JP6660018B2 - 鉛フリーはんだペースト用フラックス及び鉛フリーはんだペースト - Google Patents

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Description

本発明は、鉛フリーはんだペースト用フラックス及びこれを用いた鉛フリーはんだペーストに関する。
はんだペーストは、通常、ロジン等のベース樹脂、活性剤及び溶剤を含むフラックスとはんだ粉末とから構成される組成物であり、集積回路、抵抗器及びコンデンサ等の多数の電子部品をプリント基板に表面実装するために使用される。
従来、はんだペーストとしては、鉛共晶はんだ粉末を用いたものが使用されてきたが、環境及び人体に対する鉛の影響が考慮され、近年はSn−Ag−Cu系はんだやSn−Cu系はんだ等の無鉛はんだ粉末を用いた鉛フリーはんだペーストが主流になりつつある。
しかし、無鉛はんだ粉末は酸化しやすいため、高温のリフロー炉内で粒子表面に除去困難な酸化皮膜が生じる。その結果、溶融した無鉛はんだ金属が電極上で十分に濡れ広がらない所謂濡れ不良が生じる。
また、鉛フリーはんだペーストには、リフロー加熱下、電極上で形状を維持させる必要がある。しかし、耐熱性が低いと、過度に軟化したり、液状化したりすることがある(以下、加熱だれという。)。この場合、電極周囲に無鉛はんだ粒子が流れ出してしまい、所謂ソルダボールが多数発生する。ソルダボールは短絡等の原因となり得るため、極力発生させないことが望ましい。
濡れ不良及びソルダボールの問題を解消するフラックスとして、本出願人は、特許文献1において、所定のロジン系ベース樹脂に所定のソルビトール系化合物を組み合わせてなるものを提案した。しかし、該フラックスは、酸活性剤、特にハロゲン系活性剤等の強活性のものを用いた場合において、加熱ダレ性が顕著に低下する問題があった。これは、本発明者の検討によると、該酸活性剤の存在下で前記ソルビトール系化合物が分解するためであると考えられた。
特開2013−086177号公報
本発明の課題は、酸活性剤を用いた場合であっても、鉛フリーはんだペーストの濡れ性及び耐加熱だれ性を改善するものを提供することにある。
本発明者は、ロジン系ベース樹脂、酸活性剤及び溶剤を含むフラックスに、所定のアミド系化合物を加えることによって、前記課題を解決可能なフラックスが得られることを見出した。
即ち本発明は、(A)ベース樹脂と、(B)活性剤と、(C)一般式(1):R(−NHCO−Cy−R(式中、Rは1,2,3−プロパントリカルボン酸残基を、Rは水素素又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を、Cyはシクロヘキシル基を示す。)で表されるアミド系化合物とを含むことを特徴とする鉛フリーはんだペースト用フラックス、並びに当該フラックスと無鉛はんだ粉末とを含有する鉛フリーはんだペーストに関する。
本発明のフラックスを用いて得られる鉛フリーはんだペーストは、保存安定性に優れており。また、濡れ性にも優れるため、接合不良を生じ難い。また、耐加熱だれ性も良好であるため、短絡等の原因となるソルダボールも発生し難い。
実施例及び比較例におけるリフロー温度プロファイルを示したグラフである。
本発明の鉛フリーはんだ用フラックス(以下、フラックスと略すことがある。)は、(A)ロジン系ベース樹脂(以下、(A)成分)、(B)酸活性剤(以下、(B)成分)及び(C)溶剤(以下、(C)成分)と、並びに(D)所定のアミド系化合物(以下、(D)成分)を含む。
(A)成分は、フラックス用のベース樹脂であれば各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、(a1)ロジン系ベース樹脂(以下、(a1)成分)及び/又は(a2)非ロジン系ベース樹脂(以下、(a2)成分)、が挙げられる。
(a1)成分としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン又はその精製物(精製ロジン);水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性ロジン(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、ロジンエステル等のロジン誘導体等が挙げられ、二種以上を併用できる。該ロジンエステルのポリオールとしては、グリセリン、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,4−ブタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールグリセリン等のトリオールや、ペンタエリスリトール、ジグリセリン及びジトリメチロールプロパン等のテトラオールが挙げられる。これらの中でも、濡れ性能の点より、重合ロジン及び/又はα,β不飽和カルボン酸変性ロジン(いずれもそれらの精製物、不均化物、水素化物を含む)が好ましい。
(a2)成分としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフイン樹脂、フッ素系樹脂又はABS樹脂、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム及びナイロンゴム等が挙げられ、二種以上を併用できる。
(A)成分における(a1)成分及び(a2)成分の比率は特に限定されないが、特に濡れ性及び耐加熱だれ性のバランスを考慮すると、通常3/7〜10/0程度、好ましくは6/4〜10/0程度、一層好ましくは9/1〜10/0程度である。
(B)成分としては、各種公知の活性剤を使用できる。具体的には、(b1)非ハロゲン系酸活性剤(以下、(b1)成分)及び/又は(b2)ハロゲン系活性剤(以下、(b2)成分)が挙げられる。
(b1)成分としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリノール酸等の飽和又は不飽和の脂肪族一塩基酸;コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸、シュウ酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸及、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の飽和又は不飽和の脂肪族二塩基酸;ピロール2−カルボン酸、ピロール2,5−ジカルボン酸、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、2−チオフェンカルボン酸、2,5−チオフェンカルボン酸、ピリジン−2−カルボン酸(ピコリン酸)、及びピリジン2,6−ジカルボン酸等のヘテロ原子含有複素環型カルボン酸等が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でも、濡れ性能の点より脂肪族二塩基酸が、特に全炭素数4〜12程度のものが好ましい。
(b2)成分としては、3−ブロモプロピオン酸、2−ブロモ吉草酸、5−ブロモ−n−吉草酸、2−ブロモイソ吉草酸、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモコハク酸及び2,2−ジブロモアジピン酸等のブロモカルボン酸;trans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、cis−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、1−ブロモ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール及び2,3−ジブロモ−1−プロパノール等のブロモアルコール;エチルアミン臭素酸塩やジエチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン塩化水素酸塩及びメチルアミン臭素酸塩等のアミン系ハロゲン化合物;ジブロモサリチル酸等のブロモヒドロキシカルボン酸;1−ブロモ−3−メチル−1−ブテン、1,4−ジブロモブテン、1−ブロモ−1−プロペン、2,3−ジブロモプロペン、1,2−ジブロモ−1−フェニルエタン、1,2−ジブロモスチレン、4−ステアロイルオキシベンジルブロマイド、4−ステアリルオキシベンジルブロマイド、4−ステアリルベンジルブロマイド、4−ブロモメチルベンジルステアレート、4−ステアロイルアミノベンジルブロマイド、2,4−ビスブロモメチルべンジルステアレート、4−パルミトイルオキシベンジルブロマイド、4−ミリストイルオキシベンジルブロマイド、4−ラウロイルオキシべンジルブロマイド及び4−ウンデカノイルオキシベンジルブロマイド等の活性水素非含有ブロモ化合物等
が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でも、濡れ性向上の観点よりブロモカルボン酸及び/又はブロモアルコールが好ましい。
(B)成分における(b1)成分及び(b2)成分の比率は特に限定されないが、保存安定性、濡れ性及び耐加熱だれ性のバランスを考慮すると、通常10/1〜2/1程度、好ましくは8/1〜2/1程度、一層好ましくは5/1〜2/1程度である。
(C)成分は、R(−NHCO−Cy−R(式中、Rは1,2,3−プロパントリカルボン酸残基を、Rは水素素又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を、Cyはシクロヘキシル基を示す。)で表されるアミド系化合物である。
(C)成分としては、例えば、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−エチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、 1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ペンチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ヘキシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ヘプチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−オクチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ[4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシルアミド]、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ノニルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−デシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸[(シクロヘキシルアミド)ジ(2−メチルシクロヘキシルアミド)]、1,2,3−プロパントリカルボン酸[ジ(シクロヘキシルアミド)(2−メチルシクロヘキシルアミド)]等が挙げられ、二種以上を併用できる。
(C)成分を用いることにより、濡れ性のみならず耐加熱だれ性が向上する理由は定かではないが、これが酸活性剤の存在下で安定であり、また、その点群的な構造に依りフラックス中でスタッキング構造を形成する結果、フラックスに適度な硬さを与えるためではないかと考えられる。特に、以下に示すものは、そのC3対称性によりスタッキング形成能が非常に高く、かつ融点が高い(即ち、耐熱性に優れる)ため、本発明の課題達成手段として好ましい。市販品としては、新日本理化(株)製のリカクリアPC1(融点約300℃)が挙げられる。
本発明のフラックスには、スクリーン印刷適性(抜け性等)を付与する目的で、チキソトロピック剤(D)(以下、(D)成分)を含めてよい。(D)成分としては、例えば、ステアリン酸アミドや12−ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等のポリアミド系チキソトロピック剤や、硬化ひまし油や蜜ロウ、カルナバワックス等の動植物系チキソトロピック剤等が挙げられ、二種以上を併用できる。
本発明のフラックスには、主に保存安定性を高める目的で、(E)ジアルキルモノアミン(以下、(E)成分)を含めてよい。(E)成分の具体例としては、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、トリステアリルアミン及びジ硬化牛脂アミン等が挙げられ、二種以上を併用できる。
本発明のフラックスには、必要に応じて、(F)酸化防止剤(以下、(F)成分)を含めてよい。(F)成分の具体例としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンアミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンのヒンダードフェノール系酸化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール、スチレネートフェノール、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール等の他のフェノール系酸化防止剤;トリフェニルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファエト、トリス(トリデシル)フォスファイト等のリン系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジラウリルサルファイド、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ラウリルステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤等を例示でき、二種以上を併用できる。
本発明のフラックスに用いる(G)有機溶剤(以下、(G)成分)としては、フラックス用溶剤であれば各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2−エチルヘキシルグリコール、2−エチルヘキシルジグリコール、メチルプロピレントリグリコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレントリグリコール、ブチルプロピレンジグリコール及びブチルプロピレントリグリコール等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルジグリコール、ジブチルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコール、ジエチレングリコールブチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルー2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルー2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールブチルー2−エチルヘキシルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル;1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチルー2−エチルー1,3―プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール及びネオペンチルグリコール等の分岐状ジオール;ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、1−フェニル−1−プロパノール及び3−フェニルー1−プロパノール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコールフェニルプロピレングリコール等の芳香族系アルコール;安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル及び2−(2−n−ブトキシエトキシ)エチルアセテート等のエステルや、α−テルピネン、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、カルボン、オシメン及びフェランドレン等のテルペン、α−テルピネオール及びターピネオール等のテルピネオール、ドデカン及びテトラデセン等の炭化水素、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン、あまに油、サフラワー油、大豆油、桐油、ひまし油、及びそれらの水添物等の植物油等が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でも、保存安定性やスクリーン印刷適性等の観点より、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
本発明のフラックスにおける各成分の含有量は特に限定されないが、濡れ性及び耐加熱だれ性のバランスの観点より、通常、以下の通りである。
(A)成分:30〜70質量%程度、好ましくは30〜60質量%程度
(B)成分:1〜15質量%程度、好ましくは1〜10質量%程度
(C)成分:0.1〜5質量%程度、好ましくは0.1〜3質量%程度
(D)成分:1〜10質量%程度、好ましくは4〜8質量%程度
(E)成分:5質量%未満、好ましくは4質量%未満
(F)成分:5質量%未満、好ましくは1質量%未満
(G)成分:20〜60質量%程度、好ましくは20〜50質量%程度
本発明のフラックスには、防黴剤、艶消し剤及び増粘防止剤等の添加剤を含めてよい。
本発明のフラックスの製造法は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、必要に応じて(D)成分、(E)成分及び(F)成分とを、(G)成分に加熱下で溶解させればよい。
本発明の鉛フリーはんだペーストは、本発明のフラックスと無鉛はんだ粉末とを含有する組成物である。各含有量は特に限定されないが、通常、前者が5〜30質量%程度、後者が70〜95質量%程度である。
無鉛はんだ粉末としては、鉛を含有しないものであれば各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、Snをベースとする無鉛はんだ粉末、例えばSn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Sb系、Sn−Zn系、Sn−Bi系の無鉛はんだ粉末が好ましい。また、無鉛はんだ粉末は、Ag、Al、Au、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、In、Ni、P、Pt、Sb、Znの一種又は二種以上の元素がドープされたものであってよい。無鉛はんだ粉末の具体例としては、Sn96.5Ag3Cu0.5、Sn95Sb5、Sn99.3Cu0.7、Sn97Cu3、Sn92Cu6Ag2、Sn99Cu0.7Ag0.3、Sn95Cu4Ag1、Sn97Ag3、Sn96.3Ag3.7、Sn42−Bi58等を例示できる。また、無鉛はんだ粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常は1〜50μm程度、好ましくは15〜40μm程度である。また、粉末の形状も特に限定されず、球形や不定形であってもよい。なお、球形とは、好ましくは、粒子の縦横のアスペクト比が1.2以内であることを意味する。また、本発明のフラックスと該無鉛はんだ粉末の混合手段、混合順序及び条件も特に限定されない。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲がこれら実施例に限定されるものではない。また各例中、「部」は「質量部」を意味する。
<フラックスの調製>
実施例1
(A)成分として市販のアクリル化ロジン水素化物(製品名「KE−604」、酸価238mgKOH/g、軟化点128℃、;荒川化学工業(株)製)48部と、(B)成分としてグルタル酸((株)東京化成製)3部及びジブロモコハク酸(本荘ケミカル(株))1部と、(C)成分としてリカクリアPC1(新日本理科(株)製、融点305℃)1部と、(D)成分としてポリアミド系チキソトロピック剤(商品名「MA−WAX−O」、川研ファインケミカル(株)製)7部と、(G)成分としてヘキシルジグリコール(商品名「HeDG」、日本乳化剤(株)製)を40部とを加熱下に良く混合し、フラックスを調製した。
実施例2
(A)成分として市販の重合ロジン(製品名「CP−140」、酸価165mgKOH/g、軟化点140℃、;荒川化学工業(株)製)48部と、グルタル酸3部及びジブロモコハク酸1部と、リカクリアPC11部と、MA−WAX−O 7部と、HeDG 40部とを加熱下に良く混合し、フラックスを調製した。
比較例1
KE−604 48部と、グルタル酸3部及びジブロモコハク酸1部と、(C)成分に代えてソルビトール系添加剤(商品名ゲルオールMD(1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール)、新日本理科(株)製)1部と、MA−WAX−O 7部と、HeDG 40部とを加熱下に良く混合し、フラックスを調製した。
比較例2
KE−604 48部と、グルタル酸3部及びジブロモコハク酸1部と、(C)成分に代えてソルビトール系添加剤(商品名ゲルオールDXR(1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール)、新日本理科(株)製)1部と、MA−WAX−O 7部と、HeDG 40部とを加熱下に良く混合し、フラックスを調製した。
<はんだペーストの調製>
実施例1のフラックスと市販の無鉛はんだ粉末(96.5Sn/3Ag/0.5Cu、三井金属(株)製、粒径20〜38μm、通常品)とを順に11質量%及び89質量%となるようソフナーで混練し、はんだペーストを調製した。他の実施例及び比較例のフラックスについても同様にしてはんだペーストを調製した。
<保存安定性>
実施例及び比較例のはんだペーストのそれぞれについて、調製直後の粘度と、40℃の恒温槽中で24時間保温した後の粘度とを、それぞれ市販のスパイラル方式粘度計(製品名「PCU−205」、共軸二重円筒形回転型、(株)マルコム製)により測定し、以下に示す計算式に基づき増粘率を算出した。増粘率が10%未満の場合を良好とみなす。他の実施例及び比較例のはんだペーストについても同様にして保存安定性を評価した。
増粘率(%)=〔(40℃、24時間保温後の10rpmでの粘度−はんだペースト調製直後の10rpmでの粘度)÷(はんだペースト調製直後の10rpmでの粘度)〕×100
<濡れ性の評価>
実施例1に係るはんだペーストを、直径0.8mmのメッキ処理されていない銅電極にスクリーン印刷した後(マスク開口率100%)、それぞれ同直径の部品を更に搭載し、窒素雰囲気下、図1に示す温度プロファイルでリフローし、濡れ性をJIS Z 3284 附属書11に準拠して以下のように評価した。評価1又は2の場合を濡れ性が良好(○)と、評価3又は4の場合を不良(×)とみなした。他の実施例及び比較例のはんだペーストについても同様にして濡れ性を評価した。
1 はんだペーストを塗布した面積以上にはんだ金属が濡れ広がった状態
2 はんだペーストを塗布した部分が全てはんだ金属で濡れた状態
3 はんだペーストを塗布した部分の大半がはんだ金属で濡れた状態
4 はんだ金属が濡れ広がっておらず、一又は複数のソルダボールが認められる状態
<耐加熱だれ性>
実施例1に係るはんだペーストについて、JIS Z 3284 附属書8に準拠し、加熱だれ試験を実施した。具体的には、当該附属書で規定される印刷マスクを使用し、実施例1に係るはんだペーストを銅版上にパターン印刷し、当該銅版を180℃の循風乾燥機に1分間放置した後、加熱だれが認められるパターン間隔(mm)を特定した。表1に当該パターン間隔の数値を示す。他の実施例及び比較例のはんだペーストについても同様にして耐加熱だれ性を評価した。

Claims (9)

  1. (A)ベース樹脂と、
    (B)活性剤と、
    (C)一般式(1):R(−NHCO−Cy−R(式中、Rは1,2,3−プロパントリカルボン酸残基を、Rは水素素又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を、Cyはシクロヘキシル基を示す。)で表されるアミド系化合物と、
    を含む鉛フリーはんだペースト用フラックス。
  2. (A)成分が、(a1)ロジン系ベース樹脂を含む、請求項1のフラックス。
  3. (B)成分が、(b1)非ハロゲン系酸活性剤及び/又は(b2)ハロゲン系活性剤を含む、請求項1又は2のフラックス。
  4. (b1)成分が、脂肪族二塩基酸を含む、請求項3のフラックス。
  5. (b2)成分が、ブロモカルボン酸及び/又はブロモアルコールを含む、請求項3のフラックス。
  6. (C)成分が、下記構造のアミド系化合物である、請求項1〜5のいずれかのフラックス。
  7. 更に(D)チキソトロピック剤を含む、請求項1〜6のいずれかのフラックス。
  8. 更に(G)有機溶剤を含む、請求項1〜7のいずれかのフラックス。
  9. 請求項1〜8のいずれかのフラックスと無鉛はんだ粉末とを含有する鉛フリーはんだペースト。
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