JP2017053135A - 建物の制振構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】油圧ダンパを梁と柱との間に取付ける方杖的用い方では、油圧ダンパの性能を充分に発揮できず、効率が低い。【解決手段】一方の柱材105の上端部及び下端部にそれぞれブレース材111,112を連結(A,B)すると共に、両ブレース材の先端を互いに連結(C)する。該連結点Cと他方の柱材106との間に油圧ダンパ1を介在する。構造体101の層間変位Xを、所定の作動効率(Y/X)に変換してブレース構造Uの中間部Cに作動変位Yとして伝達し、油圧ダンパ1は、比較的大きなストロークで地震エネルギを効率的に吸収する。【選択図】図1

Description

本発明は、建物、特に木造建物に用いて好適であり、詳しくは油圧ダンパを用いた建物の制振構造に関する。
従来、並行する2本の柱材と、一方の柱材の例えば中央部に取付けたダンパー体と、一端をダンパー体に取付け、他端部を他方の柱材の高さの異なる位置、例えば上端及び下端にそれぞれ取付けた複数本、例えば2本のブレース材と、を備えた木造建物の制振構造が案出されている(特許文献1)。該特許文献1のものは、ダンパー体として、粘弾性材(実施例1)、降伏して塑性変形する弾塑性ダンパ(実施例2)、又は摩擦材の摩擦力で抵抗する摩耗ダンパ(実施例3)が用いられている。
上記制振構造は、柱材に生じる曲げ方向の力が抑えられて軸力が支配的になり、従って柱材の曲げ変形が防止又は抑制され、振動時の層間変形を小さく抑えることができ、またダンパー体が振動時のエネルギの大半をせん断抵抗として吸収できるため、ダンパー体の振動吸収効率を向上し得る。
一方、シリンダ内にオイルを充填した油圧室を、ピストンにより2個の油室に区画して、2個の油室の間でオイルを所定の減衰力特性で連通する油圧ダンパを備え、前記ピストンに連結するピストンロッドの端部を一方の構造部材に連結すると共に、前記シリンダの端部を他方の構造部材に連結した構造物の制振装置が、本出願人により提案されている(特許文献2)。
前記構造物の制振装置の油圧ダンパは、シリンダに対するピストンの移動速度が所定値以下の状態では、オイルの流れを制限して、前記移動速度に対する荷重変化の大きい急勾配で立上がる減衰特性の大きい剛体の近い状態となり、前記移動速度が前記所定値より速い状態ではオイルの流れを許容し、移動速度に対する荷重変化の小さい緩勾配からなる減衰特性の小さい制振状態となるように設定してある。
これにより、弱い地震、道路等からの振動等の小さいエネルギに対しては、構造物の揺れを抑えて、建物の居住性等の構造物の品質を維持すると共に、強地震等による大きなエネルギに対しては、該エネルギを吸収して、建物等の構造物の破壊を有効に防止して耐震性を向上する。
特開2006−207292号公報 特許第5620596号公報
前記特許文献1の制振構造は、ダンパー体が一方の柱材の中央部に取付けられ、2本のブレース材の他端が他方の柱材の上端部及び下端部に取付けられている場合(以下Kブレース構造という)、横架材の幅方向の層間変位(X)に対してダンパー体における相対変位(Y)の比率(Y/X)である作動効率eは、約0.3となる。即ち、該特許文献1の従来の技術に示されるように(該特許文献1の図16(b)参照)、上下の横架材に、伝動部材を介してダンパー体を架け渡して設置したものは、層間変位Xがそのままダンパー体の相対変位Yとなって(X=Y)、作動効率e=1となるが、このものに比し、上記特許文献1のものは、相対変位が約(1/3)となり、変位量が小さい分、ダンパー体には大きな反発力が必要となる。
しかし、ダンパー体としての粘弾性材は、小さな変位では小さな力で、変位が大きくなるに従って力も増大するプログレッシブ特性であり、上記Kブレース構造とのマッチングがよくなく、かつ温度依存性が高く、環境温の影響を受け易い減衰特性となる。また、大きな地震で揺れが大きい場合、変位が過大となって粘弾性材が破断又は剪断する虞がある。
金属による弾塑性ダンパは、変形初期は、弾性変形し、塑性変形が始まると略々一定の力となり、変位が大きくなると少ない振動回数で破断する。従って、該弾塑性ダンパを用いた上記制振構造(Kブレース構造)は、金属の塑性変形領域を利用するため、繰返しの振動(変形)が加わると破断の虞がある。従って、大きな地震の後には何度も余震が発生することを考慮すると、信頼性が充分でない。また、一度建物が変形すると、元に戻す復元力はなく、上記弾塑性ダンパが塑性変形すると木造建物が本来有する復元力を妨げて、却って建物を傾いたままにしてしまう。
前記摩擦ダンパは、小さな力に対しては大きな力(抵抗力)を発生し、大きな力に対して小さな力(抵抗力)となる、制振装置として望ましい特性(バイリニア特性)を発揮するが、摩擦力の調整、具体的には摩擦材を押付けるボルトナットの締付力の調整が面倒であり、かつそれが長期間保持される保障も確実ではない。また、一度摩擦ダンパが相対移動すると、該ずれた位置に固定するように作用し、木造建物の弾性復元力に抗することとなり、価額が高価になることも相俟って、木造建物の制振構造に適用することは困難である。
特許文献2の油圧ダンパは、バイリニア特性、環境温度の変化、長期間の耐久性、復元性等、地震に対する構造物の制振装置として好適であるが、該特許文献2には、油圧ダンパ自体が梁等の横架材と柱材との間に斜めに取付けて用いられている。該油圧ダンパの方杖的用い方では、梁の変位(X)に対する油圧ダンパの変位(移動)Yの比率(Y/X)である作動効率eは、上述したKブレース構造に比して大幅に小さい。従って、油圧ダンパ自体は、所定ストローク伸縮して、エネルギを吸収できるのに拘らず、小ストロークで大きな荷重が作用する状態で用いられ、油圧ダンパの機能を十分に発揮できないと共に、油圧ダンパの効率が低くなる。このため、所定建物に対して上記油圧ダンパによる制振装置の取付け個数が多くなり、コストアップを招いてしまう。
そこで、本発明は、油圧ダンパを適正な作動効率で用いる制振構造として、油圧ダンパの性能を充分に発揮し、もって上述した課題を解決した建物の制振構造を提供することを目的とするものである。
本発明は、並行する2本の柱材(105)(106)と、これら2本の柱材の上端及び下端に接合した並行する2本の横架材(102)(103)と、から構成される構造体(101)を有する建物の制振構造であって、
前記2本の柱材の内の一方の柱材(105)における高さの異なる少なくとも2箇所で連結して、他方の柱材側(106)における前記一方の柱材の連結部の高さ方向中間部に、前記2本の横架材の層間変位(X)を作動変位(Y)として伝達する伝達手段(U)と、
前記伝達手段(U)の作動変位(Y)を吸収する油圧ダンパ(1)と、を備えた、
ことを特徴とする。
例えば図1,図8を参照して、前記伝達手段(U)は、前記一方の柱材(105)の上端部(105a)及び下端部(105b)にそれぞれ連結(A)(B)すると共に、前記中間部(C),(C1,C2)にて互いに連結するブレース構造(U)であり、
前記油圧ダンパ(1)は、前記ブレース構造(U)の中間部(C),(C1,C2)と前記他方の柱材(106)との間に介在されてなる。
例えば図2,図4を参照して、前記伝達手段(U)は、前記一方の柱材(105)に固定された耐力壁材(114)(115)であり、該耐力壁材の前記他方の柱材側(114c)(115c)と前記他方の柱材(106)との間に前記油圧ダンパ(1)を介在してなる。
例えば、図3を参照して、前記油圧ダンパ(1)(1)は、前記一方の柱材(105)の端部(105a)(105b)と前記他方の柱材(106)の中間部(113)との間に連結されてなる。
例えば図5を参照して、前記伝達手段(U1)(U2)は、前記一方の柱材(105)の端部(105a)(105b)と前記他方の柱材の中間部(113)との間に連結されたトッグル機構(116,117)であり、
前記油圧ダンパ(1,1)は、前記トッグル機構(116)(117)の連結ピン(G1)(G2)と前記他方の柱材(106)との間に介在してなる。
例えば図6〜図7を参照して、前記伝達手段(U)は、前記一方の柱材(105)の上端部(105a)及び下端部(105b)にそれぞれ一端が連結される第1及び第2ブレース材(111)(112)と、前記他方の柱材(106)の中間部に一端(I)が連結され、かつ前記第1及び第2ブレース材(111)(112)の他端(C)(C1,C2)が連結されるレバー部材(117)と、を有し、
前記油圧ダンパ(1,1)は、前記レバー部材(117)の他端(J)(J1,J2)と前記一方の柱材(105)の間に介在され、
前記レバー部材(117)は、前記第1及び第2ブレース材(111)(112)の連結点(C)(C1,C2)を支点とし、前記一端の連結点(I)を力点とし、前記他端の連結点(J)(J1,J2)を作用点としたレバー比により、前記力点に作用する変位(Y)を前記作用点から前記油圧ダンパ(1,1)に変更して伝達してなる。
例えば図9〜図19を参照して、前記油圧ダンパ(1)は、シリンダ(5)内にオイルを充填した油圧室(27)を1個のピストン(10)により2個の油室(27a)(27b)に区画し、前記シリンダ(5)に少なくとも軸方向に一体のエンド部材(19)と、前記シリンダに軸方向に移動自在なフロート部材(23)との間で前記油圧室(27)を形成してなり、
前記シリンダの端部の閉塞部(9)と前記フロート部材(23)との間に、前記油圧室(27)から前記フロート部材(23)に作用する油圧に対向する所定圧の不活性ガスが封入されているガス室(29)を形成し、
前記ピストン部分(10)に、前記2個の油室の一方(27a)から他方の油室(27b)へのオイルの流れを規制する第1のピストンバルブ(37)と、前記他方の油室(27b)から一方の油室(27a)へのオイルの流れを規制する第2のピストンバルブ(37)と、前記2個の油室(27a)(27b)を連通するオリフィス(61)と、を設け、
前記油圧ダンパ(1)は、前記第1及び第2のピストンバルブ(37)(37)がそれぞれ前記規制される流れと反対方向のオイルの流れに対して、前記シリンダ(5)に対する前記ピストン(10)の移動速度(V)が所定値(P)以下の状態では閉じ位置にあって前記オイルの流れを前記オリフィス(61)により制限し、移動速度に対する荷重変化が急勾配からなり、前記ピストンの移動速度(V)が前記所定値(P)より速い状態では開かれて前記オイルの流れを許容し、移動速度に対する荷重変化が小さい緩勾配からなる減衰力特性を有し、
前記オリフィス(61)は、前記シリンダの内径断面積(A)に対する該オリフィスの流通面積(a)の比である開口面積比率が0.004〜0.040である。
前記油圧ダンパ(1)は、前記所定値(P)以下の状態で前記移動速度(V)に対する荷重変化が150〜600[kN/(m/sec)]である。
前記油圧ダンパ(1)は、前記ピストンからのピストンロッド(6)が前記ピストン(10)から前記2個の油室の内の一方の油室(27a)のみを貫通して延び、かつ前記エンド部材(19)と前記ピストン(10)との間に縮設されて前記一方の油室(27a)にスプリング(40)が配置されてなる。
前記第1及び第2のピストンバルブ(37,37)は、前記ピストン(10)の両側面(10a,10b)に形成され、前記油圧ダンパ(1)の中心軸線を中心とした円周からなる環状の突起(45)と、該突起に外周部が当接するように付勢された可撓性のバルブ座板(50)と、前記ピストン(10)の両側面を前記突起の外径側と内径側とでそれぞれ連通する油路(47)(49)と、を有し、
前記バルブ座板(50)は、複数枚からなり、該複数枚のバルブ座板の少なくとも1枚(50a)に、外径側から切込まれた少なくとも1個の溝(61a)が形成され、該溝が前記環状の突起(45)の内径側と外径側とを連通して前記オリフィス(61)を形成してなる。
請求項1に係る本発明によると、層間変位を伝達手段により作動変位として油圧ダンパに伝達し、油圧ダンパは、所定の作動効率により地震等による構造体の揺れを制振する。これにより、油圧ダンパは、比較的大きなストロークで作動して、油圧ダンパの性能を適正に発揮することができ、建物全体で用いる油圧ダンパの個数を減少して、コストダウンを図ることができると共に、地震による建物の損壊を減少することができる。
請求項2に係る本発明によると、伝達手段がブレース構造からなり、比較的簡単で軽量な構造でもって、適正な作動効率により油圧ダンパの機能を発揮することができる。
請求項3に係る本発明によると、伝達手段が耐力壁材からなり、構造体の剛性をも向上することができる。
請求項4に係る本発明によると、油圧ダンパ自体が伝達手段を構成するので、簡単な構成により適正な作動効率を得ることができる。
請求項5に係る本発明によると、伝達手段がトッグル機構からなるので、簡単な構成でもって所定の作動効率を得ることができる。
請求項6に係る本発明によると、伝達手段がブレース構造及びレバー部材からなるので、レバー部材のレバー比により作動効率を変更して、例えば1に近い任意の作動効率を得ることができ、油圧ダンパの性能を最適に発揮し得る作動効率を容易に設定することが可能となる。これにより、油圧ダンパの性能にマッチした高い機能の建物の制振構造を得ることができる。
請求項7に係る本発明によると、油圧ダンパが油圧室に直列してガス室を備え、油圧室のオイルが温度変化により膨張又は収縮しても、フロート部材がガス室の付勢力に抗して又は順じて移動するので、オイルの膨張又は収縮に応じて油圧室の容積を変化して、油圧室からのオイルの漏れ又は油圧室への空気の吸込みを防止して、油圧ダンパの性能を長期に亘って維持することができる。
また、ガス室には不活性ガスが封入されているので、油圧室のオイル及びフロート部材のシール等が酸素、活性ガスと接触することが避けられ、油圧ダンパは長期に亘りその性能を維持することができ、長期間に亘り安定した性能を必要とする建物の制振構造に油圧ダンパを適用することが可能となり、建物の制振構造として長期間の信頼性を保証することができる。
ガス室のガス圧を調整することにより、油圧ダンパを容易にかつ高い精度で微細にチューニングが可能である。ピストンに、2個の油室を連通するオリフィスを設け、かつ該オリフィスは、開口面積比率が0.004〜0.040の範囲の極小流通面積からなるので、油圧ダンパは、前記所定値以下の状態で、比較的長いストロークに亘って所定の減衰力特性を安定して保持することができ、前述した構造体における伝達手段による作動効率と相俟って、適正な建物の制振構造を得ることができる。
請求項8に係る本発明によると、前記油圧ダンパは、前記所定値以下の状態で150〜600[kN/(m/sec)]の上記急勾配からなる減衰力特性を保持してなるので、木造建築に適用して最適である。600[kN/(m/sec)]以上であると、油室に残圧を発生して振動エネルギを有効に吸収することができない。
請求項9に係る本発明によると、油圧ダンパは、ピストンロッドが一方の油圧のみに貫通して延びているので、油圧ダンパの構造が簡単となり、信頼性の高い油圧ダンパを用いた建物の制振構造を提供することができる。また、ピストンロッドが一方の油室のみにあるので、ピストンのストロークにより油圧室の容積が変化するが、該容積変化は、上記ガス室により吸収される。
更に、油圧ダンパは、一方の油室にスプリングを配置したので、両油室からピストンに作用するピストンロッドの断面積に基づく圧力差を上記スプリングでバランスすると共に、ガス室からの付勢力と上記スプリングの付勢力がバランスして、油圧室のストローク中心付近に保持される。これにより、油圧ダンパの自然状態における長さが一定となって、油圧ダンパの建物への取付けが容易となり、かつ建物の制振構造としての性能が安定し、さらに例え地震等により建物が塑性領域まで変形したとしても、上記油圧ダンパの中立位置への復元力により建物を元の状態に戻すことができる。
請求項10に係る本発明によると、第1及び第2のピストンバルブは、突起、バルブ座板、皿バネ及び油路からなる簡単な構成で足りる。また、周長の長い環状の突起の全周からバルブ座板の外周部が離れることにより、オイルの流路面積を確保して、上記急勾配と緩勾配とに一気に切換えることができ、上記所望の減衰力特性を容易かつ確実に得ることができる。
更に、複数枚からなるバルブ座板に溝を形成することにより、小流通面積からなるオリフィスを高い自由度で容易に形成することができ、上記開口面積比の範囲内において建物の特性に応じたオリフィスを備えた油圧ダンパを容易に提供することができる。
本発明の実施の形態に係る建物の制振構造を示す正面図。 他の実施の形態による建物の制振構造を示す正面図。 他の実施の形態による建物の制振構造を示す正面図。 他の実施の形態による建物の制振構造を示す正面図。 他の実施の形態による建物の制振構造を示す正面図。 他の実施の形態による建物の制振構造を示す正面図。 他の実施の形態による建物の制振構造を示す正面図。 他の実施の形態による建物の制振構造を示す正面図。 本実施の形態に係る油圧ダンパを示す正面図。 その断面図。 ピストンバルブを示すピストン部分の拡大図で、(a)は、(b)のa−a断面図、(b)は側面図。 ピストンバルブを示し、(a)は正面図、(b)は縦断面図、(c)は(b)のc−c断面図。 ピストンバルブのバルブ座板が撓んだ状態を示す断面図。 一部変更したピストンバルブを示す断面図。 油圧ダンパの減衰力特性を示す図。 油圧ダンパの減衰力特性を示す図。 油圧ダンパの減衰力特性を示す図。 油圧ダンパの減衰力特性を示す図。 油圧ダンパの減衰力特性を示す図。
以下、図面に沿って、本発明を木造構造体に適用した実施の形態について説明する。本木造構造体101は、建物を構成する骨組みであり、該木造構造体101が組合せられて木造建物となる。該木造構造体101は、図1ないし図6に示すように、水平方向に並行する2本の横架材102,103、例えば土台材102及び梁材103と、2本の横架材と連続する垂直方向に並行する2本の柱材105,106とを有する。横架材102,103と柱材105,106とは、柱材105,106の上端及び下端に形成されたほぞを、横架材102,103に形成されたほぞ穴に嵌め込むことにより接結されている。該木造構造体による該嵌め込みによる接合は、静止状態にあっては固定(剛)結合であるが、地震等により木造建物が揺れる場合、前記横架材及び柱材は、平行四辺形を保って揺れるので、横架材に対して柱が回動する回り対偶による接合構造として解析される。なお、上記接合部は、L字状の金具で補強されるものも含み、またほぞ及びほぞ穴以外による接合でもよい。また、前記横架材及び柱材は、断面4角形状からなるが、これに限るものではなく、更に木材に限らず、型材からなる軽量鉄骨、更には重量鉄骨等、木造建物に限らず、あらゆる構造物に適用可能である。
前記木造建物における構造体101の制振構造110は、一方の柱材105の上端部105aに連結(A)された第1ブレース材111と、該一方の柱材の下端部105bに連結(B)された第2ブレース材112とを有し、これら両ブレース材111,112の先端部は互いに連結(C)されている。前記両ブレース材111,112は、同じ長さからなり、従って先端部の連結点Cは、他の柱材106の高さ方向中間部、好ましくは中央部に対応するように位置して、2等辺3角形からなる3節リンク(Kブレース構造)を構成している。即ち、該3節リンクは、一方の柱材105と一体構造からなり、上記第1及び第2ブレース材111,112の先端連結部(中間部)Cは、前記2本の横架材102,103の層間変位Xを伝達され、他方の柱材106との間で作動変位Yとして相対移動する伝達手段Uを構成する。なお、上記伝達手段(3節リンク)Uは、上記連結部A,B,Cを理想化したピン接合で図示されているが、柱材105との連結点A,Bは、ビス等で柱材105に固着(剛接合)されてもよく、かつブレース材同士の連結点Cは、接合部に溶接等で固着されてもよい。また、第1及び第2ブレース材111,112は、鋼材からなるのが好ましいが、木材等の他の材料でもよい。この点は、後述するすべての実施の形態においても同様である。
上記第1及び第2ブレース材111,112の連結点Cと他方の柱材106との間に油圧ダンパ1が介在している。油圧ダンパ1のピストンロッド6が上記連結点Cにピン結合されており、油圧ダンパ1のシリンダ5が他方の柱材106に固定された連結部材17にピン結合Dされている。
地震等により本構造体101に横方向の力が作用して、下横架材(土台)102と上横架材(梁)103との間に相対的変位(層間変位という)Xが生じる。実際には、横架材と柱材との連結がほぞ等による固定で、柱材105,106に曲げ等が作用するが、木材の弾性力により吸収されて、構造体101は、実質的に平行四辺形に変形するとして解析される。従って、下横架材102に対して、上横架材103が右方向(矢印r)に層間変位(X)すると、第1ブレース材111及び第2ブレース材112に圧縮力が作用して、連結点Cが下方向(矢印d)に変位し、油圧ダンパ1を収縮方向に移動する。反対に、下横架材102に対して上横架材103が左方向(矢印l)に層間変位(X)すると、第1及び第2ブレース材111,112に引っ張り力が作用して、連結点Cは、上方向(矢印u)に変位(Y)し、油圧ダンパ1を伸長方向に移動する。
前記層間変位Xに対する連結点Cの変位Yの割合(Y/X)が、作動効率(作動比率)eと定義され、前記図1に示す制振構造110にあっては0.3程度となり、層間変位Xに対して連結点Cの変化、従って油圧ダンパ1の作動量は、約1/3となる。前述した特許文献2の実施の形態で示した柱と梁との間に斜めに介在した方杖タイプの油圧ダンパの用い方では、作動効率(作動比率)eが例えば0.2以下等となり、油圧ダンパは、地震エネルギを大きな荷重かつ小さな移動量(ストローク)で吸収することになる。後に詳述する油圧ダンパ1は、地震が弱く、ピストンの移動速度が低い場合、大きい減衰力特性からなる剛体に近い状態となり、地震が強く、ピストンの移動速度が速い場合、減衰力特性の小さい制振状態となるバイリニア特性からなる。上記方杖タイプの油圧ダンパの用い方では、ストロークが小さいため、上記バイリニア特性を建物及び地震にマッチして設計、設置することが難しく、勢い建物に対して多くの油圧ダンパを用いることになる。
前記ブレース構造(伝達手段)Uによる制振構造110は、上述したように作動効率eが0.3程度となり、油圧ダンパ1のストロークYが層間変位Xの1/3程度あって、比較的長いストロークにより適正な上記バイリニア特性を設計することが容易となる。これにより、建物及び予測地震に対応した油圧ダンパの設定及び微妙な制御並びに適正な建物への配置が可能となり、効率的で効果的な建物の制振構造110を提供することができる。
地震による揺れ(運動)エネルギ(仕事)は、油圧ダンパ1により吸収される。仕事をW、力をF、移動量をΔXとすると、
W=F×ΔX……(1)
構造体101における土台材102に対する梁材103の揺れ量(移動量)は、上記(1)式が適用され、F;変形(移動)に必要な力、ΔX;梁材の移動量(層間変位)となる。
油圧ダンパ1を伝達手段(ブレース構造)Uを介して設置する場合、作動比率eが考慮され、
e・ΔX=Δd Δd;油圧ダンパ1の変位(移動量)
油圧ダンパの変位に必要な力をFdとすると、
e・F=Fd
油圧ダンパの仕事Wdは、
Wd=Fd・Δd=e・F・ΔX=e・W
となる。従って、作動比率eが1に近い程(大きい程)有利である。
図2は、ブレース材に代えて耐力壁材を用いた実施の形態を示す。本実施の形態による制振構造110は、木造構造体101の一方の柱材105に固定されている耐力壁材114を有する。一方の柱材105の上端部及び下端部にそれぞれビス等で連結部材114a,114bが固定されており、これら連結部材114a,114bに上記耐力壁材114が取付けられている。該耐力壁材114の他側中央部には連結部材114cが取付けられている。油圧ダンパ1のピストンロッド6がピンCにより上記耐力壁材の連結部材114cに連結されていると共に、そのシリンダ5が他方の柱材106に固定された連結部材17にピンDにより連結されている。
上記耐力壁材114は、一方が柱材105に一体に固定され、先の実施の形態の2本のブレース材と同様に伝達手段Uとして機能する。従って、本木造構造体の制振構造110は、先の実施の形態と同様に、作動効率(作動比率)eが0.3程度で層間変位Xを油圧ダンパ1に伝達して該油圧ダンパを移動する。
図3は、ブレース材(リンク部材)自体を油圧ダンパ1に代えた実施の形態を示す。本実施の形態による制振構造110は、木造構造体101の他方の柱材106の中央部(中間部)に連結部材113がビス等により固定されており、該連結部材113と一方の柱材105における上端部に固定された連結部材105a及び下端部に固定された連結部材105bとの間に、それぞれピンA,B,Cによりリンク部材(111,112)を構成する第1及び第2の油圧ダンパ1,1が取付けられている。
従って、本木造構造体の制振構造110も、先の実施の形態と同様に、油圧ダンパ1,1自体がブレース材と同様に伝達機構として機能し、作動効率(作動比率)eが概ね0.3程度で層間変位Xを油圧ダンパ1,1に伝達して該油圧ダンパを移動する。
図4は、耐力壁材を小型化した実施の形態を示す。図2に示す耐力壁材114は、柱材105より僅かに小さい大型の耐力壁材を用い、木造構造体101の剛性を向上しているが、耐力壁材が大きくかつ重量物からなるため、作業員が一人で取付け作業することが困難となり、コストアップの原因となってしまう。本実施の形態は、耐力壁材115を小型化して、作業員一人での取付け作業を可能とすると共に、木造構造体101に窓等の開閉を設置する場合、窓下等に適用可能となる。
一方の柱材105の下部分に、該柱材の長さの1/3程度の耐力壁材115を2個の連結部材115a,115bで固定する。該小型の耐力壁材115の他側上部に連結部材115cを一体に固定し、該連結部材115cと他方の柱材106に固定した連結部材17との間に油圧ダンパ1を介在する。
従って、本実施の形態による制振構造110は、先の図2に示すものと同様に、木造構造体101の地震等による層間変位Xを所定作動効率により油圧ダンパ1により吸収する。
図5は、制振構造110の伝達手段U1,U2にトグル機構を用いた実施の形態を示す。木造構造体の制振構造110は、一方の柱材105の上端部及び下端部に連結部材105a,105bを一体に取付けると共に、他方の柱材106の中央部(中間部)に連結部材113を一体に取付け、前記連結部材105a,105bと連結部材113との間にそれぞれトグル機構116,117を配設して構成される。各トグル機構116,117は、それぞれ一方の柱材105の連結部材105a,105bにピン結合されたリンク部材116a,117aと、他方の柱材106の連結部材113にピン結合されたリンク部材116b,117bとをそれぞれ先端部をピン結合(G1,G2)して構成される。
そして、他方の柱材106の上端部及び下端部にそれぞれ連結部材106a,106bが一体に取付けられ、これら連結部材106a,106bと上記各トグル機構116,117の連結ピンG1,G2との間にそれぞれ油圧ダンパ1,1が介在されている。
本制振構造110は、層間変位Xに対して各油圧ダンパ1,1が概ね0.3〜0.5程度の作動効率eにより移動し、木造構造体101の揺れを吸収する。
図6は、図1に示すブレース構造に、レバーによる作動効率変更部材を加えた実施の形態を示す。本実施の形態による木造構造体の制振構造110は、図1と同様に、一方の柱材105に上端部及び下端部に一体に取付けた連結部材105a、105bにピン結合A,Bしたブレース材111,112を有し、これらブレース材111,112の先端は、中間部でレバー部材117にピンCにより連結されている。他方の柱材106の上端部には連結部材119がビス等により一体に固定されており、該連結部材119と、前記レバー部材117のピンCより他方の柱材106側との間にリンク120がピンIにより結合されている。
上記レバー部材117の前記ピンCより一方の柱側にはピンJが配置され、該ピンJと、一方の柱材105に一体に取付けられた連結部材17のピンDとの間に油圧ダンパ1が介在している。従って、前記レバー部材117は、その一端側が他方の柱材106にリンク120を介して実質的にピンIにより連結されており、かつブレース材111,112を介してその連結ピンCが一方の柱材105に一体に連結されている。そして、レバー部材117は、作動効率変更部材を構成し、そのレバー比J−C/I−Cにより、ピンJにより連結されている油圧ダンパ1は、ストロークが増大(又は減少)して伝達される。
本木造構造体の制振構造110は、地震等による層間変位Xが、ブレース材111,112によりピンCを上下方向に作動変位として伝播し、該ピンの変位は、レバー部材117によりストロークが増幅されてピンJを介して油圧ダンパ1に伝達される。該油圧ダンパ1は、レバー比が乗じられた作動効率eで移動(ストローク)する。該作動効率eは、上記レバー部材117のレバー比で任意に設定可能であるが、例えば、0.30〜1.20に設定される。これにより、適用する油圧ダンパ1の性能、木造建物の構造等に適合して、例えば油圧ダンパ1の作動ストロークが大きめになるようにレバー比を設定して、油圧ダンパが最適な特性を発揮するにするように調整することが可能となる。
図7は、図6の実施の形態を具体化して更に一部変更した実施の形態を示す。本実施の形態による木造構造体の制振構造110も、図6と同様に、一方の柱材105の上端部及び下端部とレバー部材117との間にブレース材111,112がピン結合A,B,C1,C2されている。レバー部材117は、幅広の板材からなり、該レバー部材117の幅広部分に上記2枚のブレース材111,112の連結ピンC1,C2が幅方向に並んで配置されている。これにより、図6の概略図に示すように、1本のピンCに2本のブレース材111,112を連結することによる強度の低下を防止できる。
レバー部材117の他方の柱材106側の端部と他方の柱材106の連結部材119の間にはリンク120がピンI及びKにより連結されている。該リンク120は、ターンバックルからなり、長さ、従ってレバー部材117の角度を調整し得る。該レバー部材117の先端は、他方の柱材106に取付けられガイド部材121により、レバー部材117の板厚方向の動きが規制されて案内されている。レバー部材117の一方の柱材105側の端部には2個のピンJ1,J2が幅方向に並んで植設されており、これらピンJ1,J2と一方の柱材105に取付けられた連結部材17,17との間に、それぞれ油圧ダンパ1,1が配設されている。即ち、連結ピンC1,C2及びピンJ1,J2は、レバー部材117の長さ方向に直交してかつ比較的狭い間隔で配置されており、レバー部材117のレバー比に関して1個の回動点とみることができる。従って、レバー部材117は、連結ピンC1,C2を支点、ピンIを力点、ピンJ1,J2を作用点として、レバー比は、(J1・J2)−(C1・C2)/(C1・C2−I)=b/aとなる。
本木造構造体の制振構造110は、図6に示す制振構造110と同様に、地震等による層間変位Xが、ブレース材111,112によりレバー部材117の連結ピンC1,C2に伝播され、該連結ピンC1,C2の作動変位が、レバー部材117のレバー比(b/a)により増幅され(例えば約3倍)、該増幅されたスロトークで2本の油圧ダンパ1,1が作動する。これにより、油圧ダンパ1,1は、1に近い作動効率に基づき、大きな作動ストロークによる適正に調整されたバイリニア特性と、2本の油圧ダンパ1,1による大きな荷重吸収とにより、木造構造体101が制振される。
図8は、図1に示す実施の形態の変形例を示す。本実施の形態による木造構造体の制振構造110は、図6及び図7に示す実施の形態と同様に、一方の柱材105にピン連結A,Bされたブレース材111,112と、両ブレース材の先端にピン結合C1,C2するレバー部材117を有する。レバー部材117は、一方の端がリンク120及びガイド部材121を介して一方の柱材105に連結しており、他方の端と他方の柱材106との間に1対の油圧ダンパ1,1が介在している。
連結点C1,C2は、ブレース材111,112により一方の柱材105と一体構造(Kブレース構造)からなり、連結点Iも、リンク120及びガイド部材121により一方の柱材105と一体構造からなり、従ってレバー部材117は、一方の柱材105に一体に構成されている。即ち、レバー部材117は、図6及び図7に示すような作動効率変更部材ではなく、一方の柱材105と一体に移動する補強部材である。
従って、本制振構造110は、図1に示すブレース構造と同様に、地震等による層間変位Xが伝達手段であるブレース構造Uにより連結ピンJ1,J2に、約0.3程度の作動効率eで作動変位Yとして伝播され、油圧ダンパ1,1により吸収される。
図7に示す実施の形態のレバー部材117と図8に示す実施の形態のレバー部材117とは同じもので用いられ、従って連結ピンC1,C2のピン孔117a,117a,117b,117bが長さ方向に2箇所(合計4個)設けられており、該レバー部材117を反転して上記両実施の形態に用いられる。これにより、木造建物の違いにより、油圧ダンパ1の特性を適合して、適宜反転して用いられる。
なお、油圧ダンパは、1個でもよく、またレバー部材117のピン孔は、長さ方向2箇所に限らず、更に多数設けて、レバー比を多数に変更してもよい。
ついで、図9〜図19に沿って前記油圧ダンパ1について詳細に説明する。なお、前述した木造建物の制振構造において、油圧ダンパを2個用いた場合、油圧ダンパ1,1と表記したが、油圧ダンパの構造は同じなので、油圧ダンパ1として説明する。また、前述した制振構造110〜110は、一般化して制振構造110と表記する。
上記油圧ダンパ1は、図9及び図10に示すように、シリンダ5及びピストンロッド6を有する。シリンダ5の一端はキャップ部材7により閉塞されており、かつ他端は連結部材9により閉塞されている。ピストンロッド6は、一端が小径部6aとなっており、該小径部6aにピストン10が嵌合している。ピストンロッド6の他端にはボス11及びボルト12からなるピンCを介して例えばブレース材111,112が回動自在に連結している。なお、図1〜図8に示した実施の形態にあっては、例えばブレース構造、耐力壁材、リンク部材、レバー部材等の伝動手段に連結するピンC(C1,C2)として表記されている。前記シリンダ5の他端連結部材9にはボス部15が一体に固定されており、該ボス部15にはボルト16を介して他方の取付け金具17が回動自在に連結されている。なお、取付け金具は、図1,図2,図4,図6,図7,図8にあっては、他方(又は一方)の柱材106(又は105)に連結される取付け金具17(又は17,17)であるが、図3,図5に示す実施の形態にあっては、他方の柱材106に取付けられる取付け金具113と表記されている。
前記シリンダ5内の一方側には環状のエンド部材19が嵌合されており、該エンド部材19は、スナップリング20によりシリンダ5に対して軸方向位置が一体となるように規定されている。該エンド部材19の外周面にはOリング21が装着されており、またピストンロッド6が貫通する内周面にもOリング22が装着されており、該エンド部材19は、その軸方向の前後の空間を油密状に区画している。前記シリンダ5内の他方側にはフロート部材23が軸方向に移動自在に嵌合しており、該フロート部材23の外周面にはスライドリング25及びシールリング26が軸方向に並んで装着されている。該フロート部材23は、その軸方向前後の空間を油密状かつ気密状に区画している。
前記シリンダ5内におけるエンド部材19とフロート部材23との間の空間には所定粘度のオイルが充填されて、油圧室27を構成している。なお、オイルとは、所定粘度を有する液体を意味し、一般的にはオイルとなるが、狭義のオイルに限定するものではない。前記シリンダ5内におけるフロート部材23と連結部材9との間の空間には所定圧力の窒素ガス等の不活性ガスが封入されて、ガス室29を構成している。シリンダ一端の前記キャップ部材7は、ピストンロッド6を摺動自在に挿通して該ピストンロッドを支持するガイド孔7aを有し、該ガイド孔7aにはピストンロッド6と摺接して該ピストンロッド6に付着した塵埃等を掻取るスクレーパ30が装着されている。シリンダ5内におけるエンド部材19とキャップ部材7との間の空間は空気が出入自在に入る空気室(余裕空隙)31となっている。該空気室31の軸方向間隔は、油圧ダンパ1のストロークより長い。
上記エンド部材19の油圧室27側に隣接してバネ受け金具32が配置されており、前記ピストンロッド6の小径部6aに嵌合してバネ受けリング部材33が配置されている。ピストンロッド6の小径部6aの先端にはワッシャ35を介してナット36が螺合されており、バネ受けリング部材33を小径部段差部6bに当接し、かつピストン10の両側に第1及び第2のピストンバルブ37,37を介在して該ピストン10を挟むようにして、上記ナット36により、バネ受けリング部材33、ピストン10及び両ピストンバルブ37,37がピストンロッド6に対して位置決めされている。該ピストン10により、前記油圧室27は、ロッド側油室27aと非ロッド側油室27bに区画されている。ロッド側油室27a内において、上記バネ受け金具32とバネ受けリング部材33との間にコイルスプリング40が縮設されている。
上記ピストン10は、図11に詳示するように、両側面10a,10bにピストンロッド6を中心とした環状で凸状の突起45,45が形成されており、該突起45と上記ピストンロッド小径部6aを嵌挿したボス部44との間に、環状の油圧空間46,46が形成されている。なお、上記突起45とボス部44とはピストン両側面10a,10bに対して同じ突出高さ、即ち面一となっている。ピストン10には、一方の側面10aの油圧空間46と他方の側面10bにおける上記突起45の外径側とを連通する複数(3個)の縮み側油路47…と、他方の側面10bの油圧空間46と一方の側面10aにおける上記突起45の外径側とを連通する複数(3個)の伸び側油路49とが形成されており、これら両油路47,49は、同形状及び同数からなり、円周方向に長い矩形状断面からなる。
上記第1及び第2のピストンバルブ37,37は、環状の板バネからなり、その外周部分が上記環状の突起45に当接するバルブ座板50と、該バルブ座板50を上記環状の突起45に所定付勢力で圧接する皿バネ51とを有する。上記ピストン10の左右の第1及び第2のピストンバルブ37,37は、ピストン10のそれぞれ一方の動きに対して、両油室27a,27bの油路47又は49を通るオイルの移動を規制するチェック弁として機能し、またピストンのそれぞれ他方の動きに対して、両油室27a,27bの油路47又は49を通るオイルの流れを所定特性に制御する。即ち、前記第1及び第2のピストンバルブ37,37は、図15に示すように、それぞれ前記規制される流れと反対方向のオイルの流れに対して、所定値P以下の前記ピストン10の移動速度Vの場合、該移動速度変化に対して前記ピストンを移動する荷重F変化が大きく(S部分)、前記所定値Pより前記ピストン10の移動速度Vが大きい場合、該移動速度変化に対して前記ピストンを移動する荷重F変化が小さい(T部分)減衰力特性を有する。なお、上記所定値Pは、図15にあっては実質的に点で表示されており、該点のように狭い領域で上記急勾配(S部分)と緩勾配(T部分)に切換えられることが好ましいが、図15に鎖線で示すように、ある程度の範囲で滑らかに切換わるものでもよく、上記所定値(変曲点)は、このものも含む概念である。本実施の形態にあっては、第1及び第2のピストンバルブ37,37の各バルブ座板50が2板、皿バネ51が3枚からなるが、これは、上記特性に応じて、その数及びその径方向寸法、板厚は適宜設定される。また、ピストン10の外周面には、所定の油密特性を有すると共にシリンダ5内周面に対して摺接する圧力リング53が装着されている。
具体的には、図12に示すように、第1及び第2のピストンバルブ37,37は、複数枚のバルブ座板50及び皿バネ51と環状の突起45とからなるチェック弁60を有する。第1及び第2のピストンバルブのいずれか一方、例えば第2のピストンバルブ37は、複数のバルブ座板50の内の上記突起45に接する1枚(50a)に、その外径側から油圧空間46に接する位置まで延びる1個の溝61aからなるオリフィス(バイパス)61が形成されている。該オリフィス(バイパス)61は、バルブ座板50の板厚t(例えば0.15mm)と上記溝61aの幅W(例えば0.5mm)からなる流通面積a(=t×W)を有し、一方の油室27aと、油圧空間46及び油路49を介して他方の油室27bとを連通している。シリンダ5の内径半径をrとした内径断面積A(=πr≒ピストン面積)に対する上記流通面積aの割合である開口面積比率z(=a/A)が0.004〜0.040の範囲に設定されている。該オリフィス61の開口面積比率zは、上記実施の形態にあっては、第1及び第2のピストンバルブの一方37のみに、かつ複数のバルブ座板50の1枚(50a)のみに、更に該バルブ座板の全周の1箇所のみに形成された小幅の溝61aからなる極小の流通面積からなり、前記特許文献2に示す車両用の緩衝器の油圧ダンパにおけるオリフィスに比して大幅に小さい値であり、このような極小の流通面積からなるオリフィス61により、油圧ダンパ1は上述した急勾配Sからなる減衰力特性150〜600[kN/(m/sec)]を安定して得ることができる。
なお、上記溝61aからなるオリフィス61は、1枚のバルブ座板50aに限らず、例えば第1のピストンバルブ37のバルブ座板50にも設ける等、複数個の溝により形成してもよい。また、オリフィスは、上述したようなバルブ座板に形成すると、高い自由度で極小流通面積が得られて好ましいが、2個の油室を連通するオリフィスであれば、他の構成でもよい。
本実施の形態は以上のような構成からなるので、油圧ダンパ1は、前述した木造構造体の制振構造110に設置される。周囲温度の変化が、油圧室27内のオイルの温度に影響して、該オイルが膨張又は収縮する。すると、シリンダ5に摺動自在に支持されてフリーピストンを構成するフロート部材23は、上記オイルの膨張又は収縮による油圧室27の容積変化に応じて、ガス室29内の高圧ガスの付勢力に抗して又は順じて移動する。これにより、周囲温度により油圧室のオイルが体積変化しても、高圧ガスの弾性圧縮により上記フロート部材23が移動して吸収され、エンド部材19のOリング21,22及びフロート部材23のスライドリング25及びシールリング26に過度の圧力を作用することなく、上記各リングからオイルの漏れ及び空気等の吸込みを生じることを防止できる。
上記ガス室29には不活性ガスが封入されており、例えシールリング26から該ガスが油圧室27に漏れたとしても、ガスは、不活性ガスからなるので、オイルを酸化することはなく、またシールリングの劣化を防止することができ、油圧ダンパ1の耐久性を、建物に合せて長期化することができる。
油圧室27のロッド側油室27aにピストンロッド6がシリンダ5の外部に突出するように延び、非ロッド側油室27bには上記ピストンロッド6が延びていないので、ピストン10の両側には、上記ピストンロッド6の断面積分の油圧差を生じる。従って、ピストン10に対する両油室27a,27bの面積差によりピストン10は、ピストンロッド6側に移動する方向に偏倚する力が作用するが、本実施の形態にあっては、ロッド側油室27aに配置されたスプリング40の付勢力がピストン10に作用し、該ピストン10は、該スプリング付勢力と上記面積差による偏倚力がバランスした位置である、スプリング40の全圧縮位置とフロート部材23との中間位置に保持される。
上記スプリング40の付勢力に基づく油圧室27内の油圧がフロート部材23に作用するが、ガス室29内には高圧ガスが封入されており、上記フロート部材23は、油圧室27側の油圧とガス室29側のガス圧とがバランスして所定位置に保持されている。
これにより、油圧ダンパ1は、外力を加えていない自然状態にあっては、予め設定された所定長さにあり、該所定長さの油圧ダンパ1が、前述したように木造構造体の制振構造110として取付けられる。この状態では、ピストン10が油圧室27のストローク可能範囲の略々中央に位置している。
地震により建物に揺れを生じる場合、油圧ダンパ1は、伸縮してストローク範囲の略々中央に位置するピストン10が図9の左右方向に移動する力を受ける。ピストン10が油圧室27を右方向(縮み方向)に移動しようとする場合、非ロッド側油室27bのオイルが縮み側油路47を通って左油圧空間46に流れて、第1のピストンバルブ37のバルブ座板50を撓ましてロッド側油室27aに流れる方向の力が作用し、反対に、ピストン10が油圧室27を左方向(伸び方向)に移動しようとする場合、ロッド側油室27aのオイルが伸び側油路49を通って右油圧空間46に流れて、第2のピストンバルブ37のバルブ座板50を撓まして非ロッド側油室27bに流れる方向の力が作用する。この際、ピストン10の縮み側移動では、第2のピストンバルブ37のバルブ座板50が環状の突起45に当接して、非ロッド側油室27bから右油圧空間46及び伸び側油路49を通ってロッド側油室27aに流れるオイルの流れが阻止され、ピストン10の伸び側移動では、第1のピストンバルブ37のバルブ座板50が環状の突起45に当接して、ロッド側油室27aから左油圧空間46及び縮み側油路47を通って非ロッド側油室27bに流れるオイルの流れが阻止される。
地震が弱く建物の揺れが小さい場合、油圧ダンパ1に作用する伸縮方向の力も小さくかつ弱い。この場合、ピストン10が油圧室27内で移動しようとする力も弱く、その速度も遅い。油圧ダンパ1が収縮する方向、即ちピストン10が非ロッド側油室27bに向って移動する場合、非ロッド側油室27b内のオイルが縮み側油路47を通って左油圧空間46に流れようとするが、ピストン10を移動する力も弱くかつ遅いので、左油圧空間46に作用する油圧上昇も小さい。従って、第1のピストンバルブ37は、皿バネ51の付勢力によりバルブ座板50が環状の突起45に略々当接した閉じ位置に保持される。同様に、油圧ダンパ1が伸長する方向、即ちピストン10がロッド側油室27aに向って移動する場合、ロッド側油室27aのオイルが伸び側油路49を通って右油圧空間46に流れようとするが、該右油圧空間46の油圧も小さく、第2のピストンバルブ37は、バルブ座板50が環状の突起45に略々当接した閉じ位置に保持される。
従って、地震の規模が比較的小さく、建物に作用するエネルギが小さい場合、油圧ダンパ1は、その収縮及び伸長の両方向において非ロッド側油室27b及びロッド側油室27aに流れようとするオイルの流れが前記オリフィス61により制限された減衰力特性の大きい状態にあり、油圧ダンパ1の伸縮移動は、大きな抵抗力を受ける。即ち、ピストン10の移動速度が遅い場合、図15のS部分に示すように、両油室27a,27bのオイルの流通量は、極小の流通面積からなるオリフィス61による僅かな量であり、大きな荷重(抵抗力)が作用し、油圧ダンパ1は、ピストン速度Vに対する荷重Fの勾配が大きな剛体に近い状態となる。これにより、地震規模が小さい場合又は道路を車両が通過する振動の場合等、振動エネルギが小さく、建物の揺れが比較的小さい場合、油圧ダンパ1からなる制振構造110は、建物に対して剛体に近いブレース材、耐力壁として機能し、建物の揺れを抑えると共に、建物の強度を向上する。この際、油圧ダンパ1の取付け部分に集中荷重が作用するとしても、振動エネルギは比較的小さいので、該取付け部分が破損することはない。また、両油室27a,27bの間を流れるオイルは、バルブ座板50と環状のオリフィス61の狭い通路を大きな抵抗を受けながら流れるので、熱に変換され、ヒステリシスとなって建物の揺れエネルギを有効に吸収する。このように、比較的高い頻度で発生する小さな振動エネルギに対しては、建物は、上記減衰力特性の高い油圧ダンパにより建物の揺れは抑えられ、建物の居住性等の構造物の品質を向上することができる。
地震規模が大きく、建物の揺れが大きい場合、油圧ダンパ1に作用する伸縮方向の力も大きくなると共に、そのストロークも大きくなりかつ速度も速くなる。この状態では、ピストン10は大きなストロークでかつ速く移動し、ピストン10が右方向に移動する場合、非ロッド側油室27bから、縮み側油路47を通って左油圧空間46に流れ込むオイル油圧が高くなり、第1のピストンバルブ37のバルブ座板50は、図13に示すように、該座板自体のバネ力及びバックアップとしての皿バネ51の付勢力に抗してその外周部分が環状の突起45から離れる方向に撓む。同様に、ピストン10が左方向に移動する場合、ロッド側油室27aから、伸び側油路49を通って右油圧空間46に流れ込むオイルの油圧が高くなり、第2のピストンバルブ37のバルブ座板50は、環状の突起45から離れる方向に撓む。
これにより、第1及び第2のピストンバルブ37,37は、図13に示すように、バルブ座板50と環状の突起45との間に流路M,Nが形成され、該流路M,Nを通って両油室27a,27bにオイルが流れることにより、図15のT部分に示すように、速度Vに対する荷重Fの勾配が低い減衰力特性の低い状態となり、油圧ダンパ1は、低い抵抗力により伸縮する。従って、大きな地震に際しては、油圧ダンパ1が、比較的低い減衰力特性により建物の揺れを制振し、地震エネルギを吸収する。この際、図13に示すように、バルブ座板50の外径部は、環状の突起45とその全周において離れ、該周長の長い環状の突起45との間に比較的広い面積からなる上記流路M,Nが一気に形成される。これにより、図15に示すように、油圧ダンパの減衰力特性は、所定値(変曲点)Pにおいて急勾配(S)から緩勾配(T)に瞬時に切換えられる。
この状態では、油圧ダンパ1は、伸縮しつつ制振するので、取付け部分に過度に大きな集中荷重が作用することがなく、該取付け部分又は該取付け部分の柱材105,106及びブレース材等が破壊されることを減少する。また、地震エネルギは、上部流路M,Nを絞られつつ流れる比較的大量のオイルの流れにより熱に変換されて吸収される。また、上記地震により建物が塑性変形領域まで変形したとしても、地震が終わった状態で、油圧ダンパ1は、スプリング40及びガス室29のガス圧がバランスすると共にピストンロッド6の面積差による両油室27a,27bの初期位置に戻るように付勢されており、上記塑性変形まで変形した建物も、上記油圧ダンパ1のストローク中央位置への付勢により元の状態(初期姿勢)に戻される。これにより、頻度は少ないが、大きな地震が発生した場合、建物は、本制振構造110により有効に制振され、建物の破壊を防止して耐震性を向上することができる。
更に、例え木造建物が変形しても、油圧ダンパ1は、元の状態に戻るように付勢されるので、木造建物自体の復元力と相俟って、構造体101からなる建物は、徐々に元の状態に戻される。
上記油圧ダンパ1は、シリンダ5からピストンロッド6が突出する側に空気室(余裕空隙)31が設けられており、該空気室31部分のピストンロッド6は、キャップ部材7のスクレーパ30により塵埃、錆、水等が除去されたクリーンな状態にある。従って、上記地震により油圧ダンパ1が伸縮して、ピストンロッド6がエンド部材19の貫通孔を摺接しても、該摺接部分は、上記クリーンな状態にある部分であり、上記摺接に際してピストンロッドに付着した塵埃等がエンド部材19のシール(Oリング)22を傷付けたり、また該塵埃、水等が油圧室27内に浸入することを防止できる。
なお、チェック弁である第1及び第2のピストンバルブ37,37にオリフィス61を設けないと、ピストンバルブが閉じ位置にある場合、ピストン10及びピストンバルブ37,37の漏れ(オイルリーク)に起因する急勾配(S部分)で荷重Fが増加し、高い減衰力特性を有する。該急勾配(S部分)からなる減衰力特性は、800[kN/(m/sec)]程度となる。
上記オイルリークによる減衰力特性は、バルブ座板50と環状の突起45との密着精度及びピストン10とシリンダ5との嵌合精度等との機械的精度に影響され、高い精度で上記減衰力特性を安定することが難しい。また、地震等の建物の揺れによる油圧ダンパ1の伸縮は、圧縮側、伸長側に比較的速い周期で切換わり、前記所定値(変曲点)Pまでは、減衰力は作動量に比例して略々直線的に上昇し(急勾配S部分)、リリーフ圧(P)に達してからは、略々一定の減衰力(緩勾配T部分)に保持される。油圧ダンパ1は、前記圧縮側又は伸長側に切換わる時点で瞬間的に作動を停止するが、上記オイルリークを最小限に設定すると、油室27a,27bに残圧が生じる。この結果、上記油圧ダンパ1が逆方向に作動開始しても、上記残圧が解消するまでは、ピストン10の作動方向に抵抗する力は発生せず、減衰力の発生に遅れを生じる。該減衰力の立ち上り遅れは、ヒステリシス面積にも影響を与え、エネルギ吸収量は小さくなる。
また、油圧ダンパ1は、前述した伝達手段Uにより作動効率eが大きくなるように変更した制振構造110に用いられるので、上記オリフィス61を設けない場合、地震初期の移動速度が所定値P以下の状態では、油圧ダンパの横揺れに対する抗力が大き過ぎ、油圧ダンパ1の減衰力の立ち上りが遅れ傾向となるが、小流通面積aのオリフィス61を有するので、地震初期による油圧ダンパの立ち上り遅れを防止し、かつオリフィス61により油圧ダンパ1が所定ストロークした後、地震による構造体101の大きくかつ移動の速い層間変位に対して、油圧ダンパ1は、速い応答性で比較的大きくストロークする。これにより、上述した伝達手段による作動効率eに適合したストローク及び抗力(荷重)により油圧ダンパ1は、高い効率で有効に建物を制振する。
鋭意研究した結果、チェック弁であるピストンバルブが閉じ位置にある場合(急勾配部分S)における移動速度に対する荷重変化(勾配)が、150〜600[kN/(m/sec)]にある場合、上述した効果が得られる知見を得た。即ち、上記勾配が150[kN/(m/sec)]以下であると、小さな地震等による建物の揺れエネルギを吸収して、建物の揺れを有効に抑えることができず、上記勾配が600[kN/(m/sec)]以上であると、上記残圧が生じて、有効に振動エネルギを吸収することができない。
例えば、第1及び第2のピストンバルブ37,37の1枚のバルブ座板50aにそれぞれ溝61aを形成して、2個の溝からなるオリフィス61は、流通面積aが0.15[mm]となる。この場合の急勾配Sでの減衰力特性(等価剛性)は、350〜600[kN/(m/sec)]となり、該減衰力特性の範囲では、等価剛性も比較的大きく、かつ加速度(衝撃)吸収性もあり、大変形〜微小変形の大きな揺れ領域に対して、バランスよく制振効果を期待できる。
上記溝61aが合計4個からなるオリフィス61は、流通面積aが0.30[mm]となり、この場合の急勾配Sでの減衰力特性(等価剛性)は、150〜350[kN/(m/sec)]となる。該減衰力特性の範囲では、加速度(衝撃)吸収性が高くなり、微小変形領域において有効に機能し、例えばトラックの道路走行に起因する生活振動等に対して大きな制振効果が期待できる。
なお、溝61aの数は、2個、4個に限らず、1個、3個又はそれ以上でもよく、減衰力特性が150〜800[kN/(m/sec)]の範囲となる間で、適宜設定することができる。
従って、上記勾配Sでの減衰力特性は、150〜600[kN/(m/sec)]の範囲で上述した建物の制振構造として有効に機能し、かつ残圧による応答遅れを生じることがなく、建物の制振構造として好ましく、更に300〜600[kN/(m/sec)]の範囲において、等価剛性と加速度(衝撃)吸収性のバランスのとれた大きな範囲で制振効果が期待できる。
図14に沿って、ピストンバルブ37,37を一部変更した実施の形態について説明する。なお、先の実施の形態と同様な部分は、同一符号を付して説明を省略する。ピストン10’は、ピストンロッド小径部6aを嵌挿するボス部44と環状の突起45を有する。ピストンの両側面10’a,10’bにおける上記突起45の突出高さHが、ボス部44の突出高さhに比して高く構成される。第1及び第2のピストンバルブ37,37は、ピストン10’の両側面において、ワッシャ35、バネ受けリング部材33等を介して、ピストンロッド段差部6bとの間でナット36を締付けることにより取付けられる。
バルブ座板50及び皿バネ51は、上記ナット36の締付けにより、その中心部分がボス部44に接触するように、かつバルブ座板50の外周部が上記突起45に当接するように押さえられる。上記突起45とボス部44の突出高さ(H>h)の差により、板バネからなるバルブ座板50は、撓んでその外周部が突起45に接触する方向の所定予荷重が付与される。
これにより、ピストン10’の移動速度が所定値以下で、油圧空間46に所定油圧が作用しないと、上記バルブ座板50は、上記所定予荷重により閉塞位置に保持される。従って、油圧ダンパ1の減衰力特性は、急勾配部分(S)の勾配が急になり、所定値Pが高くなる。これにより、弱い地震等に対しては、油圧ダンパ1は剛体に近くなり、建物の揺れを抑えることができ、かつピストン移動速度Vが所定値P以上となる所定規模以上の強い地震に対しては、一気に緩勾配Tに切換わって、建物を制振してその破壊を抑えることができる。
図14に示すように、ボス部44とバルブ座板50との間に、所定枚数(本実施の形態では1枚)の間座55を介在して、第1及び第2のピストンバルブ37,37が取付けられる。該間座55の枚数又は板厚を調節することにより、上記バルブ座板50に作用する所定予荷重を調整することができる。これにより、木造建物の構造、建物の強度、規模、振動特性等に対応して上記予荷重が調整され、適正な油圧ダンパ1を選択することにより、容易に建物に対応した油圧ダンパを適用することが可能となる。
図16〜図19は、オリフィス(バイパス)を有するピストンバルブを備えた油圧ダンパの減衰力特性を示す。なお、シリンダの内径断面積Aは、1661.90[mm]であり、横軸はピストンの移動速度[m/sec]、縦軸は荷重[kN]である。図16,図17は、オリフィス(バイパス)の流通面積aが0.30[mm]であり、図16は油圧ダンパの縮み側の移動、図17は、伸び側の移動を示す。図18,図19は、オリフィス(バイパス)の流通面積aが0.15[mm]であり、図18が、油圧ダンパの縮み側の移動、図19は伸び側の移動を示す。
なお、前記ピストンバルブの構造は、環状の突起45及びバルブ座板50からなるものに限らず、付勢された弁構造からなるもの等、上述した減衰力特性を備えるものであれば、他の構造でもよい。また、上記実施の形態は、ピストンロッド6は、ロッド側油室27aのみに貫通しているが、非ロッド側油室27bにも貫通してフロート部材23に支持されるものでもよい。この場合、スプリング40は、必ずしも必要としない。
1 油圧ダンパ
5 シリンダ
6 ピストンロッド
7 キャップ部材
9 シリンダの端部(連結部材)
10,10’ ピストン
10a,10’a 側面
10b,10’b 側面
19 エンド部材
23 フロート部材
27 油圧室
27a 一方の油室(ロッド側油室)
27b 他方の油室(非ロッド側油室)
29 ガス室
37,37 第1のピストンバルブ
37,37 第2のピストンバルブ
40 スプリング
44 ボス部
45 突起
46 油圧空間
47,49 (縮み側)油路、(伸び側)油路
50 バルブ座板
60 チェック弁
61 オリフィス
61a 溝
z 開口面積比率
101 構造体
102,103 横架材
105,106 柱材
110,110〜110 制振構造
111,112 ブレース材
114,115 耐力壁材
117 レバー部材
C,C1,C2 中間部(連結ピン)
U,U1,U2 伝達手段

Claims (10)

  1. 並行する2本の柱材と、これら2本の柱材の上端及び下端に接合した並行する2本の横架材と、から構成される構造体を有する建物の制振構造であって、
    前記2本の柱材の内の一方の柱材における高さの異なる少なくとも2箇所で連結して、他方の柱材側における前記一方の柱材の連結部の高さ方向中間部に、前記2本の横架材の層間変位を作動変位として伝達する伝達手段と、
    前記伝達手段の作動変位を吸収する油圧ダンパと、
    を備えたことを特徴とする建物の制振構造。
  2. 前記伝達手段は、前記一方の柱材の上端部及び下端部にそれぞれ連結すると共に、前記中間部にて互いに連結するブレース構造であり、
    前記油圧ダンパは、前記ブレース構造の中間部と前記他方の柱材との間に介在されてなる、
    請求項1記載の建物の制振構造。
  3. 前記伝達手段は、前記一方の柱材に固定された耐力壁材であり、該耐力壁材の前記他方の柱材側と前記他方の柱材との間に前記油圧ダンパを介在してなる、
    請求項1記載の建物の制振構造。
  4. 前記油圧ダンパは、前記一方の柱材の端部と前記他方の柱材の中間部との間に連結されてなる、
    請求項1記載の建物の制振構造。
  5. 前記伝達手段は、前記一方の柱材の端部と前記他方の柱材の中間部との間に連結されたトッグル機構であり、
    前記油圧ダンパは、前記トッグル機構の連結ピンと前記他方の柱材との間に介在してなる、
    請求項1記載の建物の制振構造。
  6. 前記伝達手段は、前記一方の柱材の上端部及び下端部にそれぞれ一端が連結される第1及び第2ブレース材と、前記他方の柱材の中間部に一端が連結され、かつ前記第1及び第2ブレース材の他端が連結されるレバー部材と、を有し、
    前記油圧ダンパは、前記レバー部材の他端と前記一方の柱材の間に介在され、
    前記レバー部材は、前記第1及び第2ブレース材の連結点を支点とし、前記一端の連結点を力点とし、前記他端の連結点を作用点としたレバー比により、前記力点に作用する変位を前記作用点から前記油圧ダンパに変更して伝達してなる、
    請求項1記載の建物の制振構造。
  7. 前記油圧ダンパは、シリンダ内にオイルを充填した油圧室を1個のピストンにより2個の油室に区画し、前記シリンダに少なくとも軸方向に一体のエンド部材と、前記シリンダに軸方向に移動自在なフロート部材との間で前記油圧室を形成してなり、
    前記シリンダの端部の閉塞部と前記フロート部材との間に、前記油圧室から前記フロート部材に作用する油圧に対向する所定圧の不活性ガスが封入されているガス室を形成し、
    前記ピストン部分に、前記2個の油室の一方から他方の油室へのオイルの流れを規制する第1のピストンバルブと、前記他方の油室から一方の油室へのオイルの流れを規制する第2のピストンバルブと、前記2個の油室を連通するオリフィスと、を設け、
    前記油圧ダンパは、前記第1及び第2のピストンバルブがそれぞれ前記規制される流れと反対方向のオイルの流れに対して、前記シリンダに対する前記ピストンの移動速度が所定値以下の状態では閉じ位置にあって前記オイルの流れを前記オリフィスにより制限し、移動速度に対する荷重変化が急勾配からなり、前記ピストンの移動速度が前記所定値より速い状態では開かれて前記オイルの流れを許容し、移動速度に対する荷重変化が小さい緩勾配からなる減衰力特性を有し、
    前記オリフィスは、前記シリンダの内径断面積に対する該オリフィスの流通面積の比である開口面積比率が0.004〜0.040である、
    請求項1ないし6のいずれか1項記載の建物の制振構造。
  8. 前記油圧ダンパは、前記所定値以下の状態で前記移動速度に対する荷重変化が150〜600[kN/(m/sec)]である、
    請求項7記載の建物の制振構造。
  9. 前記油圧ダンパは、前記ピストンからのピストンロッドが前記ピストンから前記2個の油室の内の一方の油室のみを貫通して延び、かつ前記エンド部材と前記ピストンとの間に縮設されて前記一方の油室にスプリングが配置されてなる、
    請求項7又は8記載の建物の制振装置。
  10. 前記第1及び第2のピストンバルブは、前記ピストンの両側面に形成され、前記油圧ダンパの中心軸線を中心とした円周からなる環状の突起と、該突起に外周部が当接するように付勢された可撓性のバルブ座板と、前記ピストンの両側面を前記突起の外径側と内径側とでそれぞれ連通する油路と、を有し、
    前記バルブ座板は、複数枚からなり、該複数枚のバルブ座板の少なくとも1枚に、外径側から切込まれた少なくとも1個の溝が形成され、該溝が前記環状の突起の内径側と外径側とを連通して前記オリフィスを形成してなる、
    請求項6ないし9のいずれか1項記載の建物の制振装置。
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