JP2017023032A - 排水装置 - Google Patents

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Abstract

【構成】 排水装置10は、外筒12および内筒14を含み、田畑輪換を行う圃場(100)に埋設される。外筒は、上端開放の有底縦管状に形成され、その側壁下端部には、排水流入口20および排出口22が形成される。内筒は、外筒内に嵌入され、内筒の上下動によって田面水流入口30の高さ位置が変更される。また、外筒の排水流入口には、蓋16が着脱可能に設けられる。さらに、外筒には、内筒に設けられた第1係合部14bを係止することによって内筒を所望の高さ位置で保持する第2係合部28が設けられる。
【効果】 設定水位以上の田面水を排出してその水位を調整できると共に、深溝または地中からの排水を排出できる。また、内筒の意図しない下がりを防止できる。
【選択図】 図3

Description

この発明は排水装置に関し、特にたとえば、田畑輪換を行う圃場などに用いられて、湛水時には設定水位以上の田面水を排出して水位調整すると共に、畑作時などの乾田時には深溝または地中からの排水を排出する、新規な排水装置に関する。
従来、水田には、稲の生育過程などに応じて田面水の水位調整を行うために、設定水位以上の田面水を排出してその水位を調整する排水装置(水位調整器または落水口とも言う。)が設けられている。
たとえば、特許文献1には、従来の排水装置の一例が開示される。特許文献1の排水装置は、外筒およびそれに嵌入される内筒を備える。外筒の側壁上部には窓部が形成され、この窓部は、堰として機能する内筒が上下動することによって、その開口高さが任意に変えられる。また、外筒の下流端には、排水管が接続される。湛水時には、所望の田面水高さの位置に内筒上端がくるように調整され、内筒上端を超える余剰の田面水を排水管に排出することによって、田面水の水位が所望高さに保たれる。
特開平11−28028号公報 [A01G 25/00]
近年、水田農業の改善を図るため、数年ごとに圃場を田状態および畑状態で交互に利用する田畑輪換を行う圃場が増加している。ここで、畑作期間においては、湿害を防止するために、深溝または地中からの排水を適切に行うことが必要となる。また、冬期に裏作を行ったり、単に圃場から水を抜いて乾田化したりするような場合にも、深溝または地中からの排水を適切に行うことが必要となる。
しかしながら、特許文献1の技術では、田面水を排出してその水位を調整することはできるものの、深溝または地中からの排水を排出することはできない。そこで、深溝または地中からの排水を行う排水設備を圃場に別途設けることが考えられるが、これでは設備コストが嵩んでしまい、特に、兼業農家などが個々に営む小規模の圃場では実施し難い。
また、特許文献1の技術では、内筒にスリットを形成して外筒に圧入状態で嵌合し、そのスリットを拡張する方向にばねで付勢することによって、外筒の内周面と内筒の外周面とを密着させている。しかし、鉛直方向に設置される外筒と内筒とを密着させるだけでは、内筒が滑り落ちてしまう可能性があり、田面水の水位調整を適切に行うことができない恐れがある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、排水装置を提供することである。
この発明の他の目的は、簡単な構成で、設定水位以上の田面水を排出して水位調整すると共に、深溝および地中からの排水を排出することが可能な、排水装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、内筒の意図しない下がりを防止でき、田面水の水位調整を適切に行うことができる、排水装置を提供することである。
第1の発明は、湛水時には設定水位以上の田面水を排出して水位調整すると共に、乾田時には深溝または地中からの排水を排出する排水装置であって、上端開放の有底縦管状に形成され、側壁下端部に形成される排水流入口と排出口とを有する外筒、上端部に形成される田面水流入口を有し、外筒内に嵌入されて、上下動することによって田面水流入口の高さ位置を変更可能な内筒、排水流入口を開閉可能に封止する封止部、内筒に設けられる第1係合部、および外筒に設けられ、第1係合部を係止することによって内筒を所望の高さ位置で保持する第2係合部を備える、排水装置である。
第1の発明では、排水装置は、外筒および内筒を有し、田畑輪換を行う圃場に用いられる。外筒は、上端開放の有底縦管状に形成され、その側壁下端部には、排水流入口および排出口が形成される。内筒は、外筒内に嵌入される。この内筒を上下動させることによって、その上端部に形成される田面水流入口の高さ位置が変更される。また、外筒の排水流入口には、排水流入口を開閉可能に封止する蓋などの封止部が設けられる。さらに、外筒には、内筒に設けられた第1係合部を係止することによって内筒を所望の高さ位置で保持する第2係合部が設けられる。
このような排水装置では、湛水時には、排水流入口は封止された状態で、田面水流入口から外筒内に流入した設定水位以上の田面水が排出口から排出される。一方、乾田時には、排水流入口は開口されて、排水流入口から外筒内に流入した深溝または地中からの排水が排出口から排出される。
第1の発明によれば、内筒の上下動によって田面水流入口の高さを調整することにより、田面水の水位を調整でき、封止部を用いて排水流入口を開閉することにより、深溝または地中からの排水の可否を制御できる。つまり、簡単な構成で、設定水位以上の田面水を排出してその水位を調整できると共に、深溝または地中からの排水を排出できる。また、構成が簡単であるので、排水装置の製造コストおよび設置コストを安価に抑えることができる。
さらに、第2係合部で第1係合部を係止することによって内筒が所望の高さ位置で保持されるので、内筒の意図しない下がりを防止することができ、田面水の水位調整を適切に行うことができる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、内筒の下部分は、軸方向長さが周方向で異なるように形成され、外筒は、内周面から突出する突起部を有し、第1係合部が内筒の下端であり、第2係合部が突起部である。
第2の発明では、外筒の内周面には、内筒の下端を係止する突起部が形成される。また、内筒の下部分の軸方向長さ(下部分の上端から下端までの長さ)が、周方向で異なるように形成される。これにより、内筒を上下動させるときには、内筒を周方向に回転させつつ上下動させることによって、どの高さ位置においても、外筒の突起部に内筒の下端を係止させた状態にすることが可能となる。すなわち、第2の発明では、第1係合部である内筒の下端を第2係合部である外筒の突起部が係止することによって、内筒が所望の高さ位置で保持される。
第2の発明によれば、内筒を周方向に回転させながら上下動させるという簡単な作業で、内筒を所望の高さ位置で保持させることが可能となる。
第3の発明は、第2の発明に従属し、内筒の下端は、階段状に形成される。
第3の発明では、第1係合部である内筒の下端が階段状に形成される。これによって、内筒の下端と第2係合部である外筒の突起部とが水平方向に面接触するようになるので、内筒の意図しない下がりをより確実に防止することができる。
第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属し、外筒の内周面および内筒の外周面のそれぞれと密着する止水部材を備える。
第4の発明では、止水部材は、たとえば合成ゴム等によって形成されるゴム輪であって、外筒の内周面および内筒の外周面のそれぞれと密着して、この間の止水性を確保する。
第4の発明によれば、外筒と内筒との間の隙間からの水漏れを防ぐことができる。また、止水部材の密着力によっても内筒が保持されるので、内筒の意図しない下がりをより確実に防止することができる。
この発明によれば、内筒の上下動によって田面水流入口の高さを調整することにより、田面水の水位を調整でき、封止部を用いて排水流入口を開閉することにより、深溝または地中からの排水の可否を制御できる。すなわち、簡単な構成で、設定水位以上の田面水を排水してその水位を調整できると共に、深溝または地中からの排水を排出できる。また、構成が簡単であるので、製作コストおよび設置コストを安価に抑えることができる。
さらに、第2係合部で第1係合部を係止することによって内筒が所望の高さ位置で保持されるので、内筒の意図しない下がりを防止することができ、田面水の水位調整を適切に行うことができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
この発明の一実施例である排水装置を圃場に設置した様子を示す図解図である。 図1の排水装置の外観を示す図解図である。 図1の排水装置を示す断面図である。 図1の排水装置が備える外筒を示す断面図である。 図1の排水装置が備える内筒を示す図解図であって、(A)は内筒の断面図であり、(B)は内筒の正面図である。 図1の排水装置が備えるキャップを示す断面図である。 図1の排水装置を用いて田面水の水位調整を行っているときの様子を示す図解図である。 図1の排水装置を用いて深溝または地中からの排水を排出しているときの様子を示す図解図である。 この発明の他の実施例である排水装置を示す断面図である。 この発明のさらに他の実施例である排水装置を示す断面図である。 図10の排水装置の内筒が有する第1係合部を示す図解図である。 この発明のさらに他の実施例である排水装置を示す断面図である。 図12の排水装置が備える蓋の外観を示す図解図である。 この発明のさらに他の実施例である排水装置を示す断面図である。 図14の排水装置が備える蓋の外観を示す図解図である。 この発明のさらに他の実施例である排水装置の上部を示す図解図であって、(A)は内筒が最下位置にあるときの状態を示す図解図であり、(B)は内筒が最上位置にあるときの状態を示す図解図である。 この発明のさらに他の実施例である排水装置の上部を示す図解図であって、(A)は内筒が最下位置にあるときの状態を示す図解図であり、(B)は内筒の平面図である。
図1を参照して、この発明の一実施例である排水装置10は、外筒12、内筒14および蓋16などを含み、田畑輪換を行う圃場100等に埋設されて使用される。そして、湛水時、つまり圃場100を水田として使用するときには、設定水位以上の田面水を排水してその水位調整を行うと共に、乾田時、つまり圃場100を乾田化して畑として使用するときには、深溝水または地中水を排出する。ただし、排水装置10は、数年ごとに田畑輪換を行う圃場100だけでなく、冬期に裏作を行う圃場や、単に水を抜いて乾田化する時期のある圃場などにも適宜利用される。
以下、図2−図6を参照して、排水装置10の構成について説明する。図2および図3に示すように、排水装置10は、硬質塩化ビニル等の合成樹脂などによって形成され、縦管状の外筒12と、外筒12に対して上下動可能に嵌入される内筒14と、外筒12に形成される排水流入口20に対して着脱可能に設けられる蓋16とを含む。詳細は後述するように、内筒14を上下動させることによって、内筒14の上端部に形成される田面水流入口30の高さ位置が変更され、蓋16を着脱することによって、排水流入口20が開閉される。なお、内筒14の上端部は、その最下位置において、外筒12の上端から突出する状態となる。内筒14を最下位置にした状態における排水装置10の上下方向の長さ(高さ)は、たとえば350mmである。
図4に示すように、外筒12は、略円筒状に形成される側壁12aとその下端に設けられる底壁12bとを含む、上端開放の有底縦管状に形成される。また、側壁12aの下端部には、排水流入口20および排出口22が互いに対向し合う位置に形成される。排水流入口20および排出口22の内径は、たとえば150mmである。
排水流入口20は、圃場100に形成される深溝または地中からの排水を外筒12内に流入させるための開口であり、側壁12aの下端部から横方向に突出する短管状に形成される。この排水流入口20には、蓋16が着脱可能に取り付けられる。一方、排出口22は、外管12内に流入した水を外部に排出するための開口であり、側壁12aの下端部から横方向に突出する短管状に形成される。排出口22は、排水路104まで延びる排水管106(図1参照)との接続部としても利用される。
この実施例では、側壁12aの下端部は、横管状に形成されており、その横管状部分の両端部が排水流入口20および排出口22として利用される。また、横管状部分の中央底部が外筒12の底壁12bとなる。なお、このような外筒12の基本構造は、汎用のチーズ継手(90°Y)に対して汎用の直管を接続するだけで形成できるので、排水装置10の製作コストを抑制することができる。
また、側壁12aの上端部の内周面には、周方向に延びる環状溝24が形成され、この環状溝24には、合成ゴムまたはエラストマ等によって形成されるゴム輪などの止水部材26が装着される。止水部材26は、環状溝24の全長に亘って延びる環状に形成されており、環状溝24の内面(つまり外筒12の内周面)および内筒14の外周面のそれぞれと密着して、この間の止水性を確保する。
さらに、側壁12aの内周面には、後述する内筒14の下端(第1係合部)14bを係止する突起部(第2係合部)28が設けられる。突起部28は、直方体状、短円柱状または半球状などの突起であって、排水流入口20の上方に形成される。この実施例では、ボルトを用いて側壁12aの内周面にL金具を取り付けることによって、突起部28が形成される。ただし、突起部28の形成方法は、適宜変更可能である。たとえば、ボルトの先端が側壁12aの内周面から突出するようにボルトを側壁12aに取り付け、そのボルトの先端を突起部28としてもよい。
図5に示すように、内筒14は、両端開放の円筒状に形成される。内筒14の上端の開口は、圃場100に供給された余剰の田面水を外筒12内に流入させるための田面水流入口30として機能する。内筒14の軸方向長さは、たとえば350mmであり、その内径は、たとえば140mmである。
内筒14の上端部には、略C字状の把持部(取っ手)32が設けられる。ただし、把持部32の形状は、適宜変更可能である。たとえば、把持部32は、内筒14の上端部から外方に突出する鍔状に形成されてもよい。
また、この実施例では、内筒14の下部分14aは、一方側面から斜め方向に切り欠かれた楔形状に形成される。すなわち、内筒14の下端14bは、傾斜面となっており、内筒14の下部分14aの軸方向長さ(下部分14aの上端から下端までの長さ)hは、周方向で異なるように形成される。これにより、内筒14を上下動させるときには、内筒14を周方向に回転させつつ上下動させることによって、内筒14がどの高さ位置にある場合でも、外筒12の突起部(第2係合部)28に対して内筒14の下端(第1係合部)14bを係止(当接)させた状態にすることが可能となる(図3、図7および図8参照)。したがって、内筒14は、所望の高さ位置で保持可能であり、内筒14の意図しない下がりは確実に防止される。内筒14の下部分14aの軸方向長さhの最長部分と最短部分との差は、たとえば150mmである。
また、内筒14の外周面には、目盛線と数値とを含む目盛部50が設けられる。目盛部50は、圃場100の地表面からの内筒14の突出高さ、つまり田面水流入口30の高さ位置を示す目印である。作業者は、たとえば、目盛部50の所望水位を示す目盛線と外筒12の側壁12a上端とを合わせることによって、田面水の水位を所望水位に設定することができる。
この実施例では、0mm(最下位置)から150mm(最上位置)までの25mm毎の目盛が、内筒14の下端14bに対応して、斜め方向に並ぶように表示される。目盛部50を斜め方向に配置するのは、内筒14が周方向に回転されつつ上下動されるものであるからである。これによって、内筒14がどの高さ位置にある場合でも、同じ方向から目盛部50を確認することができる。また、目盛部50が所定方向(たとえば畦畔102側)にあることを確認することによって、外筒12の突起部28によって内筒14の下端14bが係止された状態であることを、排水装置10の内部を覗くことなく、外部から容易に確認できる。
図6に示すように、蓋16は、排水流入口20を開閉可能に封止する封止部であって、短円筒状に形成される嵌合部16aと、嵌合部16aの一方端を封止する円板状の封止部16bとを含む。たとえば、蓋16の嵌合部16aの内周面には、ゴム輪などの止水部材34が装着される。蓋16は、この止水部材34を介して、外筒12の排水流入口20に対して着脱可能であってかつ水密的に取り付けられる。
このような排水装置10は、図1に示すように、圃場100等に埋設されて使用される。たとえば、2000−4000mの圃場面積に対して1つの排水装置10を配置するという割合で、圃場100に排水装置10が設けられる。具体的には、圃場100の作付面積を減少させないように、畦畔102の圃場100側の一部が掘削され、そこに排水装置10が埋設される。この際、排水装置10は、外筒12に対する内筒14の位置が最下位置となる状態で、内筒14の上端が圃場100の地表面と略面一となるように埋設される。また、排出口22には、排水路104まで延びる排水管106が接着接合またはゴム輪接合などによって接続され、排水流入口20は、蓋16が装着された状態のまま地中に配置される。ただし、圃場100に深溝が設けられている場合には、深溝の下流側端部に排水流入口20を配置するとよい。
そして、湛水時には、図7に示すように、内筒14の上端、つまり田面水流入口30が田面水の所望水位の高さ位置にくるように、内筒14を回転させつつ上昇させてその位置を調整する。この際、内筒14は、その下端14bが外筒12の突起部28に係止されることによって、所望の高さ位置で固定保持され、意図しない下がりが防止される。また、内筒14は、止水部材26の密着力(抵抗力)によってもその高さ位置および周方向位置を保持しようとするので、内筒14の意図しない下がりはより確実に防止される。
このような状態で圃場100に用水が供給されると、田面水の水位が内筒14の田面水流入口30の高さ位置に達した後、設定水位以上の余剰の用水は、田面水流入口30から外筒12内に流入し、排出口22から排出される。そして、排出管106を通って排水路104まで搬送される。これによって、圃場100の田面水の水位は、内筒14の田面水流入口30の高さ位置に保たれるようになる。なお、この実施例では、内筒14を上下動させることにより、圃場100の地表面に対する田面水流入口30の高さ位置、つまり田面水の水位を0−150mmの間で調整することが可能である。
一方、乾田時には、図8に示すように、排水装置10の周囲の土を掘り起こして、蓋16および排水流入口20を露出させる。その後、蓋16を取り外して、外筒12の排水流入口20を開く。また、内筒14は、排水流入口20からの水の流入の邪魔にならない程度の高さ位置まで、上昇させておく。排水流入口20が開かれると、余剰の地中水(または深溝水)が排水流入口20から外筒12内に流入し、排出口22から排出される。そして、排出管106を通って排水路104まで搬送される。これによって、圃場100は、乾田状態となって畑作を好適に行うことができるようになる。
この実施例によれば、内筒14の上下動によって田面水流入口30の高さを調整することにより、田面水の水位を調整できる。また、蓋16の着脱によって排水流入口20を開閉することにより、深溝または地中からの排水の可否を制御できる。つまり、簡単な構成で、設定水位以上の田面水を排出してその水位を調整できると共に、深溝または地中からの排水を排出できる。
また、排水装置10は構成が簡単であるので、製作コストおよび設置コストを安価に抑えることができる。
さらに、第1係合部である内筒14の下端14bが第2係合部である外筒12の突起部28に係止されることによって、内筒14が所望の高さ位置で保持されるので、内筒14の意図しない下がりを防止することができ、田面水の水位調整を適切に行うことができる。
さらにまた、排水流入口20を排出口22と同じ高さ位置に設けているので、排水装置10を低背化でき、排水先の排水路104が浅い場合にも対応可能となる。つまり、用排水分離などの基盤整備が十分にされていないような小規模な圃場100にも好適に利用できる。
なお、上述の実施例では、排水流入口20をそのまま地中に配置するようにしたが、これに限定されない。たとえば、圃場100の地中に有孔排水管等の暗渠管または弾丸暗渠などを設けておき、その下流側端部の近傍に排水流入口20を配置するようにしてもよい。暗渠管、弾丸暗渠または深溝などを圃場100に設ける場合には、暗渠管などを敷設する分だけ高コストとなるが、圃場100の全域から効率的に排水を集めることができるようになるので、排水性能をより向上させることができる。
また、上述の実施例では、排水流入口20および排出口22を互いに対向し合う位置、つまり周方向に180°ずらした位置に設けるようにした。しかし、排水流入口20と排出口22との周方向における位置関係は、特に限定されず、90°や120°等の適宜な角度だけずらした位置に排水流入口20および排出口22を設けることもできる。また、排水流入口20は、排出口22よりも高い位置に形成することもできる。
さらに、上述の実施例では、第1係止部である内筒14の下端14bを傾斜面としたが、これに限定されない。たとえば、図9に示す実施例のように、第1係止部である内筒14の下端14bを、水平面と垂直面とが交互に繰り返される階段状に形成することによって、内筒14の下部分14aの軸方向長さを周方向で異なるようにすることもできる。
図1に示す実施例では、内筒14の下端14bが傾斜面とされていることから、内筒14に対して下方向に大きな力が予期せず作用した場合には、内筒14の下端14bが突起部28上を滑り、内筒14が回転しながら下降してしまう可能性が僅かながらある。これに対して、図9に示す実施例では、内筒14の下端14bが階段状に形成されるので、内筒14の下端14bと突起部28とが水平方向に面接触するようになる。これによって、内筒14に対して下方向に大きな力が作用した場合にも、内筒14が回転しながら下降してしまうことが防止される。したがって、図9に示す実施例によれば、内筒14の意図しない下がりをより確実に防止することができる。
さらにまた、上述の実施例では、内筒14の下端14bを第1係止部としたが、内筒14に設けられる第1係止部の態様は、これに限定されない。たとえば、図10に示す実施例のように、内筒14の外周面に形成した係止溝42を第1係止部とすることもできる。
具体的には、図10および図11に示すように、外筒12の側壁12a内周面には、突起部(第2係合部)38が形成される。突起部38は、直方体状、短円柱状または半球状などの突起であって、側壁12aの高さ方向における略中央部に形成される。一方、内筒14の外周面には、下端14aから上方向に延びる案内溝40が形成され、また、案内溝40から横方向に分岐する複数の係止溝(第1嵌合部)42が上下方向に所定間隔をおいて形成される。
そして、内筒14を上下動させる際には、突起部38を案内溝40に嵌め込んだ状態とし、案内溝40に沿って突起部38が移動させるようにして内筒14を上下動させる。また、内筒14を所望の高さ位置で保持する際には、内筒14を周方向に少し回転させて突起部38と係止溝42とを嵌合させ、突起部38によって係止溝42を係止させるとよい。
図10に示す実施例においても、図1に示す実施例と同様に、簡単な構成で、設定水位以上の田面水を排出してその水位を調整できると共に、深溝または地中からの排水を排出できる。また、第1係合部である内筒14の係止溝42が第2係合部である外筒12の突起部38に係止されることによって、内筒14が所望の高さ位置で保持されるので、内筒14の意図しない下がりを防止することができ、田面水の水位調整を適切に行うことができる。
また、上述の実施例では、外筒12の排水流入口20を少し長めの短管状に形成しているが、封止部によって開閉可能であれば、排水流入口20の形状は適宜変更可能である。また、排水流入口20の形状に合わせて、封止部の形状も適宜変更可能である。
たとえば、図12示す実施例のように、外筒12の排水流入口20の軸方向長さをごく短くすることもできる。この場合には、たとえば、図13に示すような蓋16を用いるとよい。図13に示すように、蓋16は、短円筒状に形成される嵌合部16aと、嵌合部16aの一方端を封止し、かつ嵌合部16aよりも大径の円板状の封止部16bとを含む。この封止部16bには、略C字状の把持部(取っ手)16cが設けられる。また、蓋16の嵌合部16aの外周面には、ゴム輪などの止水部材34が装着される。蓋16は、この止水部材34を介して、外筒12の排水流入口20に対して着脱可能であってかつ水密的に取り付けられる。
図12に示す実施例によれば、外筒12の排水流入口20の軸方向長さを短くしたので、乾田時において蓋16を取り外すために排水装置10の周囲の土を掘り起こすときに、その掘削量を少なくできる。
また、たとえば、図14に示す実施例のように、蓋(封止部)16を仕切板状に形成することもできる。図14に示す実施例では、排水流入口20の上部には、上下方向に延びる断面矩形の差込口52が形成され、この差込口52を介して蓋16が上下方向に着脱される。蓋16は、図15に示すように、半円板状の下部分16dと矩形板状の上部分16eとを有する板状体であって、蓋16の下部分16dの周側面は、排水流入口20の内周面に沿う形状とされる。また、蓋16の上部分16eの上端には、略C字状の把持部(取っ手)16fが設けられる。さらに、蓋16には、排水流入口20との接触部分の全体に亘るように、スポンジ系ゴムなどで形成される帯状の止水部材52が設けられる。
図14に示す実施例によれば、乾田時において蓋16を取り外すときには、蓋16を上方に移動させるだけでよいので、排水装置10の周囲の土を掘り起こす際の掘削量をより少なくできる。また、蓋16を上下動させるだけで蓋16の着脱を行えるので、排水流入口20の開閉を容易に行うことができる。
また、外筒12の排出口22の形状も、排水管106と水密的に接続できる形状であれば適宜変更可能である。たとえば、排出口22は、受口形状とする代わりに、差口形状とすることもできる。
さらに、上述の実施例では、内筒14の外周面に対して目盛部(第1目盛部)50を設けたが、この目盛部50と共に、或いは目盛部50に代えて、内筒14の上端面に目盛部(第2目盛部)54を設けることもできる。
たとえば、図16に示すように、内筒14の上端面に対して、周方向に所定間隔で並び、内筒14の最下位置から最上位置までの高さ位置を示す目盛線からなる目盛部54を設けることもできる。この際、外筒12の上端面には、目盛合わせの基準となる基準位置(基準方向)を示す合マーク部56を設けておく。作業者は、目盛部54の所望水位を示す目盛線と合マーク部56とを合わせることによって、田面水の水位を所望水位に設定することができる。つまり、図16に示す実施例では、内筒14の回転角度によって内筒14の高さ位置が規定される。
また、たとえば、図17に示すように、内筒14の上端部に鍔部14cを形成して内筒14の上端面を大きくし、目盛線および数値を含む目盛部54を設けることもできる。ただし、図16のように内筒14の上端部に鍔部14cを形成しない場合でも、目盛部54が数値を含むようにしてもよい。
図16または図17に示す実施例によれば、内筒14の上端面に対して目盛部54を設けたので、上方から目盛部54を目視し易くなり、内筒14の高さ位置の調整が容易となる。また、内筒14の上端面は止水部材26と擦れ合うことがないので、内筒14の上端面に設けた目盛部54は消えにくい。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
10 …排水装置
12 …外筒
14 …内筒
14b …内筒の下端(第1係合部)
16 …蓋(封止部)
20 …排水流入口
22 …排出口
26 …止水部材
28,38 …突起部(第2係合部)
30 …田面水流入口
42 …係止溝(第1係合部)
100 …圃場
102 …畦畔
104 …排水路

Claims (4)

  1. 湛水時には設定水位以上の田面水を排出して水位調整すると共に、乾田時には深溝または地中からの排水を排出する排水装置であって、
    上端開放の有底縦管状に形成され、側壁下端部に形成される排水流入口と排出口とを有する外筒、
    上端部に形成される田面水流入口を有し、前記外筒内に嵌入されて、上下動することによって前記田面水流入口の高さ位置を変更可能な内筒、
    前記排水流入口を開閉可能に封止する封止部、
    前記内筒に設けられる第1係合部、および
    前記外筒に設けられ、前記第1係合部を係止することによって前記内筒を所望の高さ位置で保持する第2係合部を備える、排水装置。
  2. 前記内筒の下部分は、軸方向長さが周方向で異なるように形成され、
    前記外筒は、内周面から突出する突起部を有し、
    前記第1係合部が前記内筒の下端であり、前記第2係合部が前記突起部である、請求項1記載の排水装置。
  3. 前記内筒の下端は、階段状に形成される、請求項2記載の排水装置。
  4. 前記外筒の内周面および前記内筒の外周面のそれぞれと密着する止水部材を備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の排水装置。
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