JP2017038568A - 単球培養用足場、単球培養方法、単球培養容器およびゲル材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養用足場、単球培養方法、単球培養容器を提供すること、また、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養用足場に好適に適用することができるゲル材料を提供すること。
【解決手段】本発明の単球培養用足場は、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含む材料で構成され、前記刺激応答性ゲルが、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含むものであることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の単球培養用足場は、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含む材料で構成され、前記刺激応答性ゲルが、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含むものであることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、単球培養用足場、単球培養方法、単球培養容器およびゲル材料に関する。
細胞培養は、人工臓器用材料をはじめ、ワクチン、ホルモン、インターフェロン等の生理活性物質の生産や、診断、治療等、種々の目的で行われている。
細胞培養容器を構成する材料の表面特性は、細胞の培養において重要な因子であり、細胞の増殖に大きな影響を与える。細胞付着力を向上させ、細胞を効率よく増殖させる目的で、高分子材料にコロナ放電、UV照射、プラズマ処理等の表面処理を施す技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような技術では、培養細胞の容器表面への付着力を優れたものとすることはできるものの、培養した細胞を効率よく剥離し、高い回収率で回収することが困難であった。特に、細胞免疫療法等に用いられる単球(樹状細胞等を含む)は、上記のような表面への接着力が強く、細胞へのダメージを防止しつつ高い回収率で回収することが特に困難であった。
本発明の目的は、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養用足場、単球培養方法、単球培養容器を提供すること、また、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養用足場に好適に適用することができるゲル材料を提供することにある。
本発明の単球培養用足場は、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含む材料で構成され、
前記刺激応答性ゲルは、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含むものであることを特徴とする。
前記刺激応答性ゲルは、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含むものであることを特徴とする。
これにより、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養用足場を提供することができる。
本発明の単球培養用足場では、前記刺激応答性ゲルは、糖類またはオキソ酸類による刺激により膨張するものであることが好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルの体積変化率、親水性・疎水性の状態の変化の程度をより大きいものとすることができ、刺激応答性ゲルに付着した単球の回収をより効率よく行うことができる。また、これらの物質は、各種細胞に対し、ダメージを与えにくく、単球の回収をより好適に行うことができる。また、これらの物質は、比較的低い濃度で、刺激応答性ゲルの体積変化率、親水性・疎水性の状態の変化の程度を十分に大きいものとすることができるため、特定成分の除去の処理を省略または簡略化したりすることができる。
本発明の単球培養用足場では、前記ポリマーは、構成成分として、フェニルボロン酸構造を有するモノマーを含むものであることが好ましい。
これにより、前記ポリマーが有するフェニルボロン酸構造の割合等の調整を容易に行うことができる。また、前記ポリマーの剛性をより容易に行うことができる。また、前記ポリマーの化学的安定性をより優れたものとすることができ、前記ポリマーの不本意な劣化、変性等をより効果的に抑制することができる。
本発明の単球培養用足場では、前記ポリマーは、構成成分として、3−アクリルアミドフェニルボロン酸を含むものであることが好ましい。
これにより、所定の物質による刺激に対する疎水性−親水性の変化の大きさ、刺激応答性ゲルの体積の変化率をより大きいものとすることができ、培養した単球をより効率よく回収することができる。また、単球をより好適に増殖させることができる。
本発明の単球培養用足場では、前記ポリマー中における前記フェニルボロン酸構造を有するモノマーの含有率が、20質量%以上45質量%以下であることが好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルの柔軟性をより適切なものとすることができ、所定の物質(特定成分)に対する感度を特に優れたものとすることができる。
本発明の単球培養用足場では、前記ポリマーは、前記水溶性ビニルモノマーとして、OH基を備えるモノマーを含むものであることが好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルの特定成分に対する反応性(感受性)をより高いものとし、特定成分による刺激による、刺激応答性ゲルの体積変化、親水性・疎水性の状態変化を、より少量の特定成分の添加により、生じさせることができる。このため、刺激応答性ゲルに結合した単球を、より少量の特定成分の添加により、刺激応答性ゲルから剥離することができる。
本発明の単球培養用足場では、前記ポリマーは、前記水溶性ビニルモノマーとして、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを含むものであることが好ましい。
これにより、単球の培養時(増殖時)、単球の回収時における刺激応答性ゲルの表面の疎水性、親水性をより好適なものとすることができる。
本発明の単球培養用足場は、前記刺激応答性ゲル中に、平均粒径が10nm以上1000nm以下の微粒子が分散してなる部位を有するものであることが好ましい。
これにより、ブラッグ反射による構造色を視認することができる。特に、刺激応答性ゲルの膨張または収縮に伴い、隣り合う当該粒子の距離が変化し、ブラッグ反射による構造色も変化するため、光学的(視覚的)に刺激応答性ゲルの状態(膨張収縮状態、親水性疎水性の状態)を確認することができる。その結果、刺激応答性ゲルから単球が剥離した状態であるか否かを容易に確認することができる。
本発明の単球培養方法は、本発明の単球培養用足場を用いて単球を培養する工程と、
前記刺激応答性ゲルを膨張または収縮させる機能を有する所定の物質を、前記単球培養用足場に接触させ、培養された前記単球を回収する工程とを有することを特徴とする。
前記刺激応答性ゲルを膨張または収縮させる機能を有する所定の物質を、前記単球培養用足場に接触させ、培養された前記単球を回収する工程とを有することを特徴とする。
これにより、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養方法を提供することができる。
本発明の単球培養容器は、本発明の単球培養用足場と、
前記単球培養用足場を収容する容器とを備えることを特徴とする。
前記単球培養用足場を収容する容器とを備えることを特徴とする。
これにより、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養容器を提供することができる。
本発明のゲル材料は、単球培養用足場の単球と接触する部位を含む領域を構成する材料であって、
構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含み、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含むことを特徴とする。
構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含み、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含むことを特徴とする。
これにより、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養用足場に好適に適用することができるゲル材料を提供することができる。
以下、添付する図面を参照しつつ、好適な実施形態について詳細な説明をする。
《単球培養用足場、単球培養容器》
以下、単球培養用足場、単球培養容器について説明する。
《単球培養用足場、単球培養容器》
以下、単球培養用足場、単球培養容器について説明する。
図1は、単球培養用足場を備える単球培養容器の好適な実施形態を説明するための模式的な断面図である。
図示のように、単球培養容器10は、単球培養用足場(培養床)1と、単球培養用足場1を収容する容器本体2とを備えている。
単球培養用足場1は、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含む材料で構成されたものであり、前記刺激応答性ゲルは、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含むものである。なお、刺激とは種々の化学反応および物理的な作用などを指す。
フェニルボロン酸構造を有するポリマーを含む刺激応答性ゲルは、前記所定の物質(特定成分)を含まない状態(または、前記所定の物質の含有率が十分に低い状態)では、表面の疎水性が高い状態となり、単球を選択的に適度な結合力で結合させることができる一方で、前記所定の物質を所定の濃度以上で含む状態では、表面の親水性が高い状態となるとともに膨張または収縮し、結合していた単球を効率よく放出することができる。したがって、細胞の増殖(培養)の効率を優れたものとすることができるとともに、培養された単球の回収率を優れたものとすることができる。また、培養時(増殖時)、回収時等に単球がダメージを受けることを効果的に抑制することができる。
なお、単球とは、単核白血球に加え、単核白血球から分化した細胞(例えば、マクロファージ(大食細胞)、樹状細胞、破骨細胞等)を含む概念である。
単球培養用足場1の形状は、特に限定されず、例えば、シート状、粒子状、ブロック状、繊維状等、いかなる形状であってもよいが、本実施形態では、シート状をなすものである。
これにより、単球培養用足場1の製造が容易である。また、単球培養用足場1と後述する容器本体2との密着性をより優れたものとすることができる。また、培養された単球を必要時により好適に単球培養用足場1から剥離することができ、単球の回収率をより優れたものとすることができる。また、培養時(増殖時)、回収時等に単球がダメージを受けることをより効果的に抑制することができる。
単球培養用足場1は、単球と接触する部位の少なくとも一部が、フェニルボロン酸構造を有するポリマーを含み、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含む材料で構成されたものであればよく、例えば、その全体が刺激応答性ゲルを含む材料で構成されたものであってもよいし、基材と刺激応答性ゲルを含む材料で構成された表面層とを有するものであってもよい。
これにより、例えば、前述したような刺激応答性ゲルを含むことによる効果を十分に発揮しつつ、単球培養用足場1の容器本体2に対する密着性をより優れたものとすることができる。また、単球培養用足場1の強度、耐久性、取扱いのし易さ等をより優れたものとすることができる。また、単球培養用足場1の製造に用いる刺激応答性ゲルの使用量を抑制することができ、単球培養用足場1、単球培養容器10のコスト低減にも有利である。
単球培養用足場1が基材と刺激応答性ゲルを含む材料で構成された表面層とを有するものである場合、表面層の形成に先立ち、基材に対して、表面処理を施してもよい。
これにより、基材と表面層との密着性を優れたものとし、単球培養用足場1、単球培養容器10の耐久性をより優れたものとすることができる。
基材に対する表面処理としては、例えば、酸素プラズマ法、UV照射法、電子線照射法、放射線(X線、ガンマ線)照射法、SiOx膜形成法等が挙げられる。
単球培養容器10が備える単球培養用足場1の収縮状態での表面積(単球と接触し得る部位の面積)は、10cm3以上5000cm3以下であるのが好ましく、50cm3以上2000cm3以下であるのがより好ましい。
これにより単球培養容器10の小型化を図りつつ、単球をより効率よく培養(増殖)・回収することができる。
単球培養用足場1を構成する刺激応答性ゲルは、所定の物質(特定成分)による刺激により膨張または収縮するものである。
刺激応答性ゲルが反応する所定の物質は、刺激応答性ゲルの構成材料等により異なるが、例えば、フルクトース、マンニトール等の糖類;乳酸等のオキソ酸類;ジオール類;各種タンパク質;各種ホルモン類;各種イオン物質;各種金属;尿酸;尿素等が挙げられる。
特に、刺激応答性ゲルは、糖類またはオキソ酸類と接触することにより膨張するものであるのが好ましく、フルクトース、マンニトール、乳酸のうち少なくとも1種と接触することにより膨張するものであるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルの体積変化率、親水性・疎水性の状態の変化の程度をより大きいものとすることができ、刺激応答性ゲルに付着した単球の回収をより効率よく行うことができる。また、これらの物質は、各種細胞に対し、ダメージを与えにくい。したがって、単球の回収をより好適に行うことができる。また、これらの物質は、比較的低い濃度で、刺激応答性ゲルの体積変化率、親水性・疎水性の状態の変化の程度を十分に大きいものとすることができるため、単球の回収後の特定成分の除去の処理を省略または簡略化したりすることができる。
単球培養用足場1に付着した単球を分離する際に用いる所定の物質(特定成分)は、いかなる形態で単球培養用足場1(刺激応答性ゲル)と接触されるものであってもよいが、液体状態で接触させるのが好ましい。
これにより、単球培養用足場1(刺激応答性ゲル)と所定の物質(特定成分)とを効率よく接触させることができ、単球の回収効率をより優れたものとすることができる。
単球培養用足場1に付着した単球を分離する際に用いる液体は、所定の物質(特定成分)を含む水溶液であるのが好ましい。
これにより、回収の処理時における単球へのダメージをより効率よく抑制することができる。
単球培養用足場1に付着した単球を分離する際に用いる液体中に含まれる所定の物質(特定成分)の含有率は、特に限定されないが、0.01質量%以上3.0質量%以下であるのが好ましく、0.02質量%以上2.0質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、回収の処理時における単球へのダメージをより効率よく抑制することができる。また、後処理としての特定成分の除去の処理を省略または簡略化したりすることができる。
単球培養用足場1を構成する刺激応答性ゲル(ゲル材料)については、後に詳述する。
単球培養用足場1を構成する刺激応答性ゲル(ゲル材料)については、後に詳述する。
容器本体2は、単球培養用足場1を収容する機能を有するものである。
容器本体2は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、光透過性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。
容器本体2は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、光透過性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、単球培養容器10の外部から、容器本体2内の様子(特に、単球培養用足場1)の様子を好適に観察することができる。
このような材料としては、例えば、各種ガラス材料や、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル等の各種樹脂材料等が挙げられる。
容器本体2の単球培養用足場1が設置される部位には、単球培養用足場1の設置に先立ち、予め表面処理が施されていてもよい。
これにより、単球培養用足場1と容器本体2との密着性を優れたものとし、単球培養容器10の耐久性をより優れたものとすることができる。
基材に対する表面処理としては、例えば、酸素プラズマ法、UV照射法、電子線照射法、放射線(X線、ガンマ線)照射法、SiOx膜形成法、シランカップリング剤塗布法、架橋剤塗布法(例えばグルタルアルデヒド等)等が挙げられる。
《ゲル材料》
以下、単球培養用足場1を構成するゲル材料(刺激応答性ゲルを含む材料)について、詳細に説明する。
以下、単球培養用足場1を構成するゲル材料(刺激応答性ゲルを含む材料)について、詳細に説明する。
単球培養用足場1を構成するゲル材料は、単球培養用足場1の単球と接触する部位の少なくとも一部を含む領域を構成する材料であって、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含むとともに、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含み、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含むものである。
これにより、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができる単球培養用足場1に好適に適用することができる。
<刺激応答性ゲル>
刺激応答性ゲルは、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマー(高分子材料)を含み、所定の物質による刺激により膨張または収縮するものであればよいが、通常、前記ポリマーとともに、水を含むものである。なお、刺激とは種々の化学的なもしくは物理的な反応が含まれる。
刺激応答性ゲルは、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマー(高分子材料)を含み、所定の物質による刺激により膨張または収縮するものであればよいが、通常、前記ポリマーとともに、水を含むものである。なお、刺激とは種々の化学的なもしくは物理的な反応が含まれる。
(高分子材料(ポリマー))
刺激応答性ゲルは、少なくとも、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマー(第1のポリマー)を含むものである。
刺激応答性ゲルは、少なくとも、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマー(第1のポリマー)を含むものである。
フェニルボロン酸構造は、例えば、ポリマー(第1のポリマー)の構成成分としての重合性化合物(モノマー等)を重合させた後に導入されたものであってもよいが、ポリマー(第1のポリマー)の構成成分としての重合性化合物が有するものであるのが好ましい。言い換えると、ポリマー(第1のポリマー)は、構成成分として、フェニルボロン酸構造を有するモノマーを含むものであるのが好ましい。
これにより、ポリマー(第1のポリマー)が有するフェニルボロン酸構造の割合等の調整を容易に行うことができる。また、ポリマー(第1のポリマー)の剛性をより容易に行うことができる。また、ポリマー(第1のポリマー)の化学的安定性をより優れたものとすることができ、ポリマー(第1のポリマー)の不本意な劣化、変性等をより効果的に抑制することができる。
ポリマー(第1のポリマー)を構成する、フェニルボロン酸構造を有するモノマーとしては、例えば、3−(メタ)アクリルアミドフェニルボロン酸、ビニルフェニルボロン酸、(メタ)アクリロイロキシフェニルボロン酸、(メタ)アクリロイルアミノベンゼンボロン酸、(メタ)アクリロイルアミノベンゼンボロン酸、4−ビニルベンゼンボロン酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリマー(第1のポリマー)は、3−アクリルアミドフェニルボロン酸を構成成分として含むものであるのが好ましい。
これにより、所定の物質による刺激に対する疎水性−親水性の変化の大きさ、刺激応答性ゲルの体積の変化率をより大きいものとすることができ、培養した単球をより効率よく回収することができる。また、単球をより好適に増殖させることができる。
前記ポリマー(第1のポリマー)は、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマー(フェニルボロン酸構造を有さない水溶性ビニルモノマー)を含むものである。
これにより、前記ポリマー(第1のポリマー)が有するフェニルボロン酸構造の割合等を好適なものに調整することができるとともに、単球の培養時(増殖時)、単球の回収時における刺激応答性ゲルの表面の疎水性、親水性を好適なものとすることができる。
なお、水溶性ビニルモノマーは、25℃の水:100gに対する溶解度が、5g以上のものであるのが好ましく、10g以上のものであるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
水溶性ビニルモノマーとしては、水酸基(OH基)、ケトン基、カルボン酸基、イオン性基のうち少なくとも1種を有するものが好ましく、水酸基(OH基)、イオン性基のうち少なくとも1種を有するものがより好ましく、水酸基(OH基)を有するものがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。また、刺激応答性ゲルの水の保持力をより優れたものとすることができる。
特に、水溶性ビニルモノマーが水酸基(OH基)を有するものであると、刺激応答性ゲルは、フェニルボロン酸構造とOH基とが結合した第1の状態と、フェニルボロン酸構造とOH基との結合が解除された第2の状態とを取り得る。
このような状態の変化は、周囲の環境の変化(所定の物質(特定成分)の有無や、所定の物質(特定成分)の濃度等の変化)によって起こるものである。特に、上記のような状態の変化は、特定成分の濃度が比較的低い領域で、起こるものである。したがって、刺激応答性ゲルの特定成分に対する反応性(感受性)をより高いものとし、特定成分による刺激(特に水酸基(OH基)との反応)による、刺激応答性ゲルの体積変化、親水性・疎水性の状態変化を、より少量の特定成分の添加により、生じさせることができる。
このため、刺激応答性ゲルに結合した単球を、より少量の特定成分の添加により、刺激応答性ゲルから剥離することができる。その結果、刺激応答性ゲルから単球を剥離する際に特定成分を比較的多量に用いる必要がなく、添加される特定成分により、単球等がダメージを受けることをより効果的に抑制することができる。また、添加された特定成分の濃度を十分に低いものとすることができるため、後処理としての特定成分の除去を容易に行うことができたり、特定成分の除去の処理を省略または簡略化したりすることができる。
前記ポリマー(第1のポリマー)を構成する水溶性ビニルモノマー(フェニルボロン酸構造を有さない水溶性ビニルモノマー)は、例えば、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド2−メチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリルアミドエタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドブタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドペンタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドヘキサンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドヘプタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドオクタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドエトキシエタノール、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸モノグリセロール、無水マレイン酸グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1−アクリロキシ−3−メタ(アクリロキシ)プロパン、2−ヒドロキシ1,3−ジメタ(アクリロキシ)プロパン、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド各種四級塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート各種四級塩、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、トリメチル−2−(メタ)アクロイルオキシエチルアンモニウムクロリド、りん酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル2−(トリメチルアンモニオ)エチル、(メタ)アクリル酸3−スルホプロピルカリウム、2−(メタ)アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、ビニルスルホン酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ポリマー(第1のポリマー)を構成する、OH基を有するモノマーとしては、例えば、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1−アクリロキシ−3−メタ(アクリロキシ)プロパン、2−ヒドロキシ1,3−ジメタ(アクリロキシ)プロパン、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドエトキシエタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、前記ポリマー(第1のポリマー)は、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを構成成分として含むものであるのが好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。また、刺激応答性ゲルが前記ポリマー(第1のポリマー)に加え、後に詳述する第2のポリマーを含むものである場合に、第1のポリマーと第2のポリマーとの親和性をより好適なものとすることができ、刺激応答性ゲル(ゲル材料)中における不本意な相分離等の問題をより長期間にわたって抑制することができ、刺激応答性ゲルの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
前記ポリマー(第1のポリマー)中におけるフェニルボロン酸構造を有さない水溶性ビニルモノマーの含有率は、40mol%以上80mol%以下であるのが好ましく、50mol%以上75mol%以下であるのがより好ましい。
前記ポリマー(第1のポリマー)中における前記フェニルボロン酸構造を有するモノマーの含有率は、20質量%以上45質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上43質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルの柔軟性をより適切なものとすることができ、所定の物質(特定成分)に対する感度を特に優れたものとすることができる。
これに対し、前記ポリマー(第1のポリマー)中におけるフェニルボロン酸構造を有するモノマーの含有率が前記下限値未満であったり、前記上限値を超えたりすると、刺激応答性ゲルの柔軟性や、所定の物質(特定成分)に対する感度が低下し、単球の剥離に要する所定の物質(特定成分)の使用量を多くしなければならなくなる場合がある。
前記ポリマー(第1のポリマー)は、構成成分として、前述したモノマー(フェニルボロン酸構造を有するモノマー、フェニルボロン酸構造を有さない水溶性ビニルモノマー))以外のモノマーを含むものであってもよい。
このようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクトン、メチルビニルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸、各種アルキル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、トリメチル−2−(メタ)アクロイルオキシエチルアンモニウムクロリド、りん酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル2−(トリメチルアンモニオ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリメチロールプロパンエトキシラートトリ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンプロポキシラートトリ(メタ)アクリラート、N−[トリス(3−(メタ)アクリルアミドプロポキシメチル)メチル](メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、カルボン酸ビニル(C3〜C10)、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル〕プロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、4−(メタ)アクリルアミドベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、アクリロイルアミノベンゾクラウンエーテル、(メタ)アクリロイルアミノベンゾクラウンエーテル、4−ビニルベンゾクラウンエーテル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のモノマーのうち、アクリルアミド系、メタアクリルアミド系、アクリル酸系、メタアクリル酸系が好ましく、親水性がより高いアクリルアミド系、メタアクリルアミド系がより好ましい。
また、前記ポリマー(第1のポリマー)は、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、エチレンビスアクリルアミドのうち少なくとも一方を含むものであるのが好ましい。
ポリマーは、通常、重合性化合物(モノマー等)に加えて、重合開始剤を反応させることにより得られる。
重合開始剤としては、例えば、その重合様式によって、適宜選択することができるが、具体的には、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化水素、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等、アゾ系開始剤(例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2′−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n−ハイドレート、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1,−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)等)、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム、ジイソプロピルオキシジカーボネート、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゼン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシビバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート等のパーオキシエステル等が挙げられる。また、過酸化水素あるいは過硫酸塩は、例えば、亜硫酸塩、L−アスコルビン酸等の還元性物質やアミン塩等を組み合わせてレドックス系の開始剤としても使用することができる。
前記ポリマー(第1のポリマー)は、構成成分として、架橋剤成分を含むものであってもよい。
これにより、前記ポリマー(第1のポリマー)は、架橋構造を有し、三次元的な網目構造を有するものとなる。その結果、刺激応答性ゲルの水(溶剤)の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。すなわち、刺激応答性ゲルの耐久性が優れたものとなる。
架橋剤としては、重合性官能基を2個以上有する化合物を用いることができ、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−メチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、N,N−ブチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリストールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメリテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ポリマー(第1のポリマー)中における架橋剤成分の含有率は、0.5mol%以上10.0mol%以下であるのが好ましく、0.8mol%以上8.0mol%以下であるのがより好ましく、1.1mol%以上6.0mol%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前記ポリマー(第1のポリマー)の架橋度をより好適な範囲にすることができ、前述したような効果をより顕著に発揮しつつ、前記ポリマー(第1のポリマー)の柔軟性をより適切なものとすることができる。
刺激応答性ゲルは、異なる複数種の高分子材料を含むものであってもよい。
例えば、刺激応答性ゲルは、高分子材料として、前述したような構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を有する第1のポリマーに加えて、OH基(炭素原子に結合する水酸基)を有する第2のポリマーを含むものであってもよい。
例えば、刺激応答性ゲルは、高分子材料として、前述したような構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を有する第1のポリマーに加えて、OH基(炭素原子に結合する水酸基)を有する第2のポリマーを含むものであってもよい。
これにより、前述したような刺激応答性ゲルを構成する樹脂材料がフェニルボロン酸構造とOH基とを有することによる効果がより効果的に発揮されるとともに、刺激応答性ゲルの強度をより優れたものとすることができ、ゲル材料、単球培養用足場1、単球培養容器10の耐久性をより優れたものとすることができる。
また、刺激応答性ゲルは、前述した第1のポリマーがOH基を有さないものであっても、OH基を有する第2のポリマーを含むことにより、フェニルボロン酸構造とOH基とが結合した第1の状態と、フェニルボロン酸構造とOH基との結合が解除された第2の状態とを好適に取り得、刺激応答性ゲルの体積変化、親水性・疎水性の状態変化を、より少量の特定成分の添加により、生じさせることができる。このため、刺激応答性ゲルに結合した単球を、より少量の特定成分の添加により、刺激応答性ゲルから剥離することができる。また、刺激応答性ゲルの水の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。また、第1のポリマーがOH基を有するものであり、さらに第2のポリマーを含む場合には、前述したような効果がより顕著に発揮される。
以下、刺激応答性ゲルが、樹脂材料として、フェニルボロン酸構造を有するポリマー(第1のポリマー)に加え、OH基(炭素原子に結合する水酸基)を有し、フェニルボロン酸構造を有さない第2のポリマーを含むものである場合について中心的に説明する。
(第2のポリマー)
第2のポリマーは、OH基(水酸基)を有するものである。
第2のポリマーは、OH基(水酸基)を有するものである。
OH基は、ポリマーの構成成分としての重合性化合物(モノマー等)を重合させた後に導入されたものであってもよいが、ポリマーの構成成分としての重合性化合物が有するものであるのが好ましい。
これにより、第2のポリマーが有するOH基の割合等の調整を容易に行うことができる。
第2のポリマーを構成する、OH基を有するモノマーとしては、例えば、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシペンチル(メタ)アクリルアミド、トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1−アクリロキシ−3−メタ(アクリロキシ)プロパン、2−ヒドロキシ1,3−ジメタ(アクリロキシ)プロパン、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドエトキシエタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、第2のポリマーは、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを構成成分として含むものであるのが好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルは、フェニルボロン酸構造とOH基とが結合した第1の状態と、フェニルボロン酸構造とOH基との結合が解除された第2の状態とをより好適に取り得、刺激応答性ゲルの体積変化、親水性・疎水性の状態変化を、より少量の特定成分の添加により、生じさせることができる。このため、刺激応答性ゲルに結合した単球を、より少量の特定成分の添加により、刺激応答性ゲルから剥離することができる。また、刺激応答性ゲルの水の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。
また、第2のポリマーは、その構成成分として、OH基を有さないモノマーを含むものであってもよい。これにより、第2のポリマーが有するOH基の割合等を好適なものに調整することができる。
第2のポリマーを構成する、OH基を有さないモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドグリコール酸、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドエタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドブタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドペンタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドヘキサンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドヘプタンカルボン酸、(メタ)アクリルアミドオクタンカルボン、(メタ)アクリルアミドエトキシエタノール、N−ビニルラクトン、(メタ)アクリル酸モノグリセロール、メチルビニルエーテル、無水マレイン酸グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド各種四級塩、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート各種四級塩、(メタ)アクリル酸、各種アルキル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、トリメチル−2−(メタ)アクロイルオキシエチルアンモニウムクロリド、りん酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル2−(トリメチルアンモニオ)エチル、(メタ)アクリル酸3−スルホプロピルカリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリメチロールプロパンエトキシラートトリ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンプロポキシラートトリ(メタ)アクリラート、N−[トリス(3−(メタ)アクリルアミドプロポキシメチル)メチル](メタ)アクリルアミド、ビニルスルホン酸、酢酸ビニル、カルボン酸ビニル(C3〜C10)、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル〕プロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、4−(メタ)アクリルアミドベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、アクリロイルアミノベンゾクラウンエーテル、(メタ)アクリロイルアミノベンゾクラウンエーテル、4−ビニルベンゾクラウンエーテル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2のポリマー中におけるOH基を有さないモノマーの含有率は、0.1mol%以上40mol%以下であるのが好ましく、0.2mol%以上30mol%以下であるのがより好ましく、0.3mol%以上20mol%以下であるのがさらに好ましい。
第2のポリマーは、通常、重合性化合物(モノマー等)に加えて、重合開始剤を反応させることにより得られる。
重合開始剤としては、例えば、その重合様式によって、適宜選択することができるが、具体的には、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化水素、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等、アゾ系開始剤(例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、2,2′−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n−ハイドレート、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1,−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)等)、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム、ジイソプロピルオキシジカーボネート、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゼン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシビバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート等のパーオキシエステル等が挙げられる。また、過酸化水素あるいは過硫酸塩は、例えば、亜硫酸塩、L−アスコルビン酸等の還元性物質やアミン塩等を組み合わせてレドックス系の開始剤としても使用することができる。
第2のポリマーは、構成成分として、架橋剤成分を含むものであってもよい。
これにより、第2のポリマーは、架橋構造を有し、三次元的な網目構造を有するものとなる。その結果、刺激応答性ゲルの水の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。すなわち、刺激応答性ゲルの耐久性が優れたものとなる。
これにより、第2のポリマーは、架橋構造を有し、三次元的な網目構造を有するものとなる。その結果、刺激応答性ゲルの水の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。すなわち、刺激応答性ゲルの耐久性が優れたものとなる。
架橋剤成分としては、重合性官能基を2個以上有する化合物を用いることができ、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−メチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、N,N−ブチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリストールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメリテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2のポリマー中における架橋剤成分の含有率は、0.5mol%以上7.0mol%以下であるのが好ましく、0.8mol%以上6.0mol%以下であるのがより好ましく、1.1mol%以上5.0mol%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、第2のポリマーの架橋度をより好適な範囲にすることができ、前述したような効果をより顕著に発揮しつつ、第2のポリマーの柔軟性をより適切なものとすることができる。
第2のポリマー中におけるOH基を有するモノマーの含有率は、54mol%以上99mol%以下であるのが好ましく、65mol%以上98.5mol%以下であるのがより好ましく、76mol%以上98mol%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第2のポリマーがOH基を有することによる効果をより顕著に発揮させつつ、OH基を有するモノマー以外の成分(架橋剤、OH基を有さないモノマー等)の効果を十分に発揮させることができる。
第2のポリマーの水酸基価は、15mgKOH/g以上620mgKOH/g以下であるのが好ましく、34mgKOH/g以上78mgKOH/g以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような第2のポリマーがOH基を有することによる効果をより顕著に発揮させつつ、刺激応答性ゲルの耐久性を特に優れたものとすることができる。
刺激応答性ゲル中における第2のポリマーの含有率X2は、0.05質量%以上98質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような刺激応答性ゲルを構成する樹脂材料がフェニルボロン酸構造とOH基とを有することによる効果がより効果的に発揮されるとともに、刺激応答性ゲルの強度をより優れたものとすることができ、ゲル材料、単球培養用足場1、単球培養容器10の耐久性をより優れたものとすることができる。
また、高分子材料中における第2のポリマーの含有率は、1.0質量%以上99質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以上98質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような刺激応答性ゲルを構成する樹脂材料がフェニルボロン酸構造とOH基とを有することによる効果がより効果的に発揮されるとともに、刺激応答性ゲルの強度をより優れたものとすることができ、ゲル材料、単球培養用足場1、単球培養容器10の耐久性をより優れたものとすることができる。
刺激応答性ゲル中における第1のポリマーの含有率X1は、0.01質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以上65質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルの柔軟性をより好適なものとすることができ、所定の物質(特定成分)に対する感度をより優れたものとすることができる。
また、高分子材料中における第1のポリマーの含有率は、1.0質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、2.0質量%以上65質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルの柔軟性をより好適なものとすることができ、所定の物質(特定成分)に対する感度をより優れたものとすることができる。
刺激応答性ゲル中における第1のポリマーの含有率をX1[質量%]、第2のポリマーの含有率をX2[質量%]としたとき、0.2≦X1/X2≦8の関係を満足するのが好ましく、1.3≦X1/X2≦1.9の関係を満足するのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲルの柔軟性をより適切なものとすることができ、所定の物質(特定成分)に対する感度をより優れたものとすることができる。
刺激応答性ゲル中には、前述した第1のポリマー、第2のポリマー以外のポリマー(高分子材料)を含むものであってもよい。例えば、分子内に、フェニルボロン酸構造、OH基のいずれをも有していないポリマーを含むものであってもよい。
刺激応答性ゲル中における高分子材料の含有率は、0.7質量%以上36.0質量%以下であるのが好ましく、2.4質量%以上27.0質量%以下であるのがより好ましい。
(水)
刺激応答性ゲルが、水を含むものであることにより、前述した高分子材料を好適にゲル化させることができる。
刺激応答性ゲルが、水を含むものであることにより、前述した高分子材料を好適にゲル化させることができる。
刺激応答性ゲル中における水の含有率は、30質量%以上95質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上90質量%以下であるのがより好ましい。
<粒子>
刺激応答性ゲル(ゲル材料)は、平均粒径が10nm以上1000nm以下の粒子(微粒子)を含むものであってもよい。
これにより、ブラッグ反射による構造色を視認することができる。特に、刺激応答性ゲルの膨張または収縮に伴い、隣り合う当該粒子の距離が変化し、ブラッグ反射による構造色も変化するため、光学的(視覚的)に刺激応答性ゲルの状態(膨張収縮状態、親水性疎水性の状態)を確認することができる。その結果、刺激応答性ゲルから単球が剥離した状態であるか否かを容易に確認することができる。
刺激応答性ゲル(ゲル材料)が粒子を含むものである場合、粒子の平均粒径は、10nm以上1000nm以下であるのが好ましいが、20nm以上500nm以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INC製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
微粒子の構成材料としては、シリカ、酸化チタン等の無機材料;ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の有機材料(ポリマー)等が挙げられるが、微粒子は、シリカ微粒子であるのが好ましい。
これにより、微粒子の形状の安定性等を特に優れたものとし、刺激応答性ゲル(ゲル材料)、単球培養用足場、単球培養容器(培養床)の耐久性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。また、シリカ微粒子は、粒度分布がシャープなもの(単分散微粒子)として入手が比較的容易であるため、刺激応答性ゲル(ゲル材料)、単球培養用足場1、単球培養容器10の安定的な生産、供給の観点からも有利である。
微粒子の形状は、特に限定されないが、球状であるのが好ましい。これにより、コロイド結晶による構造色の視認が容易になる。
ゲル材料は、異なる複数種の微粒子を含むものであってもよい。
ゲル材料中における微粒子の含有率は、1.6質量%以上36質量%以下であるのが好ましく、4.0質量%以上24質量%以下であるのがより好ましい。
ゲル材料中における微粒子の含有率は、1.6質量%以上36質量%以下であるのが好ましく、4.0質量%以上24質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、ゲル材料が微粒子を含むことによる前述したような効果がより顕著に発揮される。
<その他の成分>
刺激応答性ゲル(ゲル材料)は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
刺激応答性ゲル(ゲル材料)は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、着色剤、スリップ剤(レベリング剤)、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、水以外の溶媒、保湿剤等が挙げられる。
《単球培養方法》
次に、単球培養方法について説明する。
次に、単球培養方法について説明する。
図2は、単球培養方法の好適な実施形態を示すフローチャートである。
図2に示すように、本実施形態の単球培養方法は、前述したような単球培養用足場を含む系内において単球を培養する工程(単球培養(増殖)工程)と、前記刺激応答性ゲルを膨張または収縮させる機能を有する所定の物質を、前記単球培養用足場に接触させ、培養された前記単球を回収する工程(単球回収工程)とを有する。
図2に示すように、本実施形態の単球培養方法は、前述したような単球培養用足場を含む系内において単球を培養する工程(単球培養(増殖)工程)と、前記刺激応答性ゲルを膨張または収縮させる機能を有する所定の物質を、前記単球培養用足場に接触させ、培養された前記単球を回収する工程(単球回収工程)とを有する。
前述したように、特定成分を付与する前においては、刺激応答性ゲルは疎水性の高い状態であり、単球培養(増殖)工程で、単球培養用足場を含む系内において単球を培養することにより、単球の培養(増殖)を効率よく行うことができ、単球が目的とする部位以外に強固に付着したり、単球培養用足場(刺激応答性ゲル)以外から遊離した単球が多く存在すること等を効果的に抑制することができる。
一方、単球回収工程(特定成分接触工程)で、単球が付着した単球培養用足場に、特定成分を接触させることにより、刺激応答性ゲルは親水性の高い状態になるとともに、体積変化を生じ、単球培養用足場に吸着していた単球は、本工程で、効率よく単球培養用足場から剥離される。
このようなことから、単球の培養(増殖)、回収を効率よく行うことができる。
このようなことから、単球の培養(増殖)、回収を効率よく行うことができる。
<単球培養(増殖)工程>
単球培養(増殖)工程は、前述したような単球培養用足場を含む系内において単球を培養する。
単球培養(増殖)工程は、前述したような単球培養用足場を含む系内において単球を培養する。
本工程は、培地を含む状態で行い、温度等の条件を管理しつつ行う。
なお、本工程に先立って、例えば、滅菌処理等の前処理を行ってもよい。
なお、本工程に先立って、例えば、滅菌処理等の前処理を行ってもよい。
滅菌処理としては、例えば、紫外線照射処理等を行うことができる。前述したような刺激応答性ゲルは、一般に、紫外線に対して優れた耐性を有しているため、このような滅菌処理を好適に行うことができる。
<単球回収工程(特定成分接触工程)>
単球回収工程(特定成分接触工程)は、単球の培養(増殖)を行った後の単球培養用足場に、特定成分を接触させれば、いかなる方法で行ってもよいが、特定成分を含む液体(例えば、特定成分を含む溶液や分散液等)を単球培養用足場に接触させるのが好ましい。
単球回収工程(特定成分接触工程)は、単球の培養(増殖)を行った後の単球培養用足場に、特定成分を接触させれば、いかなる方法で行ってもよいが、特定成分を含む液体(例えば、特定成分を含む溶液や分散液等)を単球培養用足場に接触させるのが好ましい。
これにより、単球培養用足場(刺激応答性ゲル)と所定の物質(特定成分)とを効率よく接触させることができ、単球の回収効率をより優れたものとすることができる。
以上、好適な実施形態について説明したが、これらに限定されるものではない。
例えば、単球培養用足場、単球培養容器は、前述した以外の構成を備えるものであってもよい。
また、単球培養用足場、単球培養容器は、構成部材の一部が、交換可能に構成されたものや、取り外しおよび再装着が可能に構成されたものであってもよい。例えば、単球培養容器において、単球培養用足場は、交換可能、または、取り外しおよび再装着が可能に構成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、単球培養用足場、単球培養容器を構成する刺激応答性ゲル材料は、単球の培養(増殖)、回収の処理を行う前の状態においても、ゲル状態をなすものである場合について代表的に説明したが、刺激応答性ゲル材料は、単球の培養(増殖)、回収の処理を行う際にゲル状態をなすものであればよく、例えば、単球培養用足場、単球培養容器の保存時等においては、ゲル状態をなしていないもの(例えば、乾燥状態のもの)であってもよい。このような場合、例えば、単球の培養(増殖)、回収の処理に先立ち、水を含む液体等を刺激応答性ゲル材料に付与することにより、ゲル状態をなすものとすることができる。
また、前述した実施形態では、単球培養用足場は、単球培養容器の容器本体の内面のうち内底面のみに選択的に設けられている場合について代表的に説明したが、単球培養用足場の設置部位はこれに限定されない。また、単球培養用足場は、単球培養容器の内表面全体に設けられていてもよい。
以下に実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、これら実施例のみに限定されるものではない。
[1]単球培養用足場の製造
(実施例1)
容器中において、フェニルボロン酸構造を有するモノマーとしての3−アクリルアミドフェニルボロン酸の40質量%エタノール溶液と、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%エタノール溶液と、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%エタノール溶液と、重合開始剤としての下記式(1)で表される化合物の5質量%エタノール溶液とを混合し、さらに、ここに、シリカナノ粒子水分散液(シリカ濃度:40%)を少量ずつ添加、撹拌し、混合液を得た。
(実施例1)
容器中において、フェニルボロン酸構造を有するモノマーとしての3−アクリルアミドフェニルボロン酸の40質量%エタノール溶液と、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%エタノール溶液と、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%エタノール溶液と、重合開始剤としての下記式(1)で表される化合物の5質量%エタノール溶液とを混合し、さらに、ここに、シリカナノ粒子水分散液(シリカ濃度:40%)を少量ずつ添加、撹拌し、混合液を得た。
次に、前記混合液中に、その液量体積の2分の1のイオン交換樹脂を入れ、構造色がでるまでよく撹拌した。
次に、構造色が発現した混合液のみをマイクロピペットで採取することにより、イオン交換樹脂と分離し、別の容器へ入れた。
その後、窒素バブリングにより脱気処理を行った。脱気時間は300秒、窒素ガス流量は10mL/分とした。
一方、洗浄処理を行ったシャーレを用意し、当該シャーレに酸素プラズマ法による表面処理を施した。
次に、酸素プラズマ法による表面処理が施されたシャーレ(容器本体)に、構造色が発現した混合液を付与した。
その後、シャーレ内の混合液に紫外線(ピーク波長:365nm;ウシオ電機社製SP−7)を照射し、混合液の重合反応を行い、第1のポリマーを合成した。
その結果、シャーレ(容器本体)の内底面(培養面)に刺激応答性ゲル(ゲル材料)で構成された単球培養用足場が設けられた単球培養容器が得られた。
(実施例2〜5)
混合液の調製に用いる成分の種類、使用量を調整することにより、刺激応答性ゲル(ゲル材料)の構成を表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして単球培養用足場、単球培養容器を製造した。
混合液の調製に用いる成分の種類、使用量を調整することにより、刺激応答性ゲル(ゲル材料)の構成を表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして単球培養用足場、単球培養容器を製造した。
(実施例6)
容器中において、OH基を有するモノマーとしてのN−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%水溶液と、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%水溶液と、重合開始剤としての上記式(1)で表される化合物の5質量%水溶液とを混合し、さらに、ここに、シリカナノ粒子水分散液(シリカ濃度:40%)を少量ずつ添加、撹拌し、第2の混合液(第2のゲル材料調製用混合液)を得た。
容器中において、OH基を有するモノマーとしてのN−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%水溶液と、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%水溶液と、重合開始剤としての上記式(1)で表される化合物の5質量%水溶液とを混合し、さらに、ここに、シリカナノ粒子水分散液(シリカ濃度:40%)を少量ずつ添加、撹拌し、第2の混合液(第2のゲル材料調製用混合液)を得た。
次に、前記第2の混合液中に、その液量体積の2分の1のイオン交換樹脂を入れ、構造色が出るまでよく撹拌した。
次に、構造色が発現した第2の混合液のみをマイクロピペットで採取することにより、イオン交換樹脂と分離し、別の容器(セプタム蓋容器)へ入れた。
その後、窒素バブリングにより脱気処理を行った。脱気時間は300秒、窒素ガス流量は10mL/分とした。
一方、洗浄処理を行ったシャーレを用意し、当該シャーレに酸素プラズマ法による表面処理を施した。
次に、酸素プラズマ法による表面処理が施されたシャーレ(容器本体)に、構造色が発現した第2の混合液を付与した。
その後、シャーレ内の混合液に紫外線(ピーク波長:365nm;ウシオ電機社製SP−7)を照射し、混合液の重合反応を行い、第2のポリマーを合成した。
上記のようにして得られたシャーレ内の第2のゲル材料を、24時間純水に浸漬した後、前記純水を除去し、次にシャーレ内にエタノールを滴下し第2のゲルを浸漬した。
次に、シャーレ内から余分なエタノールを除去した第2のゲル材料に、第2のゲル材料の面を上にしたまま窒素ガスを充填した。
次に、フェニルボロン酸構造を有するモノマーとしての3−アクリルアミドフェニルボロン酸の40質量%エタノール溶液と、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%エタノール溶液と、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%エタノール溶液と、重合開始剤としての上記式(1)で表される化合物の5質量%エタノール溶液とを混合し第1の混合液とし、当該第1の混合液を、別の容器へ入れ、窒素バブリングにより脱気処理を行った。脱気時間は300秒、窒素ガス流量は10mL/分とした。
脱気処理を施した第1の混合液(3−アクリルアミドフェニルボロン酸を含む混合液)をニードル付きシリンジで吸い取り、第2のゲル材料上に全量滴下した。
30分間静置した後、第2のゲル材料の周囲の余分な第1の混合液を除去した。
30分間静置した後、第2のゲル材料の周囲の余分な第1の混合液を除去した。
次に、第2のゲル材料および第1の混合液の入ったシャーレに、紫外線(ピーク波長:365nm;ウシオ電機社製SP−7)を照射し、前記第1の混合液の重合反応を行い、第1のポリマーを合成した。
その結果、シャーレ(容器本体)の内底面(培養面)に刺激応答性ゲル(ゲル材料)で構成された単球培養用足場が設けられた単球培養容器が得られた。
(実施例7〜10)
第1の混合液、第2の混合液の調製に用いる成分の種類、使用量を調整することにより、刺激応答性ゲル(ゲル材料)の構成を表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例6と同様にして単球培養用足場、単球培養容器を製造した。
第1の混合液、第2の混合液の調製に用いる成分の種類、使用量を調整することにより、刺激応答性ゲル(ゲル材料)の構成を表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例6と同様にして単球培養用足場、単球培養容器を製造した。
(比較例1)
市販の細胞培養用のシャーレ(Tissue Culture Poly Stylene(TCPSt))を用い、これを単球培養容器をとし、シャーレ内表面(液体培地が接触する部位)をそのまま単球培養用足場とした。
市販の細胞培養用のシャーレ(Tissue Culture Poly Stylene(TCPSt))を用い、これを単球培養容器をとし、シャーレ内表面(液体培地が接触する部位)をそのまま単球培養用足場とした。
(比較例2)
洗浄処理を行ったシャーレを用意し、当該シャーレの内底面(培養面)に、コロナ放電処理を施し、コロナ放電処理が施された部位を単球培養用足場とする単球培養容器を得た。
洗浄処理を行ったシャーレを用意し、当該シャーレの内底面(培養面)に、コロナ放電処理を施し、コロナ放電処理が施された部位を単球培養用足場とする単球培養容器を得た。
なお、前記各実施例の説明において、特に温度の開示のないものは、室温(25℃)にて行った。
前記各実施例の単球培養用足場を構成する刺激応答性ゲル(ゲル材料)の構成を表1にまとめて示す。なお、表1中、モノマーとしての3−アクリルアミドフェニルボロン酸を「B1」、モノマーとしてのビニルフェニルボロン酸を「B2」、モノマーとしてのN−ヒドロキシエチルアクリルアミドを「H1」、モノマーとしての2−ヒドロキシエチルメタクリレートを「H2」、モノマーとしてのN−ヒドロキシメチルアクリルアミドを「H3」、モノマーとしてのN−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアクリルアミドを「H4」、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドを「BA1」で示した。
また、前記実施例6〜10の単球培養用足場を構成する刺激応答性ゲル(ゲル材料)について、顕微鏡による観察を行ったところ、第1のポリマーと第2のポリマーとの相分離が認められず、これらが微視的に一体化していることが確認された。
また、前記実施例6〜10と同様にして製造した刺激応答性ゲル(ゲル材料)について、示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定を行ったところ、独立した状態での第1のポリマーの融点のピーク、独立した状態での第2のポリマーの融点のピークが認められず、第1のポリマーの融点のピークおよび第2のポリマーの融点のピークとは異なる温度に、顕著な融点のピークが確認された。
また、前記実施例6〜10と同様にして製造した刺激応答性ゲル(ゲル材料)について、第2のポリマーのみを溶解し、第1のポリマーの溶解しない有機溶媒としてのトルエン(第2のポリマーの25℃における溶解度が1g/100g以上であり、かつ、第1のポリマーの25℃における溶解度が0.01g/100g以下である)を、刺激応答性ゲル(ゲル材料):10gに対する添加量が1000gとなるように25℃で添加し、さらにこの温度で十分に撹拌した後に、フィルターとして、デュラポア(Durapore)メンブレンフィルターHVHP04700(milipore社製)を用いた濾過を行い、理論的な抽出液の総量(ろ過時における溶媒の揮発がないものと仮定した場合の抽出液の総量)が、用いた刺激応答性ゲル(ゲル材料)の200倍量(質量基準)となるように、前記溶媒で残渣を洗浄した場合に、抽出液中に含まれる前記溶媒に混合された刺激応答性ゲル(ゲル材料)中に含まれる第1のポリマーおよび第2のポリマーのうち前記溶媒に可溶な成分の含有量(W1[g])に対する、抽出液中に含まれる第1のポリマーおよび第2のポリマーのうち前記溶媒に可溶な成分の量(W2[g])の割合((W2/W1)×100)は、いずれも、1質量%以下であった。
これらの結果から、前記実施例6〜10にかかる刺激応答性ゲル(ゲル材料)中において、第2のポリマーが第1のポリマーの網目に入り込んでいることがわかる。
[2]単球の培養
前記各実施例および比較例で製造した単球培養容器内部に、培養細胞として単球としての樹状細胞を用い、培地としてDMEM+10%FBSの液体培地を使用し、37℃でCO2:5体積%、O2:15体積%、N2:80体積%の雰囲気下で7日間培養した。また、培地交換は2日毎に行った。
前記各実施例および比較例で製造した単球培養容器内部に、培養細胞として単球としての樹状細胞を用い、培地としてDMEM+10%FBSの液体培地を使用し、37℃でCO2:5体積%、O2:15体積%、N2:80体積%の雰囲気下で7日間培養した。また、培地交換は2日毎に行った。
[3]評価
[3.1]培養用足場での単球の増殖の効率
前記[2]で培養を行った後、単球培養用足場の様子を観察し、以下の基準に従い評価した。
[3.1]培養用足場での単球の増殖の効率
前記[2]で培養を行った後、単球培養用足場の様子を観察し、以下の基準に従い評価した。
A:増殖した細胞が単球培養用足場に好適に付着しており、液体培地中に浮遊している単球が認められない。
B:増殖した細胞が単球培養用足場に好適に付着しており、液体培地中に浮遊している単球がほとんど認められない。
C:増殖した細胞の多くが単球培養用足場に付着しているが、液体培地中に浮遊している単球が若干認められる。
D:単球培養用足場に付着している増殖した細胞も認められるものの、液体培地中に多くの単球が浮遊している。
E:液体培地中に非常に多くの単球が浮遊している。
B:増殖した細胞が単球培養用足場に好適に付着しており、液体培地中に浮遊している単球がほとんど認められない。
C:増殖した細胞の多くが単球培養用足場に付着しているが、液体培地中に浮遊している単球が若干認められる。
D:単球培養用足場に付着している増殖した細胞も認められるものの、液体培地中に多くの単球が浮遊している。
E:液体培地中に非常に多くの単球が浮遊している。
[3.2]単球の回収性
前記[2]で培養を行った後、0.05質量%のフルクトース水溶液50mLを単球培養容器内に導入し、10分間静置した後に、単球培養容器内の液体(内容物)を回収した。
前記[2]で培養を行った後、0.05質量%のフルクトース水溶液50mLを単球培養容器内に導入し、10分間静置した後に、単球培養容器内の液体(内容物)を回収した。
このような操作の終了後に、回収された液体中の単球の数をカウントし、比較例2での単球の回収量を基準に、単球の回収の効率を評価した。
A:単球の回収量が、比較例2での回収量の300%以上である。
B:単球の回収量が、比較例2での回収量の200%以上300%未満である。
C:単球の回収量が、比較例2での回収量の150%以上200%未満である。
D:単球の回収量が、比較例2での回収量の110%以上150%未満である。
E:単球の回収量が、比較例2での回収量の110%未満である。
B:単球の回収量が、比較例2での回収量の200%以上300%未満である。
C:単球の回収量が、比較例2での回収量の150%以上200%未満である。
D:単球の回収量が、比較例2での回収量の110%以上150%未満である。
E:単球の回収量が、比較例2での回収量の110%未満である。
なお、回収液中に含まれる単球の数は、自動血球計算機(SysmexSE−9000)で測定した。
また、前記の説明において、特に温度の開示のないものは、室温(25℃)にて行い、液体としても25℃のものを用いた。
これらの結果を表2にまとめて示す。
これらの結果を表2にまとめて示す。
表2から明らかなように、各実施例では、単球を好適に増殖させることができ、培養した単球を効率よく回収することができた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。具体的には、比較例1では、増殖した単球の多くが液体培地中に浮遊しており、単球の増殖そのものを好適に行うことができなかった。また、比較例2では、培養用足場に付着した増殖した単球の回収性に劣っていた。
また、前記各実施例では、前記[3.2]で、フルクトース水溶液を単球培養容器内に導入し、フルクトース(特定成分)と単球培養用足場(刺激応答性ゲル)とを接触させた際に、刺激応答性ゲルの色調が変化し、刺激応答性ゲルの状態(膨張収縮状態、親水性疎水性の状態)を確認することができ、その結果、刺激応答性ゲルから単球が剥離した状態であるか否かを容易に判断することができた。これに対し、比較例では、このような色調の変化は認められなかった。
また、単球の回収に用いる液体として、フルクトース水溶液の代わりに、0.10質量%の乳酸水溶液、0.10質量%のマンニトール水溶液を用いた以外は、前記と同様の処理を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
10…単球培養容器、1…単球培養用足場(培養床)、2…容器本体
Claims (11)
- 所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含む材料で構成され、
前記刺激応答性ゲルは、構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含むものであることを特徴とする単球培養用足場。 - 前記刺激応答性ゲルは、糖類またはオキソ酸類による刺激により膨張するものである請求項1に記載の単球培養用足場。
- 前記ポリマーは、構成成分として、フェニルボロン酸構造を有するモノマーを含むものである請求項1または2に記載の単球培養用足場。
- 前記ポリマーは、構成成分として、3−アクリルアミドフェニルボロン酸を含むものである請求項3に記載の単球培養用足場。
- 前記ポリマー中における前記フェニルボロン酸構造を有するモノマーの含有率が、20質量%以上45質量%以下である請求項3または4に記載の単球培養用足場。
- 前記ポリマーは、前記水溶性ビニルモノマーとして、OH基を備えるモノマーを含むものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の単球培養用足場。
- 前記ポリマーは、前記水溶性ビニルモノマーとして、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを含むものである請求項6に記載の単球培養用足場。
- 単球培養用足場は、前記刺激応答性ゲル中に、平均粒径が10nm以上1000nm以下の微粒子が分散してなる部位を有するものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の単球培養用足場。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の単球培養用足場を用いて単球を培養する工程と、
前記刺激応答性ゲルを膨張または収縮させる機能を有する所定の物質を、前記単球培養用足場に接触させ、培養された前記単球を回収する工程とを有することを特徴とする単球培養方法。 - 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の単球培養用足場と、
前記単球培養用足場を収容する容器とを備えることを特徴とする単球培養容器。 - 単球培養用足場の単球と接触する部位を含む領域を構成する材料であって、
構成モノマーとして水溶性ビニルモノマーを含み、かつ、フェニルボロン酸構造を備えるポリマーを含み、所定の物質による刺激により膨張または収縮する刺激応答性ゲルを含むことを特徴とするゲル材料。
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2015
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