JP4443869B2 - 地下灌漑システム - Google Patents
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Description
まず、図1及び図2に示すように、地下灌漑システムを採用した圃場には、農道11や畦畔12によって複数の耕作区13が区画されており、各耕作区13の一方の農道11部分には給水路14が設けられ、他方の農道部分には排水路15が設けられている。圃場内の各耕作区13には、作物の種類やその生育状況に応じて水位を適切に設定するための地下灌漑システムがそれぞれ設けられている。なお、給水ラインや排水ラインを構成する前記給水路14や排水路15は、圃場の状況に応じて任意の位置に設けることができ、畦畔12の部分に設けることも可能であり、パイプラインでも開水路であってもよい。また、同じ農道11部分に給水路と排水路とが併設されていてもよい。
ここに示した水位設定器24は、有底筒状の水位設定枡25の内部に下部固定堰26と上部可動堰27とを上下動可能に設け、この堰26,27により、水位設定枡25内を耕作区13側の流入室28と排水路15側の排水室29とに区画し、流入室28に前記地下排水弁23を介して前記集合管21を、排水室29に排水管30を介して排水路15を、それぞれ接続している。
前記下部固定堰26と上部可動堰27とは、水位設定枡25の内壁に形成したガイド溝26a、27aに上下動及び抜き差し可能で、かつ、任意の高さ位置に固定可能な状態で設けられており、両堰26,27は、ゴム製のパッキン等を介して水密状態で摺接するように形成されている。
さらに、耕作区13の排水路15側には、水位設定器24の前記流入室28に給排水弁31を介して接続した給排水枡32が設けられている。この給排水枡32の耕作区側には、堰板33を着脱可能に設けた給排水口34が設けられており、前記給排水弁31を開き、給排水口34から堰板33を取り外した状態で、耕作区13の地表面からの余剰水の排出や耕作区13の地表面への用水の給水を行うことができるようにしている。
さらに、前記地下灌漑用給水口44は、止水栓等の地下給水量制御手段53を介して前記地下給水管35に接続している。この地下給水管35は、耕作区13の地中に、前記有孔管22と同程度の深さ、好ましくは有孔管22よりも深い位置に、水平方向あるいは排水路15側に向かって適度な水勾配を設けた状態で埋設されており、末端が前記水位設定器24における流入室28の下部に接続し、流入室28から地下排水弁23及び集合管21を介して有孔管22の排水側に接続した状態となっている。また、前記掃流口45は、止水栓等の流路開閉手段54を介して掃流分岐管36に接続しており、この掃流分岐管36に前記有孔管22の上流側がそれぞれ接続されている。
これにより、給水路14を流れる用水が取水口42から地下灌漑用給水枡41に流入し、圃場給水口43から耕作区13の地表に直接供給されるとともに、地下灌漑用給水口44から地下給水管35に流入した用水が水位設定器24の流入室28に流入し、その一部が給排水枡32を通って耕作区13の地表に排水路側から供給され、残りの用水が集合管21から有孔管22を経て耕作区13の地中に供給される。このようにして耕作区13に用水を供給することにより、耕作区13への大量の用水の供給を短時間で行うことができる。耕作区13の余剰の用水は、水位設定器24の上部可動堰27を超えて排水室29に流下し、排水管30から排水路15に排出される。なお、用水の供給箇所及び給水量は、地上給水量制御手段52、地下給水量制御手段53、給排水弁31及び地下排水弁23の開閉等によって任意に選択することができる。
これにより、耕作区13内の水位が水位設定器24に設定した水位、例えば、地上15〜25cm、特に20cm程度に維持することができる。このように、耕作区13への給排水を、地下灌漑用給水口44に接続した地下給水管35を介して排水路側に接続した有孔管22や給排水枡32で行うことにより、耕作区13内に給水路14側から排水路15側へ向かう用水の流れが発生せず、この流れに伴って農薬や肥料等が排水路15に流出することがなくなり、農薬や肥料等の効果が十分に得られるとともに、農薬等の流出による環境破壊の問題も解消することができる。さらに、有孔管22から給水することにより、地表から地下に浸透する水量が減少するので、これによっても農薬や肥料の有効活用が図れる。
さらに、地上給水量制御手段52を堰で形成し、その高さを田面水位より僅かに高く設定しておくことにより、大雨で耕作区13の水位が上昇したときに、余剰水が堰を超えて地下灌漑用給水枡41内に流入し、地下灌漑用給水口44から地下給水管35を通って水位設定器24に流れ、水位設定器24から排出されることになるので、地下灌漑用給水枡41からも余剰水を効率よく排出することができる。
さらに、地下灌漑用給水枡41に有孔管22の上流側に接続する掃流口45を設けておくことにより、適当な時期に地上給水量制御手段52及び地下給水量制御手段53を閉じて流路開閉手段54を開くとともに、水位設定器24の下部固定堰26を引き上げることにより、取水口42から取水した用水を有孔管22の上流側から下流側に向けて流すことができるので、有孔管22内に土砂が侵入したとしても、この土砂を有孔管22内から排水路15に向けて排出することができ、有孔管22内の清掃を行うことができる。
さらに、複数設けられている有孔管22の中の一部、通常は1本に大径の有孔管を使用して前記地下給水管と同等の機能を持たせ、この大径有孔管の給水路側を前記地下灌漑用給水口44を介して地下灌漑用給水枡41に接続し、その他の各有孔管22への用水の供給を、この大径有孔管から集合管21を介して行うようにすることもできる。
本形態例に示す地下灌漑用給水枡61は、農道11の地下に埋設した給水パイプライン62から用水を取り入れるようにした例を示すものであって、地下灌漑用給水枡61の底部に、取水口42、地下灌漑用給水口44及び掃流口45が貫通して上向きに開口しており、耕作区13側の枡側壁には、圃場給水口43が開口している。
なお、前記図1〜図3に示した地下灌漑用給水枡41においても、取水口部分及び給水弁以外は本形態例と同様に形成することができる。
Claims (10)
- 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記取水口先端には、取水した用水の水勢を緩和する水勢緩和器が取り付けられていることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記給水ラインから取水口に至る管路は、地下灌漑用給水枡の底部を貫通して上方に開口するように設けられていることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記取水口先端には、取水口の上端開口を開閉する給水弁が装着されていることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記取水口は、逆流防止手段を有していることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記取水口と前記地下灌漑用給水口との間に用水中のゴミ類を分離するためのフィルターを備え、且つ前記圃場給水口と前記取水口は前記フィルターを介さずに連通していることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記給水ラインは、U字溝の中にパイプラインを敷設したものであることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記有孔管の地下灌漑用給水枡側は、地上に開口する掃流口を有する掃流分岐管が接続されていることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記有孔管の地下灌漑用給水枡側に流路開閉手段を介して地下灌漑用給水枡に接続する掃流口が設けられていることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記有孔管の地下灌漑用給水枡側に地下灌漑用給水枡に接続する掃流口が設けられ、
前記掃流口が前記地下灌漑用給水口に隣接して設けられ、該掃流口及び地下灌漑用給水口と前記取水口との間に用水中のゴミ類を分離するためのフィルターを備えていることを特徴とする地下灌漑システム。 - 圃場の地中に有孔管を埋設するとともに該有孔管の下流側に水位設定器を設置し、該水位設定器で給水ラインから圃場に供給された用水の排水水位を調節することにより圃場の水位を設定する地下灌漑システムにおいて、
前記給水ラインに接続した取水口と、取水量を制御する取水量制御手段と、圃場内に連通した圃場給水口と、前記有孔管に用水を供給するための地下給水管に接続した地下灌漑用給水口とを備えた地下灌漑用給水枡を設置するとともに、
前記有孔管の地下灌漑用給水枡側に地下灌漑用給水枡に接続する掃流口が設けられ、 前記掃流口は、前記地下灌漑用給水口より上方に開口していることを特徴とする地下灌漑システム。
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