JP4008188B2 - 水田の用排水管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水田の用排水管理システムに関し、詳しくは、水田における各耕作区の用水の供給及び排出を迅速かつ確実に行える水田の用排水管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水田では、河川を流れる水を幹線給水路に導き、さらに、幹線給水路を流れる水を水田の側縁に沿って設けられた開放型の給水路に導いて水田の各耕作区に供給するようにしている。給水路と耕作区との間には給水口が設けられており、給水路を流れる用水は、各給水口から各耕作区にそれぞれ供給される。
【0003】
また、前記給水路の反対側には開放型の排水路が設けられており、各耕作区に面した排水路の排水口には水位設定器が設けられている。この水位設定器は、堰板等の高さを調整することにより、それぞれの耕作区の田面水位を一定の高さに維持するように形成されている。また、排水路の下流側は、幹線排水路と接続しており、耕作区から排水路に排出された余剰の用水や雨水は、幹線排水路を経て河川に還流される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような水田において、耕作区から用水を排出する場合には、水位設定器の堰板を最下方に押し下げるか、堰板を取外すことにより行われている。したがって、用水の排出は水位設定器側から行われることになり、給水口側からの排出がほとんど行われないため、給水口付近の水はけが悪いという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、水田全体にわたっての用水を供排水を安定して行えるとともに、耕作区からの用水の排出を迅速かつ確実に行うことができる用排水管理システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の水田の用排水管理システムは、畦畔によって複数の耕作区に区分された水田の各耕作区にわたって給水経路と排水経路とを配設し、給水経路から供給される用水を耕作区に供給し、耕作区の余剰の用水を排水経路に排出する水田の用排水管理システムであって、水田の各耕作区に、前記給水経路に接続した給水装置及び前記排水経路に接続した水位調節装置をそれぞれ設置するとともに、前記給水装置を暗渠排水パイプを介して前記排水経路に接続し、前記耕作区に貯留されている用水を、前記給水装置から前記排水パイプに排出すると共に前記水位調節装置から前記排水パイプに排出する構成としたことを特徴としている。
【0007】
前記暗渠排水パイプは、排水経路に直接接続することもできるが、水閘を介して排水経路に接続してもよく、暗渠排水パイプの排水経路への排水部に排水位調整手段を設けておくこともできる。
【0008】
また、前記暗渠排水パイプを前記水位調節装置を介して排水経路に接続させるようにしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の用排水管理システムを適用した水田の一形態例を示す概略平面図、図2は水田の概略縦断面図、図3は暗渠排水パイプと排水経路との他の接続状態例を示す要部の縦断面図、図4は給水装置の一形状例を示す縦断面図、図5は給水装置の他の形状例を示す縦断面図、図6は水位調節装置の一形状例を示す縦断面図、図7は水位調節装置の他の形状例を示す縦断面図である。
【0010】
水田10の内部は、短手方向に延びる畦畔11によって複数の耕作区12に区分されている。各耕作区12は、例えば、長辺が100〜200m、短辺が30〜100m程度の長方形状に区分され、全体的に見れば緩やかに傾斜しているにしても、略平坦に整地されている。
【0011】
水田10の側縁には、その長手方向に沿って農道13が設けられており、各農道13には、その傾斜面の下方に、用水を通すための通水パイプである給水パイプ21と排水パイプ22とが埋設されている。前記給水パイプ21及び排水パイプ22は、上流側が用水ラインに接続しており、下流側が排水ラインに接続している。この用水ライン及び排水ラインは、状況に応じて開放型の水路で形成してもよく、パイプラインで形成することもできる。なお、用水ラインには、河川から水を引き込むための水路が接続しており、排水ラインには、放出された用水や雨水を河川に還流させるための水路が接続している。さらに、給水経路及び排水経路となる給水パイプ21や排水パイプ22は、必ずしも農道13に沿って設ける必要はなく、必要に応じて畦畔11に沿って設けたり、その他の箇所に設けるようにしてもよい。また、これらを開放型の水路で形成することもできる。
【0012】
また、各耕作区12の側縁には、前記給水パイプ21に接続した給水装置30と、排水パイプ22に接続した水位調節装置40とがそれぞれ設置されている。なお、給水パイプ21及び排水パイプ22の設置場所によっては、給水装置30と水位調節装置40とを耕作区12の一辺に隣接させて、あるいは一体的に形成して設置することもできる。
【0013】
さらに、各耕作区12の地下には、暗渠排水パイプ23が埋設されている。この暗渠排水パイプ23は、上流側が給水装置30に接続し、下流側が排水パイプ22又は水位調節装置40に接続しており、排水パイプ22に直接接続する場合には、排水パイプ22との間に、暗渠排水パイプ23の流路を開閉する水閘24が設けられる。また、図3に示すように、排水パイプ22ではなく、開放型の排水路22aの場合は、同じように水閘24を設けることもできるが、水閘24を設けずに、暗渠排水パイプ23の排水部に上方に開口したパイプ25を設け、該パイプ25に排水位調整手段となるパイプ26を適当な高さに挿入して暗渠排水パイプ23からの排水状態を調節するようにしてもよい。このように水閘24や排水位調整手段を設けて排水量を適当に調節できる場合は、前記水位調節装置40を省略することもできる。なお、暗渠排水パイプ23は、耕作区12の面積に応じて複数設けることができるが、給水装置30には、少なくともその内の1本が接続していればよい。
【0014】
前記給水装置30は、図4の断面図に示すように、農道13の一側の傾斜面部分に設けた給水枡31の内部に給水バルブ32を収納したものであって、この給水バルブ32は、給水パイプ21から鉛直方向に立ち上がって給水枡31の底板を貫通したパイプ33Pの上端開口部に弁座33を設け、この弁座33をパイプ33Pの軸線方向に移動する弁体34によって開閉するように形成されている。弁体34は、支持部材34Sの上端に回動可能に支持されたハンドル34Hに螺合する弁軸34Aの下端に取付けられており、開閉操作部であるハンドル34Hを回すことにより弁軸34Aを介して弁体34を上下動させるように形成されている。また、給水枡31の側壁下部あるいは底壁には、前記暗渠排水パイプ23に接続するための暗渠接続部35が設けられている。
【0015】
この給水装置30は、ハンドル34Hを操作して弁体34の開度を適当に調整することにより、給水パイプ21からパイプ33Pを上昇して給水枡31内に流入する用水量を調整することができる。給水枡31内に流入した用水は、耕作区12に連通するように給水枡31の一側に開口した耕作区給排水口31Wから耕作区12内に供給される。
【0016】
このような給水装置30を用いることにより、水田設置部の傾斜によって給水パイプ21の上下で水圧が大きく異なっていても、各給水装置30における弁体34の開度を適切に調整することにより、必要十分な量の用水を各耕作区12に満遍なく供給することができる。また、パイプ33Pを給水パイプ21に対して鉛直方向に設置することにより、給水パイプ21内の空気を給水装置30から排出することができる。これにより、給水パイプ21内に発生した空気溜りを解消して通水不足を未然に防止でき、さらに、給水パイプ21内が瞬間的に負圧となることによる給水パイプ21の破損を防止できる。
【0017】
また、この給水装置30は、給水バルブ32の弁座33の高さを前記耕作区給排水口31Wの下縁より下方に配置しているので、パイプ33Pからの用水は、給水枡31内に溜まっている用水中に噴出することになり、パイプ33Pから噴出した用水が耕作区12に勢いよく直接流入することがない。さらに、弁体34がパイプ33Pの軸線方向に移動してパイプ33Pの開口端に設けた弁座33を開閉するようにしているので、パイプ33Pから噴出する用水を弁体34で受け止めて水勢を弱めることができ、耕作区給排水口31Wから耕作区12に流入する用水の水勢を更に弱めることができる。
【0018】
また、このような給水装置30において、弁体34の全開時における弁座33からの距離を、弁座内径の50%以上にしておくことにより、代掻き時等に大量の用水が必要なときには、給水バルブ32を全開状態にすることによって大量の用水を耕作区12に供給することが可能となる。
【0019】
さらに、前記耕作区給排水口31Wには、土砂流入防止堰36が設けられている。この土砂流入防止堰36は、耕作区給排水口31Wの両側に設けられたガイド溝36aに、上下位置調節可能かつ着脱可能に挿入されており、土砂流入防止堰36の上下位置を調節したり、取り外したりすることにより、給水枡31内への土砂の流入を防止し、あるいは、耕作区12内の排水を速やかに行うことができる。なお、土砂流入防止堰36は、上下位置調節可能にすることなく、最上位位置に固定された状態のものであってもよい。
【0020】
また、図5に示す給水装置30aのように、上方に開口した排水口37を有するパイプ37Pを前記暗渠接続部35の給水枡31内に接続し、前記排水口37を栓37Cで閉塞可能に形成しておくことにより、中干し時や転作時には、前記土砂流入防止堰36を下方に押し下げたり、取り外したりするとともに、栓37Cを抜き取ることにより、耕作区給排水口31Wから給水枡31内に流入する耕作区12内の用水を、排水口37からパイプ37Pを介して暗渠接続部35に接続した暗渠排水パイプ23に排出することができる。
【0021】
さらに、給水パイプ21に接続して排水枡31内で鉛直方向に立ち上がる前記パイプ33Pに、給水バルブ32の周囲を覆う逆流防止枡38を設けておくこともできる。この逆流防止枡38は、給水バルブ32の外径より大きな内径を有する筒体38Tの下部に、パイプ33Pの周壁にゴムリング38Rを介して上下動可能に摺接する摺動部38Eを設けたものである。この逆流防止枡38は、給水装置30aから耕作区12内の用水を排出する際に、給水バルブ32の周囲を覆うような状態に引き上げることにより、流出量を容易に調整でき、しかも、土砂による給水バルブ32の汚染を防止できるとともに、パイプ33P内への逆流も防止できる。
【0022】
なお、図5に示す給水装置30aは、図4に示した給水装置30と基本的に同じように形成することができるので、同一の構成要素には同一の符号を付してこれらの詳細な説明は省略する。
【0023】
一方、前記水位調節装置40は、図6に示すように、耕作区12に連通する開口41aを備えた有底筒状の排水枡41に、耕作区12の下方に埋設した暗渠排水パイプ23を接続するための暗渠接続口41bと、排水パイプ22に接続する排水部42とを備えたものを用いることができ、排水部42には、排水枡41の上部に開口する高さ調節可能な水位調節堰43と、排水枡41の底部近傍で開口可能な排水弁44とが設けられている。
【0024】
前記水位調節堰43は、排水部42の水平方向のパイプ42Pから垂直方向に立上がったパイプ43Pの上端の上向きの開口に、水密性と摺動抵抗を得るためのゴム製のシールパッキン43Sを介して上下動可能に嵌装した筒体43Tにより形成されている。この筒体43Tには、該筒体43Tを上下動させるための操作ロッド43Hが排水枡41の上方に延びるように設けられている。
【0025】
また、排水弁44は、排水部42のパイプ42Pに対応した貫通口を有する2枚の板状部材の間に板状の弁体を上下動可能に設けたスライド弁を、パイプ42Pの先端に装着したものであって、弁体の上方に連結した操作ロッド44Hにより開閉操作が行えるように形成されている。
【0026】
なお、前記各操作ロッド43H,44Hには、弁の開閉状態や堰の高さを表示するための目盛りを設けておくことができる。また、排水枡41の上部には蓋体を装着しておくこともできる。さらに、水位調節堰43の上下位置調整構造も任意に選択することができ、例えば蛇腹構造等を採用することができる。
【0027】
上述のような構成からなる水位調節装置40は、各耕作区12に面した農道13の側縁部等に鉛直状態に埋設され、各耕作区12における田面水位は、各耕作区12に設けた水位調節装置40における水位調節堰43の高さ位置を、筒体43Tに設けた操作ロッド43Hを上下に移動させることにより、各耕作区12毎に設定される。
【0028】
このように、水位調節堰43の上縁を田面水位に対応した高さにそれぞれ設定し、排水弁44を全閉にした状態で、前記給水装置30の土砂流入防止堰36の上縁を田面水位よりも若干高くして給水バルブ32の弁体34を適当な開度に設定することにより、給水パイプ21からの用水が給水装置30の給水枡31内に流入した後、耕作区給排水口31Wを通って各耕作区12へ給水される。このとき、土砂流入防止堰36が田面水位よりも若干高く設定しておくことにより、耕作区12内の用水や土砂が給水枡31内に流入することを防止できる。
【0029】
一方、排水パイプ22側の水位調節装置40では、水位調節堰43の筒体43Tの上縁が田面水位に対応した高さに調節されているので、耕作区12に供給された余剰の用水や雨水は、開口41aから排水枡41内に流入した後、筒体43Tの上縁を越えてパイプ43P内を流下し、排水部42から排水パイプ22に排出される。
【0030】
したがって、各耕作区12内の田面水位は、水位調節装置40に設けた水位調節堰43の筒体43Tを所定高さに調節することによって自動的に調節することができる。そして、給水パイプ21に設置した給水装置30の給水バルブ32の開度を適当に調整することにより、耕作区12への流入用水量を調整でき、必要最小限の用水量で田面水位を一定に維持することが可能となる。
【0031】
このような用排水管理を行うことにより、各耕作区12への用水の供給量を少なくできるため、水田を設置した部分の傾斜角度にかかわらず各耕作区12に満遍なく用水を供給できるようになり、下流側の耕作区12で水不足が発生することもなくなる。また、耕作区12への用水の流入量を少なくできるため、耕作区12に施用された農薬や肥料等が外部に流出することも少なくなり、環境破壊の問題を招来するおそれもない。
【0032】
このように形成したことにより、給水パイプ21を流れる用水を少量にすることができるため、小径のパイプを用いることができ、小径パイプにすることで流速も速くなるので、給水パイプ21に大きな勾配を付けなくてもある程度の流速を確保できる。また、各耕作区12に給水装置30や水位調節装置40を設置する作業も、軽量、コンパクトなため、容易に行うことができる。しかも、水位調節装置40は、合成樹脂製の筒材等を適宜に組合わせて製作することができ、排水枡41内に一体に組込まれているので、排水部42と排水パイプ22とを直接あるいは適当な継手を介して接続するだけでよい。また、従来の用水管渠は、用水を圧送するためのポンプが必要であったが、浅い水深で必要流量を確保できるので、ポンプは全く不要とすることができ、用水を超低圧で送水することができる。
【0033】
また、耕作区12から用水を排出する場合には、給水パイプ21側の給水装置30の給水バルブ32を閉じ状態とし、給水装置30から暗渠排水パイプ23を通して排水を行うとともに、水位調節装置40における水位調節堰43の筒体43Tを押し下げるか、排水弁44を開くことにより、耕作区12に貯留されている用水を給水装置30及び水位調節装置40から排水パイプ22に速やかに排出することができる。
【0034】
一方、一度に大量の用水を必要とする水田の代掻き時には、水位調節装置40の筒体43Tを引上げることにより、給水パイプ21から給水装置30を通って耕作区12内に流入した用水が水位調節装置40から排水パイプ22に排出されることがなくなり、その全量が耕作区12内に貯留される状態になるので、速やかに所定の水位にすることができる。
【0035】
また、減反等でいくつかの耕作区12への給水が不要な場合は、その耕作区12に対応した給水装置30の給水バルブ32を閉じ、水位調節装置40の排水弁44を全開状態にしておくことにより、耕作区12内の雨水等は、耕作区12から水位調節装置40の排水部42を通って排水パイプ22に排出される。同時に、給水装置30においても、土砂流入防止堰36を押し下げたり、取り外したりし他状態で暗渠排水パイプ23から排水することにより、雨水等を迅速に排出することができる。
【0036】
このように、耕作区12からの排水を水位調節装置40と給水装置30との両方から行うことにより、従来は水はけが悪くなりがちだった給水側の水はけを良好にすることができる。
【0037】
また、用水の排出時等に耕作区12等から水位調節装置40の排水枡41内に侵入した土砂等は、枡底部の排水弁44を開くことにより、パイプ42Pから用水と共に排水パイプ22に排出することができる。
【0038】
図5に示す給水装置30aでは、耕作区12等から耕作区給排水口31Wを通って給水枡31内に侵入した土砂等は、排水口37の栓37cを適宜引抜くことにより、排水口37から暗渠排水パイプ23に用水と共に排出することができる。このとき、逆流防止枡38を引き上げておけば、耕作区給排水口31Wから用水と共に流入する土砂で給水バルブ32が汚染されることがない。
【0039】
さらに、土砂流入防止堰36や逆流防止枡38を設けて、これらの高さを高く設定しておけば、代掻き時に土砂等が給水枡31内や給水バルブ32部分に侵入することを防止でき、土砂流入防止堰36の高さを低くすれば、中干し時や転作時の水抜きを効果的に行える。
【0040】
また、水位調節装置として、図7に示す構造のものを使用することもできる。この水位調節装置50は、耕作区12側の側面が開口した排水枡51と、該排水枡51の底板51Bに設けた排水口52に接続される鉛直方向の排水縦管52Pと、排水口52に上下方向に摺動可能に装着された筒体からなる水位調節堰53とにより形成されている。
【0041】
水位調節堰53は、水密性と適度な摺動抵抗とを得るためのゴム製のシールパッキン53Sを介して排水口52に上下動可能に取付けられており、底板51Bに対して任意の高さに保持できるように形成されている。また、水位調節堰53の上部には把手53Hが設けられており、排水枡51の前面開口両側には、土砂の流入を防止する堰板54を取付けるための堰板取付部が設けられている。
【0042】
このように形成された水位設定器50は、排水枡51に接続した排水縦管52Pの下端に、排水パイプ22に至る水平乃至下り勾配を有する排水横管55Pをエルボ55Eを介して接続した状態で設置される。
【0043】
さらに、前記排水縦管52Pの外周には、止水シート56が設けられている。この止水シート56は、その中心部に設けた配管挿通孔56aが排水縦管52Pの外周に密着するように形成されており、排水縦管52Pと周囲の土砂との間に隙間が発生した場合でも、この隙間を伝わって水が流下することを防止し、耕作区12内の用水が外部に流出することを防止している。
【0044】
このような水位調節装置50においても、水位調節堰53の上下位置を調節したり、堰板54を着脱したりすることにより、図6に示した水位調節装置40と同様の作用が得られる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の用排水管理システムによれば、耕作区への用水の供給や田面水位の維持、耕作区からの用水の排出等を簡単な操作で確実に行うことができ、各耕作区毎の田面水位の維持等の用排水管理を効率よく行うことができる。さらに、給水側からも暗渠排水パイプを介して排水を行えるので、耕作区全体の水はけを向上させることができる。
【0046】
また、各耕作区に供給された用水が余剰水として排出されるのを最小限に抑える用排水管理を行えるので、各耕作区に施用された農薬や肥料等が用水と共に外部に流出する量を低減でき、環境破壊の問題を招来することもない。また、給水パイプ及び排水パイプを農道や畦畔の部分に埋設することにより、水田の耕作区や農道等のスペースを大幅に拡大でき、農地を有効に利用することができる。さらに、一部の耕作区の減反等にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の用排水管理システムを適用した水田の一形態例を示す概略斜視図である。
【図2】 水田の概略縦断面図である。
【図3】 暗渠排水パイプと排水経路との他の接続状態例を示す要部の縦断面図である。
【図4】 本発明の給水装置の一形状例を示す断面図である。
【図5】 給水装置の他の形状例を示す縦断面図である。
【図6】 水位調節装置の一形状例を示す縦断面図である。
【図7】 水位調節装置の他の形状例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10…水田、11…畦畔、12…耕作区、13…農道、21…給水パイプ、22…排水パイプ、22a…排水路、23…暗渠排水パイプ、24…水閘、25…パイプ、26…パイプ、30,30a…給水装置、31…給水枡、31W…耕作区給排水口、32…給水バルブ、33…弁座、33P…パイプ、34…弁体、34A…弁軸、34H…ハンドル、34S…支持部材、35…暗渠接続部、36…土砂流入防止堰、36a…ガイド溝、37…排水口、37C…栓、37P…パイプ、38…逆流防止枡、38E…摺動部、38R…ゴムリング、38T…筒体、40…水位調節装置、41…排水枡、41a…開口、41b…暗渠接続口、42…排水部、42P…パイプ、43…水位調節堰、43H…操作ロッド、43P…パイプ、43S…シールパッキン、43T…筒体、44…排水弁、44H…操作ロッド、50…水位調節装置、51…排水枡、51B…底板、52…排水口、52P…排水縦管、53…水位調節堰、53H…把手、53S…シールパッキン、54…堰板、55E…エルボ、55P…排水横管、56…止水シート、56a…配管挿通孔
Claims (4)
- 畦畔によって複数の耕作区に区分された水田の各耕作区にわたって給水経路と排水経路とを配設し、給水経路から供給される用水を耕作区に供給し、耕作区の余剰の用水を排水経路に排出する水田の用排水管理システムであって、水田の各耕作区に、前記給水経路に接続した給水装置及び前記排水経路に接続した水位調節装置をそれぞれ設置するとともに、前記給水装置を暗渠排水パイプを介して前記排水経路に接続し、前記耕作区に貯留されている用水を、前記給水装置から前記排水パイプに排出すると共に前記水位調節装置から前記排水パイプに排出する構成としたことを特徴とする水田の用排水管理システム。
- 前記暗渠排水パイプは、水閘を介して前記排水経路に接続していることを特徴とする請求項1記載の水田の用排水管理システム。
- 前記暗渠排水パイプは、前記排水経路への排水部に排水位調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の水田の用排水管理システム。
- 前記暗渠排水パイプは、前記水位調節装置を介して前記排水経路に接続していることを特徴とする請求項1記載の水田の用排水管理システム。
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