JP2015151427A - 刺激応答性ゲル材料および刺激応答性ゲル材料の製造方法 - Google Patents

刺激応答性ゲル材料および刺激応答性ゲル材料の製造方法 Download PDF

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佐登美 吉岡
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Abstract

【課題】幅広い領域で刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を容易かつ安定的に行うことができる刺激応答性ゲル材料を提供すること。
【解決手段】本発明の刺激応答性ゲル材料は、OH基を備え、網目構造を有する第1のポリマーと、フェニルボロン酸構造を有する第2のポリマーと、平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微粒子と、溶媒とを含み、前記第1のポリマーの網目に、前記第2のポリマーのポリマー鎖が入り込んでいることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、刺激応答性ゲル材料および刺激応答性ゲル材料の製造方法に関する。
現在、体内生体情報を取得する方法として、採血により得られた血液中の組成を調べる生化学検査が通常行われている。この検査は、医療機関にて実施されることがほとんどである。
そのなかで、血糖値センサーは、糖尿病患者に普及しており、また簡易乳酸センサーは、アスリートに普及しつつある。
しかし、これらは、いずれも採血による侵襲的手法を用いた検査手法である。
これに対し、非侵襲的手法を適用したものとして、汗中成分を対象とするセンサー研究が行われている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
しかし、このような方法では、色素や酵素を用いた電極法を採用しており、電極での測定データを表示するための処理部、表示部が必要である、電極、処理部、表示部のための電源が必要(電池が必要)である等の問題があり、構造が複雑なものであり、重量も大きいという問題があった。
また、酵素は、一般に、高価であり、温度、湿度等の影響を受けやすく、安定した特性を発揮しにくく、定量性の信頼性が低いという問題もある。
さらに、酵素は、製造ロット間やメーカーによる品質のばらつきが大きく、また、特性の経時的変化が大きいため、使用前に既知濃度の標準液にて校正する必要がある。
Wearable Technology for Bio-Chemical Analysis of Body Fluids During Exercise 30th Annual International IEEE EMBS Conference Vancouver, British Columbia, Canada, August 20-24, 2008 Novel lactate and pH biosensor for skin and sweat analysis based on single walled carbon nanotubes /Sensors and Actuators B 117 (2006) 308-313
本発明の目的は、幅広い領域で刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を容易かつ安定的に行うことができる刺激応答性ゲル材料を提供すること、また、幅広い領域で刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を容易かつ安定的に行うことができる刺激応答性ゲル材料を効率よく製造することができる製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の刺激応答性ゲル材料は、OH基を備え、網目構造を有する第1のポリマーと、
フェニルボロン酸構造を有する第2のポリマーと、
平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微粒子と、
溶媒とを含み、
前記第1のポリマーの網目に、前記第2のポリマーのポリマー鎖が入り込んでいることを特徴とする。
これにより、幅広い領域で刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を容易かつ安定的に行うことができる刺激応答性ゲル材料を提供することができる。
本発明の刺激応答性ゲル材料では、前記第1のポリマーが有する前記OH基と前記第2のポリマーが有する前記フェニルボロン酸構造とが結合した第1の状態と、
前記第1のポリマーが有する前記OH基と前記第2のポリマーが有する前記フェニルボロン酸構造との結合が解除された第2の状態とを取り得、
前記第1の状態と前記第2の状態とで、反射光の波長が異なることが好ましい。
本発明の刺激応答性ゲル材料では、前記第2のポリマーは、網目構造を有するものであることが好ましい。
本発明の刺激応答性ゲル材料では、前記第1のポリマーが有する前記OH基と乳酸とが反応することにより、前記第2の状態となることが好ましい。
本発明の刺激応答性ゲル材料では、前記第1のポリマーは、構成成分として、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを含むものであることが好ましい。
本発明の刺激応答性ゲル材料では、前記第2のポリマーは、構成成分として、アクリルアミドフェニルボロン酸を含むものであることが好ましい。
本発明の刺激応答性ゲル材料では、前記第1のポリマーの含有率をX[質量%]、前記第2のポリマーの含有率をX[質量%]としたとき、0.2≦X/X≦8の関係を満足することが好ましい。
本発明の刺激応答性ゲル材料では、前記溶媒として水を含むことが好ましい。
本発明の刺激応答性ゲル材料の製造方法は、第1のモノマー、架橋剤および平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微粒子を含む第1の組成物を用いて重合反応を行うことにより、前記第1のモノマーおよび前記架橋剤を構成成分として含み、OH基を備え網目構造を有する第1のポリマーを合成し、前記第1のポリマーと前記微粒子とが混合されてなる第1のゲル材料を得る第1の重合工程と、
前記第1のゲル材料の存在下、第2のモノマーを含む第2の組成物を重合させ、第2のポリマーを得る第2の重合工程とを有することを特徴とする。
これにより、幅広い領域で刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を容易かつ安定的に行うことができる刺激応答性ゲル材料を効率よく製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明の刺激応答性ゲル材料の製造方法では、前記第2の組成物は、架橋剤を含むものであることが好ましい。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
《刺激応答性ゲル材料》
まず、本発明の刺激応答性ゲル材料について説明する。
本発明の刺激応答性ゲル材料は、高分子材料(ポリマー)と、微粒子と、溶媒とを含むものである。そして、後に詳述するように、高分子材料として、所定の条件を満足する第1のポリマーおよび第2のポリマーを含み、第1のポリマーの網目に第2のポリマーのポリマー鎖が入り込んでいる。
このような構成であることにより、周囲の環境の変化(所定の刺激の有無や、刺激の強さ等の変化)によって、第1のポリマーと第2のポリマーとの結合状態が変化し、刺激応答性ゲル材料は、変形するものとなる。そして、微粒子が含まれることにより、このような変形は、コロイド結晶による構造色の変化として、検出可能となっている。
また、本発明では、所定の刺激を検出可能であるが、ゲル材料であることにより、従来の酵素を用いるものに比べて、安定性に優れ、ロット間等での特性のばらつきが小さい。また、電源を用いず、複雑な構成にしなくても、使用者等が検出された刺激の強さを容易かつ確実に認識することができる。また、酵素のような高価な材料を用いる必要がないので、コスト面からも有利である。
刺激応答性ゲル材料中において、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいるか否かは、例えば、顕微鏡による観察により確認することができる。また、融点測定(例えば、示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定)により、判断することもできる。より具体的には、第1のポリマーおよび第2のポリマーが、独立した状態で、互いに異なる融点を持つものである場合に、融点測定において、第1のポリマーの融点のピークおよび第2のポリマーの融点のピークとは異なる融点のピーク(第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込むことにより、第1のポリマーと第2のポリマーとが微視的に一体化している構造を有することによる融点のピーク)が確認される場合には、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいるものと判断することができる。
また、第1のポリマーと第2のポリマーとの溶解度の違いを利用して、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいるか否かを確認することもできる。より具体的には、例えば、刺激応答性ゲル材料について、第1のポリマー、第2のポリマーの一方のみを溶かす有機溶媒(例えば、第1のポリマー、第2のポリマーのうちの一方の25℃における溶解度(溶媒100gに対して溶解可能な量)が1g/100g以上であり、第1のポリマー、第2のポリマーのうちの他方の25℃における溶解度(溶媒100gに対して溶解可能な量)が0.01g/100g以下である溶媒)が存在する場合、当該有機溶媒を、刺激応答性ゲル材料:10gに対する添加量が1000gとなるように25℃で添加し、さらにこの温度で十分に撹拌した後に、ろ過を行い、さらに、理論的な抽出液の総量(ろ過時における溶媒の揮発がないものと仮定した場合の抽出液の総量)が、用いた刺激応答性ゲル材料の200倍量(質量基準)となるように、前記有機溶媒で残渣を洗浄した場合に、抽出液中に含まれる前記有機溶媒に混合された刺激応答性ゲル材料中に含まれる第1のポリマーおよび第2のポリマーのうち前記有機溶媒に可溶な成分の含有量(W[g])に対する、抽出液中に含まれる第1のポリマーおよび第1のポリマーのうち前記有機溶媒に可溶な成分の量(W[g])の割合((W/W)×100)が、所定値以下(好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下)であることが確認されれば、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいると判断することができる。
また、第1のポリマーと第2のポリマーの構造を顕微鏡観察することで、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいるか否かを確認することもできる。より具体的には、例えば、刺激応答性ゲル材料について、液体窒素で凍結した状態で刺激応答性ゲルを割断あるいはクライオFIBにて刺激応答性ゲル材料の断面試料を作製し、クライオSEMにて観察する。その際、島状構造やグレインが観察されなければ、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいると判断することができる。さらに、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)にて、炭素、酸素、ホウ素の元素についてマッピング分析を行うことで、より詳細な観察が可能となり、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいると判断することができる。
[高分子材料(ポリマー)]
本発明の刺激応答性ゲル材料は、高分子材料として、OH基(炭素原子に結合する水酸基)を備え、網目構造を有する第1のポリマーと、フェニルボロン酸構造を有する第2のポリマーとを含むものである。
このように、OH基を備え、網目構造を有する第1のポリマーと、フェニルボロン酸構造を有する第2のポリマーとを含むことにより、刺激応答性ゲル材料は、第1のポリマーが有するOH基と第2のポリマーが有するフェニルボロン酸構造とが結合した第1の状態と、第1のポリマーが有するOH基と第2のポリマーが有するフェニルボロン酸構造との結合が解除された第2の状態とを取り得る。そして、このような状態の変化は、刺激応答性ゲル材料の変形を招き、その結果、刺激応答性ゲル材料についいての反射光の波長は異なったものとなる。
このような状態の変化は、周囲の環境の変化(所定の刺激の有無や、刺激の強さ等の変化)によって起こるものである。そして、刺激応答性ゲル材料中に含まれる多数の分子(第1のポリマー分子および第2のポリマー分子)のうち、第1の状態をとるものと、第2の状態をとるものとの比率は、その刺激の強さによって傾斜的に変化する。
このため、刺激の強さを、より高い信頼性で定量的に検出することができる。
また、第1のポリマーの網目に第2のポリマーのポリマー鎖が入り込んでいることにより、刺激応答性ゲル材料の局所的な変形が生じた場合に、その変形が周囲にも効率よく伝播し、結果として、刺激応答性ゲル材料全体が高い均一性で変形することとなるため、刺激応答性ゲル材料の各部位で構造色のばらつきも抑制される。その結果、検出すべき刺激の強さ(例えば、所定成分の濃度等)を容易かつ正確に判断することができる。言い換えると、刺激の強さの定量性に優れている。
また、第1のポリマーが備えるOH基と、第2のポリマーが備えるフェニルボロン構造とは、高い反応性を有するものであり、これらが結合した第1の状態を取り得るため、第1のポリマーの網目に、第2のポリマーのポリマー鎖が入り込んだ構造は、容易に崩されず、長期間にわたって安定的に保持される。したがって、長期間にわたって安定的に、所定の刺激の検出を行うことができる。すなわち、刺激応答性ゲル材料の耐久性は優れたものとなる。
本発明の刺激応答性ゲル材料は、第2のポリマーが有するフェニルボロン構造と乳酸とが反応することにより、第2の状態となるものであるのが好ましい。
本発明の刺激応答性ゲル材料は、各種刺激の中でも乳酸に対して、特に幅広い濃度領域において、特に高い感度で検出・定量が可能である。また、従来においては、乳酸の検出・定量は、酵素も用いたものがほとんどであり、乳酸の検出・定量に好適に適用することのできる刺激応答性ゲル材料がなかった。以上のようなことから、本発明の刺激応答性ゲル材料を乳酸の検出・定量に用いることにより、本発明の効果はより顕著に発揮される。
本発明の刺激応答性ゲル材料が乳酸に対して高い感度を示すのは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、刺激応答性ゲル材料が乳酸を検出するものである場合において、乳酸の濃度が低い場合には、第1のポリマーが有するOH基と第2のポリマーが有するフェニルボロン酸構造とが結合した第1の状態をとるものの割合が高くなる。一方、乳酸の濃度が高くなると、きわめて反応性よく、第1のポリマーが有するOH基とフェニルボロン酸構造との結合は、乳酸とフェニルボロン酸構造との結合に置き換わる。これは、乳酸が、α−ヒドロキシカルボン酸の構造を有し、フェニルボロン酸構造と特に高い反応性を有する化合物であるとともに、分子の大きさが小さいため、刺激応答性ゲル材料中において、第2のポリマーが有するフェニルボロン酸構造に容易に接近することができるためであると考えらえる。
また、第2のポリマーが有するフェニルボロン構造と乳酸とが反応するものであると、前述したように、第2の状態において、フェニルボロン酸が乳酸と結合した構造をとるが、この構造中に含まれるエステル基は、第1のポリマーが備えるOH基と相互作用する。このため、第2の状態においても、第2のポリマーが第1のポリマーの網目から脱落しにくい状態になっている。したがって、刺激応答性ゲル材料が、第2のポリマーが有するフェニルボロン構造と乳酸とを反応させるものである場合には、刺激応答性ゲル材料の耐久性は、特に優れたものとなる。また、第1のポリマーの網目に第2のポリマーを入れ込ませることで、第2のポリマーの分子鎖を第1のポリマーの分子鎖の極めて近くまで近接させることができるため、第1の状態と第2の状態との間の移行がより好適に行われる。
以下の説明では、刺激応答性ゲル材料が、第2のポリマーが有するフェニルボロン構造と乳酸とが反応することにより第2の状態となるものであり、乳酸の検出、定量に用いられるものである場合について中心的に説明する。
(第1のポリマー)
第1のポリマーは、OH基(水酸基)を有するものである。
OH基は、ポリマーの構成成分としての重合性化合物(モノマー等)を重合させた後に導入されたものであってもよいが、ポリマーの構成成分としての重合性化合物が有するものであるのが好ましい。
これにより、第1のポリマーが有するOH基の割合等の調整を容易かつ確実に行うことができる。
第1のポリマーを構成する、OH基を有するモノマーとしては、例えば、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、第1のポリマーは、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを構成成分として含むものであるのが好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料の置かれた環境の変化(特に、乳酸濃度の変化)に応じた、第1の状態と第2の状態との間の移行がより好適に行われ、より幅広い領域で、刺激の強さ(特に、乳酸の濃度)の検出・定量をより安定的に行うことができる。また、刺激応答性ゲル材料の溶媒の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。
第1のポリマー中におけるOH基を有するモノマーの含有率は、54mol%以上99mol%以下であるのが好ましく、65mol%以上98.5mol%以下であるのがより好ましく、76mol%以上98mol%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第1のポリマーがOH基を有することによる効果をより顕著に発揮させつつ、OH基を有するモノマー以外の成分(後述する架橋剤、OH基を有さないモノマー等)の効果を十分に発揮させることができる。
また、第1のポリマーは、その構成成分として、OH基を有さないモノマーを含むものであってもよい。これにより、第1のポリマーが有するOH基の割合等を好適なものに調整することができる。
第1のポリマーを構成する、OH基を有さないモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド各種四級塩、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート各種四級塩、アクリル酸、各種アルキルアクリレート、メタクリル酸、各種アルキルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリプロポキシ)フェニル〕プロパン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、エチレンビスアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、4−アクリルアミドベンゾ18−クラウン−6−エーテル、アクリロイルアミノベンゾクラウンエーテル、メタクリロイルアミノベンゾクラウンエーテル、4−ビニルベンゾクラウンエーテル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができ。
第1のポリマー中におけるOH基を有さないモノマーの含有率は、0.1mol%以上40mol%以下であるのが好ましく、0.2mol%以上30mol%以下であるのがより好ましく、0.3mol%以上20mol%以下であるのがさらに好ましい。
第1のポリマーは、網目構造(架橋構造)を有するものである。
これにより、刺激応答性ゲル材料全体において、第1のポリマーと第2のポリマーとが近接した状態を安定的に保持することができ、長期間にわたって、刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を安定的に行うことができる。また、刺激応答性ゲル材料の溶媒の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。
このような網目構造(架橋構造)は、第1のポリマーの構成成分として、架橋剤成分を含むことにより、好適に導入することができる。
架橋剤成分としては、重合性官能基を2個以上有する化合物を用いることができ、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−メチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、N,N−ブチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリストールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメリテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1のポリマー中における架橋剤成分の含有率は、0.5mol%以上7.0mol%以下であるのが好ましく、0.8mol%以上6.0mol%以下であるのがより好ましく、1.1mol%以上5.0mol%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、第1のポリマーの架橋度をより好適な範囲にすることができ、前述したような効果をより顕著に発揮しつつ、第1のポリマーの柔軟性をより適切なものとすることができる。
第1のポリマーの水酸基価は、15mgKOH/g以上620mgKOH/g以下であるのが好ましく、34mgKOH/g以上78mgKOH/g以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような第1のポリマーがOH基を有することによる効果をより顕著に発揮させつつ、刺激応答性ゲル材料の耐久性を特に優れたものとすることができる。
これに対し、第1のポリマーの水酸基価が前記下限値未満であると、第2のポリマーが有するフェニルボロン酸構造の割合等によっては、前述したような第1のポリマーがOH基を有することによる効果が十分に得られない可能性がある。
また、第1のポリマーの水酸基価が前記上限値を超えると、刺激応答性ゲル材料の耐久性を特に優れたものとすることができる。
なお、第1のポリマーは、フェニルボロン酸構造を有さないものである。
刺激応答性ゲル材料中における第1のポリマーの含有率Xは、0.05質量%以上98質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、乳酸に対する感度・定量性が特に優れたものとなるとともに、刺激応答性ゲル材料の溶媒の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。
また、高分子材料中における第1のポリマーの含有率は、1.0質量%以上99質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以上98質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、乳酸に対する感度・定量性が特に優れたものとなるとともに、刺激応答性ゲル材料の溶媒の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。
(第2のポリマー)
第2のポリマーは、フェニルボロン酸構造を有するものである。
このような第2のポリマーを、前述した第1のポリマーとともに含むことにより、幅広い領域で刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を容易かつ安定的に行うことが可能となる。特に、刺激応答性ゲル材料が、乳酸の検出・定量を行うものである場合、低濃度領域(例えば、0.4質量%以下の領域)での感度を優れたものとすることができる。
フェニルボロン酸構造は、ポリマーの構成成分としての重合性化合物(モノマー等)を重合させた後に導入されたものであってもよいが、ポリマーの構成成分としての重合性化合物が有するものであるのが好ましい。
これにより、第2のポリマーが有するフェニルボロン酸構造の割合等の調整を容易かつ確実に行うことができる。
第2のポリマーを構成する、フェニルボロン酸構造を有するモノマーとしては、例えば、3−アクリルアミドフェニルボロン酸、ビニルフェニルボロン酸、アクリロイロキシフェニルボロン酸、アクリロイルアミノベンゼンボロン酸、メタクリロイルアミノベンゼンボロン酸、4−ビニルベンゼンボロン酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、第2のポリマーは、3−アクリルアミドフェニルボロン酸を構成成分として含むものであるのが好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料の置かれた環境の変化(特に、乳酸濃度の変化)に応じた、第1の状態と第2の状態との間の移行がより好適に行われ、より幅広い領域で、刺激の強さ(特に、乳酸の濃度)の検出・定量をより安定的に行うことができる。また、刺激応答性ゲル材料の溶媒の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。
第2のポリマー中におけるフェニルボロン酸構造を有するモノマーの含有率は、3.0mol%以上98mol%以下であるのが好ましく、3.5mol%以上70mol%以下であるのがより好ましく、3.8mol%以上70mol%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料の柔軟性は特に優れたものとなり、所定の刺激に対する感度・定量性が特に優れたものとなり、より幅広い領域で、刺激の強さ(特に、乳酸の濃度)の検出・定量をより安定的に行うことができる。
これに対し、第2のポリマー中におけるフェニルボロン酸構造を有するモノマーの含有率が前記下限値未満であると、第1のポリマーが有するOH基の割合等によっては、刺激の強さ(例えば、乳酸の濃度)の検出・定量を好適に行うことができる範囲(例えば、乳酸の濃度)を十分に広いものとすることが困難となる可能性がある。
また、第2のポリマー中におけるフェニルボロン酸構造を有するモノマーの含有率が前記上限値を超えると、刺激応答性ゲル材料が変形しにくいものとなり、所定の刺激に対する感度・定量性が低下する。
これは、フェニルボロン酸構造の割合が多くなり、複数個のベンゼン環の間でのπ電子相互作用(πスタッキング)が強く表れ、溶媒等が入り込む空間が少なくなるためであると考えられる。
また、第2のポリマーは、その構成成分として、フェニルボロン酸構造を有さないモノマーを含むものであってもよい。これにより、第2のポリマーが有するフェニルボロン酸構造の割合等を好適なものに調整することができる。
第2のポリマーを構成する、フェニルボロン酸構造を有さないモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド各種四級塩、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート各種四級塩、アクリル酸、各種アルキルアクリレート、メタクリル酸、各種アルキルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリプロポキシ)フェニル〕プロパン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、エチレンビスアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、4−アクリルアミドベンゾ18−クラウン−6−エーテル、アクリロイルアミノベンゾクラウンエーテル、メタクリロイルアミノベンゾクラウンエーテル、4−ビニルベンゾクラウンエーテル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、第2のポリマーは、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを構成成分として含むものであるのが好ましい。
これにより、第1のポリマーと第2のポリマーとの親和性をより好適なものとすることができ、刺激応答性ゲル材料中における不本意な相分離等の問題をより長期間にわたってより確実に防止することができ、刺激応答性ゲル材料の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、刺激応答性ゲル材料の溶媒の保持力を特に優れたものとすることができる。
第2のポリマー中におけるフェニルボロン酸構造を有さないモノマーの含有率は、1.0mol%以上96mol%以下であるのが好ましく、5.0mol%以上95mol%以下であるのがより好ましく、20mol%以上93mol%以下であるのがさらに好ましい。
第2のポリマーは、網目構造(架橋構造)を有するものであってもよい。
これにより、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んだ状態が、第1のポリマーの網目から脱落することがより長期間にわたって、より確実に防止される。これは、第2のポリマーが有する(共有結合によって形成された強固な)網目構造によって、第1のポリマーによる閉じた環状構造と、第2のポリマーによる閉じた環状構造とが、鎖を構成する隣り合う輪のような関係となるためである。
その結果、第1のポリマーと第2のポリマーとが近接した状態を安定的に保持することができ、長期間にわたって、刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を安定的に行うことができる。
また、刺激応答性ゲル材料の溶媒の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。
このような網目構造(架橋構造)は、第2のポリマーの構成成分として、架橋剤成分を含むことにより、好適に導入することができる。
架橋剤成分としては、重合性官能基を2個以上有する化合物を用いることができ、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−メチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、N,N−ブチレン−ビス−N−ビニルアセトアミド、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、アリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリストールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメリテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2のポリマー中における架橋剤成分の含有率は、0.5mol%以上10.0mol%以下であるのが好ましく、0.8mol%以上8.0mol%以下であるのがより好ましく、1.1mol%以上6.0mol%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、第2のポリマーの架橋度をより好適な範囲にすることができ、前述したような効果をより顕著に発揮しつつ、第2のポリマーの柔軟性をより適切なものとすることができる。
刺激応答性ゲル材料中における第2のポリマーの含有率Xは、0.01質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以上65質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料の柔軟性は特に優れたものとなり、所定の刺激に対する感度・定量性が特に優れたものとなり、より幅広い領域で、刺激の強さ(特に、乳酸の濃度)の検出・定量をより安定的に行うことができる。
これに対し、刺激応答性ゲル材料中における第2のポリマーの含有率Xが前記下限値未満であると、第1のポリマーが有するOH基の割合等によっては、刺激の強さ(例えば、乳酸の濃度)の検出・定量を好適に行うことができる範囲(例えば、乳酸の濃度)を十分に広いものとすることが困難となる可能性がある。
また、刺激応答性ゲル材料中における第2のポリマーの含有率Xが前記上限値を超えると、刺激応答性ゲル材料が変形しにくいものとなり、所定の刺激に対する感度・定量性が低下する。
また、高分子材料中における第2のポリマーの含有率は、1.0質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、2.0質量%以上65質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料の柔軟性は特に優れたものとなり、所定の刺激に対する感度・定量性が特に優れたものとなり、より幅広い領域で、刺激の強さ(特に、乳酸の濃度)の検出・定量をより安定的に行うことができる。
これに対し、高分子材料中における第2のポリマーの含有率が前記下限値未満であると、第1のポリマーが有するOH基の割合等によっては、刺激の強さ(例えば、乳酸の濃度)の検出・定量を好適に行うことができる範囲(例えば、乳酸の濃度)を十分に広いものとすることが困難となる可能性がある。
また、高分子材料中における第2のポリマーの含有率が前記上限値を超えると、刺激応答性ゲル材料が変形しにくいものとなり、所定の刺激に対する感度・定量性が低下する。
刺激応答性ゲル材料中における第1のポリマーの含有率をX[質量%]、第2のポリマーの含有率をX[質量%]としたとき、0.2≦X/X≦8の関係を満足するのが好ましく、1.3≦X/X≦1.9の関係を満足するのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料の柔軟性は特に優れたものとなり、所定の刺激に対する感度・定量性が特に優れたものとなり、より幅広い領域で、刺激の強さ(特に、乳酸の濃度)の検出・定量をより安定的に行うことができる。
これに対し、X/Xの値が前記下限値未満であると、刺激の強さ(例えば、乳酸の濃度)の検出・定量を好適に行うことができる範囲(例えば、乳酸の濃度)を十分に広いものとすることが困難となる可能性がある。
また、X/Xの値が前記上限値を超えると、刺激応答性ゲル材料が変形しにくいものとなり、所定の刺激に対する感度・定量性が低下する。
刺激応答性ゲル材料を構成する高分子材料は、前述したような第1のポリマー、第2のポリマー以外のポリマーを含むものであってもよい。
刺激応答性ゲル材料中における高分子材料の含有率は、0.7質量%以上70.0質量%以下であるのが好ましく、2.4質量%以上65.0質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料の取り扱いが特に容易になるとともに、乳酸に対する感度・定量性が特に優れたものとなる。
[溶媒]
本発明の刺激応答性ゲル材料は、溶媒を含むものである。
これにより、前述した高分子材料をゲル化させることができる。
溶媒としては、各種有機溶媒や無機溶媒を用いることができ、より具体的は、例えば、水;メタノール、エタノール等の各種アルコール;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、水を含むものであるのが好ましい。
これにより、より幅広い濃度範囲にわたって乳酸濃度の検出、定量が可能になるとともに、刺激応答性ゲル材料において溶媒がより好適に保持され、刺激応答性ゲル材料の安定性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
刺激応答性ゲル材料中における溶媒(水素結合を形成し得る溶媒)の含有率は、30質量%以上98質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上95質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料の取り扱いが特に容易になるとともに、乳酸に対する感度・定量性が特に優れたものとなる。
[微粒子]
本発明の刺激応答性ゲル材料は、平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微粒子を含むものである。
これにより、刺激応答性ゲル材料が乳酸濃度の変化の刺激を受けた際に、コロイド結晶による構造色の変化が容易に認識されるため、乳酸濃度の検出、定量を容易かつ確実に行うことができる。
また、刺激応答性ゲル材料が微粒子を含むことにより、刺激応答性ゲル材料が接触する乳酸の濃度によって、反射光の波長が大きく変化するため、乳酸濃度の定量性を優れたものとすることができる。
本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
微粒子の構成材料としては、シリカ、酸化チタン等の無機材料;ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の有機材料(ポリマー)等が挙げられるが、微粒子は、シリカ微粒子であるのが好ましい。
これにより、微粒子の形状の安定性等を特に優れたものとし、刺激応答性ゲル材料の耐久性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。また、シリカ微粒子は、粒度分布がシャープなもの(単分散微粒子)として入手が比較的容易であるため、刺激応答性ゲル材料の安定的な生産、供給の観点からも有利である。
微粒子の形状は、特に限定されないが、球状であるのが好ましい。これにより、コロイド結晶による構造色がより確実に視認され、乳酸濃度の定量をより容易に、また、より確実に行うことができる。
微粒子の平均粒子径は、10nm以上1000nm以下であればよいが、20nm以上500nm以下であるのが好ましい。
これにより、微粒子を含むことによる前述したような効果がより顕著に発揮される。
刺激応答性ゲル材料は、異なる複数種の微粒子を含むものであってもよい。
刺激応答性ゲル材料中における微粒子の含有率は、1.6質量%以上36質量%以下であるのが好ましく、4.0質量%以上24質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、刺激応答性ゲル材料が微粒子を含むことによる前述したような効果がより顕著に発揮される。
[その他の成分]
本発明の刺激応答性ゲル材料は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、着色剤、スリップ剤(レベリング剤)、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、水素結合を形成し得ない溶媒、保湿剤等が挙げられる。
[刺激応答性ゲル材料の全体形状]
刺激応答性ゲル材料の形状は、いかなるものであってもよく、例えば、シート状(フィルム状)、板状、ブロック状、紐状、筒状、粒子状等が挙げられる。
[刺激応答性ゲル材料の用途等]
本発明の刺激応答性ゲル材料は、幅広い領域で刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を容易かつ安定的に行うことができ、定量性に優れているため、例えば、検体中に特定の物質が含まれるか否か、または、検体中に含まれる特定の物質の濃度を測定するセンサー(検出手段)として用いることができる。
また、刺激応答性ゲル材料に取り込まれた特定成分の量を安定的に識別することができるので、被検物中に含まれる特定物質を分離・抽出する分離・抽出手段として好適に用いることもできる。すなわち、刺激応答性ゲル材料に取り込まれた特定成分の量が飽和した段階または飽和しそうな段階で、接触液体との接触を中止し、必要に応じて別の刺激応答性ゲル材料に交換することができる。これにより、接触液体から、無駄なく特定成分を回収することができる。
本発明の刺激応答性ゲル材料の適用分野としては、例えば、健康スポーツ分野、医療分野、食品分野、製薬分野等が挙げられる。
また、本発明の刺激応答性ゲル材料のより具体的な用途としては、例えば、生体物質(例えば、がん細胞、血液細胞等の各種細胞、抗体等のタンパク質(糖タンパク質等を含む)等)の検出手段、体液または体外分泌物(例えば、血液、唾液、汗、尿等)中に含まれる成分(例えば、乳酸、尿酸、糖等)の検出手段、生体物質(特に、ホルモン等の微量生体物質等)の分離・抽出手段、金属(特に、希少金属、貴金属等)の分離・抽出手段、花粉等の抗原(アレルギー物質)の検出手段、毒物、有害物質、環境汚染物質等の分離・抽出手段、ウイルス、細菌等の検出手段、土壌に含まれる成分の検出手段、廃液(排水を含む)に含まれる成分の検出手段、食品に含まれる成分の検出手段、水中に含まれる成分(例えば、汽水域、河川、水田等に含まれる塩分等)の検出手段、特定の組織、成分等(例えば、がん組織等)を標的としたドラッグデリバリー用材料、バイオリアクターモニター、細胞培養モニター等が挙げられる。
また、本発明の刺激応答性ゲル材料が、所定の刺激として乳酸を検出するものである場合、例えば、血中乳酸センサー、患者急変時の血中、組織中乳酸濃度上昇の迅速検出用センサー、閉塞性動脈硬化症、床擦れ等の早期発見用センサー、食品中の乳酸濃度検出用センサー(例えば、発酵食品の発酵の程度の検査用、食品品質管理用等)に適用することができる。
《刺激応答性ゲル材料の製造方法》
次に、本発明の刺激応答性ゲル材料の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法は、第1のモノマー、架橋剤および平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微粒子を含む第1の組成物を用いて重合反応を行うことにより、第1のモノマーおよび架橋剤を構成成分として含み、OH基を備え網目構造を有する第1のポリマーを合成し、第1のポリマーと微粒子とが混合されてなる第1のゲル材料を得る第1の重合工程(1a)と、第1のゲル材料の存在下、第2のモノマーを含む第2の組成物を重合させ、第2のポリマーを得る第2の重合工程(1b)とを有している。
これにより、幅広い領域で刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を容易かつ安定的に行うことができる刺激応答性ゲル材料を効率よく製造することができる。
[第1の重合工程]
まず、第1の組成物を用いて、第1のポリマーを合成し、第1のゲル材料を得る(1a)。
第1の組成物は、第1のモノマー、架橋剤および平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微粒子を含むものである。
第1のモノマーとしては、例えば、第1のポリマーの構成成分として説明した「OH基を有するモノマー」を用いることができる。
また、架橋剤および微粒子としては、刺激応答性ゲル材料の構成材料として説明したのと同様の条件を満足するものを好適に用いることができる。
また、第1の組成物は、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、本工程において、重合反応を好適に開始・進行させることができる。
重合開始剤は、例えば、その重合様式によって、適宜選択することができるが、具体的には、過酸化水素、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等、アゾ系開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1,−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスホンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等の紫外光によってラジカルを発生する化合物、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゼンや3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のパーオキシエステルに、チオピリリウム塩、メロシアニン、キノリン、スチルキノリン系色素を混合した物質等の360nm以上の波長の光によってラジカルを発生する化合物等が挙げられる。また、過酸化水素あるいは過硫酸塩は、例えば、亜硫酸塩、L−アスコルビン酸等の還元性物質やアミン塩等を組み合わせてレドックス系の開始剤としても使用することができる。
また、第1の組成物は、他の成分を溶解または分散する機能を有する溶媒を含むものであるのが好ましい。
溶媒を含むことにより、重合反応をより好適に開始・進行させることができる。また、第1の組成物中の各部位において各構成成分がより均一に存在するものとすることができ、最終的に得られる刺激応答性ゲル材料中における不本意な組成のばらつき等を効果的に防止することができる。また、重合反応によりポリマーが合成された際に、反応生成物を好適にゲル状とすることができため、重合反応後にゲル化させる場合に比べて刺激応答性ゲル材料の生産性を優れたものとすることができる。また、重合反応によりポリマーを合成した後に、当該ポリマーを溶媒と混合してゲル化する場合に比べて、刺激応答性ゲル材料の各部位での組成の不本意なばらつきの発生を効果的に防止することができる。
溶媒としては、各種有機溶媒や無機溶媒を用いることができ、より具体的は、例えば、水;メタノール、エタノール等の各種アルコール;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、水を含むものであるのが好ましい。
これにより、重合反応をより好適に開始・進行させることができ、最終的に得られる刺激応答性ゲル材料の特性を特に優れたものとすることができる。また、水は、最終的な刺激応答性ゲル材料の構成成分として好適に利用することができるものであるため、重合反応後の精製の処理を省略または簡略化することができる。特に、重合反応が効率よく開始・進行することと、精製処理を省略または簡略化することができることとが、相乗的に作用し合い、刺激応答性ゲル材料の生産性を特に優れたものとすることができる。
第1の組成物は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、着色剤、スリップ剤(レベリング剤)、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられる。
[第2の重合工程]
その後、第1のゲル材料の存在下、第2のモノマーを含む第2の組成物を重合させ、第2のポリマーを得る(1b)。これにより、第1のゲル材料中に含まれる第1のポリマーの網目に、第2のポリマーのポリマー鎖が入り込んだ構成の刺激応答性ゲル材料が得られる。
第2の組成物は、第2のモノマーを含むものである。
第2のモノマーとしては、例えば、第2のポリマーの構成成分として説明した「フェニルボロン酸構造を有するモノマー」を用いることができる。
また、第2のモノマーとしてフェニルボロン酸構造を有するモノマーを用いることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、前述したように、第1のポリマーが備えるOH基と、フェニルボロン構造とは、高い親和性を有するものである。このため、本工程において、第2のモノマーとしてフェニルボロン酸構造を有するモノマーを用いることにより、重合反応開始前に容易かつ確実に、第2のモノマーが第1のポリマーが備えるOH基に接近した状態、特に、第2のモノマーが第1のポリマーの網目に入り込んだ状態を、とらせることができる。したがって、重合反応により得られる第2のポリマーが、第1のポリマーの網目に入り込んだ状態を、容易かつ確実に得ることができる。
第2の組成物は、少なくとも第2のモノマーを含むものであればよいが、架橋剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、網目構造(架橋構造)を有する第2のポリマーを効率よく合成することができる。
また、網目構造(架橋構造)を有するものとして、第2のポリマーを合成することにより、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んだ状態が、第1のポリマーの網目から脱落することがより長期間にわたって、より確実に防止される。その結果、第1のポリマーと第2のポリマーとが近接した状態を安定的に保持することができ、長期間にわたって、刺激の強さ(所定成分の濃度等)の検出を安定的に行うことができる。
また、刺激応答性ゲル材料の溶媒の保持力を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的に好適なゲル状態を保持することができる。
また、第1の組成物は、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、本工程において、重合反応を好適に開始・進行させることができる。
重合開始剤としては、例えば、第1の組成物の構成成分として説明したものを用いることができる。なお、第2の組成物中に含まれる重合開始剤と、第1の組成物中に含まれる重合開始剤とは、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
また、第2の組成物は、他の成分を溶解または分散する機能を有する溶媒を含むものであるのが好ましい。
溶媒を含むことにより、重合反応をより好適に開始・進行させることができる。また、第1のゲル材料と共存する第2の組成物中の各部位において各構成成分がより均一に存在するものとすることができ、得られる刺激応答性ゲル材料中における不本意な組成のばらつき等を効果的に防止することができる。また、重合反応によりポリマーが合成された際に、反応生成物を好適にゲル状とすることができため、重合反応後にゲル化させる場合に比べて刺激応答性ゲル材料の生産性を優れたものとすることができる。また、重合反応によりポリマーを合成した後に、当該ポリマーを溶媒と混合してゲル化する場合に比べて、刺激応答性ゲル材料の各部位での組成の不本意なばらつきの発生を効果的に防止することができる。
溶媒としては、第1の組成物の構成成分として説明したものを用いることができる。なお、第2の組成物中に含まれる溶媒と、第1の組成物中に含まれる溶媒とは、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
第2の組成物は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、着色剤、スリップ剤(レベリング剤)、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の刺激応答性ゲル材料の製造方法は、第1の重合工程と、第2の重合工程とを有するものであればよく、本発明の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
例えば、第1の重合工程の後や、第2の重合工程の後に、ゲル材料中の溶媒量を調整する工程や、溶媒の少なくとも一部を置換する工程を有していてもよい。
また、本発明の刺激応答性ゲル材料は、前述したような方法を用いて製造されたものに限定されない。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[1]刺激応答性ゲル材料の製造
(実施例1)
容器中において、OH基を有するモノマーとしてのN−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%水溶液:0.8mLと、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%水溶液:0.2mLと、重合開始剤としての下記式(1)で表される化合物の5質量%水溶液:0.2mLとを混合し、さらに、ここに、シリカナノ粒子水分散液(シリカ濃度:40%):0.35mLを少量ずつ添加、撹拌し、第1の混合液を得た。
Figure 2015151427
次に、前記第1の混合液中に、その液量体積の2分の1のイオン交換樹脂を入れ、構造色がでるまでよく撹拌した。
次に、構造色が発現した第1の混合液のみをマイクロピペットで採取することにより、イオン交換樹脂と分離し、別の容器(セプタム蓋容器)へ入れた。
その後、窒素バブリングにより脱気処理を行った。脱気時間は300秒、窒素ガス流量は10mL/分とした。
一方、洗浄処理を行った後、さらに、シランカップリング処理を施した18mm×18mmのガラス板(第1のガラス基板)を用意した。この第1のガラス基板に、厚さ0.1mmのスペーサーを接着し、さらに、このスペーサーを介して、第1のガラス基板よりも大きい第2のガラス基板(20mm×20mm)にも接着させ、セルを作製した。
次に、前記セルをセプタム蓋付き透明容器(ガラス容器)に入れ、窒素ガスを充填した。
次に、構造色が発現した第1の混合液を、ニードル付きシリンジで吸い取り、セプタム蓋を介してニードルによりセル内に注入した。
その後、ニードルをセプタム蓋から抜き取り、蓋をさらにパラフィルムで密閉した。
次に、透明容器内のセルに紫外線(ピーク波長:365nm;ウシオ電機社製SP−7)を照射し、第1の混合液の重合反応を行い、第1のポリマーを合成した。
その後、透明容器よりセルを取り出し純水に浸漬し、水中にて、第1のガラス基板から第2のガラス基板を剥離し、膜状のゲル材料(第1のポリマーと、溶媒と、微粒子とを含む第1のゲル材料)を得た。
上記のようにして得られた第1のゲル材料を、24時間純水に浸漬した後、前記純水から取り出し、エタノール中に浸漬した。
その後、第1のゲル材料をエタノール中から取り出し、余分なエタノールを除去した後、セプタム蓋付き透明容器(ガラス容器)に入れ、第1のゲル材料の面を上にしたまま窒素ガスを充填した。
次に、フェニルボロン酸構造を有するモノマーとしての3−アクリルアミドフェニルボロン酸の40質量%エタノール溶液:0.01mLと、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%エタノール溶液:0.04mLと、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%エタノール溶液:0.02mLと、重合開始剤としての上記式(1)で表される化合物の5質量%エタノール溶液:0.01mLとを混合し第2の混合液とし、当該第2の混合液を、セプタム蓋容器に入れ、窒素バブリングにより脱気処理を行った。脱気時間は300秒、窒素ガス流量は10mL/分とした。
脱気処理を施した第2の混合液(3−アクリルアミドフェニルボロン酸を含む混合液)をニードル付きシリンジで吸い取り、セプタム蓋を介してニードルにより、第1のゲル材料上に全量滴下した。
30分間静置した後、第1のゲル材料の周囲の余分な第2の混合液を除去した。
次に、第1のゲル材料および第2の混合液の入ったセプタム蓋付き透明容器(ガラス容器)に、紫外線(ピーク波長:365nm;ウシオ電機社製SP−7)を照射し、前記第2の混合液の重合反応を行い、第2のポリマーを合成した。これにより、第1のポリマー、第2のポリマー、溶媒および微粒子を含む刺激応答性ゲル材料が得られた。
なお、前記の説明において、特に温度の開示のないものは、室温(25℃)にて行った。
(実施例2〜10)
第1の混合液、第2の混合液の調製に用いる成分の種類、使用量を変更した以外は、前記実施例1と同様にして刺激応答性ゲル材料を製造した。
(比較例1)
第2の混合液を用いることなく、第1のゲル材料をそのまま刺激応答性ゲル材料とした以外は、前記実施例1と同様にして刺激応答性ゲル材料を製造した。すなわち、本比較例では、第2のポリマーを含まないものとして、刺激応答性ゲル材料を製造した。
(比較例2)
容器中において、フェニルボロン酸構造を有するモノマーとしての3−アクリルアミドフェニルボロン酸の40質量%エタノール溶液:0.01mLと、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%エタノール溶液:0.04mLと、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%エタノール溶液:0.02mLと、重合開始剤としての上記式(1)で表される化合物の5質量%エタノール溶液:0.01mLとを混合し、さらに、ここに、シリカナノ粒子水分散液(シリカ濃度:40%):0.35mLを少量ずつ添加、撹拌し、混合液を得た。
次に、前記混合液中に、その液量体積の2分の1のイオン交換樹脂を入れ、構造色がでるまでよく撹拌した。
次に、構造色が発現した混合液のみをマイクロピペットで採取することにより、イオン交換樹脂と分離し、別の容器(セプタム蓋容器)へ入れた。
その後、窒素バブリングにより脱気処理を行った。脱気時間は300秒、窒素ガス流量は10mL/分とした。
一方、洗浄処理を行った後、さらに、シランカップリング処理を施した18mm×18mmのガラス板(第1のガラス基板)を用意した。この第1のガラス基板に、厚さ0.1mmのスペーサーを接着し、さらに、このスペーサーを介して、第1のガラス基板よりも大きい第2のガラス基板(20mm×20mm)にも接着させ、セルを作製した。
次に、前記セルをセプタム蓋付き透明容器(ガラス容器)に入れ、窒素ガスを充填した。
次に、構造色が発現した混合液を、ニードル付きシリンジで吸い取り、セプタム蓋を介してニードルによりセル内に注入した。
その後、ニードルをセプタム蓋から抜き取り、蓋をさらにパラフィルムで密閉した。
次に、透明容器内のセルに紫外線(ピーク波長:365nm;ウシオ電機社製SP−7)を照射し、混合液の重合反応を行い、第1のポリマーを合成した。
その後、透明容器よりセルを取り出し純水に浸漬し、水中にて、第1のガラス基板から第2のガラス基板を剥離し、膜状の刺激応答性ゲル材料を得た。
すなわち、本比較例では、第1のポリマーを含まないものとして、刺激応答性ゲル材料を製造した。
(比較例3)
容器中において、OH基を有するモノマーとしてのN−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%水溶液:0.8mLと、フェニルボロン酸構造を有するモノマーとしての3−アクリルアミドフェニルボロン酸の40質量%エタノール溶液:0.01mLと、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドの10質量%エタノール溶液:0.04mLと、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドの2質量%エタノール溶液:0.22mLと、重合開始剤としての上記式(1)で表される化合物の5質量%エタノール溶液:0.21mLとを混合し、さらに、ここに、シリカナノ粒子水分散液(シリカ濃度:40%):0.39mLを少量ずつ添加、撹拌し、混合液を得た。
次に、前記混合液中に、その液量体積の2分の1のイオン交換樹脂を入れ、構造色がでるまでよく撹拌した。
次に、構造色が発現した混合液のみをマイクロピペットで採取することにより、イオン交換樹脂と分離し、別の容器(セプタム蓋容器)へ入れた。
その後、窒素バブリングにより脱気処理を行った。脱気時間は300秒、窒素ガス流量は10mL/分とした。
一方、洗浄処理を行った後、さらに、シランカップリング処理を施した18mm×18mmのガラス板(第1のガラス基板)を用意した。この第1のガラス基板に、厚さ0.1mmのスペーサーを接着し、さらに、このスペーサーを介して、第1のガラス基板よりも大きい第2のガラス基板(20mm×20mm)にも接着させ、セルを作製した。
次に、前記セルをセプタム蓋付き透明容器(ガラス容器)に入れ、窒素ガスを充填した。
次に、構造色が発現した混合液を、ニードル付きシリンジで吸い取り、セプタム蓋を介してニードルによりセル内に注入した。
その後、ニードルをセプタム蓋から抜き取り、蓋をさらにパラフィルムで密閉した。
次に、透明容器内のセルに紫外線(ピーク波長:365nm;ウシオ電機社製SP−7)を照射し、混合液の重合反応を行い、第1のポリマーを合成した。
その後、透明容器よりセルを取り出し純水に浸漬し、水中にて、第1のガラス基板から第2のガラス基板を剥離し、膜状の刺激応答性ゲル材料を得た。
すなわち、本比較例では、第1のポリマーと第2のポリマーとを含むものの、第2のポリマーが第1のポリマーの網目に入り込んでいないものとして、刺激応答性ゲル材料を製造した。
なお、前記各実施例および各比較例の説明において、特に温度の開示のないものは、室温(25℃)にて行った。
前記各実施例および比較例の刺激応答性ゲル材料の構成等を表1にまとめて示す。なお、表1中、モノマーとしてのN−ヒドロキシエチルアクリルアミドを「H1」、モノマーとしての2−ヒドロキシエチルメタクリレートを「H2」、モノマーとしてのN−ヒドロキシメチルアクリルアミドを「H3」、モノマーとしてのN−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアクリルアミドを「H4」、モノマーとしての3−アクリルアミドフェニルボロン酸を「B1」、モノマーとしてのビニルフェニルボロン酸を「B2」、架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミドを「BA1」で示した。
また、前記各実施例の刺激応答性ゲル材料について、顕微鏡による観察を行ったところ、第1のポリマーと第2のポリマーとの相分離が認められず、これらが微視的に一体化していることが確認されたのに対し、比較例3にかかる刺激応答性ゲル材料では、第1のポリマーと第2のポリマーとの相分離が顕著に認められた。
また、前記各実施例と同様にして製造した刺激応答性ゲル材料について、示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定を行ったところ、独立した状態での第1のポリマーの融点のピーク、独立した状態での第2のポリマーの融点のピークが認められず、第1のポリマーの融点のピークおよび第2のポリマーの融点のピークとは異なる温度に、顕著な融点のピークが確認された。
また、前記各実施例と同様にして製造した刺激応答性ゲル材料について、第1のポリマーのみを溶解し、第2のポリマーの溶解しない有機溶媒としてのトルエン(第1のポリマーの25℃における溶解度が1g/100g以上であり、かつ、第2のポリマーの25℃における溶解度が0.01g/100g以下である)を、刺激応答性ゲル材料:10gに対する添加量が1000gとなるように25℃で添加し、さらにこの温度で十分に撹拌した後に、フィルターとして、デュラポア(Durapore)メンブレンフィルターHVHP04700(milipore社製)を用いた濾過を行い、理論的な抽出液の総量(ろ過時における溶媒の揮発がないものと仮定した場合の抽出液の総量)が、用いた刺激応答性ゲル材料の200倍量(質量基準)となるように、前記溶媒で残渣を洗浄した場合に、抽出液中に含まれる前記溶媒に混合された刺激応答性ゲル材料中に含まれる第1のポリマーおよび第2のポリマーのうち前記溶媒に可溶な成分の含有量(W[g])に対する、抽出液中に含まれる第1のポリマーおよび第2のポリマーのうち前記溶媒に可溶な成分の量(W[g])の割合((W/W)×100)は、いずれも、1質量%以下であった。これに対し、比較例3では、上記のようにして求めた(W/W)×100の値が99質量%以上であった。
これらの結果から、前記各実施例にかかる刺激応答性ゲル材料中において、第2のポリマーが第1のポリマーの網目に入り込んでいることがわかる。これに対し、比較例では、刺激応答性ゲル材料中において、第1のポリマーが第2のポリマーの網目に入り込んでいないことがわかる。
Figure 2015151427
[2]刺激応答性ゲル材料の評価
[2.1]乳酸濃度変化に対するゲル膜の反射スペクトル変化
前記各実施例および比較例において、第1のガラス基板上に作製した膜状の刺激応答性ゲル材料(16mm×16mm)を容器中の純水に浸漬しておいた。
次に、純水から取り出した刺激応答性ゲル材料の余分な水分を除去した後、予め所定の濃度の評価用の乳酸水溶液を満たしておいた直径6cmのプラスチック容器内に入れ、乳酸水溶液に浸漬した。
刺激応答性ゲル材料を乳酸水溶液に5分間静置し、刺激応答性ゲル材料の色変化がなくなり色が安定したことを確認した。
その後、色の安定した刺激応答性ゲル材料について、第1のガラス基板側から測色計測(X−Rite社SpectroEye)を行い、刺激応答性ゲル材料の反射スペクトルデータを取得した。
測色計測終了後、刺激応答性ゲル材料を純水で満たされた容器に移動し、10分間静置することにより、刺激応答性ゲル材料の色変化がなくなり色が安定したことを確認した。
その後、刺激応答性ゲル材料を純水から取り出し、濃度を変更した評価用の乳酸水溶液に刺激応答性ゲル材料を浸漬し、5分間静置し、刺激応答性ゲル材料の色変化がなくなり色が安定したことを確認した。
その後、色の安定した刺激応答性ゲル材料について、前記と同様にして測色計測を行い、刺激応答性ゲル材料の反射スペクトルデータを取得した。
上記のような操作を繰り返し行うことにより、乳酸の濃度が0質量%以上0.70質量%の範囲において、乳酸濃度(X軸)と、刺激応答性ゲル材料の反射光のピーク波長(Y軸)との関係を示すグラフを作成し、グラフの傾きの絶対値(|ΔY/ΔX|)が100[nm/質量%]以上である濃度領域の範囲の幅(以下、「所定感度以上の領域の幅」という)を求め、以下の基準に従い評価した。
A:所定感度以上の領域の幅が0.50質量%以上である。
B:所定感度以上の領域の幅が0.30質量%以上0.50質量%未満である。
C:所定感度以上の領域の幅が0.20質量%以上0.30質量%未満である。
D:所定感度以上の領域の幅が0.15質量%以上0.20質量%未満である。
E:所定感度以上の領域の幅が0.15質量%未満である。
なお、前記の説明において、特に温度の開示のないものは、室温(25℃)にて行い、純水、評価用乳酸水溶液としても25℃のものを用いた。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2015151427
表2から明らかなように、本発明の刺激応答性ゲル材料では、幅広い濃度領域で乳酸濃度(所定の刺激)の検出を容易かつ安定的に行うことができた。また、本発明の刺激応答性ゲル材料では、乳酸の濃度が低い範囲(乳酸の濃度が0質量%以上0.40質量%の範囲)でも十分に優れた感度を有していた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。具体的には、比較例では、乳酸濃度の検出を安定的に行うことができる濃度領域が狭いものであった。また、比較例では、乳酸の濃度が低い範囲(乳酸の濃度が0質量%以上0.40質量%の範囲)での感度が特に劣ったものであった。
本発明の刺激応答性ゲル材料では、前記第2のポリマーが有する前記フェニルボロン酸構造と乳酸とが反応することにより、前記第2の状態となることが好ましい。
また、第1のポリマーと第2のポリマーとの溶解度の違いを利用して、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいるか否かを確認することもできる。より具体的には、例えば、刺激応答性ゲル材料について、第1のポリマー、第2のポリマーの一方のみを溶かす有機溶媒(例えば、第1のポリマー、第2のポリマーのうちの一方の25℃における溶解度(溶媒100gに対して溶解可能な量)が1g/100g以上であり、第1のポリマー、第2のポリマーのうちの他方の25℃における溶解度(溶媒100gに対して溶解可能な量)が0.01g/100g以下である溶媒)が存在する場合、当該有機溶媒を、刺激応答性ゲル材料:10gに対する添加量が1000gとなるように25℃で添加し、さらにこの温度で十分に撹拌した後に、ろ過を行い、さらに、理論的な抽出液の総量(ろ過時における溶媒の揮発がないものと仮定した場合の抽出液の総量)が、用いた刺激応答性ゲル材料の200倍量(質量基準)となるように、前記有機溶媒で残渣を洗浄した場合に、抽出液中に含まれる前記有機溶媒に混合された刺激応答性ゲル材料中に含まれる第1のポリマーおよび第2のポリマーのうち前記有機溶媒に可溶な成分の含有量(W[g])に対する、抽出液中に含まれる第1のポリマーおよび第2のポリマーのうち前記有機溶媒に可溶な成分の量(W[g])の割合((W/W)×100)が、所定値以下(好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下)であることが確認されれば、第1のポリマーの網目に第2のポリマーが入り込んでいると判断することができる。
また、第1のポリマーが備えるOH基と、第2のポリマーが備えるフェニルボロン構造とは、高い反応性を有するものであり、これらが結合した第1の状態を取り得るため、第1のポリマーの網目に、第2のポリマーのポリマー鎖が入り込んだ構造は、容易に崩されず、長期間にわたって安定的に保持される。したがって、長期間にわたって安定的に、所定の刺激の検出を行うことができる。すなわち、刺激応答性ゲル材料の耐久性は優れたものとなる。
本発明の刺激応答性ゲル材料は、第2のポリマーが有するフェニルボロン構造と乳酸とが反応することにより、第2の状態となるものであるのが好ましい。
また、第2のポリマーが有するフェニルボロン構造と乳酸とが反応するものであると、前述したように、第2の状態において、フェニルボロン酸が乳酸と結合した構造をとるが、この構造中に含まれるエステル基は、第1のポリマーが備えるOH基と相互作用する。このため、第2の状態においても、第2のポリマーが第1のポリマーの網目から脱落しにくい状態になっている。したがって、刺激応答性ゲル材料が、第2のポリマーが有するフェニルボロン構造と乳酸とを反応させるものである場合には、刺激応答性ゲル材料の耐久性は、特に優れたものとなる。また、第1のポリマーの網目に第2のポリマーを入れ込ませることで、第2のポリマーの分子鎖を第1のポリマーの分子鎖の極めて近くまで近接させることができるため、第1の状態と第2の状態との間の移行がより好適に行われる。
以下の説明では、刺激応答性ゲル材料が、第2のポリマーが有するフェニルボロン構造と乳酸とが反応することにより第2の状態となるものであり、乳酸の検出、定量に用いられるものである場合について中心的に説明する。
また、第1のポリマーの水酸基価が前記上限値を超えると、刺激応答性ゲル材料の耐久性が低下する
なお、第1のポリマーは、フェニルボロン酸構造を有さないものである。
本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INC製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
微粒子の構成材料としては、シリカ、酸化チタン等の無機材料;ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレンポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の有機材料(ポリマー)等が挙げられるが、微粒子は、シリカ微粒子であるのが好ましい。
また、架橋剤および微粒子としては、刺激応答性ゲル材料の構成成分として説明したのと同様の条件を満足するものを好適に用いることができる。
重合開始剤は、例えば、その重合様式によって、適宜選択することができるが、具体的には、過酸化水素、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等、アゾ系開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1,−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等の紫外光によってラジカルを発生する化合物、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゼンや3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のパーオキシエステルに、チオピリリウム塩、メロシアニン、キノリン、スチリルキノリン系色素を混合した物質等の360nm以上の波長の光によってラジカルを発生する化合物等が挙げられる。また、過酸化水素あるいは過硫酸塩は、例えば、亜硫酸塩、L−アスコルビン酸等の還元性物質やアミン塩等を組み合わせてレドックス系の開始剤としても使用することができる。
また、第2のモノマーとしてフェニルボロン酸構造を有するモノマーを用いることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、前述したように、第1のポリマーが備えるOH基と、フェニルボロン構造とは、高い親和性を有するものである。このため、本工程において、第2のモノマーとしてフェニルボロン酸構造を有するモノマーを用いることにより、重合反応開始前に容易かつ確実に、第2のモノマーが第1のポリマーが備えるOH基に接近した状態、特に、第2のモノマーが第1のポリマーの網目に入り込んだ状態を、とらせることができる。したがって、重合反応により得られる第2のポリマーが、第1のポリマーの網目に入り込んだ状態を、容易かつ確実に得ることができる。
また、第2の組成物は、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、本工程において、重合反応を好適に開始・進行させることができる。
これらの結果から、前記各実施例にかかる刺激応答性ゲル材料中において、第2のポリマーが第1のポリマーの網目に入り込んでいることがわかる。これに対し、比較例では、刺激応答性ゲル材料中において、第2のポリマー第1のポリマーの網目に入り込んでいないことがわかる。
上記のような操作を繰り返し行うことにより、乳酸の濃度が0質量%以上0.70質量%以下の範囲において、乳酸濃度(X軸)と、刺激応答性ゲル材料の反射光のピーク波長(Y軸)との関係を示すグラフを作成し、グラフの傾きの絶対値(|ΔY/ΔX|)が100[nm/質量%]以上である濃度領域の範囲の幅(以下、「所定感度以上の領域の幅」という)を求め、以下の基準に従い評価した。
表2から明らかなように、本発明の刺激応答性ゲル材料では、幅広い濃度領域で乳酸濃度(所定の刺激)の検出を容易かつ安定的に行うことができた。また、本発明の刺激応答性ゲル材料では、乳酸の濃度が低い範囲(乳酸の濃度が0質量%以上0.40質量%以下の範囲)でも十分に優れた感度を有していた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。具体的には、比較例では、乳酸濃度の検出を安定的に行うことができる濃度領域が狭いものであった。また、比較例では、乳酸の濃度が低い範囲(乳酸の濃度が0質量%以上0.40質量%以下の範囲)での感度が特に劣ったものであった。

Claims (10)

  1. OH基を備え、網目構造を有する第1のポリマーと、
    フェニルボロン酸構造を有する第2のポリマーと、
    平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微粒子と、
    溶媒とを含み、
    前記第1のポリマーの網目に、前記第2のポリマーのポリマー鎖が入り込んでいることを特徴とする刺激応答性ゲル材料。
  2. 前記第1のポリマーが有する前記OH基と前記第2のポリマーが有する前記フェニルボロン酸構造とが結合した第1の状態と、
    前記第1のポリマーが有する前記OH基と前記第2のポリマーが有する前記フェニルボロン酸構造との結合が解除された第2の状態とを取り得、
    前記第1の状態と前記第2の状態とで、反射光の波長が異なる請求項1に記載の刺激応答性ゲル材料。
  3. 前記第2のポリマーは、網目構造を有するものである請求項1または2に記載の刺激応答性ゲル材料。
  4. 前記第1のポリマーが有する前記OH基と乳酸とが反応することにより、前記第2の状態となる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の刺激応答性ゲル材料。
  5. 前記第1のポリマーは、構成成分として、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを含むものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の刺激応答性ゲル材料。
  6. 前記第2のポリマーは、構成成分として、アクリルアミドフェニルボロン酸を含むものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の刺激応答性ゲル材料。
  7. 前記第1のポリマーの含有率をX[質量%]、前記第2のポリマーの含有率をX[質量%]としたとき、0.2≦X/X≦8の関係を満足する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の刺激応答性ゲル材料。
  8. 前記溶媒として水を含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の刺激応答性ゲル材料。
  9. 第1のモノマー、架橋剤および平均粒子径が10nm以上1000nm以下の微粒子を含む第1の組成物を用いて重合反応を行うことにより、前記第1のモノマーおよび前記架橋剤を構成成分として含み、OH基を備え網目構造を有する第1のポリマーを合成し、前記第1のポリマーと前記微粒子とが混合されてなる第1のゲル材料を得る第1の重合工程と、
    前記第1のゲル材料の存在下、第2のモノマーを含む第2の組成物を重合させ、第2のポリマーを得る第2の重合工程とを有することを特徴とする刺激応答性ゲル材料の製造方法。
  10. 前記第2の組成物は、架橋剤を含むものである請求項9に記載の刺激応答性ゲル材料の製造方法。
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