると、第1付勢部材のバネ圧の調整が容易である。
また、請求項6に記載のブレード固定構造は、上記の発明において、前記工具本体は、円盤状であって、前記ブレード取付孔は、前記工具本体の軸方向へ延びており、前記工具本体に複数形成されることを特徴とする。
これによると、締付けの第1段階においてブレードの位置調整を容易に行うことができるので、複数のブレードの高さを容易に合わせることができる。
本発明に係るブレード固定構造によれば、ブレードの撓みを防止することができ、ブレードの位置調整が容易であって作業性が優れている。
本発明の第1実施形態に係るブレード固定構造を有する工具ヘッドの斜視図。 図1に示す工具ヘッドの要部を拡大した平面図。 図2のIII−III線に沿った断面図。 図3に示す固定機構の分解斜視図。 図3と同様の断面図であって、ブレードの仮締め状態を示す図。 図3と同様の断面図であって、図5に示す状態から、さらに締付ボルトを締付けた状態を示す図。 図3と同様の断面図であって、ブレードの固定状態を示す図。 本発明の第2実施形態に係るブレード固定構造における固定機構の分解斜視図。 図8に示す固定機構によるブレードの固定状態を示す図7と同様の図。
図1は、本発明の第1実施形態に係るブレード固定構造を有する工具ヘッド1の斜視図である。工具ヘッド1は、例えば、傘歯車等の製造に用いられる切削工具の一部であり、ブレード取付孔11が形成された工具本体10と、ブレード取付孔11に挿入され固定されるブレード20と、工具本体10に設けられ、ブレード取付孔11にブレード20を固定するための固定機構18と、を備える。
工具本体10は、円盤状であり、軸方向(厚さ方向)へ貫通するブレード取付孔11が、周方向に沿って複数形成されている。図2に示すように、平面視においてブレード取付孔11は、断面が略四角形状であって、ブレード20が押し当てられる基準面13と、基準面13と対向する対向面14とを有する。基準面13は、ブレード取付孔11の一角を形成する2つの面、すなわち、第1基準面13aおよび第2基準面13bからなり、対向面14は、第1基準面13aと対向している。本実施形態においてブレード取付孔11は、工具本体10の径方向内側に向かって孔幅が狭くなる略台形状の断面を有している。
また、工具本体10には、外周面15からブレード取付孔11の対向面14まで貫通する直線状の螺子孔16が、各ブレード取付孔11に対応して複数形成されている。
図2および図3に示すように、ブレード20は、ブレード取付孔11に挿入される基部21と、切歯が形成された先端部22とを有する。基部21は、略四角柱状に形成されており、その一角23を形成し、第1基準面13aおよび第2基準面13bに面接触する第1側面21aおよび第2側面21bと、一角23の対角を形成し、後述する押付部材30の第1押圧面32aおよび第2押圧面32bに面接触する第3側面21cおよび第4側面21dと、を有する。
固定機構18は、各ブレード取付孔11に対して設けられており、工具本体10の内部に収容されている。図2〜図4に示すように、固定機構18は、押付部材30と、一対の締付駒40と、第1付勢部材50と、締付ボルト60と、ロッド部材70と、第2付勢部材80と、を備える。なお、図3、図5〜図7では、固定機構18の構成する部材の一部を非断面状態で記載している。
押付部材30は、ブレード取付孔11に収容されており、面接触状態でブレード20を押圧する。押付部材30は、ブレード取付孔11の延在方向に沿って長く形成された柱状の部材であり、長手方向の中央部に、ロッド部材70の先端を取付けるための取付孔31が形成されている。押付部材30は、押圧面32と、押圧面32と対向する駒当接面33とを有する。
押圧面32は、ブレード20と接触してブレード20を押圧する面であり、ブレード20の第3側面21cおよび第4側面21dと対向する第1押圧面32aおよび第2押圧面32bを有する。第1押圧面32aは第2押圧面32bに比して幅広であって、取付孔31が形成されている。
駒当接面33は、第1押圧面32aと対向しており、長手方向の中央部から両端に向かって第1押圧面32aから離れるように傾斜する一対の傾斜面(第1傾斜面33aおよび第2傾斜面33b)を有している。
締付駒40は、押付部材30とともに楔構造を構成して、締付ボルト60の締付けに伴なって押付部材30を押圧するものであり、ブレード取付孔11において、押付部材30と、ブレード取付孔11の対向面14との間に配置される。締付駒40は、第1面41と、第1面41と対向する第2面42と、第2面42と連なって第1面41へ接近するように傾斜する対向傾斜面45と、対向傾斜面45と対向し、第1面41と連なって第2面42へ接近するように傾斜するボルト当接傾斜面46と、第1面41から対向傾斜面45まで延びる第3面43と、第2面42からボルト当接傾斜面46まで延びる第4面44と、によって囲まれた略六角柱状の部材である。
一対の締付駒40は、ブレード取付孔11において各締付駒40の第4面44が対向するように配置される。対向傾斜面45は、押付部材30の傾斜面33a,33bと対向して面接触する部位である。ボルト当接傾斜面46は、後述する締付ボルト60の先端部61が当接する部位である。第4面44には、第1付勢部材50を取り付けるための凹溝47が形成されている。
第1付勢部材50は、各締付駒40をブレード取付孔11の開口側へ向かって付勢するものであり、ブレード取付孔11において一対の締付駒40の間に配置される。本実施形態において第1付勢部材50は、断面が略コの字状(略U字状)の板バネであり、コの字状の底部には、ロッド部材70が挿通される円形の挿通孔51が形成されている。底部から延在して互いに対向する延出部52,53は、互いに接近・離間可能なバネを構成している。第1付勢部材50をこのような板バネとすることで、少ない部品点数で2つの締付駒40を均一に付勢することができる。
締付ボルト60は、ロッド部材70を介して押付部材30をブレード20の押圧方向へ押圧するものであり、工具本体10の螺子孔16に挿入される。締付ボルト60は、先端に開口を有する中空の略円筒状の部材であって、先端部61が先細のテーパ状に形成されている。筒状の本体部62の外周面には、螺子溝が形成されている。先端部61の中空の内径は、本体部62の内径よりも小さい。本実施形態において、締付ボルト60の先端部61と本体部62とは一体形成されているが、それぞれを別部品とし、先端部61を本体部62に取付ける構造としてもよい。
締付ボルト60は、その内部に、ロッド部材70の一部、第2付勢部材80および後述するストッパ85が収容された状態で、その後端が閉塞されており、この閉塞端63には、締付ボルト60を締付けるための工具が嵌合可能な嵌合部が形成されている。本実施形態では、締付ボルト60の閉塞端(後端)63に、締付工具となる六角レンチが嵌合可能な六角穴が形成されている。
ロッド部材70は、締付ボルト60による締付力を押付部材30に伝達する部材である。ロッド部材70は、先端部71と、基端部72と、先端部71と基端部72との間に位置する中間部とを有し、基端部72は、先端部71および中間部に比して外径が大きい。
具体的には、基端部72の外径は、締付ボルト60の本体部62の内周面を摺動可能な大きさであって、締付ボルト60の先端部61の内径よりも大きい。ロッド部材70の先端部61および中間部の外径は、締付ボルト60の先端部61の内周面を摺動可能な大きさに形成される。
ロッド部材70は、基端部72が締付ボルト60の本体部62の内部に収容されるように、締付ボルト60の先端開口に挿通され、その先端部71は、第1付勢部材50の挿通孔51に挿通されて、押付部材30に取付けられる。本実施形態では、先端部71の外周面に螺子溝が形成されており、該先端部71が押付部材30の取付孔31に嵌入されたナット部材35に螺合されることによって、先端部71が押付部材30に取付けられている。
第2付勢部材80は、ロッド部材70に付勢力を与えるものであって、締付ボルト60の内部に収容されており、本実施形態ではコイルスプリングを用いている。第2付勢部材80の基端82は、締付ボルト60の本体部62の内部に収容固定されたストッパ85によって移動が規制されており、先端81は、ロッド部材70の基端部72に当接され、ロッド部材70を付勢している。本実施形態において、ストッパ85は、ロッド部材70の内部に固定された止め螺子である。
次に、上述した固定機構18の工具本体10における設置態様を説明する。
図2および図3に示すように、押付部材30は、第1押圧面32aおよび第2押圧面32bのそれぞれが、ブレード取付孔11の第1基準面13aおよび第2基準面13bのそれぞれと対向するように、ブレード取付孔11に挿入される。一対の締付駒40は、第1面41がブレード取付孔11の対向面14と当接するように、押付部材30と対向面14との間に配置される。各締付駒40は、第4面44が互いに対向するように、ブレード取付孔11の延在方向における両端部に配置されており、一方の締付駒40は、対向傾斜面45が押付部材30の第1傾斜面33aと当接し、他方の締付駒40は、対向傾斜面45が押付部材30の第2傾斜面33bと当接している。
締付ボルト60は、先端部61がブレード取付孔11の対向面14側に位置して、後端が工具本体10の外周面15側に位置するように、螺子孔16に螺合されており、螺子孔16の延在方向(すなわち、基準面13に対してブレード20を押し当てる方向)に進退移動可能に構成されている。
既述のとおり、締付ボルト60の先端から突出するロッド部材70の先端部71は、第1付勢部材50の挿通孔51に挿通されて押付部材30に取付けられている。これにより、第1付勢部材50および押付部材30は、ブレード取付孔11の内部に収容された状態が維持される。
第1付勢部材50は、バネを構成する延出部52,53のうち、一方の延出部52が、一方の締付駒40の凹溝47と係合し、他方の延出部53が他方の締付駒40の凹溝47に係合するように配置される。これにより、各締付駒40は、第1付勢部材50によって互いに離間する方向へ付勢される。押付部材30の第1傾斜面33aと第2傾斜面33bとは、ブレード取付孔11の開口に向かうに従って対向面14へ接近するように傾斜している。この第1傾斜面33aと第2傾斜面33bとにより、各締付駒40が互いに離間する方向への移動が規制され、各締付駒40は、ブレード取付孔11の内部に収容された状態が維持される。
上述したように、固定機構18は、ブレード20の未挿入状態において、各構成部材が工具本体10の内部に収容された状態が維持される。そのため、ブレード20を取り付ける際に、ブレード取付孔11から構成部材が落下するのを防止する部材、例えば、締付駒40の落下を防止する落下防止部材を用いる必要がなく、作業性に優れている。
次に、図2、図3および図5〜図7を用いて、上述したブレード固定構造によってブレード20を締付固定する工程を説明する。なお、図5〜図7に示す矢印は、固定機構18を構成する各部材の移動方向または押圧力の作用方向を説明するために付したものである。
図2および図3に示すように、ブレード取付孔11の第1基準面13aおよび第2基準面13bにブレード20の第1側面21aおよび第2側面21bが当接するように、ブレード取付孔11にブレード20の基部21を挿入する(締付けの初期状態)。
図5に示すように、締付工具(図示せず)を用いて、締付ボルト60を締付け方向(螺子孔16の延在方向であって、ブレード20を押圧する方向。以下、押圧方向という。)へ移動させると、該移動にともなって、ストッパ85および該ストッパ85に基端82が取り付けられた第2付勢部材80が押圧方向へ移動する。すると、第2付勢部材80によってロッド部材70が付勢されて押付部材30を押圧し、押付部材30は押圧方向へ移動して、押付部材30の押圧面32(第1押圧面32aおよび第2押圧面32b)がブレード20の第3側面21cおよび第2側面21dと面接触する。
この押付部材30の移動によって、対向面14と、押付部材30の第1傾斜面33aおよび第2傾斜面33bとの距離が大きくなると、一対の締付駒40は、第1付勢部材50の付勢力によって互いに離間するように、ブレード取付孔11の開口側へ移動する。その結果、押付部材30は、長手方向の中央部がロッド部材70によって押圧されるとともに、両端部が一対の締付駒40によって押圧された状態となる。このとき、ロッド部材70および各締付駒40のそれぞれは、第2付勢部材80および第1付勢部材50のそれぞれの付勢力によって、押付部材30を押圧している(締付ボルト60による締付けの第1段階)。
さらに締付ボルト60を締付けて押圧方向へ移動させると、図6に示すように、基準面13に当接されたブレード20によって、押付部材30およびロッド部材70の押圧方向への移動が抑止される。このとき、ロッド部材70および押付部材30は、第2付勢部材80のバネ圧によって押圧された状態となる。
また、図7に示すように、締付ボルト60の先端部61は、各締付駒40のボルト当接傾斜面46と当接し、各締付駒40を互いに離間する方向へ押し広げる。すると、押付部材30の両端部は、各締付駒40の楔作用によって押圧方向へ押圧される(締付ボルト60による締付けの第2段階)。
さらに締付ボルト60を締付けると、押付部材30および各締付駒40の楔作用によってブレード20は基準面13へ押し当てられ、ブレード20とブレード取付孔11の基準面13およびブレード20と押付部材30の押圧面32が密着した状態になり、ブレード20がブレード取付孔11に締付固定される。このとき、各締付駒40は、締付ボルト60と当接した状態であって、押付部材30の第1傾斜面33aおよび第2傾斜面33bによって、ブレード取付孔11の開口側への移動が抑止された状態にある。なお、押付部材30の長手方向の中央部は、バネ圧で付勢されたロッド部材70によって、押圧方向へ押圧された状態となる。
上述のとおり、本実施形態のブレード固定構造では、締付ボルト60をブレード取付孔11の基準面13に向かって締付けてブレード20を締付固定するものであるため、作業性に優れている。また、押付部材30はブレード20の第3側面21cおよび第4側面21dと面接触する第1押圧面32aおよび第2押圧面32bを有しており、ブレード取付孔11は対向面14から第1基準面13aに向かって孔幅が狭くなっているので、締付ボルト60を締付けた際に、押付部材30は、ブレード20の第1側面21aおよび第2側面21bに密着させることができる。
また、締付けの第1段階では、押付部材30を押圧するロッド部材70および各締付駒40が、第2付勢部材80および第1付勢部材50の付勢力によって押圧されている。この状態(以下、仮締め状態という。)では、ブレード20を基準面13へ押し当てる力が比較的弱く、作業者は、付勢力に抗してブレード20を動かすことができるため、ブレード20の位置調整を容易に行うことができる。かかるブレード固定構造は、特に、工具本体10に対し、複数のブレード20を取り付ける工具ヘッド1に好適であり、複数のブレード20を仮締め状態にして各々のブレード20の高さを調節することができ、作業性に優れている。
また、締付けの第2段階(仮締めの後のブレード20の本締め段階)では、締付ボルト60が一対の締付駒40と当接し、これを押し広げながら締付ボルト60を締付けるため、締付力が増大する。作業者は、この締付力の増加によって、仮締め状態から、本締め段階への移行を認識することができる。本実施形態では、締付ボルト60と各締付駒40との当接面が、それぞれ、締付ボルト60の進行方向から退行方向に向かって広がるテーパ状の傾斜面となっており、この傾斜面に沿って各締付駒40と締付ボルト60とをスムーズに摺動させることができる。そのため、本締め段階においても、締付ボルト60をスムーズに締付け方向へ移動させることができる。さらに、締付ボルト60の先端部61を本体部62とは別部品とすることで、先端部61を締付駒40の寸法差を吸収できる大きさや形状に容易に変更することができる。
ブレード20を締付固定した状態では、各締付駒40のボルト当接傾斜面46と締付ボルト60の先端部とが面接触しており、各締付駒40は締付ボルト60によって互いに離間するように押圧されているため、工具ヘッド1の使用時において、切削負荷によるブレード20の撓みを防止することができる。特に、押付部材30は、ブレード取付孔11の両端部に配置された一対の締付駒40によって基準面13側へ押圧されているので、締付駒40を1つだけ用いたものに比して、ブレード20を安定的に基準面13に押し当てて締付固定することができ、ブレード20の撓みを防止する効果が高い。
次に、締付固定されたブレード20を工具本体10から取り外す工程を説明する。
まず、図7に示すブレード20が締付固定された状態から、締付ボルト60を緩み方向(螺子孔16の延在方向であって、対向面14から外周面15へ向かう方向)へ移動させる。すると、図3において仮想矢印線で示すように、第2付勢部材80の収縮によってロッド部材70と押付部材30とが緩み方向へ引っ張られる。このとき、締付ボルト60の先端部61は、各締付駒40のボルト当接傾斜面46から離間するように退行移動する。
各締付駒40は、押付部材30によって緩み方向へ押圧されて、第1付勢部材50の付勢力に抗して、押付部材30の第1傾斜面33aおよび第2傾斜面33bに沿って互いに接近する方向へ移動する。その結果、押付部材30は緩み方向へ移動可能となり、上述した仮締め状態(図5参照)または初期状態(図3参照)において、作業者はブレード20を容易に引き抜くことができる。
図8は、本発明の第2実施形態に係るブレード固定構造における固定機構18の分解斜視図であり、図9は、第2実施形態の固定機構18によるブレードの固定状態を示す図7と同様の図である。第2実施形態において第1実施形態と同一の符号は同一の構成を示し、ここではその詳細を省略する。
本実施形態において、押付部材30は、長手方向の中央部に取付孔31を有するとともに、一方の端部から該取付孔31に向かって貫通する挿入孔37を有する。ロッド部材70は、先端部71に周面に周方向に沿って溝73が形成されており、該溝73は、押付部材30の取付孔31において、挿入孔37の延長上に位置している。挿入孔37には、先端がテーパ状に形成された止め螺子38が挿入され、止め螺子38の先端は、ロッド部材70の溝73に嵌め込まれており、ロッド部材70は、軸心回りに回転可能に押付部材30に取付けられている。
第1付勢部材50は、支持ロッド55と、支持ロッド55の両端に配置されたコイルスプリング56とを備える。具体的には、一対の締付駒40において、一方の締付駒40の凹溝47に、一方のコイルスプリング56aと支持ロッド75の一端とが挿入され、他方の締付駒40の凹溝47に、他方のコイルスプリング56bと支持ロッド75の他端とが挿入されている。また、第1付勢部材50は、対を成すようにロッド部材70を挟んでロッド部材70の径方向の両側に配置されている。1つの締付駒40には、2つの凹溝47が形成されており、その間には、ロッド部材70を挿通させるための凹部48が形成されている。なお、図9では、第1付勢部材50の位置を説明するために、一方の第1付勢部材50を非断面状態で記載している。
このように、コイルスプリング56を用いることで、締付駒40を付勢する第1付勢部材50のバネ圧の調整が容易になる。第1実施形態と第2実施形態とにおけるブレード固定構造では、締付ボルト60を締付ける際に、第1付勢部材50の付勢力によって一対の締付駒40を互いに離間させる一方、締付ボルト60を緩める際には、第1付勢部材50の付勢力に抗して押付部材30が一対の締付駒40と接近させるように、バネ圧を調整しているが、コイルスプリング56を用いることで、部材コストを抑えて、精度の高い調整を行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、押付部材30が駒当接面33において2つの傾斜面(第1傾斜面33aおよび第2傾斜面33b)を有しているが、ロッド部材70の取付け部位から、ブレード取付孔11の開口側へ向かって傾斜する傾斜面が1つであればよく、かかる場合には、該傾斜面に対向する締付駒40が1つあればよい。また、第1付勢部材50は、締付駒40が押付部材30に対して楔作用を奏するように、締付駒40を付勢するものであればよく、例えば、第2実施形態において、第1付勢部材50は、支持ロッド55の一方の端部にのみコイルスプリング56を配置したものでもよく、支持ロッド55を有しておらず、コイルスプリング56のみからなるものであってもよい。
1 工具ヘッド
10 工具本体
11 ブレード取付孔
13 基準面
13a 第1基準面
13b 第2基準面
14 対向面
15 外周面
16 螺子孔
18 固定機構
20 ブレード
30 押付部材
32 押付部材の押圧面
32a 第1押圧面
32b 第2押圧面
33a 第1傾斜面
33b 第2傾斜面
40 締付駒
45 対向傾斜面
46 ボルト当接傾斜面
50 第1付勢部材
60 締付ボルト
61 締付ボルトの先端部
70 ロッド部材
80 第2付勢部材

Claims (6)

  1. 基準面および該基準面に対向する対向面を有するブレード取付孔が形成された工具本体に対し、前記ブレード取付孔に挿入されたブレードを前記基準面に押し当てて締付固定するブレード固定構造において、
    前記ブレード取付孔に収容され、前記対向面側に前記ブレード取付孔の開口に向かうに従って前記対向面側へ接近する少なくとも一つの傾斜面を有し、面接触状態でブレードを押圧する押付部材と、
    前記傾斜面と当接する対向傾斜面を有し、前記押付部材と前記対向面との間に配置される締付駒と、
    該締付駒を前記ブレード取付孔の前記開口に向かって付勢する第1付勢部材と、
    前記工具本体の外周面から前記対向面まで貫通する螺子孔に挿入された締付ボルトと、
    基端部が前記締付ボルトの内部に収容され、先端部が前記押付部材に取付けられたロッド部材と、
    前記締付ボルトの内部に収容され、前記ロッド部材を付勢する第2付勢部材と、を備え、
    前記締付ボルトによる締付けの第1段階では、前記締付駒と前記ロッド部材とのそれぞれが、前記第1付勢部材と前記第2付勢部材とのそれぞれによって付勢され、前記押付部材を前記基準面側へ押圧し、さらに前記締付ボルトを締付けた第2段階では、前記締付駒が、前記締付ボルトによって押圧され、前記押付部材を前記基準面側へ押圧することを特徴とするブレード固定構造。
  2. 前記押付部材の前記傾斜面は、前記ロッド部材の取付け位置から前記ブレード取付孔の一方の開口側に向かって傾斜する第1傾斜面と、前記ロッド部材の取付け位置から前記ブレード取付孔の他方の開口側に向かって傾斜する第2傾斜面と、を有し、
    前記締付駒は、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とに対応するように前記ロッド部材を挟んで前記ブレード取付孔の両端部に対をなして配置されることを特徴とする請求項1に記載のブレード固定構造。
  3. 前記締付ボルトは、先細のテーパ状の先端部を有し、
    前記締付駒は、前記締付ボルトの前記先端部の傾斜面と対向するボルト当接傾斜面を有することを特徴とする請求項1または2に記載のブレード固定構造。
  4. 前記締付ボルトは、外周面に螺子溝が形成された本体部と、該本体部に取付けられた先細のテーパ状の先端部と、を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレード固定構造。
  5. 前記第1付勢部材は、コイルスプリングであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレード固定構造。
  6. 前記工具本体は、円盤状であって、前記ブレード取付孔は、前記工具本体の軸方向へ延びており、前記工具本体に複数形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のブレード固定構造。
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