JP2017039643A - バイオ資源炭素を含むシアン化水素酸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アンモニア、メタンおよびメタノールの中から選択される少なくとも一種の成分がバイオマスから得られることを特徴とするアンモニアとメタンまたはメタノールとを必要に応じて空気および/または酸素の存在下で反応させて主としてシアン化水素酸を含む原料を製造する方法。アセトンシアノヒドリン、アジポニトリル、メチオニンまたはメチオニンヒドロキシ類似体およびシアン化ナトリウムの製造での上記原料の使用。
【選択図】なし
Description
本発明は特に、バイオ資源炭素(carbone bioressource)を含むシアン化水素酸と、メタンまたはメタノールのアンモ酸化(ammoxydation)によるその製造方法を対象とする。
CH4+NH3+3/2O2 −> HCN+3H2O+熱 (2)
上記プロセスは上記反応(1)と(2)を基本とする。反応速度は非常に早く、接触時間は約数ミリ秒または10分の数ミリ秒で、ガス速度は毎秒約数メートルである。各反応物の比は最大収率が得られ且つ反応混合物の燃焼範囲外となるように最適化される。
別の方法ではメタンの代わりにメタノールを用いて下記反応に従ってHCNを製造する:
CH3OH+NH3+O2 −> HCN+3H2O (3)
C3H6+NH3+2/3O2 −> CH2=CH−CN+3H2O (A)
C3H6+3NH3+3O2 −> 3HCN+6H2O (B)
C3H8+3NH3 −> 3HCN+7H2 (C)
(1)液体シンチレーションを用いたスペクトロメトリ:
この方法の基本は14Cの崩壊で生じた「β」粒子をカウントすることにある。質量(12Cの原子数)が分かっているサンプルに由来するβ線を一定時間測定する。この「放射能」は14C原子の数に比例し、それは求めることができる。サンプル中に存在する14Cはβ線を発し、それが液体発光物質(シンチレータ)と接触すると光子が出る。この光子は種々のエネルギー(O〜156Kev)を有し、14Cスペクトルを形成する。この方法には2つの変形法があり、適当な吸収剤の溶液中で炭素化サンプルを燃焼して予め出したCO2を測定するか、炭素化サンプルを予めベンゼンに変換してベンゼンを測定する。
サンプルをグラファイトまたはCO2ガスにし、質量分析機で分析する。この方法では14Cイオンを12Cイオンから分離するための加速器と質量分析装置とを使用して、2つの同位体の比を求める。
好ましい測定方法はASTM D6866−06規格(「加速質量分析法」)に記載のマススペクトル分析である。
このシアン化水素酸は次の有機合成の出発材料として使用できる。
本発明の第1実施例では、バイオマスのガス化で生じる合成ガス(主として一酸化炭素と水素とで構成される)から得られる水素からアンモニアが得られる。このガス化はバイオマスおよび気体反応物、例えば空気、酸素または水蒸気から水素を豊富に含むガスを製造する熱化学プロセスである。変換は高温(800〜1000℃)で一般に大気圧またはわずかに過剰な圧力下で起こる。ガス化中の酸素濃度(空気中または水中)は完全酸化となるには十分ではない。従って、下記反応に従って多量のCOおよびH2が製造される:
C+H2O −> CO+H2
C+CO2 −> 2CO
本発明の第2実施例では、メタンをバイオガスから得る。バイオガスは酸素の非存在下で動物および/または植物有機物の発酵で生じたガスである。この発酵はメタン化ともよばれ、有機廃棄物を含む埋立地で自然発生的に起こるが、例えば、下水スラッジ、産業または農業有機廃棄物、ブタ糞尿または家庭ごみを処理するための消化装置で行うことができる。バイオマスを発酵させてメタンを発生させる微生物の成長に必要な窒素を導入する役目をする動物の糞尿を含むバイオマスを用いるのが好ましい。バイオガスは主としてメタンと二酸化炭素ガスとから成る。この二酸化炭素ガスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアミンの塩基性水溶液を用いたバイオガス洗浄によって、または、高圧水を用いて、または、溶剤、例えばメタノール吸収によって除去する。このルートで均一な品質の純粋なメタンを得ることができる。非特許文献5の論文に記載の従来公知の各種メタン化技術および廃水処理のための既存の各種生物学的方法、例えばLindeのLaran(登録商標)プロセスを参照されたい。
「都市固形廃棄物処理用の嫌気性消化技術の現状の検討」(1998年、11月、RISE-AT)
本発明の第3実施例では木材の熱分解によってメタノールを得る。
本発明の第4実施例では発酵性生成物を生成する作物、例えば小麦、サトウキビまたはビートを発酵してメタノールを得る。
本発明の第5実施例では動植物由来の任意の材料のガス化で、主として一酸化炭素と水素(水と反応する)とで構成される合成ガスを作り、それからメタノールを得る。動植物由来の材料はバイオマスの高価値によるアンモニアの生成で出発材料として述べた材料である。
バイオガスから生じるメタンを用いて合成ガスを生成しても本発明の範囲を逸脱するものではない。
論文「Procedes de petrochimie -Caracteristiques techniques et economiques Tome 1-Editions Technip-le gaz de synthese et ses derives」、第1巻、Technip出版
本発明方法の第1実施例では、空気および任意成分としての酸素の存在下で、ロジウム/白金ガーゼから成る触媒を用いて、約1050〜1150℃の温度で上記アンモニアをメタンと反応させる。CH4/NH3モル比は一般に1.0〜1.2であり、全(CH4/NH3)/O2モル比は1.6〜1.9であり、圧力は一般に1〜2barである。
本発明方法の第2実施例では、アンモニアを350〜600℃の温度で触媒、例えば、シリカに担持したモリブデン/ビスマス/鉄ベースの触媒またはアンチモンと鉄をベースにした触媒の存在下にメタノールと反応させる。
本発明方法は一つまたは複数の精製段階をさらに含むことができる。
ウルマン(Ullmann)工業化学百科辞典、第5版(1987年)、第A8巻、第161〜163頁
論文の非特許文献8を参照されたい。この文献にはアセトンシアノヒドリン経路によるメチルメタクリレートの製造を工業的に実施するための条件が記載されている。
論文「Techniques de l'Ingenieur, traite Genie des Procedes」(エンジニアの技術、プロセス工学論)、J 6−400−1〜6
本発明方法で得られる出発材料はさらに、下記の反応に従ってブタジエンと反応させるアジポニトリルの製造で用いられる:
CH2=CH−CH=CH2+2HCN −> NC−(CH2)4−CN
アジポニトリルを水素化するとヘキサメチレンジアミンが得られる。このヘキサメチレンジアミンはアジピン酸とヘキサメチレンジアミンの重縮合によるポリアミド6,6(ナイロン、登録商標)製造の中間化合物である。
論文「Techniques de l'Ingenieur, traite Genie des Procedes」、J 6−515−1〜7
(1)アクロレインCH2=CH−CHOとメチルメルカプタンCH3SH(MSH)との反応で3−(メチルチオ)プロパノールまたはメチルチオプロピオンアルデヒド(MTPA)ともよばれるメチルメルカプトプロピオンアルデヒドCH3−S−CH2−CH2−CHO(MMP)を得る。
(2)シアン化水素酸(HCN)またはシアン化ナトリウム(NaCN)をMMPと反応し、最終的にメチオニンまたはメチオニンヒドロキシ類似体を得る。
論文「Techniques de l'Ingenieur, traite Genie des Procedes」、J 6−410−1〜9
HCN+NaOH => NaCN+H2O
シアン化ナトリウムには多くの用途、特に貴金属の抽出、電気めっきまたは化合物合成での用途がある。
Claims (14)
- ASTM D6866規格に従った14C/12C比が0.2・10-12〜1.2・10-12にとなるような14C含有量を有することを特徴とするシアン化水素酸。
- アンモニア、メタンおよびメタノールの中から選択される少なくとも一種の反応物がバイオマスから得られることを特徴とする、アンモニアとメタンまたはメタノールとを、必要に応じて空気および/または酸素の存在下で、反応させて主としてシアン化水素酸を含む出発材料を合成する方法。
- 上記アンモニアをバイオマスのガス化で生じる合成ガス(CO/H2)から得られる水素から得る請求項2に記載の方法。
- 上記メタンを酸素非存在下での動植物有機物の発酵で得られるバイオガス(CH4/CO2)から作り、このバイオガスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアミンの塩基性水溶液または高圧水用いて、または、溶剤吸収によって洗浄してCO2を除去する請求項2に記載の方法。
- 上記メタノールを木材の熱分解で得る請求項2に記載の方法。
- 上記メタノールを植物作物の発酵で得る請求項2に記載の方法。
- 動植物由来材料のガス化によって主として一酸化炭素と水素とで構成される合成ガス(水と反応)を作り、それから上記メタノールを得る請求項2に記載の方法。
- 上記合成ガスをセルロースパルプの製造で生じる廃液から作る請求項7に記載の方法。
- 上記アンモニアを、空気および任意成分としての酸素の存在下で、ロジウム/白金ガーゼから成る触媒を用いて約1050〜1150℃の温度でメタンと反応させる請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 上記アンモニアを350〜600℃の温度で触媒の存在下にメタノールと反応させる請求項2、3および5〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項2〜10のいずれか一項に記載の方法で得られる出発材料。
- 請求項11に記載の出発材料の、アセトンシアノヒドリン、アジポニトリル、メチオニンまたはメチオニンヒドロキシ類似体またはシアン化ナトリウムの製造での使用。
- 請求項12に記載の使用で得られるアセトンシアノヒドリン。
- 請求項13に記載のアセトンシアノヒドリンの、有機製品、例えばメチルメタクリレートおよび殺虫剤の製造での使用。
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