JP6259623B2 - 低酸価アクリル樹脂含有はんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物 - Google Patents
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Description
このはんだ付け用フラックスにはベース樹脂、活性剤および溶剤が含まれており、従来はこのベース樹脂としてロジン系樹脂が広く用いられている。
このような問題を解決するために、ベース樹脂としてロジン系樹脂の代わりにアクリル樹脂等を使用する、若しくはロジン系樹脂とアクリル樹脂とを併用する方法が近年多く用いられている。例えば長鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを共重合してなるアクリル樹脂とロジン類とを一定の配合比でベース樹脂に用いる方法(特許文献1参照)が挙げられる。
メタルマスクの壁面へのはんだペーストの付着によるはんだペーストの転写形状異常が起こりやすくなる傾向にある。
また、メタルマスクの開口径が小さくなるのに伴い、はんだペーストに含有されるはんだ粉末の粒子径を小さくする必要があり、その際には、はんだ粒子の表面積が体積に対して大きくなるため、はんだ粒子の表面の酸化被膜を還元し、はんだ粒子を溶融させるための、フラックスの活性力をより向上させる必要がある。
aおよびcの少なくとも一方は0であってもよく、上記R1は炭素数8〜24のアルキル基であり、上記R2は上記R1以外の置換基であって水素原子、メチル基、アルキル基、アリール基、および水酸基等のいずれか単一の置換基および複数の置換基の組合せのいずれであってもよく、R3、R4およびR5は水素原子またはメチル基である)
(1)ベース樹脂
<酸価が50mgKOH/g以下のアクリル樹脂>
本発明のはんだ付け用フラックスに用いられるベース樹脂に配合される酸価が50mgKOH/g以下のアクリル樹脂としては、下記一般式(1)で表され、例えば(a)(メタ)アクリル酸と、(b)炭素数が8から24のアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーと、(c)当該(メタ)アクリルモノマー以外の(メタ)アクリルモノマーとを、それぞれの配合比が(b)/((a)+(b)+(c))≧0.6(但し、(a)および(c)の少なくとも一方は0であってもよい)となるように重合・共重合することにより得られるアクリル樹脂が好ましく用いられる。
aおよびcの少なくとも一方は0であってもよく、上記R1は炭素数8〜24のアルキル基であり、上記R2は上記R1以外の置換基であって、水素原子、メチル基、アルキル基、アリール基、および水酸基等のいずれか単一の置換基および複数の置換基の組合せのいずれであってもよく、R3、R4およびR5は水素原子またはメチル基である)
このようなアクリル樹脂の酸価はモノマーの配合比、配合量および共重合時の条件により調整でき、その酸価は50mgKOH/g以下、好ましくは30mgKOH、より好ましくは5mgKOH/gである。
なお、本明細書においては、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸またはメタクリル酸の総称を指す。
本発明のベース樹脂には、前記酸価が50mgKOH/g以下の上記一般式(1)で表されるアクリル樹脂以外の樹脂を配合することができる。このような樹脂としては、例えばロジン系樹脂、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、テルペン樹脂等が挙げられる。
これらのうち、ロジン系樹脂としては、例えばトール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン;水添ロジン、重合ロジン、不均一化ロジン、アクリル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジン等のロジン誘導体等を配合することができる。
これらの樹脂は単独でまたは複数を組合せて使用することができる。なお、本発明のはんだ付け用フラックスに使用できる樹脂はこれらに限定されるものではない。
<シクロヘキシル骨格にカルボキシル基を有する化合物>
本発明のはんだ付け用フラックスに用いられる活性剤には、下記一般式(2)で表されるシクロヘキシル骨格にカルボキシル基を有する化合物が含まれる。
なお、これらの中でも特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく用いられる。
また上記一般式(2)で表されるシクロヘキシル骨格にカルボキシル基を有する化合物の配合量は、はんだ付け用フラックス全量に対して0.5重量%から10重量%であることが好ましい。
本発明のはんだ付け用フラックスには、活性剤として前記一般式(2)で表されるシクロヘキシル骨格にカルボキシル基を有する化合物を単独で、若しくは当該化合物とこれ以外の活性剤とを併用することができる。
前記一般式(2)で表されるシクロヘキシル骨格にカルボキシル基を有する化合物以外の活性剤としては、例えば有機アミンのハロゲン化水素塩等のアミン塩(無機酸塩や有機酸塩)、有機酸、有機酸塩、有機アミン塩等が挙げられる。具体的には、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩、酸塩、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。なお、本発明のはんだ付け用フラックスに使用できる活性剤はこれらに限定されるものではない。
これらの活性剤の配合量は、前記一般式(2)で表されるシクロヘキシル骨格にカルボキシル基を有する化合物との合計量がはんだ付け用フラックス組成物全量に対して5重量%から50重量%となることが好ましい。
本発明のはんだ付け用フラックスに用いられる溶剤としては、例えばイソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、グリコールエーテル等を使用することができる。これらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
このような溶剤の配合量は、はんだ付け用フラックス全量に対して20重量%から50重量%であることが好ましい。なお、本発明のはんだ付け用フラックスに使用できる活性剤はこれらに限定されるものではない。
本発明のはんだ付け用フラックスには、はんだ合金粉末の酸化を抑える目的で酸化防止剤を配合することができる。このような酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリマー型酸化防止剤等が挙げられる。その中でも特にヒンダードフェノール系酸化剤が好ましく用いられる。またこれらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。なお、本発明のはんだ付け用フラックスに使用できる酸化防止剤はこれらに限定されるものではない。
このような酸化防止剤の配合量は特に限定されないが、一般的にははんだ付け用フラックス全量に対して0.5重量%から5重量%程度である。
本発明のはんだ付け用フラックスには、はんだペースト組成物を印刷に適した粘度に調整する目的でチキソ剤を配合することができる。このようなチキソ剤としては、例えば水素添加ヒマシ油、脂肪酸アマイド類、オキシ脂肪酸類が挙げられる。なお、本発明のはんだ付け用フラックスに使用できるチキソ剤はこれらに限定されるものではない。
このようなチキソ剤の配合量は、はんだ付け用フラックス全量に対して3重量%から15重量%であることが好ましい。
本発明のはんだ付け用フラックスには、更にハロゲン、つや消し剤、消泡剤等の添加剤を加えてもよい。このような添加剤の配合量は、はんだ付け用フラックス全量に対して10重量%以下であることが好ましく、更に好ましい配合量は5重量%以下である。
本発明のはんだペースト組成物に用いられるはんだ合金粉末としては、例えばSn、Ag、Cu、Bi、Zn、In、Ga、Sb、Au、Pd、Ge、Ni、Cr、Al、P、In、Pb等を複数組合せたものが挙げられる。代表的なはんだ合金粉末としてはSn−Ag−CuやSn−Ag−Cu−Inといった鉛フリーはんだ合金粉末が用いられるが、鉛含有のはんだ合金粉末を用いてもよい。
はんだ合金粉末の配合量が65重量%未満の場合には、得られるはんだペースト組成物を用いた場合に充分なはんだ接合が形成されにくくなる傾向にある。他方はんだ合金粉末の含有量が95重量%を超える場合にはバインダとしてのはんだ付け用フラックスが足りないため、はんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを混合しにくくなる傾向にある。
下記一般式(3)から(6)で表される化合物を用意した。
上記一般式(4)で表される化合物40重量%と、上記一般式(6)で表される化合物60重量%とを混合した溶液1を作製した。
撹拌機、還流管と窒素導入管を備えた500mlの4つ口フラスコにジエチルヘキシルグリコールを200g仕込み、これを110℃に加熱した。その後、溶液1(合計300g)に、アゾ系ラジカル開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、商品名:V−601、和光純薬(株)製)を0.2重量〜5重量%加えて溶解させた。この溶液を1.5時間かけて滴下し、滴下後110℃で1時間撹拌後、反応を終了しアクリル樹脂Aを得た。アクリル樹脂Aの重量平均分子量は15,000、酸価は0mgKOH/gであった。
メタクリル酸4.6重量%、上記一般式(4)で表される化合物35.4重量%、および上記一般式(5)で表される化合物60重量%を混合した溶液2(合計300g)を用いた以外は上記アクリル樹脂Aと同様の条件にてアクリル樹脂Bを得た。アクリル樹脂Bの重量平均分子量は12,000、酸価は30mgKOH/gであった。
上記一般式(3)で表される化合物からなる溶液3(合計300g)を用いた以外は上記アクリル樹脂Aと同様の条件にてアクリル樹脂Cを得た。アクリル樹脂Cの重量平均分子量は25,000、酸価は0mgKOH/gであった。
メタクリル酸10.7重量%と上記一般式(4)で表される化合物89.3重量%とを混合した溶液4(合計300g)を用いた以外は上記アクリル樹脂Aと同様の条件にてアクリル樹脂Dを得た。アクリル樹脂Dの重量平均分子量は,12,000、酸価は70mgKOH/gであった。
上記一般式(4)で表される化合物40重量%と上記一般式(5)で表される化合物60重量%を混合した溶液5(合計300g)を用いた以外は上記アクリル樹脂Aと同様の条件にてアクリル樹脂Eを得た。アクリル樹脂Eの重量平均分子量は40,000、酸価は0mgKOH/gであった。
メタクリル酸0.75重量%、上記一般式(4)で表される化合物39.25重量%および上記一般式(5)で表される化合物60重量%を混合した溶液6(合計300g)を用いた以外は上記アクリル樹脂Aと同様の条件にてアクリル樹脂Fを得た。アクリル樹脂Fの重量平均分子量は12,000、酸価は5mgKOH/gであった。
表1に示す組成および配合にて各成分を混練し、参考例1、実施例2から6および比較例1から4に係る各はんだ付け用フラックスを作製した。なお、表1のうち、組成を表すものに係る数値の単位は、特に断り書きがない限り重量%である。
*2 岡村製油(株)製 エイコサン二酸
*3 日本化成(株)製 脂肪酸アマイド
*4 BASFジャパン(株)製 ヒンダードフェノール系酸化防止剤
0.8mmピッチのQFP(Quad Flat Package)パターンが存在する基板に、同じパターンを有する厚み150μmのメタルマスクを用いて各はんだペースト組成物を印刷した。リフロー炉(製品名:TNP40−577PH、タムラ製作所(株)製)を使用し、印刷後10分以内に、各基板について酸素濃度4,000ppm下において最高温度240℃でリフローを行った。これを150℃下で200時間放置した後、各基板に−40℃×30分→125℃×30分を1サイクルとして50サイクルの条件で冷熱サイクル負荷をかけた後、各基板のQFPパターンのはんだ付け部における亀裂発生状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:QFP接続部の端子間(全96カ所)を連結するクラックの数が10未満
×:QFP接続部の端子間(全96カ所)を連結するクラックの数が10以上
208ピン0.5mmピッチのQFP(PKGサイズ:28mm×28mm×3.2mm)を実装できる電極(1.3mm×0.25mm)を有するガラスエポキシ基板を用意した。当該ガラスエポキシ基板上に上記電極と同じパターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用いて各はんだペースト組成物をそれぞれ6枚連続で印刷した。印刷された上記各基板について画像検査機(製品名:aspire2、(株)コーヨンテクノロジー製)を用いて以下の通り評価した。
○:差分高さが170μm以下
△:差分高さが170μm超え250μm以下
×:差分高さが250μm超え
2.0mm×1.2mmのサイズのチップ部品を実装できる電極(1.2mm×0.8mm)を有するガラスエポキシ基板を用意した。当該基板上に上記電極と同じパターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用いて各はんだペースト組成物を印刷し、チップ部品を搭載した。チップ部品を搭載した各基板を酸素濃度1,500±500ppmの窒素雰囲気下におき、その後ピーク温度を260℃に設定したリフロー炉(製品名:TNP-538EM、(株)タムラ製作所製)を用いて加熱してはんだ付けをした。はんだ付けした各基板について、X線透過装置(製品名:SMX−160E、(株)島津製作所製)を用いて部品周辺および部品下に発生したはんだボール数をカウントし、以下の通り評価した。
○:10個のチップあたりに発生したはんだボールが5個以下
×:10個のチップあたりに発生したはんだボールが5個超え
Claims (3)
- ベース樹脂と、活性剤と、溶剤とを含み、
前記ベース樹脂として酸価が50mgKOH/g以下の下記一般式(1)で表わされるアクリル樹脂を含み、
前記酸価が50mgKOH/g以下の下記一般式(1)で表されるアクリル樹脂の重量平均分子量は50,000以下であり、
前記活性剤としてシクロヘキサンカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、水添トリメリット酸および水添ピロメリット酸の少なくとも1種を含むことを特徴とするはんだ付け用フラックス。
aおよびcの少なくとも一方は0であってもよく、上記R1は炭素数8〜24のアルキル基であり、上記R2は上記R1以外の置換基であって水素原子、メチル基、アルキル基、アリール基、および水酸基等のいずれか単一の置換基および複数の置換基の組合せのいずれであってもよく、R3、R4およびR5は水素原子またはメチル基である) - 前記酸価が50mgKOH/g以下の上記一般式(1)で表されるアクリル樹脂の配合量ははんだ付け用フラックス全量に対して5重量%から50重量%であり、
前記活性剤の配合量ははんだ付け用フラックス全量に対して5重量%から50重量%であることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け用フラックス。 - 請求項1または請求項2に記載のはんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを含むはんだペースト組成物であって、
前記はんだ合金粉末の配合量は、はんだペースト組成物全量に対して65重量%以上95重量%以下であることを特徴とするはんだペースト組成物。
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