JP2013104510A - 制振装置 - Google Patents

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【課題】ひずみエネルギーを蓄えて衝撃を緩和する上に振動を減衰することができる制振装置を提供すること。
【解決手段】制振装置1は、ばね材2と、ばね材2の径方向であってZ方向において互いに対向する二つの部分2a及び2bの夫々に一対の連結部材5及び6を介して螺合連結されている一対のねじ軸3及び4と、ばね材2に弾性変形を生じる一対のねじ軸3及び4の対向両端7及び8の接近及び離反の振動エネルギを吸収するべく、ばね材2を橋絡するようにねじ軸3及び4の対向両端7及び8に連結されて配された振動エネルギ吸収手段9とを具備している。
【選択図】図1

Description

本発明は、地震等による建物等の構造物の振動を減衰する制振装置に関する。
例えば、特許文献1には、建物の上部側で水平にのびる上側水平部材と、上側水平部材よりも下方を水平にのびる下側水平部材との間に取り付けられ、かつ、上側水平部材と下側水平部材との間の水平力を吸収する制振装置が提案されており、斯かる制振装置において、変位ユニットと上側水平部材との間に配された上部側張力手段及び変位ユニットと下側水平部材との間に配された下部側張力手段の夫々は、長さ調整可能なターンバックルを有する一対のブレースからなっている。
特開2011−144556号公報
ところで、斯かる制振装置では、想定以上の振動が生じた際にブレースの緩み、取付部分から破損する等の事態が生じ得ることから、このような事態を防ぎ得る制振性能を有した制振装置が望まれる。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ひずみエネルギーを蓄えて衝撃を緩和する上に振動を減衰することができる制振装置を提供することにある。
本発明の制振装置は、少なくとも一つの環状のばね材と、このばね材の互いに対向する二つの部分に螺合連結されている一対のねじ軸と、ばね材に弾性変形を生じる一対のねじ軸の対向両端の接近及び離反の振動エネルギを吸収するべく、ばね材を橋絡して配された振動エネルギ吸収手段とを具備している。
本発明の制振装置によれば、特に、ばね材に弾性変形を生じる一対のねじ軸の対向両端の接近及び離反の振動エネルギを吸収する振動エネルギ吸収手段を具備しているために、ばね材の弾性変形によって振動エネルギを蓄えて衝撃を緩和する上に振動エネルギ吸収手段によって振動を減衰することができ、斯かる制振装置は、例えば、建築現場、装置の設置、運送業や倉庫業等の固定に用いられ得る。
本発明の制振装置では、振動エネルギ吸収手段は、ばね材の互いに対向する二つの部分のうちの一方の部分に連結されたシリンダ本体と、このシリンダ本体を二室に画成するべく、シリンダ本体内に配されているピストンと、当該二室を連通するオリフィスと、一端部がピストンに連結されていると共にシリンダ本体の一端部を貫通してシリンダ本体外に突出してばね材の互いに対向する二つの部分のうちの他方の部分に連結された第一のピストンロッドと、一端部がピストンに連結されていると共にシリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出した第二のピストンロッドと、シリンダ本体の二室に充填された流体とを有したダンパを具備していてもよい。
本発明の制振装置では、流体は、シリコン系の液体からなっていてもよく、また、可圧縮性を有していてもよく、第一のピストンロッドは、第二のピストンロッドの径と同一の径又は当該径よりも小さな径を有していてもよく、また、ダンパとしては、斯かる流体を用いたダンパに代えて、塑性ダンパ又は摩擦ダンパであってもよく、更に、ばね材は、無端環状であって、好ましくは、円形状の形状を有しているが、楕円形状の形状であってもよく、ばね材が、無端環状であって円形状の形状を有している場合には、好ましい例では、ダンパは、ばね材の中心を通ってばね材を橋絡して配されており、一対のねじ軸には、互いに同方向又は逆方向のねじが切られていてもよいが、逆方向のねじが切られている場合には、一対のねじ軸間の間隔を調節することができ、ばね材をねじ軸の軸心を中心として回転させることによって、ターンバックル的機能を得ることができるので好ましく、ばね材は、好ましい弾性と強靭性とが得られるように、ばね鋼等から形成されているとよいが、ばね材においても振動エネルギを吸収させる場合には、ばね材は、好ましい弾性と強靭性とに加えて、高減衰特性をもった材料から形成されているとよい。
本発明によれば、ひずみエネルギーを蓄えて衝撃を緩和する上に振動を減衰することができる制振装置を提供し得る。
図1は、本発明の実施の形態の例の全体説明図である。 図2は、図1に示す例の側面説明図である。 図3は、図1に示す例の主に振動エネルギ吸収手段の拡大断面説明図である。 図4は、図1に示す例の他の形態の振動エネルギ吸収手段の拡大断面説明図である。 図5は、本発明の実施の形態の他の例の全体説明図である。 図6は、本発明の実施の形態の更に他の例の全体説明図である。 図7は、本発明の実施の形態の更に他の例の全体説明図である。 図8は、本発明の実施の形態の更に他の例の全体説明図である。 図9は、本発明の実施の形態の更に他の例の全体説明図である。
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
図1から図3において、本例の制振装置1は、無端環状としての円形状のばね材2と、ばね材2の径方向であってZ方向において互いに対向する二つの部分2a及び2bの夫々に一対の連結部材5及び6を介して螺合連結されている一対のねじ軸3及び4と、ばね材2に弾性変形を生じる一対のねじ軸3及び4の対向両端7及び8の接近及び離反の振動エネルギを吸収するべく、ばね材2を橋絡するようにねじ軸3及び4の対向両端7及び8に連結されて配された振動エネルギ吸収手段9とを具備している。
ねじ軸3及び4は径方向においてZ方向に伸びており、ねじ軸3の端部7はねじ軸4の端部8に対してZ方向において間隔をもって対向している。ねじ軸3及び4のうちの一方には右ねじが、当該他方には左ねじが切られている、即ち、ねじ軸3及び4には、互いに逆方向のねじが切られている。
ねじ軸3をばね材2の部分2aに螺合連結させる連結部材5は、ばね材2の部分2aが取り付けられたブロック状の本体11と、本体11にZ方向に伸びて形成されていると共にねじ軸3に螺合している螺合孔12とを具備しており、本体11には、ばね材2の部分2aが溶接により固着されている。
ねじ軸4をばね材2の部分2bに螺合連結させる連結部材6は、ばね材2の部分2aに径方向において対向する部分2bが取り付けられたブロック状の本体13と、本体13にZ方向に伸びて形成されていると共にねじ軸3に螺合している螺合孔14とを具備しており、本体13には、ばね材2の部分2bが溶接により固着されている。
ばね材2は、例えば図1に示すように、弾性を有する棒部材が円環状に形成されてなる。尚、ねじ軸3及び4間の間隔は、ばね材2をZ方向に伸びる軸を中心として回転させることによって調整することができる。
ばね材2は、ねじ軸3及び4がZ方向において互いに変位した場合には、復元可能な範囲で楕円形状に弾性変形してひずみエネルギーを蓄える。
ばね材2は、ねじ軸3及び4がZ方向において互いに接近した場合には、Z方向において縮まる一方、Z方向に直交する方向において伸張されるように、復元可能な範囲で弾性変形してひずみエネルギーを蓄える。蓄えたひずみエネルギーはねじ軸3及び4をZ方向において互いに離反させて原点位置に復帰させる弾性力として発揮される。
また、ばね材2は、ねじ軸3及び4がZ方向において互いに離反した場合には、Z方向において伸張される一方、Z方向に直交する方向において縮まるように、復元可能な範囲で弾性変形してひずみエネルギーを蓄える。蓄えたひずみエネルギーはねじ軸3及び4をZ方向において互いに接近させて原点位置に復帰させる弾性力として発揮される。
振動エネルギ吸収手段9は、例えば図3に示すように、シリンダ本体31と、シリンダ本体31を二室32及び33に画成するように、シリンダ本体31内に配されているピストン35と、二室32及び33を連通すると共にピストン35に形成された少なくとも一個のオリフィス34と、一端部36がピストン35に連結されて、シリンダ本体31の一端部37を貫通してシリンダ本体31外に突出されたピストンロッド38と、一端部39がピストン35に連結されて、シリンダ本体31の他端部40を貫通してシリンダ本体31外に突出されていると共にピストンロッド38の径と同径の径をもったピストンロッド41と、シリンダ本体31の二室32及び33に充填された例えばシリコンオイル等の圧縮性を有した加圧流体42と、ピストンロッド41の他端部51に固着されている一方、ねじ軸3の端部7に回転自在に連結された連結部材52と、シリンダ本体31に固着されている一方、ねじ軸4の端部8に回転自在に連結された連結部材53とを具備して、ピストンロッド38及び41の伸びる方向であるZ方向に伸縮変形自在であるダンパ30を具備しており、こうして、ダンパ30は、そのピストンロッド41の他端部51が連結部材52、ねじ軸3及び本体11を介してばね材2の部分2aに連結されている一方、そのシリンダ本体31の一端が連結部材53、ねじ軸4及び本体13を介してばね材2の部分2aに径方向において対向する部分2bに連結されており、而して、振動エネルギ吸収手段9のダンパ30は、ばね材2を橋絡して配されている。
以上のダンパ30は、ねじ軸3及び4がZ方向において互いに離反した場合にはZ方向において伸張し、ねじ軸3及び4がZ方向において互いに接近した場合にはZ方向に関して縮み、この伸縮においてオリフィス34を介する加圧流体42の室32と室33との間の移動により可及的速やかに当該ダンパ30に加わる運動エネルギを減衰させる。
ねじ軸3及び4がZ方向において互いに離反、接近して変位した場合には、ばね材2は復元可能に変形することでひずみエネルギーを蓄える一方、ダンパ30はオリフィス34を介する加圧流体42の室32と室33との間の移動により可及的速やかに当該ダンパ30に加わるZ方向の運動エネルギを減衰させる。
尚、ダンパ30は、例えば図4に示すように、ピストンロッド38がピストンロッド41の径よりも大きな径を有していてもよい。斯かる場合には、ダンパ30は、連結部材52又は53にZ方向の引っ張り外力が加わらない場合には、換言すれば、連結部材52と連結部材53とをZ方向に関して互いに引き離そうとする外力が加わらない場合には、二室32及び33における受圧面積の相違によるピストン35に加わる一端部37に向かう自身の力、すなわちZ方向に関する自身の引っ張り力により、Z方向に関して可能な最小に縮められた状態になる。そして、連結部材52と連結部材53とをZ方向に関して互いに引き離そうとする外力が、二室32及び33における受圧面積の相違によるピストン35に加わる一端部37に向かう自身の力よりも大きくなると、連結部材52と連結部材53とは、Z方向に関して互いに引き離されるようになり、ダンパ30は、Z方向に関して伸張されることになる一方、伸張後に連結部材52と連結部材53とをZ方向に関して互いに引き離そうとする外力が自身の引っ張り力よりも小さくなると、ダンパ30は、Z方向に関して縮むことになる。この伸縮において、ダンパ30は、オリフィス34を介する加圧流体42の室32と室33との間の移動により可及的速やかにダンパ30に加わる運動エネルギを減衰させることになる。斯かるダンパ30では、大径のピストンロッド38と小径のピストンロッド41との面積差と加圧流体42の圧力とに基づく力以上の伸長力が外部から付加されない限り、剛体のように振る舞い、したがって例えば連結部材52に取り付けられた構造体をしっかり保持でき、それ以上の伸長力が外部から付加されると、オリフィス34を介する加圧流体42により斯かる構造体の運動エネルギを可及的速やかに吸収して構造体の運動を減衰させることができる。加えて、ダンパ30によれば、大径のピストンロッド38と小径のピストンロッド41との面積差と加圧流体42の圧力とに基づく力、すなわち自身の引っ張り力が構造体に印加されるために、移動後の構造体を元の位置に戻すことができる。
以上の制振装置1を例えば建築物に用いる場合には、建造材の対角線上ブレース中間部に連結し、ダンパ30に対してばね材2を軸心の周りで相対的に回転させることにより、緩みをなくして設置し得る。
本例の制振装置1によれば、円形状のばね材2と、ばね材2に連結されていると共にねじ軸3及び4に螺合している連結部材5及び6と、ねじ軸3及び4の対向両端7及び8に連結されていると共にばね材2のひずみ時におけるねじ軸3及び4の対向両端7及び8の接近及び離反において振動エネルギを吸収する振動エネルギ吸収手段9とを具備しているために、ばね材2の復元可能な弾性変形によってひずみエネルギーを蓄えて衝撃を緩和する上に振動エネルギ吸収手段9によって振動を減衰することができる。制振装置1は、例えば、建築現場、装置の設置、運送業や倉庫業等の固定に用いられ得る。
上記の制振装置1においては、連結部材52をねじ軸3の端部7に連結し、連結部材53をねじ軸4の端部8に連結したが、これに代えて、図5に示すように、連結部材52を連結部材5の本体11に直接固着して連結し、連結部材53を連結部材6の本体13に直接固着して連結して、ピストンロッド41の他端部51をねじ軸3を介することなしにばね材2の部分2aに連結する一方、シリンダ本体31の一端をねじ軸4を介することなしにばね材2の部分2bに連結して、これによりばね材2を橋絡してダンパ30を配してもよく、更に、上記では、伸縮方向がZ方向となるようにばね材2を橋絡してダンパ30を配したが、これに代えて、図6に示すように、伸縮方向がZ方向と直交する径方向においてY方向となるように、連結部材52をばね材2のY方向において互いに対向する二つの部分2c及び2dのうちの一方の部分2cに、連結部材53を部分2cに径方向においてY方向で対向するばね材2の二つの部分2c及び2dのうちの他方の部分2dに夫々連結して、ばね材2の中心を通って、しかも、ばね材2を橋絡してダンパ30を配してもよく、この場合、連結部材52は、ばね材2の部分2cが貫通するような貫通孔61を、連結部材53もまた、ばね材2の部分2dが貫通するような貫通孔62を夫々有しているとよく、また、斯かる貫通孔61及び62の夫々で部分2c及び2dの夫々が連結部材52及び53の夫々に固着されていてもよい。
更に、上記の制振装置1において、連結部材5及び6を設けることなしに、ばね材2の部分2a及び2bの夫々に貫通孔を形成し、この貫通孔の夫々においてねじ軸3及び4が螺合する雌ねじを部分2a及び2bの夫々にねじ切りし、斯かる部分2a及び2bにねじ軸3及び4の夫々を直接螺合して、連結部材5及び6を介することなしに、ばね材2の部分2a及び2bの夫々にねじ軸3及び4の夫々を螺合連結してもよく、このようにすると、ねじ軸3の軸心とねじ軸4の軸心とを結ぶ線上にばね材2の中心が位置することになり、ねじ軸3及び4の互いの接近、離反において、ねじ軸3及び4に撓み力が発生することをなくし得る。
また、上記の制振装置1においては、一個のばね材2を用いたが、図7に示すように、ダンパ30を挟んで一対のばね材2を夫々の部分2a及び2b並びに連結部材5及び連結部材6を介して一対のねじ軸3及び4の夫々に螺合連結してもよく、また、図8に示すように、一個のばね材2を挟んで一対のダンパ30を配し、連結部材5及び6の夫々を介して一対のダンパ30の夫々の連結部材52及び53をばね材2の部分2a及び2bに連結してもよく、この場合、ねじ軸3の軸心とねじ軸4の軸心とを結ぶ線上にばね材2の中心が位置するように、連結部材5及び6の本体11及び13の夫々を貫通してばね材2の部分2a及び2bを連結部材5及び6に連結し、ねじ軸3及び4の夫々の一端部71及び72を連結部材5及び6の夫々に設けられたねじ溝73及び74に螺合連結してもよく、図7及び8に示すようにすると、ねじ軸3及び4の互いの接近、離反においてねじ軸3及び4に撓み力が生じなくし得る。
以上の例では、円形の無端環状のばね材2を用いたが、これに代えて、図9に示すように、一対のばね板81及び82と、板ばね81及び82の両端部を連結、固定したボルト−ナット83及び84とを具備した環状のばね材2を用いてもよく、この場合、ボルト−ナット83及び84に代えて又はこれと共に、板ばね81及び82の両端部を溶接等により連結、固定してもよく、更には、ばね材2は、複数枚の板ばね81と複数枚の板ばね82とを具備していてもよい。
1 制振装置
2 ばね材
3、4 ねじ軸
5、6 連結部材
9 振動エネルギ吸収手段
30 ダンパ

Claims (7)

  1. 少なくとも一つの環状のばね材と、このばね材の互いに対向する二つの部分の夫々に螺合連結されている一対のねじ軸と、ばね材に弾性変形を生じる一対のねじ軸の対向両端の接近及び離反の振動エネルギを吸収するべく、ばね材を橋絡して配された振動エネルギ吸収手段とを具備している制振装置。
  2. 振動エネルギ吸収手段は、ばね材の互いに対向する二つの部分のうちの一方の部分に連結されたシリンダ本体と、このシリンダ本体を二室に画成するべく、シリンダ本体内に配されているピストンと、当該二室を連通するオリフィスと、一端部がピストンに連結されていると共にシリンダ本体の一端部を貫通してシリンダ本体外に突出してばね材の互いに対向する部分のうちの他方の部分に連結された第一のピストンロッドと、一端部がピストンに連結されていると共にシリンダ本体の他端部を貫通してシリンダ本体外に突出した第二のピストンロッドと、シリンダ本体の二室に充填された流体とを有したダンパを具備している請求項1に記載の制振装置。
  3. 流体は、シリコン系の可圧縮性液体からなる請求項2に記載の制振装置。
  4. 第一のピストンロッドは、第二のピストンロッドの径と同一の径を有している請求項2又は3に記載の制振装置。
  5. 第一のピストンロッドは、第二のピストンロッドの径よりも小さな径を有している請求項2又は3に記載の制振装置。
  6. 無端環状のばね材は、円形状の形状を有しており、ダンパは、ばね材の中心を通ってばね材を橋絡して配されている請求項1から5のいずれか一項に記載の制振装置。
  7. 一対のねじ軸には、互いに逆方向のねじが切られている請求項1から6のいずれか一項に記載の制振装置。
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