JP2021016892A - ソルダペースト - Google Patents

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洋司 大年
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Abstract

【課題】 フラックスに吸湿性の高い成分を含有させる場合であってもその吸湿を抑制でき、また良好な保存安定性を発揮し得るソルダペーストの提供。【解決手段】 フラックスと、はんだ合金粉末とを含むソルダペーストであって、 前記フラックスは溶剤を含み、前記溶剤は下記一般式(1)で表される溶剤(A)を含むソルダペースト。【化1】(式中、R1及びR2は炭素数が1以上4以下のアルキル基を表し、nは1以上3以下の整数である。)【選択図】なし

Description

本発明はソルダペーストに関する。
プリント配線板やモジュール基板等の電子回路基板上に電子部品を接合する方法として、フラックスとはんだ合金粉末とを混合したソルダペーストを用いたはんだ接合方法が広く採用されている。この方法では、ソルダペーストを電子回路基板上の所定の位置に印刷し、所定の位置に電子部品を載置し、これを加熱することで、電子回路基板と電子部品とをはんだ接合させる。
一方、近年ではエネルギー及び環境問題の観点から、電力の制御及び供給を行う電力用半導体素子、所謂パワー半導体が注目されている。通常、パワー半導体は、はんだ等の接合材を用いてパワー半導体をDCB基板上にダイボンディングした後、当該パワー半導体上に形成されている電極とDCB基板上に形成された電極とを接合(ワイヤーを用いたワイヤボンディング)する。
ここで、ダイボンディング時にソルダペーストを用いる場合、ソルダペーストに含まれるフラックスの残渣(フラックス残渣)がダイボンディング後のDCB基板上に残存していると、その後のワイヤボンディング時に当該フラックス残渣がDCB基板上の電極に広がってしまう虞があり、これがDCB基板とワイヤーとの接合不良を引き起こす原因となり得る。そのため、パワー半導体のDCB基板への接合時には、ダイボンディング後にフラックス残渣を除去(洗浄)する必要があった。
しかし、フラックス残渣の洗浄には溶剤を使用するため、環境面及びコスト面での負担が大きい。そのため、ダイボンディング後に残存するフラックス残渣が非常に少ない(若しくはほとんどない)フラックスを用いたソルダペーストの開発が求められている。
これまでも、はんだ接合後に残存するフラックス残渣を大幅に低減するフラックスとして、ロジンを含有させないフラックスが提案されている。
しかし、ロジンを含有しないフラックスは保存安定性やぬれ性に劣る。そのため、ロジンを含有せずとも良好なぬれ性等を有するフラックスとして、例えば常温で固体であってリフロー温度で蒸発する固体溶剤と、常温で高粘性流体であってリフロー温度で蒸発する高粘性溶剤と、常温で液体であってリフロー温度で蒸発する液体溶剤とを有する無残渣ソルダペースト(特許文献1参照)等が提案されている。
特開2004−25305号公報
しかし常温で固体の溶剤、特にトリメチロールプロパンは吸湿性が高い。またこのような溶剤を溶解させ易い溶剤、即ち高極性溶媒も吸湿性が高い性質を有する。そのため、トリメチロールプロパンや高極性溶媒を使用したフラックスやソルダペーストも吸湿性が高くなる。
更には、このようなソルダペーストをDCB基板上に印刷した後、これを一定時間放置せざるを得ないような環境下にある場合、ソルダペースト(に含まれるフラックス)が大気中の水分を吸収・吸着する虞が高いため、ソルダペーストに含まれるはんだ合金粉末が酸化し、ソルダペーストのはんだ付け性の低下に繋がる虞がある。
一方、これを抑制するために吸湿性の低い低極性溶媒を使用すると、トリメチロールプロパンはこれに溶解し難いため、特に長期保存時において常温で固体の溶剤の結晶が析出し、保存安定性及びソルダペーストの印刷性を阻害する虞がある。
本発明は上記課題を解決するものであり、フラックスに吸湿性の高い成分を含有させる場合であってもその吸湿を抑制でき、また良好な保存安定性を発揮し得るソルダペーストを提供することをその目的とする。
本発明のソルダペーストは、フラックスと、はんだ合金粉末とを含み、前記フラックスは溶剤を含み、前記溶剤は下記一般式(1)で表される溶剤(A)を含む。
Figure 2021016892
(式中、R及びRは炭素数が1以上4以下のアルキル基を表し、nは1以上3以下の整数である。)
前記溶剤(A)の配合量は前記フラックス全量に対し20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
前記フラックスは前記溶剤として更にイソボルニルシクロヘキサノールを含むことが好ましい。
前記フラックスは前記溶剤として更にトリメチロールプロパンを含むことが好ましい。
本発明のソルダペーストは、フラックスに吸湿性の高い成分を含有させる場合であってもその吸湿を抑制でき、また良好な保存安定性を発揮し得る。
本発明のソルダペーストの一実施形態を以下に詳述する。なお、本発明がこれらの実施形態に限定されないのはもとよりである。
<フラックス>
本実施形態のソルダペーストに使用するフラックスは、溶剤を含む。
・溶剤
前記溶剤としては、例えばトリエチレングリコール、イオン交換水、イソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルジグリコール、(2−エチルヘキシル)ジグリコール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、フェニルグリコール、ブチルカルビトール、オクタンジオール、αテルピネオール、βテルピネオール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、セバシン酸ジイソプロピル等を使用することができる。なお、これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記フラックスは、前記溶剤として下記一般式(1)で表される溶剤(A)を含むことが好ましい。
Figure 2021016892
(式中、R及びRは炭素数が1以上4以下のアルキル基を表し、nは1以上3以下の整数である。)
このような溶剤(A)としては、nが1の成分、その中でも特に2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが好ましく用いられる。なお、前記溶剤(A)としては、1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
本実施形態のソルダペーストは、前記フラックスに前記溶剤として前記溶剤(A)を含有させることにより、例えば後述するトリメチロールプロパンのような吸湿性の高い成分を含有させた場合にもソルダペーストの吸湿を抑制することができる。
そのため、特に吸湿性の高い成分を含有する本実施形態のソルダペーストを例えばDCB基板上に印刷した後、これを一定時間放置せざるを得ないような環境下に置いた場合であっても、上述の通り、印刷後のソルダペーストには大気中の水分は吸着し難く、よってダイボンディング後の電子回路実装基板及びパワーモジュールの信頼性を良好に保つことができる。
また本実施形態のソルダペーストは、前記フラックスに前記溶剤として前記溶剤(A)を含有させることにより、例えば常温(本明細書では15℃から25℃と定義する。)において固体状にある溶剤(以下、本明細書においては「固体溶剤」という。)、特にトリメチロールプロパンを含有させた場合であっても前記フラックスに固体溶剤が溶解し易いため、当該ソルダペーストを長期保存する場合にも固体溶剤の結晶が析出し難く、その保存安定性及び印刷性を良好に保つことができる。
前記溶剤(A)の配合量は、前記フラックス全量に対して20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。より好ましいその配合量は25質量%以上50質量%未満である。
前記フラックスには、前記溶剤としてイソボルニルシクロヘキサノールを含有させてもよい。
本実施形態のソルダペーストは、前記フラックスに前記溶剤としてイソボルニルシクロヘキサノールを含有させることにより、ソルダペーストのぬれ性を更に向上することができる。
前記フラックスにイソボルニルシクロヘキサノールを含有させる場合、その配合量は、前記フラックス全量に対して1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましいその配合量は5質量%以上19質量%以下であり、特に好ましいその配合量は8質量%以上18質量%以下である。
前記フラックスには、前記溶剤としてトリメチロールプロパンを含有させてもよい。
本実施形態のソルダペーストは、前記フラックスに前記溶剤としてトリメチロールプロパンを含有させることにより、ソルダペーストのぬれ性を更に向上することができる。
前記フラックスにトリメチロールプロパンを含有させる場合、その配合量は、前記フラックス全量に対して1質量%以上35質量%以下であることが好ましい。より好ましいその配合量は15質量%以上35質量%以下であり特に好ましいその配合量は20質量%以上30質量%以下である。
また前記溶剤全体(固体状のもの液体状のもの双方含む。)の配合量は、前記フラックス全量に対して20質量%以上90質量%以下であることが好ましい。より好ましいその配合量は50質量%以上90質量%以下であり特に好ましいその配合量は60質量%以上85質量%以下である。
・活性剤
前記フラックスには、前記溶剤に加え、活性剤を含有させることができる。
前記活性剤としては、例えば有機酸、ハロゲン化合物等が挙げられる。
前記有機酸としては、例えばマロン酸、コハク酸及びグルタル酸等のジカルボン酸;4−tertブチル安息香酸、o−アニス酸等の安息香酸等が挙げられる。
また前記ハロゲン化合物としては、例えば2−ブロモ−n−ヘキサン酸及びジブロモブテンジオール等の臭素化合物;例えば2−ヨード安息香酸及び3,5−ジヨードサリチル酸等のヨウ素化合物等が挙げられる。これらの中でも特に4−tertブチル安息香酸及びo−アニス酸が好ましく用いられる。
なお、これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記活性剤の配合量は、フラックス全量に対して1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましいその配合量は5質量%以上15質量%以下であり、特に好ましいその配合量は8質量%以上13質量%以下である。
・チクソ剤
前記フラックスには、前記溶剤に加え、チクソ剤を含有させることができる。
前記チクソ剤としては、例えば飽和脂肪酸アミドが好ましく用いられる。また 飽和脂肪酸アミドの中でも特に、炭素数が18以下の飽和脂肪酸アミドが好ましく用いられる。またその中でも炭素数が14以下の飽和脂肪酸アミドがより好ましく、更には炭素数が12以下の飽和脂肪酸アミドが特に好ましく用いられる。
このような飽和脂肪酸アミドとしては、例えばパルミチン酸アミド及びラウリン酸アミド等が挙げられる。
なお、これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記チクソ剤の配合量は、フラックス全量に対して3質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましいその配合量は5質量%以上15質量%以下であり、特に好ましいその配合量は、5質量%以上12質量%以下である。
・その他
前記フラックスには、当該フラックスの効果を阻害しない範囲内において以下の成分を含有させることができる。
前記フラックスには、はんだ合金粉末の酸化を抑える目的で酸化防止剤を配合することができる。このような酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリマー型酸化防止剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。このヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えばイルガノックス245(BASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
なお、これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
また前記フラックスには、消泡剤、防錆剤、界面活性剤、熱硬化剤、つや消し剤等の添加剤を配合することができる。
更には前記フラックスには、ロジン系樹脂やアクリル樹脂といったベース樹脂を配合することができる。
そして、前記フラックスは、前記一般式(1)で表される溶剤(A)を含むことにより、フラックス残渣を除去(洗浄)せずとも、ダイボンディング後のパワー半導体とDCB基板との接合不良等を抑制することができ、信頼性の高い電子回路実装基板及びパワーモジュールを提供することができる。
<ソルダペースト>
本実施形態のソルダペーストは、前記フラックスとはんだ合金粉末とを混合することにより得られる。
前記はんだ合金粉末としては、例えば錫及び鉛を含む合金、錫及び鉛並びに銀、ビスマス及びインジウムの少なくとも1種を含む合金、錫及び銀を含む合金、錫及び銅を含む合金、錫、銀及び銅を含む合金、錫及びビスマスを含む合金等を用いることができる。またこれら以外にも、例えば錫、鉛、銀、ビスマス、インジウム、銅、亜鉛、ガリウム、アンチモン、金、パラジウム、ゲルマニウム、ニッケル、クロム、アルミニウム、リン等を適宜組合せたはんだ合金粉末を使用することができる。なお、上記に挙げた元素以外であってもその組合せに使用することは可能である。
前記はんだ合金粉末の配合量は、ソルダペースト全量に対して65質量%以上95質量%以下であることが好ましい。より好ましいその配合量は85質量%以上93質量%以下であり、特に好ましいその配合量は88質量%以上92質量%以下である。
本実施形態のソルダペーストは、前記フラックスを使用することにより、吸湿を抑制し、その保存安定性及び印刷性を良好に保つことができる。
従って本実施形態のソルダペーストを用いる場合、信頼性の高い電子回路実装基板及びパワーモジュールを提供することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳述する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に記載の各成分を混練し、実施例1から実施例10及び比較例1から4に係る各フラックスを作製した。
また表1に記載の通り、上記各フラックスと、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金粉末とを混合し、実施例1から7及び比較例1から4に係る各ソルダペーストを作製した。
なお、特に記載のない限り、表1に記載の数値は質量%を意味するものとする。
Figure 2021016892
※1 イソボルニルシクロヘキサノール 日本テルペン化学(株)製
※2 ラウリン酸アミド 東京化成工業(株)製
※3 水添酸変性ロジン 荒川化学工業(株)製
<ペースト粘度測定試験>
JIS規格Z3284(1994)附属書6に記載の方法に準拠し、スパイラス式粘度計を用いて、各ソルダペーストの粘度を測定し、以下の評価基準に従い評価した。その結果を表2に示す。
〇:105Pa・s超250Pa・s以下
△:85Pa・s超105Pa・s以下、若しくは
250Pa・s超〜300Pa・s未満
×:300Pa・s以上、若しくは
85Pa・s以下
<吸湿性試験>
300ccポリ容器(容器直径:73mm、面積:4,183mm)を実施例及び比較例のソルダペーストの数に合わせて用意し、各ソルダペースト100gをそれぞれのポリ容器に収容した。
その後、各ポリ容器を蓋をしない状態にて25±2℃、50±10%RHの環境下に2時間放置した。
その後、各ポリ容器に収容されたソルダペーストの重さ(実際の重さ−ポリ容器自体の重さ)を測定し、以下の計算式にて各ソルダペーストの吸湿率を算出した。
吸湿率=(2時間後のペースト重量−初期ペースト重量(100g)/(初期ペースト重量(100g))×100
そして算出した吸湿率について、以下の評価基準に従い評価した。その結果を表2に示す。
○:0.3%以下
△:0.3%超0.35%未満
×:0.35%以上
<凝集物発生確認試験>
実施例及び比較例の数に合わせた容器を用意し、各フラックスをそれぞれの容器に収容した。
そして各容器を室温で14日放置し、各フラックス中に凝集物が発生しているか否かを目視で観察し、以下の評価基準に従い評価した。その結果を表2に示す。
〇:50cm程度のフラックスを容器から掬い上げた際に、1cm以上の塊、若しくは凝集物が目視で確認できない
×: 50cm程度のフラックスを容器から掬い上げた際に、1cm以上の塊、若しくは凝集物が目視で確認される
<総合評価>
上記の各試験の評価結果について、〇を5点、△を3点、×を0点と点数化して実施例及び比較例毎に総合点を算出し、以下の基準に従い総合評価を行った。その結果を表2に示す。
総合点=(ペースト粘度試験の点数)×(吸湿性試験の点数)×(凝集物発生試験の点数)
〇:125点
△:0点超125点未満
×:0点
Figure 2021016892
以上に示す通り、実施例に係るソルダペーストは、フラックスに溶剤として前記溶剤(A)を含有していることにより、吸湿を抑制し、その保存安定性及び印刷性を良好に保つことができる。
また実施例に係るソルダペーストは、トリメチロールプロパンのような吸湿性の高い成分を含有させた場合にもソルダペーストの吸湿を抑制することができ、また長期保存した場合にもトリメチロールプロパンの結晶の析出(凝集)を抑制することができるため、その保存安定性及び印刷性を良好に保つことができる。

Claims (4)

  1. フラックスと、はんだ合金粉末とを含むソルダペーストであって、
    前記フラックスは溶剤を含み、
    前記溶剤は下記一般式(1)で表される溶剤(A)を含むソルダペースト。
    Figure 2021016892
    (式中、R及びRは炭素数が1以上4以下のアルキル基を表し、nは1以上3以下の整数である。)
  2. 前記溶剤(A)の配合量は前記フラックス全量に対し20質量%以上50質量%以下である請求項1に記載のソルダペースト。
  3. 前記フラックスは前記溶剤として更にイソボルニルシクロヘキサノールを含む請求項1または請求項2に記載のソルダペースト。
  4. 前記フラックスは前記溶剤として更にトリメチロールプロパンを含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のソルダペースト。

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