JP2017035731A - 鉛フリーはんだペースト用フラックス及び鉛フリーはんだペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性、ロングタッキング性、濡れ性及び耐ボイド性に優れる鉛フリーはんだペーストを製造可能なフラックスを提供する。【解決手段】(A)ロジン系ベース樹脂、(B)活性剤及び(C)溶剤を含有する鉛フリーはんだペースト用フラックスであって、(A)成分が(a1)ロジンテトラオールエステルを含み、(B)成分が(b1)炭素数4〜6の脂肪族ジカルボン酸を含み、かつ、(C)成分が(c1)(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、(c2)炭素数5〜10の分岐状ジオールと、(c3)フェニルアルコールとを含むフラックス。【選択図】なし

Description

本発明は、鉛フリーはんだペースト用フラックス及びこれを用いた鉛フリーはんだペーストに関する。
はんだペーストは、通常、ロジン系ベース樹脂、活性剤及び溶剤を含むフラックスとはんだ粉末とから構成される組成物であり、集積回路、抵抗器及びコンデンサ等の多数の電子部品をプリント基板に表面実装するために使用される。
従来、はんだペーストとしては、鉛共晶はんだ粉末を用いたものが使用されてきたが、環境及び人体に対する鉛の影響が考慮され、近年はSn−Ag−Cu系はんだやSn−Cu系はんだ等の無鉛はんだ粉末を用いた鉛フリーはんだペーストが主流になりつつある。しかし、無鉛はんだ粉末は酸化しやすいため、高温のリフロー炉内で粒子表面に除去困難な酸化皮膜が生じる。
前記酸化皮膜を効率的に除去するためには、活性剤として、ジブロモコハク酸やジブロモジオール等の臭素系化合物を使用することが有効とされる(特許文献1及び2を参照。)。しかし、それらは室温でも無鉛はんだ粉末と容易に反応するため、鉛フリーはんだペーストが経時的に増粘する等、保存安定性が低下する傾向にある。
前記保存安定性を改善するには、活性剤としてアジピン酸のような脂肪族ジカルボン酸を使用するとよい。しかし、それらは活性力が相応に不足するため、無鉛はんだ金属の電極に対する濡れ性が不十分となり、接合界面に微細なボイドが生じやすくなる。かかるボイドは、はんだ接合部の強度や放熱効率を低下させるため、例えばパワーデバイス用途の実装基板において極力低減が求められる。
また、スクリーン印刷においては、鉛フリーはんだペーストを電極上の正しい位置に適切な量で安定供給する必要がある。そのため、印刷版離れ時にマスク開口部の形状を維持したまま電極上に転写する性質(抜け性)が鉛フリーはんだペースには要求される。
前記抜け性は、転写されたペーストと電極との付着力が高い程良くなる傾向にある。そのため、鉛フリーはんだペーストには、適度なタッキング性を付与しなければならない。この点、表面実装においては、生産効率の観点よりはんだペーストの供給工程と部品の搭載工程とを別ラインにすることも多いが、鉛フリーはんだペーストのタッキングタイムが短いと、うまく部品をマウントできなくなる。
前記タッキング性を改善するフラックスとしては、溶剤として所定のポリアルキレングリコールジアルキルエーテルを使用したものが公知であるが(特許文献3を参照。)、経時的にそのタッキング性は低下する傾向にあった。また、当該鉛フリーはんだペーストを用いてはんだ付を行った場合、接合部にボイドが生じる傾向にもあった。
国際公開WO2012/081688号公報 特開2013−046929号公報 特開平7−290277号公報
本発明の課題は、保存安定性、ロングタッキング性、濡れ性及び耐ボイド性に優れる鉛フリーはんだペーストを製造可能なフラックスを提供することにある。
本発明者は、ロジン系ベース樹脂、活性剤及び溶剤を含むフラックスであって、前記課題を解決できるものを検討した結果、ロジン系ベース樹脂として所定のロジンエステルを、
活性剤として所定の脂肪族ジカルボン酸を、かつ溶剤として特定三種の有機溶剤を選択することによって、所期の効果を奏するフラックスが得られることを見出した。
即ち本発明は、(A)ロジン系ベース樹脂、(B)活性剤及び(C)溶剤を含有する鉛フリーはんだペースト用フラックスであって、(A)成分が(a1)ロジンテトラオールエステルを含み、(B)成分が(b1)全炭素数4〜6の脂肪族ジカルボン酸を含み、かつ、(C)成分が(c1)(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、(c2)全炭素数6〜10の分岐状ジオールと、(c3)フェニルアルコールとを含むことを特徴とするフラックス(以下、単にフラックス。)、並びに当該フラックスと無鉛はんだ粉末とを含有する鉛フリーはんだペーストに関する。
本発明のフラックスを用いて得られる鉛フリーはんだペーストは、長期に亘る保存安定性に優れており、またスクリーン印刷時の抜け性及び印刷後のロングタッキング性も良好である。また、該ペーストは、無鉛はんだ金属と電極の濡れ性が良好であり、かつ、はんだ接合部に生じるボイドも非常に少ないため、信頼性の高い表面実装基板を与える。
実施例及び比較例におけるリフロー温度プロファイルを示したグラフである。 電極1と、電極上で溶融後に固化したはんだ金属2と、電極と同形状の部品3と、当該はんだ金属中に生じたボイド4とを示す模式図(上面、斜め側面)である。
本発明のフラックスは、(A)ロジン系ベース樹脂(以下、(A)成分)、(B)活性剤(以下、(B)成分)、及び(C)溶剤(以下、(C)成分)を含有する組成物である。
(A)成分は、本発明のフラックスのベース樹脂であり、主に保存安定性と耐ボイド性の観点より、(a1)ロジンテトラオールエステル(以下、(a1)成分)を含む点に特徴がある。(a1)成分は、各種公知のロジンとテトラオールとの反応物であり、該ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられ、二種以上を併用できる。該テトラオールとしては、例えばペンタエリスリトール、ジグリセリン及びジトリメチロールプロパン等が挙げられ、二種以上を併用できる。
(a1)成分は、各種公知の方法で製造できる。具体的には、例えば、ロジンとテトラオールを適当な反応容器に仕込み、生成水を系外に除去しながら150〜300℃程度でエステル化反応させればよい。該反応は、通常常温下で行うが、減圧又は加圧条件で実施してもよい。また、該反応は、窒素や希ガス等の不活性ガス気流下で行うのが好ましい。
ロジンとテトラオールの使用比率は特に限定されないが、通常、前者のカルボキシル基当量と後者の水酸基当量との比率(COOH(eq):OH(eq))が1:0.7〜1:1.5程度となる範囲である。
エステル化反応の際、各種公知のエステル化触媒を使用できる。具体的には、例えば、酢酸及びパラトルエンスルホン酸等の酸触媒や、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウム等のアルカリ土金属水酸化物、酸化カルシウム及び酸化マグネシウム等のアルカリ土金属酸化物等が挙げられ、二種以上を併用できる。
(a1)成分は、保存安定性や耐ボイド性等の観点より、各種公知の方法で精製するのが好ましい。精製手段としては減圧蒸留法、水蒸気蒸留法及び溶媒抽出法、並びにそれらの組み合わせが挙げられる(WO2006/070797号公報を参照)。
(a1)成分の物性は特に限定されないが、主に保存安定性と耐ボイド性の観点より、通常、酸価が0〜20mgKOH/g程度、好ましくは5〜25mgKOH/g程度であり、また、軟化点が80〜120℃程度、好ましくは90〜110℃程度である。
(A)成分には、(a1)成分以外のロジン系ベース樹脂(以下、(a2)成分)を含めてよい。(a2)成分としては、例えば、前記ロジンやロジン誘導体、前記ロジン及び/又はロジン誘導体とトリオール(グリセリン、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,4−ブタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールグリセリン等)とのエステル、並びに当該エステルの精製物、不均化物、水素化物及び重合物等が挙げられ、二種以上を併用できる。(A)成分における(a2)成分の含有率は特に限定されないが、通常20質量%未満である。
本発明では、(A)成分とともに、非ロジン系のベース樹脂(以下、(A’)成分)を併用できる。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフイン樹脂、フッ素系樹脂又はABS樹脂、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム及びナイロンゴム等が挙げられ、二種以上を併用できる。なお、(A’)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分に対して10質量%未満である。
(B)成分は、主に濡れ性及び耐ボイド性の観点より、(b1)炭素数4〜6の脂肪族ジカルボン酸(以下、(b1)成分)を含む点に特徴がある。(b1)成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸等のアルキレン系脂肪族二塩基酸や、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のアルケニレン系脂肪族二塩基酸が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でもコハク酸、グルタル酸及びアジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
(B)成分には、(b1)成分以外の活性剤(以下、(b2)成分)を含めてよい。(b2)成分としては、例えば、シュウ酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸及びイタコン酸等の飽和又は不飽和の脂肪族二塩基酸;trans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、cis−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、1−ブロモ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール及び2,3−ジブロモ−1−プロパノール等のブロモアルコール;3−ブロモプロピオン酸、2−ブロモ吉草酸、5−ブロモ−n−吉草酸、2−ブロモイソ吉草酸、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモコハク酸及び2,2−ジブロモアジピン酸等のブロモカルボン酸;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリノール酸等の飽和又は不飽和の脂肪族一塩基酸;ジブロモサリチル酸等のブロモヒドロキシカルボン酸;エチルアミン臭素酸塩やジエチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン塩化水素酸塩及びメチルアミン臭素酸塩等のアミン系ブロモ化合物;1−ブロモ−3−メチル−1−ブテン、1,4−ジブロモブテン、1−ブロモ−1−プロペン、2,3−ジブロモプロペン、1,2−ジブロモ−1−フェニルエタン、1,2−ジブロモスチレン、4−ステアロイルオキシベンジルブロマイド、4−ステアリルオキシベンジルブロマイド、4−ステアリルベンジルブロマイド、4−ブロモメチルベンジルステアレート、4−ステアロイルアミノベンジルブロマイド、2,4−ビスブロモメチルべンジルステアレート、4−パルミトイルオキシベンジルブロマイド、4−ミリストイルオキシベンジルブロマイド、4−ラウロイルオキシべンジルブロマイド及び4−ウンデカノイルオキシベンジルブロマイド等の活性水素非含有ブロモ化合物;ピロール2−カルボン酸、ピロール2,5−ジカルボン酸、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、2−チオフェンカルボン酸、2,5−チオフェンカルボン酸、ピリジン−2−カルボン酸(ピコリン酸)、及びピリジン2,6−ジカルボン酸等のヘテロ原子含有複素環型カルボン酸等が挙げられ、二種以上を併用できる。(B)成分における(b2)成分の含有率は特に限定されないが、通常5質量%未満である。
(C)成分は、(c1)(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(以下、(c1)成分)、(c2)炭素数6〜10の分岐状ジオール(以下、(c2)成分)、及び(c3)フェニルアルコール(以下、(c3)成分)の三種を含む点に特徴がある。
(c1)成分は、主に保存安定性、ロングタッキング性、濡れ性及び耐ボイド性等の観点で必須使用する成分であり、各種公知の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2−エチルヘキシルグリコール、2−エチルヘキシルジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレントリグリコール、ブチルプロピレンジグリコール及びブチルプロピレントリグリコール等が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でも沸点240〜300℃程度のものが好ましく、特にヘキシルジグリコール、2−エチルヘキシルジグリコール及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
(c2)成分は、主にロングタッキング性の観点で必須使用する成分であり、炭素数5〜10の分岐状ジオールであれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチルー2−エチルー1,3―プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール及びネオペンチルグリコール等が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でも沸点140〜260℃程度のものが好ましい。(c2)成分としては、特に2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール及び2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
(c3)成分は、主に保存安定性及び耐ボイド性の観点で必須使用する成分であり、分子内にフェニル基と水酸基を有するアルコール(分子内にエーテル基を有するものを除く。)であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、1−フェニル−1−プロパノール及び3−フェニルー1−プロパノール等が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でも沸点が180〜220℃程度のものが好ましく、特にベンジルアルコールが好ましい。
(C)成分には、(c1)成分〜(c3)成分以外の溶剤(以下、(c4)成分)を含めてよい。(c4)成分としては、例えば、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコールフェニルプロピレングリコール等の芳香族系グリコールエーテル類;1,3−ブタンジオールや1,3−プロパンジオール等の炭素数4以下、又は炭素数11以上の分岐状ジオール;ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルジグリコール、ジブチルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコール、ジエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルー2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルー2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールブチルー2−エチルヘキシルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類;安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル及び2−(2−n−ブトキシエトキシ)エチルアセテート等のエステルや、α−テルピネン、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、カルボン、オシメン及びフェランドレン等のテルペン、α−テルピネオール及びターピネオール等のテルピネオール、ドデカン及びテトラデセン等の炭化水素、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン、あまに油、サフラワー油、大豆油、桐油、ひまし油、及びそれらの水添物等の植物油等が挙げられ、二種以上を併用できる。
本発明のフラックスには、スクリーン印刷適性(抜け性等)を付与する目的で、(D)チキソトロピック剤(以下、(D)成分)を含めてよい。(D)成分としては、例えば、ステアリン酸アミドや12−ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等のポリアミド系チキソトロピック剤や、硬化ひまし油や蜜ロウ、カルナバワックス等の動植物系チキソトロピック剤等が挙げられ、二種以上を併用できる。
本発明のフラックスには、主に保存安定性を高める目的で、(E)ジアルキルモノアミン(以下、(E)成分)を含めてよい。(E)成分の具体例としては、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、トリステアリルアミン及びジ硬化牛脂アミン等が挙げられ、二種以上を併用できる。
本発明のフラックスには、必要に応じて(F)酸化防止剤(以下、(F)成分)を含めてよい。(F)成分の具体例としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンアミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンのヒンダードフェノール系酸化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール、スチレネートフェノール、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール等の他のフェノール系酸化防止剤;トリフェニルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファエト、トリス(トリデシル)フォスファイト等のリン系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジラウリルサルファイド、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ラウリルステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤等を例示でき、これらは一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用できる。
本発明のフラックスにおける(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量は特に限定されないが、保存安定性、ロングタッキング性、濡れ性及び耐ボイド性のバランスの観点より、通常、(A)成分〜(F)成分の全量を基準として以下の通りである。
(A)成分:30〜55質量%程度、好ましくは35〜50質量%程度
(B)成分:0.1〜10質量%程度、好ましくは0.5〜5質量%程度
(C)成分:30〜60質量%程度、好ましくは30〜55質量%程度
また、(C)成分における(c1)成分、(c2)成分及び(c3)成分、並びに(c4)成分の含有率は特に限定されないが、保存安定性、ロングタッキング性及び耐ボイド性のバランスの観点より、通常は以下の通りである。
<(c4)成分を用いない場合>
(c1)成分:30〜86質量%程度、好ましくは50〜80質量%程度
(c2)成分:7〜40質量%程度、好ましくは10〜30質量%程度
(c3)成分:7〜40質量%程度、好ましくは10〜30質量%程度
<(c4)成分を用いる場合>
(c1)成分:45〜85.9.9質量%程度、好ましくは50〜79.9質量%程度
(c2)成分:7〜40質量%程度、好ましくは10〜30質量%程度
(c3)成分:7〜40質量%程度、好ましくは10〜30質量%程度
(c4)成分:0.01〜10質量%程度、好ましくは0.01〜5質量%程度
また、(D)成分、(E)成分及び(F)成分を使用する場合、それらの含有量も特に限定されないが、通常、(A)成分〜(F)成分の全量を基準として以下の通りである。
(D)成分:4〜10質量%程度、好ましくは4〜8質量%程度
(E)成分:1〜10質量%程度、好ましくは1〜5質量%程度
(F)成分:0.1〜3質量%程度、好ましくは0.5〜2質量%程度
本発明のフラックスには、防黴剤、艶消し剤及び増粘防止剤等の添加剤を含めてよい。
本発明のフラックスの製造法は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、必要に応じて(D)成分、(E)成分、(F)成分及び前記添加剤からなる群より選ばれる少なくとも一種とを、各種手段を用いて加熱下に均質に混合すればよい。
本発明の鉛フリーはんだペーストは、本発明のフラックスと無鉛はんだ粉末とを含有する組成物である。夫々の含有量は特に限定されないが、通常、前者が5〜30質量%程度、後者が70〜95質量%程度である。
無鉛はんだ粉末としては、鉛を含有しないものであれば各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、Snをベースとする無鉛はんだ粉末、例えばSn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Sb系、Sn−Zn系、Sn−Bi系の無鉛はんだ粉末が好ましい。また、無鉛はんだ粉末は、Ag、Al、Au、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、In、Ni、P、Pt、Sb、Znの一種又は二種以上の元素がドープされたものであってよい。無鉛はんだ粉末の具体例としては、Sn96.5Ag3Cu0.5、Sn95Sb5、Sn99.3Cu0.7、Sn97Cu3、Sn92Cu6Ag2、Sn99Cu0.7Ag0.3、Sn95Cu4Ag1、Sn97Ag3、Sn96.3Ag3.7、Sn42−Bi58等を例示できる。また、無鉛はんだ粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常は1〜50μm程度、好ましくは15〜40μm程度である。また、粉末の形状も特に限定されず、球形や不定形であってもよい。なお、球形とは、好ましくは、粒子の縦横のアスペクト比が1.2以内であることを意味する。また、本発明のフラックスと該無鉛はんだ粉末の混合手段、混合順序及び条件も特に限定されない。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲がこれら実施例に限定されるものではない。また各例中、「部」は「質量部」を意味する。
<フラックスの調製>
実施例1
市販のロジン−ペンタエリスリトールエステル(製品名「KE−359」、酸価15mgKOH/g、軟化点95℃、;荒川化学工業(株)製)を40部、コハク酸を1部、ヘキシルジグリコール(商品名「HeDG」、日本乳化剤(株)製)を30部、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを10部、ベンジルアルコールを10部、ポリアミド系チキソトロピック剤(商品名「MA−WAX−O」、川研ファインケミカル(株)製)を6部、及びジステアリルアミンを3部、加熱下に良く混合し、フラックスを調製した。
実施例2〜9、比較例1〜11
表1及び2で示した原料をそれらの部数で使用した他は実施例1と同様にしてフラックスを調製した。
<はんだペーストの調製>
実施例1のフラックスと市販の無鉛はんだ粉末(96.5Sn/3Ag/0.5Cu、三井金属(株)製、粒径20〜38μm、通常品)とを順に11質量%及び89質量%となるようソフナーで混練し、はんだペーストを調製した。他の実施例及び比較例のフラックスについても同様にしてはんだペーストを調製した。
<保存安定性>
実施例及び比較例のはんだペーストのそれぞれについて、調製直後の粘度と、40℃の恒温槽中で24時間保温した後の粘度をそれぞれ市販のスパイラル方式粘度計(製品名「PCU−205」、共軸二重円筒形回転型、(株)マルコム製)により測定し、以下に示す計算式に基づき増粘率を算出した。他の実施例及び比較例のはんだペーストについても同様にして保存安定性を評価した。増粘率が10%未満を良好とみなした。
増粘率(%)=〔(40℃、24時間保温後の10rpmでの粘度−はんだペースト調製直後の10rpmでの粘度)÷(はんだペースト調製直後の10rpmでの粘度)〕×100
<タッキング性能の評価>
実施例及び比較例のはんだペーストのそれぞれについて、タッキング力(N)を、JIS Z 3284 附属書9「粘着性試験」に準拠して評価した。また、測定は、印刷初期のものと、印刷後24時間放置したものとについて行った。そして、1Nを超えるタッキング力を示したものを合格(〇)とし、そうでないものを不合格(×)とみなした。
<濡れ性の評価>
実施例1のはんだペーストを、直径0.8mmのメッキ処理されていない銅電極にスクリーン印刷した後(マスク開口率100%)、それぞれ同直径の部品を更に搭載し、窒素雰囲気下、図1に示す温度プロファイルでリフローし、濡れ性をJIS Z 3284 附属書11に準拠して以下のように評価した。評価1又は2の場合を濡れ性が良好(○)と、評価3又は4の場合を不良(×)とみなした。
1 はんだペーストを塗布した面積以上にはんだ金属が濡れ広がった状態
2 はんだペーストを塗布した部分が全てはんだ金属で濡れた状態
3 はんだペーストを塗布した部分の大半がはんだ金属で濡れた状態
4 はんだ金属が濡れ広がっておらず、一又は複数のソルダボールが認められる状態
<耐ボイド性>
前記濡れ性試験に係る試験板の上面を、市販のX線透過装置(製品名「XVA−160」、(株)ユニハイトシステム製)を用いて観察し、以下の式よりボイド面積比率を求めた。他の実施例及び比較例の試験板についても同様にしてボイド面積比率を求めた。その値が10%未満の場合に耐ボイド性が良好であるとみなす。
ボイド面積比率(%)=(全ボイドの面積総和÷濡れ広がったはんだ金属の面積)×100
また、図2は、上記X線透過装置で観測されたはんだ金属の模式図であり、白抜きの部分がボイドである。
KE−359:ロジン−ペンタエリスリトールエステル(荒川化学工業(株)製、酸価15mgKOH/g、軟化点95℃)
SuA:コハク酸(C4)
GA:グルタル酸(C5)
AA:アジピン酸(C6)
HeDG:ヘキシルジグリコール(C13O(CHCHO)H)
TPGMM:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(CHO(CO)H)
DPMBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(CO(CO)H)
EHD:2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(C8)
BEPG:2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(C9)
DEPE:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(C9)
BA:ベンジルアルコール
DSA:ジステアリルアミン
DEA:ジ(2―エチルヘキシル)アミン
KE−100:ロジンーグリセリンエステル(荒川化学工業(株)製、酸価5mgKOH/g、軟化点100℃)
KE−604:アクリル化ロジン水添物(荒川化学工業(株)製、酸価238mgKOH/g、軟化点128℃)
SeA:セバシン酸(C8)
PA:ピコリン酸
DEGBHE:ジエチレングリコールブチルヘキシルエーテル
DMDG:ジメチルジグリコール
BG:1,3−ブタンジオール(C4)

Claims (4)

  1. (A)ロジン系ベース樹脂、(B)活性剤及び(C)溶剤を含有する鉛フリーはんだペースト用フラックスであって、
    (A)成分が(a1)ロジンテトラオールエステルを含み、
    (B)成分が(b1)全炭素数4〜6の脂肪族ジカルボン酸を含み、
    (C)成分が
    (c1)(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、
    (c2)全炭素数5〜10の分岐状ジオールと、
    (c3)フェニルアルコールとを含む、
    ことを特徴とするフラックス。
  2. 更に(D)チキソトロピック剤を含有する請求項1のフラックス。
  3. 更に(E)ジアルキルモノアミンを含有する請求項1又は2の用フラックス。
  4. 請求項1〜3のいずれかのフラックスと無鉛はんだ粉末とを含有する鉛フリーはんだペースト。
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