JP2018122324A - ソルダペースト、電子回路基板及び電子制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
鉛フリーはんだ合金は、鉛含有はんだ合金と比較してはんだ付性が多少劣るものの、フラックスやはんだ付装置の改良によってこのはんだ付性の問題はカバーされている。そのため、例えば車載用電子回路基板であっても、自動車の車室内のように寒暖差はあるものの比較的穏やかな環境下に置かれるものにおいては、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金を用いて形成したはんだ接合部でも大きな問題は生じていない。
更には、はんだ接合部のうちフィレット部にボイドが発生すると、フィレット部にボイドのないはんだ接合部と比較してボイドの体積分、亀裂経路が短くなるため、はんだ接合部を横断する亀裂が起き易くなる虞がある。
1.6≦Ag含有量+(Cu含有量/0.5)≦5.9 … A
0.85≦(Ag含有量/3)+(Bi含有量/4.5)≦ 2.10 … B
3.6 ≦ Ag含有量+Sb含有量≦ 8.9 … C
0<(Ni含有量/0.25)+(Co含有量/0.25)≦1.19 …D
本実施形態のソルダペーストは、鉛フリーはんだ合金からなる合金粉末と、フラックス組成物とを含むことが好ましい。
前記鉛フリーはんだ合金には、1質量%以上3.1質量%以下のAgを含有させることができる。Agを添加することにより、鉛フリーはんだ合金のSn粒界中にAg3Sn化合物を析出させ、機械的強度を付与することができる。
但し、Agの含有量が1質量%未満の場合、Ag3Sn化合物の析出が少なく、鉛フリーはんだ合金の機械的強度及び耐熱衝撃性が低下するので好ましくない。またAgを3.1質量%を超えて添加しても引っ張り強度は大幅には向上せず、飛躍的な耐熱疲労特性の向上には結びつかない。また高価なAgの含有量を増やすことは経済的に好ましくない。更にAgの含有量が4質量%を超える場合、鉛フリーはんだ合金の延伸性が阻害され、これを用いて形成されるはんだ接合部が電子部品の電極剥離現象を引き起こす虞があるので好ましくない。
またAgの含有量を2質量%以上3.1質量%以下とすると、鉛フリーはんだ合金の強度と延伸性のバランスをより良好にできる。更に好ましいAgの含有量は2.5質量%以上3.1質量%以下である。
Cuの含有量を0.5質量%から1質量%とすると良好なCu喰われ防止効果を発揮することができる。特にCuの含有量が0.7質量%以下の場合、Cuランドに対するCu食われ防止効果を発揮することができると共に、溶融時の鉛フリーはんだ合金の粘度を良好な状態に保つことができ、リフロー時におけるボイドの発生をより抑制し、形成するはんだ接合部の耐熱衝撃性を向上することができる。更には、溶融した鉛フリーはんだ合金のSn結晶粒界に微細なCu6Sn5が分散することで、Snの結晶方位の変化を抑制し、はんだ接合形状(フィレット形状)の変形を抑制することができる。
なおCuの含有量が1質量%を超えると、はんだ接合部の電子部品及び電子回路基板との界面近傍にCu6Sn5化合物が析出し易くなり、接合信頼性やはんだ接合部の延伸性を阻害する虞があるため好ましくない。
ここで一般的にSn、Ag及びCuを含有する鉛フリーはんだ合金を用いて形成されるはんだ接合部は、Sn粒子同士の界面に金属間化合物(例えばAg3Sn、Cu6Sn5等)が分散し、はんだ接合部に引っ張りの力が加えられた場合であってもSn粒子同士が滑って変形するといった現象を防止し得る構造体となり、これにより所謂機械的特性を発現し得る。即ち、上記金属間化合物がSn粒子の滑り止め的な役割を果たす。
従って前記鉛フリーはんだ合金の場合、AgとCuの含有量のバランスをAgを1質量%以上3.1質量%以下、Cuを0質量%超1質量%以下とし、Agの含有量をCuの含有量よりも同量以上とすることで、上記金属間化合物としてAg3Snが形成され易くなり、Cuの含有量が比較的少なくとも良好な機械的特性を発現し得る。つまり、Cuの含有量が1質量%以下であったとしても、その一部が金属間化合物になりつつもAg3Snの滑り止め効果に寄与することから、Ag3SnとCuの両方において良好な機械的特性を発揮し得ると考えられる。
但し、Sbの含有量が5質量%を超えると、鉛フリーはんだ合金の溶融温度(固相線温度・液相線温度)が上昇してしまい、高温下でSbが再固溶しなくなる。そのため、寒暖の差が激しい過酷な環境下に長時間曝した場合、SnSb、ε−Ag3(Sn,Sb)化合物による析出強化のみが行われるため、時間の経過と共にこれらの金属間化合物が粗大化し、Sn粒界のすべり変形の抑制効果が失効してしまう。またこの場合、鉛フリーはんだ合金の溶融温度の上昇により電子部品の耐熱温度も問題となるため、好ましくない。
但し、Biの含有量が4.5質量%を超えると鉛フリーはんだ合金の延伸性を低下させて脆性が強まるため、寒暖の差が激しい過酷な環境下に長時間曝された際、当該鉛フリーはんだ合金により形成されたはんだ接合部には深部亀裂が生じ易くなるため好ましくない。
またBiの含有量を2質量%以上4.5質量%以下とすると、はんだ接合部の強度をより向上させることができる。また後述するNi及び/またはCoと併用する場合、Biの好ましい含有量は3.1質量%以上4.5質量%以下である。
また、このような鉛フリーはんだ合金は、Ni/Pd/AuめっきやNi/Auめっきがなされていない電子部品をはんだ接合する場合であっても、はんだ接合時にNiがはんだ接合部と電子部品のリード部分やその下面電極との界面付近の領域(以下、「界面付近」という。)に移動して微細な(Cu,Ni)6Sn5を形成するため、界面付近におけるCu3Sn層の成長を抑制することができ、界面付近の亀裂進展抑制効果を向上させることができる。
なお、上述の通りNiはフィレット中にボイドを発生し易いものであるが、本実施形態のソルダペーストは、これに使用する鉛フリーはんだ合金のNiと他の元素との含有量のバランス及び後述するフラックス組成物を使用することにより、Niを0.25質量%以下含有させても上記ボイドの発生を抑制することができる。
また、このような鉛フリーはんだ合金は、Ni/Pd/AuめっきやNi/Auめっきがなされていない電子部品をはんだ接合する場合であっても、Ni添加による上記効果を高めると共に、Coがはんだ接合時に界面付近に移動して微細な(Cu,Co)6Sn5を形成するため、界面付近におけるCu3Sn層の成長を抑制することができ、界面付近の亀裂進展抑制効果を向上させることができる。
なお、上述の通りCoはフィレット中にボイドを発生し易いものであるが、本実施形態のソルダペーストは、これに使用する鉛フリーはんだ合金のCoと他の元素との含有量のバランス及び後述するフラックス組成物を使用することにより、Coを0.25質量%以下含有させても上記ボイドの発生を抑制することができる。
1.6≦Ag含有量+(Cu含有量/0.5)≦5.9 … A
0.85≦(Ag含有量/3)+(Bi含有量/4.5)≦ 2.10 … B
3.6 ≦ Ag含有量+Sb含有量≦ 8.9 … C
0<(Ni含有量/0.25)+(Co含有量/0.25)≦1.19 …D
但し、Inの含有量が6質量%を超えると、鉛フリーはんだ合金の延伸性を阻害すると共に、寒暖の差が激しい過酷な環境下に長時間曝されている間にγ−InSn4が形成され、鉛フリーはんだ合金が自己変形してしまうため好ましくない。
なおInのより好ましい含有量は、0質量%超4質量%以下であり、1質量%から2質量%が特に好ましい。
本実施形態のソルダペーストに用いるフラックス組成物は、(A)ベース樹脂と、(B)活性剤と、(C)チキソ剤と、(D)溶剤とを含むことが好ましい。
前記ベース樹脂(A)としては、例えば(A−1)ロジン系樹脂及び(A−2)合成樹脂の少なくとも一方を用いることが好ましい。
次に前記ダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物としては、例えばダイマージオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルダイマージオールのようなダイマー酸から誘導される化合物であって、その末端にアルコール基を有するもの等が挙げられ、例えばPRIPOL2033、PRIPLAST3197、PRIPLAST1838(以上、クローダジャパン(株)製)等を用いることができる。
前記ロジン誘導体化合物は、前記カルボキシル基を有するロジン系樹脂と前記ダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物とを脱水縮合することにより得られる。この脱水縮合の方法としては一般的に用いられる方法を使用することができる。また、前記カルボキシル基を有するロジン系樹脂と前記ダイマー酸誘導体柔軟性アルコール化合物とを脱水縮合する際の好ましい質量比率は、それぞれ25:75から75:25である。
前記活性剤(B)として、(B−1)炭素数が3から4の直鎖の飽和ジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して0.5質量%以上3質量%以下、(B−2)炭素数が5から13のジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して2質量%以上15質量%以下、及び(B−3)炭素数が20から22のジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して2質量%以上15質量%以下含むことが好ましい。
当該活性剤(B)の配合量は、4.5質量%以上35質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
また当該炭素数が3から4の直鎖の飽和ジカルボン酸(B−1)のより好ましい配合量は、フラックス組成物全量に対して0.5質量%から2質量%である。
また前記炭素数が5から13のジカルボン酸(B−2)のより好ましい配合量は、フラックス組成物全量に対して3質量%から12質量%である。
なお、前記炭素数が20から22のジカルボン酸(B−3)のより好ましい配合量は、フラックス組成物全量に対して3質量%から12質量%である。
但し前記炭素数20から22のジカルボン酸(B−3)は活性力が低く、前記炭素数3から4の直鎖の飽和ジカルボン酸(B−1)との組み合わせのみでは合金粉末表面の酸化膜を十分に除去できない虞がある。そのためBi、In及びSb等を多く含む前記鉛フリーはんだ合金からなる合金粉末を用いた場合、合金粉末への酸化作用が不十分となり易く、はんだボールやボイドの抑制効果を十分に発揮し難い。しかし前記フラックス組成物はプリヒート中から強力な活性力を発揮する炭素数が5から13のジカルボン酸(B−2)を上記範囲内で含有するため、フラックス残さの信頼性を確保しつつ、このような合金粉末を使用した場合であっても十分に酸化膜を除去することができるようになる。そのため、本実施形態のソルダペーストは、前記合金粉末同士の凝集力を向上し、且つはんだ溶融時の粘性を低減させることにより、電子部品脇に発生するはんだボールやはんだ接合部に発生するボイドを低減することができる。
またこのような活性剤を組み合わせたフラックス組成物は良好な印刷性をも発揮することができる。
このような他の活性剤としては、例えば有機アミンのハロゲン化水素塩等のアミン塩(無機酸塩や有機酸塩)、有機酸、有機酸塩、有機アミン塩等が挙げられる。具体的には、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アントラニル酸、ピコリン酸及び3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
当該他の活性剤の配合量は、フラックス組成物全量に対して0質量%超20質量%以下であることが好ましい。
前記チキソ剤(C)としては、例えば水素添加ヒマシ油、脂肪酸アマイド類、飽和脂肪酸ビスアミド類、オキシ脂肪酸、ジベンジリデンソルビトール類が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記チキソ剤(C)の配合量は、フラックス組成物全量に対して2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
前記溶剤(D)としては、例えばイソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルジグリコール、(2−エチルヘキシル)ジグリコール、フェニルグリコール、ブチルカルビトール、オクタンジオール、αテルピネオール、βテルピネオール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ビスイソプロピル等が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記溶剤(D)の配合量は、フラックス組成物全量に対して20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、25質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
前記酸化防止剤の配合量は特に限定されないが、一般的にはフラックス組成物全量に対して0.5質量%以上5質量%程度以下であることが好ましい。
前記添加剤の配合量は、フラックス組成物全量に対して0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
前記合金粉末とフラックス組成物との配合比率は、合金粉末:フラックス組成物の比率で65:35から95:5であることが好ましい。より好ましいその配合比率は85:15から93:7であり、特に好ましい配合比率は87:13から92:8である。
本実施形態の電子回路基板は、前記ソルダペーストを用いて形成されるはんだ接合部とフラックス残さを有することが好ましい。当該電子回路基板は、例えば基板上の所定の位置に電極及びソルダレジスト膜を形成し、所定のパターンを有するマスクを用いて本実施形態のソルダペーストを印刷し、当該パターンに適合する電子部品を所定の位置に搭載し、これをリフローすることにより作製される。
このようにして作製された電子回路基板は、前記電極上にはんだ接合部が形成され、当該はんだ接合部は当該電極と電子部品とを電気的に接合する。そして前記基板上には、少なくともはんだ接合部に接着するようにフラックス残さが付着している。
このようなはんだ接合部を有する電子回路基板は、車載用電子回路基板といった高い信頼性の求められる電子回路基板にも好適に用いることができる。
メタクリル酸10質量%、2−エチルヘキシルメタクリレート51質量%、ラウリルアクリレート39質量%を混合した溶液を作製した。
その後、撹拌機、還流管及び窒素導入管とを備えた500mlの4つ口フラスコにジエチルヘキシルグリコール200gを仕込み、これを110℃に加熱した。次いで前記溶液300gにアゾ系ラジカル開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(製品名:V−601、和光純薬(株)製)を0.2質量%から5質量%を加えてこれを溶解させた。
この溶液を前記4つ口フラスコに1.5時間かけて滴下し、当該4つ口フラスコ内にある成分を110℃で1時間撹拌した後に反応を終了させ、合成樹脂を得た。なお、合成樹脂の重量平均分子量は7,800Mw、酸価は40mgKOH/g、ガラス転移温度は−47℃であった。
※2 日本化成(株)製 ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド
※3 BASFジャパン(株)製 ヒンダードフェノール系酸化防止剤
前記フラックス組成物を11.2質量%と以下のはんだ合金の粉末88.8質量とをそれぞれ混練し、実施例1から12及び比較例1から14に係る各ソルダペーストを作製した。
<実施例>
合金(a):Sn−3Ag−0.7Cu−3.5Bi−3Sb−0.04Ni−0.01Coはんだ合金
合金(b):Sn−3Ag−0.5Cu−4.5Bi−3Sb−0.03Niはんだ合金
合金(c):Sn−3Ag−0.5Cu−3.0Bi−2Sb−0.03Niはんだ合金
合金(d):Sn−3Ag−0.7Cu−3.2Bi−3Sb−0.03Ni−0.01Co−0.05Feはんだ合金
<比較例>
合金(a):Sn−3Ag−0.7Cu−3.5Bi−3Sb−0.04Ni−0.01Coはんだ合金
合金(e):Sn−0.5Ag−0.5Cu−3.0Bi−2Sb−0.04Niはんだ合金
※上記はんだ合金粉末の粒径はいずれも20μmから36μmである。
2.0mm×1.2mmのサイズのチップ部品と、当該サイズのチップ部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記チップ部品を接続する電極(1.25mm×1.0mm)とを備えたガラスエポキシ基板と、同パターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用意した。
前記ガラスエポキシ基板上に前記メタルマスクを用いて各ソルダペーストを印刷し、それぞれ前記チップ部品を搭載した。
その後、リフロー炉(製品名:TNP−538EM、(株)タムラ製作所製)を用いて前記各ガラスエポキシ基板を加熱してそれぞれに前記ガラスエポキシ基板と前記チップ部品とを電気的に接合するはんだ接合部を形成し、前記チップ部品を実装した。この際のリフロー条件は、プリヒートを170℃から190℃で110秒間、ピーク温度を245℃とし、200℃以上の時間が65秒間、220℃以上の時間が45秒間、ピーク温度から200℃までの冷却速度を3℃から8℃/秒とし、酸素濃度は1500±500ppmに設定した。
次いで各試験基板の表面状態をX線透過装置(製品名:SMX−160E、(株)島津製作所製)で観察し、各試験基板中40箇所のランドにおいて、チップ部品の電極下の領域(図1の破線で囲った領域(a))に占めるボイドの面積率(ボイドの総面積の割合。以下同じ。)とフィレットが形成されている領域(図1の破線で囲った領域(b))に占めるボイドの面積率の平均値を求め、以下のように評価した。その結果を表3及び表4にそれぞれ表す。
◎:ボイドの面積率の平均値が3%以下であって、ボイド発生の抑制効果が極めて良好
○:ボイドの面積率の平均値が3%超5%以下であって、ボイド発生の抑制効果が良好
△:ボイドの面積率の平均値が5%超8%以下であって、ボイド発生の抑制効果が十分
×:ボイドの面積率の平均値が8%を超え、ボイド発生の抑制効果が不十分
リフロー条件のピーク温度を260℃、200℃以上の時間を70秒間、220℃以上の時間を60秒間とする以外は上記(1)ボイド試験と同じ条件にて各試験基板を作製し、これらを各試験基板の表面状態をX線透過装置(製品名:SMX−160E、(株)島津製作所製)で観察し、チップ部品の周辺及び下面に発生したはんだボール数をカウントし、以下のように評価した。その結果を表3及び表4にそれぞれ表す。
◎:2.0mm×1.2mmチップ抵抗10個辺りに発生したボール数が0個
○:2.0mm×1.2mmチップ抵抗10個辺りに発生したボール数が0個を超え5個以下
△:2.0mm×1.2mmチップ抵抗10個辺りに発生したボール数が5個を超え10個以下
×:2.0mm×1.2mmチップ抵抗10個辺りに発生したボール数が10個を超える
JIS規格Z 3284(1994)に規定の条件に従い試験を行い、以下のように評価した。その結果を表3及び表4にそれぞれ表す。
○:Cu板の変色なし
×:Cu板の変色あり
(4)印刷性試験
100ピン0.5mmピッチのBGAを実装できるパターンを有するソルダレジストと電極(直径0.25mm)を備えたガラスエポキシ基板と、同パターンを有する厚さ120μmのメタルマスクを用意した。
前記ガラスエポキシ基板上に前記メタルマスクを用いて各ソルダペーストをそれぞれ6枚連続で印刷し、直径0.25mmにおける転写体積率を画像検査機(製品名:aspire2、(株)コーヨンテクノロジー製)を用いて以下の基準で評価した。その結果を表3及び表4にそれぞれ表す。
◎:転写体積率35%以下の個数が0個
○:転写体積率35%以下の個数が0個を超え10個以下
△:転写体積率35%以下の個数が10個を超え50個以下
×:転写体積率35%以下の個数が50個を超える
3.2mm×1.6mmのサイズのチップ部品と、当該サイズのチップ部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記チップ部品を接続する電極(1.6mm×1.2mm)とを備えたガラスエポキシ基板と、同パターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用意した。
前記ガラスエポキシ基板上に前記メタルマスクを用いて各ソルダペースト組成物を印刷し、それぞれ前記チップ部品を搭載し、はんだ接合部を形成した。この際のリフロー条件は、プリヒートを170℃から190℃で110秒間、ピーク温度を245℃とし、200℃以上の時間が65秒間、220℃以上の時間が45秒間、ピーク温度から200℃までの冷却速度を3℃から8℃/秒とし、酸素濃度は1500±500ppmに設定した。
前記はんだ接合部形成後の各ガラスエポキシ基板を−40℃(5分間)から150℃(5分間)の条件に設定した液槽式冷熱衝撃試験装置(製品名:ETAC WINTECH LT80、楠本(株)製)を用いて冷熱衝撃サイクルを1,000、2,000、3,000サイクル繰り返す環境下に曝し、各試験基板を作製した。
次いで各試験基板の対象部分を切り出し、これをエポキシ樹脂(製品名:エポマウント(主剤及び硬化剤)、リファインテック(株)製)を用いて封止した。更に湿式研磨機(製品名:TegraPol−25、丸本ストルアス(株)製)を用いて各試験基板に実装された前記チップ部品の中央断面が分かるような状態とし、形成されたはんだ接合部に発生した亀裂がはんだ接合部を完全に横断して破断に至っているか否かを走査電子顕微鏡(製品名:TM−1000、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察し、以下の基準にて評価した。その結果を表3及び表4に表す。なお、各冷熱衝撃サイクルにおける評価チップ数は10個とした。
◎:3,000サイクルまではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生しない
○:2,001から3,000サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
△:1,001から2,000サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
×:1,000サイクル以下ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
Claims (10)
- Agを1質量%以上3.1質量%以下と、Cuを0質量%超1質量%以下と、Sbを1質量%以上5質量%以下と、Biを0.5質量%以上4.5質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.25質量%以下含み、残部がSnからなる鉛フリーはんだ合金からなる合金粉末と、
(A)ベース樹脂と、(B)活性剤と、(C)チキソ剤と、(D)溶剤とを含むフラックス組成物であって、前記活性剤(B)の配合量はフラックス組成物全量に対して4.5質量%以上35質量%以下であり、前記活性剤(B)として、(B−1)炭素数が3から4の直鎖の飽和ジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して0.5質量%以上3質量%以下、(B−2)炭素数が5から13のジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して2質量%以上15質量%以下、及び(B−3)炭素数が20から22のジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して2質量%以上15質量%以下含むフラックス組成物とを含むことを特徴とするソルダペースト。 - 前記鉛フリーはんだ合金は、更にCoを0.001質量%以上0.25質量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のソルダペースト。
- 前記鉛フリーはんだ合金は、Biの含有量が3.1質量%以上4.5質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のソルダペースト。
- Agを1質量%以上3.1質量%以下と、Cuを0質量%超1質量%以下と、Sbを1質量%以上5質量%以下と、Biを0.5質量%以上4.5質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.25質量%以下と、Coを0.001質量%以上0.25質量%以下含み残部がSnからなり、AgとCuとSbとBiとNiとCoのそれぞれの含有量(質量%)が下記式AからDの全てを満たす鉛フリーはんだ合金からなる合金粉末と、
(A)ベース樹脂と、(B)活性剤と、(C)チキソ剤と、(D)溶剤とを含むフラックス組成物であって、前記活性剤(B)の配合量はフラックス組成物全量に対して4.5質量%以上35質量%以下であり、前記活性剤(B)として、(B−1)炭素数が3から4の直鎖の飽和ジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して0.5質量%以上3質量%以下、(B−2)炭素数が5から13のジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して2質量%以上15質量%以下、及び(B−3)炭素数が20から22のジカルボン酸をフラックス組成物全量に対して2質量%以上15質量%以下含むフラックス組成物とを含むことを特徴とするソルダペースト。
1.6≦Ag含有量+(Cu含有量/0.5)≦5.9 … A
0.85≦(Ag含有量/3)+(Bi含有量/4.5)≦ 2.10 … B
3.6 ≦ Ag含有量+Sb含有量≦ 8.9 … C
0<(Ni含有量/0.25)+(Co含有量/0.25)≦1.19 …D - 前記鉛フリーはんだ合金は、更に0質量%超6質量%以下のInを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のソルダペースト。
- 前記鉛フリーはんだ合金は、更にP、Ga及びGeの少なくとも1種を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のソルダペースト。
- 前記鉛フリーはんだ合金は、更にFe、Mn、Cr及びMoの少なくとも1種を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のソルダペースト。
- 前記炭素数が3から4の直鎖の飽和ジカルボン酸(B−1)はマロン酸及びコハク酸の少なくとも一方であり、
前記炭素数が5から13のジカルボン酸(B−2)はグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、2−メチルアゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、2,4−ジメチル−4−メトキシカルボニルウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸及び2,4,6−トリメチル−4,6−ジメトキシカルボニルトリデカン二酸から選ばれる少なくとも1種であり、
前記炭素数が20から22のジカルボン酸(B−3)はエイコサ二酸、8−エチルオクタデカン二酸、8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸及び11−ビニル−8−オクタデセン二酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のソルダペースト。 - 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のソルダペーストを用いて形成されるはんだ接合部を有することを特徴とする電子回路基板。
- 請求項9に記載の電子回路基板を有することを特徴とする電子制御装置。
Priority Applications (13)
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