JP2014077102A - 有機無機複合体膜、及びその製造方法 - Google Patents

有機無機複合体膜、及びその製造方法 Download PDF

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愼治 加藤
Shin Ogasawara
伸 小笠原
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Abstract

【課題】金属含有量が高く、簡便に調製することのできる多孔性樹脂からなる有機無機複合体膜を提供することであり、且つ、クロスカップリング反応を含む有機合成反応に対して高活性・高耐久性で、反応系内に漏出する金属量の少ない不溶性固体触媒として機能する有機無機複合体膜、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)の重合体(P)と金属ナノ粒子との複合体であって、その表面が撥水性を示すことを特徴とする有機無機複合体膜により上記課題を解決した。
【選択図】図1

Description

本発明は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)の重合体(P)と金属ナノ粒子とにより形成される有機無機複合体膜に関し、特に、その表面が撥水性を示し、且つ、繰り返し使用可能な不溶性固体触媒として機能する有機無機複合体膜、及びその製造方法に関する。
パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、およびレニウムなどの遷移金属を含む触媒による化学反応は、炭素−炭素カップリング反応に代表されるように、今日の有機合成において最も重要な触媒反応であると認識されている。これらの遷移金属触媒を用いた反応系では、通常は遷移金属触媒が反応溶液中に溶解した均一系触媒として使用される。しかしながら、一般にこれらの遷移金属触媒は高価であるため、繰り返しての使用が求められる。均一系触媒では、反応溶液中に触媒が溶解しているため、反応後触媒を溶液から分離、回収することが容易ではない。したがって、遷移金属触媒を不溶性固体に担持させた状態で使用する不均一系触媒を用いることが検討されている。
遷移金属触媒を担持する固定化担体として、合成樹脂からなる多孔性フィルムも用いられる。フィルム状担体を用いることにより、マイクロチャネルなどのフローリアクタの調製が可能であり、ハイスループット触媒系の構築への展開が期待され注目されている。ポリエチレンフィルムやテトラフルオロエチレンフィルム、塩化ビニル樹脂フィルム等、多孔質化した樹脂の触媒固定化担体への応用は公知である。触媒の固定化は、合成樹脂中に触媒を混合、含有させ、これをフィルム化するか、又はシリカゲル、ゼオライト、活性炭等の担体表面に触媒を導入し、これを樹脂に混合、含有させフィルム化するか、合成樹脂フィルムの表面に触媒を加圧、加熱圧着して担持する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
触媒は重量当たりの反応活性が高いほど好ましい、このためフィルム状触媒においては空孔率を上げると共に、より薄くして形成することが望ましい。ところが、フィルム状触媒の空孔率を上げたり、その厚さを薄くすると、機械的強度の低下を引き起こし、破損のおそれや取り扱い性などに問題が出てくる。
このため、触媒分散溶液を金属などの支持体上に塗布、乾燥して触媒層を形成したり、
さらに形状加工して、固定床方式に最適なハニカム構造体に加工したりする触媒の製造方
法も提案されている(特許文献2)。
また、極性有機溶媒に可溶なフッ素樹脂からなる触媒担体と、触媒活性を有する粒子とを繊維基材で補強することによって、触媒活性層を薄く形成しても取扱性に支障をきたすことなく、また触媒特性層の厚さや活性成分の分布が均一な触媒担持フィルムが得られることも報告されている。フッ素樹脂は、繊維基材中に含浸させることができるし、一方、フィルム状を成し繊維基材の少なくとも一方の主面に被着させることができる(特許文献3)。
特許文献4では、本発明者らは、ビニル基を導入したデンドリマーまたはポリエチレンイミンを含む重合性組成物をパラジウムなどの金属塩と混合させ、重合反応を行わせることにより、相分離現象を利用して簡便に小粒径の結晶性Pdナノ粒子が担持された多孔性樹脂粉体を得ることができることを報告している。この触媒は金属含有量が高く、クロスカップリング反応に対して高い活性を示し、また容易に回収・再利用が可能であることが示されている。
特開平1−110541号公報 特開2008−110341号公報 特開2011−554号公報 特開2010−70753号公報
上記の先行文献で報告された多孔性樹脂フィルムを担体として用いた遷移金属触媒は、1)樹脂フィルムを多孔質化する際に工数がかかる、2)フィルム厚さの均一性や遷移金属成分の分布の制御が困難となる、3)触媒として用いた際に反応系内に遷移金属が容易に漏出する、などの欠点を有していた。
本発明が解決しようとする課題は、金属含有量が高く、簡便に調製することのできる多孔性樹脂からなる有機無機複合体膜を提供することであり、且つ、クロスカップリング反応を含む有機合成反応に対して高活性・高耐久性で、反応系内に漏出する金属量の少ない不溶性固体触媒として機能する有機無機複合体膜、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは種々検討した結果、エネルギー線の照射による重合相分離現象を利用することにより、多孔性樹脂フィルム中に金属ナノ粒子を担持させた有機無機複合体膜を簡便に調製することができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
1.エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)の重合体(P)と金属ナノ粒子との複合体であって、その表面が撥水性を示すことを特徴とする有機無機複合体膜、
2.前記重合性組成物(A)が、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)を含むことを特徴とする1.記載の有機無機複合体膜、
3.前記重合性化合物(a)が、
(1)3級アミノ基及び反応性官能基(Q)を有するデンドリマー(a1)、又は反応性官能基(Q)を有するポリエチレンイミン(a2)と、
(2)該反応性官能基(Q)と反応可能な反応性官能基(Q)と、ビニル基とを有する化合物(a3)と、
を反応して得た化合物である2.記載の有機無機複合体膜、
4.前記反応性官能基(Q)が、1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基又はカルボキシ基であり、前記反応性官能基(Q)が、イソシアナト基、エポキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基、カルボキシ基又はハロゲン化アシル基である3.記載の有機無機複合体膜、
5.前記デンドリマー(a1)が、式(1)
Figure 2014077102
(式(1)中、xは1〜10の整数である。)
又は式(2)
Figure 2014077102
(式(2)中、yは1〜10の整数である。)
で表される構造を繰り返し単位とする1.〜4.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜、
6.前記金属ナノ粒子がパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、及びレニウムから選択される1種以上からなる金属ナノ粒子である1.〜5.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜、
7.触媒として使用する1.〜6.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜、
8.クロスカップリング反応触媒として使用する7.に記載の有機無機複合体膜、
9.エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)、金属化合物(b)、及びこれらと相溶するが該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解又は膨潤させない溶剤(M)とを混合した膜形成用組成物(X)を製造する工程、
該膜形成用組成物(X)の層を形成する工程、
エネルギー線の照射により該膜形成用組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させると同時に金属化合物(b)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、溶剤(M)を除去する工程、
を含むことを特徴とする1.〜6.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法、
10.9.に記載の各工程を行なった後得られた有機無機複合体膜を、還元剤(c)を含む溶液(H)に接触させ、その後、該有機無機複合体膜を溶液(H)から分離する工程を行なう有機無機複合体膜の製造方法、
11.エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)、及びこれらと相溶するが該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解又は膨潤させない溶剤(N)とを混合した膜形成用組成物(Y)を製造する工程、
該膜形成用組成物(Y)の層を形成する工程、
エネルギー線の照射により該膜形成用組成物(Y)中の重合性化合物(A)を重合させ、その後、溶剤(N)を除去する工程、
前記重合体(P)を、金属化合物(b)を含む溶液(I)に接触させることにより金属化合物(b)を重合体(P)に吸着させ、その後、重合体(P)を溶液(I)から分離する工程、
前記金属化合物(b)を含む重合体(P)を、還元剤(c)を含む溶液(H)に接触させることにより金属化合物(b)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、生成した金属ナノ粒子を含む重合体(P)を溶液(H)から分離する工程、
を順次行なうことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法、
12.前記溶剤(M)又は(N)が、分子量が500以下であり、且つ25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下の化合物であることを特徴とする9.〜11.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法、
13.前記溶剤(M)又は(N)が、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)で表される化合物、及び炭素数10〜22の分岐していてもよいアルカンからなる群から選ばれる1種以上の溶剤であることを特徴とする9.〜12.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法、
Figure 2014077102
(式(3)中、Rは炭素数が7〜19の分岐していてもよいアルキル基、又はベンジル基、Rはメチル基、又はエチル基である。)
Figure 2014077102
(式(4)中、Rはメチル基、又はエチル基、Rは炭素数8〜20の分岐していてもよいアルキル基、又はベンジル基である。)
Figure 2014077102
(式(5)中、R〜R10は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。
Figure 2014077102
(式(6)中、R11及びR12は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
14.膜形成用組成物(X)中に、重合性組成物(A)、金属化合物(b)、及び溶剤(M)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(B)を含有することを特徴とする9.、10.、12.、13.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
15.膜形成用組成物(Y)中に、重合性組成物(A)、及び溶剤(N)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(C)を含有することを特徴とする11.〜13.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法、
16.前記ポリマー(B)又はポリマー(C)が、アクリル系共重合体又はスチレン系共重合体である14.又は15.に記載の有機無機複合体膜の製造方法、
17.前記ポリマー(B)又はポリマー(C)の分子量が、10,000〜1,000,000の範囲にある14.〜16.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法、
18.膜表面における水との接触角が150°以上である超撥水性膜を製造する9.〜17.のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法、を提供するものである。
本発明は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物、特に、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物を含有する重合性組成物を重合させた重合体中に金属ナノ粒子を生成させるため、金属含有量の高い有機無機複合体膜を簡便な製造方法により提供できる。また、反応性官能基として少なくともアミノ基を有するデンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)の誘導体化により調製した重合性化合物を含む重合性組成物と、金属化合物を混合し、重合反応と同時に金属の還元反応を行うことにより、金属ナノ粒子を含有する有機無機複合体膜を簡便に製造できる。このような有機無機複合体膜を用いることにより、ハロゲン化アリール類のカップリング反応などの有機合成反応に対して、活性が高く、且つ、反応系中への金属漏出の少ない触媒を提供できる。また、本発明の方法により製造した有機無機複合体膜は表面撥水性を示すことが特徴であり、水系有機合成反応において反応原料の膜中への取り込みが促進され、活性の高い触媒を提供できる。
実施例1で得られた有機無機複合体膜[P−1]の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた有機無機複合体膜[P−1]表面における水滴写真である。 実施例1で得られた有機無機複合体膜[P−1]の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られた有機無機複合体膜[PR−1]表面における水滴写真である。 比較例1で得られた有機無機複合体膜[PR−1]の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための要部について説明する。
[有機無機複合体膜の構造]
本発明の有機無機複合体膜は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)の重合体(P)と金属ナノ粒子との複合体であって、その表面が撥水性を示すことを特徴とする。
なお、撥水性材料の技術分野では、学術上、技術上の明確な区別、及び定義はないが、一般的に、水接触角がおよそ150°以上の表面を超撥水性表面といい、およそ120〜150°の範囲の水接触角を示す表面を高撥水性表面といい、およそ90〜120°の範囲の水接触角を示す表面を通常の撥水性表面と区別している。
本明細書では、上記の一般的な区別を採用し、水接触角が150°以上の表面を「超撥水性」表面と定義し、120°以上〜150°未満の範囲の水接触角を示す表面を「高撥水性」表面と定義し、90°〜120°未満の範囲の水接触角を示す表面を「通常の撥水性」表面と定義し、表記する。但し、単に「撥水性表面」と記載した場合は、「超撥水性表面」、「高撥水性表面」及び「通常の撥水性表面」の全てを含むものとする。
本発明に用いられるエネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)は、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)を含むことが好ましい。アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)としては、エネルギー線の照射により重合が進行すれば、任意の化合物であって良い。ただし、この中で、ラジカル重合性を有する化合物が好ましく用いられ、ビニル基としては、(メタ)アクリロキシ基、または(メタ)アクリルアミド基が好ましく選択される。アミノ基、イミノ基、ウレア結合及びアミド結合は、有機無機複合体中において、金属との相互作用部位として作用する。アミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、及び、3級アミノ基が任意に用いられるが、3級アミノ基が金属との相互作用以外の副反応を起こしにくいため、好ましく用いられる。そのような重合性化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
イミノ基を有する重合性化合物の合成法に制限はないが、1級アミノ基又は2級アミノ基とビニル基を有する重合性化合物に、アルデヒド基を有する化合物又はケトン化合物を反応させて合成する手法が好ましく用いられる。1級アミノ基又は2級アミノ基とビニル基を有する重合性化合物としては、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルデヒド基を有する化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、2−ブタノン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどが挙げられる。
ウレア結合を有する重合性化合物の合成法に制限はないが、イソシアナト基とビニル基を有する重合性化合物に、1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物を反応させて合成する手法が好ましく用いられる。イソシアナト基とビニル基を有する重合性化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが挙げられる。1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物としては、特に制限はないが、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミンなどのアルキル鎖を有するモノアミン化合物や、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ドデシレンジアミンなどのアルキレン基を有するジアミン化合物が好ましく用いられる。また、1級アミノ基又は2級アミノ基とビニル基を有する重合性化合物に、イソシアナト基を有する化合物を反応させて合成する手法も好ましく用いることができる。1級アミノ基又は2級アミノ基とビニル基を有する重合性化合物としては、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。イソシアナト基を有する化合物としては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネートなどのアルキル鎖を有するモノイソシアネート化合物や、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキシレンジイソシアネート、ドデシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのアルキレン基を有するジイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
また、1級アミノ基又は2級アミノ基と、3級アミノ基を併せ持つ化合物を用いてイソシアナト基を持つ重合性化合物を反応させると、3級アミノ基とウレア結合を併せ持つ重合性化合物を得ることができる。これらは、本発明において、好ましく用いることができる。そのような例として、アミノ基を有する化合物として、N,N−ジメチルエチレンジアミンやトリス(2−アミノエチル)アミンを用いて、イソシアナト基を有する重合性化合物と反応させて調製した重合性化合物が挙げられ、特に、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応させ調製した化合物は有効に用いられる。
前記のウレア結合を含む重合性化合物の合成反応は、例えば、反応に用いる化合物両者を溶剤に溶解し、混合、接触させることにより行うことができる。必要に応じて、触媒を用いることができる。無触媒で反応を行う場合は、反応生成物を溶剤から単離せずに、そのまま後続の有機無機複合体膜の調製に用いることができる。触媒を用いて前記反応を行った場合は、反応生成物を精製、単離した後、有機無機複合体の調製に用いる。
アミド結合を有する重合性化合物としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、N−secブチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましく用いられる。また、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸などのカルボキシ基を有する重合性化合物に、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミンなどのアルキル鎖を有するモノアミン化合物や、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ドデシレンジアミンなどのアルキレン基を有するジアミン化合物を反応させて合成した化合物も用いることができる。また、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレートなどの1級アミノ基を有する重合性化合物に、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、アジピン酸などのカルボキシを有する化合物を反応させて用いることができる。
また、本発明の有機無機複合体膜は、前記アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)が、3級アミノ基及び反応性官能基(Q)を有するデンドリマー(a1)、又は反応性官能基(Q)を有するポリエチレンイミン(a2)と、該反応性官能基(Q)と反応可能な反応性官能基(Q)と、ビニル基とを有する化合物(a3)とを反応して得た化合物であることも望ましい。
デンドリマーとは樹状分岐状の分子であり、分岐の中心であるコアより規則的に逐次分岐された、単分散の分子量を有する分子の総称である。本発明に用いるデンドリマー(a1)は、3級アミノ基及び反応性官能基(Q)を有し、且つ、前記定義のデンドリマーに含まれる分子であれば、特に限定はない。例えば、G.R.Newkome,C.N. Moorefield,F.Vogtle著「Dendrimers and Dendrons:Concepts,Syntheses,Applications」(2001年、Wiley−VCH発行)、J.M.J.Frechet,D.A.Tomalia著「Dendrimers and Other Dendritic Polymers(Wiley Series in Polymer Science)」(2002年、John Wiley & Sons発行)などの文献に記載のデンドリマーを基本構造とする化合物が用いられる。ただし、式(1)で表されるアミドアミン構造、または、式(2)で表されるプロピレンイミン構造を繰り返し単位とするデンドリマーが、好ましく用いられる。
Figure 2014077102
(式(1)中、xは1〜10の整数である。)
Figure 2014077102
(式(2)中、yは1〜10の整数である。)
前記デンドリマーは、試薬として市販されているものを用いることができる。また、適宜、目的に応じて、合成して用いることができる。
試薬として市販されているものとしては、例えば、下記式(7)で表されるアルドリッチ社製ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーのエチレンジアミンコア第3世代(製品コード412422)、下記式(8)で表される第4世代(製品コード412449)、下記式(9)で表される1,6−ジアミノヘキサンコア第4世代(製品コード596965)、下記式(10)で表されるシスタミンコア第4世代(製品コード648043)、下記式(11)で表される水酸基末端を有するエチレンジアミンコア第4世代(製品コード477850)、下記式(12)で表されるカルボン酸末端を有するエチレンジアミンコア第3.5世代のナトリウム塩(製品コード412430)、下記式(13)で表されるポリプロピレンイミンデンドリマー第1世代(製品コード460699)等がある。
Figure 2014077102
Figure 2014077102
Figure 2014077102
Figure 2014077102
Figure 2014077102
Figure 2014077102
Figure 2014077102
式(1)で表されるアミドアミン構造のデンドリマー(a1)の合成方法に特に制限はないが、例えば、特開平7−267879号公報、および、特開平11−140180号公報に記載の方法を用いることができる。まず、コアとなる1級アミノ基を有する化合物に対し、そのアミノ基に2当量のメチルアクリレートを作用させ、マイケル付加反応により、窒素分岐部を有し、且つ、メチルエステル部位を有する化合物へと変換する。次に、メチルエステル部位に対し、1級アミノ基を有するジアミン化合物の一方を反応させてアミド結合を生成し、他方の1級アミノ基を末端に残す。その後、これらのマイケル付加反応とアミド結合生成反応を交互に、任意の回数行うことにより、アミドアミン構造のデンドリマー(a1)を合成することができる。
式(2)で表されるプロピレンイミン構造のデンドリマー(a1)の合成方法に特に制限はないが、例えば、WO−A93/14147号公報、および、WO−A95/2008号公報に記載の方法を用いることができる。まず、コアとなる1級アミノ基を有する化合物に対し、アクリロニトリルを作用させてシアノエチル化する。次に、ニトリル基を触媒の存在下、水素またはアンモニアを用いて1級アミノ基に還元する。その後、これらのシアノエチル化反応とニトリル基の還元反応を交互に、任意の回数行うことにより、プロピレンイミン構造のデンドリマー(a1)を合成することができる。
デンドリマー(a1)のコア構造は、特に限定はないが、アンモニア、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,12−ジアミノドデカン、シスタミンの残基を利用したコア構造が好ましい。
デンドリマーの末端に結合する反応性官能基(Q)は、末端に結合していることが好ましい。そして、後述するビニル基を有する化合物(a3)に含まれる反応性官能基(Q)と反応して、アミノ基及びビニル基を有する重合性化合物(a)を与えることができれば特に制限はないが、1級または2級のアミノ基、水酸基、または、カルボキシ基であることが好ましい。中でも、化学反応性の高さ、および、反応の多様性より、1級または2級のアミノ基が特に好ましい。
デンドリマー(a1)の分子量は300以上が好ましく、特に、1000〜10万が好ましい。本発明の有機無機複合体膜を触媒として用いる際、前記分子量が300以下であると、デンドリマー(a1)内部の空間を利用するのに不利である。
本発明の有機無機複合体膜の調製に用いられるポリエチレンイミン(a2)は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。前記ポリエチレンイミン(a2)は、試薬として市販されているものを用いることができる。また、適宜、目的に応じて、市販されているポリエチレンイミン(a2)の末端基を変換して用いることもできるし、また、ポリエチレンイミン(a2)を合成して用いることができる。ポリエチレンイミン(a2)の合成方法に特に制限はないが、例えば、オキサゾリン類のカチオン重合により得たアミド結合を繰り返し単位に有するポリマーを、加水分解して得ることができる。
ポリエチレンイミン(a2)の反応性官能基(Q)は、末端に結合していることが好ましい。そして、後述するビニル基を有する化合物(a3)に含まれる反応性官能基(Q)と反応して、アミノ基及びビニル基を有する重合性化合物(a)を与えることができれば特に制限はないが、1級または2級のアミノ基、水酸基、または、カルボキシ基であることが好ましい。中でも、化学反応性の高さ、および、反応の多様性より、1級または2級のアミノ基が特に好ましい。
ポリエチレンイミン(a2)の重量平均分子量は200以上が好ましく、特に、1000〜10万が好ましい。本発明の有機無機複合体膜を触媒として用いる際、前記重量平均分子量が200以下であると、ポリマー内でポリエチレンイミン(a2)が形成する空間が小さくなり、触媒反応を行うのに不利である。
3級アミノ基含有デンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)が有する反応性官能基(Q)と反応可能な反応性官能基(Q)とビニル基とを有する化合物(a3)としては、デンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)と反応して、アミノ基及びビニル基を有する重合性化合物(a)を与えることができれば、ラジカル重合性、アニオン重合性、またはカチオン重合性等、任意の化合物であって良い。ただし、この中で、ラジカル重合性を有する化合物が好ましく用いられ、重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、または(メタ)アクリルアミド基が好ましく選択される。
また、本発明に用いられる前記反応性官能基(Q)とビニル基を有する化合物(a3)としては、イソシアナト基、エポキシ基、1級または2級アミノ基、水酸基、カルボキシ基、またはカルボン酸塩化物単位を有するビニル基とを有する化合物(a3)が挙げられる。中でも、1級または2級のアミノ基を反応性官能基(Q)として有するデンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)と反応させる場合、イソシアナト基、またはエポキシ基を有し、且つビニル基を有する化合物(a3)、特にイソシアナト基を有し、且つビニル基を有する化合物(a3)が、反応性が高いため好ましく用いられる。
そのような化合物(a3)を例示すると、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートの如きイソシアナト基を有する化合物、グリシジル(メタ)アクリレートの如きエポキシ基を有する化合物、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチル(メタ)アクリレートの如きアミノ基を有する化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの如き水酸基を有する化合物、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、(メタ)アクリル酸の如きカルボキシ基を有する化合物、及び、(メタ)アクリル酸塩化物の如き酸塩化物等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
デンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)と、前記化合物(a3)との反応は、例えば、反応に用いる化合物両者を溶剤に溶解し、混合、接触させることにより行うことができる。必要に応じて、触媒を用いることができる。無触媒で反応を行う場合は、反応生成物を溶剤から単離せずに、そのまま後続の有機無機複合体膜の調製に用いることができる。触媒を用いて前記反応を行った場合は、反応生成物を精製、単離した後、有機無機複合体膜の調製に用いる。
前記反応において、得られる重合性化合物(a)が、アミノ基及びビニル基を有していれば、任意の割合において、デンドリマー(a1)またはポリエチレンイミン(a2)に含まれる反応性官能基(Q)と、ビニル基を有する化合物(a3)に含まれる反応性官能基(Q)を、反応溶液中に仕込むことができる。ただし、金属配位性官能基として作用するアミノ基が少ないとポリマー中の金属含有量が少なくなるため、重合性化合物1分子中にアミノ基を4個以上有することが好ましく、8個以上有することが特に好ましい。また、重合性化合物1分子中にビニル基を多く有すると、重合性組成物中に添加する共重合成分の量を減じることができ、これにより、ポリマー中の相対的アミノ基含有量を増加することができる。したがって、重合性化合物1分子中にビニル基を4個以上有することが好ましく、6個以上有することが特に好ましい。
有機無機複合体膜のアミノ基含有量は、0.01mmol/g〜9.00mmol/gの範囲にあることが好ましく、0.1mmol/g〜9.0mmol/gの範囲にあることが特に好ましい。
本発明の有機無機複合体膜に含まれる金属ナノ粒子は、第一遷移元素、第二遷移元素、第三遷移元素、または、第四遷移元素のいずれかに含まれる元素から選択される1種以上の元素からなる粒子である。ただし、第二遷移元素、または、第三遷移元素に含まれる元素から選択される1種以上の元素からなる粒子が好ましく、その中でも、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、及びレニウムから選択される1種以上である元素からなる粒子が特に好ましい。有機無機複合体膜中の金属含有量は、0.01mmol/g〜5.00mmol/gの範囲にあることが好ましく、0.05mmol/g〜5.00mmol/gの範囲にあることが特に好ましい。金属ナノ粒子の平均粒径は、0.1〜100nmの範囲が好ましく、0.5〜10nmの範囲が特に好ましい。
本発明の有機無機複合体膜が多孔質体である場合、多孔質体の形状は、凝集粒子状又は網目状、孔状などの構造であり、その平均孔径が0.001〜10μmの範囲にあるものが望ましい。また、深さ方向に構造が変化する傾斜構造も形成しうる。多くの利用分野において、表面の孔径が大きく、深くなるほど孔径が小さくなる傾斜構造が好ましい。多孔質体は、その比表面積が5〜2000m/gの範囲にあることを特徴とするが、多孔質体を触媒反応に用いる場合は、50〜2000m/gの範囲にあることが好ましい。
本発明の有機無機複合体膜の膜厚は0.05〜100μmの範囲が好ましく、0.1〜10μmの範囲が特に好ましい。膜厚が0.05μmよりも薄い場合、触媒として用いる場合、その性能が低下する傾向にあるので好ましくない。なお、有機無機複合体膜の膜厚は、走査型電子顕微鏡を用いて、その断面の顕微鏡観察により測定することができる。
[有機無機複合体膜の製造方法]
本発明の製造方法では、「超撥水性」、「高撥水性」及び「通常の撥水性」表面を有する有機無機複合体膜の製造まで、原料の選択、配合量の調整、製膜条件の調整等で制御可能であるが、特に、「超撥水性」、及び「高撥水性」表面を有する膜の製造に適しており、「超撥水性」表面を有する膜の製造に最も適している。したがって、以下では超撥水性表面を有する有機無機複合体膜の製造方法を主体に説明を行う。
本発明の有機無機複合体膜の製造は、下記の3つの方法によって行うことができる。
第1の方法は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)、金属化合物(b)、及びこれらと相溶するが該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解又は膨潤させない溶剤(M)とを混合した膜形成用組成物(X)を調製し、該組成物(X)の層を形成させ、エネルギー線の照射により該組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させると同時に金属化合物(b)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、溶剤(M)を除去することにより有機無機複合体膜を製造する方法である(工程(α−1))。
第2の方法は、第1の方法で示した工程(α−1)を行った後、得られた有機無機複合体膜を還元剤(c)を含む溶液(H)に接触させ、その後、該有機無機複合体膜を溶液(H)から分離する工程(α−2)を行なう方法である。
第3の方法は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)、及びこれらと相溶するが該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解又は膨潤させない溶剤(N)とを混合した膜形成用組成物(Y)を調製し、該組成物(Y)の層を形成させ、エネルギー線の照射により該組成物(Y)中の重合性化合物(A)を重合させ、その後、溶剤(N)を除去する工程(α−3)、前記重合体(P)を、金属化合物(b)を含む溶液(I)に接触させることにより金属化合物(b)を重合体(P)に吸着させ、その後、重合体(P)を溶液(I)から分離する工程(α−4)、
前記金属化合物(b)を含む重合体(P)を、還元剤(c)を含む溶液(H)に接触させることにより金属化合物(b)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、生成した金属ナノ粒子を含む重合体(P)を溶液(H)から分離する工程(α−5)、を順次行なう方法である。
有機無機複合体膜を製造する第1〜第3の方法について、詳細に説明する。
<第1の方法>
この方法では、組成物(X)中、重合性組成物(A)の重合により生成した重合体(P)と溶剤(M)が部分的に相溶するか、又は非相溶となり、重合体(P)と溶剤(M)とが相分離状態を生じ、重合体(P)内部や重合体(P)間に溶剤(M)が取り込まれた状態になる。この溶剤(M)を除去することにより、溶剤(M)が占めていた領域が孔となり、膜表面に微細凹凸構造が誘起され撥水性の有機無機複合体膜を形成できる。
重合性組成物(A)は、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)を含むことが望ましく、それと共重合して共重合体(P)を形成しうる他の重合性化合物(a’)を含有して構成する。アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)は単独で、または、2種類以上を混合して用いることができる。アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)としては、前記した重合性化合物等を用いることができる。
アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)と共重合して共重合体(P)を形成しうる他の重合性化合物(a’)としては、重合開始剤の存在下または非存在下でエネルギー線の照射により重合するものであり、ビニル基を有するものが好ましく、なかでも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物が好ましい。また、硬化後の強度も高くできることから、重合して架橋重合体を形成する化合物であることが好ましい。そのために、1分子中に2つ以上のビニル基を有する化合物であることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル系化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−イソシアナト−2−メチルプロピルジ(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドなどの2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能モノマーが挙げられる。
また、分子鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合性のオリゴマーとして、重量平均分子量が500〜50,000のものが挙げられ、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールA骨格を有するポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂などが挙げられる。
以上挙げた重合性化合物および重合性オリゴマーの中でも、疎水性が高く、且つ、重合後に架橋密度が高く、表面微細構造の発達したポリマー膜を与えやすいという観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
また、重合性化合物(a’)としては、ビニル基を1つ有する単官能重合性化合物、特に、ビニル基を1つ有する(メタ)アクリル化合物などを用いることができる。ただし、単官能重合性化合物は、2官能以上の重合性化合物とともに用いることが好ましい。
ビニル基を1つ有する(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸アクリレート、ω−カルボキシカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、塩素置換アルキル(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート、スルホン酸−2−メチルプロパン−2−アクリルアミド、燐酸エステル基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルクロライド、(メタ)アクリルアルデヒド、スルホン酸エステル基含有(メタ)アクリレート、シラノ基含有(メタ)アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモニウム基含有(メタ)アクリレート、(N−アルキル)アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ポリジメチルシロキサン鎖含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの単官能重合性化合物の中でも、疎水性を高め、且つ、粘度調節を行う目的で、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが、また、重合後膜表面に偏在し、表面の自由エネルギーを低下させる目的で、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン鎖含有(メタ)アクリレートなどが好ましく用いられる。
金属化合物(b)は、第一遷移元素、第二遷移元素、第三遷移元素、または、第四遷移元素のいずれかに含まれる元素からなる塩、例えば、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、フッ素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、酢酸塩、アセチルアセトナト塩、シュウ酸塩、グルコン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等が好ましく利用できる。中でも、第二遷移元素、または、第三遷移元素に含まれる元素からなる塩が好ましく、その中でも、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、及びレニウムから選択される元素からなる塩が特に好ましい。また、これらの遷移金属の塩素酸塩、酢酸塩、及び硝酸塩が好ましく利用できる。これらの遷移金属化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
重合性組成物(A)と金属化合物(b)を混合して調製する組成物(X)において、重合性組成物(A)中のアミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、金属化合物(b)中の遷移金属が配位結合を形成して、重合性化合物(a)中に金属化合物(b)を取り込むことができる。
溶剤(M)は、以下に示す化合物を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。溶剤(M)は、重合性化合物(A)の重合プロセスにおいては、基材上にとどまり、且つ、重合性化合物(A)の重合後は主に溶剤洗浄により除去される。溶剤(M)は重合性化合物(A)および金属化合物(b)とは相溶するが、重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性であり、また、分子量が500以下であり、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下の液体状又は固体状の化合物であれば、特に制限はない。ただし、分子量に関しては、300以下であることが、より好ましい。また、溶剤(M)に含まれる化合物が疎水性の高い化合物であることは、重合体ポリマー(P)と相分離状態を形成した際、表面近傍に存在し、除去後、膜表面に微細凹凸構造が誘起され超撥水性膜を形成しやすいため好ましい。
そのような要件を満たし、且つ、疎水性の高い化合物として、該化合物が、式(3)、式(4)、式(5)及び式(6)で表される化合物、並びに炭素数10〜22の分岐していてもよいアルカンが挙げられる。
Figure 2014077102
(式(3)中、Rは炭素数が7〜19の分岐していてもよいアルキル基、又はベンジル基、Rはメチル基又はエチル基を表す。)
Figure 2014077102
(式(4)中、Rはメチル基又はエチル基、Rは炭素数8〜20の分岐していてもよいアルキル基、又はベンジル基を表す。)
Figure 2014077102
(式(5)中、R〜R10は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。)
Figure 2014077102
(式(6)中、R11及びR12は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
式(3)及び式(4)中、R及びRは炭素数が7〜18のアルキル基であることが好ましく、炭素数8〜16のアルキル基であることがより好ましい。また、式(5)中、R〜R10は、少なくとも1つが炭素数3〜7のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜6のアルキル基であることがより好ましい。この場合、残りの他の基は水素原子であることが好ましい。また、R〜R10中の炭素数の合計は10以下であることが好ましい。更に、式(6)中、R11及びR12は、それぞれ独立して炭素数2〜7のアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜6のアルキル基であることがより好ましい。そして、アルカンとしては炭素数12〜20のアルカンであることが好ましく、炭素数12〜18のアルカンであることがより好ましい。
膜形成用組成物(X)に含まれる重合性化合物(A)及び溶剤(M)の含有量によって、有機無機複合体膜の孔径、表面凹凸性や強度が変化する。重合性化合物(A)の含有量が多いほど膜の強度が向上するが、膜内部の孔径や表面凹凸は小さくなり、撥水性が低下する傾向にある。重合性化合物(A)の好ましい含有量としては30〜80質量%の範囲、特に好ましくは40〜70質量%の範囲が挙げられる。重合性化合物(A)の含有量が30質量%以下になると、膜の強度が低くなり、重合性化合物(A)の含有量が80質量%以上になると、膜内部の孔径や表面凹凸の調整が難しくなる。
膜形成用組成物(X)には、重合速度や重合度、あるいは膜の孔径、表面凹凸性などを調整するために、重合開始剤、重合禁止剤、重合遅延剤、あるいは、増粘剤などの各種添加剤を添加してもよい。
重合開始剤としては、エネルギー線の照射により、重合性化合物(A)を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などが使用できる。例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類、ベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンジルケタール類、N−アジドスルフォニルフェニルマレイミドなどのアジドが挙げられる。また、マレイミド系化合物などの重合性光重合開始剤を使用することもできる。また、ここに挙げた重合開始剤を、テトラエチルチイラムジスルフィドなどのジスルフィド系化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどのニトロキシド化合物、4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジン銅錯体−トリクロロ酢酸メチル複合体、ベンジルジエチルジチオカルバメートなどの化合物と併用して、リビングラジカル重合開始剤として用いることもできる。
重合遅延剤や重合禁止剤は、α−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの重合速度の低いビニル系モノマーやtert−ブチルフェノールなどのヒンダントフェノール類などが挙げられる。
増粘剤は、塗工性、膜厚の均質性を向上させる目的、及び、膜内部の孔径、表面の凹凸性を制御する目的で、公知慣用のものを用いることができる。膜形成用組成物(X)が低粘度であると、細孔の形状が、互いに接着した粒状ポリマーの間隙として与えられることが多く、逆に高粘度であると網状に析出したポリマーの間隙として与えられることが多い。すなわち、高粘度であるほど塗工性、膜厚の均質性は向上するが、孔径や表面凹凸が細かくなり、撥水性が低下する傾向にある。したがって、膜形成用組成物(X)を構成する素材の組合せや膜の目的性能により、粘度は適宜設定を変えることは重要である。
本発明における有機無機複合体膜は、膜単独の自立膜であっても良いが、基材(S)と積層した積層体として用いることができる。本発明の撥水性膜と積層する基材(S)は、膜形成用組成物(X)や使用するエネルギー線によって実質的に侵されず、例えば、溶解、分解、重合などが生じず、かつ、膜形成用組成物(X)を実質的に侵さないものであればよい。そのような基材としては、例えば、樹脂、ガラス、石英などの結晶、セラミックス、シリコンなどの半導体、金属、金属酸化物などが挙げられるが、これらの中でも、触媒反応に用いる際有機溶剤耐性が高いこと、および、安価であることより、ガラスやポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が好ましい。また、基材は、ポリマーブレンドやポリマーアロイで構成されていてもよいし、積層体その他の複合体であってもよい。更に、基材は、改質剤、着色剤、充填材、強化材などの添加物を含有してもよい。
基材の形状は特に限定されず、使用目的に応じて任意の形状のものを使用できる。例えば、シート状(フィルム状、リボン状、ベルト状を含む)、板状、ロール状、球状などの形状が挙げられるが、膜形成用組成物(X)をその上に塗布し易く、また、エネルギー線を照射し易いという観点から、塗工面が平面状または2次曲面状の形状であることが好ましい。
基材はまた、樹脂の場合もそれ以外の素材の場合も、表面処理されていてよい。表面処理は、膜形成用組成物(X)による基材の溶解防止を目的としたもの、膜形成用組成物(X)の濡れ性向上及び超撥水性膜の接着性向上を目的としたものなどが挙げられる。
基材の表面処理方法は任意であり、例えば、前記重合性化合物(A)を基材の表面に塗布し、エネルギー線を照射して硬化させる処理、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理、スルホン化処理、フッ素化処理、シランカップリング剤等によるプライマー処理、表面グラフト重合、界面活性剤や離型剤等の塗布、ラビングやサンドブラストなどの物理的処理などが挙げられる。また、超撥水性膜が有する官能基や上記の表面処理方法によって導入された官能基と反応して表面に固定される化合物を反応させる方法が挙げられる。この中で、基材としてガラス、または、石英を用いた場合、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートやトリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート等のシランカップリング剤によって処理する方法は、これらのシランカップリング剤の有する重合基が膜形成用組成物(X)と共重合できることより、超撥水性膜の基材上への接着性を向上させる上で有用である。
膜形成用組成物(X)の基材への塗布方法は公知慣用の方法であればいずれの方法でもよく、例えば、ディップ法、ロ−ルコ−ト法、ドクタ−ブレ−ド法、スピンコ−ト法、スプレ−法等による塗布方法が好ましく挙げられる。
重合過程において照射するエネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線、放射光などの光線;エックス線、ガンマ線、放射光などの電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線などの粒子線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速め、硬化を完全に行う目的で、エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は減圧雰囲気中が好ましい。
膜形成用組成物(X)の重合により生成した、還元された遷移金属が担持された重合体ポリマー(P)と溶剤(M)が相分離された膜から溶剤(M)を除去する方法は、溶剤を用いた洗浄により行うことができる。その際、溶剤(M)が占めていた領域が溶剤により置換され、その後、乾燥過程において溶剤が蒸発することにより、膜内部の孔や表面の凹凸構造が形成され、有機無機複合体膜の製造が完結する。洗浄溶剤は、溶剤(M)と相溶するものであれば、制限なく用いることができる。ただし、乾燥操作を容易にするために、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルムなどの揮発性の高い汎用溶剤を用いることが好ましい。
有機無機複合体膜を製造する第1の方法においては、膜形成用組成物(X)の重合する際、同時に、金属化合物(b)を還元し、金属ナノ粒子を生成する(工程(α−1))。金属化合物(b)は、重合性組成物(A)の重合反応の際に生じる成長ポリマー鎖末端のラジカルの還元作用により還元され、金属ナノ粒子へ変換される。この方法は、触媒性に優れた結晶面を有する金属ナノ粒子の形成が容易に行うことができるため、好ましく用いられる。また、重合性化合物(a)に含まれるアミノ基の還元作用により、金属が還元される場合もある。活性エネルギー線重合の場合は、前記のベンジルケタール系重合開始剤が、活性エネルギー線照射により生じるケチルラジカルが、金属化合物(b)に対する還元作用があるため、好ましく用いられる。
<第2の方法>
有機無機複合体膜を製造する第2の方法は、第1の方法で示した工程(α−1)を行った後、有機無機複合体膜を還元剤(c)を含む溶液(H)に接触させ、その後、該有機無機複合体膜を溶液(H)から分離する工程(α−2)を行なう。この工程を行うことにより、第1の方法を行った後、金属化合物(b)が残存している場合はそのすべてを還元して、金属ナノ粒子の生成を促すことができる。
還元剤(c)は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素テトラブチルアンモニウム等のヒドリド系還元剤、ヒドラジン、アスコルビン酸等の公知慣用の還元剤を用いることができる。また、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ヘキサノール等のアルコール類も、還元剤として用いることができる。溶液(H)の調製に用いられる溶剤は、用いる還元剤を溶解させることができ、且つ、前記ポリマーと反応しないものであれば、制限なく用いることができる。例えば、0〜80℃、好ましくは室温〜40℃で1秒〜24時間、好ましくは10秒〜6時間還元反応を行うことにより、有機無機複合体を製造することができる。
<第3の方法>
有機無機複合体を製造する第3の方法の工程において、膜形成用組成物(Y)を重合させる工程(α−3)は、金属化合物(b)を共存させないこと以外は、前記の方法1において説明した、膜形成用組成物(X)を重合させる工程(α−1)の方法に準じて、重合を行い、重合体(P)を調製することができる。ただし、膜形成用組成物(Y)中に含まれる溶剤(N)は、金属化合物(b)と相溶する必要がないため、膜形成用組成物(X)中に含まれる溶剤(M)と比較して、使用できる溶媒の種類は多い。
続いて、前記重合体(P)を金属化合物(b)を含む溶液(I)に接触させることにより金属化合物(b)を重合体(P)に吸着させ、その後、重合体(P)を溶液(I)から分離する工程(α−4)を行う。溶液(I)の調製に用いられる溶剤は、用いる金属化合物(b)を溶解させることができ、且つ、前記重合体(P)と反応しないものであれば、制限なく用いることができる。0〜80℃、好ましくは室温〜40℃で10分〜24時間、好ましくは30分〜6時間反応させることにより、金属化合物(b)を前記重合体(P)に吸着することができる。
工程(α−5)は、前記の金属化合物(b)を吸着させた重合体(P)を、還元剤(c)を含む溶液(H)に接触させ、その後、生成した金属ナノ粒子を含む重合体(P)を溶液(H)から分離する工程である。この工程は、前記の第2の方法で示した方法に準じて行うことができる。
<膜形成用組成物(X)がポリマー(B)を含有する発明>
膜形成用組成物(X)は、更に、該重合性組成物(A)、金属化合物(b)、及び溶剤(M)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(B)を含有することができる。
この場合、重合性組成物(A)の重合により生成した重合体ポリマー(P)が溶剤(M)と相溶しなくなり、重合体ポリマー(P)と溶剤(M)との相分離状態が生じ、重合体ポリマー(P)内部や重合体ポリマー(P)間に溶剤(M)が取り込まれた状態になる。この溶剤(M)を除去することにより、溶剤(M)が占めていた領域が孔となり、膜表面に微細凹凸構造が誘起され超撥水性性の有機無機複合体膜を形成できる。ポリマー(B)は、本発明の効果を損なわない限り、膜形成用組成物(X)の硬化膜からその全てが除去されても構わないが、硬化膜の強度を確保する上で、少なくとも一部を硬化膜中に残留させることが好ましい。したがって、重合体ポリマー(P)と溶剤(M)との相分離状態において、ポリマー(B)は重合体ポリマー(P)相にある程度分配されることが好ましく、その分配率が高ければ高いほど、硬化膜の強度は高くなる。
ポリマー(B)は、ポリマーを単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。ポリマー(B)の構成成分として、重合性組成物(A)、金属化合物(b)、及び溶剤(M)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性であれば、特に制限はない。ポリマー(B)は、超撥水性膜を構成する成分となるために疎水性が高いことが好ましく、アクリル系(共)重合体又はスチレン系(共)重合体が好ましく用いられる。中でも、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリtert−ブチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ポリイソボルニル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレンが特に好ましく用いられる。また、ポリマー(B)の役割の1つとして、膜形成用組成物(X)の粘度を高めることによる、相分離条件の拡大が挙げられる。すなわち、膜形成用組成物(X)の粘度が高いほど、組成物に用いることのできる重合性組成物(A)、金属化合物(b)、及び溶剤(M)の種類が増える。また、後述するように、膜形成用組成物(X)の粘度は、超撥水性膜の孔径、表面凹凸性に影響を与える。したがって、該ポリマーの分子量は、超撥水性膜の目的性能に応じて適宜設定することが重要である。該ポリマーの分子量は10,000〜1,000,000の範囲において設定することが好ましい。
膜形成用組成物(X)に含まれる重合性組成物(A)、金属化合物(b)、溶剤(M)及びポリマー(B)の相対含有量によって、超撥水性膜の孔径、表面凹凸性や強度が変化する。重合性組成物(A)の含有量が多いほど膜の強度が向上するが、膜内部の孔径や表面凹凸は小さくなり、撥水性が低下する傾向にある。重合性組成物(A)の好ましい含有量としては30〜80質量%の範囲、特に好ましくは40〜70質量%の範囲が挙げられる。重合性化合物(A)の含有量が30質量%以下になると、膜の強度が低くなり、重合性化合物(A)の含有量が80質量%以上になると、膜内部の孔径や表面凹凸の調整が難しくなる。
また、膜形成用組成物(X)の粘度は、膜の細孔形状に影響を与える。膜形成用組成物(X)が低粘度であると、細孔の形状が、互いに接着した粒状ポリマーの間隙として与えられることが多く、逆に高粘度であると網状に析出したポリマーの間隙として与えられることが多い。すなわち、高粘度であるほど塗工性、膜厚の均質性は向上するが、孔径や表面凹凸が細かくなり、撥水性が低下する傾向にある。したがって、表面撥水性等、有機無機複合体膜の目的性能に応じ、重合性組成物(A)、金属化合物(b)、溶剤(M)及びポリマー(B)の相対含有量、膜形成用組成物(X)の粘度を適宜設定することは重要である。
なお、膜形成用組成物(Y)がポリマー(C)を含有する発明においても、その工程、及び、使用可能なポリマーの種類等、上記に準じて行うことができる。
本発明の方法により製造した有機無機複合体膜は、直径約0.05μm〜10μmの粒子状のポリマーが互いに凝集し、この粒子間の隙間が細孔となる凝集粒子構造の多孔性膜や、ポリマーが網目状に凝集した三次元網目構造の多孔性膜である。得られた超撥水性膜の平均表面粗さ(Ra)は、30nmを超えて、1000nmまでの範囲である。また、超撥水性膜としては平均表面粗さ(Ra)が、40〜1000nmであることが好ましく、40〜500nmであることがより好ましい。この範囲であれば、表面の水接触角値は、150°以上を示し易く、好ましい。有機無機複合体膜の表面の撥水性は水系有機合成反応における反応原料の膜中への取り込みに影響を及ぼす。撥水性が高いほど、原料有機化合物の水系媒体から膜中への抽出が進行する傾向があり、超撥水性表面を有する有機無機複合体膜の触媒効率が最も高い。
なお、上記の如く規定する平均表面粗さ(Ra)は下記の機器(I)で測定した値であり、特許請求の範囲で規定する平均表面粗さ(Ra)の数値は機器(I)で測定した値である。
機器(I):走査型プローブ顕微鏡(SPI3800N/SPA400):エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製
測定モード:AFM
走査エリア:10μm×10μm
[有機無機複合体膜を用いた触媒反応]
本発明の有機無機複合体膜を用いた触媒反応について説明する。
本発明の有機無機複合体膜は、金属ナノ粒子の関与する触媒反応に対して用いることができる。中でも、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、またはレニウムのナノ粒子を利用する触媒反応に用いることが好ましく、特に、パラジウム、または白金のナノ粒子を利用する触媒反応に用いることが好ましい。触媒反応の種類としては、クロスカップリング反応、水素添加反応や酸化反応が挙げられる。中でも、ハロゲン化アリール類のクロスカップリング反応が好ましく、反応例として、Susuki−Miyaura(鈴木−宮浦)反応、Sonogashira(薗頭)反応、Heck反応、Stille反応、Buchwald−Hartwig反応等が挙げられる。その他の好ましい反応例として、アリル位転移反応等が挙げられる。
有機無機複合体膜を触媒反応に用いる際は、反応原料を溶剤に溶解、または分散させ、有機無機複合体膜と不均一系で接触させるだけでよい。必要に応じて、補助触媒や添加剤を共存させることができる。反応に用いる溶剤は、反応の種類に応じて、適宜、水、有機溶剤、およびそれらの混合溶剤を選択することができる。
本発明の有機無機複合体膜は、繰り返しの使用安定性に優れた触媒を提供することができる。ここで言う使用安定性に優れた触媒とは、80℃、24時間での触媒試験において、触媒能力に変化なく、5回以上繰り返し使用可能であることを指し、好ましくは、同条件において、20回以上繰り返し使用可能であることを指す。
また、本発明の有機無機複合体膜は、固定化された金属成分の反応系内への漏出を効果的に抑制することができる。反応系内に漏出する金属成分は、少なくとも300ppb以下のレベルまで抑制することができ、さらには、100ppb以下まで抑制することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
〔重合性化合物の合成〕
N,N−ジメチルエチレンジアミン4.6g(5.0mmol)のDMF溶液(10mL)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート7.8g (5.0mmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.93,2.25,2.42,3.24,3.42,4.16,5.63(ビニル基),6.12(ビニル基).
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]30mgを、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略す。)0.2mLに溶解させた。これに、酢酸パラジウム37mgを加え、マグネチックスターラーを用い、室温で30分間撹拌した。続いて、これに、共栄社化学株式会社製エチレングリコールジメタクリレート「ライトエステルEG」0.44g、デカン酸メチル0.40g、Aldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.04g、及び、光重合開始剤としてチバガイギー社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア184」0.02gを均一に混合して膜形成用組成物[X−1]を調製した。
切り出して用意したフタムラ化学株式会社無延伸ポリプロピレン樹脂板FHK2(番手60、片面コロナ処理)を基材[S−1](26mm×38mm)とし、その上にスピンコーターを用いて、2500rpm、10秒間の条件で膜形成用組成物[X−1]を塗工した。該塗膜に3000Wメタルハライドランプを光源とするアイグラフィックス株式会社製のUE031−353CHC型UV照射装置を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を、室温、窒素気流下で5分間照射して膜形成用組成物[X−1]を重合させ、その後、エタノールおよびヘキサンを用いて洗浄することにより、基材上に形成された厚さ2.0μmの有機無機複合体膜[P−1]を調製した。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡像を図1に示す。
装置:透過型電子顕微鏡JEM−2200FS(日本電子)
加速電圧:200kV
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.0nm
測定装置:小角X線回折(リガク製X線解析装置TTRII)
測定条件:50kV,300mA
(4)水接触角:152°
測定装置:協和界面化学自動接触角計DM500
水滴量:4.0μl(水滴写真を図2に示す。)
(5)表面形態:膜表面の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。
測定装置:キーエンスリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800
(6)平均表面粗さ(Ra):280nm
測定装置(機器(I)):エスアイアイ・ナノテクノロジーズ走査型プローブ顕微鏡(SPI3800N/SPA400)
測定モード:AFM
走査エリア:10μm×10μm
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
4−ブロモアセトフェノン0.65mmol、フェニルボロン酸0.86mmol、炭酸カリウム2.0mmol、及び、水3mLを混合して反応液(Y1)を調製した。これに、前記の有機無機複合体膜[P−1](Pd当量:6.5μmol)を加え、80℃で4時間、反応させた。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−1]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対して誘導結合プラズマ発光分光分析装置ICP−AES(パーキンエルマーオプティマ3300DV)を用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−1]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例2)
〔基材の調製〕
松浪硝子工業株式会社製ガラス製平板S−1111(26mm×38mm(半分のサイズに切り出し)、厚さ1mm)を、東京化成工業株式会社製メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルエステル「M0725」の5mmol/Lのメタノール溶液に50℃にて3時間浸漬した後、メタノール中で超音波洗浄し、100℃の恒温槽で減圧下(0.01Pa以下)1時間加熱し、基材[S−1]を調製した。
〔有機無機複合体膜の調製〕
基材として、ポリプロピレン樹脂板の代わりに[S−1]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.9μmの有機無機複合体膜[P−2]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.2nm
(4)水接触角:151°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):240nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−2]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−2]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例3)
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]の代わりに、3級アミノ基を有する重合性化合物であるジメチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステルDM)を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.1μmの有機無機複合体膜[P−3]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:4.8nm
(4)水接触角:152°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):260nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−3]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−3]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例4)
〔重合性化合物の合成〕
エチルアミンの2.0mol/Lテトラヒドロフラン(THF)溶液16.1mL(32.2mmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工製、製品名:カレンズMOI)5.0g (32.2mol)のTHF溶液(40mL)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−2]を得た。重合性化合物[a−2]は、分子中にウレア結合とビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDCl):δ/ppm 1.12,1.94,3.19,3.48,4.22,4.89,5.12,5.58(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]の代わりに、重合性化合物[a−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.0μmの有機無機複合体膜[P−4]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.5nm
(4)水接触角:150°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):220nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−4]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−4]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−4]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例5)
〔重合性化合物の合成〕
反応性官能基として1級アミノ基を有する第4世代(G4)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(10質量%メタノール溶液、アルドリッチ社製、分子量:14214.4、製品コード:412449)1.14g(8.02μmol、末端1級アミン当量:5.13x10μmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート79.6mg (5.13x10μmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−3]を得た。重合性化合物[a−3]は、分子中に62個の3級アミノ基、及び、64個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.35−2.37,2.57−2.59,2.78−2.80,3.25−3.35,3.42,4.16,5.63(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]の代わりに、重合性化合物[a−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.2μmの有機無機複合体膜[P−5]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:4.6nm
(4)水接触角:153°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):270nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−5]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−5]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−5]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例6)
〔重合性化合物の合成〕
反応性官能基として水酸基を有する第4世代(G4)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(10質量%メタノール溶液、アルドリッチ社製、分子量:14277.4、製品コード:477850)570mg(4.0μmol、末端水酸基当量:2.60x10μmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート40mg (2.56x10μmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−4]を得た。重合性化合物[a−4]は、分子中に62個の3級アミノ基、及び、64個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.93,2.36−2.40,2.59−2.61,2.77−2.81,3.28−3.41,3.62,4.17,5.62(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]の代わりに、重合性化合物[a−4]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.2μmの有機無機複合体膜[P−6]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:4.9nm
(4)水接触角:151°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):250nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−6]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−6]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−6]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例7)
〔重合性化合物の合成〕
2−イソシアナトエチルメタクリレートを79.6mg (5.13x10μmol)用いる代わりに、グリシジルメタクリレートを72mg (5.13x10μmol)用いる以外は、実施例5と同様にして、重合性化合物[a−5]を得た。重合性化合物[a−5]は、分子中に62個の3級アミノ基、及び、64個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.35−2.37,2.57−2.59,2.78−2.80,3.25−3.35,3.42,4.16,5.63(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]の代わりに、重合性化合物[a−5]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.8μmの有機無機複合体膜[P−7]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.3nm
(4)水接触角:150°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):240nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−7]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−7]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−7]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例8)
〔重合性化合物の合成〕
ポリエチレンイミン(平均分子量10,000、和光純薬製、製品コード:164−17821)0.20g(1級アミン当量:1.16mmol、2級アミン当量:2.33mmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート0.54g (3.49mmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−6]を得た。重合性化合物[a−6]は、平均的に、分子中に58個の3級アミノ基、及び、174個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.63,3.22−3.42,4.15−4.22,5.62(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]の代わりに、重合性化合物[a−6]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.9μmの有機無機複合体膜[P−8]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.0nm
(4)水接触角:150°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):250nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−8]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−8]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−8]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例9)
〔重合性化合物の合成〕
トリス(2−アミノエチル)アミン0.73g(5.0mmol)のDMF溶液(5.0mL)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート0.23g (15.0mmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−7]を得た。重合性化合物[a−7]は、分子中に3級アミノ基1個、ウレア結合3個及びビニル基3個を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.55,3.15,3.42,4.16,5.62(ビニル基),6.12(ビニル基).
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]の代わりに、重合性化合物[a−7]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.7μmの有機無機複合体膜[P−9]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.2nm
(4)水接触角:151°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):260nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−9]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−9]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−9]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例10)
〔重合性化合物の合成〕
反応性官能基として1級アミノ基を有する第1世代(G1)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(20質量%メタノール溶液、アルドリッチ社製、分子量:1429.8、製品コード:412384)0.59g(82.5μmol、末端1級アミン当量:6.63x10μmol)に、2−イソシアナトエチルメタクリレート103mg (6.63x10μmol)を加え、マグネチックスターラーを用い、室温で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的の重合性化合物[a−8]を得た。重合性化合物[a−8]は、分子中に6個の3級アミノ基、8個のウレア結合及び、8個のビニル基を有する。
H−NMR(300MHz、CDOD):δ/ppm 1.92,2.34−2.36,2.57−2.60,2.78−2.81,3.25−3.35,3.44,4.17,5.62(ビニル基),6.11(ビニル基).
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]の代わりに、重合性化合物[a−8]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.7μmの有機無機複合体膜[P−10]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.3nm
(4)水接触角:153°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):230nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−10]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−10]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−10]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例11)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
ライトエステルEG0.44gを用いる代わりに、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステル1.6HX)0.44gを用いる以外は実施例1と同様にして、膜形成用組成物[X−2]を調製した。
次に、膜形成用組成物[X−1]を用いる代わりに、膜形成用組成物[X−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.6μmの有機無機複合体膜[P−11]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.6nm
(4)水接触角:150°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):270nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−11]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−11]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−11]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例12)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
ライトエステルEG0.44gを用いる代わりに、トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学製、製品名:ライトエステルTMP)0.44gを用いる以外は実施例1と同様にして、膜形成用組成物[X−3]を調製した。
次に、膜形成用組成物[X−1]を用いる代わりに、膜形成用組成物[X−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.9μmの有機無機複合体膜[P−12]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.4nm
(4)水接触角:151°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):260nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−12]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−12]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−12]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例13)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
デカン酸メチル0.40gとポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.04gを用いる代わりに、テトラデカン酸メチル0.40gを用いる以外は実施例1と同様にして、膜形成用組成物[X−4]を調製した。
次に、膜形成用組成物[X−1]を用いる代わりに、膜形成用組成物[X−4]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.2μmの有機無機複合体膜[P−13]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.1nm
(4)水接触角:147°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):210nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−13]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−13]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−13]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例14)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
デカン酸メチル0.40gとポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.04gを用いる代わりに、ヘキサデカン0.40gを用いる以外は実施例1と同様にして、膜形成用組成物[X−5]を調製した。
次に、膜形成用組成物[X−1]を用いる代わりに、膜形成用組成物[X−5]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.0μmの有機無機複合体膜[P−14]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.5nm
(4)水接触角:146°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):200nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−14]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−14]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−14]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例15)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を用い、基材上に形成された厚さ2.0μmの有機無機複合体膜[P−1]を得た。これを、ヒドラジン(還元剤)のメタノール溶液(0.1mol/l)に室温で5分間浸せきさせ、溶液から分離後、十分にメタノールで洗浄することにより、有機無機複合体膜[P−15]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.1nm
(4)水接触角:152°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):260nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−15]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−15]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−15]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例16)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
重合性化合物[a−1]30mgを、前記エチレングリコールジメタクリレート「ライトエステルEG」0.44g、デカン酸メチル0.40g、ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.04g、及び、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア184」0.02gとともに均一に混合して膜形成用組成物[X−6]を調製した。
次に、膜形成用組成物[X−1]を用いる代わりに、膜形成用組成物[X−6]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.0μmの硬化膜を得た。これを、酢酸パラジウムのDMF溶液(0.2mol/l)に室温で30分間浸せきさせ、溶液から分離後、十分にDMFで洗浄することにより、硬化膜にパラジウムイオンを吸着させた。その後、ヒドラジン(還元剤)のメタノール溶液(0.1mol/l)に室温で5分間浸せきさせ、溶液から分離後、十分にメタノールで洗浄することにより、有機無機複合体膜[P−16]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.0nm
(4)水接触角:150°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):250nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−16]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−16]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−16]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例17)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
デカン酸メチル0.40gを用いる代わりに、イソブチルベンゼン0.40gを用いる以外は実施例1と同様にして、膜形成用組成物[X−7]を調製した。
次に、膜形成用組成物[X−1]を用いる代わりに、膜形成用組成物[X−7]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.9μmの有機無機複合体膜[P−17]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:5.1nm
(4)水接触角:150°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):240nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−17]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−17]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−17]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(実施例18)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
デカン酸メチル0.40gを用いる代わりに、ジエチレングリコールジブチルエーテル0.40gを用いる以外は実施例1と同様にして、膜形成用組成物[X−8]を調製した。
次に、膜形成用組成物[X−1]を用いる代わりに、膜形成用組成物[X−8]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.7μmの有機無機複合体膜[P−18]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:4.5nm
(4)水接触角:152°
(5)表面形態:走査型電子顕微鏡観察
(6)平均表面粗さ(Ra):270nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[P−18]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、95%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。
有機無機複合体膜[P−18]を反応溶液からろ別した後、ろ液に対してICP−AESを用いて評価したところ、反応系内に漏出したPd成分は検出限界以下の量(<300ppb)であることが確認された。ろ別した有機無機複合体膜[P−18]を、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を5回繰り返し行った場合も、反応率が低下することなく、生成物が得られることが確認された。
(比較例1)
〔重合性化合物の合成〕
実施例1と同様にして、重合性化合物[a−1]を得た。重合性化合物[a−1]は、分子中に3級アミノ基、ウレア結合及びビニル基を有する。
〔有機無機複合体膜の調製〕
デカン酸メチル0.40g及びポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.04gを用いる代わりに、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.40g及びAldrich社製ポリ酢酸ビニル(重量平均分子量140,000)0.04gを用いる以外は実施例1と同様にして、膜形成用組成物[XR−1]を調製した。
次に、膜形成用組成物[X−1]を用いる代わりに、膜形成用組成物[XR−1]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.5μmの有機無機複合体膜[PR−1]を得た。
〔有機無機複合体膜の分析〕
(1)金属含有量:0.16mmol/g.
(2)金属ナノ粒子の形態:透過型電子顕微鏡観察
(3)金属ナノ粒子の平均粒径:4.6nm
(4)水接触角:57°(水滴写真を図4に示す。)
(5)表面形態:膜表面の走査型電子顕微鏡写真を図5に示す。
(6)平均表面粗さ(Ra):180nm
測定装置及び測定条件は、実施例1に記載の通りである。
〔有機無機複合体膜を用いた触媒反応試験〕
有機無機複合体膜[P−1]を用いる代わりに、有機無機複合体膜[PR−1]を用いる以外は実施例1と同様にして、触媒反応を行った。ガスクロマトグラフィによる分析の結果、33%以上の反応率で、目的物の4−アセチルビフェニルが生成したことが確認された。有機無機複合体膜[P−14]を反応溶液からろ別した後、水、およびジエチルエーテルで交互に各4回洗浄し、乾燥した後、前記と同様の触媒反応試験を行ったが、反応率は22%へ低下したことが確認された。
以上の結果より、実施例1に示した方法により得られた有機無機複合体膜は、本比較例に示した方法により得られた表面撥水性を示さない(水接触角:57°)比較用有機無機複合体膜[PR−1]と比べて、4−ブロモアセトフェノンのカップリング反応に対する触媒活性および耐久性に優れていることは明らかである。

Claims (18)

  1. エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)の重合体(P)と金属ナノ粒子との複合体であって、その表面が撥水性を示すことを特徴とする有機無機複合体膜。
  2. 前記重合性組成物(A)が、アミノ基、イミノ基、ウレア結合又はアミド結合と、ビニル基とを有する重合性化合物(a)を含むことを特徴とする請求項1記載の有機無機複合体膜。
  3. 前記重合性化合物(a)が、
    (1)3級アミノ基及び反応性官能基(Q)を有するデンドリマー(a1)、又は反応性官能基(Q)を有するポリエチレンイミン(a2)と、
    (2)該反応性官能基(Q)と反応可能な反応性官能基(Q)と、ビニル基とを有する化合物(a3)と、
    を反応して得た化合物である請求項2記載の有機無機複合体膜。
  4. 前記反応性官能基(Q)が、1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基又はカルボキシ基であり、前記反応性官能基(Q)が、イソシアナト基、エポキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基、カルボキシ基又はハロゲン化アシル基である請求項3記載の有機無機複合体膜。
  5. 前記デンドリマー(a1)が、
    式(1)
    Figure 2014077102
    (式(1)中、xは1〜10の整数である。)
    又は式(2)
    Figure 2014077102
    (式(2)中、yは1〜10の整数である。)
    で表される構造を繰り返し単位とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜。
  6. 前記金属ナノ粒子がパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、金、銀、及びレニウムから選択される1種以上からなる金属ナノ粒子である請求項1〜5のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜。
  7. 触媒として使用する請求項1〜6のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜。
  8. クロスカップリング反応触媒として使用する請求項7に記載の有機無機複合体膜。
  9. エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)、金属化合物(b)、及びこれらと相溶するが該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解又は膨潤させない溶剤(M)とを混合した膜形成用組成物(X)を製造する工程、
    該膜形成用組成物(X)の層を形成する工程、
    エネルギー線の照射により該膜形成用組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させると同時に金属化合物(b)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、溶剤(M)を除去する工程、
    を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
  10. 請求項9に記載の各工程を行なった後得られた有機無機複合体膜を、還元剤(c)を含む溶液(H)に接触させ、その後、該有機無機複合体膜を溶液(H)から分離する工程を行なう有機無機複合体膜の製造方法。
  11. エネルギー線の照射により重合可能な重合性組成物(A)、及びこれらと相溶するが該重合性組成物(A)の重合体(P)を溶解又は膨潤させない溶剤(N)とを混合した膜形成用組成物(Y)を製造する工程、
    該膜形成用組成物(Y)の層を形成する工程、
    エネルギー線の照射により該膜形成用組成物(Y)中の重合性化合物(A)を重合させ、その後、溶剤(N)を除去する工程、
    前記重合体(P)を、金属化合物(b)を含む溶液(I)に接触させることにより金属化合物(b)を重合体(P)に吸着させ、その後、重合体(P)を溶液(I)から分離する工程、
    前記金属化合物(b)を含む重合体(P)を、還元剤(c)を含む溶液(H)に接触させることにより金属化合物(b)を還元し、金属ナノ粒子を生成させ、その後、生成した金属ナノ粒子を含む重合体(P)を溶液(H)から分離する工程、
    を順次行なうことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
  12. 前記溶剤(M)又は(N)が、分子量が500以下であり、且つ25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下の化合物であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
  13. 前記溶剤(M)又は(N)が、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)で表される化合物、及び炭素数10〜22の分岐していてもよいアルカンからなる群から選ばれる1種以上の溶剤であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
    Figure 2014077102
    (式(3)中、Rは炭素数が7〜19の分岐していてもよいアルキル基、又はベンジル基、Rはメチル基、又はエチル基である。)
    Figure 2014077102
    (式(4)中、Rはメチル基、又はエチル基、Rは炭素数8〜20の分岐していてもよいアルキル基、又はベンジル基である。)
    Figure 2014077102
    (式(5)中、R〜R10は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。
    Figure 2014077102
    (式(6)中、R11及びR12は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
  14. 膜形成用組成物(X)中に、重合性組成物(A)、金属化合物(b)、及び溶剤(M)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(B)を含有することを特徴とする請求項9、10、12、13のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
  15. 膜形成用組成物(Y)中に、重合性組成物(A)、及び溶剤(N)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(C)を含有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
  16. 前記ポリマー(B)又はポリマー(C)が、アクリル系共重合体又はスチレン系共重合体である請求項14又は15に記載の有機無機複合体膜の製造方法。
  17. 前記ポリマー(B)又はポリマー(C)の分子量が、10,000〜1,000,000の範囲にある請求項14〜16のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
  18. 膜表面における水との接触角が150°以上である超撥水性膜を製造する請求項9〜17のいずれか1つに記載の有機無機複合体膜の製造方法。
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