JP7241716B2 - 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 - Google Patents
鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7241716B2 JP7241716B2 JP2020068658A JP2020068658A JP7241716B2 JP 7241716 B2 JP7241716 B2 JP 7241716B2 JP 2020068658 A JP2020068658 A JP 2020068658A JP 2020068658 A JP2020068658 A JP 2020068658A JP 7241716 B2 JP7241716 B2 JP 7241716B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- solder
- lead
- less
- electronic circuit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)
Description
ここで鉛フリーはんだ合金は、鉛含有はんだ合金と比較してはんだ付性が多少劣る。しかしフラックスやはんだ付装置の改良によってこのはんだ付性の問題は克服されているため、民生用電子機器のように比較的穏やかな環境下に置かれるものにおいては、Sn-3Ag-0.5Cuはんだ合金によるはんだ接合でも、電子回路実装基板の一定程度の信頼性を保つことができる。
そしてこのような寒暖差の非常に激しい環境下では、電子回路実装基板において、実装された電子部品と基板(本明細書において単に「基板」という場合は、導体パターン形成前の板、導体パターンが形成され電子部品と電気的接続が可能な板、及び電子部品が実装された電子回路実装基板のうち電子部品を含まない板部分のいずれかであり、場合に応じて適宜いずれかを指し、この場合は「電子部品が実装された電子回路実装基板のうち電子部品を含まない板部分」を指す。)との線膨張係数の差による熱応力によりはんだ接合部に大きな負荷を与える。特にエンジンの運転と停止を繰り返す自動車の使用過程では、はんだ接合部に上記負荷を繰り返し与えることとなる。そしてこの負荷の繰り返しははんだ接合部の塑性変形を引き起こすため、はんだ接合部のクラック発生の原因となり得る。
特に激しい寒暖差に加え電子回路実装基板に振動が負荷される環境下にあっては、上記クラック及びその進展は更に発生し易いという問題がある。
そのため、BGA及びQFNのような特に熱応力がはんだ接合部に集中し易い電子部品を実装した電子回路実装基板の場合、筐体に組み付けた状態で冷熱サイクル試験を実施すると、はんだ接合部には熱応力だけでなく上述する締め付けトルクによる応力も加わることとなる。よって、電子回路実装基板を筐体に組み付けた状態と組み付けない状態とを比較した場合、冷熱サイクル試験においてはんだ接合部にかかる負荷は前者の方が著しく大きくなる。
このように、実際の電子回路実装基板の使用環境においては、はんだ接合部にかかる負荷は非常に大きく、そのためこのような条件下においてもはんだ接合部におけるクラックの発生及びその進展を抑制し、その接合信頼性を保ち得る鉛フリーはんだ合金への要望は、今後より大きくなることが予想される。
ここで、はんだ合金を用いて形成されるはんだ接合部内にボイドが発生する要因として、はんだ付け時に溶融したはんだ内に取り込まれたまま排出されなかったフラックスや空気以外に、はんだ接合部内の結晶粒界に存在する原子空孔の凝集(巨大化)が挙げられる。
即ち、図1を用いて説明すると、以下の通りである。
はんだ接合部100の形成過程において、溶融したはんだ内では原子拡散が起こり得るため、これにより発生した原子空孔がはんだ接合部100内に残存する場合がある。低温から常温においては当該原子空孔の濃度は低く体積も小さい状態であるため、はんだ接合部100に与える影響は非常に小さい(体積が小さい状態であることから、図1(a)では原子空孔は図示せず)。
しかしはんだ接合部100が高温環境下に置かれる場合、上述した原子空孔の濃度が上昇し、これに伴ってその体積も増大し得る。図1(b)に示すように、特に結晶粒界1に存在する原子空孔2は濃度が上昇し易く、そのためその体積も増大し易い。
更には、原子空孔の濃度が上昇した結晶粒界では、当該原子空孔が凝集する傾向にあるため、図1(c)に示すように、結晶粒界1において原子空孔2が凝集し、粒界ボイド2’を形成してしまう。
上述したはんだ接合部を形成するはんだ合金が良好な延性を有している場合、粒界ボイド2’が発生した状態ではんだ接合部100に熱応力が加えられた場合であっても、はんだ接合部100が変形し易い性質を有するため、上記熱応力ははんだ接合部100が変形することで緩和され得る。これにより、必然的にはんだ接合部内部の粒界ボイド2’等の欠陥に負荷される熱応力は小さくなるため、粒界ボイド2’の連結を抑制し得る。
しかし上述の通り、Biははんだ合金の延性を低下させる合金元素であるため、これを添加したはんだ合金を用いて形成するはんだ接合部100において、粒界ボイド2’が発生した状態ではんだ接合部100に熱応力が加えられた場合、当該熱応力のはんだ接合部100の変形による緩和は見込めないため、はんだ接合部内部の粒界ボイド2’等の欠陥に負荷される応力は大きくなり、そのため図1(d)に示すように粒界ボイド2’が連結し、クラック3が発生してしまう可能性が高い。
このような現象は、はんだ接合部にかかる負担(応力)が大きい状態、即ち、BGA及びQFNのような特に熱応力がはんだ接合部に集中し易い電子部品を用いた状態や、電子回路実装基板が筐体に組み付けられた状態においては、より発生し易くなる。
ここで、Sbは、はんだ合金の延性を良好にすると共に、はんだ合金のSnマトリックス中に固溶し得る合金元素であるため、例えばBGA及びQFNのような特に熱応力がはんだ接合部に集中し易い電子部品を用いた状態や、電子回路実装基板が筐体に組み付けられた状態においても、はんだ接合部の変形によりこれにかかる負担(応力)を分散して低減でき、上述のような粒界ボイドの連結によるクラックの発生及びその進展を抑制し得る。
一方、Sbを添加したはんだ合金を用いて形成するはんだ接合部は、繰り返し与えられる熱応力によりその物性が低下する虞があり、その結果、はんだ接合部にクラックが発生し、このクラックを起因としてはんだ接合部が破断する虞がある。
即ち、図2を用いて説明すると、以下の通りである。なお防湿剤は、電子回路実装基板の使用環境、基板や電子部品の種類等によって塗布範囲が異なる(例えば、はんだ接合部周辺に塗布する場合や電子部品全体(はんだ接合部も含めて)に塗布する場合等がある。)。そして図2に示すのは、はんだ接合部周辺に防湿剤を塗布した場合である。
図2(a)に表す通り、電子回路実装基板200は、基板11とQFP(リード以外図示せず)とを有し、基板11上には、絶縁層13並びに電極12とQFPのリード14とを電気的接合するはんだ接合部15が形成されている。そしてはんだ接合部15(フラックス残さ)上には、防湿剤からなる防湿層16が形成されている。なお、図2においては、便宜上、フラックス残さは図示しない。
図2(d)のように膨張するように異形化したはんだ接合部15は隣接するはんだ接合部に接触して導通状態となる虞があり、これを起因としてショートが発生する虞がある。
・寒暖の差が激しく、また振動が負荷されるような過酷な環境下であって、且つ、特に熱応力がはんだ接合部に集中し易い電子部品を用いた状態や、電子回路実装基板が筐体に組み付けられた状態においてもはんだ接合部に発生するクラックの進展を抑制できる。
・はんだ接合部に生じたクラックに防湿剤が浸透した場合であっても、はんだ接合部の異形化を抑制できる。
・例えば電極がSn-3Ag-0.5Cu合金のはんだボールから構成されるBGAのはんだ接合においても、はんだ接合部が良好な耐熱疲労特性を発揮し得る。
・寒暖の差が激しく、また振動が負荷されるような過酷な環境下であって、且つ、特に熱応力がはんだ接合部に集中し易い電子部品を用いた状態や、電子回路実装基板が筐体に組み付けられた状態においてもはんだ接合部に発生するクラックの進展を抑制できる。
・はんだ接合部に生じたクラックに防湿剤が浸透した場合であっても、はんだ接合部の異形化を抑制できる。
・例えば電極がSn-3Ag-0.5Cu合金のはんだボールから構成されるBGAのはんだ接合においても、はんだ接合部が良好な耐熱疲労特性を発揮し得る。
本実施形態の鉛フリーはんだ合金には、2.5質量%以上3.1質量%以下のAgを含有させることができる。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にAgを添加することにより、鉛フリーはんだ合金の延性を良好にしつつ、そのSn粒界中にAg3Sn化合物を析出させて機械的強度を付与することができる。またこれにより、当該鉛フリーはんだ合金の耐熱疲労特性を向上させることができると共に、はんだ接合部内でのボイドの発生を抑制することができる。
Agの含有量をこの範囲内とすることにより、鉛フリーはんだ合金の機械的強度、延性及び溶融時のボイド排出性のバランスをより図ることができる。
Cuの含有量をこの範囲内とすることにより、鉛フリーはんだ合金の耐熱疲労特性及び溶融時のボイド排出性のバランスをより図ることができる。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にBiを添加することにより、これを用いて形成するはんだ接合部内での粒界ボイドの発生を抑制しつつ、その強度を向上させることができる。
またBiの含有量をこの範囲内とすることではんだ接合部の強度を向上し得るため、はんだ接合部にクラックが生じた場合であっても、当該クラックへの防湿剤の浸透及び硬化を起因とするはんだ接合部の異形化を抑制することができる。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にBiを添加することにより、はんだ接合部内での粒界ボイドの発生の抑制効果及びその強度の向上効果を更に発揮することができる。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にSbを添加することにより、Sn-Ag-Cu系はんだ合金の延性を阻害することなく、鉛フリーはんだ合金へのBi添加による粒界ボイドの発生をより抑制することができる。
またSbの含有量をこの範囲内とすることで、寒暖差が激しく熱応力が繰り返し負荷されるような環境下においても、はんだ接合部の変形を抑制でき、はんだ接合部の物性低下を抑制し得る。そのため、本実施形態の鉛フリーはんだ合金は、はんだ接合部にクラックが生じた場合であっても、当該クラックへの防湿剤の浸透及び硬化を起因とするはんだ接合部の異形化を抑制することができる。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にSbを添加することにより、はんだ接合部内での粒界ボイドの発生の抑制効果、並びにはんだ接合部の変形抑制効果及びはんだ接合部の異形化抑制効果を更に発揮することができる。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にNiを添加することにより、はんだ付け時に溶融した鉛フリーはんだ合金中に微細な(Cu,Ni)6Sn5が形成されてはんだ接合部中に分散し得るため、はんだ接合部におけるクラックの進展を抑制し、更にその耐熱疲労特性を向上させることができる。
また鉛フリーはんだ合金に含まれるNiは、はんだ付け時に電子部品の電極とはんだ接合部との界面(以下、「界面領域」という。)に移動して微細な(Cu,Ni)6Sn5を形成し得るため、前記界面領域における合金層の成長を抑制することができ、前記界面領域のクラック進展を抑制し得る。
また、電極がSn-3Ag-0.5Cu合金のはんだボールから構成されるBGAをはんだ接合する場合、形成されるはんだ接合部に一定以上のボイドが発生してしまうと、寒暖差の激しい環境下に置かれた場合にはんだ接合部の熱疲労特性が低下し易くなる虞がある。しかし、本実施形態の鉛フリーはんだ合金であれば上述の通りはんだ接合部のボイド発生抑制効果を発揮し得るため、このようなBGAのはんだ接合にも好適に使用することができる。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にNiを添加することにより、はんだ接合部のボイド発生抑制効果を更に発揮することができ、例えばBGAのはんだ接合時においてもより良好な耐熱疲労特性を発揮することができる。
鉛フリーはんだ合金に更にCoを添加することで、Ni添加による上記効果を高めると共に、はんだ付け時に溶融した鉛フリーはんだ合金中に微細な(Cu,Co)6Sn5が形成されてはんだ接合部中に分散し得るため、はんだ接合部に一定の応力が負荷された際のクリープ変形を抑制することができ、はんだ接合部の耐熱疲労特性を向上させることができる。
また、本実施形態の鉛フリーはんだ合金へのCoの添加により、Coがはんだ付け時に前記界面領域に移動して微細な(Cu,Co)6Sn5を形成するため、前記界面領域における合金層の成長を抑制することができ、前記界面領域のクラック進展抑制効果を更に向上させることができる。
また、電極がSn-3Ag-0.5Cu合金のはんだボールから構成されるBGAをはんだ接合する場合、形成されるはんだ接合部に一定以上のボイドが発生してしまうと、寒暖差の激しい環境下に置かれた場合にはんだ接合部の熱疲労特性が低下し易くなる虞がある。しかし、本実施形態の鉛フリーはんだ合金であれば上述の通りはんだ接合部のボイド発生抑制効果を発揮し得るため、このようなBGAのはんだ接合にも好適に使用することができる。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にCoを添加することにより、はんだ接合部のボイド発生抑制効果を更に発揮することができ、例えばBGAのはんだ接合時においてもより良好な耐熱疲労特性を発揮することができる。
また、Geの特に好ましい含有量は、0.001質量%以上0.01質量%以下である。
この範囲内で鉛フリーはんだ合金にGeを添加することにより、はんだ接合部の耐熱疲労特性をより一層発揮することができる。
そのため、例えば本実施形態の鉛フリーはんだ合金を用いて形成されるはんだ接合部にクラックが生じ、これに防湿剤が浸透した場合であっても、はんだ接合部の異形化を抑制でき、また例えば電極がSn-3Ag-0.5Cu合金のはんだボールから構成されるBGAのはんだ接合においても、はんだ接合部が良好な耐熱疲労特性を発揮し得る。
本実施形態のはんだ接合用材料としては、例えば前記鉛フリーはんだ合金とフラックスとを含むものが好ましく用いられる。
これらの中でもロジン系樹脂、特に酸変性されたロジンに水素添加をした水添酸変性ロジン、ロジンをエステル化したロジンエステルが好ましく用いられる。また水添酸変性ロジンとアクリル樹脂の併用も好ましい。
前記添加剤の配合量は、フラックス全量に対して10質量%以下であることが好ましい。またこれらの更に好ましい配合量はフラックス全量に対して5質量%以下である。
本実施形態のはんだ接合用材としては、ソルダペーストが好ましく用いられる。このようなソルダペーストとしては、例えば粉末状にした前記鉛フリーはんだ合金(合金粉末)と前記フラックスとを混練しペースト状にすることにより作製される。
本実施形態のはんだ接合用材料を用いて形成されるはんだ接合部としては、例えば以下の方法により形成される。なお、本実施形態のはんだ接合部が形成される基板としては、プリント配線板、シリコンウエハ、セラミックパッケージ基板等、電子部品の搭載、実装に用いられるものであればこれらに限らず使用できる。
またこのような電子回路実装基板を組み込むことにより、信頼性の高い電子制御装置が作製される。そしてこのような電子制御装置は、特に高い信頼性の求められる車載用電子制御装置に好適に用いることができる。
以下の各成分を混練し、実施例及び比較例に係るフラックスを得た。
水添酸変性ロジン(製品名:KE-604、荒川化学工業(株)製) 32質量%
ロジンエステル(製品名:ハリタックF85、ハリマ化成(株)製) 12質量%
ドデカン二酸 5質量%
スベリン酸 1質量%
ジブロモブテンジオール 1.5質量%
ダイマー酸(製品名:UNIDYME14、クレイトンコーポレーション社製) 8質量%
脂肪酸アマイド(製品名:スリパックスZHH、日本化成(株)製) 4質量%
硬化ひまし油 1.5質量%
ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル 33質量%
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(製品名:イルガノックス245、BASFジャパン(株)製) 2質量%
前記フラックス11.9質量%と、表1及び表2に記載の各鉛フリーはんだ合金の粉末(粉末粒径20μmから38μm)88.1質量%とを混合し、実施例21及び実施例22、参考例1から参考例20、参考例23から参考例27及び比較例1から比較例20に係る各ソルダペーストを作製した。
<筐体に取り付けていない状態での耐はんだクラック試験>
以下の用具を用意した。
・QFN部品(ピッチ幅:0.5mm、縦5mm×横5mm×厚さ0.8mm、端子数:32ピン)
・上記QFN部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記QFN部品を接続する電極とを備えたプリント配線板(製品名:R-1766、パナソニック(株)製、表面処理:Cu-OSP、厚さ:1.2mm)
・上記パターンを有する厚さ150μmのメタルマスク
前記プリント配線板に前記メタルマスクを用いて各ソルダペーストを印刷し、前記QFN部品を2個搭載した。
その後、リフロー炉(製品名:TNV30-508EM2-X、(株)タムラ製作所製)を用いて前記各プリント配線板を加熱して、電極と各QFN部品とを電気的に接合するはんだ接合部を有する各電子回路実装基板を作製した。この際のリフロー条件はプリヒートを170℃から190℃、ピーク温度を245℃とし、220℃以上の時間が45秒間、ピーク温度から200℃までの冷却速度を1℃から8℃/秒とした。また酸素濃度は1,500±500ppmに設定した。
次に、-40℃(30分間)から125℃(30分間)の条件に設定した冷熱衝撃試験装置(製品名:ES-76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、冷熱衝撃サイクルを1,000、1,500、2,000サイクル繰り返す環境下に前記各プリント配線板をそれぞれ曝した後これを取り出し、各試験基板を作製した。
◎:2,000サイクルまではんだ接合部を完全に横断するクラックが発生しない
○:1,501サイクルから2,000サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断するクラックが発生
△:1,001サイクルから1,500サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断するクラックが発生
×:1,000サイクル以下ではんだ接合部を完全に横断するクラックが発生
<筐体に取り付けた状態での耐はんだクラック試験>
上記(1)耐はんだクラック試験(A)と同じ条件で前記各プリント配線板の電極と各QFN部品とを電気的に接合するはんだ接合部を有する各電子回路実装基板を作製した。そして、前記各電子回路実装基板をアルミニウム合金の筐体にビスで組み付けた(以下、「試験用筐体」という。)を作製した。
次に、-40℃(30分間)から125℃(30分間)の条件に設定した冷熱衝撃試験装置(製品名:ES-76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、冷熱衝撃サイクルを1,000、1,500、2,000サイクル繰り返す環境下に前記各試験用筐体をそれぞれ曝した後これを取り出した。
以下の用具を用い、各プリント配線板にQFP部品を4個ずつ搭載する以外は上記(1)耐はんだクラック試験(A)と同じ条件で前記各プリント配線板の電極と各QFP部品とを電気的に接合するはんだ接合部を有する各電子回路実装基板を作製した。
・QFP部品(ピッチ幅:0.5mm、縦26mm×横26mm×厚さ1.6mm、端子数:176ピン)
・上記QFP部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記QFN部品を接続する電極とを備えたプリント配線板(製品名:R-1766、パナソニック(株)製、表面処理:Cu-OSP、厚さ:1.2mm)
次いで、前記各電子回路実装基板表面に防湿剤(製品名:タッフィー TF-4200、日立化成(株)製)を塗布し、これを室温下に6時間放置して乾燥させた。その後、各電子回路実装基板をアルミニウム合金の筐体にビスで組み付けた(以下、「試験用筐体」という)。
次に、-40℃(30分間)から125℃(30分間)の条件に設定した冷熱衝撃試験装置(製品名:ES-76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、冷熱衝撃サイクルを1,000、2,000サイクル繰り返す環境下に前記各試験用筐体をそれぞれ曝した後これを取り出した。
◎:2,000サイクルまでショートは発生しなかった
○:1,001サイクルから2,000サイクルの間でショートが発生した
×:1,000サイクル以下でショートが発生した
以下の用具を用意した。
・BGA部品(ピッチ幅:0.5mm、縦6mm×横6mm×厚さ1.2mm、ボール個数109個、ボール組成:Sn-3Ag-0.5Cu合金)
・上記BGA部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記BGA部品を接続する電極とを備えたプリント配線板(製品名:MCL-E-700G(RL)、日立化成(株)製、表面処理:Cu-OSP、厚さ:1.2mm)
・上記パターンを有する厚さ110μmのメタルマスク
前記プリント配線板に前記メタルマスクを用いて各ソルダペーストを印刷し、前記BGA部品を1個搭載した。
その後、リフロー炉(製品名:TNV30-508EM2-X、(株)タムラ製作所製)を用いて前記各プリント配線板を加熱して、電極と各BGA部品とを電気的に接合するはんだ接合部を有する各電子回路実装基板を作製した。この際のリフロー条件はプリヒートを170℃から190℃、ピーク温度を245℃とし、220℃以上の時間が45秒間、ピーク温度から200℃までの冷却速度を1℃から8℃/秒とした。また酸素濃度は1,500±500ppmに設定した。
そして、前記各電子回路実装基板をアルミニウム合金の筐体にビスで組み付けた(以下、「試験用筐体」という。)を作製した。
次に、-40℃(30分間)から125℃(30分間)の条件に設定した冷熱衝撃試験装置(製品名:ES-76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、冷熱衝撃サイクルを2,500、3,000、3,500サイクル繰り返す環境下に前記各試験用筐体をそれぞれ曝した後これを取り出し、各試験基板を作製した。
◎:3,500サイクルまではんだ接合部を完全に横断するクラックが発生しない
○:3,001サイクルから3,500サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断するクラックが発生
△:2,501サイクルから3,000サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断するクラックが発生
×:2,500サイクル以下ではんだ接合部を完全に横断するクラックが発生
また実施例に係る鉛フリーはんだ合金を用いて形成したはんだ接合部は、はんだ接合部にクラックが生じ、このクラックに防湿剤が浸透した場合であっても、当該はんだ接合部の異形化を抑制できることが分かる。
更に実施例に係る鉛フリーはんだ合金を用いて形成したはんだ接合部は、電極がSn-3Ag-0.5Cu合金のはんだボールから構成されるBGA部品をはんだ接合した場合においても、当該はんだ接合部は良好な耐熱疲労特性を発揮し、クラックの進展を抑制することができることが分かる。
2…原子空孔
2’…粒界ボイド
3…クラック
11…基板
12…電極
13…絶縁層
14…リード
15…はんだ接合部
16…防湿層
17…クラック
100…はんだ接合部
110…Sn結晶粒
200…電子回路実装基板
Claims (9)
- 2.5質量%以上3.1質量%以下のAgと、0.6質量%以上1質量%以下のCuと、3質量%以上4質量%未満のSbと、3.1質量%以上4.5質量%以下のBiと、0.01質量%以上0.1質量%以下のNiと、0.0085質量%以上0.1質量%以下のCoと、Geを0.001質量%以上0.05質量%以下とを含み、残部がSnからなることを特徴とする鉛フリーはんだ合金。
- Agの含有量が2.8質量%以上3.1質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の鉛フリーはんだ合金。
- Cuの含有量が0.6質量%以上0.8質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉛フリーはんだ合金。
- 更にP及びGaの少なくとも1種を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金。
- 更にFe、Mn、Cr及びMoの少なくとも1種を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金と、
フラックスとを有することを特徴とするはんだ接合用材料。 - 粉末状の鉛フリーはんだ合金であって請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金と、
ベース樹脂と、チキソ剤と、活性剤と、溶剤とを含むフラックスとを有することを特徴とするソルダペースト。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金を用いて形成されるはんだ接合部を有することを特徴とする電子回路実装基板。
- 請求項8に記載の電子回路実装基板を有することを特徴とする電子制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020068658A JP7241716B2 (ja) | 2020-04-06 | 2020-04-06 | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020068658A JP7241716B2 (ja) | 2020-04-06 | 2020-04-06 | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018248529A Division JP6731037B2 (ja) | 2018-12-28 | 2018-12-28 | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020114604A JP2020114604A (ja) | 2020-07-30 |
JP7241716B2 true JP7241716B2 (ja) | 2023-03-17 |
Family
ID=71778331
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020068658A Active JP7241716B2 (ja) | 2020-04-06 | 2020-04-06 | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7241716B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6836040B1 (ja) * | 2020-07-31 | 2021-02-24 | 千住金属工業株式会社 | はんだ合金 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017170464A (ja) | 2016-03-22 | 2017-09-28 | 株式会社タムラ製作所 | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板および電子制御装置 |
JP2018122324A (ja) | 2017-01-31 | 2018-08-09 | 株式会社タムラ製作所 | ソルダペースト、電子回路基板及び電子制御装置 |
JP6731037B2 (ja) | 2018-12-28 | 2020-07-29 | 株式会社タムラ製作所 | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 |
-
2020
- 2020-04-06 JP JP2020068658A patent/JP7241716B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017170464A (ja) | 2016-03-22 | 2017-09-28 | 株式会社タムラ製作所 | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板および電子制御装置 |
JP2018122324A (ja) | 2017-01-31 | 2018-08-09 | 株式会社タムラ製作所 | ソルダペースト、電子回路基板及び電子制御装置 |
JP6731037B2 (ja) | 2018-12-28 | 2020-07-29 | 株式会社タムラ製作所 | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020114604A (ja) | 2020-07-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6677668B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板および電子制御装置 | |
WO2017164194A1 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、フラックス組成物、ソルダペースト組成物、電子回路基板および電子制御装置 | |
JP6047254B1 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板および電子制御装置 | |
JP6138843B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金含有ソルダペースト組成物、はんだ接合体構造および電子回路基板 | |
JP6275305B2 (ja) | はんだ接合体の形成方法、並びに当該形成方法により形成されたはんだ接合体を有する電子回路基板および電子制御装置 | |
JP6731034B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 | |
JP6275318B1 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板および電子制御装置 | |
JP7133397B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板及び電子制御装置 | |
JP6731037B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 | |
JP6585554B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板及び電子制御装置 | |
JP6719443B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路実装基板及び電子制御装置 | |
JP6230674B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板および電子制御装置 | |
JP6578393B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路実装基板及び電子制御装置 | |
JP2016010818A (ja) | 鉛フリーはんだ合金含有ソルダペースト組成物、はんだ接合体構造および電子回路基板 | |
JP7241716B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、はんだ接合用材料、電子回路実装基板及び電子制御装置 | |
JP6125084B1 (ja) | 鉛フリーはんだ合金を用いたソルダペースト組成物、電子回路基板および電子制御装置 | |
JP6916243B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板及び電子制御装置 | |
WO2019053866A1 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板及び電子制御装置 | |
JP6420936B1 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、ソルダペースト、電子回路実装基板及び電子制御装置 | |
JP6467485B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板および電子制御装置 | |
JP6467484B2 (ja) | 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板および電子制御装置 | |
CN116833616A (zh) | 无铅软钎料合金、焊膏、电子电路安装基板和电子控制装置 | |
JP2019081201A (ja) | 鉛フリーはんだ合金、ソルダペースト組成物、電子回路基板および電子制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210828 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220810 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220913 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221019 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230228 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230307 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7241716 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |