JP2003041798A - 制震ユニット、当該ユニットを用いた制震構法および構造物 - Google Patents

制震ユニット、当該ユニットを用いた制震構法および構造物

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JP2003041798A
JP2003041798A JP2001233504A JP2001233504A JP2003041798A JP 2003041798 A JP2003041798 A JP 2003041798A JP 2001233504 A JP2001233504 A JP 2001233504A JP 2001233504 A JP2001233504 A JP 2001233504A JP 2003041798 A JP2003041798 A JP 2003041798A
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Hideyuki Kosaka
英之 小坂
Hisayuki Yamanaka
久幸 山中
Yuichi Hirata
裕一 平田
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Mitsui Construction Co Ltd
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Mitsui Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡素で軽量な震動エネルギーを吸収すること
ができる制震ユニットを提供することを目的とする。 【解決手段】 具体的には、本発明は、震動エネルギー
を吸収するエネルギー吸収部材と、圧縮剛性を実質的に
無視することができる引張部材とを具備し、該引張部材
をは、引張力によって構造物の変形を該エネルギー吸収
部材に伝達し、構造物の震動エネルギーをエネルギー吸
収部材に吸収させて、構造物の制震を行う制震ユニット
によって上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、建築物の制震構造
に関連し、特に、制震機構を簡素化して軽量化を図り、
同時に、建築物への取り付け位置を変更可能として、建
築物の将来の用途の変更にも対応可能な可動制震ユニッ
トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】地震国であるわが国では、建築物の長期
間にわたる安全性と機能維持にとって、耐震性の確保が
極めて重要な課題である。建築物の耐震構造の形式とし
ては、構造物の剛性によって地震力に対抗する剛性構
造、構造物に入力される地震動を低減する免震構造、さ
らには、構造物に減衰機構を設けて変形を抑制する制震
構造がある。本発明は、これらの耐震構造のうち、特に
制震構造に関するものである。
【0003】制震構造は、構造物に震動エネルギーを吸
収するための機構を設け、地震時の構造物の震動エネル
ギーをエネルギー吸収機構に吸収させ、構造物の震動を
抑制するものである。
【0004】このような目的で使用されるエネルギー吸
収機構としては、粘性ダンパ(特公昭62−3231
6)、粘弾性ダンパ(特許第2515652号)、弾塑
性ダンパ(特公昭62−16336)、摩擦ダンパ(特
公平3−58009)等、多くの機構が提案され、ま
た、実際に使用されている。
【0005】一方、地震時の構造物の変形をエネルギー
吸収機構に伝達する荷重伝達機構の代表的な例として
は、図1に示すように、構造物の床から自立した鉄筋コ
ンクリート等の剛性の高い自立壁101を設け、自立壁
の頂部102と上階の床(または、床を支持する梁)1
03との間の生じた相対変位、つまり、自立壁の下部1
04の床と上階の床103との層間変位、によってエネ
ルギー減衰機構105を変形させる構造、あるいは、図
2に示すように、構造物の床201から下階の床202
へ向けて三角形の鉄骨フレーム203を懸垂し、該三角
形フレームの下端部204と下階の床202との間に生
じた相対変位、つまり、床201と下階の床202との
間の層間変位をエネルギー減衰機構205に伝達する構
造が代表的なものである。
【0006】上記の荷重伝達機構は、自立壁を使用する
か鉄骨フレームを使用するかという点で異なるが、いず
れも上階と下階の層間変位をエネルギー吸収機構に伝達
する点では共通している。ところが、剪断力の伝達を受
け持つ自立壁やフレーム構造は、それ自体剪断座屈や圧
縮材の座屈を生じる可能性があるために、部材設計に当
たっては、座屈に対する安全性を確保する必要から自立
壁や鉄骨フレームの断面はかなり大きなものにならざる
を得ない。結果的に、エネルギー吸収機構に変形を伝達
するための機構として、非常に大きく、重量の大きな構
造を使用することになっているのが現状である。これは
当然、構造物の全重量を増大させ、エネルギー吸収機構
が吸収すべき震動エネルギーの増大、荷重伝達機構の一
層の大型化という悪循環を生じることにもなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来技術が有する上記
のような問題に鑑みて、本発明は、簡素で軽量な構造に
よって構造物の震動エネルギーを吸収することができる
制震ユニットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、発明者は、荷重伝達機構の各部材が座屈現象を考
慮する必要が無いように設計することで断面を大幅に小
さくすることが可能であることに着目した。すなわち、
本発明は、従来の設計思想のように荷重伝達機構の断面
積を大きくして剛性を増大させることで荷重伝達を行わ
せるのとは反対に、荷重伝達機構の圧縮剛性と曲げ剛性
を設計上無視することができる構造にして、座屈に対す
る安全性を考慮することなく荷重伝達機構の断面を決定
できるようにしたものである。
【0009】具体的には、本発明は、引張力を伝達する
が、圧縮力、剪断力および曲げモーメントは実質的に伝
達しない引張部材によって構造物の変形をエネルギー吸
収部材に伝達する制震ユニットによって上記の課題を解
決する。
【0010】ここで、本明細書において、圧縮力、剪断
力および曲げモーメントを実質的に伝達しないとは、引
張部材が圧縮力、剪断力および曲げモーメントを受けた
場合には極めて容易に変形可能であって、引張部材に接
続された他の部材が、引張部材から受ける圧縮力、剪断
力および曲げモーメントは、他の部材の設計上考慮する
必要がない程度に小さいことを意味する。
【0011】上記のような引張部材を用いることによっ
て、引張部材を圧縮応力に抵抗するように設計すること
が本質的に不要になり、大幅な断面縮小、構造の簡素
化、軽量化が可能になる。具体的には、座屈に対する安
全性を考慮しなければならない従来の設計手法に比べて
断面積を数分の1から数百分の1程度にまで低減するこ
とが可能になる。
【0012】また、本発明によって制震ユニットが大幅
に軽量、小型化および薄型化されたことにより、制震ユ
ニットを建築物に対して固定された構造物ではなく、必
要に応じて移動させることができる構造要素として取り
扱うことが可能になった。さらに、既存の建築物に対し
て、本発明による制震ユニットを後から取り付けること
によって、耐震性の向上を図ることも可能になった。設
置の対象となる構造物は、鉄筋コンクリート構造物に限
定されず、鉄骨構造、軽量鉄骨構造、木造パネル構造、
木造軸組み構造のいずれであっても適用可能である。特
に、木造軸組み構造や軽量鉄骨構造のような構造体自体
が軽量な場合にも、構造上の負担無く設置できる点は本
発明による制震ユニットの特徴の1つである。
【0013】本発明の好ましい1実施態様によれば、制
震ユニットは、エネルギー吸収部材として、オイルダン
パ、粘性体、粘弾性体、弾塑性体、摩擦板のうちの少な
くとも1つを有する。これらのエネルギー吸収部材を使
用することによって、小型で十分なエネルギー吸収能力
を有し、長期間の使用に対して性能の安定した制震ユニ
ットを実現することができる。
【0014】発明の好ましい1実施態様によれば、引張
部材は、金属ワイヤ、アラミド繊維、炭素繊維、金属棒
材あるいは金属板材のいずれかである。機能的観点から
は、引張部材は、引張剛性が高く、圧縮剛性は引張剛性
に対して非常に小さく、好ましくは、引張剛性の1/1
0、さらに好ましくは、1/100程度以下である。さ
らに、引張部材は、圧縮力を受けた際は容易に軸方向以
外に変形し、塑性変形が残らないものであることが望ま
しい。金属ワイヤ等に関しては、周知のように、引張力
を伝達するが、圧縮力に対する剛性は実質的に無視でき
る程度に小さく、かつ、軸方向以外の方向への大変形を
許容する、つまり柔軟な部材であって、本質的に座屈が
問題になることはない。金属棒材や金属板材に関して
も、細長比の大きなものであれば、金属ワイヤ等と同様
に考えることができる。
【0015】本発明の好ましい1実施態様によれば、さ
らに、エネルギー吸収部材は、引張部材によって加えら
れる引張力が所定の値を超えるまでは、エネルギー吸収
部材を初期の位置に保持するトリガー機構を有する。ト
リガー機構は、それ自体復元力を有しない例えばオイル
ダンパのようなエネルギー吸収部材を使用する場合に特
に有効である。当該トリガー機構を有することによっ
て、エネルギー吸収部材に常時、微小な引張力が加わっ
たとしても、エネルギー吸収部材に所定値以上の引張力
が加わるまでは、エネルギー吸収部材は初期の中立位置
を維持し、片側に変位してしまうことがない。したがっ
て、地震時にはエネルギー吸収部材のストロークを有効
に使用して、振動エネルギーの吸収を行うことができ
る。
【0016】本発明の好ましい他の1実施態様によれ
ば、エネルギー吸収部材は、引張部材による引張力が加
えられないときに、少なくとも初期の位置まで復元する
ことができるよう復元力部材を具備する。当該復元力部
材は、エネルギー吸収部材が例えばオイルダンパのよう
にそれ自体復元力を有しない場合に特に有効である。す
なわち、構造物の振動時にエネルギー吸収部材は引張部
材からの引張力を受けて変形又は変位するが、変形後に
復元力部材によって初期の位置まで復元することによっ
て、繰り返しエネルギー吸収を行うことができる。ま
た、当該復元力部材は、地震時にいたるまではエネルギ
ー吸収部材の変形を防止するためにも有効である。
【0017】本発明の好ましい他の1実施態様によれ
ば、復元力部材は、前記エネルギー吸収部材を、地震時
に引張部材から加わる引張力と拮抗する位置まで、初期
の位置を越えて復元させることができる。当該復元力部
材によって、上述の実施態様に比較しても、構造物の振
動エネルギーの吸収を一層有効に行うことができる。
【0018】本発明のさらに別の好ましい実施態様によ
れば、制震ユニットは、さらに、補助エネルギー吸収部
材と、引張力を伝達し、圧縮力、剪断力および曲げモー
メントは実質的に伝達しない補助引張部材とを具備し、
該補助引張部材は、構造物の変形が所定の閾値を越えた
ときにのみ、構造物の変形時に生じる引張成分を該補助
エネルギー吸収部材に伝達して、構造物の震動エネルギ
ーを補助エネルギー吸収部材に吸収させて、構造物の制
震を行う。当該構成の場合には、構造物の振動振幅が所
定の値よりも小さい場合には、補助エネルギー吸収部材
は作動せず、(通常の)エネルギー吸収部材のみがエネ
ルギー吸収を行い、振動振幅が所定の値を超えると、
(通常の)エネルギー吸収部材に加えて補助エネルギー
吸収部材が振動エネルギーの吸収を行う。このように構
成することによって、小地震時に作動するエネルギー吸
収機構の数を制限することができ、作動後にはエネルギ
ー吸収機構を交換あるいはメンテナンスすることが必要
な場合にも、交換等を行う個数を削減できるので、維持
コストを低減する利益がある。
【0019】本発明のさらに別の好ましい実施態様によ
れば、制震ユニットは、震動エネルギーを吸収する第1
と第2のエネルギー吸収部材と、引張力を伝達し、圧縮
力、剪断力および曲げモーメントは実質的に伝達しな
い、第1のエネルギー吸収部材に連結された第1の引張
部材と、第2のエネルギー吸収部材に連結された第2の
引張部材とを具備し、該第1と第2の引張部材は、構造
物の正および負方向の変形によって各引張部材にそれぞ
れ生じる引張成分を、それぞれに対応するエネルギー吸
収部材に伝達して、構造物の震動エネルギーをエネルギ
ー吸収部材に吸収させる。当該構成の制震ユニットによ
れば、構造物の正方向と負方向の変形時にそれぞれ振動
エネルギーを吸収する点は上述の実施態様と同様である
が、正方向と負方向の変形時のエネルギー吸収をそれぞ
れ別個のエネルギー吸収機構に受け持たせるので、エネ
ルギー吸収機構のエネルギー吸収能力が上記と同じであ
れば、上記の2倍のエネルギー吸収能力を持たせること
ができる。
【0020】本発明のさらに別の好ましい実施態様によ
れば、制震ユニットは、震動エネルギーを吸収するエネ
ルギー吸収部材と、引張力を伝達し、圧縮力、剪断力お
よび曲げモーメントは実質的に伝達しない第1と第2の
引張部材とを具備し、該第1と第2の引張部材は、構造
物の正および負方向の変形を該エネルギー吸収部材に伝
達して、構造物の震動エネルギーをエネルギー吸収部材
に吸収させる。当該構成の制震ユニットによって、構造
物が正方向と負方向に変形する際に(ここで、方向の正
負は便宜上定めたものであって、いずれの方向であって
も良い)、いずれの方向の変形をもエネルギー吸収部材
に伝達され、エネルギー吸収部材は常に変形を強制され
る。したがって、エネルギー吸収部材は振動のエネルギ
ーを振動時を通じて最も有効に吸収することができる。
【0021】本発明のさらに別の好ましい実施態様によ
れば、制震ユニットは、前記エネルギー吸収部材と引張
部材とは実質的に同一の設置面内に設置され、エネルギ
ー吸収部材と引張部材の設置面外方向の変形を規制する
側面パネルを具備し、構造物の任意の位置に設置するこ
とができる。当該実施態様によれば、エネルギー吸収部
材と引張部材を側面パネル内に収容することによって、
制震ユニットを、容易に、間仕切り壁または構造壁とし
て独立して取り扱うことができる。
【0022】本発明のさらに別の好ましい実施態様によ
れば、上記の制震ユニットは特に間仕切壁を兼ねること
ができる。これは、本発明に基づいて制震ユニットを軽
量、小型かつ薄型にすることができたことによるもので
あり、構造体とは別に制震ユニットによって耐震性を向
上させることができるので、設計上の自由度は大きい。
【0023】本発明の他の実施態様によれば、引張力を
伝達するが、圧縮力、剪断力および曲げモーメントは実
質的に伝達しない引張部材によって構造物の変形をエネ
ルギー吸収部材に伝達し、もって構造物の制震を行う制
震構法が提案される。当該構法によって、構造物が鉄筋
コンクリート造、鉄骨造、軽量鉄骨造、木質パネル構
造、木造軸組み構造等の区別無く、いずれに対しても適
用可能である。
【0024】本発明のさらに別の実施態様によれば、上
述の制震ユニット、あるいは、上述の制震構法のいずれ
かを用いた構造物が提案される。当該構造物は、制震ユ
ニット自体を含めて構造体の軽量化を図ることができる
と共に、制震ユニットの配置および移動に関する大きな
自由度を有する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の概念および具体的な構造
とその作用効果について、添付の図面と実施態様を参照
しながら以下に詳細に記載することにする。
【0026】図3は、本発明の第1の実施態様に基づく
制震ユニットを建築構造物に設置した状態を概念的に示
す断面図である。図3に示すように、制震ユニット30
1は、基本的に、エネルギー吸収部材302と引張部材
303とから構成される。エネルギー吸収部材302
は、軸方向の伸縮に対して粘性抵抗を示す、それ自体は
既知の構成からなるオイルダンパである。引張部材30
3は1組の金属ワイヤロープ304,305からなる。
ワイヤロープ304は一端をエネルギー吸収部材302
に固定され、他端は建物の柱梁接合部306近傍に固定
され、ワイヤロープ305は、一端をエネルギー吸収部
材302に固定され、他端は建物の上記とは別の柱梁接
合部307に固定される。結果的に、制震ユニット30
1は、建物の1フレームを対角状に連結している。
【0027】地震時に建物が制震ユニット301を装着
したフレームが、図3において実線の矢印で示した方向
(仮に右方向と称する)の相対変形を生じると、引張部
材303はエネルギー吸収部材302に軸方向の引張力
を加えて、粘性に抗してこれを引き伸ばす方向に変形さ
せる。このとき、引張部材303からエネルギー吸収部
材302に加えられた力Fとエネルギー吸収部材302
の延びδの積Fδが外力のなした仕事であり、換言すれ
ば、エネルギー吸収部材302が吸収した震動エネルギ
ーである。このように、地震時に建物が変形する際に、
エネルギー吸収部材302は震動エネルギーを吸収して
制震効果を発揮する。
【0028】一方、上記のフレームが、破線の矢印で示
した方向(仮に左方向と称する)の相対変形を生じる
と、引張部材303は圧縮方向の軸力を伝達することが
できないので、それだけたわみを生じることになり、エ
ネルギー吸収部材はエネルギー吸収を全く行わない。フ
レームが一旦右方向の変形を生じた後に、左方向の変形
を生じた場合には、引張部材303は、右方向の最大変
形に到達する位置まではエネルギー吸収部材302に引
張力を加えるが、その地点から変形が左方向に向かう際
は、初期位置よりも右方向の変位であってもエネルギー
吸収部材302に引張力を加えずにたるみを生じる。
【0029】地震時には左右方向の変形が交互に繰り返
されることになるが、エネルギー吸収部材302は、実
線の矢印で示した方向の変形が、過去の最大値を超える
際に振動エネルギーを吸収する。この関係を模式的に示
したものが図4である。図4は、オイルダンパと1組の
ワイヤロープからなる上述の制震ユニット301に加え
られる力と変形の関係を模式的に示したものである。図
から明らかなように、地震を通じて制震ユニット301
が吸収する総振動エネルギー(図においては斜線で示さ
れる部分の面積)は、オイルダンパの減衰定数と(右方
向の)最大変形のみに依存しており、変形の繰り返し回
数とは無関係である。上述の第1の実施態様に示した制
震ユニット301は、特に建物の最大変形時に振動エネ
ルギーを吸収するために、建物の最大変形を有効に抑制
する効果を発揮する。
【0030】ここで、引張部材303の必要断面積Aに
ついて考えると、A>αFmax/σ(ここで、αは
安全率、Fmaxは想定される最大引張力、σは部材
の降伏応力)となり、換言すれば、引張部材の断面積A
は、想定される最大引張力が加わっても断面の応力が降
伏応力を超えないように設定される(実際にはさらに安
全率αを掛けた値)ことになる。ところが、仮に断面を
円形、細長比を通常考えられる範囲である50から20
0と仮定して、両端ピン支持の棒材の座屈荷重を計算す
ると、座屈荷重は、0.01〜0.1σyとなる(実際
の面積を決定するにはやはり安全率αを掛ける必要があ
る)。このことは、座屈しないように設計するために
は、圧縮応力が降伏応力の0.01〜0.1に設計する
必要があることを示している。つまり、本発明では、引
張部材303に圧縮力を負担させない構造とすることに
よって、圧縮力に対して座屈しないよう設計しなければ
ならない従来の荷重伝達部材に比較して、引張部材の断
面積および重量を0.01〜0.1に低減することが可
能になることを示している。
【0031】上述のように、荷重伝達部材の断面を飛躍
的に低減した結果、従来の制震壁が建築構造物の耐力壁
の一部であって、重量が大きく、かつ移動させることが
できないものと考えられていたのに対して、本発明に基
づく制震ユニットは、可搬性を有する間仕切壁として使
用できる程度に薄型かつ軽量の構造を実現することが可
能になった。
【0032】上述の第1の実施態様では、エネルギー吸
収部材302はオイルダンパであったが、当業者には自
明なように、エネルギー吸収部材として、例えば、粘性
体ダンパ、粘弾性体ダンパ、弾塑性体ダンパ、摩擦板を
用いたダンパ等のような、制震または免震に使用されて
いる他の形式のエネルギー吸収部材を使用することも可
能である。荷重伝達部材が引張力のみを伝達する構造で
あるために、いずれのダンパであっても、一般的には、
軸方向の外力に対して作用する形式のダンパであること
が望ましい(ただし、軸方向で無い外力を受けるたとえ
ば曲げダンパを適用することも可能であり、その適用例
については後に示す)。
【0033】また、第1の実施態様では、引張部材30
3はワイヤロープであったが、引張力を伝達することが
でき、圧縮剛性を実質的に無視することができる部材で
あればワイヤロープ以外の部材を使用することもでき
る。たとえば、アラミド繊維、炭素繊維からなるロープ
がこれに該当する。また、棒材または板材であっても、
細長比が大きく、座屈荷重が圧縮剛性または曲げ剛性を
実質的に無視できる程度に小さいものであれば、荷重伝
達部材として使用することができる。その例としては、
金属の棒材又は薄板材あるいはアラミド繊維や炭素繊維
で補強したFRPの棒材、同様の板材などがある。これ
らの場合には、ワイヤロープに比較すれば圧縮軸力を伝
達するともいえるが、この圧縮軸力は実質的に無視でき
る程度であれば、引張力の伝達のみを考慮して耐震設計
を行うことができる。
【0034】また、特に、エネルギー吸収部材としてオ
イルダンパのように剛性を有さず粘性のみで振動エネル
ギーの吸収を行う部材を使用する場合には、制震ユニッ
トは、加えられる外力が所定の値を超えるまではエネル
ギー吸収部材の変形を阻止して、初期状態を維持するト
リガー機構を有することが望ましい。これは、図3に示
したような設置状態では、オイルダンパとワイヤロープ
の自重によって、地震荷重が加わる前にオイルダンパが
完全に延びた状態になってしまうことを防止するためで
ある。さらに、トリガー機構の作動荷重を適宜設定する
ことによって、構造物が制震ユニットの作動無しでも耐
えられる程度の振動時(風や小地震による振動等)に制
震ユニットが作動することを防止して、エネルギー吸収
部材のメンテナンスの頻度を低減することも可能であ
る。
【0035】上記の構成の場合には、エネルギー吸収部
材302は引張部材303の引張力によって変形を強制
され、圧縮方向の変形を強制されないことは自明であ
る。したがって、エネルギー吸収部材302は、荷重を
受けない初期状態においては、必ずしも圧縮および引張
り側に同じ変形能力を有している必要は無く(つまり、
初期位置は圧縮と引張りの中立位置である必要はな
く)、むしろ、引張部材から加わる引張力の方向の変形
能力を最大限に確保するものであることが望ましい。
【0036】図5は、上記のトリガー機構の例を示した
ものである。同図は、オイルダンパ501自体に摩擦に
よるトリガー機構502を設けた例を示している。トリ
ガー機構502は、ピストンロッド503の貫通孔50
4の内壁面505に設けられた摺動面を有しており、当
該摺動面は、ピストンロッド503の外表面と接触しな
がら摺動する。摺動面はピストンロッドとの間に所定の
摩擦抵抗を有するので、オイルダンパ501に加えられ
る引張力が所定値を超えない間はピストンロッドがシリ
ンダに対して変形せず、引張力が所定値を超えて始めて
ピストンロッドとシリンダとが相対運動する。
【0037】上述の第1の実施態様では、地震時の繰り
返し変形に対して、オイルダンパは延びる方向にのみ変
形するので、吸収される総震動エネルギーは、オイルダ
ンパの減衰定数と建物の最大変形のみによって決まるこ
とは上述のとおりである。これに対して、地震時の繰り
返し変形を通じて、繰り返し震動エネルギーを吸収する
ことができる第2の実施態様を以下に説明する。
【0038】図6は、本発明に基づく制震ユニットの第
2の実施態様に用いられるオイルダンパの概念を示す断
面図である。第2の実施態様は、使用するオイルダンパ
の構造が第1の実施態様とは異なるが、それ以外の構造
は第1の実施態様と同じである。しがって、当該ユニッ
トを組み込んで可動制震間仕切壁を構成することができ
る点についても同様である。
【0039】図6に示すオイルダンパ601は、シリン
ダ602、シリンダに収容されたシリンダ602内を摺
動するピストン603と、シリンダ内の空間に充填され
たオイル604と、それぞれシリンダとピストンとに外
力を伝達するための連結部605,606とに加えて、
シリンダ内に収容されてピストンに連結部605,60
6の距離が短くなる方向の弾性力を付勢する弾性部材6
07とから構成される。当該オイルダンパ601が引張
部材303に連結されて建築物内に設置された状況で
は、弾性部材607は、圧縮されており、弾性的な反発
力をピストンとシリンダに加えることにより、ワイヤ3
03のたるみをなくす作用を有する。
【0040】さらに、地震時に建物が繰り返し変形する
際には、図3に示した配置に基づけば、建物が右変形す
るときは、ワイヤ303が弾性部材607の反発力に抗
してピストンを移動させてエネルギーを吸収させる。さ
らに、建物が左に変形するときは、ワイヤ303からの
力は加わらないが、弾性部材がピストン603とシリン
ダ602とに弾性力を付勢するために、オイルダンパ6
01の全長(両連結部605,606間の長さ)が短く
なる結果、ワイヤ303のたるみが無くなる。結果的
に、建物が次に右方向に変形する時は、変形がオイルダ
ンパ601にすぐに伝達されてエネルギーの吸収が行わ
れる。したがって、建物が繰り返し変形する間を通じ
て、繰り返し震動エネルギーの吸収が行われて、一層有
効に制震効果が発揮される。
【0041】この場合の、制震ユニットの力−変形関係
を模式的に表したものが図7である。図7Aは弾性部材
がピストンを中立位置まで付勢する構成の場合、図7B
は弾性部材がピストンを中立位置を越えて付勢する構成
の場合の力−変形関係を示した。図から、弾性部材が中
立位置を超えて付勢力を与える場合の方が一層有効に震
動エネルギーの吸収が行われることが読み取れる。ま
た、弾性部材が加える弾性力は、地震時に引張部材のた
るみが生じないよう、地震時にも常に所定値以上の引張
力を生じさせるために必要な力と変形速度を有すること
が望ましい。
【0042】オイルダンパ601あるいは引張部材の中
間あるいは引張部材の建物との取り付け位置に、ワイヤ
の急激な張力に対してはワイヤを剛に固定し、ワイヤの
張力が緩むとワイヤのたるみを巻き取る撓み吸収機構を
設けることによって、上述の弾性部材とほぼ同様の効果
を発揮させることができる。さらに、当該撓み吸収機構
は、引張部材の撓みを吸収するが繰り出すことの無い、
それ自体は既知のラチェット機構を具備することにして
も良い。
【0043】上記第2の実施例において、弾性部材がエ
ネルギー吸収部材を中立位置にまで復元させるよう構成
されている時は、オイルダンパ601の初期位置は、ワ
イヤ303の引っ張り方向にのみ有効な変形能力を有し
ていれば良い。しかし、弾性部材が中立位置を超えて付
勢力を与える場合は、オイルダンパ601の初期位置
は、ワイヤ303の引張り方向とその逆方向(仮に圧縮
方向と称する)に変形能力を有していることが望まし
い。
【0044】図8は、本発明の第3の好ましい実施態様
を示すものである。当該実施態様では、実施態様1また
は2に示した制震ユニットに加えて、補助エネルギー吸
収部材801と、補助エネルギー吸収部材に連結された
補助引張部材802が、第1または第2の制震ユニット
と同じ方向の変形に抵抗するように設けられている。補
助エネルギー吸収部材801と補助引張部材802は、
それぞれ第1のエネルギー吸収部材と第1の引張部材と
同一の構造であっても異なる構造で合っても良い。ただ
し、補助引張部材は、予め弛みを有しており、地震時の
建物の変形がその弛みを超えない限りはエネルギーを吸
収することが無い。第3の実施態様の構造の場合には、
特に大地震の場合等において建物の変形が所定の値を超
えると、第1のエネルギー吸収部材に加えて、補助エネ
ルギー吸収部材801が震動エネルギーを吸収して震動
を抑制する。したがって、特に大地震時の建物の損傷抑
制あるいはセーフティネットとして有効である。
【0045】図9は、第3の好ましい実施態様に基づく
制震ユニットの力−変形関係を示した図である。変形が
一定量よりも大きくなると制震ユニットの反力が一段高
いレベルに到達し、エネルギー吸収レベルも大きくなる
ことが示されている。
【0046】上述の説明では、いずれもエネルギー吸収
部材は、建物の1方向の変形に対してエネルギーを吸収
するものであったが、建物に設置する場合には、たとえ
ば、同一フレーム内に右方向の変形時にエネルギーを吸
収するエネルギー吸収部材と左方向の変形時にエネルギ
ーを吸収するエネルギー吸収部材とを、X状に配置する
こともできる。この場合も、引張部材がワイヤロープ等
であれば、実質的に壁の厚さを増大させること無くX状
の配置を行うことができる。両方向のエネルギー吸収部
材を隣り合うフレームに配置すること、あるいは、離れ
たフレームに配置することも可能なことは言うまでも無
い。図10は、配置の例を示したものである。
【0047】上述の説明は、エネルギー吸収部材として
1方向の変位に対してエネルギーを吸収するオイルダン
パを例にとって行ったが、エネルギー吸収部材として、
図11に示すように、たとえば、建物のフレームの中央
に直立した弾塑性体1101を用いて、上記とは異なる
以下のような構成も可能である。すなわち、エネルギー
吸収部材である弾塑性体1101の頂部から2つの引張
部材1102,1103を左右に張り渡し、それぞれの
他端を建物の柱張り近傍1104,1105に固定する
構造である。このように構成することによって、建物が
繰り返し変形する際に、弾塑性体1101には左右いず
れかの引張部材によって常に引張力が加えられて変形が
強制される。
【0048】また、弾塑性ダンパに代えて、両方向の変
位に対応することができるオイルダンパを使用すれば同
様の構成を実現することができる(図11)。結果的
に、左右どちら方向の変形時にもオイルダンパ1106
によるエネルギー吸収が行われ、一層効果的に制震が行
われる。図12はこの場合の力−変形関係を示す模式図
である。力−変形関係が原点を中心とした回転対称であ
ることがわかる。
【0049】図13は、上記の実施態様に基づく制震ユ
ニットを用いた、可搬性を有する間仕切制震壁1301
の概念を示すものである。当該間仕切り制震壁1301
は、筐体1302に上述の制震ユニット1304を収容
した、可搬性を有する構造であり、上下の端部には、間
仕切り制震壁1301を建物構造に着脱可能に固定する
ための固定部1303が設けられている。当該固定部材
1303は、建物に設けられた図示しない固定部と係合
させることによって、地震時には建物の変形をエネルギ
ー吸収部材1302に伝達して震動エネルギーを吸収す
ることができる。
【0050】制震ユニットが軽量かつ薄型であり、可搬
性を有するものとなった結果、建築物の実質的な耐用年
数が延長される。これは以下のような事情によるもので
ある。すなわち、特に鉄筋コンクリートや鉄骨造の建築
物は、50年あるいは70年程度にわたって十分な強度
を有するように設計することが十分可能であるが、これ
らの使用期間中にはオフィスビルであるか、住居用のビ
ルであるかにかかわらず、少なからずビルの使用態様が
変化する。従って、十分な強度を有する建築物であるに
もかかわらず、内部空間が時代の要請に合致しないこと
を理由に取り壊される場合や、建物の市場価値が低下し
てしまうことが起こる。
【0051】このような場合に、間仕切りを変更して仕
様態様に応じた内部空間を創出することができれば、建
築物の実質的な寿命と価値を延長することができる。し
かし、従来の制震構造を有する建物の場合には、制震構
造は建物の構造体と一体化しているために、間仕切りの
変更は非常に制限されており、事実上不可能であった。
ところが、本発明に基づく軽量かつ薄型の制震ユニット
を間仕切壁として用いている場合には、必要に応じて制
震ユニットを取り外し、建物内の別な場所に取り付ける
ことが容易なので、建物内の間仕切りの変更要請に容易
に対応することができる。結果的には実質的な意味で建
築物の寿命と価値を延長することになるのである。
【0052】本発明の制震ユニットは、薄い間仕切り壁
に収納することができ、移動することも可能なので、基
本的に間仕切壁をどの位置に設置または移動することも
できる。これは、フラットスラブ構造の建物には特に適
している。フラットスラブ構造は、間仕切りの位置を変
更することによって建物の使用態様の変化に対応するこ
とが容易な構造であるが、本発明の制震ユニットを使用
することによって、間仕切り変更の自由度を一層増大さ
せることができる。また、本発明の制震ユニットを使用
すれば、既存の建物に取り付けて耐震性を改善すること
も容易である。
【0053】以上発明の構成と効果について具体的な実
施態様と図面を参照して説明したが、本発明は上述の実
施態様に限定されるわけではなく、上述の例を組み合わ
せて使用することや、エネルギー吸収部材として使用し
える上記以外の部材を使用して上記同様の効果を発揮す
ることができることは当業者には自明であって、本発明
の技術思想に含まれるものである。
【0054】
【発明の効果】本発明の主な効果について、以下のよう
に要約することができる。薄型軽量で可搬性を有する制
震ユニットを実現することができ、構造物の軽量化に寄
与する直接的効果のみならず、構造物に対して着脱自在
とすることによって、構造物の将来の用途変更や間仕切
り位置の変更に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術に基づく、エネルギー吸収機構を支
持する自立壁を示す概念図である。
【図2】 従来技術に基づく、エネルギー吸収機構に層
間変位を伝達する三角形フレームを示す概念図である。
【図3】 本発明の第1の実施態様に基づく制震ユニッ
トを建築構造物に設置した状態を概念的に示す断面図で
ある。
【図4】 第1の実施態様に基づく制震ユニットの力−
変形関係を表す模式図である。
【図5】 トリガー機構を有するオイルダンパの概念を
示す断面図である。
【図6】 第2の実施態様に使用するオイルダンパの概
念を示す断面図である。
【図7】 第2の実施態様に基づくオイルダンパを用い
た制震ユニットの力変形関係をしめす図である。
【図8】 本発明の第3の実施態様に基づく制震ユニッ
トを示す概念図である。
【図9】 第3の好ましい実施態様に基づく制震ユニッ
トの力−変形関係を示した図である。
【図10】 2つの制震ユニットの配置概念をしめす図
である。
【図11】 両方向の変位に対してエネルギーを吸収す
る弾塑性ダンパとオイルダンパの概念をしめす図であ
る。
【図12】 弾塑性体あるいは両方向オイルダンパを用
いた制震ユニットの例の力−変形関係をしめす図であ
る。
【図13】 制震ユニットを用いた可動性を有する制震
制震壁の概念を示す図である。
【符号の説明】
101・・・自立壁 105・・・エネルギー減衰機構 203・・・鉄骨フレーム 205・・・エネルギー減衰機構 301・・・制震ユニット 302・・・エネルギー吸収部材 501、601・・・オイルダンパ 801・・・補助エネルギー吸収部材 802・・・補助引張部材 1101・・・弾塑性体 1301・・・間仕切制震壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 裕一 千葉県流山市駒木518−1 三井建設株式 会社技術研究所内 Fターム(参考) 3J048 AA05 BE01 BF04 DA06 EA38

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張力を伝達し、圧縮力、剪断力および
    曲げモーメントは実質的に伝達しない引張部材によって
    構造物の変形をエネルギー吸収部材に伝達し、もって構
    造物の制震を行う制震ユニット。
  2. 【請求項2】 前記エネルギー吸収部材は、オイルダン
    パ、粘性体、粘弾性体、弾塑性体、摩擦板のうちの少な
    くとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の
    制震ユニット。
  3. 【請求項3】 前記引張部材は、曲げ剛性を実質的に無
    視することができる金属ワイヤ、アラミド繊維、炭素繊
    維、金属棒材および金属板材のうちの少なくとも1つを
    含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記
    載の制震ユニット。
  4. 【請求項4】 さらに、エネルギー吸収部材は、引張部
    材によって加えられる引張力が所定の値を超えるまで
    は、エネルギー吸収部材を初期の位置に保持するトリガ
    ー機構を有することを特徴とする請求項1ないし3に記
    載の制震ユニット。
  5. 【請求項5】 さらに、エネルギー吸収部材は、引張部
    材による引張力が加えられないときに、少なくとも中立
    位置まで復元することができるよう復元力部材を具備す
    ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載
    の制震ユニット。
  6. 【請求項6】 前記復元力部材は、前記エネルギー吸収
    部材を、引張部材の引張力と拮抗する位置まで初期の位
    置を越えて復元させることができる請求項5に記載の制
    震ユニット。
  7. 【請求項7】 さらに、補助エネルギー吸収部材と、 引張剛性に比較して、圧縮剛性を実質的に無視すること
    ができる補助引張部材とを具備し、 該補助引張部材は、構造物の変形が所定の閾値を越えた
    ときにのみ、構造物の変形時に生じる引張成分を該補助
    エネルギー吸収部材に伝達して、構造物の震動エネルギ
    ーを補助エネルギー吸収部材に吸収させて、構造物の制
    震を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか
    に記載の制震ユニット。
  8. 【請求項8】 震動エネルギーを吸収する第1と第2の
    エネルギー吸収部材と、 引張剛性に比較して、圧縮剛性を実質的に無視すること
    ができる、第1のエネルギー吸収部材に連結された第1
    の引張部材と、第2のエネルギー吸収部材に連結された
    第2の引張部材とを具備し、 該第1と第2の引張部材は、構造物の正および負方向の
    変形を、それぞれに対応するエネルギー吸収部材に伝達
    して、構造物の震動エネルギーをエネルギー吸収部材に
    吸収させて、構造物の制震を行う制震ユニット。
  9. 【請求項9】 震動エネルギーを吸収するエネルギー吸
    収部材と、 引張剛性に比較して、圧縮剛性を実質的に無視すること
    ができる第1と第2の引張部材とを具備し、 該第1と第2の引張部材は、構造物の正および負方向の
    変形によって各引張部材にそれぞれ生じる引張成分を該
    エネルギー吸収部材に伝達して、構造物の震動エネルギ
    ーをエネルギー吸収部材に吸収させて、構造物の制震を
    行う制震ユニット。
  10. 【請求項10】 前記エネルギー吸収部材と引張部材と
    は実質的に同一の設置面内に設置され、エネルギー吸収
    部材と引張部材の設置面外方向の変形を規制する側面パ
    ネルを具備し、構造物の任意の位置に設置することがで
    きる請求項1ないし9のいずれかに記載の制震ユニッ
    ト。
  11. 【請求項11】 間仕切壁を兼ねることができることを
    特徴とする請求項10に記載の制震ユニット。
  12. 【請求項12】 引張力を伝達するが、圧縮力、剪断力
    および曲げモーメントは実質的に伝達しない引張部材に
    よって構造物の変形をエネルギー吸収部材に伝達し、も
    って構造物の制震を行う制震構法。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の制震ユニット、あるいは、請求項12に記載の制震構
    法のいずれかを用いた構造物。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008190272A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Showa Kikai Shoji Kk ダンパー
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KR101140160B1 (ko) * 2011-04-18 2012-05-02 주식회사 씨앤엠 면진 댐퍼 및 이를 포함한 건물용 면진 장치
JP2013194746A (ja) * 2012-03-15 2013-09-30 Takenaka Komuten Co Ltd 制震ダンパー及び制震構造
JP2017096086A (ja) * 2015-11-23 2017-06-01 コリア エレクトリック パワー コーポレイション 耐震補強装置

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