JPH11200662A - 制振構造 - Google Patents

制振構造

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JPH11200662A
JPH11200662A JP611998A JP611998A JPH11200662A JP H11200662 A JPH11200662 A JP H11200662A JP 611998 A JP611998 A JP 611998A JP 611998 A JP611998 A JP 611998A JP H11200662 A JPH11200662 A JP H11200662A
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rod
cylinder
vibration damping
damping structure
vibration
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JP611998A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Isoda
和彦 磯田
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制振ダンパーにクレビス等のピン機構が必要
でなく、加えて、制振ダンパーに対して軸方向の力、特
に軸方向の圧縮力が加わらないように設置することので
きる制振構造を提供する。 【解決手段】 建物22の架構23における構面26内
に、構造体28を架構23の一部に固定して配置し、構
造体28の少なくとも一部に対してオイルダンパー31
のシリンダ38を固定する一方、架構23の他の部分
に、一対の支持部材29,29を互いに間隔をおいて固
定し、これら支持部材29,29によって、オイルダン
パー31のロッド39の両端39a,39aを、ロッド
39の軸方向の変位を規制するとともに軸方向と交差す
る少なくとも一方向の変位を許容するように支持させた
構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物に設けられ
て、建物の地震時等における振動応答を低減させること
によりその耐震安全性を向上させる制振構造に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】この種の制振構造としては、建物内の互
いに相対変位する2つの構造部材間にダンパーを設け、
地震等の際には、これら構造部材間の変位差を利用して
ダンパーに仕事をさせることによって、建物の振動エネ
ルギーを吸収させるようにする形式のものが最も一般的
に用いられている。
【0003】このような制振構造の例を図9に示す。図
9に示す制振構造1においては、左右の柱2,2と大梁
3,3からなるフレーム開口内にV字型にブレース5,
5が配置され、ブレース5,5の交叉部7にブラケット
8が設けられている。さらに、下側の大梁3にブラケッ
ト8と水平方向に対向するようにもう一つのブラケット
9が設けられ、両ブラケット8,9間に、クレビス1
0,11を用いてオイルダンパー12が設置されてい
る。
【0004】図10は、オイルダンパー12の構造の詳
細を示した図である。オイルダンパー12は、シリンダ
13内に軸方向摺動自在にピストン14を配置すること
で、ピストン14の両側にオイルの満たされた油室15
a,15bを形成するとともに、油室15a,15b同
士をオリフィス16を介して連通したものである。ま
た、クレビス10,11は、ピストン14の一端よりシ
リンダ13の前端外に突出したピストンロッド14aの
先端と、シリンダ13の後端とに設けられている。
【0005】制振構造1においては、下側の大梁3と交
叉部7との間に相対変位が生じた場合に、この相対変位
がクレビス10,11を介してオイルダンパー12のピ
ストンロッド14aおよびシリンダ13に作用するとと
もに、これにより発生するピストン14の移動がオイル
によって制動される構成とされる。したがって、地震時
等において、下側の大梁3および交叉部7の間に生じる
振動が、オイルがオリフィス16を通過する際の粘性抵
抗により減衰されることとなり、結果として、建物の振
動応答を減衰させることができる。また、この場合、ク
レビス10,11を用いるのは、外力がオイルダンパー
12の軸方向以外に作用しないようにするためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような制振構造1においては、ダンパーとして用いられ
るオイルダンパー12が、両端のクレビス10,11を
用いて建物の構造部材に連結される構成とされているた
めに、ピン接合のためのブラケット8,9を設ける必要
などから、設置スペースが多く必要であり、建築計画に
制約を生じるという問題点があった。また、これらクレ
ビス10,11およびブラケット8,9が必要とされる
ために、設置費用も嵩むものとなっていた。
【0007】さらに、上記の制振構造1においては、地
震時等においてピストンロッド14aに圧縮力が作用す
ることから、オイルダンパー12を設計するにあたって
座屈に配慮した許容応力度の検討が必要であるととも
に、ピストンロッド14aを必要以上に大型としなけれ
ばならず、このことが、より一層のコストアップを招い
ていた。
【0008】上記事情に鑑み、本発明においては、制振
ダンパーにクレビス等のピン機構が必要でなく、加え
て、制振ダンパーに対して軸方向の力、特に軸方向の圧
縮力が加わることのないように設置することができる制
振構造を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、
請求項1記載の制振構造は、建物の振動応答を低減させ
るための制振構造であって、シリンダと、前記シリンダ
の両端から突出するロッドとを有し、該シリンダとロッ
ドとをその軸方向に相対変位させることによりエネルギ
ー吸収機能を発揮することのできる制振ダンパーを備え
てなり、建物の架構における構面内に、構造体が該架構
の一部に固定されて配置され、該構造体の少なくとも一
部に対して前記制振ダンパーのシリンダが固定される一
方、前記架構の他の部分には、一対の支持部材が互いに
間隔をおいて固定され、これら支持部材は、前記制振ダ
ンパーのロッドの端部を、該ロッドの軸方向の変位を規
制するとともに該軸方向と交差する少なくとも一方向の
変位を許容するように支持する構成とされていることを
特徴とする。
【0010】上記のような構成とされているために、こ
の制振構造においては、建物に地震力が作用した場合に
おいても、ロッドに軸方向以外の力が作用することがな
い。
【0011】請求項2記載の制振構造は、請求項1記載
の制振構造であって、前記支持部材は、前記架構を構成
する梁から立設されるとともに、その上端部に該梁の延
在方向に平行に形成された溝部を有する構成とされ、該
溝部は、前記支持部材において前記シリンダ側の端部か
ら該シリンダと反対側の端部にまで至るように形成さ
れ、該溝部には前記ロッドが挿通されるとともに、該ロ
ッドは、その先端が前記支持部材の前記シリンダと反対
側の端部から突出する状態となるように配置され、該ロ
ッドの先端にはナットが螺着され、該ナットは、前記支
持部材の前記シリンダと反対側の端部に対して、該ナッ
トと該支持部材との間の摩擦を低減するためのすべり部
材を介して接する構成とされていることを特徴とする。
【0012】上記のような構成とされるために、この制
振構造においては、ロッドが支持部材に対してその軸方
向と交差する方向にすべり変位することが可能である。
また、ロッドは、その端部が、ナットを介して、支持部
材におけるシリンダと反対側の端部側から当接するのみ
の構成とされているために、ロッドに対してシリンダ側
から支持部材側へ軸力が作用したとしても、ナットが支
持部材から離間するのみであり、ロッドには圧縮方向の
力が作用しない。
【0013】請求項3記載の制振構造は、請求項1また
は2記載の制振構造であって、前記構造体は、前記構面
内に配置されて互いに交差するように設けられた一対の
ブレースを有してなり、前記シリンダはこれらブレース
の交叉部に固定されていることを特徴とする。
【0014】上記のような構成とされるために、この制
振構造においては、建物における層間変位を良好に制振
ダンパーに伝達することができる。
【0015】請求項4記載の制振構造は、請求項1から
3のいずれかに記載の制振構造であって、前記制振ダン
パーは、前記シリンダ内において軸方向摺動自在に配置
されたピストンと、該シリンダ内において前記ピストン
の両側にそれぞれ形成されるとともにその内部にオイル
が満たされた油室と、これら油室同士を互いに連通する
オリフィスとを備えた構成とされ、前記ロッドは、前記
ピストンと一体的に結合されていることを特徴とする。
【0016】上記のような構成とされるために、この制
振構造においては、制振ダンパーにおけるピストンの移
動がオイルによって制動され、オイルがオリフィスを通
過する際の粘性抵抗により、振動エネルギーが吸収され
る。また、この場合、制振ダンパーの全長が変化するこ
とがない。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を、図1から図8を参照して説明する。図1に示すよう
に、制振構造21は、建物22の架構23を構成する左
右の柱24,24と上下の大梁25,25とによって囲
まれる構面26内に設置される。 図中に示すように、
制振構造21は、構面26内に配置されてその一部が架
構23に固定された構造体28と、下側の大梁25a上
に立設された一対の支持部材29,29と、これら構造
体28および支持部材29,29との間に設けられたオ
イルダンパー(制振ダンパー)31とにより概略構成さ
れている。
【0018】図中に示すように、構造体28は、構面2
6内において略V字形をなすように配置された一対のブ
レース33,33と、これらブレース33,33の互い
に対向する端部33a,33a間を連結する交叉部34
とによって構成されている。交叉部34は、H型鋼35
をリブプレート36,36,…を用いて適宜補強するこ
とによって形成されている。
【0019】一方、オイルダンパー31は、シリンダ3
8と、シリンダ38の両端から突出するロッド39とを
備えた構成とされており、シリンダ38は、図1,2に
示すように、交叉部34を構成するH型鋼35の下側の
フランジ35aに対して固定され、また、ロッド39
は、図1に示すように、その両端39a,39aが支持
部材29,29によって支持されている。
【0020】なお、オイルダンパー31は、ロッド39
の中心点が、一対のブレース33,33の中心線の交点
に位置するように配置されており、これにより、オイル
ダンパー31に、ブレース33,33による偏心曲げが
作用しないような構成となっている。
【0021】このようなオイルダンパー31の構造の詳
細を図3に示す。図中に示すように、オイルダンパー3
1においては、シリンダ38内にピストン41が軸方向
摺動自在に配置されるとともに、ピストン41の両側に
は、オイルの満たされた油室42a,42bが形成され
ている。また、ピストン41には、ロッド39が一体的
に結合され、さらに、ピストン41の内部には、油室4
2a,42b同士を互いに連通するオリフィス43が設
けられている。
【0022】このオイルダンパー31は、シリンダ38
とピストン41とが軸方向(図中p方向)に相対変位す
る際に、オイルがピストン41のシリンダ38に対する
相対移動を制動するように形成されており、したがっ
て、シリンダ38およびピストン41に振動が作用する
場合には、オイルがオリフィス43を通過する際の粘性
抵抗により、この振動を減衰させることが可能となって
いる。
【0023】また、図4は、オイルダンパー31のロッ
ド39を支持する支持部材29を拡大して示した図であ
る。図中に示すように、支持部材29は、H型鋼45を
スチフナ46を用いて適宜補強したものを、下側の大梁
25aから立設したものであり、その構造の詳細は、図
5に示すようなものとされる。すなわち、支持部材29
においては、H型鋼45の上端部45aに位置するウェ
ブプレートが撤去され、このウェブプレートが撤去され
た位置に対して、フランジ45b,45b同士を連結す
るように、スチフナ46が水平に配置されている。この
スチフナ46は、図6(図4におけるII-II断面を示す
図)に示すように、一枚板の鋼板により構成されてい
る。
【0024】また、図6に示すように、スチフナ46上
には、一対の加力板47,47が、大梁25aの延在方
向と直交方向に間隔をおいて互いに対向するように立設
されている。これら加力板47,47は、図5に示すよ
うに、スチフナ46同様、フランジ45b,45b同士
を連結するように配置される。さらに、図5に示すよう
に、フランジ45b,45bの上端部中央の加力板4
7,47間に位置する部分には、略コ字状の切欠45
c,45cが設けられている。これにより、支持部材2
9においては、加力板47,47、および、スチフナ4
6に囲まれた空間Sを介して、一方の端部29aから他
方の端部29bまでが連通されるとともに、この部分
が、ロッド39(図1,2参照)を挿通するための溝部
29cとして形成される。
【0025】図4,6に示すように、ロッド39は支持
部材29の溝部29cに挿通されるとともに、その先端
部39bにナット49が螺着された構成とされている。
すなわち、ロッド39にナット49を締結することによ
って、ナット49が支持部材29におけるシリンダ38
(図1参照)と反対側の端部29aを押圧する構成とな
っており、これによりロッド39の支持部材29に対す
る位置が固定されている。また、ナット49と支持部材
29の端部29aとの間には、ステンレスワッシャー5
1および四フッ化エチレン樹脂板52が介装されてい
る。なお、これらのうち、四フッ化エチレン樹脂板52
は、支持部材29側に固定されている。
【0026】また、図7は、図4におけるIII−II
I断面を示す図である。図中に示すように、ステンレス
ワッシャー51は、略正方形に形成されており、また、
ステンレスワッシャー51と支持部材29との間に介装
された四フッ化エチレン樹脂板52は、溝部29cの両
側方に配置される構成とされている。
【0027】以上が、本実施の形態における主要な構成
であるが、次に、地震時における制振構造21の作用に
ついてを説明する。上記のような構成とされた制振構造
21においては、地震により建物22が水平振動する際
に、架構23の層間変位が構造体28における交叉部3
4と下側の大梁25aと間の水平方向の相対変位となっ
て現れる。したがって、交叉部34側に固定されたシリ
ンダ38と大梁25a側に支持部材29,29を介して
固定されたロッド39との間に、軸方向の相対変位が生
じ、これにより、ロッド39に固定されたピストン41
がシリンダ38内を摺動することによって、オイルダン
パー31が振動エネルギーを吸収するように作用するこ
ととなる。
【0028】また、この場合、地震の規模が大規模であ
り、交叉部34と大梁25aとの間の水平方向の変位が
過大となるときには、図8に示すように、オイルダンパ
ー31において、シリンダ38の端部38aとピストン
41とが当接する。このとき、ピストン41およびロッ
ド39は、シリンダ38から反力を受けることとなり、
このため、ロッド39においては、ピストン41より端
部38a側の位置において引張方向の力Tが、ピストン
41を隔てて反対側の位置において圧縮方向の力Cが作
用する。しかしながら、図4に示したように、ロッド3
9は、その先端部39bが、ナット49を介して支持部
材29のシリンダ38と反対側の端部29aと接してい
るのみであり、ロッド39に作用する圧縮方向の力Cに
対して支持部材29からは反力が与えられない構成とさ
れていることから、ロッド39は、圧縮方向の力Cが作
用しても、ナット49が支持部材29から離間するよう
に変位するのみであり、ロッド39自体には圧縮力が働
くことがない。一方、ロッド39に作用する引張方向の
力Tは、ナット49が支持部材29の端部29aと接す
ることにより、力Tに対して支持部材29から反力が与
えられるために、ロッド39に対してそのまま作用する
こととなる。したがって、図8に示すようにシリンダ3
8の端部38aとピストン41とが当接した場合には、
ロッド39においては、ピストン41のシリンダ端部3
8a側に引張力が作用し、また、ピストン41のシリン
ダ端部38aと反対側には軸力が作用しないこととな
り、これによって、ロッド39に圧縮力が作用すること
を防ぐことができる。
【0029】さらに、オイルダンパー31に対して、水
平方向以外の振動成分が作用する場合には、ステンレス
ワッシャー51と四フッ化エチレン樹脂板52との間に
滑りが生じることにより、その振動成分が、オイルダン
パー31に直接作用せずに逃がされることとなる。これ
により、オイルダンパー31のロッド39に軸方向以外
の力が作用することが防がれる。
【0030】このように、制振構造21においては、支
持部材29,29が、オイルダンパー31のロッド39
の両端39a,39aを、ロッド39の軸方向の変位を
規制するとともに、軸方向と交差する方向(ステンレス
ワッシャー51および四フッ化エチレン樹脂板52の板
面方向)の変位を許容するように支持していることか
ら、オイルダンパー31に対して軸方向のみに振動を作
用させるとともに、軸方向以外の方向の力を逃がさせる
ことができる。したがって、従来の制振構造と異なり、
制振ダンパーに対して軸方向以外の力が作用することを
避けるために、クレビスやボールジョイントを用いて制
振ダンパーを建物の一部等に対してピン結合する必要が
無く、これにより、制振構造の設置スペースを少なくし
て、建築計画の自由度を増大させることができる。ま
た、クレビスやボールジョイントに従来必要であったコ
ストを減少させて、設置費用の低減化を図ることができ
る。
【0031】また、上述の制振構造21においては、支
持部材29の上端部に溝部29cが設けられ、溝部29
cが、支持部材29においてシリンダ38側の端部29
bからシリンダ38と反対側の端部29aまでに至るよ
うに形成されるとともに、溝部29cに挿通されたロッ
ド39が、その先端部39bが端部29aから突出する
ように配置されている。さらに、ロッド39の先端部3
9bにはナット49が螺着され、ナット49は、支持部
材29の端部29aに対してステンレスワッシャー51
および四フッ化エチレン樹脂板52を介して接する構成
とされている。したがって、オイルダンパー31が、軸
方向以外の力を受けた際には、ステンレスワッシャー5
1および四フッ化エチレン樹脂板52がナット49およ
び支持部材29の間の摩擦を低減するすべり材の役割を
果たし、これらステンレスワッシャー51および四フッ
化エチレン樹脂板52間に滑りが発生して、ロッド39
に軸方向以外の力が働くことを防ぐことができ、これに
よりロッド39の強制変形を防止することができる。さ
らに、ロッド39は、支持部材29に対してその端部2
9a側からナット49を介して接する構成とされている
ために、ロッド39に引張力が作用する際には、支持部
材29から反力が与えられるのに対し、ロッド39に圧
縮方向に力が作用する際には、支持部材29から反力が
与えられることが無く、これによりロッド39に対し
て、引張力が働くことがあっても、圧縮力が働くことは
ない。したがって、従来と異なり、オイルダンパー31
を設計するにあたって座屈に配慮した許容応力度の検討
が必要とならず、また、ロッド39を座屈防止のために
必要以上に大型とする必要がない。これらにより、従来
に比較して、制振構造21の設置コストの低減化を図る
ことができる。
【0032】さらに、上述の制振構造21においては、
上側の大梁25に固定された一対のブレース33,33
の交叉部34に対してオイルダンパー31のシリンダ3
8が固定され、また、オイルダンパー31のロッド39
が支持部材29を介して下側の大梁25aに固定されて
いるために、架構23に生じる層間変位を良好にオイル
ダンパー31に伝達させて、オイルダンパー31にエネ
ルギー吸収機能を十分に発揮させることができる。
【0033】また、上述の制振構造21においては、オ
イルダンパー31を使用したことから、風や中小地震に
対しても揺れを小さくすることができ、居住性能を向上
させることができる。さらに、オイルダンパー31は、
具体的には図4に示したような構造とされ、シリンダ3
8の両端からロッド39が突出した両ロッド形式とされ
ているために、オイルダンパー31の全長が変化するこ
とが無く、据え付け計画がしやすい上、収まりがよい。
【0034】以上のように、建物22中に制振構造21
を配置することにより、建物22に作用する地震力が低
減されるために、構造部材の断面を小さくすることがで
き、構造躯体コストの低減を図ることができる。また、
地震時の加速度も低減することができるために、建物2
2中の什器や備品、設備機器等の損傷を最小限に抑える
ことができる。
【0035】なお、上記実施の形態において、制振構造
21の各所の構造や材料等について、本発明の主旨を逸
脱しない範囲内で、他の構成を採用するようにしてもよ
い。例えば、上記実施の形態では、構造体28において
は、ブレース33,33がV字型に配置されているが、
その代わりに、これらブレースをK字型に配置したもの
を使用するようにしてもよい。また、上記実施の形態に
おいて、ナット49と支持部材29との間に介在する滑
り材としてステンレスワッシャー51および四フッ化エ
チレン樹脂板52が用いられているが、ナット49およ
び支持部材29の間の摩擦を低減できるものであれば、
これらに限らず他の材料を使用するようにしてもよく、
また、ローラーベアリング等の滑り支承を用いるように
しても構わない。また、上記実施の形態においては、制
振ダンパーとしてオイルダンパー31が使用されている
が、これに限らず、他の粘性系ダンパー等を使用するよ
うにしても構わない。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る制
振構造においては、支持部材が、制振ダンパーのロッド
の端部を、ロッドの軸方向の変位を規制するとともに、
軸方向と交差する方向の変位を許容するように支持して
いることから、制振ダンパーに対して軸方向のみに振動
を作用させるとともに、それ以外の方向の力を逃がさせ
ることができる。したがって、従来の制振構造と異な
り、制振ダンパーに対して軸方向以外の力が作用するこ
とを避けるために、クレビスやボールジョイントを用い
る必要が無く、これにより、制振構造の設置スペースを
少なくして、建築計画の自由度を増大させることができ
る。また、クレビスやボールジョイントに従来必要であ
ったコストを減少させて、設置費用の低減化を図ること
ができる。
【0037】請求項2に係る制振構造においては、制振
ダンパーが、軸方向以外の力を受けた際には、ナットと
支持部材との間に介装されたすべり材により、ナットお
よび支持部材の間に滑りが発生して、ロッドに軸方向以
外の力が働くことを防ぐことができ、これによりロッド
の強制変形を防止することができる。さらに、ロッド
は、支持部材に対してそのシリンダと反対側の端部側か
らナットを介して接する構成とされているために、ロッ
ドに引張力が作用する際には、支持部材からロッドに反
力が与えられるのに対し、ロッドに圧縮方向に力が作用
する際には、支持部材から反力が与えられることが無
く、これによりロッドに対して、引張力が働くことがあ
っても、圧縮力が働くことがなく、従来と異なり、制振
ダンパーを設計するにあたって座屈に配慮した許容応力
度の検討が必要とならない。さらに、ロッドを座屈防止
のために必要以上に大型とする必要もないため、従来と
比較して設置コストを低減化することができる。
【0038】請求項3に係る制振構造においては、一対
のブレースの交叉部に対して制振ダンパーのシリンダが
固定されているために、建物の架構に生じる層間変位を
良好に制振ダンパーに伝達させて、ダンパーのエネルギ
ー吸収機能を十分に発揮させることができる。
【0039】請求項4に係る制振構造においては、制振
ダンパーのシリンダ内にピストンが軸方向摺動自在に配
置されるとともに、シリンダ内におけるピストンの両側
方に油室が形成され、さらに、これら油室同士を連結す
るオリフィスが備えられた構成とされているために、風
や中小地震に対しても揺れを小さくすることができ、居
住性能を向上させることができる。さらに、ピストンに
結合されたロッドが、シリンダの両端から突出した構成
とされているために、制振ダンパーに振動が作用して
も、ダンパーの全長が変化することが無く、制振ダンパ
ーの据え付け計画がしやすい上、収まりがよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示す図であ
って、建物の架構の構面内に制振構造を設置した際の状
況を示す正面図である。
【図2】 図1におけるI−I矢視断面図である。
【図3】 図1に示した制振構造において用いられるオ
イルダンパー(制振ダンパー)の拡大立断面図である。
【図4】 図1に示した制振構造における支持部材の構
造を拡大して示す正面図である。
【図5】 図4に示した支持部材の斜視図である。
【図6】 図4におけるII-II矢視断面図である。
【図7】 図4におけるIII-III矢視断面図である。
【図8】 本発明に係る制振構造の作用を示すための図
であって、制振ダンパー(オイルダンパー)において、
ピストンがシリンダの端部に当接する際の状況を示す拡
大立断面図である。
【図9】 本発明の従来の技術を示す図であって、建物
の架構の構面内に制振構造を設置した際の状況を示す正
面図である。
【図10】 図9に示した制振構造において用いられる
オイルダンパー(制振ダンパー)の拡大立断面図であ
る。
【符号の説明】
21 制振構造 22 建物 23 架構 25 大梁 26 構面 28 構造体 29 支持部材 29a (シリンダと反対側の)端部 29b (シリンダ側の)端部 29c 溝部 31 オイルダンパー(制振ダンパー) 33 ブレース 33a 端部 34 交叉部 35 H型鋼 38 シリンダ 39 ロッド 39a 両端 39b 先端部 41 ピストン 42a,42b 油室 43 オリフィス 45 H型鋼 49 ナット 51 ステンレスワッシャー 52 四フッ化エチレン樹脂板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI E04B 2/56 643 E04B 2/56 643A 651 651A 651D 651L 651S 652 652J 652T F16F 15/02 F16F 15/02 K F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の振動応答を低減させるための制振
    構造であって、 シリンダと、前記シリンダの両端から突出するロッドと
    を有し、該シリンダとロッドとをその軸方向に相対変位
    させることによりエネルギー吸収機能を発揮することの
    できる制振ダンパーを備えてなり、 建物の架構における構面内に、構造体が該架構の一部に
    固定されて配置され、 該構造体の少なくとも一部に対して前記制振ダンパーの
    シリンダが固定される一方、 前記架構の他の部分には、一対の支持部材が互いに間隔
    をおいて固定され、 これら支持部材は、前記制振ダンパーのロッドの端部
    を、該ロッドの軸方向の変位を規制するとともに該軸方
    向と交差する少なくとも一方向の変位を許容するように
    支持する構成とされていることを特徴とする制振構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制振構造であって、 前記支持部材は、前記架構を構成する梁から立設される
    とともに、その上端部に該梁の延在方向に平行に形成さ
    れた溝部を有する構成とされ、 該溝部は、前記支持部材において前記シリンダ側の端部
    から該シリンダと反対側の端部にまで至るように形成さ
    れ、 該溝部には前記ロッドが挿通されるとともに、該ロッド
    は、その先端が前記支持部材の前記シリンダと反対側の
    端部から突出する状態となるように配置され、 該ロッドの先端にはナットが螺着され、 該ナットは、前記支持部材の前記シリンダと反対側の端
    部に対して、該ナットと該支持部材との間の摩擦を低減
    するためのすべり部材を介して接する構成とされている
    ことを特徴とする制振構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の制振構造であっ
    て、 前記構造体は、前記構面内に配置されて互いに交差する
    ように設けられた一対のブレースを有してなり、前記シ
    リンダはこれらブレースの交叉部に固定されていること
    を特徴とする制振構造。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の制振
    構造であって、 前記制振ダンパーは、前記シリンダ内において軸方向摺
    動自在に配置されたピストンと、該シリンダ内において
    前記ピストンの両側にそれぞれ形成されるとともにその
    内部にオイルが満たされた油室と、これら油室同士を互
    いに連通するオリフィスとを備えた構成とされ、 前記ロッドは、前記ピストンと一体的に結合されている
    ことを特徴とする制振構造。
JP611998A 1998-01-14 1998-01-14 制振構造 Withdrawn JPH11200662A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009255606A (ja) * 2008-04-11 2009-11-05 Jamco Corp 常電導吸引型磁気浮上式車両
JP2015031111A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 株式会社オーディーエム 制振用ダンパー
JP2016038065A (ja) * 2014-08-08 2016-03-22 ヤマハモーターハイドロリックシステム株式会社 制震ダンパ
CN106930590A (zh) * 2016-09-21 2017-07-07 中国地震局工程力学研究所 具有阻尼功能的新型空间网格结构球节点装置
CN115199067A (zh) * 2022-07-28 2022-10-18 山东舜林建设有限公司 一种装配式建筑内墙施工用支撑装置

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