JP2017045600A - ナトリウムイオン二次電池の制御方法、ナトリウムイオン二次電池の制御装置、及びナトリウムイオン二次電池の制御方法又はナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池 - Google Patents

ナトリウムイオン二次電池の制御方法、ナトリウムイオン二次電池の制御装置、及びナトリウムイオン二次電池の制御方法又はナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い平均電圧を維持しつつ、高いサイクル耐久性を実現し得るナトリウムイオン二次電池の制御方法、ナトリウムイオン二次電池の制御装置、及びナトリウムイオン二次電池の制御方法又はナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】ナトリウムイオン二次電池の制御方法は、正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、負極の充電容量/正極の充電容量(A/C)が0.5以上0.9以下であり、正極活物質が組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]O2で表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウムイオン二次電池の使用方法であって、ナトリウムイオン二次電池の充電をする際に、負極の充電容量/正極の実効充電容量(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ナトリウムイオン二次電池の制御方法、ナトリウムイオン二次電池の制御装置、及びナトリウムイオン二次電池の制御方法又はナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池に関する。
近年、地球温暖化に対処するために、二酸化炭素の排出量を低減することが切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)等の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵となる電動車両の電源装置に適用される二次電池の開発が盛んに行われている。このような二次電池としては、高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。しかしながら、リチウムは、例えばナトリウムと比較して資源的に豊富でないため、高価である。したがって、二次電池の低コスト化及び安定的な供給のために、リチウムイオン二次電池に代わるナトリウムイオン二次電池についても、現在開発が進められている。
一般的に、ナトリウムイオン二次電池は、ナトリウム系正極活物質等を含む正極活物質層を正極集電体に形成した正極と、ナトリウムイオンを吸蔵及び放出できる負極活物質等を含む負極活物質層を負極集電体に形成した負極と、正極と負極との間に配設されたセパレータに非水系の電解液やゲル電解質を保持した電解質層とを有している。このようなナトリウムイオン二次電池を電動車両の電源装置として用いるためには、高出力であることが求められる。しかしながら、ナトリウムイオン二次電池は、平均電圧が低かった(2.5〜2.7V程度)。
非特許文献1では、P2構造のナトリウム層状化合物であるNa2/3Ni1/3Mn2/3正極活物質が提案されており、このような正極活物質を用いたナトリウムイオン電池では平均電圧が高いことが報告されている。
Journal of The Electrochemical Society, 148(11), A1225-1229(2001) Zhonghua Lu and J. R. Dahn
しかしながら、非特許文献1に記載されたP2構造のNa2/3Ni1/3Mn2/3正極活物質にあっては、このような正極活物質を用いたナトリウムイオン二次電池において、高い平均電圧が得られるものの、充電に際して不可逆容量領域(2段目のプラトー領域)を使用すると、サイクル耐久性が低下してしまうというナトリウム層状化合物に固有の問題点があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明は、高い平均電圧を維持しつつ、高いサイクル耐久性を実現し得るナトリウムイオン二次電池の制御方法、ナトリウムイオン二次電池の制御装置、及びナトリウムイオン二次電池の制御方法又はナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。その結果、所定のナトリウム層状化合物を含む正極活物質を用いたナトリウムイオン二次電池において、正極の充電容量に対する負極の充電容量の比を所定の範囲内とし、さらに、充電する際に、正極の実効充電容量に対する負極の充電容量の比を所定の範囲内とすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1のナトリウムイオン二次電池の制御方法は、正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、該正極の充電容量(C)に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、該正極活物質が、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウムイオン二次電池の制御方法であって、該ナトリウムイオン二次電池の充電をする際に、該正極の実効充電容量(C(actual))に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とするナトリウムイオン二次電池の制御方法である。
そして、本発明の第2のナトリウムイオン二次電池の制御方法は、正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、該正極の充電容量(C)に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、該正極活物質が、組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウムイオン二次電池の制御方法であって、該ナトリウムイオン二次電池の充電をする際に、該正極の実効充電容量(C(actual))に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とするナトリウムイオン二次電池の制御方法である。
また、本発明の第1のナトリウムイオン二次電池の制御装置は、正極活物質を用いた正極、負極活物質を用いた負極及び非水系の電解質を有するナトリウムイオン二次電池と、該正極の実効充電容量(C(actual))に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする充電制御をする制御部と、を備え、該正極の充電容量(C)に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、該正極活物質が、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含むものである。
さらに、本発明の第2のナトリウムイオン二次電池の制御装置は、正極活物質を用いた正極、負極活物質を用いた負極及び非水系の電解質を有するナトリウムイオン二次電池と、該正極の実効充電容量(C(actual))に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする充電制御をする制御部と、を備え、該正極の充電容量(C)に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、該正極活物質が、組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含むものである。
また、本発明の第1のナトリウムイオン二次電池は、上記本発明の第1のナトリウムイオン二次電池の制御方法又は上記本発明の第1のナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池であって、正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、該正極の充電容量(C)に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、該正極活物質が、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含むものである。
また、本発明の第2のナトリウムイオン二次電池は、上記本発明の第2のナトリウムイオン二次電池の制御方法又は上記本発明の第2のナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池であって、正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、該正極の充電容量(C)に対する該負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、該正極活物質が、組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含むものである。
本発明によれば、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]O又は組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウム系正極活物質を用いたナトリウムイオン二次電池において、正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)を、0.5以上0.9以下とし、ナトリウムイオン二次電池の充電をする際に、正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とすることなどとした。そのため、高い平均電圧を維持しつつ、高いサイクル耐久性を実現し得るナトリウムイオン二次電池の制御方法、ナトリウムイオン二次電池の制御装置、及びナトリウムイオン二次電池の制御方法又はナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池を提供することができる。
図1は、第1の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御方法に用いられるナトリウムイオン二次電池の一実施形態である、扁平型(積層型)のナトリウムイオン二次電池の外観を示す斜視図である。 図2は、図1に示した扁平型(積層型)のナトリウムイオン二次電池の一実施形態である、双極型でないナトリウムイオン二次電池のII−II線に沿った模式的な断面図である。 図3は、第3の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御装置の構成の概略を示す構成概略図である。
以下、本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御方法、ナトリウムイオン二次電池の制御装置、及びナトリウムイオン二次電池の制御方法又はナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御方法、及び本発明の第1の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御方法に用いられるナトリウムイオン二次電池について詳細に説明する。
本実施形態のナトリウムイオン二次電池の制御方法は、正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、正極活物質が、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウムイオン二次電池の制御方法であって、ナトリウムイオン二次電池の充電をする際に、正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とするナトリウムイオン二次電池の制御方法である。
そして、正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、正極活物質が、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウムイオン二次電池を充電する際に、正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とすることにより、サイクル耐久性の低下につながる、不可逆容量領域(2段目のプラトー領域)の使用を回避することができる。
その結果、ナトリウムイオン二次電池の高い平均電圧を維持しつつ、高いサイクル耐久性を実現することができる。また、例えば、上記正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)の値を0.5以上0.9以下の範囲内で小さくするとともに、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))の値を0.9以上1.1以下の範囲内で大きくすることにより、高容量化を図ることができるという利点もある。さらに、例えば、上記正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)の値を0.5以上0.9以下の範囲内で大きくするとともに、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))の値を0.9以上1.1以下の範囲内で小さくすることにより、さらなるサイクル耐久性の向上を図ることができるという利点もある。
また、本実施形態においては、ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、P2構造で表されるものであることが好ましい。このような構成とすることにより、ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、詳しくは後述するP3構造で表されるものよりも高容量化を図ることが可能である。
以下、本実施形態のナトリウムイオン二次電池の制御方法に用いられるナトリウムイオン二次電池の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、第1の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御方法に用いられるナトリウムイオン二次電池の一実施形態である、扁平型(積層型)のナトリウムイオン二次電池の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1に示した扁平型(積層型)のナトリウムイオン二次電池の一実施形態である、双極型でないナトリウムイオン二次電池のII−II線に沿った模式的な断面図である。
図1に示すように、本実施形態のナトリウムイオン二次電池1は、正極タブ21及び負極タブ22が取り付けられた電池要素10が電池外装体30によって包まれており、電池外装体30の周囲が熱融着されており、電池要素10が正極21及び負極タブ22を電池外装体30の外部に引き出した状態で電池外装体30の内部に封入されている。そして、正極タブ21及び負極タブ22が、電池外装体30の内部から外部に向かって、反対方向に導出されている。
なお、図示しないが、正極タブ及び負極タブは、例えば、電池外装体の内部から外部に向かって、同じ辺から同一方向に導出されていてもよい。また、図示しないが、正極タブ及び負極タブは、例えば、それぞれを複数に分けて、各辺から導出されていてもよい。さらに、このような正極タブ及び負極タブは、例えば、超音波溶接や抵抗溶接などにより、それぞれ後述する正極集電体及び負極集電体に取り付けることができる。さらに、正極タブ及び負極タブは、例えば、それぞれ必要に応じて、正極リード及び負極リード(図示せず。)を介して、超音波溶接や抵抗溶接などによりそれぞれ後述する正極集電体及び負極集電体に取り付けることもできる。
また、図2に示すように、実際に充放電反応が進行する略矩形の電池要素10は、正極集電体11Aの両方の表面に正極活物質層11Bが形成された正極11と、電解質層13と、負極集電体12Aの両方の表面に負極活物質層12Bが形成された負極12とを複数積層した構成を有している。このとき、一の正極11の正極集電体11Aの片方の表面に形成された正極活物質層11Bと該一の正極11に隣接する負極12の負極集電体12Aの片方の表面に形成された負極活物質層12Bとが電解質層13を介して向き合うように、正極、電解質層、負極の順に複数積層されている。これにより、隣接する正極活物質層11B、電解質層13及び負極活物質層12Bは、1つの単電池層14を構成する。従って、ナトリウムイオン二次電池1は、単電池層14が複数積層されることにより、電気的に並列接続された構成を有するものとなる。なお、電池要素10の両最外層に位置する最外層負極集電体12A’には、いずれも片面のみに負極活物質層12Bが配置されている。
なお、図示しないが、電池要素の両最外層に位置する最外層負極集電体の両面に負極活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ負極活物質層を設けた最外層専用の負極集電体とするのではなく、両面に負極活物質層がある負極集電体をそのまま最外層の負極集電体として用いてもよい。また、図2とは正極及び負極の配置を逆にすることで、発電要素の両最外層に最外層正極集電体が位置するようにし、該最外層正極集電体の片面又は両面に正極活物質層が配置されているようにしてもよい。
また、図2では、扁平型(積層型)の双極型ではないナトリウムイオン二次電池を示したが、集電体の一方の面に配設された正極活物質層と、集電体の反対側の面に配設された負極活物質層とを有する扁平型(積層型)の双極型であるナトリウムイオン二次電池としてもよい。なお、この場合、一の集電体が正極集電体及び負極集電体を兼ねることとなる。
さらに、積層型のナトリウムイオン二次電池は、巻回型のナトリウムイオン二次電池のような正極に適度な圧迫がかかることで、膨潤の抑制効果が期待されるナトリウムイオン二次電池と比べて、正極への圧迫がかかりづらいという利点がある。
以下、各構成について、さらに詳細に説明する。
(正極)
正極11は、正極集電体11Aと、正極集電体11Aの表面に形成された正極活物質層11Bとを有するものである。
(正極集電体)
正極集電体を構成する材料は、特に限定されるものではないが、好適には金属が用いられる。具体的には、正極集電体の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス(SUS)、チタン、銅、その他合金、カーボン等が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、さらには、これらの金属の組み合わせのめっき材などを好適例として挙げることができる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。中でも、電子伝導性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銅が好ましい。正極集電体の形状としては、例えば、箔状、メッシュ状、多孔質状等を挙げることができる。
正極集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて適宜決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな正極集電体が用いられる。正極集電体の厚さについても、特に限定されるものではない。正極集電体の厚さは、通常は1〜100μm程度である。
(正極活物質層)
正極活物質層は、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含む正極活物質を含有する層である。
(正極活物質)
本実施形態においては、正極活物質は、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含むことが必須である。なお、正極活物質層に含まれる正極活物質の全量100質量%に占める上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物の合計量の割合は、好ましくは50質量%以上である。より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上であり、いっそう好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
なお、上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物における各元素の組成は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法により測定できる。また、上記組成式(1)で表される化合物が、ナトリウム層状化合物であることは、例えば、X線回折パターンにより同定できる。
また、上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物の結晶構造は、例えば、X線回折(XRD)により測定できる。P2構造やP3構造などは、NaMO(Mは少なくとも1種の遷移金属)型のナトリウム層状化合物が採る代表的な結晶構造である。いずれの構造でも、6個の酸素によってMイオンを中心とした八面体が形成され、この八面体が稜共有してできたMO層を持っている。これらの構造の違いは、ナトリウムイオンの位置と、それによって生じるMO層のずれ、すなわち積層パターンが異なっているところである。具体的にはO3、T1、P2、P3の4種類に分類された結晶構造である。Mイオンと同様に、ナトリウムイオンも6個の酸素に取り囲まれている。したがって、このナトリウムイオンに対する酸素の配位パターンの違いにより、八面体型(O3)、四面体型(T1)、三角プリズム型(P2、P3)に分けることができる。また、アルファベット(O、T、P)の後の数字は積層方向のMO層の周期を示している。
そして、ナトリウム層状化合物である組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oの結晶構造は、P2構造又はP3構造を取り得る。言い換えれば、ナトリウム層状化合物は、X線回折(XRD)測定においてP2構造又はP3構造で表されるものである。P3構造よりもP2構造の方が放電容量の点では大きくなる場合がある点で優れている。なお、P2構造とP3構造とで、平均電圧に優位差は認められない。
また、上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物は、一次粒子が凝集してなる二次粒子の構成を有している。そして、一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は好ましくは0.9μm以下であり、より好ましくは0.20〜0.6μmであり、さらに好ましくは0.25〜0.5μmである。また、二次粒子(凝集体)の平均粒子径(平均二次粒子径;最終的な正極活物質の大きさであることから、以下、単に平均粒子径とも称する。)は、好ましくは5〜20μmであり、より好ましくは5〜15μmである。ここで、平均(一次、二次)粒子径は、例えば、SEM観察、TEM観察により測定することができる。また、ここでいう平均粒子径は、粒子の形状が一様でない場合もあるため、絶対最大長で表すものとする。ここで、絶対最大長とは、SEM観察又はTEM観察による観察面(断面)において、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の長さLの平均をとるものとする。なお、値は粒子100個から求めた平均値とする。他の粒子等の平均粒子径についても同様に測定して求めるものとする。さらに、これらの比の値(平均(二次)粒子径/平均一次粒子径)は、11より大きいことが好ましく、より好ましくは15〜50であり、さらに好ましくは25〜40である。なお、ナトリウム層状化合物を構成する一次粒子は、通常、層状構造を有するP2構造又はP3構造の結晶構造を有しているが、その結晶子径の大小は平均一次粒子径の大小と相関性を有している。ここで「結晶子」とは、単結晶とみなせる最大の集まりを意味し、粉末X線回折測定などにより得られた回折強度から、結晶の構造パラメータを精密化する方法により測定が可能である。結晶子径の具体的な値については、特に限定されるものではないが、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.8μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以下である。このような構成とすることにより、正極活物質の充放電に伴う膨張収縮時の変位量をよりいっそう低減することが可能となり、充放電の繰り返しに伴う二次粒子の微細化(割れ)の発生が抑制され、サイクル特性のよりいっそうの向上に寄与し得る。なお、結晶子径の値の下限値については、特に限定されるものではないが、通常は0.1μm以上である。ここで、本明細書において、正極活物質粒子における結晶子径の値は、粉末X線回折測定により得られる回折ピーク強度から結晶子径を算出する、リートベルト法により測定するものとする。
さらに、上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物のBET比表面積は、好ましくは1〜30m/gであり、より好ましくは2〜25m/gであり、特に好ましくは2〜20m/gである。正極活物質の比表面積がこのような範囲にあることで、正極活物質の反応面積が確保され、電池の内部抵抗が小さくなることから、電極反応時の分極発生を最小限に抑えることができる。
また、上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物は、溶融塩法、スプレードライ法、共沈法など、種々公知の方法を選択して調製することができるなど、特に限定されるものではない。ナトリウム層状化合物の調製が容易であることから、溶融塩法ないしスプレードライ法を用いるのが好ましく、性能面からはスプレードライ法を用いるのが特に好ましい。
以下、ナトリウム層状化合物の合成方法として、スプレードライ法を一例に挙げて説明するが、このような製造方法に何ら限定されるものではない。
(ナトリウム層状化合物の原料化合物の溶媒への溶解・混合工程;ステップ1)
まず、ナトリウム層状化合物の原料化合物としてのニッケル化合物、マンガン化合物、ナトリウム化合物を、所望の正極活物質材料の組成となるように、例えば、純水等の適当な溶媒に溶解させ混合する。ニッケル化合物、マンガン化合物及びナトリウム化合物としては、例えば、当該金属元素の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物などが挙げられる。ニッケル化合物、マンガン化合物及びナトリウム化合物の具体例としては、硝酸ニッケル、硝酸マンガン、硝酸ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸ナトリウム、酢酸ニッケル、酢酸マンガン、酢酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、上記ニッケル化合物、マンガン化合物及びナトリウム化合物は、実施例で用いたように、水和物、例えば、硝酸ニッケル6水和物((Ni(NO・6HO)、硝酸マンガン6水和物((Mn(NO・6HO)等の形態で用いてもよい。
(スプレードライ工程;ステップ2)
次に、ステップ1で得られた混合物をスプレードライヤーで噴霧乾燥する。詳しくは、ステップ1で得られた混合物を出口温度を所定温度(例えば、250℃)に設定したスプレードライヤーで噴霧乾燥する。
(熱分解工程;ステップ3)
さらに、ステップ2でスプレードライにより乾燥して取り出した乾燥粉末を加熱(例えば、450℃)し、さらに加熱を続けて熱分解し、前駆体を得る。詳しくは、ステップ2でスプレードライにより乾燥して取り出した乾燥粉末を所定条件で加熱するとNOxガスを発生する。さらに、所定条件で加熱を続けるとガス発生を伴いながら残留硝酸イオンが分解(熱分解)し、前駆体が得られる。なお、ここでいう前駆体は、仕込み組成比のナトリウム、ニッケル、マンガンを含有する酸化物(熱分解で生成した酸化物混合体で中間生成物になる。)で、P2構造又はP3構造の結晶構造をきちんと組んでいない酸化物(したがって、中間生成物は、部分的に水酸基や硝酸基などを含んだ不定比組成の酸化物である。)である。
ここで、前駆体の大きさ(平均粒子径)は、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmの範囲である。スプレー後の前駆体の大きさ(平均粒子径)が下限値の0.1μm以上であれば耐久性の点で優れている。またスプレー後の前駆体の大きさ(平均粒子径)が上限値の20μm以下、好ましくは10μm以下であれば充放電特性の点で優れている。
なお、乾燥粉末のNOxガスを発生させる際の加熱温度としては、250〜450℃が好ましい。さらに加熱して残留硝酸イオンを分解(熱分解)する際の加熱温度としても、250〜450℃が好ましい。
(焼成工程;ステップ4)
しかる後、ステップ3で得られた前駆体を焼成(700/950℃)して、目的の正極活物質(上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物)を得る。詳しくは、ステップ3の熱分解で得られた前駆体を所望の温度、時間(例えば、700℃、10時間)焼成することで、所望の組成及び結晶構造を有する所望の平均粒子径を有する正極活物質(上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物)を得ることができる。
ステップ4での焼成条件、特に温度条件を変えることにより、得られる正極活物質(上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物)の結晶構造を、P2構造とすることも、P3構造とすることもできる(作り分けできる)。まず、P3構造とする場合の焼成条件としては、焼成温度700±50℃、好ましくは700±30℃、より好ましくは700±10℃の範囲で、10時間±5時間、好ましくは10時間±3時間、より好ましくは10時間±1時間の範囲である。次に、P2構造とする場合の焼成条件としては、焼成温度950±50℃、好ましくは950±30℃、より好ましくは950±10℃の範囲で、10時間±5時間、好ましくは10時間±3時間、より好ましくは10時間±1時間の範囲である。なお、昇温速度は室温から1〜20℃/分であることが好ましい。焼成時の雰囲気ガス及び圧力に関しては、特に限定されるものではないが、雰囲気ガスは、前駆体が酸化焼成されるガス雰囲気であればよく、空気中(大気ガス雰囲気)ないし酸素雰囲気下であることが好ましい。焼成圧力も、大気圧下、加圧下、減圧下のいずれでもよいが、加圧ないし減圧するための高価な装置を要しない点で、大気圧下で行うのが好ましい。
また、ステップ4で得られる正極活物質(上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物)の平均粒子径は、前駆体から大きく体積変化するものではないので、前駆体と同様に、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmの範囲である。正極活物質の大きさ(平均粒子径)が下限値の0.1μm以上であれば耐久性の点で優れている。また、正極活物質の大きさ(平均粒子径)が上限値の20μm以下、好ましくは10μm以下であれば充放電特性の点で優れている。スプレードライ法では、溶融塩法における粉砕工程を行うことなく、スプレードライによる乾燥時の噴射速度等を適宜調整することにより、所望の平均粒子径を有する正極活物質を得ることができる点で優れている。
(上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物以外の他の正極活物質)
正極活物質としては、上記組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物以外の正極活物質、例えば、層状正極活物質、スピネル型正極活物質、オリビン型正極活物質等を、本発明の作用効果を損なわない範囲で併用してもよい。このような組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物以外の他の正極活物質の具体例としては、NaFeO、NaNiO、NaCoO、NaMnO、NaVO、Na(FeMn1−x)O(0<x<1)、NaVPOF、NaFePOF、Na(PO等が挙げられる。
また、正極活物質の形状は、粒子状であることが好ましい。さらに、正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm〜100μmの範囲内、中でも10nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。また、正極活物質層における正極活物質の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましく、例えば60〜99質量%の範囲内、中でも70〜95質量%の範囲内であることが好ましい。さらに、正極活物質層の厚さは、電池の構成によって大きく異なるものであるが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、2〜100μmであることがより好ましい。
(正極活物質以外の他の成分等)
以下、正極活物質層において、必要に応じて用いられる、バインダ、導電助剤等の添加剤の種類、及びこれらの含有量について説明する。
正極活物質層は、上述した正極活物質を含み、さらに必要に応じて、バインダ、導電助剤、電解質(ポリマーマトリックス、ナトリウムイオン伝導性ポリマー、非水電解液など)、ナトリウムイオン伝導性を高めるためのナトリウム塩、界面活性剤などのその他の添加剤を含む。ただし、正極活物質層中、正極活物質として機能し得る材料の含有量は、85〜99.5質量%であることが好ましい。
(バインダ)
バインダは、バインダ(結着剤)としての役割を果たすものであれば、特に限定されるものではない。すなわち、バインダは、正極活物質層中の構成部材同士又は正極活物質層と正極集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。バインダとしては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に限定されないが、以下の3つの点を満たすものがより好ましい。(1)塗工液を安定なスラリーに保つ(分散作用や増粘作用を有している)。(2)正極活物質粉末、導電助剤(導電フィラー)粉末等の粒子同士を固着させ電極としての機械的強度を維持させ、かつ、粒子同士の電気的接触を保つ。(3)正極集電体に対して接着力(結着力)を維持する。
そのため、バインダとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、テトラフルオロエチレン(TFE)とPVDFとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等を用いることができる。この他にも、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及びポリブテンからなる群から選択される少なくとも1種、又はポリフッ化ビニリデンの水素原子が他のハロゲン元素にて置換された化合物を用いることができる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり正極活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、バインダがこれらに限定されないことはいうまでもない。
また、バインダの重量平均分子量(Mw)は、5000〜10000であることが好ましく、7000〜8000であることが好ましい。
なお、上記分子量は、MSスペクトル法、光散乱法、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどの公知の方法で測定することができる。本明細書では、液クロマトグラフィーにより測定した分子量であり、以下で使用する種々の高分子も同様の方法で測定している。
正極活物質層中に含まれるバインダ量は、正極活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは正極活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
(導電助剤)
導電助剤とは、正極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。正極活物質層が導電助剤を含むと、正極活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与し得る。
(電解質のナトリウム塩)
電解質の支持塩としては、ナトリウム塩が好ましく、ナトリウム塩としては、NaPF、NaBF、NaClO、NaAsF、NaTaF等の無機ナトリウム塩;NaCFSO、Na(CFSON、Na(CSON、Na(FSON、Na(CFSOC等の有機ナトリウム塩などが挙げられる。
(ナトリウムイオン伝導性ポリマー(マトリックスポリマー))
ナトリウムイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系、ポリプロピレンオキシド(PPO)系、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HEP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、これらの共重合体などが挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、公知のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を使用することができる。
また、正極活物質層中に含まれ得る、導電助剤、電解質(ポリマーマトリックス、ナトリウムイオン伝導性ポリマー、非水電解液など)、ナトリウムイオン伝導性を高めるためのナトリウム塩などのその他の添加剤の配合比は、特に限定されない。それらの配合比は、ナトリウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整され得る。
(負極)
負極12は、負極集電体12Aと、負極集電体12Aの表面に形成された負極活物質層12Bとを有するものである。
(負極集電体)
負極集電体を構成する材料は、特に限定されるものではないが、好適には金属が用いられる。具体的には、負極集電体の材料としては、例えば、ステンレス(SUS)、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、その他合金、カーボン等が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、さらには、これらの金属の組み合わせのめっき材などを好適例として挙げることができる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。中でも、電子伝導性や電池作動電位の観点からは、ステンレス(SUS)、銅、ニッケルが好ましい。負極集電体の形状としては、例えば、箔状、メッシュ状、多孔質状等を挙げることができる。
負極集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて適宜決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな負極集電体が用いられる。負極集電体の厚さについても特に限定されるものではない。負極集電体の厚さは、通常は1〜100μm程度である。
(負極活物質層)
負極活物質層は、負極活物質を含み、必要に応じて、導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、ナトリウムイオン伝導性ポリマー、非水電解液など)、ナトリウムイオン伝導性を高めるためのナトリウム塩、界面活性剤などのその他の添加剤をさらに含む。導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、ナトリウムイオン伝導性ポリマー、非水電解液など)、ナトリウムイオン伝導性を高めるためのナトリウム塩、界面活性剤などのその他の添加剤については、上記正極活物質層の説明で述べたものと同様である。
負極活物質層は、放電時にナトリウムイオンを放出し、充電時にナトリウムイオンを吸蔵できる負極活物質を含むものであれば特に限定されるものではない。負極活物質としては、例えば、スズ、ゲルマニウム、ビスマス等のナトリウム合金;アモルファス炭素、カーボンブラック、アセチレンブラック、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料;スズのナノ粉末(約500mAh/gの大容量。かつ、良好なサイクル特性が得られる。)、ゲルマニウム、ビスマス、ケイ素、スズ等の金属材料などを挙げることができる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。また、負極活物質の形状としては、球状、薄片状、繊維状、又は微粉末の凝集体などのいずれであってもよい。
また、このようなナトリウムイオンを吸蔵及び放出できる炭素材料としては、非晶質炭素材料を挙げることができる。非晶質炭素材料としては、石油コークス、石炭コークス、ピッチコークスなどのソフトカーボン(易黒鉛化性炭素);ポリ塩化ビニリデン炭、木炭、果実殻、カリックスアレーン由来(約320mAh/gの大きな充放電容量と良好なサイクル特性が両立できる。)などのハードカーボン(難黒鉛化性炭素)等が挙げられる。この他にも二次電池用炭素材料として、例えば、層間距離d002が3.50Å〜3.77Åの範囲内であり、ラマン分光測定により求められるD/G比が0.80〜1.10の範囲内である炭素材料、層間距離d002が3.50Å以上であり、ラマン分光測定により求められるD/G比が0.80〜1.10の範囲内であり、金属ナトリウムに対するナトリウム挿入脱離電位が0.30V以上である炭素材料などを用いてもよい。ここで、層間距離d002とは、炭素材料における(002)面の面間隔をいい、具体的にはグラフェン層間の距離に該当する。層間距離d002は、例えばCuKα線を用いたX線回折(XRD)法により得られるピークから求めることができる。また、上記D/G比とは、ラマン分光測定(波長532nm)において観察される、1590cm−1付近のグラファイト構造に由来するG−bandのピーク強度に対する、1350cm−1付近の欠陥構造に由来するD−bandのピーク強度をいう。さらにナトリウム挿入脱離電位は、ナトリウム挿入電位及びナトリウム脱離電位の平均値と定義する。ナトリウム挿入電位及びナトリウム脱離電位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)法により決定することができる。サイクリックボルタンメトリ法の測定条件は、電気化学測定装置システム(ソーラトロン社製、147055BEC型)を用い、電位範囲0.01V〜2.5V(vsNa/Na)、掃引速度0.1mV/secとする。ナトリウムイオン二次電池の負極活物質としては、容量、出力特性の観点から、金属材料、ナトリウム合金又は非晶質炭素材料等の二次電池用炭素材料を含むことがより好ましく、金属材料、ナトリウム合金又は二次電池用炭素材料を主成分とすることがより好ましい。なお、「負極活物質が金属材料、ナトリウム合金又は二次電池用炭素材料を主成分とする」とは、負極活物質に占める金属材料、ナトリウム合金又は二次電池用炭素材料の割合が50質量%以上であることを意味する。この場合、負極活物質に占めるナトリウム金属、ナトリウム合金又は二次電池用炭素材料の割合は、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上であり、いっそう好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
また、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
負極活物質の平均粒子径は特に限定されるものではないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜20μmである。
負極活物質層においては、正極活物質層で使用可能なPVdFやその他のバインダを適宜用いることができる。これら正極活物質層で使用可能なPVdFやその他のバインダについては、上述した通りであるので、ここでの説明は省略する。負極活物質層では、さらに従来公知の水系バインダを用いることもできる。水系バインダは、結着力が高い。また、原料としての水の調達が容易であることに加え、乾燥時に発生するのは水蒸気であるため、製造ラインへの設備投資が大幅に抑制でき、環境負荷の低減を図ることができるという利点がある。
上記水系バインダは、結着性の観点から、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、及びメタクリル酸メチルゴムからなる群から選択される少なくとも1つのゴム系バインダを含むことが好ましい。さらに、結着性が良好であることから、水系バインダはスチレン−ブタジエンゴムを含むことが好ましい。
負極活物質層に用いられるバインダとして、正極活物質層で使用可能なPVdFやその他のバインダを用いる場合には、正極活物質層で使用可能なPVdFやその他のバインダの含有量は80〜100質量%であることが好ましい。また90〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。一方、負極活物質層に用いられるバインダとして水系バインダを用いる場合、負極活物質層に用いられるバインダに占める水系バインダの含有量は80〜100質量%であることが好ましい。また90〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。
(電解質層)
電解質層13は、セパレータに電解質を保持して正極11と負極12との間のナトリウムイオン伝導性を確保する機能、及び正極11と負極11との間の隔壁としての機能を有する。
電解質層の厚さは、電解質の種類及び電池の構成によって大きく異なるものであるが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
(セパレータ)
正極活物質層及び負極活物質層の間に、電解質層の一部としてセパレータを有することが好ましい。より安全性の高いナトリウムイオン二次電池を得ることができるからである。セパレータの形態としては、例えば、電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
ポリマーないし繊維からなる多孔性シートのセパレータとしては、例えば、微多孔質(微多孔膜)を用いることができる。ポリマーないし繊維からなる多孔性シートの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;これらを複数積層した積層体(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体など)、ポリイミド、アラミド、ポリフッ化ビニリデン((PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂、セルロース、ガラス繊維などからなる微多孔質(微多孔膜)セパレータが挙げられる。
微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。一例を示せば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層又は多層で4〜60μmであることが好ましい。微多孔質(微多孔膜)セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)であることが好ましい。
不織布セパレータとしては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなどの樹脂繊維不織布、ガラス繊維不織布などの従来公知のものを、単独又は混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に限定されるものではない。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。
また、セパレータとしては多孔質基体に耐熱絶縁層が積層されたセパレータ(耐熱絶縁層付セパレータ)であることが好ましい。耐熱絶縁層は、無機粒子及びバインダを含むセラミック層である。耐熱絶縁層付セパレータは融点又は熱軟化点が150℃以上、好ましくは200℃以上である耐熱性の高いものを用いる。耐熱絶縁層を有することによって、温度上昇の際に増大するセパレータの内部応力が緩和されるため熱収縮抑制効果が得られ得る。その結果、電池の電極間ショートの誘発を防ぐことができるため、温度上昇による性能低下が起こりにくい電池構成になる。また、耐熱絶縁層を有することによって、耐熱絶縁層付セパレータの機械的強度が向上し、セパレータの破膜が起こりにくい。さらに、熱収縮抑制効果及び機械的強度の高さから、電池の製造工程でセパレータがカールしにくくなる。
耐熱絶縁層における無機粒子は、耐熱絶縁層の機械的強度や熱収縮抑制効果に寄与する。無機粒子として使用される材料は特に限定されるものではない。例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンの酸化物(SiO、Al、ZrO、TiO)、水酸化物、及び窒化物、並びにこれらの複合体が挙げられる。これらの無機粒子は、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカなどの鉱物資源由来のものであってもよいし、人工的に製造されたものであってもよい。また、これらの無機粒子は1種のみが単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、コストの観点から、シリカ(SiO)又はアルミナ(Al)を用いることが好ましく、アルミナ(Al)を用いることがより好ましい。
耐熱性粒子の目付けは、特に限定されるものではないが、5〜15g/mであることが好ましい。この範囲であれば、十分なナトリウムイオン伝導性が得られ、また、耐熱強度を維持する点で好ましい。
耐熱絶縁層におけるバインダは、無機粒子同士や、無機粒子と樹脂多孔質基体層とを接着させる役割を有する。バインダによって、耐熱絶縁層が安定に形成され、また、多孔質基体層及び耐熱絶縁層の間の剥離が防止される。
耐熱絶縁層に使用されるバインダは、特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリロニトリル、セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、アクリル酸メチルなどの化合物をバインダとして用いることができる。このうち、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル酸メチル、又はポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いることが好ましい。これらの化合物は、1種のみが単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
耐熱絶縁層におけるバインダの含有量は、耐熱絶縁層100質量%に対して、2〜20質量%であることが好ましい。バインダの含有量が2質量%以上であると、耐熱絶縁層と多孔質基体層との間の剥離強度を高めることができ、セパレータの耐振動性を向上させることができる。一方、バインダの含有量が20質量%以下であると、無機粒子の隙間が適度に保たれるため、十分なナトリウムイオン伝導性を確保することができる。
耐熱絶縁層付セパレータの熱収縮率は、150℃、2gf/cm条件下、1時間保持後にMD、TDともに10%以下であることが好ましい。このような耐熱性の高い材質を用いることで、正極発熱量が高くなり電池内部温度が150℃に達してもセパレータの収縮を有効に防止することができる。その結果、電池の電極間ショートの誘発を防ぐことができるため、温度上昇による性能低下が起こりにくい電池構成になる。
(電解質)
また、電解質層13は、セパレータ(の細孔内)に電解質を含む(含浸する)。電解質としては、正極と負極との間のナトリウムイオン伝導性を確保する機能を発揮できるものであれば特に限定されるものではないが、液体電解質(非水電解液)又はゲルポリマー電解質(ゲル電解質)又は固体電解質が用いられる。すなわち、電解質層は、固体電解質層であってもよく、電解質層が液体電解質層であってよく、電解質層がゲル電解質層であってもよい。ゲルポリマー電解質や固体電解質を用いることにより、電極間距離の安定化が図られ、分極の発生が抑制され、耐久性(サイクル特性)が向上する。
(液体電解質;非水電解液)
液体電解質は、ナトリウムイオンのキャリヤーとしての機能を有する。電解質層(セパレータ+電解液)を構成する液体電解質(非水電解液)は、可塑剤である有機溶媒(非水溶媒)に支持塩であるナトリウム塩が溶解したものである。用いられる有機溶媒としては、例えば、高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状エステル(環状カーボネート)、γ−ブチロラクトン、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等を挙げることができる。一方、低粘度溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状エステル(鎖状カーボネート)、メチルアセテート、エチルアセテート等のアセテート類、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル等を挙げることができる。高誘電率溶媒及び低粘度溶媒を混合した混合溶媒を用いてもよい。また、ナトリウム塩としては、NaPF、NaBF、NaClO、NaAsF、NaTaF等の無機ナトリウム塩;NaCFSO、Na(CFSON、Na(CSON、Na(FSON、Na(CFSOC等の有機ナトリウム塩などの電極の活物質層に添加され得る化合物を同様に採用することができる。液体電解質は、上述した成分以外の添加剤をさらに含んでもよい。このような化合物の具体例としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ジフェニルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート、1−メチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−1−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−2−ビニルエチレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、ビニルオキシメチルエチレンカーボネート、アリルオキシメチルエチレンカーボネート、アクリルオキシメチルエチレンカーボネート、メタクリルオキシメチルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、エチニルオキシメチルエチレンカーボネート、プロパルギルオキシエチレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、1,1−ジメチル−2−メチレンエチレンカーボネートなどが挙げられる。なかでも、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートがより好ましい。これらの環式炭酸エステルは、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。液体電解質(非水電解液)におけるナトリウム塩の濃度は、例えば0.3mol/L〜5mol/Lの範囲内であることが好ましく、0.8mol/L〜1.5mol/Lの範囲内であることがより好ましい。ナトリウム塩の濃度が上記範囲内であり、低すぎなければハイレート時の容量低下が生じることなく良好なハイレートでの充放電を行うことができる点で優れている。ナトリウム塩の濃度が上記範囲内であり、高すぎなければ、粘性が高くなることなく低温での容量低下を生じさせることなく、低温環境下(寒冷地や冷凍庫内や冬場の使用で)の充放電特性を向上させることができる。なお、非水電解液として、例えばイオン性液体等の低揮発性液体を用いてもよい。
(ゲル電解質)
ゲルポリマー電解質(ゲル電解質)は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマー(ホストポリマー)に、上記の液体電解質(非水電解液)が注入されてなるものである。すなわち、ゲル電解質は、マトリックスポリマー(ホストポリマー)に液体電解質(非水電解液)が注入されてゲル化することで得ることができる。電解質としてゲル電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる点で優れている。マトリックスポリマー(ホストポリマー)として用いられるナトリウムイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HEP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、これらの共重合体等が挙げられる。
ゲル電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現し得る。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
(固体電解質)
固体電解質は、固体電解質材料を用いてなるものである。固体電解質の場合にはそれ自身で自立性を有することから、セパレータを用いることなく電解質層を形成可能である。好ましくはセパレータと組み合わせたもの、すなわち、セパレータ(の細孔内)に固体電解質を含有させた電解質層とすることが好ましい。また、固体電解質自身が自立性を有することから、セパレータと組み合わせる場合、できるだけセパレータの空孔率(空隙率)の大きいものを用いるのがナトリウムイオン伝導性を高める観点から好ましい。固体電解質材料としては、ナトリウムイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば酸化物固体電解質材料や硫化物固体電解質材料等が挙げられる。酸化物固体電解質材料としては、例えば、NaZrSiPO12、βアルミナ固体電解質(NaO−11Al等)などが挙げられる。硫化物固体電解質材料としては、例えば、NaS−P等が挙げられる。
固体電解質材料は、非晶質であってもよく、結晶質であってもよい。また、固体電解質材料の形状は、粒子状であることが好ましい。また、固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば1nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
(正極タブ及び負極タブ)
正極タブ21及び負極タブ22を構成する材料は、特に限定されるものではなく、ナトリウムイオン二次電池用の正極タブ及び負極タブとして従来用いられている公知の高導電性材料を用いることができる。正極タブ及び負極タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極タブ21と負極タブ22とにおいては、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
(正極リード及び負極リード)
また、図示は省略するが、正極集電体11A及び負極集電体12Aと正極タブ21及び負極タブ22との間をそれぞれ正極リード及び負極リードを介して電気的に接続してもよい。正極リード及び負極リードの構成材料としては、公知のナトリウムイオン二次電池において用いられる材料を同様に採用することができる。なお、外装体から導出された部分は、周辺機器や配線などに接触して製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
(電池外装体)
電池外装体30としては、特に限定されるものではないが、例えば、発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースを用いることが好適である。このような形態は、例えば、軽量化を図るという観点から好適である。このようなラミネートフィルムには、具体例としては、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルムを挙げることができる。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが好ましい。また、外部から掛かる発電要素への群圧を容易に調整することができ、所望の電解質層厚みへと調整容易であることから、外装体はアルミネートラミネートがより好ましい。
(組電池)
ナトリウムイオン二次電池は、複数個接続して構成した組電池としてもよい。詳しくは少なくとも2つ以上のナトリウムイオン二次電池を用いて、直列化若しくは並列化又はその両方で構成される組電池とすることができる。直列化や並列化することにより、容量や電圧を自由に調節することが可能になる。
ナトリウムイオン二次電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池を形成することもできる。そして、この装脱着可能な小型の組電池をさらに複数、直列に又は並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池を形成することもできる。何個のナトリウムイオン二次電池を接続して組電池を作製するか、また、何段の小型組電池を積層して大容量の組電池を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御方法、及び本発明の第2の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御方法に用いられるナトリウムイオン二次電池について詳細に説明する。
本実施形態のナトリウムイオン二次電池の制御方法は、正極活物質として、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含むものに代えて、組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含むものとした構成が、上述した第1の実施形態と相違する。
正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、正極活物質が、組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウムイオン二次電池を充電する際に、正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とすることにより、サイクル耐久性の低下につながる、不可逆容量領域を小さくすることができ、さらに不可逆容量領域の使用を回避することができる。
その結果、ナトリウムイオン二次電池の高い平均電圧を維持しつつ、より高いサイクル耐久性を実現することができる。また、例えば、上記正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)の値を0.5以上0.9以下の範囲内で小さくするとともに、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))の値を0.9以上1.1以下の範囲内で大きくすることにより、高容量化を図ることができるという利点もある。さらに、例えば、上記正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)の値を0.5以上0.9以下の範囲内で大きくするとともに、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))の値を0.9以上1.1以下の範囲内で小さくすることにより、さらなるサイクル耐久性の向上を図ることができるという利点もある。
また、本実施形態においても、ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、P2構造で表されるものであることが好ましい。このような構成とすることにより、ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、詳しくは上述したP3構造で表されるものよりも高容量化を図ることが可能である。
以下、各構成について、さらに詳細に説明する。
(正極活物質層)
本実施形態においては、正極活物質層は、組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係、好ましくは0<a≦1/6(又は0.167)の関係、より好ましくは0.01≦a≦0.15の関係、さらに好ましくは0.03≦a≦1/9(又は0.111)の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含む正極活物質を含有する層である。組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgのうちのいずれか1種が単独で又は2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。中でも、Co、Fe、Mgが相対的に高い平均電圧や高いサイクル耐久性を実現可能であるという観点から好ましい。
(正極活物質)
本実施形態においては、正極活物質は、組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含むことが必須である。
なお、正極活物質層に含まれる正極活物質の全量100質量%に占める上記組成式(2)で表されるナトリウム層状化合物の合計量の割合の好適範囲は、上述した第1の実施形態と同様である。また、上述した組成式(1)で表されるナトリウム層状化合物を混合してもよい。さらに、上記組成式(2)で表されるナトリウム層状化合物における各元素の組成も、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法により測定できる。また、上記組成式(2)で表される化合物が、ナトリウム層状化合物であることも、例えば、X線回折パターンにより同定できる。さらに、上記組成式(2)で表されるナトリウム層状化合物の結晶構造も、例えば、X線回折(XRD)により測定できる。
また、ナトリウム層状化合物である組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)の結晶構造は、P2構造又はP3構造を取り得る。言い換えれば、ナトリウム層状化合物は、X線回折(XRD)測定においてP2構造又はP3構造で表されるものである。P3構造よりもP2構造の方が放電容量の点では大きくなる場合がある点で優れている。なお、P2構造とP3構造とで、平均電圧に優位差は認められない。
さらに、上記組成式(2)で表されるナトリウム層状化合物も、一次粒子が凝集してなる二次粒子の構成を有している。そして、平均一次粒子径や平均二次粒子径の好適範囲は、上述した第1の実施形態と同様である。また、これらの比の値(平均(二次)粒子径/平均一次粒子径)の好適範囲も、上述した第1の実施形態と同様である。なお、ナトリウム層状化合物を構成する一次粒子は、通常、層状構造を有するP2構造又はP3構造の結晶構造を有しているが、その結晶子径の大小は平均一次粒子径の大小と相関性を有している。ここで「結晶子」とは、単結晶とみなせる最大の集まりを意味し、粉末X線回折測定などにより得られた回折強度から、結晶の構造パラメータを精密化する方法により測定が可能である。また、結晶子径の好適範囲も、上述した第1の実施形態と同様である。
また、上記組成式(2)で表されるナトリウム層状化合物のBET比表面積の好適範囲も、上述した第1の実施形態と同様である。
さらに、上記組成式(2)で表されるナトリウム層状化合物も、溶融塩法、スプレードライ法、共沈法など、種々公知の方法を選択して調製することができるなど、特に限定されるものではない。ナトリウム層状化合物の調製が容易であることから、溶融塩法ないしスプレードライ法を用いるのが好ましく、性能面からはスプレードライ法を用いるのが特に好ましい。
スプレードライ法においては、ナトリウム層状化合物の原料化合物の溶媒への溶解・混合工程(ステップ1)において、ナトリウム層状化合物の原料化合物として、ニッケル化合物、マンガン化合物、ナトリウム化合物、さらにナトリウム層状化合物の一部を置換する金属元素を含む化合物を所望の正極活物質材料の組成となるように、例えば、純水等の適当な溶媒に溶解させ混合すること以外は、上述した第1の実施形態と同様である。
つまり、この過程で、さらに所望の正極活物質の組成になるように、正極活物質を構成するナトリウム層状化合物の一部を置換する金属元素を含む化合物をさらに混入させる。正極活物質を構成するナトリウム層状化合物の一部を置換する金属元素としては、上記組成式(2)に規定する通り、Zn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素である。ナトリウム層状化合物の一部を置換する金属元素を含む化合物としても、例えば、当該金属元素の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物などが挙げられる。亜鉛化合物、銅化合物、コバルト化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物及びマグネシウム化合物の具体例としては、硝酸亜鉛、硝酸銅、硝酸コバルト、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム;硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム;酢酸亜鉛、酢酸銅、酢酸コバルト、酢酸鉄、酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム;などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、上記亜鉛化合物、銅化合物、コバルト化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物及びマグネシウム化合物も、実施例で用いたように、水和物の形態で用いてもよい。
なお、熱分解工程(ステップ3)において、前駆体は、仕込み組成比のナトリウム、ニッケル、マンガン、ナトリウム層状化合物の一部を置換する金属元素を含有する酸化物(熱分解で生成した酸化物混合体で中間生成物になる。)で、P2構造又はP3構造の結晶構造をきちんと組んでいない酸化物(したがって、中間生成物は、部分的に水酸基や硝酸基などを含んだ不定比組成の酸化物である。)である。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御装置、及び本発明の第3の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述した実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図3は、第3の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御装置の構成の概略を示す構成概略図である。図3に示すように、本実施形態のナトリウムイオン二次電池の制御装置Sは、上述した第1の実施形態におけるナトリウムイオン二次電池1と、ナトリウムイオン二次電池1に対して、正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする充電制御をする制御部2と、を備えたものである。
正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、正極活物質が、組成式(1):Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oで表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウムイオン二次電池と、正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする充電制御をする制御部と、を備えた構成とすることにより、サイクル耐久性の低下につながる、不可逆容量領域の使用を回避することができる。
その結果、ナトリウムイオン二次電池の高い平均電圧を維持しつつ、高いサイクル耐久性を実現することができる。また、例えば、上記正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)の値を0.5以上0.9以下の範囲内で小さくするとともに、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))の値を0.9以上1.1以下の範囲内で大きくすることにより、高容量化を図ることができるという利点もある。さらに、例えば、上記正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)の値を0.5以上0.9以下の範囲内で大きくするとともに、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))の値を0.9以上1.1以下の範囲内で小さくすることにより、さらなるサイクル耐久性の向上を図ることができるという利点もある。
また、本実施形態においては、ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、P2構造で表されるものであることが好ましい。このような構成とすることにより、ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、詳しくは上述したP3構造で表されるものよりも高容量化を図ることが可能である。
以下、各構成について、さらに詳細に説明する。
上記ナトリウムイオン二次電池1は、上述した第1の実施形態におけるナトリウムイオン二次電池と同じであるため説明を省略する。
上記制御部2は、上記ナトリウムイオン二次電池を充電するに際し、正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする充電制御をするものであれば、特に限定されるものではない。
制御部としては、例えば、予備実験などにより予め取得した上記ナトリウムイオン二次電池の正極の充電容量、負極の充電容量及び正極の実効充電容量に関するデータを格納するとともに、タイマーを有する演算処理装置と、上記ナトリウムイオン二次電池の正極への電流値を測定し、該測定データを該演算処理装置に入力する電流計と、該演算処理装置からの出力により開状態及び閉状態が切り替えられる開閉器及び電源に接続される端子を含む回路と、を備えたものを挙げることができる。そして、このような制御部は、上記ナトリウムイオン二次電池を充電する際に、上記演算処理装置が、上記電流計から入力される測定データと上記タイマーにより得られる時間とから電気量(充電容量)を算出し、上記演算処理装置が算出された電気量(充電容量)が上記上限値範囲となった判断したときに、開閉器に出力して、開閉器を閉状態から開状態に切り替える。また、このような制御部は、例えば、充電容量による制御だけでなく、充電電圧や放電電圧などの電圧による制御をすることができるものとしてもよい。充電電圧の上限値は、好ましくは4.15V、より好ましくは4.00Vである。また、放電電圧の下限値は、好ましくは2.0V、より好ましくは2.5Vである。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御装置、及び本発明の第4の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池について詳細に説明する。
本実施形態のナトリウムイオン二次電池の制御装置は、ナトリウムイオン二次電池として、上述した第1の実施形態におけるナトリウムイオン二次電池に代えて、上述した第2の実施形態におけるナトリウムイオン二次電池を備えた構成が、上述した第3の実施形態と相違する。
正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、正極活物質が、組成式(2):Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O(組成式(2)中、MはZn、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含むナトリウムイオン二次電池と、正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする充電制御をする制御部と、を備えた構成とすることにより、サイクル耐久性の低下につながる、不可逆容量領域を小さくすることができ、さらに不可逆容量領域(2段目のプラトー領域)の使用を回避することができる。
その結果、ナトリウムイオン二次電池の高い平均電圧を維持しつつ、高いサイクル耐久性を実現することができる。また、例えば、上記正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)の値を0.5以上0.9以下の範囲内で小さくするとともに、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))の値を0.9以上1.1以下の範囲内で大きくすることにより、容量を大きくすることができるという利点もある。さらに、例えば、上記正極の充電容量(C)に対する負極の充電容量(A)の比(A/C)の値を0.5以上0.9以下の範囲内で大きくするとともに、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))の値を0.9以上1.1以下の範囲内で小さくすることにより、さらなるサイクル耐久性の向上を図ることができるという利点もある。
また、本実施形態においては、ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、P2構造で表されるものであることが好ましい。このような構成とすることにより、ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、詳しくは上述したP3構造で表されるものよりも高容量化を図ることが可能である。
なお、上記ナトリウムイオン二次電池は、上述した第2の実施形態におけるナトリウムイオン二次電池と同じであるため説明を省略する。また、上記制御部は、上述した第3の実施形態における制御部と同じであるため説明を省略する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(P2構造のNa2/3Ni1/3Ni1/3Mn2/3の調製)
硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO 290.79g/mol)29.08g、硝酸マンガン6水和物(Mn(NO・6HO 287.04g/mol)57.41g、硝酸ナトリウム(NaNO 84.99g/mol)17.00gに5%−アンモニア水(NHOH 35.05g/mol)50gを加えた。
この混合物を良く撹拌しながら、出口温度を250℃に設定したスプレードライヤーで噴霧乾燥した。取り出した乾燥粉末を450℃に加熱した。なお、この加熱の際にNOxガスが発生する。さらに、加熱を続けるとガス発生を伴いながら残留硝酸イオンが分解し、前駆体が得られた。得られた前駆体を950℃で、10時間焼成し、P2構造の正極活物質を得た。
(集電箔の片面に活物質層を形成した正極C1の作製)
まず、下記組成の正極用スラリーを調製した。
<正極用スラリーの組成>
正極活物質:正極活物質N1(9.2重量部)
導電助剤:燐片状黒鉛(0.2重量部)、アセチレンブラック(0.2重量部)
バインダ:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(0.4重量部)
溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(8.2重量部)
具体的には、次のようにして、上記組成の正極用スラリーを調製した。まず、50mlのディスポカップに、導電助剤0.4重量部と、正極活物質(N1)9.2重量部と、溶媒(NMP)4.0重量部を加え、撹拌脱泡機(自転公転ミキサー:あわとり錬太郎AR−100)で1分間撹拌した。次いで、溶媒(NMP)にバインダを溶解した10%バインダ溶液4.0重量部に溶媒(NMP)0.6重量部を加えた。しかる後、撹拌脱泡機で3分間撹拌して、正極スラリー(固形分濃度:55質量%)を得た。
(正極用スラリーの塗布)
次に、20μm厚のアルミニウム集電箔の片面に、得られた正極用スラリーを自動塗工装置(テスター産業製ドクターブレード:PI−1210自動塗工装置)により、乾燥後の正極活物質層の目付量が20.6mg/cmとなるように塗布した。
(正極用スラリーの乾燥)
さらに、この正極用スラリーを塗布した集電箔を、ホットプレートにて乾燥(乾燥温度:100℃〜110℃、乾燥時間:30分間)させ、正極活物質層に残留するNMP量を0.02質量%以下としたシート状正極を得た。
(正極のプレス)
さらに、得られたシート状正極を、片面の正極活物質層の密度が2.5〜2.7g/cmとなるようにローラープレスをかけて圧縮成形し、セル作製用に切断した。
(正極の乾燥)
しかる後、この切断されたシート状正極を真空乾燥炉にて乾燥させた。具体的には、次のようにして、シート状正極を乾燥させた。まず、切断されたシート状正極を、シート状正極がガラス板に挟まれた状態で、乾燥炉内部に設置した。次いで、室温(25℃)にて減圧(100mmHg(1.33×10Pa))し、乾燥炉内部の空気を除去した。続いて、窒素ガスを流通(100cm/分)しながら、10℃/分で120℃まで昇温し、120℃で再度減圧して乾燥炉内部の窒素を排気したまま12時間保持した。しかる後、室温まで降温して、正極表面の水分を除去した正極C1を得た。
(集電箔の片面に活物質層を形成した負極A1の作製)
まず、下記組成の負極用スラリーを調製した。
<負極用スラリーの組成>
負極活物質:ハードカーボン(9.3重量部)
導電助剤:アセチレンブラック(0.1重量部)
バインダ:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(0.6重量部)
溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(10.0重量部)
具体的には、次のようにして、上記組成の負極用スラリーを調製した。まず、50mlのディスポカップに、導電助剤0.1重量部と、負極活物質9.3重量部と、溶媒(NMP)4.0重量部を加え、撹拌脱泡機(自転公転ミキサー:あわとり錬太郎AR−100)で1分間撹拌した。次いで、溶媒(NMP)にバインダを溶解した10%バインダ溶液6.0重量部に溶媒(NMP)0.6重量部を加えた。しかる後、撹拌脱泡機で3分間撹拌して、負極スラリー(固形分濃度:50質量%)を得た。
(負極用スラリーの塗布・乾燥)
次に、10μm厚の銅集電箔の片面に、得られた負極用スラリーを自動塗工装置(テスター産業製、ドクターブレード:PI−1210)により乾燥後の負極活物質層の目付量が8.0mg/cmとなるように塗布した。
(負極用スラリーの乾燥)
さらに、この負極用スラリーを塗布した集電箔を、ホットプレートにて乾燥(乾燥温度:100℃〜110℃、乾燥時間:30分間)させ、負極活物質層に残留するNMP量を0.02質量%以下としたシート状負極を得た。
(負極のプレス)
さらに、得られたシート状負極を、片面の負極活物質層の密度が0.9〜1.1g/cmとなるようにローラープレスをかけて圧縮成形し、セル作製用に切断した。
(負極の乾燥)
しかる後、この切断されたシート状負極を真空乾燥炉にて乾燥させた。具体的には、次のようにして、シート状負極を乾燥させた。まず、切断されたシート状負極を、シート状負極がガラス板に挟まれた状態で、乾燥炉内部に設置した。次いで、室温(25℃)にて減圧(100mmHg(1.33×10Pa))し、乾燥炉内部の空気を除去した。続いて、窒素ガスを流通(100cm/分)しながら、10℃/分で130℃まで昇温し、130℃で再度減圧して乾燥炉内部の窒素を排気したまま12時間保持した。しかる後、室温まで降温して、負極表面の水分を除去した負極A1を得た。
(コインセルの作製)
得られた正極C1(直径15mmに打抜き)とナトリウム箔(直径16mm、厚さ1mm)からなる対極とをセパレータ(直径17mm、セルガード社製、セルガード2400)を介して対向させた後、電解液を注入することによって、CR2032型コインセルを作製した。
なお、上記電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を1:1の体積比で混合した混合非水溶媒中に、NaPF(六フッ化リン酸ナトリウム)を1mol/Lの濃度となるように溶解させたものを用いた。
同様にして、負極A1とナトリウム箔からなる対極とをセパレータを介して対向させたのち、電解液を注入することによってCR2032型コインセルを作製した。
(パウチセルの作製)
集電体部分にアルミニウムタブを超音波溶接した正極C1(塗工部面積:2.4cm×4.0cm)と、集電体部分にニッケルタブを超音波溶接した負極A1(塗工部面積:2.6cm×4.4cm)とをセパレータ(3.5cm×5.0cm、セルガード社製、セルガード2400)を介して対向させた後、電解液を注入することによって、パウチセルを作製した。
(コインセルを用いた容量確認)
(正極の設計充電容量)
充放電試験機(北斗電工株式会社製、HJ0501SM8A)を使用し、298K(25℃)の温度に設定された恒温槽(エスペック株式会社製、PFU−3K)中で、性能評価を行った。具体的には、電池の評価は、25℃にて、充電は、0.1Cにて最高電圧が4.4Vとなるまで充電する定電流充電法とし、放電は、電池の最低電圧が2.0Vとなるまで0.1Cで放電する定電流放電法で行った。このときの0.1Cレートでの充放電容量を「充電容量(mAh/g)」とした。この結果、正極C1は、活物質単位重量当りの充電容量は、159mAh/gであった。
(負極の設計充電容量)
充放電試験機(北斗電工株式会社製、HJ0501SM8A)を使用し、298K(25℃)の温度に設定された恒温槽(エスペック株式会社製、PFU−3K)中で、性能評価を行った。具体的には、電池の評価は、25℃にて、充電は、0.1Cにて最低電圧が0.01Vとなるまで充電する定電流充電法とし、放電は、電池の最高電圧が2.0Vとなるまで0.1Cで放電する定電流放電法で行った。このときの0.1Cレートでの充放電容量を「充電容量(mAh/g)」とした。この結果、負極A1は、活物質単位重量当りの充電容量は、255mAh/g(不可逆容量25mAh/g)であった。
(X線回折(XRD)測定)
得られた正極活物質は、X線回折により、結晶構造及び結晶性の評価をした。X線源にはCu−Kα線を用い、測定条件は管電圧40KV、管電流20mA、走査速度2°/分、発散スリット幅0.5°、受光スリット幅0.15°で行った。
[実施例2]
正極用スラリーの塗布に際して、乾燥後の正極活物質層の目付量が18.7mg/cmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例3]
正極用スラリーの塗布に際して、乾燥後の正極活物質層の目付量が22.7mg/cmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例4]
正極用スラリーの塗布に際して、乾燥後の正極活物質層の目付量が17.2mg/cmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例5]
正極用スラリーの塗布に際して、乾燥後の正極活物質層の目付量が25.8mg/cmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例6]
P2構造のNa2/3Ni2/9Zn1/9Mn2/3の調製に際して、硝酸亜鉛6水和物(Zn(NO・6HO 297.49g/mol)を使用して、P2構造のNa2/3Ni2/9Zn1/9Mn2/3を得、これを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例7]
P2構造のNa2/3Ni2/9Cu1/9Mn2/3の調製に際して、硝酸銅3水和物(Cu(NO・3HO 241.60g/mol)を使用して、P2構造のNa2/3Ni2/9Cu1/9Mn2/3を得、これを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例8]
P2構造のNa2/3Ni2/9Co1/9Mn2/3の調製に際して、硝酸コバルト6水和物(Co(NO・6HO 291.03g/mol)を使用して、P2構造のNa2/3Ni2/9Co1/9Mn2/3を得、これを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例9]
P2構造のNa2/3Ni2/9Fe1/9Mn2/3の調製に際して、硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO 404.00g/mol)を使用して、P2構造のNa2/3Ni2/9Fe1/9Mn2/3を得、これを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例10]
P2構造のNa2/3Ni2/9Al1/9Mn2/3の調製に際して、硝酸アルミニウム9水和物(Al(NO・9HO 375.13g/mol)を使用して、P2構造のNa2/3Ni2/9Al1/9Mn2/3を得、これを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例11]
P2構造のNa2/3Ni2/9Mg1/9Mn2/3の調製に際して、硝酸マグネシウム6水和物(Mg(NO・6HO 256.41g/mol)を使用して、P2構造のNa2/3Ni2/9Mg1/9Mn2/3を得、これを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[実施例12]
P2構造のNa2/3Ni2/9[Al+Mg]1/9Mn2/3の調製に際して、硝酸アルミニウム9水和物(Al(NO・9HO 375.13g/mol)と硝酸マグネシウム6水和物(Mg(NO・6HO 256.41g/mol)を使用して、P2構造のNa2/3Ni2/9[Al+Mg]1/9Mn2/3を得、これを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[比較例1]
正極用スラリーの塗布に際して、乾燥後の正極活物質層の目付量が11.8mg/cmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。
[比較例2]
正極用スラリーの塗布に際して、乾燥後の正極活物質層の目付量が11.3mg/cmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、本例のコインセル及びパウチセルを得た。各例の仕様及び後述する充電制御の指標を表1に示す。
Figure 2017045600
[性能評価]
上記各例のパウチセルを用いて、以下の各種性能を評価した。
[サイクル耐久性評価]
サイクル耐久性試験は、上記各例のパウチセルを用いて、表1に示す正極活物質の単位重量当たりの実効充電容量での定電流充放電を、室温(25℃)で100サイクルを繰り返した。具体的には、充電は、表1に示す正極活物質の単位重量当たりの実効充電容量となるまで制御する定電流充電法とし、放電は、電池の最低電圧が2.0Vとなるまで1.0Cレートで放電する定電流放電法で行った。1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合を「容量維持率(%)」とした。得られた結果及び各例の仕様の一部を表2に示す。
容量維持率(%)=100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量×100
Figure 2017045600
上記表2より、本発明の範囲に属する実施例1〜12においては、本発明外の比較例1〜2と比較して、3.46V程度の高い平均電圧を示す所定のナトリウム層状化合物を含む正極活物質を用いたナトリウムイオン二次電池において、高い容量維持率が実現できることが分かる。つまり、本発明のナトリウムイオン二次電池の制御方法やナトリウムイオン二次電池の制御装置においては、高い平均電圧を維持しつつ、高いサイクル耐久性が実現できることが分かる。
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
上記実施形態及び実施例においては、ナトリウムイオン二次電池として、積層型の電池要素をラミネートフィルムからなる外装体で密封した積層型・ラミネート型電池を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、従来公知の形態や構造を有するナトリウムイオン二次電池に対しても適用することができ、例えば、積層型又は巻回型の電池要素を角形の金属缶からなる外装体で密封したナトリウムイオン二次電池や、巻回型の電池要素を円筒形の金属缶からなる外装体で密封したナトリウムイオン二次電池などを挙げることができる。なお、巻回型の電池要素を円筒形の金属缶からなる外装体で密封したナトリウムイオン二次電池においては、タブに代えて、例えば、金属缶を利用して端子を形成すればよい。
1 ナトリウムイオン二次電池
2 制御部
10 電池要素
11 正極
11A 正極集電体
11B 正極活物質層
12 負極
12A 負極集電体
12A’ 最外層負極集電体
12B 負極活物質層
13 電解質層
14 単電池層
21 正極タブ
22 負極タブ
30 電池外装体
S 制御装置

Claims (9)

  1. 正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、
    上記正極の充電容量(C)に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、
    上記正極活物質が、下記の組成式(1)
    Na2/3[Ni1/3Mn2/3]O・・・(1)
    で表されるナトリウム層状化合物を含む
    ナトリウムイオン二次電池の制御方法であって、
    上記ナトリウムイオン二次電池の充電をする際に、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする
    ことを特徴とするナトリウムイオン二次電池の制御方法。
  2. 正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、
    上記正極の充電容量(C)に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、
    上記正極活物質が、下記の組成式(2)
    Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O・・・(2)
    (組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含む
    ナトリウムイオン二次電池の制御方法であって、
    上記ナトリウムイオン二次電池の充電をする際に、上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする
    ことを特徴とするナトリウムイオン二次電池の制御方法。
  3. 上記ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、P2構造で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載のナトリウムイオン二次電池の制御方法。
  4. 正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有するナトリウムイオン二次電池と、
    上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする充電制御をする制御部と、を備え、
    上記正極の充電容量(C)に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、
    上記正極活物質が、下記の組成式(1)
    Na2/3[Ni1/3Mn2/3]O・・・(1)
    で表されるナトリウム層状化合物を含む
    ことを特徴とするナトリウムイオン二次電池の制御装置。
  5. 正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有するナトリウムイオン二次電池と、
    上記正極の実効充電容量(C(actual))に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C(actual))が0.9以上1.1以下となる範囲を上限値範囲とする充電制御をする制御部と、を備え、
    上記正極の充電容量(C)に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、
    上記正極活物質が、下記の組成式(2)
    Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O・・・(2)
    (組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含む
    ことを特徴とするナトリウムイオン二次電池の制御装置。
  6. 上記ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、P2構造で表されることを特徴とする請求項4又は5に記載のナトリウムイオン二次電池の制御装置。
  7. 請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池の制御方法又は請求項4に記載のナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池であって、
    正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、
    上記正極の充電容量(C)に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、
    上記正極活物質が、下記の組成式(1)
    Na2/3[Ni1/3Mn2/3]O・・・(1)
    で表されるナトリウム層状化合物を含む
    ことを特徴とするナトリウムイオン二次電池。
  8. 請求項2に記載のナトリウムイオン二次電池の制御方法又は請求項5に記載のナトリウムイオン二次電池の制御装置に用いられるナトリウムイオン二次電池であって、
    正極活物質を用いた正極と、負極活物質を用いた負極と、非水系の電解質とを有し、
    上記正極の充電容量(C)に対する上記負極の充電容量(A)の比(A/C)が、0.5以上0.9以下であり、
    上記正極活物質が、下記の組成式(2)
    Na2/3[Ni1/3−a[M]Mn2/3]O・・・(2)
    (組成式(2)中、MはZn、Cu、Co、Fe、Al及びMgからなる群より選ばれた少なくとも1種を示し、aは0<a<1/3の関係を満足する。)で表されるナトリウム層状化合物を含む
    ことを特徴とするナトリウムイオン二次電池。
  9. 上記ナトリウム層状化合物が、X線回折測定において、P2構造で表されることを特徴とする請求項7又は8に記載のナトリウムイオン二次電池。
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