JP2009018215A - コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法及び分離材 - Google Patents

コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法及び分離材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を一回塗布するだけで耐水性を有し、必要な厚みのコア−シェル型高分子ゲル微粒子含有層を形成することができる、コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、(1)PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーを、水及び/またはアルコール中で重合させて、平均粒子径20nm〜3000nmのコア−シェル型高分子ゲル微粒子を調製する工程、(2)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとを混合する工程、及び(3)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を基材に塗布する工程を含む、コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法、ならびに当該方法により製造される分離材を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法及びコア−シェル型高分子ゲル微粒子が固定化された分離材に関する。
コア(核)−シェル(殻)型高分子微粒子は、粒子の表面と内部が異なった高分子で構成された微粒子であり、表面の高分子は主に媒体中での分散に寄与し、内部に異なる高分子を包含する。内部の高分子に薬剤を包含させたり、感温性等の機能をもたせることで、媒体中における分散に優れた機能性微粒子を提供することができる。
また、このようなコア−シェル型高分子微粒子を、媒体中に分散させるのではなく、基材に固定化することができれば、フィルター等の分離材、センサー、ミクロ反応槽等に応用することができる。
従来、コア−シェル型高分子微粒子を基材に固定化する方法としては、基材上に、アルデヒド基で置換したポリエチレングリコール/ポリラクチドブロックコポリマーからなる反応性基含有ポリマー粒子(コア−シェル型高分子微粒子)と、反応性高分子であるポリアリルアミンとの反応積層を繰り返す方法がある(非特許文献1)。
また、より一般的な微粒子の固定化方法としては、電荷の異なる粒子(樹脂)を交互に積層する交互積層法が知られている(例えば、特許文献1)。
しかし、非特許文献1に記載の方法において、ポリエチレングリコールおよびポリアリルアミンはいずれも水溶性高分子であり、耐水性に乏しい。また、コア−シェル型高分子微粒子の層が一定の厚さとするためには、コア−シェル型高分子微粒子及びポリアリルアミンの反応積層を何度も繰り返す必要があり、手間及び時間を要するという欠点を有する。
また、特許文献1に記載の方法は、正負が同一の粒子を積層することができず、また、帯電していない粒子を固定化することもできない。また、特許文献1に記載の方法においては、一定以上の厚さの層を形成させるためには、積層工程を何度も繰り返す必要があり、手間及び時間を要するという欠点を有する。
かかる状況の下、工業的に有利なコア−シェル型高分子微粒子の固定化方法の開発が切望されている。
特許第3533606号 飯島及び長崎、高分子加工、 50, 2 (2001)
本発明は、コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を一回塗布するだけで耐水性を有し必要な厚みのコア−シェル型高分子ゲル微粒子含有層を形成することができる、コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーを、水及び/またはアルコール中で重合させて、平均粒子径20nm〜3000nmのコア−シェル型高分子ゲル微粒子を調製し、当該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を基材に一回塗布することによって、耐水性を有し、必要な厚さの薄膜層を得ることができる方法を見出した。
すなわち、本発明は、以下の項1〜5、7及び8に示すコア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法、ならびに項6及び9に示す分離材に関する。
項1.コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法であって、下記工程(1)〜(3):
(1)PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーを、水及び/またはアルコール中で重合させて、平均粒子径20nm〜3000nmのコア−シェル型高分子ゲル微粒子を調製する工程、
(2)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとを混合する工程、及び
(3)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を基材に塗布する工程
を含む、方法。
項2.PEG含有高分子アゾ重合開始剤が一般式(I):
Figure 2009018215
(式中、mは20〜250の整数、nは4〜50の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である項1に記載の方法。
項3.コア−シェル型高分子ゲル微粒子が表面に凹凸を有する、項1または2に記載の方法。
項4.PEG含有高分子アゾ重合開始剤におけるPEG換算のモル数に対する多官能性モノマーのモル数の比が、前者1に対して後者が0.5〜150程度である項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5.多官能性モノマーが、エチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールジメタクリレート及びエチレンビスアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜3のいずれかに記載の方法。
項6.項1〜5のいずれかに記載の方法により製造される分離材。
項7.コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法であって、下記工程(1)及び(2):
(1)コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとを混合する工程、
[当該工程において、該コア−シェル型高分子ゲル微粒子は、多官能性モノマーが重合してなる高分子を含むコア部と、PEG含有高分子を含むシェル部からなるコア−シェル型高分子ゲル微粒子であって、該微粒子の平均粒子径に対する粒子径の標準偏差の比は、前者1に対して後者が0.05〜0.6程度である。]
及び
(2)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を基材に塗布する工程、
を含む、方法。
項8.多官能性モノマーが、エチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールジメタクリレート及びエチレンビスアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である項7に記載の方法。
項9.項7又は8に記載の方法により製造される分離材。
本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法は、コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を一回塗布するだけで耐水性を有し、必要な厚みのコア−シェル型高分子ゲル微粒子含有層を形成することができるため、非常に簡便である。
本発明方法の第一工程において調製されるコア−シェル型高分子ゲル微粒子は、構成成分である高分子が架橋により互いに結合されているので、微粒子としての安定性が高い。また、本発明の方法は、従来の方法と比較して、基材にコア−シェル型高分子ゲル微粒子を強固に固定することができる。従って、コア−シェル型高分子ゲル微粒子が固定されてなる本発明の分離材を試料の分離に用いた場合、コア−シェル型高分子ゲル微粒子が分解又は当該基材から脱離して試料中に混入すること等が生じにくいという利点を有する。
さらに、凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子を含む実施形態においては、当該ゲル微粒子の体積に対する比表面積が高く、シェル部により多くの分子を吸着させることができるので、本発明の分離材は、単離体積当りより多くの物質を分離することができる。また粒子表面に凹凸を有し、比表面積が大きいこと、耐水性を有する固定化が可能であることを活用し、水溶液中におけるナノ微粒子などを効率的に分離することができる。
また、本発明の方法において調製される、架橋による三次元網目構造を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子は、平均粒子径の分布が狭く、均質な微粒子である。従って、本発明の方法は、均質なコア−シェル型高分子ゲル微粒子が固定化された分離材等を製造することができるため、工業的に有利である。
本発明は、コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法であって、下記工程(1)〜(3):
(1)PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーを、水及び/またはアルコール中で重合させて、平均粒子径20nm〜3000nmのコア−シェル型高分子ゲル微粒子を調製する工程、
(2)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとを混合する工程、及び
(3)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を基材に塗布する工程
を含む、方法を提供する。
以下、本発明を詳述する。
I.コア−シェル型高分子ゲル微粒子の調製工程
本発明の方法は、(1)PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーを、水及び/またはアルコール中で重合させて、平均粒子径20nm〜3000nmのコア−シェル型高分子ゲル微粒子を調製する工程を包含する。
当該コア−シェル型高分子ゲル微粒子は、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」とも表記する)含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーを、水及び/またはアルコール中で重合させて製造することができる。
本明細書において、コア−シェル型高分子微粒子とは、粒子の表面(シェル)と内部(コア)が異なった高分子で構成された微粒子を意味する。
本発明においてゲル微粒子とは、当該粒子中に三次元網目構造を有する高分子微粒子であり、溶媒の種類によっては、その三次元網目構造中に溶媒を含んで膨潤し、粒子内部に有機物を貯蔵することができる微粒子である。
従って、本発明におけるコア−シェル型高分子ゲル微粒子は、多官能性モノマーが重合してなる高分子を含むコア部と、PEG含有高分子を含むシェル部とからなり、架橋による三次元網目構造を有するコア−シェル型高分子微粒子であって、そのコア部に三次元網目構造を有し、溶媒の種類によっては、その三次元網目構造中に溶媒を含んで膨潤し、粒子内部に有機物を貯蔵することができる微粒子である。本発明における「コア−シェル型高分子ゲル微粒子」は、コア部だけでなくシェル部にも三次元網目構造を有し得る。
なお、本発明において、用語「ゲル微粒子」「コア−シェル型高分子ゲル微粒子」は、その三次元網目構造に溶媒分子を保持していない状態のものも包含し得る。
本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の原料であるPEG含有高分子アゾ重合開始剤とは、分子内にPEG及びアゾ基(−N=N−)を含有する繰り返し単位を含む高分子化合物である。具体的には、一般式(I):
Figure 2009018215
(式中、mは20〜250の整数、nは4〜50の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である。
一般式(I)において、mは30〜200の整数が好ましく、40〜150の整数がより好ましい。また、nは4〜40の整数が好ましく、5〜20の整数がより好ましい。
より具体的には、一般式(II):
Figure 2009018215
(式中、R1はHまたはアルキル基、R2はHまたはアルキル基、mは20〜250の整数、nは4〜50の整数を示す)
で表される高分子化合物である。
一般式(II)において、mは30〜200の整数が好ましく、40〜150の整数がより好ましい。また、nは4〜40の整数が好ましく、5〜20の整数がより好ましい。
一般式(II)において、R1で示されるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキ
ル基が好ましく、具体的にはメチル、エチル、イソプロピル等が挙げられる。特に、メチル基が好ましい。
一般式(II)において、R2で示されるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキ
ル基が好ましく、具体的にはメチル、エチル、イソプロピル等が挙げられる。特に、メチル基が好ましい。
PEG含有高分子アゾ重合開始剤の分子量は、5000〜10万程度、好ましくは1万〜5万であればよい。また、該開始剤のPEG部分の分子量は、800〜1万程度、好ましくは1000〜8000程度であればよい。
このPEG含有高分子アゾ重合開始剤は、PEGを有しているため重合反応の媒体である水及び/またはアルコール中に良好に溶解することができ、また、分子鎖骨格中に重合開始部分(ラジカル発生部分:―N=N−)を有しているため、別途水溶性重合開始剤を使用する必要がない。さらに溶媒に完全に溶解しない多官能性モノマーを添加した場合でも、ミセル様の前駆体を形成し、微粒子を形成する組成範囲(溶媒中の水/アルコール比と多官能性モノマー/PEG含有高分子アゾ重合開始剤との比)が広いという特徴を有している。しかも、分子骨格中にラジカル発生部分であるアゾ基を有しているため、末端反応性マクロモノマーに比べてラジカルの反応性、安定性が高いという特徴をも有している。
PEG含有高分子アゾ重合開始剤の具体例としては、和光純薬製の高分子アゾ重合開始剤VPE0201(分子量約15000〜30000、PEG部分の分子量2000[上記一般式(II)においてm=約45.5、n=約6.6〜13.3の化合物に対応])、VPE0401(分子量25000〜40000、PEG部分の分子量4000[上記一般式(II)においてm=約90.9、n=約5.9〜9.4の化合物に対応])VPE0601(分子量25000〜40000、PEG部分の分子量6000[上記一般式(II)においてm=約136.3、n=約4.0〜6.4の化合物に対応])等が例示される。高分子アゾ重合開始剤VPEシリーズの合成方法は、例えば、J.J.Laverty and Z.G.Gardlund, J.Polym.Sci., Polym. Chem.Ed., 15, 2001 (1977)、A.Ueda, S.Nagai, J.Polym.Sci., Polym. Chem.Ed., 24, 405 (1986)等の文献に記載されている。
本発明において調製されるコア−シェル型高分子ゲル微粒子の原料である多官能性モノマーとは、二重結合を有する官能基を分子内に2個以上、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜3個有しているモノマーである。この多官能性モノマーは、重合反応によりコア−シェル型高分子ゲル微粒子のコア部を形成する。当該多官能性モノマーに起因して、本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子は、その構成成分である高分子が架橋されてなる三次元網目構造を有することとなる。
官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基、等の不飽和炭化水素基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、等の不飽和エステル、不飽和アミド、フルオロエチレン基、フッ化ビニリデン基、トリフルオロエチレン基等のフッ素系炭化水素基が挙げられるがこれらに限定されない。
このような多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルサイトレート、エチレングリコールジアクリレート、フェニレンジグリコールジアクリレート等を例示できる。
多官能性モノマーは、上記のうちの1種、或いは上記のうちから選ばれる2種以上を選択することができる。本発明の多官能性モノマーとしては、微粒子の形成し易さの点から、比較的極性の高い分子が好ましい。
本発明の重合反応の媒体は、水及び/またはアルコールが用いられる。水は、塩を含まないイオン交換水を用いることが好ましい。アルコールとしては、エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4のアルコールが好適である。好ましい媒体としては、水を主成分とするものが好ましく、水とアルコールの体積比が95/5〜40/60程度、好ましくは90/10〜40/60程度の混合媒体が好適である。なお、水及びアルコールに加えて、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の他の溶媒を用いてもよいが、媒体全体の体積の60体積%以下であることが好ましい。
重合反応における媒体の使用量は、溶液中の85〜99.9wt%程度であればよい。
重合反応に際し、原料である多官能性モノマー及びPEG含有高分子アゾ重合開始剤は、多官能性モノマーのモル数とPEG含有高分子アゾ重合開始剤におけるPEG換算のモル数との比が、0.5:1〜150:1程度、好ましくは0.5:1〜100:1程度になるように配合される。
ここで、「PEG含有高分子アゾ重合開始剤におけるPEG換算のモル数」とは、PEG換算分子量を[PEG部分の分子量+226]として、(PEG含有高分子アゾ重合開始剤の使用量g)/(PEG換算分子量[PEG部分の分子量+226])で算出される値を意味する。
また、多官能性モノマー及びPEG含有高分子アゾ重合開始剤は、反応溶液中の多官能性モノマーとPEG含有高分子アゾ重合開始剤の濃度の合計が、0.1-15wt%程度、好ましくは0.2-10wt%程度、より好ましくは0.5-6wt%程度となるように配合される。
多官能性モノマー及びPEG含有高分子アゾ重合開始剤を上記のような条件で配合することによって、実質的に球状でありかつ表面に凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子の分散粒子を製造することができる。
本発明において、「表面に凹凸を有する」とは、表面に複数の突起及び/またはへこみを有することを示し、「表面に複数の突起を有する」、「金平糖型」等と同様の概念を包含する。
粒子表面に凹凸を有することによって、例えば、診断薬用途において、粒子1個あたりにより多くの抗原タンパクを結合させることができるようになる等の利点が生じる。
さらに、上記重合反応の際に、上記の多官能性モノマーに加えて、一官能性モノマーを添加してもよい。
ここで、一官能性モノマーとは、二重結合を有する官能基を分子内に1個有するモノマーである。
一官能性モノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、ヘキサン酸ビニル、ラウリル酸ビニルなどのビニルエステル類、オクテン、スチレン、などの不飽和炭化水素、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸等が挙げられる。
一官能性モノマーを添加する場合、多官能性モノマーと一官能性モノマーとの使用割合は、前者1モルに対して、後者が通常約2モル以下、好ましくは約1モル以下である。
また、一官能性モノマーを添加する場合、重合反応に際し、原料である多官能性モノマー及びPEG含有高分子アゾ重合開始剤は、多官能性モノマー及び一官能性モノマーのモル数の合計とPEG含有高分子アゾ重合開始剤におけるPEG換算のモル数との比が、0.5:1〜150:1程度、好ましくは0.5:1〜100:1程度になるように配合される。
また、この場合、反応溶液中の多官能性モノマー、PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び一官能性モノマーの濃度の総和が、0.1-15wt%程度、好ましくは0.2-10wt%程度、より好ましくは0.5-6wt%程度となるように配合される。
この場合、多官能性モノマー、PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び一官能性モノマーを上記のような条件で配合することによって、実質的に球状でありかつ表面に凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子の分散粒子を製造することができる。
コア−シェル型高分子ゲル微粒子は、PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーを、水及び/またはアルコール中で重合させることにより製造することができる。具体的には、例えば、上記した配合量に基づき、次のようにして実施することができる。
PEG含有高分子アゾ重合開始剤を水(特に、イオン交換水)に溶解(分散)した後、アルコール(特に、エタノールまたはイソプロパノール)及び多官能性モノマーを加えて溶解(分散)させ、60〜100℃(好ましくは65〜85℃)に加熱して攪拌する。加熱攪拌は、窒素ガスを連続的にバブリングさせて行う。窒素ガス導入後約15から60分程度で反応溶液は乳白色に濁りはじめ、その後窒素気流下5〜24時間加熱攪拌を続ける。
上記操作において、PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーは、分散重合、ソープフリー乳化重合等のような形態の重合反応をする。
ここで、ソープフリー乳化重合とは、PEG含有高分子アゾ重合開始剤以外の界面活性剤を含まない系における乳化重合を意味する。
得られた混合物を、遠心分離と透析(分子量1000以下を通す透析膜を用いて水に対して透析)を行うことにより三次元網目構造を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子を得る。ここで、水に対して透析とは、透析膜に合成して得た混合溶液を入れ、透析膜ごと水中に放置しておく(ビーカー等に入れて)と、浸透圧で水と低分子量成分が入れ替わり、架橋による三次元網目構造を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子の水分散液が得られるとするものである。この製造方法の模式図を図1に示す。
本発明では、PEG含有高分子アゾ重合開始剤は、活性点(ラジカル開始点)を主鎖骨格中に有しているため活性点が安定であり、また1分子中に数個の活性点を有しているためモノマーと反応しやすい。したがって高い収率で本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子を得ることができる。また広い溶媒組成、モノマー・高分子アゾ重合開始剤比の組成範囲においてコア−シェル型高分子ゲル微粒子を得ることができる。
得られる本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の平均粒子径は、20〜3000nm程度、好ましくは90〜1000nm程度であり、平均粒子径に対する粒子径の標準偏差の比が前者1に対して後者が0.03〜0.6程度、特に0.05〜0.3程度と、個々の微粒子がほぼ均一の大きさであり、単分散に近い分布をしている。なお、平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定により行う。
また、本発明において、原料であるPEG含有高分子アゾ重合開始剤におけるPEG換算のモル数に対する多官能性モノマーのモル数の比を、前者1に対して後者が0.5〜150程度の範囲で調節することにより、製造される本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の平均粒子径を20〜1000nm程度の範囲に制御できるという利点がある。通常、疎水性ビニル系モノマーのモル数に対し、PEG換算のモル数が大きくなると、当該コア−シェル型高分子ゲル微粒子の平均粒子径が減少していく。
また、原料であるPEG含有高分子アゾ重合開始剤におけるPEG換算のモル数に対する疎水性ビニル系モノマーのモル数の比を変えることによって、生成される本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の膨潤度を変化させることもできる。すなわち、PEG換算のモル数に対するビニル系モノマーのモル数の比が小さくなるほど、膨潤度は大きくなる傾向が見られた。これは、モノマーに対してPEG含有高分子アゾ重合開始剤の濃度が高くなるほど、三次元架橋の架橋密度が小さくなることに加えて分岐が起きやすくなるためと考えられる。
本発明において調製されるコア−シェル型高分子ゲル微粒子は、複数の高分子が、共有結合により架橋されて一体となった構造を有する。従って、本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子は、温度及び溶媒に対して安定である。すなわち、加熱しても溶融、熱分解しにくく、また溶媒中に分散させた際に良溶媒であっても溶解しないという特徴を有する。本発明者らは多官能性モノマーによる架橋構造を含まないコア−シェル型高分子微粒子をPEG含有高分子アゾ重合開始剤及び疎水性ビニル系モノマーから製造する方法を開発しているが、同程度の配合のもの同士を比較した場合、本発明による架橋構造を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子の方が熱分解開始温度(5%減量時の温度)は約20℃高い。また、架橋構造のないコア−シェル型高分子微粒子はトルエンなどに溶解するが、架橋構造を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子では膨潤はするが、溶解はしない。
II.コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合
本発明の方法は、上記工程において調製されたコア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとを混合する工程を含む。
前述のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の調製工程において、コア−シェル型高分子ゲル微粒子は、通常、水/エタノール混合溶媒中へのディスパージョンとして得られる。
当該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合工程において、コア−シェル型高分子ゲル微粒子は、水/エタノール混合溶媒へのディスパージョンの状態で用いても、当該ディスパージョンからコア−シェル型高分子ゲル微粒子を遠心分離、乾燥により粉末固体としたものを用いてもよい。
本発明の方法において用いられるバインダーとしては、例えば、ポリウレタン、シリコーン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等の樹脂;水ガラス等を挙げることができる。
バインダーとして、樹脂を用いる場合、当該樹脂は、単独で用いてもよく、水、エタノール、これらの混合溶媒等の溶媒に溶解又は分散したディスパージョンとして用いてもよい。
また、当該溶液またはディスパージョン中の樹脂の含有量は、通常5〜40重量%である。
バインダーとして、水ガラスを用いる場合、珪酸ナトリウム濃度は、通常20〜80 重量%である。
コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの使用割合は、各有効成分の使用割合として、前記1重量部に対して、通常4〜0.17重量部、好ましくは1〜0.17重量部、より好ましくは0.6〜0.17重量部である。ここで、「各有効成分の使用割合として」とは、例えば、コア−シェル型高分子ゲル微粒子の分散液と、バインダーとしてポリウレタンの分散液を用いた場合、有効成分のコア−シェル型高分子ゲル微粒子とポリウレタンとの使用割合を示す。
当該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合工程において、これらの成分に加えて、任意成分として、例えば、乳化剤、分散剤、相溶化剤等を適宜添加してもよい。
III.コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物の塗布
本発明の方法は、コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を基材に塗布する工程を含む。
当該塗布工程において用いる基材の材料としては、バインダーとの接着性が良好な材料であれば特に限定されないが、例えば、PET等の樹脂、ガラス、金属、繊維等を挙げることができる。
基材の形状としては、板、シート、フィルム、不織布、メンブレンフィルター、メッシュ、塗膜、等を挙げることができる。
これらの基材に、塗布するコア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物の量は、通常、1x10-5〜1x10-3g/cm2、好ましくは1x10-4〜1x10-3g/cm2、より好ましくは2x10-4〜1x10-3g/cm2である。
塗布方法としては、基材へのバインダーの塗布において通常用いられる、スピンコート、ディッピング、スプレー、バーコート等の方法を広く使用することができる。また、基材としてメンブレンフィルター等を用いる場合、本発明における塗布には、当該基材を通して混合物を吸引して、基材に混合物を付着させることも含まれる。
バインダーを塗布した基材を、当該分野において通常用いられる方法に従い適宜乾燥させる。
当該工程において、コア−シェル型高分子ゲル微粒子は、バインダーとの水素結合による相互作用、共有結合等によって基材上に固定される。
IV.用途
本発明の方法において調製されるコア−シェル型高分子ゲル微粒子は、そのコア部に目的の物質を保持させることによりカプセル化微粒子を製造することができる。例えば、本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子は、その三次元網目構造内に溶媒及び目的物質を取り込んで膨潤し、カプセル化微粒子となる。
従って、本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法は、分離材、リアクター、貯蔵材、センサー、分析機器、等の製造に有用である。また、医薬、農薬、反応試薬等の徐放デバイスの製造に応用することも可能である。
V.分離材
本発明は、上述した本発明のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法により基材にコア−シェル型高分子ゲル微粒子が固定化されてなる分離材を提供する。
分離材の形状としては、例えば、フィルター、カラム、シート、等が挙げられる。
本発明の分離材を用いることによって、試料から、例えば、金属等のナノ微粒子、ウイルス、浮遊塵等を分離することができる。
次に本発明を、以下の実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、これによって本発明が限定されるわけではない。
実施例1
コア−シェル型高分子ゲル微粒子の調製
以下の方法によりコア−シェル型高分子ゲル微粒子を調製した。
冷却管、温度計、窒素導入管を備えた200ml 4つ口フラスコにポリエチレングリコール・ブロック(分子量2000)を含む高分子アゾ重合開始剤VPE0201 5x10-4mol (1.131g、和光純薬製)をくわえて、エタノール40cc / 水60ccの混合溶媒に溶解させた後、エチレングリコールジメタクリレート 0.0098mol (1.9426g EGDMA)、メタクリル酸 0.0002mol (0.0172g MAA)を加えて、均一に溶解させた。上記4つ口フラスコをオイルバス中に固定し、撹拌させながら75℃まで温度を上昇させた。75℃に達したら窒素ガスのバブリングにより重合を開始させ、約15分程度で白濁しはじめた。75℃における加熱、撹拌を13時間続けることで凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子分散液を得た。得られた分散液(以下、この分散液をE127と示す)中のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の含有量は約3.2wt%であった。
コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合
分散液(E127)2gとウレタンディスパージョン W-615(ポリウレタン含有率35重量%(溶媒:水))(三井化学ポリウレタン製)0.023gを混合した(混合物中のコア−シェル型高分子ゲル微粒子とポリウレタンとの重量比、約80:20)。
コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物の塗布
混合分散液をメンブレンフィルター(東洋濾紙工業製、混合セルロースエステル系、孔径0.1μm、φ47mm, 以下MF01と示す。)上にスピンコーターで塗布し、風乾後80℃2時間乾燥させることでフィルターを作製した(以下、このフィルターをF30と示す)。塗布量は3〜6x10-4g/cm2(厚さ約300〜600nm)であった。フィルターF30の塗布表面のSEM像を図2に示す。
フィルターの性能評価
フィルターF30をフィルターホルダーにセットし、金ナノ粒子(粒子径11nm、約.0.01wt%)分散液2ccを減圧ろ過により分別し、ろ液を回収した。ろ過に要した時間は約3分程度であった。分光光度計により未ろ過の分散液及びろ液の520 nm付近におけるピーク吸光度を測定し、フィルターによる金ナノ粒子の分別率を、下記の式に従い求めた。
分別率(%)= (A0 - Af) x 100 / A0
ここで A0;未ろ過の分散液の520 nm付近におけるピーク吸光度
Af;フィルターろ液の520 nm付近におけるピーク吸光度
その結果、フィルターF30の金ナノ粒子分別率は98.8%であった。
実施例2
高分子アゾ重合開始剤VPE0201の代わりにポリエチレングリコール・ブロック部分の分子量が6000である高分子アゾ重合開始剤VPE0601を5x10-4mol (3.131g)用い、実施例1と同様の方法により凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子分散液を得た(以下、この分散液をE128と示す)。得られた分散液(E128)中のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の含有量は約5wt%であった。
分散液E128とウレタンディスパージョン W−615とを混合し、コア−シェル型高分子ゲル微粒子とウレタンとの重量比が60:40、70:30及び80:20である混合物を調製した(それぞれ、混合物M24、M25及びM26とする)。得られた混合物M24、M25及びM26を、スピンコートにより孔径0.1μmのメンブレンフィルター(MF01)に塗布し、乾燥させて、フィルターを作製した(混合物M24、M25及びM26を塗布したフィルターを、それぞれ、F24、F25及びF26とする)。フィルターF24およびフィルターF26の塗布表面のSEM像を図3に示す。
それぞれのフィルターについて、金ナノ粒子(11nm)分散液2ccを減圧ろ過により分別した。金ナノ粒子分散液2ccのろ過に要した時間および金ナノ粒子分別率は、下記の通りであった。
ろ過時間 金ナノ粒子分別率
フィルターF24 16時間 100%
フィルターF25 30分 99.8%
フィルターF26 4分 93.6%
ウレタン含有率が高い場合、ウレタンがメンブレンフィルターM01の孔を塞ぐため、金ナノ粒子分別率は高くなるが、ろ別に要する時間は非常に長くなった。ウレタン含有率を20wt%程度とした場合には、比較的短時間で金ナノ粒子をろ別可能であり、実施例1)2)のように分別率も90%を超える結果であった。コア−シェル型高分子ゲル微粒子含有率が85%以上の場合、メンブレンフィルターM01上へのコア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定が困難となり、ろ過の途中でコア−シェル型高分子ゲル微粒子が脱落して金ナノ粒子分別率が著しく低下した。
実施例3
実施例1において高分子アゾ重合開始剤VPE0201の代わりにポリエチレングリコール・ブロック部分の分子量が4000の高分子アゾ重合開始剤VPE0401 5x10-4mol (2.131g)を用いて 1)と同様の方法により重合を行うことで凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子分散液を得た。当該分散液中のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の含有量は3.9wt%であった(この分散液をE197とする)。
同様に実施例1)においてEGDMAの代わりにトリエチレングリコールジメタクリレート0.0098mol (2.806g TEGDMA)を用い、VPE0401 5x10-4mol (2.131g)、メタクリル酸0.0002mol (0.0172g)とともに重合を行うことで凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子分散液を得た。当該分散液中のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の含有量は3.9wt%であった(この分散液をE209とする)。
同様に実施例1)においてEGDMAの代わりにポリプロピレングリコールジメタクリレート(分子量560) 0.0048mol (2.688g PPGDMA)を用い、VPE0401 5x10-4mol (2.131g)、メタクリル酸0.0002mol (0.0172g)とともに重合を行うことで凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子分散液を得た。当該分散液中のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の含有量は2.6wt%であった(この分散液をE218とする)。
同様に実施例1)においてEGDMAの代わりにメチレンビスアクリルアミド0.006mol (0.925g, MBAAm)を用い、VPE0401 5x10-4mol (2.131g)とともに重合を行うことで凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子分散液を得た。当該分散液中のコア−シェル型高分子ゲル微粒子の含有量は1.3wt%であった(この分散液をE225とする)。
コア−シェル型高分子ゲル微粒子分散液E197, E209, E218, E225とウレタンディスパージョンW-615とを用いて、実施例1と同様の方法で、フィルターを作製した。各フィルターによる金ナノ微粒子分別率は下記の通りであった。
Figure 2009018215
なお、メンブランフィルターMF01を単独で用いた場合の金ナノ粒子分別率は23.8%であった。
上記フィルターを用いた金ナノ粒子の分別ろ過(金ナノ粒子分散液2cc)は、いずれも2-5分程度で終了した。
実施例4
実施例1および3において、メンブレンフィルターMF01の代わりに孔径0.2μmのもの(MF02)を用いてコア−シェル型高分子ゲル微粒子-ウレタン混合分散液を塗布し、乾燥させることでフィルターを作製した。各フィルターによる金ナノ微粒子分別率は下記の通りであった。
Figure 2009018215
なおメンブランフィルターMF02を単独で用いた場合の金ナノ粒子分別率は15.8%であった。
上記フィルターを用いた金ナノ粒子の分別ろ過(金ナノ粒子分散液2cc)は、いずれも2−5分程度で終了した。
表2の結果から、メンブランフィルターMF01よりも孔径が大きいメンブランフィルターMF02を用いた場合においても、コア−シェル型高分子ゲル微粒子を固定化したフィルターは、当該メンブレンフィルターMF02を単独で用いた場合と比較して非常に高い分離能を有することが分かる。
次に、メンブランフィルターMF02を用いて作製した表2記載の各フィルターをイオン交換水中に24時間浸漬し、これをフィルターとして用いて、金ナノ粒子分別率の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 2009018215
金ナノ粒子の分別ろ過(金ナノ粒子分散液2cc)に要した時間は、いずれも2−5分程度であった。
表2に記載のフィルターを24時間水中に浸漬させることで、金ナノ微粒子分別率が向上した。コア−シェル型高分子ゲル微粒子を固定したフィルターを24時間水中浸漬したことで、コア−シェル型高分子ゲル微粒子が膨潤し、メンブレンフィルターの孔を塞ぐことで金ナノ粒子分別率が向上したものと考えられる。特にF46W及びF50Wについては水中浸漬によって、孔径0.1μmのメンブレンフィルターM01を用いて同様に調製したF38及びF49と比較して、金ナノ粒子分別率が向上している。これらのフィルターに用いられているモノマーTEGDMAおよびMBAAmは極性が高く、膨潤しやすい、あるいは金ナノ粒子を特に捕捉しやすいものと考えられる。
なお実施例1(表1)におけるフィルターF30(分散液E127及びメンブレンフィルターMF01使用)を24時間水中浸漬後、金ナノ粒子分別率の測定を行った結果、分別率は96.6%であり、浸漬後も高い分離能を保っていた。
実施例5
コア−シェル型高分子ゲル微粒子内包薄膜層の調製
実施例3における凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子分散液E197とウレタンディスパージョンW-615を用いて、コア−シェル型高分子ゲル微粒子とポリウレタンとの重量比が80:20となるように混合物を調製した。スライドガラス上に混合物をスピンコートして乾燥させることで、コア−シェル型高分子ゲル微粒子薄膜層を調製した。得られた薄膜層を有機蛍光色素であるローダミン6Gの水溶液に浸漬し、水で軽く洗浄し、乾燥させることで、ローダミン6Gを内包したコア−シェル型高分子ゲル微粒子薄膜層を調製した。ローダミン6Gを内包したコア−シェル型高分子ゲル微粒子薄膜層を再度水中に浸漬させることで、ローダミン6Gが溶出することを確認した。
比較例1
高分子アゾ重合開始剤VPE0201、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)及びメタクリル酸(MAA)の使用量を、それぞれ、VPE0201 1x10-3mol (2.262)、エチレングリコールジメタクリレート 0.0098mol (1.9426g)、及びMAA 0.0002mol (0.0172g)とし、実施例1と同様にして、凹凸を有するコア−シェル型高分子ゲル微粒子の分散液を得た(以下、E233とする)。E233分散液をそのままスライドガラス上にスピンコートして乾燥させることで、コア−シェル型高分子ゲル微粒子薄膜層を調製した。得られた薄膜層を有機蛍光色素であるローダミン6Gの水溶液に浸漬し、水で軽く洗浄し、乾燥させることで、ローダミン6Gを内包したコア−シェル型高分子ゲル微粒子薄膜層を調製した。しかし、当該薄膜層は、耐水性がないため、水溶液中に長時間浸漬できなかった。
図1は、本発明に従うコア−シェル型高分子ゲル微粒子の製造方法の模式図を示す。 図2は、実施例1においてコア−シェル型高分子ゲル微粒子を塗布固定したフィルターF30のSEM像を示す。 図3は、コア−シェル型高分子ゲル微粒子を塗布固定したフィルターF24(左)およびのF26(右)のSEM像を示す。

Claims (9)

  1. コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法であって、下記工程(1)〜(3):
    (1)PEG含有高分子アゾ重合開始剤及び多官能性モノマーを、水及び/またはアルコール中で重合させて、平均粒子径20nm〜3000nmのコア−シェル型高分子ゲル微粒子を調製する工程、
    (2)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとを混合する工程、及び
    (3)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を基材に塗布する工程
    を含む、方法。
  2. PEG含有高分子アゾ重合開始剤が一般式(I):
    Figure 2009018215
    (式中、mは20〜250の整数、nは4〜50の整数を示す。)
    で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である請求項1に記載の方法。
  3. コア−シェル型高分子ゲル微粒子が表面に凹凸を有する、請求項1または2に記載の方法。
  4. PEG含有高分子アゾ重合開始剤におけるPEG換算のモル数に対する多官能性モノマーのモル数の比が、前者1に対して後者が0.5〜150程度である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 多官能性モノマーが、エチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールジメタクリレート及びエチレンビスアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造される分離材。
  7. コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法であって、下記工程(1)及び(2):
    (1)コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとを混合する工程、
    [当該工程において、該コア−シェル型高分子ゲル微粒子は、多官能性モノマーが重合してなる高分子を含むコア部と、PEG含有高分子を含むシェル部からなるコア−シェル型高分子ゲル微粒子であって、該微粒子の平均粒子径に対する粒子径の標準偏差の比は、前者1に対して後者が0.05〜0.6程度である。]
    及び
    (2)該コア−シェル型高分子ゲル微粒子とバインダーとの混合物を基材に塗布する工程、
    を含む、方法。
  8. 多官能性モノマーが、エチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールジメタクリレート及びエチレンビスアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の方法。
  9. 請求項7又は8に記載の方法により製造される分離材。
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