JP2005211764A - 生ごみ処理機の脱臭装置及び脱臭方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 プラズマによる生ごみ処理機の脱臭手段において、複雑混合ガスの脱臭と、副生成物の硝安や硫安を安全かつ効率的に回収することができる臭気の除去方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 生ごみ処理機から発生する臭気をプラズマ処理したさいに発生する反応副生成物を積極的に利用する。プラズマ電極に付着した粉末状の反応生成物である硝安や硫安を機械的又は電気的にスパッタリングして剥離させる。また、柱状の中心電極の外周に取り付けた記憶合金のバネの伸縮により該電極に付着した反応生成物を剥離させることもできる。触媒金属を電極に用いたPACT装置により、複数種の有害化学物質を同時にかつ適切にその場で処理し、かつ反応生成物である硝安や硫安を効率的に回収蓄積し、化成肥料として有効に利用できるようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】 生ごみ処理機から発生する臭気をプラズマ処理したさいに発生する反応副生成物を積極的に利用する。プラズマ電極に付着した粉末状の反応生成物である硝安や硫安を機械的又は電気的にスパッタリングして剥離させる。また、柱状の中心電極の外周に取り付けた記憶合金のバネの伸縮により該電極に付着した反応生成物を剥離させることもできる。触媒金属を電極に用いたPACT装置により、複数種の有害化学物質を同時にかつ適切にその場で処理し、かつ反応生成物である硝安や硫安を効率的に回収蓄積し、化成肥料として有効に利用できるようにした。
【選択図】 図2
Description
本発明は、生ごみ処理機の悪臭ガスの脱臭装置及び脱臭方法に係り、生ごみ処理過程で生成される高温多湿な悪臭ガスの分解脱臭時に発生する有害物質を、安全かつ効率的に回収し有効利用することができる脱臭装置及びその方法に関するものである。
生ごみ処理機では悪臭が発生するため、その臭気を脱臭除去する必要がある。従来の脱臭装置としては、微生物や化学触媒あるいはプラズマにより分解処理する装置などがある。
従来の微生物のみを利用した生ごみ処理機は、生ごみをオガクズ等の水分調整材と共に発酵槽内に入れ、これらをゆっくり撹拌して十分な酸素を供給し、水分調整材に生息する微生物により生ごみを発酵分解して堆肥化するものである。しかし微生物の酸化還元処理能力は小さいため大量の悪臭を短時間に処理するには不向きである。また、微生物は供給される生ゴミを栄養源とすることができるものだけが増殖するが、条件が悪くなると微生物が死滅して全く消臭機能がなくなってしまう。
化学触媒を利用する脱臭装置は、その性質上あらゆる悪臭因子の全てに対して触媒機能を発揮するというわけにはいかず、悪臭の原因物質が多岐にわたる場合には一部の悪臭が残存してしまうという欠点があった。
また、臭気を吸着して除去する脱臭装置では、吸着材が飽和状態になるとその都度交換する必要がありメンテナンス上好ましくない。一方、臭気ガスを分解する装置では光触媒や白金燃焼触媒を利用するものがあるが、紫外線ランプやヒーターが必要であり装置が高価なものとなる。いずれの場合も初期段階では高性能であるが、時間が経過するにつれ触媒の劣化が進んでしまう。また、これらの装置では脱臭と分解無害化を同時に行うことができない。
一方、生ごみ処理機内でプラズマを発生させて臭気を分解除去するプラズマによる脱臭装置(特許文献1)が開発されている。このシステムは単一の原因物質に対しては有効であるが、バイオマスにおける複雑混合ガス系では有害物質を生成する危険性がある。これは、生ごみ処理機やバイオトイレ内の湿度が高いことによるプラズマ効率の劣化や、悪臭成分内に存在するアンモニア(NH3)、硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(MMK)の同時処理による有害物質の副生成が原因であると考えられている。実際、プラズマ分解装置を用いたバイオトイレでは、脱臭はできても硫酸アンモニウム(硫安)を生成してしまうという事例報告がある。また、H2Sの単独処理過程で硫酸が生成されたり、NH3の分解処理過程で発生する硝酸とアンモニアから硝酸アンモニウム(硝安)が生成されたりする危険性があり、従来その分解無害化が必要であると考えられてきた。
しかしながら、硫安及び硝安は肥料として利用することができることから、プラズマ分解時に生成する硫安及び硝安を安全かつ効率的に回収できれば、分解無害化するための余分な装置及び方法が不要になるだけでなく資源の有効利用が可能になる。
本発明は、生ごみ処理機のプラズマによる脱臭法における上記の問題点を解決するためになされたもので、生ごみ処理機やバイオトイレ等から発生する高湿度空気、発酵ガス、臭気ガスを含んだ複雑混合ガス系の脱臭をはかり、反応副生成物の安全かつ効率的な回収貯蔵を同時に行うことができる脱臭装置及び脱臭方法を提供するものである。
本発明は、従来はプラズマ処理の弱点として考えられていた硫安及び硝安生成過程を積極的に利用し、プラズマ処理にはPACT装置(特許文献2)によることにした。このPACT装置は、プラズマ発生電極として触媒金属を用いたもので、従来のプラズマ分解に比べ分解効率が格段に高く、簡易かつコンパクトで小型化が容易である。以下、硫安及び硝安の生成及び回収貯蔵過程に従って説明する。
まず、微生物で分解された生ごみから発生する臭気ガスに含まれる水分は、PACT装置10への導入前に吸着材を用いて吸着させる。一方、臭気ガスに含まれるNH3、H2Sは、硫安及び硝安の原料となるのでこれを吸着除去せずにPACT装置10に導入し、グロー放電によりプラズマ分解生成をはかる。
PACT装置10では、臭気ガスに含まれる有機ガスが二酸化炭素(CO2)及び水分に分解され、同時に硫安及び硝安が生成される。生成した硫安及び硝安は中心電極4の表面に付着する。反応しなかったガスはPACT装置10に再導入して反応させることもでき、また、反応時に生成するオゾンは、PACT装置10の後段に配置した活性炭等の吸着材により吸着させることもできる。
中心電極4の表面に生成した硫安及び硝安を、機械的或いは電気的に剥離回収する。PACT装置10の後方に回収した反応生成物用の貯蔵部9を設置して硫安及び硝安を収納する。回収された粉末状の硫安及び硝安は、農作物等の肥料に混ぜて利用することができる。
本発明は、硫安及び硝安を安全かつ効率的に生成及び回収するため、硫安及び硝安の原料となるガスはプラズマ処理の前段で除去する必要がなくなる。プラズマ処理の前段で水分を吸着させることにより、プラズマの反応効率を高めることができ、硫安及び硝安のさらなる効率的な生成が期待できる。
生ごみ処理機による臭気ガスのプラズマ処理装置としてPACT装置を採用することにより、安全かつ高効率に硫安及び硝安を生成することができる。これらの反応生成物である硫安や硝安を回収して、化成肥料として有効利用することができる。
以下に、本発明に係る脱臭装置及び脱臭方法の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、微生物により分解された生ごみから発生する臭気ガス内に含まれるNH3、H2S、水分(H2O)中の水分は、プラズマ反応の影響を避けるため吸着材で取り除く。一方、NH3、H2Sは、硫安及び硝安の原料となるので吸着せず、そのまま反応ガス1としてPACT装置10に導入する。反応ガス1及びキャリアガス2を同一経路でPACT装置10に導入し、外部電極3及び中心電極4の間にプラズマ5をグロー放電により発生させる(図3)。電極への電圧印加は高電圧電源7を用いて行う。プラズマ分解により生成した硫安及び硝安は中心電極4の表面に付着する。また、未反応ガス6はPACT装置10に再導入して反応させることもできるが、反応時に生成されるオゾンは、PACT装置10の後段に配置した活性炭等により吸着させて除去する。以上の硫安及び硝安の生成に関する装置構成を図1に示す。
次に、中心電極4に付着した硫安及び硝安の剥離回収過程について説明する。回収法としては、機械的方法又は電気的方法により剥離して回収する方法が考えられる。機械的方法では、中心電極4にバネ11を取りつけ、バネ11を伸縮させることによって付着している反応生成物を剥離させる。ここで、バネ11は外力を与えて伸縮させることもできるし、バネ11を形状記憶合金で形成すれば、PACT装置10の内部温度を変化させることによってバネ11の伸縮を制御することができる(図4(a)、(b))。
中心電極4に取りつけたバネ11に外力を与えて伸縮させるには、余分なエネルギが必要であり、またヒーターを用いて温度制御することもできるがこれも余分なエネルギが必要になる。そこで、バネ11を効率的に温める方法としてプラズマを利用することとする。非動作時のPACT装置10の内部温度をT0とし、プラズマ放電時にはPACT装置10の内部温度がT1に上昇する(T1>T0)とすると、動作状態の違いにより温度差ΔT=T1−T0が生じることになる。ΔTで形状が変化する形状記憶合金でバネ11を作成することによって、T0の時はバネ11が縮んでいるがT1の時は伸びているという状態を作り出すことができる。これにより、プラズマ放電時には伸びているバネ11の隙間から中心電極4に付着した反応生成物が、放電終了後にバネ11が縮むことによって残らず剥離される。そのため、次のプラズマ放電時には再びきれいな中心電極4を利用することができ、反応効率を上昇させることができる。
電気的方法では、PACT装置10による反応終了後に、印加電圧にバイアスをかけスパッタリング(はねかける)させる。これにより放電イオン8が電極4へ衝突し、スパッタリングにより表面の硫安及び硝安を剥離させることができる(図2)。いずれの方法を用いても、微生物の劣化に伴う交換又は貯蔵された硫安及び硝安の回収以外のメンテナンスは不要である。また、回収された硫安及び硝安は肥料に混入して農作物の発育促進に役立てることができる。
本発明の脱臭装置及び脱臭方法において、生成した硫安及び硝安を電気的方法により剥離回収した例を以下に示す。まず、微生物により分解された生ごみから発生するH2O は吸着材で取り除き、NH3、H2Sは吸着除去せずにPACT装置10に導入する。PACT装置10の外部電極3及び中心電極4の間に、高電圧電源7により10kHz、5kVの電圧を印加してプラズマ5を発生させたところ、電極に流れ込む電流値は50mAとなった。このプラズマ反応によりNH3、H2S及びN2、O2から硫安及び硝安が生成され電極4の表面に付着した。なお、微生物による生ごみ分解時に発生する有機ガスはCO2及びH2Oにほぼ完全に分解され、悪臭は全く感じられなかった。
次に、上記電極に接続する印加電圧にバイアスをかけてスパッタリングができるようにした。この印加電圧のバイアス化の一例を図5に示す。放電破壊電圧Vbだけ正側にバイアスをかけてから整流した電圧を外部電極3に接続することよって放電が起こり、イオンが中心電極4へ向けて飛び出した。これにより中心電極4がスパッタリングされ、表面に付着した粉末状の硫安及び硝安がほぼ完全に剥離し、そのまま肥料に混入できる状態で反応生成物の貯蔵部9に蓄積された。また、負側にバイアスをかけてから整流した場合には、中心電極4に接続することによってスパッタリングされ同様の効果が得られた。
なお、本発明は上記の実施形態及び実施例における脱臭処理に限定されるものではなく、特許請求の範囲の請求項に記載する内容の範囲内でさまざまな変形が可能であり、本発明はこれら全てを含むものである。
本発明は、低温発酵だけでなく高温発酵による生ごみ処理機にも応用が可能である。また、本発明は、主として生ごみ処理機における臭気の除去を目的として記述したが、厨房用生ごみの脱臭のみならず一般ごみ廃棄場、畜舎、バイオトイレ等から発生する高湿度空気、発酵ガス、臭気ガスを含んだ複雑混合ガスの脱臭及び分解無害化を行うことができ、原子力発電所、廃棄物処理場、農耕畜産場、衛生下水処理場等様々な分野に応用することが可能である。
1 反応ガス
2 キャリアガス
3 外部電極
4 中心電極
5 プラズマ
6 未反応ガス
7 高電圧電源
8 放電イオン
9 反応生成物の貯蔵部
10 PACT装置
11 バネ
2 キャリアガス
3 外部電極
4 中心電極
5 プラズマ
6 未反応ガス
7 高電圧電源
8 放電イオン
9 反応生成物の貯蔵部
10 PACT装置
11 バネ
Claims (14)
- 生ごみ処理機の臭気除去装置において、臭気ガスを処理するプラズマ分解生成装置を設け、該プラズマ分解生成装置に触媒金属電極を設けたことを特徴とする生ごみ処理機の脱臭装置。
- 前記プラズマ分解生成装置の前段に、水分吸着部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理機の脱臭装置。
- 前記プラズマ分解生成装置の電極表面に付着した反応生成物を回収する手段として、高電圧電源とバイアス化しスパッタリングするプラズマ分解生成用電極とを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の生ごみ処理機の脱臭装置。
- 前記プラズマ分解生成装置の電極表面に付着した反応生成物を回収する手段として、該プラズマ分解生成装置の中心電極の外周にバネを取り付け、該バネの伸縮によって中心電極の表面に付着した反応生成物を回収することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の生ごみ処理機の脱臭装置。
- 前記中心電極に設けたバネを形状記憶合金で形成し、温度制御によりバネを伸縮させることを特徴とする請求項4に記載の生ごみ処理機の脱臭装置。
- 前記プラズマ分解生成装置の後部に、プラズマ分解により生成した硫酸アンモニウムや硝酸アンモニウム等の反応生成物を回収して収納する貯蔵部を設けたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の生ごみ処理機の脱臭装置。
- 前記プラズマ分解生成装置の後段に、オゾン等の副生成物を吸着する吸着部を設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の生ごみ処理機の脱臭装置。
- 生ごみ処理機の臭気を除去する方法として、電極として触媒金属を用いてプラズマを発生させ、臭気ガスを処理することを特徴とする生ごみ処理機の脱臭方法。
- 前記プラズマによる臭気ガス処理の前段において、水分を吸着させる前処理をすることを特徴とする請求項8に記載の生ごみ処理機の脱臭方法。
- 前記プラズマを発生させる電極に高電圧を印加しバイアス化してスパッタリングさせることにより、該電極表面に付着した反応生成物を回収することを特徴とする請求項8又は9に記載の生ごみ処理機の脱臭方法。
- 前記プラズマを発生させる電極の内側を中心電極とし、該中心電極の外周に取り付けたバネの伸縮により、該中心電極に付着した反応生成物を剥離させることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の生ごみ処理機の脱臭方法。
- 前記中心電極に設けたバネを形状記憶合金で形成し、温度を制御してバネを伸縮させ反応生成物を剥離させることを特徴とする請求項11に記載の生ごみ処理機の脱臭装置。
- 前記プラズマにより生成した硫酸アンモニウムや硝酸アンモニウム等の反応生成物を回収し、プラズマ分解生成装置の後部に設けた貯蔵部に収納することを特徴とする請求項8ないし12のいずれかに記載の生ごみ処理機の脱臭方法。
- 前記プラズマによる臭気ガス処理の後段において、オゾン等の副生成物を吸着処理することを特徴とする請求項8ないし13のいずれかに記載の生ごみ処理機の脱臭方法。
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JP2004020197A JP2005211764A (ja) | 2004-01-28 | 2004-01-28 | 生ごみ処理機の脱臭装置及び脱臭方法 |
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