JP5430396B2 - 表面改質されたポリマー構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリマーの表面改質に適用できる新規な技術に関する。本発明で表面改質されたポリマー構造体又はグラフトポリマー構造体は、構造体の表面で耐磨耗性、潤滑性、耐薬品性、防食性、帯電防止性、接着・密着性、光反射防止性、光隠蔽性、エッチング耐性を付与したり、親水親油性、光反射率、光取り出し率、アルカリ現像特性、表面硬度などを制御することができるという特徴を有し、電気・電子部品、自動車部品、光学制御部品、印刷機器用部品、フィルム・シート材料、繊維材料、医療・診断材料などの成形材料や、半導体材料、ディスプレイ材料、電子デバイス用材料などの薄膜材料、屈折率、誘電率、熱膨張率、磁気特性などを制御させた傾斜材料として好適に利用される。
ポリマー材料は、近年、多分野でますます利用されている。それに伴い、それぞれのニーズに応じて、マトリクスとしてのポリマーの性状とともに、その表面特性が重要となっている。例えば、接着性、密着性、非粘着性、帯電防止性、撥水撥油性、親水性、滑り性、生体適合性などの特性がポリマーの表面において求められる。
ポリマーの表面に如上の特性を付与するために、従来よりいろいろなポリマー表面改質法が知られている(例えば、非特許文献1)。例えば、各種エネルギー線の照射に代表される物理的手段を講じる方法が知られているが、煩雑な操作を要し高価な方法となる(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
本願と同一の出願人は、ポリマー表面改質法として、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに高分岐ポリマーを混合するという簡単な操作により、マトリクスポリマーの表面及び/又は界面に高分岐ポリマーを濃縮させることができることを開示している(例えば、非特許文献2)。
しかし、この報告では、高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基を、ポリマー構造体の最表面に高密度に分布させることについての記載はなく、それによる作用効果についての示唆もない。
また、ポリマー表面改質を目的として、高分岐ポリマーを添加又は塗布する方法が知られているが、高分岐ポリマーの分子末端の官能基を、ポリマー構造体の再表面に高密度に分布させることについての記載はない(例えば、特許文献7、特許文献8及び特許文献9)。
また、ポリマー表面改質法の一つとして、固体表面に形成された重合開始基を介して高分子鎖をグラフトする方法が知られている(例えば、特許文献3、特許文献4及び特許文献5)。この表面グラフト重合による表面改質法は、重合するモノマーの種類を変えることにより多様な表面特性を付与することができる。しかしながら、それら文献において重合開始基を表面に固定化する方法は、ラングミュアー・ブロジェット法(LB法)や化学吸着法といった煩雑な工程を必要とするため、より広い面積のポリマー表面改質を簡便な工程によって行うことができる方法が望まれていた。また、LB法や化学吸着法によって光重合開始基であるジチオカルバメート基をポリマー表面に固定化し、グラフト重合する表面改質法は公知である(例えば、特許文献6)。
しかし、それらの文献には、ポリマー構造体に含まれ且つその表面及び/又は界面に濃縮された高分岐ポリマーに対して、その分子末端の親水性官能基をポリマー構造体の最表面に高密度に分布させ、更に最表面に高密度に分布された親水性官能基に対して高分子鎖をグラフトさせるという技術手法及び手段に関する記載はなく、それによる作用効果についての示唆もない。
また、分子末端にジチオカルバメート基を有する高分岐ポリマーとして、スチレン系ハイパーブランチポリマーやアクリル系ハイパーブランチポリマーが知られている(例えば、非特許文献3及び非特許文献4)。
角田光雄監修「高分子の表面改質と応用」、シーエムシー出版、2001年6月発行 Transactions of the Materials Research Society of Japan 32(1),231(2007) Macromol.Rapid Commun. 21,665−668(2000) Polymer International 51,424−428(2002) 特表2005−511875号公報 特表2005−511876号公報 特開平11−263819号公報 特表2002−145971号公報 特開2006−316169号公報 特開2006−113389号公報 特表2003−522266号公報 特表2003−529658号公報 特表2006−503947号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーが含有されているポリマー構造体において、該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基をポリマー構造体の最表面に高密度に分布させ、更に、表面グラフト重合によって該ポリマー構造体の表面を改質することができる汎用的で簡便な新しい技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーと高分岐ポリマーとを含有するポリマー構造体を、特定の温度及び雰囲気下で処理することにより、該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基を該ポリマー構造体の最表面に高密度に分布させることが可能であることを見出すとともに、該ポリマー構造体の最表面をグラフト重合することによって該ポリマー構造体の表面を改質することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、第1観点として、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーが含有されているポリマー構造体の製造方法において、該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを混合し、一体と成して、該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を形成する工程と、次に得られた該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を、該マトリクスポリマーのガラス転移温度より30℃低い温度ないし該マトリクスポリマーの分解温度の範囲内の温度にて、水及び/又は親水性溶剤の中に浸漬処理するか或いは、水及び/又は親水性溶剤の蒸気雰囲気に暴露処理する工程を含む、ポリマー構造体の最表面において高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布することを特徴とするポリマー構造体の製造方法、
第2観点として、前記高分岐ポリマーが、デンドリティックポリマー、くし型ポリマー及びハイパーブランチポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、第1観点に記載のポリマー構造体の製造方法、
第3観点として、前記ハイパーブランチポリマーが、式(1)で表されるハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、第2観点に記載のポリマー構造体の製造方法、
Figure 0005430396
[式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、W1及びW2は、それぞれ独立して、チオール基、ハロゲン基、アミノ基又はジチオカルバメート基を表し、A1は式(2)及び/又は式(3):
Figure 0005430396
(式中、A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。]、
第4観点として、前記A1が式(4)で表される基を表す、第3観点に記載のポリマー構造体の製造方法、
Figure 0005430396
第5観点として、前記A1が式(5)で表される基を表す、第3観点に記載のポリマー構造体の製造方法、
Figure 0005430396
(式中、mは2ないし10の整数を表す。)
第6観点として、前記W1及びW2がジチオカルバメート基である、第3観点ないし第5観点のいずれか1項に記載のポリマー構造体の製造方法、
第7観点として、前記R1が水素原子である、第3観点ないし第5観点のいずれか1項に記載のポリマー構造体の製造方法、
第8観点として、前記W1及びW2がジチオカルバメート基であり、前記R1が水素原子である、第4観点に記載のポリマー構造体の製造方法、
第9観点として、前記マトリクスポリマーが、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、第3観点ないし第8観点のいずれか1項に記載のポリマー構造体の製造方法、
第10観点として、前記マトリクスポリマーが、ポリスチレンである、第9観点に記載のポリマー構造体の製造方法、
第11観点として、前記浸漬処理又は前記暴露処理における処理時間が、0.001ないし100時間である、第1観点に記載のポリマー構造体の製造方法、
第12観点として、前記マトリクスポリマーに混合される前記高分岐ポリマーの量が、該マトリクスポリマーの質量に対して最大25質量%ないし最小0.1質量%の量である、第1観点に記載のポリマー構造体の製造方法、
第13観点として、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーが含有されているポリマー構造体であって、該ポリマー構造体の表面及び/又は界面付近に該高分岐ポリマーが濃縮され、かつ該ポリマー構造体の最表面において該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布することを特徴とするポリマー構造体、
第14観点として、前記高分岐ポリマーが、デンドリティックポリマー、くし型ポリマー及びハイパーブランチポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、第13観点に記載のポリマー構造体、
第15観点として、前記ハイパーブランチポリマーが、前記式(1)で表されるハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、第14観点に記載のポリマー構造体、
第16観点として、前記A1が前記式(4)で表される基を表す、第15観点に記載のポリマー構造体、
第17観点として、前記A1が前記式(5)で表される基を表す、第15観点に記載のポリマー構造体、
第18観点として、前記W1及びW2がジチオカルバメート基である、第15観点ないし第17観点のいずれか1項に記載のポリマー構造体、
第19観点として、前記R1が水素原子である、第15観点ないし第17観点のいずれか1項に記載のポリマー構造体、
第20観点として、前記W1及びW2がジチオカルバメート基であり、前記R1が水素原子である、第16観点に記載のポリマー構造体、
第21観点として、前記マトリクスポリマーが、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、第15観点ないし第20観点のいずれか1項に記載のポリマー構造体、
第22観点として、前記マトリクスポリマーが、ポリスチレンである、第21観点に記載のポリマー構造体、
第23観点として、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーが含有されているポリマー構造体の製造方法において、該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを混合し、一体と成して、該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を形成する工程と、次に得られた該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を、該マトリクスポリマーのガラス転移温度より30℃低い温度ないし該マトリクスポリマーの分解温度の範囲内の温度にて、水及び/又は親水性溶剤の中に浸漬処理するか或いは、水及び/又は親水性溶剤の蒸気雰囲気に暴露処理する工程と、その後処理された構造体の最表面に位置する親水性官能基に対してビニル系高分子鎖をグラフト重合する工程とを含む、ポリマー構造体の最表面において高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布し、更に該親水性官能基の少なくとも一部に対してビニル系高分子鎖がグラフトされていることを特徴とするグラフトポリマー構造体の製造方法、
第24観点として、前記高分岐ポリマーが、デンドリティックポリマー、くし型ポリマー及びハイパーブランチポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、第23観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第25観点として、前記ハイパーブランチポリマーが、前記式(1)で表されるハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、第24観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第26観点として、前記A1が前記式(4)で表される基を表す、第25観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第27観点として、前記A1が前記式(5)で表される基を表す、第25観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第28観点として、前記W1及びW2がジチオカルバメート基である、第25観点ないし第27観点のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第29観点として、前記R1が水素原子である、第25観点ないし第27観点のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第30観点として、前記W1及びW2がジチオカルバメート基であり、前記R1が水素原子である、第26観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第31観点として、前記マトリクスポリマーが、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、第25観点ないし第30観点のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第32観点として、前記マトリクスポリマーが、ポリスチレンである、第31観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第33観点として、前記浸漬処理又は前記暴露処理における処理時間が、0.001ないし100時間である、第23観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第34観点として、前記マトリクスポリマーに混合される前記高分岐ポリマーの量が、該マトリクスポリマーの質量に対して最大25質量%ないし最小0.1質量%の量である、第23観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第35観点として、前記ビニル系高分子鎖が、リビングラジカル重合によってグラフトされることを特徴とする、第23観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第36観点として、前記リビングラジカル重合における重合時間が、0.01ないし100時間である、第35観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第37観点として、前記リビングラジカル重合における重合時間が、0.1ないし100時間である、第35観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第38観点として、前記リビングラジカル重合における重合温度が、0ないし200℃である、第35観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第39観点として、前記ビニル系高分子鎖が、アクリルアミド類又はメタクリルアミド類から形成されることを特徴とする、第25観点に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法、
第40観点として、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーが含有されているポリマー構造体であって、該ポリマー構造体の表面及び/又は界面付近に該高分岐ポリマーが濃縮され、かつ該ポリマー構造体の最表面において該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布し、更に該親水性官能基の少なくとも一部に対してビニル系高分子鎖がグラフトされていることを特徴とするグラフトポリマー構造体、
第41観点として、前記高分岐ポリマーが、デンドリティックポリマー、くし型ポリマー及びハイパーブランチポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、第40観点に記載のグラフトポリマー構造体、
第42観点として、前記ハイパーブランチポリマーが、前記式(1)で表されるハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、第41観点に記載のグラフトポリマー構造体、
第43観点として、前記A1が前記式(4)で表される基を表す、第42観点に記載のグラフトポリマー構造体、
第44観点として、前記A1が前記式(5)で表される基を表す、第42観点に記載のグラフトポリマー構造体、
第45観点として、前記W1及びW2がジチオカルバメート基である、第42観点ないし第44観点のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体、
第46観点として、前記R1が水素原子である、第42観点ないし第44観点のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体、
第47観点として、前記W1及びW2がジチオカルバメート基であり、前記R1が水素原子である、第43観点に記載のグラフトポリマー構造体、
第48観点として、前記マトリクスポリマーが、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、第42観点ないし第47観点のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体、
第49観点として、前記マトリクスポリマーが、ポリスチレンである、第48観点に記載のグラフトポリマー構造体、
第50観点として、前記ビニル系高分子鎖が、アクリルアミド類又はメタクリルアミド類から形成されることを特徴とする、第40観点に記載のグラフトポリマー構造体、及び
第51観点として、前記ビニル系高分子鎖が、リビングラジカル重合によってグラフトされていることを特徴とする、第40観点に記載のグラフトポリマー構造体である。
本発明に従えば、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーと分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーとを混合したポリマー構造体を簡便な条件で処理するだけで、該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基を構造体の最表面に高密度に分布させ、更に必要により該親水性官能基に所望の高分子鎖をグラフトすることによって、マトリクスポリマーのニーズに応じて各種の表面特性が改質されたポリマー構造体を得ることができる。
特に該高分岐ポリマーとして光重合開始剤となるジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーを用いた場合には、表面グラフト(リビングラジカル)重合によってアクリルアミド、メタクリルアミド等のビニル系高分子で表面改質されたグラフトポリマー構造体を得ることができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明のポリマー構造体の最表面において高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布されているポリマー構造体の製造方法は、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーと分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーとを混合し、一体と成して、該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を形成する工程と、次に得られた該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を、該マトリクスポリマーのガラス転移温度より30℃低い温度ないし該マトリクスポリマーの分解温度の範囲内の温度にて、水及び/又は親水性溶剤の中に浸漬処理するか或いは、水及び/又は親水性溶剤の蒸気雰囲気に暴露処理する工程を含む方法である。
本発明の製造方法において用いられる線状ポリマーからなるマトリクスポリマーとして、各種のタイプのポリマーを用いることができる。使用されるポリマーとしては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂(アクリロニトリル及びスチレンの共重合化合物)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンの共重合化合物)、MS樹脂(メチルメタクリレート及びスチレンの共重合化合物)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、液晶プラスチック、ポリイミド、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ジアリールフタレート樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴムなどを挙げることができ、それらのコポリマーも使用できるが、勿論、これらに限定されるものではない。
本発明の製造方法において用いられる分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーとは、高分岐ポリマーの末端基に親水性官能基を有していることを特徴とする。すべての末端基が親水性官能基になっていることが好ましいが、一部の末端基のみが親水性官能基になっていてもよい。親水性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、ハロゲン基、エポキシ基及びジチオカルバメート基が挙げられ、これらは2種以上混合していてもよい。
高分岐ポリマーは、単一の方向ではなく複数方向に分子が拡がっているような分子構造を呈する高分子であり、一般的には、多分岐ポリマーとして知られているポリマー、すなわち、デンドリティックポリマー、くし型ポリマー又はハイパーブランチポリマーを指称する。これらは2種以上混合して使用してもよい。
ここで、デンドリティックポリマー(デンドリティック高分子)とは、デンドリマーとして一般的に知られ、分子が放射状に広がった球形の巨大分子である。また、くし型ポリマーとは、主鎖に対して側基(側鎖)が比較的規則的に結合して全体としてくし状の分子構造から成るポリマーである。さらに、ハイパーブランチポリマーとは、高度に分岐した構造から成るポリマーであり、一般的にはAB2型モノマーの自己縮合によって合成されるものが多い。しかし、本発明の原理は、以上のような多分岐ポリマーに限らず、後述の説明から理解されるように効果の差異は存するが、枝分かれがあり複数方向に分子が拡がっているようなものであれば、いずれのタイプの高分子化合物を用いても実施可能である。
ハイパーブランチポリマーは一般的に、AB2、AB3のように一分子中にA官能基を1官能基有し且つA官能基と反応しうるB官能基を2官能基以上有するABx型化合物や、AB*型と呼ばれる重合点と開始剤それぞれ1つずつ兼ね備えた化合物とを縮合、付加、あるいは挿入反応などを利用して重合したものを指し、高度に分岐した高分子である。AB*型分子は、重合点にあたるA官能基と開始剤となるB*官能基とが反応し、反応後にA官能基は消失するがB*は脱離、付加により反応後でもB*としての反応性を残したままとなる化合物である。ここで例えばAB2型の場合、A官能基がカルボキシル基の場合にはB官能基はアミノ基があげられ、この場合はハイパーブランチポリアミドとなる。AB*型の場合、A官能基がスチレン性二重結合の場合にはB*官能基はジチオカルバメート基があげられ、その場合はハイパーブランチポリスチレンとなる。また同じくAB*型の場合、A官能基がメタクリル性二重結合の場合にはB*官能基はジチオカルバメート基があげられ、その場合はハイパーブランチポリメタクリレートとなる。
本発明の製造方法において用いられる分子末端に親水性官能基を有するハイパーブランチポリマーの好適な例として、前記式(1)が挙げられる。
前記式(1)において、分子末端の親水性官能基を表すW1及びW2としては、リビングラジカル重合できる点を考慮すると、ジチオカルバメート基が好ましい。
ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの例としては、下記式(6)ないし式(8)で表わされるハイパーブランチポリマー及び式(9)ないし式(11)で構成されるハイパーブランチポリマーが挙げられるが、これらに限られるものではない。
この式(6)ないし式(8)で表わされるハイパーブランチポリマー及び式(9)ないし式(11)で構成されるハイパーブランチポリマーは、日産化学工業(株)から商品名オプトビーズシリーズとして入手することができる。
Figure 0005430396
(式中、R1、A1及びnは、前記式(1)に記載の定義と同義であり、DCはジチオカルバメート基を表す。)
上記式(6)のA1としては、前記式(4)及び/又は式(5)で表されるハイパーブランチポリマーが好ましい。
また分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーとして、式(7)及び式(8)のような共重合型のハイパーブランチポリマーも使用することができる。
Figure 0005430396
(式中、DCはジチオカルバメート基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。)
Figure 0005430396
(式中、DCはジチオカルバメート基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表し、R2及びR3はそれぞれ、水素原子又は金属原子を表す。)
さらに分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーとして、下記の式(9)で表される構造式を重合開始部位として、下記の式(10)で表される直鎖構造の繰り返し単位と、下記の式(11)で表される枝分かれ構造の繰り返し単位を有し、かつ式(10)で示される直鎖構造の繰り返し単位の総数が1から100,000の整数で、式(11)で示される枝分かれ構造の繰り返し単位の総数が2から100,000の整数であるハイパーブランチポリマーも使用できる。
Figure 0005430396
(式(9)ないし式(11)中、R4は水素原子又はメチル基を表し、R5は水素原子、炭素原子数1ないし20の直鎖状もしくは枝分かれ状のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数3ないし20の直鎖状もしくは枝分かれ状のエポキシ基を含むアルキル基を表し、また、A3は下記の式(12)又は式(13)で表される構造を表す。)
Figure 0005430396
(式(12)及び式(13)中、A4はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし20の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表す。)
本発明の製造方法においては、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーを混合して使用する。用いる線状ポリマーと分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーは、構成単位の化学構造が互いに共通又は類似しているものが好ましい。例えば、前記式(1)で表されるハイパーブランチポリマーを用いた場合、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂を好適に使用することができる。
また、本発明の方法は、両種のポリマーが必ずしもそのような関係にない場合においても適用され得る。すなわち、線状ポリマーに分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーを混合した場合に明確な相分離構造が形成されないような系を用いれば、いずれも本発明の方法を適用することが可能である。
マトリクスポリマーに混合される分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーの量は、一般的には、該マトリクスポリマーの質量に対する最大混合量は25質量%、好ましくは15質量%、より好ましくは10質量%である。また最小混合量は0.1質量%、好ましくは0.5質量%、より好ましくは1質量%である。
上記の混合量の範囲であれば、ポリマー構造体の最表面において高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布されている状態を有効に形成できる。
なお、本発明の説明に関連して、「最表面」とはポリマー構造体の最外表面を意味し、例えばポリマー構造体と気体(通常は空気)、又は液体(水及び/又は親水性溶剤等)との境目を意味する。ポリマー構造体の最表面に、高分岐ポリマーが有する分子末端の親水性官能基が高密度に分布されている状態とは、X線光電子分光法(XPS)にてポリマー構造体の表面分析を行った場合に、高分岐ポリマー成分の分子末端の親水性官能基が検出可能なレベルであることを意味する。親水性官能基としてジチオカルバメート基を有する高分岐ポリマーがXPSで検出可能なレベルで高密度にポリマー構造体の表面及び/又は界面に濃縮され、ジチオカルバメート基がポリマー構造体の最表面に分布されていると、ジチオカルバメート基が光重合開始剤として有効に作用することができるため、ポリマー構造体の最表面に位置するジチオカルバメート基に対してビニル系高分子鎖が高密度にグラフトすることが可能となる。
本発明の製造方法において、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーと分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーとを混合し、一体と成して、該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を形成する工程(以下、第1工程と略す。)について説明する。
第1工程の方法としては、両者のポリマーを直接溶融混合する方法、両者のポリマーを溶剤に溶解して均一混合してから溶剤を留去する方法、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーの存在下でマトリクスとなる線状ポリマーを重合する方法などが挙げられるが、これらに限られるものではない。溶剤を使用する場合に用いられる溶剤としては、両者のポリマーを溶解可能な溶剤であれば特に制限はない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
次に該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を、該マトリクスポリマーのガラス転移温度より30℃低い温度ないし該マトリクスポリマーの分解温度の範囲内の温度にて、水及び/又は親水性溶剤の中に浸漬処理するか或いは、水及び/又は親水性溶剤の蒸気雰囲気に暴露処理する工程(以下、第2工程と略す。)について説明する。
第2工程における温度範囲は、マトリクスポリマーのガラス転移温度より30℃低い温度からマトリクスポリマーの分解温度の温度範囲内で実施することができる。
具体的な温度範囲としては、マトリクスポリマーの種類に依存するが、0ないし200℃が好ましく、50ないし150℃がさらに好ましい。
第2工程における親水性溶剤としては、水及び/又は親水性溶剤が使用できるが、親水性溶剤としては、水と混合可能な溶剤であればよく、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルオキシドなどの親水性溶媒が挙げられる。
第2工程における浸漬処理及び暴露処理の時間は、0.001ないし100時間、好ましくは0.1ないし50時間である。
なお、第2工程は、ポリマー構造体を溶解したり、クラック等を生じない範囲で適宜実施することができる。
第1工程のみでも、ポリマー構造体の表面において分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーをある程度濃縮させることができるが、XPSで検出可能なレベルまで高密度に濃縮することは不可能である。
本発明の製造方法によれば、線状ポリマーからなるマトリクスポリマーと分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーとを含有するポリマー構造体の最表面に、XPSで検出可能なレベルまで該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布したポリマー構造体を得ることができる。
本発明の製造方法により、非常に効率的に高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基をポリマー構造体の最表面に高密度に分布させることが可能となる。
従って、本発明は、ポリマー構造体の最表面に該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布しているポリマー構造体を提供する。
本発明のポリマー構造体は、その形状が特に限定されるものではなく、例えば、フィルム、膜、シート、球、粒状物、繊維、成形体など各種の形状を採り得るものである。
更に本発明は、前記ポリマー構造体の最表面に位置する親水性官能基に対してビニル系高分子鎖がグラフト重合されたグラフトポリマー構造体を提供する。
親水性官能基として光重合開始剤となるジチオカルバメート基を分子末端に有する高分岐ポリマーを有するポリマー構造体は、該ポリマー構造体の最表面において該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布しているので、その表面上でリビングラジカル重合することによってジチオカルバメート基に対してビニル系高分子鎖をグラフトすることができる。
グラフトされるビニル系高分子鎖を形成するモノマーとしては、グラフト重合可能なビニル基を少なくとも1つ有するモノマーが挙げられる。これらの具体例としては、スチレン類、ビニルビフェニル類、ビニルナフタレン類、ビニルアントラセン類、アクリル酸類、メタクリル酸類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルピロリドン類、アクリロニトリル類、マレイン酸類、マレイミド類、ジビニル化合物類及びトリビニル化合物類が挙げられる。
リビングラジカル重合による表面グラフトは、ビニル系高分子鎖を形成するモノマー中で塊状状態で重合する方法、水又は有機溶剤を使用した溶液状態で重合する方法などの公知の重合形式により行うことができる。
リビングラジカル重合による表面グラフトは、加熱又は紫外線等の光照射によって行うことができる。紫外線等の光照射によって行うことが好ましい。リビングラジカル重合においては、重合開始前に反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。重合時間としては、例えば0.1ないし100時間、1ないし50時間又は3ないし30時間である。重合温度は特に制限されないが、例えば0ないし200℃、10ないし150℃又は20ないし100℃である。
リビングラジカル重合時には、分子量や分子量分布を調整するために、メルカプタン類及びサルファイド類等の連鎖移動剤や、二硫化テトラエチルチウラムなどのスルフィド化合物を使用することができる。さらに所望により、ヒンダードフェノール類などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤、4−tert−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ニトロフェノール、ニトロクレゾール、ピクリン酸、フェノチアジン及びジチオベンゾイルジスルフィド等の重合禁止剤を使用できる。
上述の方法によって、ポリマー構造体の最表面に、ビニル系高分子鎖がグラフト重合されたグラフトポリマー構造体を得ることができる。またグラフト重合を光照射によって行う場合には、適当なマスクを用いることによってグラフト重合部分のパターニングも可能である。
以下、本発明の特徴をさらに具体的に示すため実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
なお、下記において、X線光電子分光(XPS)測定及び紫外光(UV)照射は、下記装置を使用した。
[1]X線光電子分光(XPS)測定
・XPS,PHI5800 ESCA system(Physical Electronics,Co.,Ltd.製)
[2]紫外光(UV)照射
・Mercury−Xenon lamp L8251(浜松ホトニクス(株)製)
・Color filter UV−33(東芝ガラス(株)製)
[3]膜厚測定
偏光解析測定装置 M−150(日本分光株式会社(JASCO Co.,Ltd.)製)
[実施例1]
トルエン溶液に、分子末端がジチオカルバメート基である式(14)で表されるハイパーブランチポリマー(日産化学工業(株)製、商品名オプトビーズHPS)(Mn=4,900)と線状ポリスチレン(PS)(Mn=1,550,000、アルドリッチ社製)を(HPS/PS)=(5/95 w/w)となるように溶解した。
Figure 0005430396
得られた溶液をスピンコーティング法によりシリコン基板上に塗布、乾燥し、(HPS/PS)ブレンド膜を調製した。その後、ブレンド膜(膜厚200nm)を純水に浸漬し、アルゴンバブリングを行いながら、358K(85℃)で15時間熱処理を行った。ブレンド膜の表面凝集構造は、X線光電子分光(XPS)測定により評価した。その結果を図1に示す。
ジチオカルバメート基を開始剤とした表面グラフト重合は、モノマーとして、N−isopropylacrylamide(NIPAAm)(関東化学社製)を用いた。ブレンド膜をアルゴンバブリングした10質量%のNIPAAm水溶液に浸漬させ、波長365nmの紫外光(UV)を照射した。照射時間及び照度はそれぞれ、24時間、5mW/cm2とした。UV照射後の膜は、エタノールを用いて十分に洗浄した。UV照射前後におけるブレンド膜表面の凝集構造は、XPSにより評価し、膜厚はXPS測定の深さ分析及び偏光解析測定により評価した。膜厚は約10nmであった。
図1は、水中熱処理前後におけるブレンド膜のXPS N1sスペクトルである。HPSの分子末端のジチオカルバメート基に起因するN1sの強度が増加していることから、水中熱処理を施すことによりHPSは(HPS/PS)ブレンド膜の最表面に濃縮している。
図2は、グラフト重合前後におけるXPS C1sスペクトルである。NIPAAmに起因するカルボニル炭素のピークが288eV付近に観測されたことから、PSマトリクス上にNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層が形成したと結論できる。グラフト層の厚さは、重合条件を変えることで任意に制御できた。表面の濡れ性は大幅に向上した。
[実施例2]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して実施例1と同様の温度20℃であるが、照度2mW/cm2及び照射時間2時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例3]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して実施例1と同様の温度20℃であるが、照度5mW/cm2及び照射時間2時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例4]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して実施例1と同様の温度20℃であるが、照度7mW/cm2及び照射時間24時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例5]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して実施例1と同様の温度20℃であるが、照度15mW/cm2及び照射時間3時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例6]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して実施例1と同様の温度20℃であるが、照度15mW/cm2及び照射時間24時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例7]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して実施例1と同様の温度20℃であるが、照度20mW/cm2及び照射時間24時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例8]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して実施例1と同様の温度20℃であるが、照度25mW/cm2及び照射時間6時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例9]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して温度30℃、照度15mW/cm2及び照射時間6時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例10]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して温度30℃、照度15mW/cm2及び照射時間12時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例11]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して温度30℃、照度15mW/cm2及び照射時間40時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例12]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して温度50℃、照度15mW/cm2及び照射時間1時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例13]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して温度50℃、照度15mW/cm2及び照射時間3時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例14]
実施例1において調製された(HPS/PS)ブレンド膜を、実施例1と同様の条件及び手順に従い熱処理を行った。その後、熱処理された(HPS/PS)ブレンド膜に対して温度50℃、照度15mW/cm2及び照射時間6時間の条件のもと、NIPAAmのグラフト重合を行ったところNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層がPSマトリクス上に形成された。
[実施例15]
実施例1と同様に調製した(HPS/PS)ブレンド膜を水蒸気雰囲気下、373K(100℃)で24時間熱処理を行った。NIPAAmの重合を実施例1と同様に行うとPSマトリクス上にNIPAAmから形成されるポリマーのグラフト層を形成できた。
[比較例1]
実施例1と同様に調製した(HPS/PS)ブレンド膜に熱処理を施さない場合は、HPSの分子末端のジチオカルバメート基の表面分率はきわめて低い。図3中の1の曲線は、製膜直後のXPS N1sスペクトルを示している。明確なピークが観測されていないことは、HPSの分子末端のジチオカルバメート基の表面分率がきわめて低いことを示している。
同膜を用いて、実施例1と同様な重合を行ってもグラフト層の形成は確認できなかった。
[比較例2]
実施例1と同様に調製した(HPS/PS)ブレンド膜を真空中、423K(150℃)で24時間熱処理を行った。図3中の2の曲線は、同膜のXPS N1sスペクトルを示している。N1sシグナルが全く観測されていないことは、HPSの分子末端のジチオカルバメート基の表面分率がきわめて低いことを示している。
同膜を用いて、実施例1と同様な重合を行ってもグラフト層の形成は確認できなかった。
本発明は、ポリマー構造体の表面を改質し得る簡便且つ低廉で汎用性のある技術を提供するものとして、産業上の多分野で利用される各種の機能性ポリマーの開発に資することができる。
図1は、実施例1の水中熱処理前後におけるブレンド膜のXPS N1sスペクトルである。該図中の1は水中熱処理前のスペクトルを示し、該図中の2は水中熱処理後のスペクトルを示す。 図2は、実施例1のグラフト重合前後におけるXPS C1sスペクトルである。該図中の1はグラフト重合前のスペクトルを示し、該図中の2はグラフト重合後のスペクトルを示す。 図3は、実施例1、比較例1及び2の水中熱処理前後におけるブレンド膜のXPS N1sスペクトルである。該図中の1及び2は、それぞれ比較例1及び比較例2のスペクトルを示し、該図中の3は実施例1の水中熱処理後のスペクトルを示す。

Claims (39)

  1. 線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーが含有されているポリマー構造体の製造方法において、
    該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを混合し、一体と成して、該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を形成する工程と、
    次に得られた該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を、該マトリクスポリマーのガラス転移温度より30℃低い温度ないし該マトリクスポリマーの分解温度の範囲内の温度にて、水及び/又は親水性溶剤の中に浸漬処理するか或いは、水及び/又は親水性溶剤の蒸気雰囲気に暴露処理する工程を含む、
    ポリマー構造体の最表面において高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布することを特徴とするポリマー構造体の製造方法。
  2. 前記高分岐ポリマーが、デンドリティックポリマー、くし型ポリマー及びハイパーブランチポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー構造体の製造方法。
  3. 前記ハイパーブランチポリマーが、式(1)で表されるハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、請求項2に記載のポリマー構造体の製造方法。
    Figure 0005430396
    [式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、W及びWは、それぞれ独立して、チオール基、ハロゲン基、アミノ基又はジチオカルバメート基を表し、Aは式(2)及び/
    又は式(3):
    Figure 0005430396
    (式中、Aはエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X、X、X及びXは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。]。
  4. 前記Aが式(4)で表される基を表す、請求項3に記載のポリマー構造体の製造方法。
    Figure 0005430396
  5. 前記Aが式(5)で表される基を表す、請求項3に記載のポリマー構造体の製造方法。
    Figure 0005430396
    (式中、mは2ないし10の整数を表す。)
  6. 前記W及びWがジチオカルバメート基である、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のポリマー構造体の製造方法。
  7. 前記Rが水素原子である、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のポリマー構造体の製造方法。
  8. 前記W及びWがジチオカルバメート基であり、前記Rが水素原子である、請求項4に記載のポリマー構造体の製造方法。
  9. 前記マトリクスポリマーが、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項3ないし
    請求項8のいずれか1項に記載のポリマー構造体の製造方法。
  10. 前記マトリクスポリマーが、ポリスチレンである、請求項9に記載のポリマー構造体の製造方法。
  11. 前記浸漬処理又は前記暴露処理における処理時間が、0.001ないし100時間である、請求項1に記載のポリマー構造体の製造方法。
  12. 前記マトリクスポリマーに混合される前記高分岐ポリマーの量が、該マトリクスポリマーの質量に対して最大25質量%ないし最小0.1質量%の量である、請求項1に記載のポリマー構造体の製造方法。
  13. 線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーが含有されているポリマー構造体の製造方法において、
    該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを混合し、一体と成して、該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を形成する工程と、
    次に得られた該マトリクスポリマーと該高分岐ポリマーとを含有する構造体を、該マトリクスポリマーのガラス転移温度より30℃低い温度ないし該マトリクスポリマーの分解温度の範囲内の温度にて、水及び/又は親水性溶剤の中に浸漬処理するか或いは、水及び/又は親水性溶剤の蒸気雰囲気に暴露処理する工程と、
    その後処理された構造体の最表面に位置する親水性官能基に対してビニル系高分子鎖をグラフト重合する工程とを含む、
    ポリマー構造体の最表面において高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布し、更に該親水性官能基の少なくとも一部に対してビニル系高分子鎖がグラフトされていることを特徴とするグラフトポリマー構造体の製造方法。
  14. 前記高分岐ポリマーが、デンドリティックポリマー、くし型ポリマー及びハイパーブランチポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項13に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  15. 前記ハイパーブランチポリマーが、式(1)で表されるハイパーブランチポリマーであることを特徴とする、請求項14に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
    Figure 0005430396
    [式中、R は水素原子又はメチル基を表し、W 及びW は、それぞれ独立して、チオール基、ハロゲン基、アミノ基又はジチオカルバメート基を表し、A は式(2)及び/又は式(3):
    Figure 0005430396
    (式中、A はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X 、X 、X 及びX は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。]。
  16. 前記A が式(4)で表される基を表す、請求項15に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
    Figure 0005430396
  17. 前記A が式(5)で表される基を表す、請求項15に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
    Figure 0005430396
    (式中、mは2ないし10の整数を表す。)
  18. 前記W及びWがジチオカルバメート基である、請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  19. 前記Rが水素原子である、請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  20. 前記W及びWがジチオカルバメート基であり、前記Rが水素原子である、請求項16に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  21. 前記マトリクスポリマーが、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項15ない
    し請求項20のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  22. 前記マトリクスポリマーが、ポリスチレンである、請求項21に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  23. 前記浸漬処理又は前記暴露処理における処理時間が、0.001ないし100時間である、請求項13に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  24. 前記マトリクスポリマーに混合される前記高分岐ポリマーの量が、該マトリクスポリマーの質量に対して最大25質量%ないし最小0.1質量%の量である、請求項13に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  25. 前記ビニル系高分子鎖が、リビングラジカル重合によってグラフトされることを特徴とする、請求項13に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  26. 前記リビングラジカル重合における重合時間が、0.01ないし100時間である、請求項25に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  27. 前記リビングラジカル重合における重合時間が、0.1ないし100時間である、請求項25に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  28. 前記リビングラジカル重合における重合温度が、0ないし200℃である、請求項25に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  29. 前記ビニル系高分子鎖が、アクリルアミド類又はメタクリルアミド類から形成されることを特徴とする、請求項15に記載のグラフトポリマー構造体の製造方法。
  30. 線状ポリマーからなるマトリクスポリマーに、分子末端に親水性官能基を有する高分岐ポリマーが含有されているポリマー構造体であって、高分岐ポリマーが式(1)で表されるハイパーブランチポリマーであり、該ポリマー構造体の表面及び/又は界面付近に該高分岐ポリマーが濃縮され、かつ該ポリマー構造体の最表面において該高分岐ポリマーの分子末端の親水性官能基が高密度に分布し、更に該親水性官能基の少なくとも一部に対してビニル系高分子鎖がグラフトされていることを特徴とするグラフトポリマー構造体。
    Figure 0005430396
    [式中、R は水素原子又はメチル基を表し、W 及びW は、それぞれ独立して、チオール基、ハロゲン基、アミノ基又はジチオカルバメート基を表し、A は式(2)及び/又は式(3):
    Figure 0005430396
    (式中、A はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X 、X 、X 及びX は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100000の整数を表す。]。
  31. 前記A が式(4)で表される基を表す、請求項30に記載のグラフトポリマー構造体。
    Figure 0005430396
  32. 前記A が式(5)で表される基を表す、請求項30に記載のグラフトポリマー構造体。
    Figure 0005430396
    (式中、mは2ないし10の整数を表す。)
  33. 前記W及びWがジチオカルバメート基である、請求項30ないし請求項32のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体。
  34. 前記Rが水素原子である、請求項30ないし請求項32のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体。
  35. 前記W及びWがジチオカルバメート基であり、前記Rが水素原子である、請求項31に記載のグラフトポリマー構造体。
  36. 前記マトリクスポリマーが、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、アクリル
    樹脂及びメタクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項30ないし請求項35のいずれか1項に記載のグラフトポリマー構造体。
  37. 前記マトリクスポリマーが、ポリスチレンである、請求項36に記載のグラフトポリマー構造体。
  38. 前記ビニル系高分子鎖が、アクリルアミド類又はメタクリルアミド類から形成されることを特徴とする、請求項30に記載のグラフトポリマー構造体。
  39. 前記ビニル系高分子鎖が、リビングラジカル重合によってグラフトされていることを特徴とする、請求項30に記載のグラフトポリマー構造体。
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