JP6296663B2 - フラックス組成物、ソルダペースト組成物および電子回路基板 - Google Patents
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Description
本実施形態のフラックス組成物は、(A)ロジン樹脂と、(B)アクリル樹脂と、(C)活性剤と、(D)チクソ剤と、(E)酸化防止剤と、(F)溶剤とを含む。
前記ロジン樹脂(A)としては、例えばトール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン;ロジンを重合化、水添化、不均一化、アクリル化、マレイン化、エステル化若しくはフェノール付加反応等を行ったロジン誘導体;これらロジンまたはロジン誘導体と不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸等)とをディールス・アルダー反応させて得られる変性ロジン樹脂等が挙げられる。これらの中でも特に変性ロジン樹脂が好ましく用いられる。
また前記ロジン樹脂(A)の配合量は、フラックス組成物全量に対して5重量%から50重量%であることが好ましく、10重量%から20重量%であることが更に好ましい。
本実施形態のフラックス組成物に用いられるアクリル樹脂(B)は、(メタ)アクリレートを主成分とするモノマーを重合することにより得られる。
また前記アクリル樹脂(B)としてはメタクリル酸と炭素数2以上のアルキル基を有するモノマーとを含むモノマー類を重合したアクリル樹脂(B−1)が好ましく用いられ、その中でも特にメタクリル酸と炭素数2から6のアルキル基を有するモノマーとを含むモノマー類を重合したアクリル樹脂、更にはメタクリル酸と炭素数2のアルキル基を有するモノマーとを含むモノマー類を重合したアクリル樹脂がより好ましく用いられる。このようなアクリル樹脂(B−1)を用いると、形成されるフラックス残渣のべたつきを抑制し、より良好な亀裂抑制効果を奏することができる。
また前記アクリル樹脂(B−1)の生成に用いられるモノマー類にはメタクリル酸と炭素数2以上のアルキル基を有するモノマー以外のモノマーを含めても良く、更には炭素数2以上のアルキル基を有するモノマーを2種以上含めても良い。当該モノマー類に炭素数2以上のアルキル基を有するモノマーを2種以上含める場合、例えば炭素数2のアルキル基を有するモノマーと炭素数4のアルキル基を有するモノマーというように、それぞれ異なる炭素数のアルキル基を有するモノマーを含めることが好ましい。この中でも特に、炭素数2のアルキル基を有するモノマーと炭素数6のアルキル基を有するモノマーの併用が好ましい。
更に前記アクリル樹脂(B−1)の生成に用いられるモノマー類は、メタクリル酸と炭素数2以上のアルキル基を有するモノマーとをそれぞれ4:96から20:80の割合で含めることが好ましい。
また前記アクリル樹脂(B)の配合量は、フラックス組成物全量に対して10重量%から90重量%であることが好ましく、30重量%から60重量%であることが更に好ましい。
前記活性剤(C)としては、例えば有機アミンのハロゲン化水素塩等のアミン塩(無機酸塩や有機酸塩)、有機酸、有機酸塩、有機アミン塩等が挙げられる。これらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記活性剤(C)の配合量は、フラックス組成物全量に対して1重量%から15重量%であることが好ましく、3重量%から10重量%であることが更に好ましい。
前記チクソ剤(C)としては、例えばヒマシ油、水素添加ヒマシ油、脂肪酸アマイド類、オキシ脂肪酸類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。またこれらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記チクソ剤(C)の配合量は、フラックス組成物全量に対して2重量%から15重量%であることが好ましく、3重量%から10重量%であることが更に好ましい。
本実施形態のフラックス組成物は、酸化防止剤(E)として、(E−1)フェノール系酸化防止剤と、(E−2)トリアゾール系酸化防止剤および(E−3)リン系酸化防止剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。
前記フェノール系酸化防止剤(E−1)としては、オルト位に立体障害作用を示す置換基をもったアルキルフェノールとして知られるヒンダートフェノール系酸化防止剤が用いられ、例えばフェノール水酸基の両側のオルト位がメチル基またはt−ブチル基(3級ブチル基)で置換されていないレスヒンダードフェノール系酸化防止剤、一方のみのオルト位がメチル基で置換され、他方のオルト位はt−ブチル基で置換されている部分ヒンダードフェノール系酸化防止剤、および両側のオルト位がt−ブチル基で置換されている完全ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。これらの中でも特に、酸化防止効果、並びにフラックス組成物およびソルダペースト組成物の保存安定性の高さから、部分ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。
このように、本実施形態のフラックス組成物は、酸化防止プロセスの異なる複数の酸化防止剤をその酸化防止効果を相乗的に発揮できるように併用することにより、例えば寒暖の差が激しい環境に置かれる電子回路基板に用いられた場合であっても、フラックス残渣の熱劣化を抑制することにより亀裂発生およびその進展の抑制効果を奏し、更に良好な溶融性、濡れ性等の性能を発揮することができる。
また前記フェノール系酸化防止剤(E−1)と前記トリアゾール系酸化防止剤(E−2)とを併用する場合の配合比率はそれぞれ1:1〜2:1であり、前記フェノール系酸化防止剤(E−1)と前記リン系酸化防止剤(E−3)(E−3)とを併用する場合の配合比率はそれぞれ1:1〜4:1であり、前記フェノール系酸化防止剤(E−1)と前記トリアゾール系酸化防止剤(E−2)と前記リン系酸化防止剤(E−3)とを併用する場合の配合比率はそれぞれ1:1:1〜4:1:1である。
前記溶剤(F)としては、例えばイソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、グリコールエーテル等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。またこれらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
前記溶剤(F)の配合量は、フラックス組成物全量に対して20重量%から40重量%であることが好ましく、25重量%から35重量%であることが更に好ましい。
本実施形態のソルダペースト組成物は、上記フラックス組成物とはんだ合金粉末とを混合することにより得られる。
前記はんだ合金粉末としては、例えば錫および鉛を含む合金、錫および鉛並びに銀、ビスマスおよびインジウムの少なくとも1種を含む合金、錫および銀を含む合金、錫および銅を含む合金、錫、銀および銅を含む合金、錫およびビスマスを含む合金等を用いることができる。またこれら以外にも、例えば錫、鉛、銀、ビスマス、インジウム、銅、亜鉛、ガリウム、アンチモン、金、パラジウム、ゲルマニウム、ニッケル、クロム、アルミニウム、リン等を適宜組合せたはんだ合金粉末を使用することができる。なお、上記に挙げた元素以外であってもその組合せに使用することは可能である。
これらの中でも特に錫、銀および銅を含むはんだ合金粉末、例えば錫−鉛系はんだ合金、錫−銀系合金はんだ、錫−銀−銅系はんだ合金、錫−銀−銅−ビスマス系はんだ合金、錫−銀−銅−インジウム系はんだ合金、錫−銀−銅−ビスマス−インジウム系はんだ合金の粉末が好ましく用いられる。
前記はんだ合金粉末の配合量が65重量%未満の場合には、得られるソルダペースト組成物を用いた場合に充分なはんだ接合が形成されにくくなる傾向にある。他方前記はんだ合金粉末の含有量が95重量%を超える場合にはバインダとしてのフラックス組成物が足りないため、フラックス組成物とはんだ合金粉末とを混合しにくくなる傾向にある。
本実施形態のはんだ接合体は、上記ソルダペースト組成物を用いて形成されることが好ましい。また当該はんだ接合体は、例えば、上記はんだ合金粉末からなるソルダボールと上記フラックス組成物とを用いて形成されてもよい。なお、はんだ接合体とは、はんだ接合部および少なくともはんだ接合部に接着するように形成されるフラックス残渣を指す。
このようにして作製された電子回路基板は、前記電極上にはんだ接合部が形成され、当該はんだ接合部は当該電極と電子部品とを電気的に接合する。
また前記基板上には、少なくともはんだ接合部に接着するようにフラックス残渣が付着している。なお当該フラックス残渣は、前記基板および前記ソルダレジスト膜の少なくとも一方と前記電子部品との間に介在してこれらを接着していることが好ましい。
電極2およびソルダレジスト膜3は基板1上に形成されている。またはんだ接合部41は、電極2と外部電極51とを電気的接合するように形成されている。フラックス残渣42は、本実施形態のようにはんだ接合部41、および電子部品5の基板1側表面とこれに対向するソルダレジスト膜3表面とに接着するよう形成されていることが好ましく、更にフラックス残渣42はソルダレジスト膜3とはんだ接合部41と端部52に接着するようにも形成されていることが好ましい。
表1に記載の各成分を混練し、実施例1から7、および比較例1から6に係る各フラックス組成物を得た。次いで当該各フラックス組成物11重量%とSn−3Ag−0.5Cuはんだ合金粉末89重量%とを混練し、実施例1から7、および比較例1から6に係る各ソルダペースト組成物を得た。
なお、特に記載のない限り、表1に記載の数値は重量%を意味するものとする。
※2 メタクリル酸、ラウリルアクリレートおよび2−エチルヘキシルメタクリレートからなるモノマーを重合して得られたもの
※3 BASFジャパン(株)製 部分ヒンダートフェノール系酸化防止剤
※4 BASFジャパン(株)製 完全ヒンダートフェノール系酸化防止剤
※5 (株)ADEKA製 トリアゾール系酸化防止剤(3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾールを主成分とする化合物)
※6 (株)ADEKA製 リン系酸化防止剤(テトラ(C12−C15混合アルキル)−4,4′−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト)
0.65mmピッチのQFP(Quad Flat Package)パターンが存在する基板に、同じパターンを有する厚み150μmのメタルマスクを用いて各ソルダペースト組成物を印刷した。この印刷後10分以内に当該各基板をリフロー炉(製品名:TNP40−577PH、タムラ製作所株)製)を用いて酸素濃度4,000ppm下にて図2に示す温度プロファイルに沿って最高温度240℃でリフローを行った。
次にリフロー後の前記各基板を150℃の温度下で100時間放置後、−40℃(30分間)〜120℃(30分間)の条件に設定した冷熱衝撃試験装置(製品名:ES−76LMS、 日立アプライアンス(株)製)を用いて上記冷熱衝撃サイクルを100回繰り返す環境下に曝した後これを取りだし、各試験基板(−40℃〜120℃)を作製した。
また上記と同じ条件にてリフローした各基板を150℃の温度下で100時間放置後、−40℃(30分間)〜150℃(30分間)の条件に設定した冷熱衝撃試験装置(製品名:ES−76LMS、 日立アプライアンス(株)製)を用いて上記冷熱衝撃サイクルを100回繰り返す環境下に曝した後これを取りだし、各試験基板(−40℃〜150℃)を作製した。
そして、前記各試験基板上のQFPパターンのはんだ付け部における亀裂発生状態を目視観察し、以下の基準で評価した。その結果を表2に示す。
◎:QFP接続部の端子間を連結する亀裂の数が5未満
○:QFP接続部の端子間を連結する亀裂の数が5以上10未満
△:QFP接続部の端子間を連結する亀裂の数が10以上20未満
×:QFP接続部の端子間を連結する亀裂の数が20以上
フラックス残渣耐亀裂性試験と同じ条件にて各ソルダペースト組成物を印刷した各基板をリフローし、これを室温まで放冷した後、各基板上に形成されたフラックス残渣を指触してその貼り付き跡を観察し、以下のように評価した。その結果を表2に示す。
○:貼りつき跡がない
△:貼り付き跡が生じる
×:指にフラックス残渣の成分が付着する
各ソルダペースト組成物について、以下に挙げる条件以外はJIS規格Z3197(フラックス残渣絶縁抵抗試験)に準拠した条件にてフラックス残渣の絶縁抵抗を測定した。
・メタルマスク厚:150μm
・はんだ溶融時の温度条件:リフロー炉(製品名:TNP40−577PH、(株)タムラ製作所製)を使用。なお、温度プロファイルは図2の通り。
・はんだ溶融時の雰囲気:酸素濃度4,000ppm
・高温高湿試験環境:85℃、95%
また当該試験にて測定した数値を以下のように評価した。その結果を表2に示す。
〇 測定開始後100時間〜500時間の間における抵抗値が全て1.0×109Ω以上
× 測定開始後100時間〜500時間の間における抵抗値の少なくともいずれかが1.0×109Ω未満
このように、本実施例のソルダペースト組成物を用いて形成されたはんだ接合体は寒暖の差が激しく冷熱衝撃の大きい環境下に置かれる電子回路基板に用いられた場合であっても、フラックス残渣の熱劣化を抑制することにより亀裂発生およびその進展の抑制効果を奏し、更に溶融性、良好な濡れ性等の性能を実現することができる。そのため、このような電子回路基板は特に高信頼性が要求されると共に寒暖の差が激しく冷熱衝撃が大きい環境下においても好適に用いることができる。
2 電極
3 ソルダレジスト膜
4 はんだ接合体
41 はんだ接合部
42 フラックス残渣
5 電子部品
51 外部電極
52 端部
100 電子回路基板
Claims (5)
- (A)ロジン樹脂と、(B)アクリル樹脂と、(C)活性剤と、(D)チクソ剤と、(E)酸化防止剤と、(F)溶剤とを含み、
前記酸化防止剤(E)として、(E−1)フェノール系酸化防止剤と、(E−2)トリアゾール系酸化防止剤および(E−3)リン系酸化防止剤を含み、
前記(E−1)フェノール系酸化防止剤と前記(E−2)トリアゾール系酸化防止剤と前記(E−3)リン系酸化防止剤との配合比率は重量%でそれぞれ1:1:1〜4:1:1であることを特徴とするフラックス組成物。 - 前記(E−1)フェノール系酸化防止剤は部分ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1に記載のフラックス組成物。
- 請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物と、はんだ合金粉末とを含むことを特徴とするソルダペースト組成物。
- 請求項3に記載のソルダペースト組成物を用いて形成されたことを特徴とするはんだ接合体。
- 請求項4に記載のはんだ接合体を有する電子回路基板。
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